説明

耕耘作業機

【課題】土寄せ板を容易に機体に着脱でき、土寄せ板の装着時に土寄せ板を倉庫等に取りに行く煩わしさがなく、タイヤ幅が異なる走行機体に耕耘作業機が装着されても、タイヤ跡を埋めることができる耕耘作業機を提供する。
【解決手段】代かき作業機1は、タイヤを有して走行可能な走行機体の後部に装着され、耕耘ロータ13を回転させながら走行機体の前進走行に伴って進行して圃場を耕耘し、耕耘ロータ13を回転自在に支持する機体5に、走行機体のタイヤの通過により圃場表面に形成された凹部に土を寄せる土寄せ板50が設けられる。土寄せ板50は、凹部に土を寄せるときに装着される機体5の土寄せ位置Psと、土寄せ板50を機体5に格納するときに装着される機体5の格納位置Pkに、選択的に着脱可能に装着されるとともに、土寄せ位置において機体幅方向に位置調節可能に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘ロータを回転させながら進行して圃場を耕耘する耕耘作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような耕耘作業機には、例えば、特許文献1に記載されているように、車輪を有して走行可能な走行機体の後部に装着され、耕耘ロータを回転させながら走行機体の前進走行に伴って進行して圃場を耕耘する代かき用の耕耘作業機がある。
【0003】
この耕耘作業機は、耕耘ロータの上部を覆うシールドカバーの後端部に上下方向に回動自在に支持されたエプロン(文献では整地体)と、エプロンの後端部に上下方向に回動自在に接続されたレベラーとを有し、これらエプロン及びレベラーによって圃場の表面が均平にされる。
【0004】
しかしながら、この耕耘作業機は、走行機体が圃場を走行すると、走行機体の車輪によるタイヤ跡が圃場に形成されて土の片寄りが発生し、エプロン及びレベラーによる均平作業が不十分になる場合がある。
【0005】
そこで、この耕耘作業機には、耕耘ロータを回転自在に支持するとともに、駆動力を伝達する伝動ケースの下部に土を寄せる土寄せ板が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−110613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この土寄せ板は、複数のボルトを介して伝動ケースに取り付けられているので、圃場によって土寄せ板が不要となる場合には、複数のボルトを伝動ケースから取り外す必要があり、また土寄せ板を伝動ケースに装着する際には複数のボルトを締結する作業が必要になる。この複数のボルトの着脱作業は、作業者にとって煩わしい。また取り外した土寄せ板は倉庫等に保管されるが、必要時に倉庫等に取りに行くのも煩わしい。
【0008】
また、タイヤ幅が異なる車輪を有する走行機体に耕耘作業機が装着された場合、タイヤ跡が伝動ケースに対してケース幅方向にずれると、土寄せ板によってタイヤ跡を埋めることができなくなる虞が生じる。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、作業者を煩わせることなく土寄せ板を機体に着脱することができ、土寄せ板の装着時に土寄せ板を倉庫等に取りに行く煩わしさがなく、またタイヤ幅が異なる車輪を有する走行機体に耕耘作業機が装着された場合でも、タイヤ跡を埋めることができる耕耘作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するため、本発明は、走行装置(実施の形態におけるタイヤ90a)を有して走行可能な走行機体の後部に装着され、耕耘ロータを回転させながら走行機体の前進走行に伴って進行して圃場を耕耘し、耕耘ロータを回転自在に支持する機体に、走行機体の走行装置の通過により圃場表面に形成された凹部(実施の形態におけるタイヤ跡A)に土を寄せることが可能な土寄せ板が設けられる耕耘作業機(実施の形態における代かき作業機1)であって、土寄せ板は、凹部に土を寄せるときに装着される機体の土寄せ位置と、土寄せ板を機体に格納するときに装着される機体の格納位置に、選択的に着脱可能に装着されるとともに、土寄せ位置において機体の幅方向に位置調節可能に装着されることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
