繊維強化接着剤シート、繊維強化接着剤シート包装体及び繊維強化接着剤シートを用いた建築物補強方法
【課題】被補強体の補強面に繊維シートを簡便に接着することの可能な繊維強化接着剤シートを提供する。また、この繊維強化接着剤シートが収容された繊維強化接着剤シート包装体及びこの繊維強化接着剤シートを用いた建築物補強工法を提供する。
【解決手段】本発明の繊維強化接着剤シート1は、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シート3に含浸又は積層させた繊維強化接着剤層4の両面に、湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シート2,5が積層されたものである。繊維強化接着剤シート1は、湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている。そして、繊維強化接着剤シート1を用いて建築物を補強する際、第2の剥離シート5を剥がし、繊維強化接着剤層4を被補強体10の補強面に貼り付けて第1の剥離シート2の表面から圧締し、湿気又は紫外線により繊維強化接着剤層4を硬化させる。
【解決手段】本発明の繊維強化接着剤シート1は、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シート3に含浸又は積層させた繊維強化接着剤層4の両面に、湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シート2,5が積層されたものである。繊維強化接着剤シート1は、湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている。そして、繊維強化接着剤シート1を用いて建築物を補強する際、第2の剥離シート5を剥がし、繊維強化接着剤層4を被補強体10の補強面に貼り付けて第1の剥離シート2の表面から圧締し、湿気又は紫外線により繊維強化接着剤層4を硬化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化接着剤シート、繊維強化接着剤シート包装体及び繊維強化接着剤シートを用いた建築物補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物を補強する方法として、繊維シート接着工法が普及しつつある。この工法は、炭素繊維シートにエポキシ樹脂を含浸させ、コンクリート表面に接着させることにより、コンクリートの曲げ補強、剪断補強、靱性補強をするというものである。
【0003】
炭素繊維シート工法で使用する含浸用樹脂としては、従来、2液型エポキシ樹脂系が主に用いられており、1液型エポキシ樹脂系は用いられていない。しかし、2液型エポキシ樹脂系では、樹脂の計量や混合を現場で行わなければならず、作業性に劣るだけでなく、得られる組成物の品質にばらつきが生じ得るという課題もある。また、一定の混合比で樹脂を混合しなければならないため、少なくとも一方の樹脂が余ってしまい、原材料の無駄が生じるという課題もある。また、2液を混合してからその混合液が硬化するまでの時間(ポットライフ)を考慮すると、2液の混合は少量ずつ行わなければならないという課題もある。また、混合液をコンクリート表面に塗布してから繊維シートを貼付するという工程を経るため、混合液の塗布及び繊維シートの貼付にあたり、作業者ごとに技量の差が生じ得るという課題もある。また、作業終了後において、2液を混合した容器を洗浄したり、2液が入っていた空き缶を廃棄したりしなければならず、混合後の容器の洗浄等、作業面での煩わしさを伴うという課題もある。
【0004】
上記の課題を解決するため、従来の2液エポキシ樹脂系複合材料と同等の補強効果を持ち、さらに、作業性が良好で、作業環境、資源消費の点で優れる1液エポキシ樹脂系複合材料による建築物補強方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によると、主剤と硬化剤との混合作業がなくなるため、従来の方法に比べ、作業性に優れるとともに、材料の無駄が生じないため、資源消費の点においても優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−131823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この方法によっても、コンクリート表面に1液エポキシ樹脂組成物を塗布してから繊維シートを貼付しなければならず、混合液の塗布及び繊維シートの貼付にあたり、作業者ごとに技量の差が生じるという課題は依然として残る。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を、繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に、湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シートを積層した繊維強化接着剤シートを提供することで、作業性をいっそう高めるとともに、繊維シートを貼付する過程での作業者ごとの技量の差を解消できるという効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明者らは、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートが、湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている、繊維強化接着剤シート包装体を提供することによっても、上記効果が得られることを見出した。具体的に本発明は以下のものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を、繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に、剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートであって、前記剥離シートは、前記湿気又は紫外線の遮断性を有する繊維強化接着剤シートである。
【0009】
(2)また、本発明は、前記剥離シートの少なくとも一方は、可視光を透過する透明性を有する(1)に記載の繊維強化接着剤シートである。
【0010】
(3)また、本発明は、第1の前記剥離シートと、前記繊維シートと、前記1液型接着剤組成物層と、第2の前記剥離シートとが、順次積層されている(1)又は(2)に記載の繊維強化接着剤シートである。
【0011】
(4)また、本発明は、前記繊維強化接着剤シートの少なくとも1側辺の端面が、前記湿気又は紫外線の遮断性を有するように端面封止処理されている(1)から(3)のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートである。
【0012】
(5)また、本発明は、前記端面封止処理がヒートシール処理又は粘着加工処理である(4)に記載の繊維強化接着剤シートである。
【0013】
(6)また、本発明は、前記繊維強化接着剤シートが所定の幅方向を有する長尺の巻取り体である(1)から(5)のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートである。
【0014】
(7)また、本発明は、(1)から(6)のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートが、前記湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている繊維強化接着剤シート包装体である。
【0015】
(8)また、本発明は、(1)から(6)のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートを用いて建築物を補強する工法であって、前記繊維強化接着剤シートの一方の前記剥離シートを剥がし、露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、前記湿気又は紫外線により前記繊維強化接着剤層を硬化させる建築物補強工法である。
