説明

耕耘機

【課題】歩行用耕耘機において畔際から耕耘できるようにする。
【解決手段】エンジン8搭載用のエンジン取付板8aの後部をミッションケース部2aの上部に固着し、エンジン取付板8aから一体的に前方に延出している左右カバー保持具8b,8bの下部を耕耘ケース部2bに固着すると共に、左右カバー保持具8b,8bの前端部に前記耕耘カバー7の前端部を固着する。前部カバー部7bの左右中央部に開口部7dを構成し、フロントホイール10支持用のホイールアーム9の取付部を前部カバー部7bに内装して上下回動自在に取り付け、ホイールアーム9を前部耕耘カバー7bの開口部7dを通して上方へ突出回動可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘機の耕耘装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
耕耘機において、機体上部にエンジンを搭載し、機体下部に車輪駆動用の駆動ケースを連設し、駆動ケースには後方へ下り傾斜状にミッションケースを設け、ミッションケースの上部より前方へ下り傾斜状にロータリケースを一体的に形成し、ロータリケースの下部に耕耘装置を設け、ロータリケースの左右両側に設けた左右一対の板体に、ロータリカバーを取り付けたものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−226370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術では、ロータリケースの上部に車輪支持アームを回動自在に軸支し、この車輪支持アームの下端部に前輪を取り付け、この前輪を上下回動すると、耕耘装置の前方に突出した状態でしか前輪を昇降させることができず、前輪が邪魔になり耕耘装置を畔際まで接近させることができないという不具合があった。そこで、この発明はこのような不具合を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、伝動装置を内装するミッションケース部(2a)と、ミッションケース部(2a)の上部から前側斜め下方に延出している耕耘ケース部(2b)により、耕耘機(1)の機体部(2)を側面視への字状に一体構成し、前記ミッションケース部(2a)の下部には左右車輪(4,4)を軸架し、前記耕耘ケース部(2b)の下部に耕耘装置(6)を設け、前記耕耘装置(6)を被覆する耕耘カバー(7)の後部カバー部(7a)を耕耘装置(6)の外周部に接近するように低く構成し、前部カバー部(7b)を耕耘装置(6)の外周部から遠ざかるように高く構成し、前部カバー部(7b)の前側端部を垂直面(7c)にして耕耘装置(6)の前端部上方を覆うように構成し、前記後部カバー部(7a)の左右後部をミッションケース部(2a)の左右後部取付部(2c,2c)に固着し、エンジン(8)搭載用のエンジン取付板(8a)の後部を前記ミッションケース部(2a)の上部に固着し、前記エンジン取付板(8a)から前方に左右カバー保持具(8b,8b)を延出し、該左右カバー保持具(8b,8b)の下部を前記耕耘ケース部2bに固着し、左右カバー保持具(8b,8b)の前端部に前記耕耘カバー(7)の前端部を固着し、前記前部カバー部(7b)の左右中央部に開口部(7d)を設け、前記前部カバー部(7b)に内装した取付部材によりフロントホイール(10)支持用のホイールアーム(9)を上下回動自在に取り付け、前記ホイールアーム(9)を前部耕耘カバー(7b)の開口部(7d)を通して上方へ突出回動可能に構成したことを特徴とする耕耘機とする。
【0005】
前記構成によると、エンジン(8)搭載用のエンジン取付板(8a)の後部は、耕耘ケース部(2b)と一体構成のミッションケース部(2a)の上部に固着され、また、エンジン取付板(8a)から前方に延出している左右カバー保持具(8b,8b)の下部は耕耘ケース部2bに固着され、左右カバー保持具(8b,8b)の前端部に耕耘カバー(7)の前端部が支持され、前部カバー部(7b)に内装した支持部材によりフロントホイール(10)支持用のホイールアーム(9)が上下回動自在に支持され、ホイールアーム(9)を前部耕耘カバー(7b)の開口部(7d)を通して上方へ突出するようして回動することができる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明は、耕耘カバー(7)の前部カバー部(7b)の上方部位までフロントホイール(10)を回動することができるので、耕耘装置(6)の前端部を畔際まで接近させ未耕地の発生を抑制しながら耕耘作業をすることができる。また、耕耘カバー(7)の前部カバー部(7b)を上側に膨出させることにより、耕耘カバー(7)の強度アップを図りながらフロントホイール(10)の取付部を内装することができ、耕耘カバー(7)前部のデザインを良好なものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下図面に基づきこの発明の実施の形態について説明する。