また、本発明の機体の土寄せ位置及び格納位置には、土寄せ板を着脱可能に装着支持する装着受け部(実施の形態におけるスタンド取付け座40、装着受け部45)が設けられ、土寄せ位置に設けられる装着受け部は、機体を支持するスタンドが取り付けられるスタンド取付け座であることを特徴とする(請求項2)。
【0012】
また、本発明のスタンド取付け座は、機体に対して進行方向前側へ突出し、上部に被係合部(実施の形態における係合凹部41a、41'a)が設けられ下部にピンを挿通可能な孔部(実施の形態におけるスタンド側孔部41b、41'b)が設けられて、機体幅方向に並設された一対の支持板を有し、土寄せ板は、土を寄せる板状部と、該板状部の土を寄せる側の面と反対側の面(実施の形態における裏面53d)に支持板を挿入可能な隙間を有して並設された一対の突出板と、一対の突出板の一方側の端部間に架設された係合部(実施の形態における軸部51)と、一対の各突出板の他方側に設けられてピンを挿通可能な通し孔部とを有し、土寄せ板は、係合部が一対の支持板のいずれかの支持板の被係合部に係止されるとともに、土寄せ板の他方側の一対の突出板間に挿入された支持板の孔部と通し孔部とを連通させた状態で、これらの孔部にピンを挿通して、支持板に装着されることを特徴とする(請求項3)。
【0013】
また、本発明のスタンド取付け座は、機体に対して進行方向前側へ突出し、上部に被係合部が設けられ下部にピンを挿通可能な孔部が設けられて、機体幅方向に並設された一対の支持板を有し、土寄せ板は、土を寄せる板状部と、該板状部の土を寄せる側の面と反対側の面に一対の支持板のいずれかに沿って配置される1つの突出板(実施の形態における突出板55)と、該突出板の一方側の端部に設けられた係合部と、突出板の他方側に設けられてピンを挿通可能な通し孔部とを有し、土寄せ板は、突出板が一対の支持板のいずれかの支持板の両側面の一方に沿って配置されて、係合部が支持板の被係合部に係止されるとともに、突出板の他方側の通し孔部と支持板の孔部とを連通させた状態で、これらの孔部にピンを挿通して、支持板に装着されることを特徴とする(請求項4)。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係わる耕耘作業機によれば、上記特徴を有することで、作業者を煩わせることなく土寄せ板を機体に着脱することができ、土寄せ板の装着時に土寄せ板を倉庫等に取りに行く煩わしさがなく、またタイヤ幅が異なるタイヤを有する走行機体に耕耘作業機が装着された場合でも、タイヤ跡を埋めることができる耕耘作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係わる土寄せ板が設けられた代かき作業機の作業機本体の側面図を示す。
【図2】この代かき作業機の平面図を示す。
【図3】土寄せ位置及び格納位置を説明するための代かき作業機の部分平面図を示す。
【図4】土寄せ板を示し、同図(a)は土寄せ板の平面図であり、同図(b)は土寄せ板の一方側の側面図であり、同図(c)は土寄せ板の他方側の側面図であり、同図(d)は土寄せ板の正面図である。
【図5】土寄せ板が土寄せ位置において機体幅方向に位置調節ができることを説明するための代かき作業機の正面側の説明図を示し、同図(a)は土寄せ板が土寄せ位置の外側に装着された場合を示し、同図(b)は土寄せ板が土寄せ位置の内側に装着された場合を示す。
【図6】土寄せ板が土寄せ位置において機体幅方向に位置調節ができることを説明するための代かき作業機の正面側の部分拡大説明図を示し、同図(a)は土寄せ板が土寄せ位置の外側に装着された場合を示し、同図(b)は土寄せ板が土寄せ位置の内側に装着された場合を示す。
【図7】土寄せ板が格納位置に装着された代かき作業機の正面側の説明図を示す。
【図8】土寄せ板の他の実施形態を示し、同図(a)は土寄せ板の平面図であり、同図(b)は土寄せ板の一方側の側面図であり、同図(c)は土寄せ板の正面図である。