【0016】
(9)また、本発明は、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートが、湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている、繊維強化接着剤シート包装体である。
【0017】
(10)また、本発明は、(9)に記載の繊維強化接着剤シート包装体から繊維強化接着剤シートを取り出し、この繊維強化接着剤シートを用いて建築物を補強する工法であって、前記繊維強化接着剤シートの一方の前記剥離シートを剥がし、露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、前記湿気又は紫外線により前記繊維強化接着剤層を硬化させる建築物補強工法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、繊維強化接着剤シートの一方の剥離シートを剥がし、露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、湿気又は紫外線により繊維強化接着剤層を硬化させるだけで繊維強化接着剤シートを被補強体の補強面に貼り付け、建築物を補強できる。そのため、繊維強化接着剤シートを極めて簡便に被補強体に貼り付けることができるとともに、作業者の技量によって生じ得る品質の差を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図2】上記繊維強化接着剤シートの一形態として、上記繊維強化接着剤シートが所定の幅方向を有する長尺の巻取り体であることを示す図である。
【図3】被補強体がコンクリートである場合の上記繊維強化接着剤シートを用いた建築物の補強工法を示す図である。
【図4】被補強体が木材である場合の上記繊維強化接着剤シートを用いた建築物の補強工法を示す図である。
【図5】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図6】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図7】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図8】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図9】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図10】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る繊維強化接着剤シート包装体を示す概略図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る繊維強化接着剤シート包装体に収容されている繊維強化接着剤シートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0021】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シートは、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を、繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に剥離シートが積層されたものであり、この剥離シートは、湿気又は紫外線の遮断性を有する。
【0022】
本発明の第1実施形態では、被補強体の補強面に接着剤組成物を塗布する工程を省略して補強面に繊維シートを貼付できるようにするために、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シートを積層したことに特徴がある。以下、本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シートについて、具体的に説明する。
【0023】
[繊維強化接着剤シート1]
図1は、本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シート1の概略断面図である。繊維強化接着剤シート1には、第1の剥離シート2と、繊維シート3と、この繊維シート3に、湿気又は紫外線により硬化する接着剤組成物を含浸又は積層させた繊維強化接着剤層4と、第2の剥離シート5とが順次積層されている。
【0024】
<第1の剥離シート2>
第1の剥離シート2は、湿気又は紫外線の遮断性を有するものであれば、どのようなものでもよい。湿気の遮断性を有するものとして、例えば、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、アルミニウム箔、ナイロン多層フィルム、透明蒸着フィルム等が挙げられる。紫外線の遮断性を有するものとして、上記のアルミニウム箔やアルミ蒸着フィルムの他、従来公知の紫外線吸収剤を含有したフィルム等が例示できる。第1の剥離シート2が湿気の遮断性、紫外線の遮断性のいずれも有していない場合、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付ける前に接着剤組成物が硬化してしまい、繊維強化接着剤シート1を上記補強面に貼り付ける性能が劣る可能性がある点で好ましくない。また、本発明の第1実施形態に係る剥離シートにおいては、剥離面に従来公知のシリコーン系、フッ素系等の剥離処理が施されていてもよい。
【0025】
第1の剥離シート2の厚さの下限は、5μm以上であることが好ましい。厚さが5μm未満であると、湿気又は紫外線の遮断性が有効に機能しない可能性がある点で好ましくない。第1の剥離シート2の厚さの上限は特に制限されないが、繊維強化接着剤シート1を、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体にする場合、上限は1000μm未満であることが好ましい。
【0026】
<繊維シート3>
繊維シート3は、繊維シート接着工法で用いる物として使用されているものであればどのようなものであってもよく、例えば、炭素繊維シート、アラミド繊維シート、ガラス繊維シート等が知られている。繊維シート3の厚さの下限は、10μm以上であることが好ましい。厚さが10μm未満であると、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付けても被補強体が有効に補強されない可能性がある点で好ましくない。繊維シート3の厚さの上限は特に制限されないが、繊維強化接着剤シート1を、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体にする場合、上限は3000μm未満であることが好ましい。
【0027】
<繊維強化接着剤層4>
繊維強化接着剤層4は、接着剤組成物を繊維シート3に含浸又は積層させることによって生じる層である。図1の繊維強化接着剤層4は、上記接着剤組成物を繊維シート3に積層させた場合のものを示しているが、これに限るものではなく、上記接着剤組成物を繊維シート3に含浸させていてもよい。
【0028】
第1の剥離シート2が湿気の遮断性を有するものである場合、接着剤組成物は、湿気により硬化する1液型であることを要する。第1の剥離シート2が紫外線の遮断性を有するものである場合、接着剤組成物は、紫外線により硬化する1液型であることを要する。接着剤組成物が湿気又は紫外線によって硬化するものでない場合、第2の剥離シートを剥がすことによって露出する繊維強化接着剤層4を被補強体の補強面に貼り付けたとしても、その後に接着剤組成物が硬化せず、繊維シート3を被補強体に有効に接着できない可能性がある点で好ましくない。また、接着剤組成物が1液型でない場合、そもそも繊維強化接着剤シート1として形成できない点で好ましくない。