図1にはこの発明を具備する耕耘機の全体側面図、図2にはその全体平面図、図3には要部の側面図、図4には要部の平面図が図示されている。耕耘機1の機体2部分を、ミッションケース部2aと、ミッションケース部2aの上部から前側斜め下方に延出している耕耘ケース部2aとにより、側面視への字状に一体構成している。そして、ミッションケース部2aの下端部には左右車軸3,3を軸架して左右車輪4,4を取り付け、耕耘ケース部2bの下端部にはセンタードライブ型の耕耘装置6を設け、耕耘カバー7により被覆している。また、ミッションケース部2bの後部にはハンドルフレーム21を取り付け、ハンドルフレーム21にハンドル5を上下調節自在に取り付けている。
【0008】
前記耕耘カバー7は、後部カバー部7aを耕耘装置6の後部外周部に接近するように下方に配設し、後部カバー部7aの前側端部に前部カバー部7bの後側端部を膨出するように耕耘装置6の前部外周部から間隔部を設けるように上方に離して配設する構成とし、前部カバー部7bの最前側端部を垂直面7cに構成して耕耘装置6の前端部上方を覆うようにし、左右両側端から左右サイドカバーを垂設している。
【0009】
また、ミッションケース部2aの前側下部から左右後部取付部2c,2cを左右両側に向けて延出し、また、ミッションケース部2aの上部前側部から上方へ突出し且つ前側に延出するようにエンジン取付板8aを設け、このエンジン取付板8aの後部左右両側部をボルト・ナット2eによりミッションケース部2aの上部に取り付けている。また、エンジン取付板8aの前部中央部から一体的に左右カバー保持具8b,8bを前方に延出している。
【0010】
そして、左右後部取付部2c,2cには耕耘カバー7の後部カバー部7aをボルト・ナットで固着し、エンジン取付板8aから前側に延出している左右カバー保持具8b,8bの下部を耕耘ケース部2bに固着すると共に、その前側部には耕耘カバー7の前部カバー部7bをボルト・ナットで固着し、エンジン取付板8aの後部をミッションケース部2aにボルト・ナット2eで固着し、エンジン取付板8aにエンジン8を載置しボルト・ナットで固着している。
【0011】
前記構成によると、エンジン8を搭載したエンジン取付板8aの後部をミッションケース部2aの上部に取り付け、エンジン取付板8aの前部に連結した左右カバー保持具8b,8bを耕耘カバー7の前側部に取り付けるので、構成を簡単化し軽量にしながら、部品の組立てを楽にすることができる。
【0012】
また、図3及び図4に示すように、耕耘カバー7における左右前部カバー部7b,7bの前端部中央寄りには中央開口部7dを構成し、左右前部カバー部7b,7bの内側部に位置している前記左右カバー保持具8b,8bにまたがるように左右方向のピン9aを軸支し、このピン9aを左側に延出している。そして、ピン9aの右側端部にホイールアーム9の上端部をピンにより一体的に固着し、ホイールアーム9の下端部にフロントホイール10を支持し、ピン9aの右側端部に従動側作動板9bを固着している。
【0013】
また、ピン9aの左側部には駆動側作動板11aを回動自在に軸支し、この駆動側作動板11aの孔と従動側作動板9bの円弧方向に沿うように複数の調節孔9c,…とを抜き差し自在の連結ピン13により連結するように構成している。そして、この駆動側作動板11aの先端部にホイール操作ロッド11の前端をピン連結し、ホイール操作ロッド11の後端部をハンドル5に向けて後方に延出し、押し引き操作可能に構成している。
【0014】
前記構成によると、ハンドル5の操作位置にいながらホイール操作ロッド11を押し引き操作することにより、フロントホイール10を容易に上下回動調節することができる。また、ホイール操作ロッド11による押し引き操作でフロントホイール10を上下回動するので、押し引きワイヤ等によるものと比較して安価に構成でき、飛散した泥による作動不良を回避し耐久性を高めることができる。