【図9】他の実施形態の土寄せ板をスタンド取り付け座に対して機体幅方向に位置調節できることを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。本発明に係る耕耘作業機は、耕耘作業機の一例である代かき作業機について説明し、特に、作業機本体の両側に左右の作業体が折り畳み且つ展開可能に設けられたものを例にして説明する。
【0017】
代かき作業機1は、図1(側面図)及び図2(平面図)に示すように、走行機体90の後部に装着されて走行機体90の前進走行とともに進行して代かき作業を行うものであり、機体前進方向に対して左右方向の中央部に配置された作業機本体2と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた左作業体20L及び右作業体20Rとを備え、作業機本体2、左作業体20L、右作業体20Rによって3分割構造になっている。
【0018】
作業機本体2は、左右方向に延びる主フレーム3を有した機体5の前部に、走行機体90の後部に設けられた図示しない3点リンク連結機構が連結されて、走行機体90の後部に対して昇降可能に装着される。主フレーム3の左右方向の中央部には前方へ突出する入力軸6aを備えたギアボックス6が設けられ、走行機体90のPTO軸からユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介して動力が入力軸6aに伝達されるようになっている。
【0019】
主フレーム3の左右両端部には伝動フレーム(チェーンケース)8及び側部フレーム9が垂設され、伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレーム9の下部間には多数の耕耘爪を取り付けた耕耘ロータ13が回転自在に支持されている。主フレーム3内には伝動機構が設けられ、この伝動機構が伝動フレーム(チェーンケース)8内の伝動機構と連結されて、入力軸6aに伝達された動力がこれらの伝動機構を介して作業機本体2の耕耘ロータ13と左作業体20L、右作業体20Rに設けられた耕耘ロータに伝達されて、作業機本体2の耕耘ロータ13と左作業体20L、右作業体20Rに設けられた耕耘ロータを所定方向に回転させるように構成されている。
【0020】
伝動フレーム(チェーンケース)8と側部フレーム9の上部間には耕耘ロータ13の上部を覆うシールドカバー10が設けられている。このシールドカバー10の後端部には、前端部が上下方向に回動自在に取り付けられて後側が斜め下方へ延びる第1整地板11が取り付けられ、第1整地板11の後端部によって耕土表面が平らに整地される。第1整地板11の後端部には、第2整地板12が上下方向に回動自在に取り付けられ、この第2整地板12によって圃場の耕土表面が平らに整地される。
【0021】
作業機本体2の主フレーム3の両端部には、図1及び図3に示すように、進行方向前側へ延びるブラケット16が設けられている。このブラケット16の先端部にスタンド又は後述する土寄せ板50を取り付けるためのスタンド取付け座40が設けられている。なお、走行機体90が圃場を走行すると、走行機体90のタイヤ90aのタイヤ跡A(図2参照)が圃場に形成されて土の片寄りが発生するが、スタンド取付け座40に土寄せ板50を装着すると、土寄せ板50によって土の片寄りを戻して圃場表面を均平にすることができる。以下、機体5に対するスタンド取付け座40の位置を、「土寄せ位置Ps」と記す。本実施例では、ブラケット16を主フレーム3の両端部に設けているが、これは作業機本体2が装着される走行機体90の大きさを考慮した位置となっており、必ずしも主フレーム3の両端部とは限らない。
【0022】
スタンド取付け座40は、左右方向に所定間隔を有して配置されて前方へ突出するとともに上下方向に延びる一対の支持板41、41'と、これら支持板41、41'の後端部間を繋ぐ基板42とを有して構成されて、正面視において逆U字状に形成されている。一対の支持板41、41'は、略同一形状を有し、側面視において長方形状に形成されている。これらの支持板41、41'の上部には、土寄せ板50の軸部51(係合部)を掛け止するための円弧状の係合凹部41a(被係合部)が設けられている。また、支持板41、41'の各下部には、ピン60を挿通させるためのスタンド側孔部41bが設けられている。