【0029】
湿気により硬化する1液型の接着剤組成物としては特に限定されないが、例えば、上記の特許文献1に記載されているようなエポキシ系接着剤組成物、WO2010/086924号国際公開パンフレットに記載のイソシアネート基を有するウレタンポリマーからなるウレタン系接着剤組成物が例示できる。
【0030】
紫外線により硬化する1液型の接着剤組成物としては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等の紫外線重合性のアクリル系樹脂と、光重合開始剤と、を含有する組成物が例示できる。
【0031】
接着剤組成物の粘度は、塗布性や流動性、繊維シートへの含浸性の観点から、好ましくは5から500Pa・s(23℃)程度である。
【0032】
繊維強化接着剤層4の厚さの下限は、10μm以上であることが好ましい。厚さが10μm未満であると、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付けても有効に接着できない可能性がある点で好ましくない。繊維シート3の厚さの上限は特に制限されないが、繊維強化接着剤シート1を、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体にする場合、上限は3000μm未満であることが好ましい。
【0033】
<第2の剥離シート5>
第2の剥離シート5は、第1の剥離シート2と同じ性質を有することを要する。つまり、第1の剥離シート2が湿気の遮断性を有するものであれば、第2の剥離シート5も湿気の遮断性を有することを要し、第1の剥離シート2が紫外線の遮断性を有するものであれば、第2の剥離シート5も紫外線の遮断性を有することを要する。第2の剥離シート5が湿気の遮断性、紫外線の遮断性のいずれも有していない場合、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付ける前に接着剤組成物が硬化してしまい、繊維強化接着剤シート1を上記補強面に貼り付ける性能が劣る可能性がある点で好ましくない。
【0034】
第1の剥離シート2と第2の剥離シート5とは、同じものであっても異なるものであってもよいが、貼り付けた後の外側からの圧締作業が容易である、接着剤の広がり具合確認が容易である、あるいは接着剤硬化度合いの確認が容易であるなどの点で、少なくとも一方は、可視光を透過する透明性を有することが好ましい。
【0035】
第2の剥離シート5の厚さについては、第1の剥離シートと同様である。すなわち、第2の剥離シート5の厚さの下限は、5μm以上であることが好ましい。厚さが5μm未満であると、湿気又は紫外線の遮断性が有効に機能しない可能性がある点で好ましくない。第2の剥離シート5の厚さの上限は特に制限されないが、繊維強化接着剤シート1を、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体にする場合、上限は1000μm未満であることが好ましい。
【0036】
図2は、繊維強化接着剤シート1の一形態を示す。繊維強化接着剤シート1の形態はどのようなものであってもよいが、被補強体の補強面の形状にあわせて自在に加工できるとともに、持ち運びに優れることから、繊維強化接着剤シート1は、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体であることが好ましい。幅方向の長さは特に限定されるものではないが、被補強体の種類に合わせることが好ましい。例えば、被補強体が木材等の住宅の柱等の補強の用途で繊維強化接着剤シート1を用いる場合、住宅の柱の幅が150mm程度であることを踏まえると、繊維強化接着剤シート1の幅方向の長さは100から200mm程度が好ましい。また、被補強体が住宅等の基礎コンクリートの補強の用途で繊維強化接着剤シート1を用いる場合にはそれより広く、200mmから500mm程度にしてもよい。
【0037】
また、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付ける前に接着剤組成物が硬化することを防ぐため、接着剤組成物が湿気の遮断性を有する場合、繊維強化接着剤シート1の少なくとも1側辺の端面1aは、湿気の遮断性を有するように端面封止処理されていることが好ましい。同様に、接着剤組成物が紫外線の遮断性を有する場合、繊維強化接着剤シート1の少なくとも1側辺の端面1aは、紫外線の遮断性を有するように端面封止処理されていることが好ましい。端面封止処理は、従来知られている方法であればよく、例えば、ヒートシール処理又は粘着加工処理が知られている。
【0038】
また、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付ける前に接着剤組成物が硬化することを防ぐため、接着剤組成物が湿気硬化性を有する場合、繊維強化接着剤シート1は、湿気の遮断性を有する外装容器内に密封収容されていることが好ましい。同様に、接着剤組成物が紫外線硬化性を有する場合、繊維強化接着剤シート1は、紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されていることが好ましい。密封容器は樹脂等の成型品であってもよいが、ハンドリングや廃棄性の観点から、上記のアルミニウム箔やアルミ蒸着フィルムを含む、ヒートシールや粘着による密封可能な包装袋が例示できる。
【0039】
[建築物の補強工法]
続いて、本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シート1を用いて建築物を補強する工法について説明する。
【0040】
図3は、被補強体が住宅の基礎コンクリート10である場合の繊維強化接着剤シート1を用いた建築物の補強工法を示す図である。まず、作業者は、繊維強化接着剤シート1の第2の剥離シート5を剥がす(図3(a))。このとき、繊維シート3が繊維強化接着剤層4と別層になっていることで、第2の剥離シート5上には繊維シート3が配置されている。これにより、繊維シート3が離型層の役割をして、第2の剥離シート5を容易に剥離することができる。続いて、作業者は、第2の剥離シート5を剥がすことによって露出した繊維強化接着剤層4を、基礎コンクリート10の補強面に貼り付けて、ローラ11を用いて第1の剥離シート2の表面から圧締する(図3(b))。このとき、第1の剥離シート2は外側から圧締作業を容易にするために、透明フィルムであることが好ましい。そして、この圧締作業によって、繊維強化接着剤層4が繊維シート3内に含浸する。続いて、作業者は、第1の剥離シート2を剥がし(図3(c))、湿気又は紫外線により繊維強化接着剤層4を硬化させる(図3(d))。なお、この硬化によって、第1の剥離シート2を容易に剥がすことができる。
【0041】
本発明によれば、被補強体の補強面に接着剤組成物を塗布する工程を省略して補強面に繊維シートを貼付できるため、繊維強化接着剤シートを極めて簡便に被補強体に貼り付けることができるとともに、作業者の技量によって生じ得る品質の差を抑えることができる。
【0042】
また、図3は、被補強体が住宅の基礎コンクリート10である場合について説明しているが、これに限るものではなく、被補強体が木材でできた柱12であっても、補強面に繊維シートを自在に貼付できる(図4)。また、図示は省略するが、被補強体は、住宅に限るものではなく、コンクリート又は木材であれば、電柱、橋脚等、幅広い用途に用いることができる。
【0043】
また、第1実施形態では、繊維強化接着剤層4を繊維シート3内に含浸させた後、第1の剥離シート2を剥がして繊維強化接着剤層4を硬化させることについて説明したが、1液型接着剤組成物が湿気硬化型のものである場合は、繊維強化接着剤層4を硬化させた後に第1の剥離シート2を剥がしてもよい。第1の剥離シート2は湿気の遮断性を有するが、被着材であるコンクリートや木材に十分湿気があるため、繊維強化接着剤層4の表面に第1の剥離シート2があっても1液型接着剤組成物が硬化するためである。繊維強化接着剤層4を硬化させた後に第1の剥離シート2を剥がすことで、第1の剥離シート2を剥がす際に、1液型接着剤組成物が剥離シートに転写するのを防止できるという利点が得られる。