【0015】
また、図1、図2に示すように、ホイール操作ロッド11を後上り状に配設し、ホイール操作ロッド11の中途部を、エンジン8からミッションケース部2aに動力を伝達するベルト伝動装置16、これを被覆するベルトカバー17に対して所定間隔のすき間を介在させて左側外側に位置するように配設している。そして、エンジン8の右側には始動用のリコイルスタータ18を設け、リコイルスタータ18の操作ノブを後方に向けて引っ張り操作するように構成している。
【0016】
前記構成によると、リコイルスタータ18の操作時にホイール操作ロッド11が邪魔にならず、エンジン8の始動操作を容易にすることができる。また、ホイール操作ロッド11を後上り状にしたので、オペレータは腰をかがめずに、楽な姿勢で操作することができる。また、ホイール操作ロッド11の前側端部を耕耘カバー7の上方位置で従動側作動板9b及び駆動側作動板11aを介してフロントホイール10支持用のホイールアーム9に連係しているので、飛散した泥による連係部への悪影響を回避し、耐久性を高め円滑に操作することができる。
【0017】
また、従動側作動板9bの円弧方向に沿う複数の調節孔9c1,9c2,9c3の中で、フロントホイール10を最も耕耘装置6に接近するように調節できる端部の調節孔9c1を走行移動用孔とし、この移動用の孔9c1により下方に回動したフロントホイール10と後方の左右車輪4,4とで耕耘装置6を持ち上げ支持した状態となり、耕耘機1の道路等の移動姿勢となる。
【0018】
また、従動側作動板9bの他の調節孔9c2,9c3を選択しピン13により連結してフロントホイール10を下方回動状態とすると、フロントホイール10及び後方の左右車輪4,4の接地面から耕耘装置6下部が下方に突出する耕耘作業姿勢となる。
【0019】
前記構成によると、フロントホイール10と左右車輪4,4により耕耘装置6を持ち上げ状態とし、耕耘機1を楽に移動させることができる。また、フロントホイール10が接地した移動走行時には、フロントホイール10が耕耘装置6の前部に接近して左右車輪4,4との間隔が狭まり、旋回半径を小さくすることができる。また、旋回時のフロントホイール10にかかる旋回反力が小さくなり、フロントホイール10の耐久性を高めることができる。
【0020】
また、耕耘カバー7の中央開口部7dを通してホイールアーム9を上方に回動し、フロントホイール10を耕耘カバー7の前端部上方に位置する状態で上方へ回動することができるので、障害物を回避しながら畔際まで耕耘装置6を接近させて耕耘作業をすることができる。
【0021】
なお、エンジン8の右側、即ち、ベルトカバー17の反対側にホイール操作ロッド11及びリコイルスタータ18を設けるように構成してもよい。このように構成すると、機体中心からの出っ張りの少ない側にホイール操作ロッド11を配設することができて、機体をコンパクトな構成とすることができる。また、右効きのオペレータ多いので、ホイール操作ロッド11及びリコイルスタータ18の操作が容易となり、ベルト伝動装置16のメンテナンス時に、ホイール操作ロッド11が邪魔にならずメンテナンス作業が容易となる。
【0022】
また、ミッションケース部2aの上部にハンドルフレーム21を取り付け、ハンドルフレーム21から上方に延出した保持具22により、ホイール操作ロッド11の中途部を支持しているので、ホイール操作ロッド11の位置がずれず、円滑に操作することができる。
【0023】
また、図1に示すように、ホイール操作ロッド11の引っ張り操作により、フロントホイール10を最上方位置に回動すると、フロントホイール10の前端部と耕耘カバー7の前部カバー部7b前端部とが略上下に揃うようになり、耕耘装置6の前端部を畔際に接近させて畔際から耕耘作業をすることができる。また、ホイール操作ロッド11の押し操作により、フロントホイール10を最下方位置に回動すると、耕耘カバー7の前部カバー部7bの前端部下方とフロントホイール10とが略揃うようになり、耕耘装置6の前端部を畔際に接近させ未耕地の発生を抑制しながら耕耘作業をすることができる。
【0024】