【0023】
また、このスタンド取付け座40よりも上方のシールドカバー10上には、スタンド取付け座40の支持板41、41'と同一形状の装着受け部45が設けられている。この装着受け部45は、係合凹部41aが作業機本体2の左右方向端部側に位置するとともに、一対の支持板41、41'が左右方向に延びるように配置されている。この装着受け部45に土寄せ板50を装着すると、土寄せ板50を代かき作業機1の機体5に格納することができる。以下、機体5に対する装着受け部45の位置を、「格納位置Pk」と記す。これら土寄せ位置Ps及び格納位置Pkに、土寄せ板50が選択的に装着される。土寄せ板50の詳細については後述する。
【0024】
作業機本体2の左右両端部には、シールドカバー10の上方位置に前後方向に延びる軸部14が設けられ、この軸部14を中心として左作業体20L、右作業体20Rが上下方向に回動自在に設けられている。作業機本体2と左作業体20L、右作業体20Rの上部間には軸部14に回動自在に設けられた回動板17を介して電動油圧式の油圧シリンダ15が設けられ、この油圧シリンダ15の伸縮によって、左作業体20L及び右作業体20Rが作業機本体2の上方に折り畳まれる格納位置と、左作業体20L及び右作業体20Rが作業機本体2の側方に展開される展開位置Pt(図2参照)との間を移動する。
【0025】
左作業体20L及び右作業体20Rは、図2に示すように、左右対称の構造であり、左作業体20Lで説明すると、左右両側に側部フレーム22L、23Lが配設され、これらの側部フレーム22L、23Lの下部間には耕耘ロータが回転自在に支持され、側部フレーム22L、23Lの上部間には耕耘ロータの上部を覆うシールドカバー左24Lが設けられている。シールドカバー左24Lの後端部には、第1整地板左が上下方向に回動自在に取り付けられ、第1整地板左の後端部に第2整地板左が上下方向に回動自在に取り付けられている。
【0026】
第1整地板左及び第2整地板左は、左作業体20Lの展開姿勢時に、作業機本体2の第1整地板11(図1参照)及び第2整地板12(図1参照)に接合して回動板17に連動するフック18(図3参照)によって連結され、左作業体20Lの折り畳み姿勢時には、フック18の連結が解除されて第1整地板左及び第2整地板左が作業機本体2の外端部から離反して第1整地板11及び第2整地板12との接合が解除されるようになっている。
【0027】
次に、土寄せ板50について、図3、図4(a)(平面図)、図4(b)(左側面図)、図4(c)(右側面図)、図4(d)(正面図)を参照しながら説明する。土寄せ板50は、土を寄せる板状部53と、板状部53の土を寄せる側の表面と反対側の裏面53dにスタンド取付け座40及び装着受け部45の支持板41、41'を挿入可能な隙間57を有して並設された一対の突出板55、56と、一対の突出板55、56の長手方向一方側の端部間に架設された軸部51と、一対の突出板55、56の長手方向他方側に設けられて前述したピン60を挿通可能な通し孔部58、59とを有してなる。
【0028】
板状部53は、一方側の角部に切り欠き53cが形成されて平面視において略長方形状に形成されている。一対の突出板55、56は板状部53の裏面53dの切り欠き53cが設けられた側と反対側の板状部53の長辺53aに沿って板状部53の一端側から他端側に亘って設けられている。これらの突出板55、56は裏面53dに対して傾斜角度θ(図面では約70°)を有して取り付けられている(図4(d)参照)。一対の突出板55、56の長手方向一端側の上部には、突出板55、56に対して直交する方向に延びる軸部51が挿着されている。このため、軸部51に対して板状部53は傾斜角度α(90°−θ°)を有して傾斜している。従って、軸部51を水平に保持すると、板状部53は傾斜角度αを有して傾く。板状部53の傾斜角度αは、走行機体90の走行速度や土を寄せる機能等を考慮して決定される。
【0029】