【0044】
[第1実施形態の変形例]
第1実施形態に係る繊維強化接着剤シート1は、繊維シート3に含浸又は積層させた繊維強化接着剤層4の両面に、湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シート2,5が積層されている。ところで、第1実施形態に係る発明の本質は、繊維強化接着剤シート1の使用前において繊維強化接着剤層4に対して湿気又は紫外線を遮断することにあるため、第1実施形態において、湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シート2,5が繊維強化接着剤層4に接している必要はない。当業者であれば、繊維強化接着剤層4の表面及び裏面の両方のいずれかの層に湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シート2,5があれば第1実施形態に係る発明の範囲に含まれることは明らかである。
【0045】
第1実施形態に係る発明の範囲に含まれる繊維強化接着剤シート1の例として、図5〜図10に示される物が挙げられる。図5〜図10において、符号6は剥離シートを示す。この剥離シート6は、剥離シート2,5とは異なり、湿気又は紫外線の遮断性を有している必要はない。剥離シート6は、湿気又は紫外線の遮断性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0046】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、繊維強化接着剤層の両面に積層される剥離シートの材質に着目することで、従来ではなし得なかった繊維強化接着剤シートを提供した。第2実施形態は、繊維強化接着剤シートを収容する繊維強化接着剤シート包装体の材質に着目して、従来ではなし得なかった繊維強化接着剤シートを提供するものである。
【0047】
図11は、本発明の第2実施形態に係る繊維強化接着剤シート包装体20の概略図である。接着剤組成物が湿気硬化性を有する場合、繊維強化接着剤シート包装体20は湿気の遮断性を有していれば足り、接着剤組成物が紫外線硬化性を有する場合、繊維強化接着剤シート包装体20は紫外線の遮断性を有していれば足りるが、ハンドリングや廃棄性の観点から、図11に示すように、アルミニウム箔やアルミ蒸着フィルムを含む、ヒートシールや粘着による密封可能な包装袋であることが好ましい。
【0048】
繊維強化接着剤シート包装体20に収容される繊維強化接着剤シートの状態はどのような状態であってもよい。例えば、複数枚の繊維強化接着剤シートが平積みされた状態で繊維強化接着剤シート包装体20に収容されていてもよいし、図2に示すように、長尺の巻取り体としての繊維強化接着剤シートが複数本繊維強化接着剤シート包装体20に収容されていてもよい。中でも、被補強体の補強面の形状にあわせて自在に加工できるとともに、持ち運びに優れることから、長尺の巻取り体としての繊維強化接着剤シートが複数本繊維強化接着剤シート包装体20に収容されていることが好ましい。第1の実施形態で記載したとおり、被補強体が木材等の住宅の柱等の補強の用途で繊維強化接着剤シートを用いる場合、住宅の柱の幅が150mm程度であることを踏まえると、繊維強化接着剤シートの幅方向の長さは100から200mm程度が好ましい。また、被補強体が住宅等の基礎コンクリートの補強の用途で繊維強化接着剤シートを用いる場合にはそれより広く、200mmから500mm程度にしてもよい。
【0049】
図12は、繊維強化接着剤シート包装体20に収容されている繊維強化接着剤シート21の断面図の一例を示す。繊維強化接着剤層の両面には剥離シート6が積層されている。第2実施形態では、繊維強化接着剤シート包装体が繊維強化接着剤シート21を密封収容することで、繊維強化接着剤層4に対する湿気又は紫外線を遮断することを実現しているため、剥離シート6は、湿気又は紫外線の遮断性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0050】
[建築物の補強工法]
建築物の補強工法は、第1の実施形態と同じ方法で実現できる。すなわち、作業者は、まず、繊維強化接着剤シート21の一方の剥離シートを剥がした後、該一方の剥離シート6を剥がすことによって露出した繊維強化接着剤層を、基礎コンクリートの補強面に貼り付けて、ローラを用いて他方の剥離シートの表面から圧締する。続いて、作業者は、該他方の剥離シートを剥がし、湿気又は紫外線により繊維強化接着剤層を硬化させる。
【0051】
本発明によれば、被補強体の補強面に接着剤組成物を塗布する工程を省略して補強面に繊維シートを貼付できるため、繊維強化接着剤シートを極めて簡便に被補強体に貼り付けることができるとともに、作業者の技量によって生じ得る品質の差を抑えることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 第1実施形態に係る繊維強化接着剤シート
2 第1実施形態に係る第1の剥離シート
3 繊維シート
4 繊維強化接着剤層
5 第1実施形態に係る第2の剥離シート
6 第2実施形態に係る剥離シート
20 繊維強化接着剤シート包装体
21 第2実施形態に係る繊維強化接着剤シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化接着剤シート、繊維強化接着剤シート包装体及び繊維強化接着剤シートを用いた建築物補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物を補強する方法として、繊維シート接着工法が普及しつつある。この工法は、炭素繊維シートにエポキシ樹脂を含浸させ、コンクリート表面に接着させることにより、コンクリートの曲げ補強、剪断補強、靱性補強をするというものである。
【0003】
炭素繊維シート工法で使用する含浸用樹脂としては、従来、2液型エポキシ樹脂系が主に用いられており、1液型エポキシ樹脂系は用いられていない。しかし、2液型エポキシ樹脂系では、樹脂の計量や混合を現場で行わなければならず、作業性に劣るだけでなく、得られる組成物の品質にばらつきが生じ得るという課題もある。また、一定の混合比で樹脂を混合しなければならないため、少なくとも一方の樹脂が余ってしまい、原材料の無駄が生じるという課題もある。また、2液を混合してからその混合液が硬化するまでの時間(ポットライフ)を考慮すると、2液の混合は少量ずつ行わなければならないという課題もある。また、混合液をコンクリート表面に塗布してから繊維シートを貼付するという工程を経るため、混合液の塗布及び繊維シートの貼付にあたり、作業者ごとに技量の差が生じ得るという課題もある。また、作業終了後において、2液を混合した容器を洗浄したり、2液が入っていた空き缶を廃棄したりしなければならず、混合後の容器の洗浄等、作業面での煩わしさを伴うという課題もある。
【0004】