また、耕耘カバー7の前部カバー部7bを後部カバー部7aに対して上側に膨出させることにより、耕耘カバー7の強度アップしながらフロントホイール10の取付部を内装することができ、耕耘カバー7前部のデザインをスッキリした良好なものにすることができる。また、耕耘装置6の後側上部に対して耕耘カバー7の後部カバー部7aが下方に接近して対応し、耕耘装置6の後側下部に対してミッションケース部7aの下側部が後下がり状になり下側ほど広くなるように対応しているので、耕耘装置6により放擲された小石類がミッションケース部7aの下部に衝突しても後部下方に案内され、後部カバー部7aへの持ち回りを少なくし、耕耘カバー7の耐久性を高めることができる。
【0025】
また、ミッションケース部2aにおける耕耘装置6に接近している後部カバー部7aの上方にエンジン8を配設しているので、エンジン8を下方に配設することができ、機体の重心が下がり安定性を高めることができる。
【0026】
また、耕耘カバー7における左右前部カバー部7b,7bの前端部中央寄りに中央開口部7dを構成し、左右前部カバー部7b,7bの中央寄りに左右方向にまたがるピン9aを介してホイールアーム9の上端部を軸支しているので、ホイールアーム9の支持強度がアップし、フロントホイール10の上下回動を円滑にすることができる。
【0027】
また、耕耘カバー7の前部カバー部7bをフロントホイール10の保持具にしたので、耕耘カバー7の前部を軽量化すりことができ、ハンドル5を押し下げ耕耘装置6を持ち上げての旋回操作を楽にすることができる。
【0028】
また、左右前部カバー部7b,7bの内側部に設けたブラケット5eにはボルトを介してスプリング12の一端を取り付け、ホイールアーム9の上端部に取り付けた従動側作動板9bにスプリング12の他端を連結し、フロントホイール10を上回動調節時、及び、下方回動調節時には、スプリング12が死点越えをして、フロントホイール10の上下回動状態を保持するように構成している。
【0029】
前記構成によると、フロントホイール10が上下回動状態では、耕耘カバー7の前側端部に対応した位置で確実に保持され、耕耘装置6を畔際まで楽に接近させることができる。また、耕耘装置6の前方にはフロントホイール10が位置し後方には駆動用の左右後輪4,4が位置しているので、耕耘装置6の耕耘深度を一定に保持しながら耕耘作業をすることができる。
【0030】
また、従動側作動板9bには円弧方向に沿うように複数の調節孔9c1,9c2,9c3を設け、フロントホイール10の上下高さを調節できるので、耕耘装置6の耕深を複数に上下調節して設定することができ、好みの耕耘深度を得ることができる。
【0031】
また、耕耘装置6には正転耕耘用の耕耘爪及び逆転耕耘用の耕耘爪を付け代え、変速レバーの操作により耕耘装置6により正転耕耘作業及び逆転耕耘作業をすることができる。しかして、通常は図1の耕耘装置6を反時計方向に回転して正転耕耘作業を行なうが、硬い圃場の耕耘作業や、除草作業、畦崩し作業では、逆転耕耘しながら作業を行なうことができる。また、ミッションケース部2aの前方に耕耘装置6を配設しているので、畦崩し作業では平らになった後を左右車輪4,4が通るので、安定した姿勢で耕耘機1を走行させることができる。
【0032】
次に、図1に基づき畦成形器31の取付構成について説明する。
ミッションケース部2aの後部にハンドルフレーム21を取り付け、ハンドルフレーム21の下部にハンドル5を上下調節自在に取り付け、ハンドル5の取付部下方にヒッチ32を取り付けている。このヒッチ32には畦成形器31の支持棒31aを支持ピン31bにより上下回動自在に取り付け、ヒッチ32と支持棒31aの間に死点越えをして上下に付勢方向の切り替わるスプリング33を設けている。
【0033】
また、ヒッチ32には畦成形器31の上方への回動を停止する上ストッパ34aと、下方への回動を停止する下ストッパ34bを設けている。この下ストッパ34bは支持体34cと、支持体34cに上下方向にねじ込まれた調節ボルト34dと、固定ナット34eとにより構成し、調節ナット34eを上下調節することにより、畦成形器31のスキ込み角度を調節できるように構成している。
【0034】
しかして、機体旋回時にハンドル5を押し下げることにより、畦成形器31を上方に回動させて収納位置に移動させ、死点越え用のスプリング33により収納状態に保持される。また、作業時には畦成形器31の後部を下方に押し下げると、畦成形器31はスプリング33に抗して下方に回動し、下方の作業位置にスプリング33により保持される。
【0035】