突出板55、56の高さは突出板55、56の長手方向に対して軸部51側が高く、軸部51から離反する側が暫時低くなるように形成されている。突出板55、56の軸部51側と反対側には、ピン60を挿通可能な通し孔部58、59が設けられている。
【0030】
これらの通し孔部58、59は、同軸上に配置されているとともに、軸部51を係合凹部41a又は41'aに掛け止した状態でスタンド取付け座40のスタンド側孔部41b、41'bに連通可能な位置に配設されている。このため、一対の突出板55、56間にスタンド取付け座40の支持板41又は支持板41'を挿入し、軸部51を係合凹部41a又は41'aに掛け止した状態で、通し孔部58、59にスタンド側孔部41bを連通させると、これらの孔部58、59、41bにピン60を挿通させることができ、土寄せ板50を支持板41又は支持板41'に保持させることができる。
【0031】
つまり、土寄せ板50は、スタンド取付け座40の一対の支持板41、41'のいずれにも装着することができる。このため、図5(a)に示すように、土寄せ板50をスタンド取付け座40の支持板41'に取り付けると、土寄せ位置Psの外側の位置(外側位置Pso)に土寄せ板50を装着することができる。また、図5(b)に示すように、土寄せ板50をスタンド取付け座40の支持板41に取り付けると、土寄せ位置Psの内側の位置(内側位置Psi)に土寄せ板50を装着することができる。
【0032】
次に、土寄せ板50を土寄せ位置の外側位置Psoに装着する場合について、図6(a)を参照しながら説明する。先ず、土寄せ板50の軸部51をスタンド取付け座40の支持板41'の係合凹部41a(図1参照)に掛け止する。そして、土寄せ板50の軸部51から離れる側を、軸部51を中心としてスタンド取付け座40側へ回動させて、土寄せ板50の一対の突出板55、56間に支持板41'を挿入する。そして、通し孔部58、59とスタンド側孔部41'bを連通状態にする。以下、通し孔部58、59、及びスタンド側孔部41'b(41b)を、まとめて孔部58、59、41'bと記す。そして、これらの孔部58、59、41'b(41b)にピン60を挿通する。従って、土寄せ板50の軸部51側は係合凹部41aに支持され、土寄せ板50の軸部51よりも他方側はピン60を介して支持板41'に保持されて、土寄せ板50がスタンド取付け座40に装着される。
【0033】
次に、土寄せ板50を土寄せ位置Psの内側の位置Psiに装着する場合について、図6(b)を参照しながら説明する。先ず、土寄せ板50の軸部51をスタンド取付け座40の支持板41の係合凹部41aに掛け止する。そして、土寄せ板50の軸部51から離れる側を、軸部51を中心としてスタンド取付け座40側へ回動させて、土寄せ板50の一対の突出板55、56間に支持板41を挿入する。そして、通し孔部58、59とスタンド側孔部41bを連通させ、これらの孔部58、59、41bにピン60を挿通させる。従って、土寄せ板50の軸部51側は係合凹部41aに支持され、土寄せ板50の軸部51よりも他方側はピン60を介して支持板41に保持されて、土寄せ板50がスタンド取付け座40に装着される。
【0034】
このように、土寄せ板50を土寄せ位置Psの外側位置Pso又は内側位置Psiに装着する場合には、土寄せ板50の軸部51を係合凹部41aに掛け止した後に、軸部51を中心として土寄せ板50をスタンド取付け座40側に回動させる操作して、ピン60を挿入するだけでよい。このため、土寄せ板50を土寄せ位置Psに装着する作業は容易であり、この土寄せ板50の取付作業が作業者を煩わせることはない。
【0035】
また、土寄せ板50をスタンド取付け座40の支持板41又は支持板41'のいずれかに取り付けることで、土寄せ板50を土寄せ位置Psに対して機体幅方向の内側位置Psi及又は外側位置Psoに位置調節して取り付けることができる。このため、異なるタイヤ幅を有したタイヤが装着された走行機体90に代かき作業機1を装着する場合、タイヤ幅に応じて土寄せ板50の位置を土寄せ位置Psの内側位置Psi及び外側位置Psoに位置調整することで、タイヤ跡を埋めることができる。
【0036】