上記の課題を解決するため、従来の2液エポキシ樹脂系複合材料と同等の補強効果を持ち、さらに、作業性が良好で、作業環境、資源消費の点で優れる1液エポキシ樹脂系複合材料による建築物補強方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によると、主剤と硬化剤との混合作業がなくなるため、従来の方法に比べ、作業性に優れるとともに、材料の無駄が生じないため、資源消費の点においても優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−131823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この方法によっても、コンクリート表面に1液エポキシ樹脂組成物を塗布してから繊維シートを貼付しなければならず、混合液の塗布及び繊維シートの貼付にあたり、作業者ごとに技量の差が生じるという課題は依然として残る。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を、繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に、湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シートを積層した繊維強化接着剤シートを提供することで、作業性をいっそう高めるとともに、繊維シートを貼付する過程での作業者ごとの技量の差を解消できるという効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明者らは、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートが、湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている、繊維強化接着剤シート包装体を提供することによっても、上記効果が得られることを見出した。具体的に本発明は以下のものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を、繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に、剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートであって、前記剥離シートは、前記湿気又は紫外線の遮断性を有する繊維強化接着剤シートである。
【0009】
(2)また、本発明は、前記剥離シートの少なくとも一方は、可視光を透過する透明性を有する(1)に記載の繊維強化接着剤シートである。
【0010】
(3)また、本発明は、第1の前記剥離シートと、前記繊維シートと、前記1液型接着剤組成物層と、第2の前記剥離シートとが、順次積層されている(1)又は(2)に記載の繊維強化接着剤シートである。
【0011】
(4)また、本発明は、前記繊維強化接着剤シートの少なくとも1側辺の端面が、前記湿気又は紫外線の遮断性を有するように端面封止処理されている(1)から(3)のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートである。
【0012】
(5)また、本発明は、前記端面封止処理がヒートシール処理又は粘着加工処理である(4)に記載の繊維強化接着剤シートである。
【0013】
(6)また、本発明は、前記繊維強化接着剤シートが所定の幅方向を有する長尺の巻取り体である(1)から(5)のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートである。
【0014】
(7)また、本発明は、(1)から(6)のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートが、前記湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている繊維強化接着剤シート包装体である。
【0015】
(8)また、本発明は、(1)から(6)のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートを用いて建築物を補強する工法であって、前記繊維強化接着剤シートの一方の前記剥離シートを剥がし、露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、前記湿気又は紫外線により前記繊維強化接着剤層を硬化させる建築物補強工法である。
【0016】
(9)また、本発明は、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートが、湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている、繊維強化接着剤シート包装体である。
【0017】
(10)また、本発明は、(9)に記載の繊維強化接着剤シート包装体から繊維強化接着剤シートを取り出し、この繊維強化接着剤シートを用いて建築物を補強する工法であって、前記繊維強化接着剤シートの一方の前記剥離シートを剥がし、露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、前記湿気又は紫外線により前記繊維強化接着剤層を硬化させる建築物補強工法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、繊維強化接着剤シートの一方の剥離シートを剥がし、露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、湿気又は紫外線により繊維強化接着剤層を硬化させるだけで繊維強化接着剤シートを被補強体の補強面に貼り付け、建築物を補強できる。そのため、繊維強化接着剤シートを極めて簡便に被補強体に貼り付けることができるとともに、作業者の技量によって生じ得る品質の差を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図2】上記繊維強化接着剤シートの一形態として、上記繊維強化接着剤シートが所定の幅方向を有する長尺の巻取り体であることを示す図である。
【図3】被補強体がコンクリートである場合の上記繊維強化接着剤シートを用いた建築物の補強工法を示す図である。
【図4】被補強体が木材である場合の上記繊維強化接着剤シートを用いた建築物の補強工法を示す図である。
【図5】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図6】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図7】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図8】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図9】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図10】第1実施形態の変形例に係る繊維強化接着剤シートを示す断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る繊維強化接着剤シート包装体を示す概略図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る繊維強化接着剤シート包装体に収容されている繊維強化接着剤シートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0021】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シートは、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を、繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に剥離シートが積層されたものであり、この剥離シートは、湿気又は紫外線の遮断性を有する。
【0022】
本発明の第1実施形態では、被補強体の補強面に接着剤組成物を塗布する工程を省略して補強面に繊維シートを貼付できるようにするために、湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シートを積層したことに特徴がある。以下、本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シートについて、具体的に説明する。
【0023】
[繊維強化接着剤シート1]