前記構成によると、旋回作業時にハンドル5を押し下げることにより畦成形器31を上方に移動させ、また、畦成形器31を押し下げることにより、作業位置に復帰させることができ、畦成形器31の昇降操作を楽にすることができる。
【0036】
また、畦成形器31の下方に回動した作業位置を、スプリング33の下方への付勢力、及び、畦成形器31のスキ込み分力を垂直方向下方に作用させることにより保持している。従って、フロントホイール10を上下調節して耕耘装置6の耕深深度を調節しても、調節ボルト34dの調節により畦成形器31のスキ込み分力を垂直方向下方に作用するように調節することにより、作業位置への保持を確実化することができる。
【0037】
また、ハンドルフレーム21に畦成形器31取り付け用のヒッチ32を取り付けたので、畦成形器31の取付構成を簡素化し、ハンドルフレーム21の強度アップを図ることができる。
【0038】
次に、図5乃至図11に基づき耕耘機1の動力伝導構成及び変速構成について説明する。
ミッションケース部2aの上部に入力軸15を軸架し、エンジン8の回転動力をベルト伝動装置16を経由して入力軸15に伝達している。ミッションケース部2aには入力軸15の下方に変速第一軸42、変速第二軸43を側面視で三角形を形成するように軸架している。そして、入力軸15に伝達された動力は、入力軸15のギヤ群G1、変速第一軸42のギヤ群G2、変速第二軸43のギヤ群G3、走行伝動軸44のギヤ群G4、走行チエン伝動装置45、左右車軸33,33を経由して左右車輪4,4に伝達される。また、入力軸15に伝達された動力は、入力軸15のギヤ群G1、変速第一軸42のギヤ群G2、変速第二軸43のギヤ群G3、耕耘伝動軸46のギヤ群G5及び耕耘チエン伝動装置47を経由して耕耘装置6に伝達される構成である。
【0039】
また、ミッションケース部2aの入力軸15の後方近傍には、低速シフタ51のシフタピン51a及び高速シフタ52のシフタピン52aを上下にずらして左右方向に移動自在に設け、このシフタピン51a、52aの左側端部をミッションケース部2aの左側方に延出し、ベルトカバー17の内側に位置するように構成している。そして、この二本のシフタピン51a,52aの延出部における対向部位に切欠き溝51b,52bを設け、変速操作レバー53の変速作動片53cを択一的に係合し変速作動するように構成している。
【0040】
前記構成によると、低速シフタ51のシフタピン51a及び高速シフタ52のシフタピン52aの左側端部をミッションケース部2aの外側に延出し、ベルト伝動装置16のベルトカバー17の内側に位置させているので、低速シフタ51、高速シフタ52のシフタピン51a,52aが外部の障害物に衝突するようなこともなく、無意識に変速位置が変わる恐れもなく、安全円滑に走行することができる。また、低速シフタ51及び高速シフタ52用の特別な保護カバーを設ける必要もなく、コストの低減を図ることができる。
【0041】
また、変速操作レバー53はシフタピン51a,52aに対して直交するようにミッションケース部2aの左右方向中心部上方を通って後方に向けて延出している。変速操作レバー53の前側端部を左側に屈折する折曲状延出部53aに構成し、この折曲状延出部53aの左側端部に上下方向の軸部53bを一体的に設け、この軸部53bの中途部に変速作動片53cを取り付けている。また、ミッションケース部2aの左側方には、左右方向の軸54aによりレバー支持体54を上下回動自在に支持し、このレバー支持体54の上下方向の筒体54bに変速操作レバー53の軸部53bを嵌合支持し、変速操作レバー53を上下方向及び左右方向に変速操作可能に構成している。そして、変速操作レバー53をミッションケース部2aの左右中心部上方を経て、ハンドルフレーム21に形成した横H型の変速操作溝55を通しハンドル5の操作部まで延出している。
【0042】
前記のように構成したので、変速操作レバーと変速作動片とを別部品に構成したものに比較して、剛性のアップを図りながら部品点数を少なくし、コストの低減を図ることができる。
【0043】
また、ハンドル5にはクラッチレバー23を設け、クラッチレバー23によりクラッチワイヤ24を介して走行クラッチ(図示省略)を入切するように構成している。
また、図7に示すように、低速シフタ51の変速位置は、左側から右側に向けて正転位置L1、低速前進位置L2、中立位置L3及び逆転位置L4を設けている。
【0044】