次に、土寄せ位置Psの内側位置Psi又は外側位置Psoに装着された土寄せ板50をスタンド取付け座40から取り外す場合について図6(a)及び図6(b)を参照しながら説明する。先ず、ピン60を孔部58、59、41b(41b')から抜脱する。そして、軸部51を中心として土寄せ板50の他方側をスタンド取付け座40から離反する方向に回動させて、支持板41又は支持板41'に対する土寄せ板50の他方側の保持を解き、係合凹部41aから土寄せ板50の軸部51を取り外す。
【0037】
このように、土寄せ板50を土寄せ位置Psの内側位置Psi又は外側位置Psoから取り外す場合には、ピン60を孔部58、59、41b(41b')から抜脱し、軸部51を中心として土寄せ板50をスタンド取付け座40から離反する方向に回動させて、軸部51を係合凹部41aから取り外す操作だけでよい。このため、土寄せ板50を土寄せ位置Psから取り外す作業も容易であり、この土寄せ板50の取り外し作業が作業者を煩わせることもない。
【0038】
また、本発明の代かき作業機1には、図7に示すように、シールドカバー10にスタンド取付け座40の支持板41、41'と同一形状の前述した装着受け部45が設けられている。このため、土寄せ板50を使用しない場合には、この装着受け部45に土寄せ板50を装着して、土寄せ板50を代かき作業機1に格納することができる。なお、土寄せ板50を装着受け部45に装着する場合の操作は、土寄せ板50をスタンド取付け座40に装着する場合と同様なので、その説明は省略する。
【0039】
一方、土寄せ板50を使用する際には、格納位置Pkに装着された土寄せ板50を取り外して土寄せ位置Psに装着すればよいので、土寄せ板50を倉庫等に取りに行く煩わしさを解消することができる。なお、土寄せ板50を装着受け部45から取り外す場合の操作は、土寄せ板50をスタンド取付け座40から取り外す場合と同様なので、その説明は省略する。
【0040】
前述した実施形態では、土寄せ板50が2つの突出板55、56を備えたものを示したが、図8(a)、図8(b)、図8(c)に示すように、土寄せ板70は1つの突出板55を備えてなるものでもよい。この土寄せ板70は前述した土寄せ板50から突出板56を省略したものであり、その他の構成は土寄せ板50と同様であるので、同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
【0041】
突出板55の長手方向一方側の端部に設けられた軸部51は、突出板55の幅方向両側から略同一長さを有して突出する軸部左51a及び軸部右51bを有している。これら軸部左51a及び軸部右51bは、前述したスタンド取付け座40及び装着受け部45の係合凹部41a又は41'a(図1参照)に掛け止可能である。
【0042】
このため、図9に示すように、スタンド取付け座40の一対の支持板41、41'のいずれかの一方の側面に突出板55を沿わせた状態で、土寄せ板50をスタンド取付け座40に装着することができる。つまり、土寄せ板50は、支持板41の外側の側面41aと、支持板41の内側の側面41bと、支持板41'の外側の側面41'aと、支持板41'の内側の側面41'bのいずれかの側面に突出板55を沿わせた状態で、スタンド取付け座40に装着することができる。このため、土寄せ板50を土寄せ位置Psに装着する場合の機体幅方向の位置調節をより細かくすることができる。
【0043】
なお、前述した実施形態では、走行機体90としてタイヤ90aを有して走行可能なものを示したが、タイヤ90aの代わりにクローラ式の走行装置を有した走行機体でもよい。
【0044】
また前述した実施例では、土寄せ位置Psの上方のシールドカバー10上に装着受け部45を設けたが、装着受け部45を設ける位置はこの位置に限るものではなく、代かき作業中に装着受け部45が邪魔をすることがなく、また左作業体20Lや右作業体20Rを折り畳んだ格納位置に移動させても、これらの作業体に装着受け部45が接触する虞がない等の位置であれば、機体のいずれの位置に装着受け部45を設けてもよい。
【0045】