図1は、本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シート1の概略断面図である。繊維強化接着剤シート1には、第1の剥離シート2と、繊維シート3と、この繊維シート3に、湿気又は紫外線により硬化する接着剤組成物を含浸又は積層させた繊維強化接着剤層4と、第2の剥離シート5とが順次積層されている。
【0024】
<第1の剥離シート2>
第1の剥離シート2は、湿気又は紫外線の遮断性を有するものであれば、どのようなものでもよい。湿気の遮断性を有するものとして、例えば、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、アルミニウム箔、ナイロン多層フィルム、透明蒸着フィルム等が挙げられる。紫外線の遮断性を有するものとして、上記のアルミニウム箔やアルミ蒸着フィルムの他、従来公知の紫外線吸収剤を含有したフィルム等が例示できる。第1の剥離シート2が湿気の遮断性、紫外線の遮断性のいずれも有していない場合、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付ける前に接着剤組成物が硬化してしまい、繊維強化接着剤シート1を上記補強面に貼り付ける性能が劣る可能性がある点で好ましくない。また、本発明の第1実施形態に係る剥離シートにおいては、剥離面に従来公知のシリコーン系、フッ素系等の剥離処理が施されていてもよい。
【0025】
第1の剥離シート2の厚さの下限は、5μm以上であることが好ましい。厚さが5μm未満であると、湿気又は紫外線の遮断性が有効に機能しない可能性がある点で好ましくない。第1の剥離シート2の厚さの上限は特に制限されないが、繊維強化接着剤シート1を、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体にする場合、上限は1000μm未満であることが好ましい。
【0026】
<繊維シート3>
繊維シート3は、繊維シート接着工法で用いる物として使用されているものであればどのようなものであってもよく、例えば、炭素繊維シート、アラミド繊維シート、ガラス繊維シート等が知られている。繊維シート3の厚さの下限は、10μm以上であることが好ましい。厚さが10μm未満であると、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付けても被補強体が有効に補強されない可能性がある点で好ましくない。繊維シート3の厚さの上限は特に制限されないが、繊維強化接着剤シート1を、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体にする場合、上限は3000μm未満であることが好ましい。
【0027】
<繊維強化接着剤層4>
繊維強化接着剤層4は、接着剤組成物を繊維シート3に含浸又は積層させることによって生じる層である。図1の繊維強化接着剤層4は、上記接着剤組成物を繊維シート3に積層させた場合のものを示しているが、これに限るものではなく、上記接着剤組成物を繊維シート3に含浸させていてもよい。
【0028】
第1の剥離シート2が湿気の遮断性を有するものである場合、接着剤組成物は、湿気により硬化する1液型であることを要する。第1の剥離シート2が紫外線の遮断性を有するものである場合、接着剤組成物は、紫外線により硬化する1液型であることを要する。接着剤組成物が湿気又は紫外線によって硬化するものでない場合、第2の剥離シートを剥がすことによって露出する繊維強化接着剤層4を被補強体の補強面に貼り付けたとしても、その後に接着剤組成物が硬化せず、繊維シート3を被補強体に有効に接着できない可能性がある点で好ましくない。また、接着剤組成物が1液型でない場合、そもそも繊維強化接着剤シート1として形成できない点で好ましくない。
【0029】
湿気により硬化する1液型の接着剤組成物としては特に限定されないが、例えば、上記の特許文献1に記載されているようなエポキシ系接着剤組成物、WO2010/086924号国際公開パンフレットに記載のイソシアネート基を有するウレタンポリマーからなるウレタン系接着剤組成物が例示できる。
【0030】
紫外線により硬化する1液型の接着剤組成物としては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等の紫外線重合性のアクリル系樹脂と、光重合開始剤と、を含有する組成物が例示できる。
【0031】
接着剤組成物の粘度は、塗布性や流動性、繊維シートへの含浸性の観点から、好ましくは5から500Pa・s(23℃)程度である。
【0032】
繊維強化接着剤層4の厚さの下限は、10μm以上であることが好ましい。厚さが10μm未満であると、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付けても有効に接着できない可能性がある点で好ましくない。繊維シート3の厚さの上限は特に制限されないが、繊維強化接着剤シート1を、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体にする場合、上限は3000μm未満であることが好ましい。
【0033】
<第2の剥離シート5>
第2の剥離シート5は、第1の剥離シート2と同じ性質を有することを要する。つまり、第1の剥離シート2が湿気の遮断性を有するものであれば、第2の剥離シート5も湿気の遮断性を有することを要し、第1の剥離シート2が紫外線の遮断性を有するものであれば、第2の剥離シート5も紫外線の遮断性を有することを要する。第2の剥離シート5が湿気の遮断性、紫外線の遮断性のいずれも有していない場合、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付ける前に接着剤組成物が硬化してしまい、繊維強化接着剤シート1を上記補強面に貼り付ける性能が劣る可能性がある点で好ましくない。
【0034】
第1の剥離シート2と第2の剥離シート5とは、同じものであっても異なるものであってもよいが、貼り付けた後の外側からの圧締作業が容易である、接着剤の広がり具合確認が容易である、あるいは接着剤硬化度合いの確認が容易であるなどの点で、少なくとも一方は、可視光を透過する透明性を有することが好ましい。
【0035】
第2の剥離シート5の厚さについては、第1の剥離シートと同様である。すなわち、第2の剥離シート5の厚さの下限は、5μm以上であることが好ましい。厚さが5μm未満であると、湿気又は紫外線の遮断性が有効に機能しない可能性がある点で好ましくない。第2の剥離シート5の厚さの上限は特に制限されないが、繊維強化接着剤シート1を、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体にする場合、上限は1000μm未満であることが好ましい。
【0036】
図2は、繊維強化接着剤シート1の一形態を示す。繊維強化接着剤シート1の形態はどのようなものであってもよいが、被補強体の補強面の形状にあわせて自在に加工できるとともに、持ち運びに優れることから、繊維強化接着剤シート1は、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体であることが好ましい。幅方向の長さは特に限定されるものではないが、被補強体の種類に合わせることが好ましい。例えば、被補強体が木材等の住宅の柱等の補強の用途で繊維強化接着剤シート1を用いる場合、住宅の柱の幅が150mm程度であることを踏まえると、繊維強化接着剤シート1の幅方向の長さは100から200mm程度が好ましい。また、被補強体が住宅等の基礎コンクリートの補強の用途で繊維強化接着剤シート1を用いる場合にはそれより広く、200mmから500mm程度にしてもよい。
【0037】
また、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付ける前に接着剤組成物が硬化することを防ぐため、接着剤組成物が湿気の遮断性を有する場合、繊維強化接着剤シート1の少なくとも1側辺の端面1aは、湿気の遮断性を有するように端面封止処理されていることが好ましい。同様に、接着剤組成物が紫外線の遮断性を有する場合、繊維強化接着剤シート1の少なくとも1側辺の端面1aは、紫外線の遮断性を有するように端面封止処理されていることが好ましい。端面封止処理は、従来知られている方法であればよく、例えば、ヒートシール処理又は粘着加工処理が知られている。