そして、正転位置L1及び低速前進位置L2では、図9に示すように、入力軸15のギヤG1aから変速第二軸43のギヤG3a、変速第二軸43のギヤG3c、耕耘伝動軸46のギヤG5、耕耘チエン伝動走行47を経て耕耘装置6に正転動力が伝達される。また、入力軸15のギヤG1cから変速第二軸43のギヤG3b、走行伝動軸44のギヤ群G4を経て正転低速走行動力が左右車輪4,4に伝達される。
【0045】
また、低速前進位置L2では、図11に示すように、入力軸15のギヤG1bから変速第二軸43のギヤG3b、走行伝動軸44のギヤ群G4を経て低速前進走行動力が左右車輪4,4に伝達される。
【0046】
また、逆転位置L4及び低速前進位置L2では、図10に示すように、入力軸15のギヤG1aから変速第一軸42のギヤ群G2、変速第二軸43のギヤG3c、耕耘伝動軸46のギヤG5aを経て耕耘装置6に逆回転動力が伝達される。また、入力軸15のギヤG1cから変速第二軸43のギヤG3b、走行伝動軸44のギヤ群G4を経て低速走行動力が左右車輪4,4に伝達される。
【0047】
また、変速操作レバー53を下方に操作した高速変速溝には、図6に示すように、左側から右側に後進変速位置H1、中立位置H2、高速前進変速位置H3を設けている。
そして、後進変速位置H1に操作すると、入力軸15のギヤ群G1から変速第一軸42のギヤ群G2、変速第二軸43のギヤ群G3、走行伝動軸44のギヤ群G4を経て後進走行動力が左右車輪4,4に伝達される。また、高速前進変速位置H3に操作すると、入力軸15のギヤ群G1から変速第一軸42のギヤ群G3、走行伝動軸44のギヤ群G4を経て高速走行動力が左右車輪4,4に伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】耕耘機の全体側面図
【図2】耕耘機の全体平面図
【図3】エンジン部の側面図
【図4】エンジン部の平面図
【図5】機体部分の切断側面図
【図6】ミッションケース部の伝動展開図
【図7】ミッションケース部の伝動展開図
【図8】ミッションケース部の伝動展開図
【図9】ミッションケース部の伝動展開図
【図10】ミッションケース部の伝動展開図
【図11】ミッションケース部の伝動展開図
【符号の説明】
【0049】
1 耕耘機
2 機体
2a ミッションケース部
2b 耕耘ケース部
2c 後部取付部
4 車輪
6 耕耘装置
7 耕耘カバー
7a 後部カバー部
7b 前部カバー部
7c 垂直面
7d 開口部
8 エンジン
8a エンジン取付板
8b カバー保持具
9 ホイールアーム
10 フロントホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動装置を内装するミッションケース部(2a)と、ミッションケース部(2a)の上部から前側斜め下方に延出している耕耘ケース部(2b)により、耕耘機(1)の機体部(2)を側面視への字状に一体構成し、前記ミッションケース部(2a)の下部には左右車輪(4,4)を軸架し、前記耕耘ケース部(2b)の下部に耕耘装置(6)を設け、前記耕耘装置(6)を被覆する耕耘カバー(7)の後部カバー部(7a)を耕耘装置(6)の外周部に接近するように低く構成し、前部カバー部(7b)を耕耘装置(6)の外周部から遠ざかるように高く構成し、前部カバー部(7b)の前側端部を垂直面(7c)にして耕耘装置(6)の前端部上方を覆うように構成し、前記後部カバー部(7a)の左右後部をミッションケース部(2a)の左右後部取付部(2c,2c)に固着し、エンジン(8)搭載用のエンジン取付板(8a)の後部を前記ミッションケース部(2a)の上部に固着し、前記エンジン取付板(8a)から前方に左右カバー保持具(8b,8b)を延出し、該左右カバー保持具(8b,8b)の下部を前記耕耘ケース部2bに固着し、左右カバー保持具(8b,8b)の前端部に前記耕耘カバー(7)の前端部を固着し、前記前部カバー部(7b)の左右中央部に開口部(7d)を設け、前記前部カバー部(7b)に内装した取付部材によりフロントホイール(10)支持用のホイールアーム(9)を上下回動自在に取り付け、前記ホイールアーム(9)を前部耕耘カバー(7b)の開口部(7d)を通して上方へ突出回動可能に構成したことを特徴とする耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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