さらに、前述した実施の形態では、左作業体20L、右作業体20Rが作業機本体2に対して折り畳み可能な構造の代かき作業機1を例にしたが、左作業体20L、右作業体20Rを無くし作業機本体2の幅方向端部に延長整地板左、延長整地板右を回動自在に取り付けて構成される代かき作業機でもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 代かき作業機(耕耘作業機)
5 機体
13 耕耘ロータ
40 スタンド取付け座(装着受け部)
41、41' 支持板
41a、41'a 係合凹部(被係合部)
41b、41'b スタンド側孔部(孔部)
41c、41'c、41d、41'd 側面
45 装着受け部
50、70 土寄せ板
51 軸部(係合部)
53 板状部
53d 裏面(面)
55、56 突出板
57 隙間
58、59 通し孔部(弾性体)
60 ピン
90 走行機体
90a タイヤ(走行装置)
A タイヤ跡(凹部)
Pk 格納位置
Ps 土寄せ位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を有して走行可能な走行機体の後部に装着され、耕耘ロータを回転させながら前記走行機体の前進走行に伴って進行して圃場を耕耘し、前記耕耘ロータを回転自在に支持する機体に、前記走行機体の前記走行装置の通過により圃場表面に形成された凹部に土を寄せることが可能な土寄せ板が設けられる耕耘作業機であって、
前記土寄せ板は、前記凹部に土を寄せるときに装着される前記機体の土寄せ位置と、前記土寄せ板を前記機体に格納するときに装着される前記機体の格納位置に、選択的に着脱可能に装着されるとともに、前記土寄せ位置において前記機体の幅方向に位置調節可能に装着されることを特徴とする耕耘作業機。
【請求項2】
前記機体の前記土寄せ位置及び前記格納位置には、前記土寄せ板を着脱可能に装着支持する装着受け部が設けられ、
前記土寄せ位置に設けられる装着受け部は、前記機体を支持するスタンドが取り付けられるスタンド取付け座であることを特徴とする請求項1に記載の耕耘作業機。
【請求項3】
前記スタンド取付け座は、前記機体に対して進行方向前側へ突出し、上部に被係合部が設けられ下部にピンを挿通可能な孔部が設けられて、機体幅方向に並設された一対の支持板を有し、
前記土寄せ板は、土を寄せる板状部と、該板状部の土を寄せる側の面と反対側の面に前記支持板を挿入可能な隙間を有して並設された一対の突出板と、前記一対の突出板の一方側の端部間に架設された係合部と、前記一対の各突出板の他方側に設けられて前記ピンを挿通可能な通し孔部とを有し、
前記土寄せ板は、前記係合部が前記一対の支持板のいずれかの支持板の前記被係合部に係止されるとともに、前記土寄せ板の他方側の一対の突出板間に挿入された前記支持板の前記孔部と前記通し孔部とを連通させた状態で、これらの孔部に前記ピンを挿通して、前記支持板に装着されることを特徴とする請求項2に記載の耕耘作業機。
【請求項4】
前記スタンド取付け座は、前記機体に対して進行方向前側へ突出し、上部に被係合部が設けられ下部にピンを挿通可能な孔部が設けられて、機体幅方向に並設された一対の支持板を有し、
前記土寄せ板は、土を寄せる板状部と、該板状部の土を寄せる側の面と反対側の面に前記一対の支持板のいずれかに沿って配置される1つの突出板と、該突出板の一方側の端部に設けられた係合部と、前記突出板の他方側に設けられて前記ピンを挿通可能な通し孔部とを有し、
前記土寄せ板は、前記突出板が前記一対の支持板のいずれかの支持板の両側面の一方に沿って配置されて、前記係合部が前記支持板の前記被係合部に係止されるとともに、前記突出板の他方側の通し孔部と前記支持板の前記孔部とを連通させた状態で、これらの孔部に前記ピンを挿通して、前記支持板に装着されることを特徴とする請求項2に記載の耕耘作業機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−39089(P2013−39089A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179034(P2011−179034)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】