【0038】
また、繊維強化接着剤シート1を被補強体の補強面に貼り付ける前に接着剤組成物が硬化することを防ぐため、接着剤組成物が湿気硬化性を有する場合、繊維強化接着剤シート1は、湿気の遮断性を有する外装容器内に密封収容されていることが好ましい。同様に、接着剤組成物が紫外線硬化性を有する場合、繊維強化接着剤シート1は、紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されていることが好ましい。密封容器は樹脂等の成型品であってもよいが、ハンドリングや廃棄性の観点から、上記のアルミニウム箔やアルミ蒸着フィルムを含む、ヒートシールや粘着による密封可能な包装袋が例示できる。
【0039】
[建築物の補強工法]
続いて、本発明の第1実施形態に係る繊維強化接着剤シート1を用いて建築物を補強する工法について説明する。
【0040】
図3は、被補強体が住宅の基礎コンクリート10である場合の繊維強化接着剤シート1を用いた建築物の補強工法を示す図である。まず、作業者は、繊維強化接着剤シート1の第2の剥離シート5を剥がす(図3(a))。このとき、繊維シート3が繊維強化接着剤層4と別層になっていることで、第2の剥離シート5上には繊維シート3が配置されている。これにより、繊維シート3が離型層の役割をして、第2の剥離シート5を容易に剥離することができる。続いて、作業者は、第2の剥離シート5を剥がすことによって露出した繊維強化接着剤層4を、基礎コンクリート10の補強面に貼り付けて、ローラ11を用いて第1の剥離シート2の表面から圧締する(図3(b))。このとき、第1の剥離シート2は外側から圧締作業を容易にするために、透明フィルムであることが好ましい。そして、この圧締作業によって、繊維強化接着剤層4が繊維シート3内に含浸する。続いて、作業者は、第1の剥離シート2を剥がし(図3(c))、湿気又は紫外線により繊維強化接着剤層4を硬化させる(図3(d))。なお、この硬化によって、第1の剥離シート2を容易に剥がすことができる。
【0041】
本発明によれば、被補強体の補強面に接着剤組成物を塗布する工程を省略して補強面に繊維シートを貼付できるため、繊維強化接着剤シートを極めて簡便に被補強体に貼り付けることができるとともに、作業者の技量によって生じ得る品質の差を抑えることができる。
【0042】
また、図3は、被補強体が住宅の基礎コンクリート10である場合について説明しているが、これに限るものではなく、被補強体が木材でできた柱12であっても、補強面に繊維シートを自在に貼付できる(図4)。また、図示は省略するが、被補強体は、住宅に限るものではなく、コンクリート又は木材であれば、電柱、橋脚等、幅広い用途に用いることができる。
【0043】
また、第1実施形態では、繊維強化接着剤層4を繊維シート3内に含浸させた後、第1の剥離シート2を剥がして繊維強化接着剤層4を硬化させることについて説明したが、1液型接着剤組成物が湿気硬化型のものである場合は、繊維強化接着剤層4を硬化させた後に第1の剥離シート2を剥がしてもよい。第1の剥離シート2は湿気の遮断性を有するが、被着材であるコンクリートや木材に十分湿気があるため、繊維強化接着剤層4の表面に第1の剥離シート2があっても1液型接着剤組成物が硬化するためである。繊維強化接着剤層4を硬化させた後に第1の剥離シート2を剥がすことで、第1の剥離シート2を剥がす際に、1液型接着剤組成物が剥離シートに転写するのを防止できるという利点が得られる。
【0044】
[第1実施形態の変形例]
第1実施形態に係る繊維強化接着剤シート1は、繊維シート3に含浸又は積層させた繊維強化接着剤層4の両面に、湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シート2,5が積層されている。ところで、第1実施形態に係る発明の本質は、繊維強化接着剤シート1の使用前において繊維強化接着剤層4に対して湿気又は紫外線を遮断することにあるため、第1実施形態において、湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シート2,5が繊維強化接着剤層4に接している必要はない。当業者であれば、繊維強化接着剤層4の表面及び裏面の両方のいずれかの層に湿気又は紫外線の遮断性を有する剥離シート2,5があれば第1実施形態に係る発明の範囲に含まれることは明らかである。
【0045】
第1実施形態に係る発明の範囲に含まれる繊維強化接着剤シート1の例として、図5〜図10に示される物が挙げられる。図5〜図10において、符号6は剥離シートを示す。この剥離シート6は、剥離シート2,5とは異なり、湿気又は紫外線の遮断性を有している必要はない。剥離シート6は、湿気又は紫外線の遮断性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0046】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、繊維強化接着剤層の両面に積層される剥離シートの材質に着目することで、従来ではなし得なかった繊維強化接着剤シートを提供した。第2実施形態は、繊維強化接着剤シートを収容する繊維強化接着剤シート包装体の材質に着目して、従来ではなし得なかった繊維強化接着剤シートを提供するものである。
【0047】
図11は、本発明の第2実施形態に係る繊維強化接着剤シート包装体20の概略図である。接着剤組成物が湿気硬化性を有する場合、繊維強化接着剤シート包装体20は湿気の遮断性を有していれば足り、接着剤組成物が紫外線硬化性を有する場合、繊維強化接着剤シート包装体20は紫外線の遮断性を有していれば足りるが、ハンドリングや廃棄性の観点から、図11に示すように、アルミニウム箔やアルミ蒸着フィルムを含む、ヒートシールや粘着による密封可能な包装袋であることが好ましい。
【0048】
繊維強化接着剤シート包装体20に収容される繊維強化接着剤シートの状態はどのような状態であってもよい。例えば、複数枚の繊維強化接着剤シートが平積みされた状態で繊維強化接着剤シート包装体20に収容されていてもよいし、図2に示すように、長尺の巻取り体としての繊維強化接着剤シートが複数本繊維強化接着剤シート包装体20に収容されていてもよい。中でも、被補強体の補強面の形状にあわせて自在に加工できるとともに、持ち運びに優れることから、長尺の巻取り体としての繊維強化接着剤シートが複数本繊維強化接着剤シート包装体20に収容されていることが好ましい。第1の実施形態で記載したとおり、被補強体が木材等の住宅の柱等の補強の用途で繊維強化接着剤シートを用いる場合、住宅の柱の幅が150mm程度であることを踏まえると、繊維強化接着剤シートの幅方向の長さは100から200mm程度が好ましい。また、被補強体が住宅等の基礎コンクリートの補強の用途で繊維強化接着剤シートを用いる場合にはそれより広く、200mmから500mm程度にしてもよい。
【0049】
図12は、繊維強化接着剤シート包装体20に収容されている繊維強化接着剤シート21の断面図の一例を示す。繊維強化接着剤層の両面には剥離シート6が積層されている。第2実施形態では、繊維強化接着剤シート包装体が繊維強化接着剤シート21を密封収容することで、繊維強化接着剤層4に対する湿気又は紫外線を遮断することを実現しているため、剥離シート6は、湿気又は紫外線の遮断性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0050】
[建築物の補強工法]
建築物の補強工法は、第1の実施形態と同じ方法で実現できる。すなわち、作業者は、まず、繊維強化接着剤シート21の一方の剥離シートを剥がした後、該一方の剥離シート6を剥がすことによって露出した繊維強化接着剤層を、基礎コンクリートの補強面に貼り付けて、ローラを用いて他方の剥離シートの表面から圧締する。続いて、作業者は、該他方の剥離シートを剥がし、湿気又は紫外線により繊維強化接着剤層を硬化させる。
【0051】
本発明によれば、被補強体の補強面に接着剤組成物を塗布する工程を省略して補強面に繊維シートを貼付できるため、繊維強化接着剤シートを極めて簡便に被補強体に貼り付けることができるとともに、作業者の技量によって生じ得る品質の差を抑えることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 第1実施形態に係る繊維強化接着剤シート
2 第1実施形態に係る第1の剥離シート
3 繊維シート
4 繊維強化接着剤層
5 第1実施形態に係る第2の剥離シート
6 第2実施形態に係る剥離シート
20 繊維強化接着剤シート包装体
21 第2実施形態に係る繊維強化接着剤シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を、繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に、剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートであって、
前記剥離シートは、前記湿気又は紫外線の遮断性を有する繊維強化接着剤シート。
【請求項2】
前記剥離シートの少なくとも一方は、可視光を透過する透明性を有する請求項1に記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項3】
第1の前記剥離シートと、前記繊維シートと、前記1液型接着剤組成物層と、第2の前記剥離シートとが、順次積層されている請求項1又は2に記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項4】
前記繊維強化接着剤シートの少なくとも1側辺の端面が、前記湿気又は紫外線の遮断性を有するように端面封止処理されている請求項1から3のいずれかに記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項5】
前記端面封止処理がヒートシール処理又は粘着加工処理である請求項4に記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項6】
前記繊維強化接着剤シートは、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体である請求項1から5のいずれかに記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートが、前記湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている繊維強化接着剤シート包装体。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートを用いて建築物を補強する工法であって、
前記繊維強化接着剤シートの一方の前記剥離シートを剥がし、
露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、
前記湿気又は紫外線により前記繊維強化接着剤層を硬化させる建築物補強工法。
【請求項9】
湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートが、湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている、繊維強化接着剤シート包装体。
【請求項10】
請求項9に記載の繊維強化接着剤シート包装体から繊維強化接着剤シートを取り出し、この繊維強化接着剤シートを用いて建築物を補強する工法であって、
前記繊維強化接着剤シートの一方の前記剥離シートを剥がし、
露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、
前記湿気又は紫外線により前記繊維強化接着剤層を硬化させる建築物補強工法。
【請求項1】
湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を、繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に、剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートであって、
前記剥離シートは、前記湿気又は紫外線の遮断性を有する繊維強化接着剤シート。
【請求項2】
前記剥離シートの少なくとも一方は、可視光を透過する透明性を有する請求項1に記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項3】
第1の前記剥離シートと、前記繊維シートと、前記1液型接着剤組成物層と、第2の前記剥離シートとが、順次積層されている請求項1又は2に記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項4】
前記繊維強化接着剤シートの少なくとも1側辺の端面が、前記湿気又は紫外線の遮断性を有するように端面封止処理されている請求項1から3のいずれかに記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項5】
前記端面封止処理がヒートシール処理又は粘着加工処理である請求項4に記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項6】
前記繊維強化接着剤シートは、所定の幅方向を有する長尺の巻取り体である請求項1から5のいずれかに記載の繊維強化接着剤シート。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートが、前記湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている繊維強化接着剤シート包装体。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の繊維強化接着剤シートを用いて建築物を補強する工法であって、
前記繊維強化接着剤シートの一方の前記剥離シートを剥がし、
露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、
前記湿気又は紫外線により前記繊維強化接着剤層を硬化させる建築物補強工法。
【請求項9】
湿気又は紫外線により硬化する1液型接着剤組成物を繊維シートに含浸又は積層させた繊維強化接着剤層の両面に剥離シートが積層されている繊維強化接着剤シートが、湿気又は紫外線の遮断性を有する外装容器内に密封収容されている、繊維強化接着剤シート包装体。
【請求項10】
請求項9に記載の繊維強化接着剤シート包装体から繊維強化接着剤シートを取り出し、この繊維強化接着剤シートを用いて建築物を補強する工法であって、
前記繊維強化接着剤シートの一方の前記剥離シートを剥がし、
露出する前記繊維強化接着剤層を、被補強体の補強面に貼り付けて、他方の剥離シート上から圧締し、
前記湿気又は紫外線により前記繊維強化接着剤層を硬化させる建築物補強工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−49844(P2013−49844A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168174(P2012−168174)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【出願人】(000108111)セメダイン株式会社 (92)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【出願人】(000108111)セメダイン株式会社 (92)
【Fターム(参考)】
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