説明

耕耘爪と爪ホルダー、および耕耘爪の取付け構造

【課題】 耕耘軸を逆回転させても耕耘爪ががたつかない耕耘爪と爪ホルダーを提供すると共に、電動工具が使いやすい耕耘爪の取付け構造を提供する。
【解決手段】 耕耘爪35の被係止部35aの断面形状をテーパー状に形成し、爪ホルダー36の係止部36aの断面形状を耕耘爪35の被係止部35aの断面形状に合わせて逆テーパー状に形成した。そして、耕耘爪35と爪ホルダー36とが嵌合するようにして、耕耘爪35を締結方向のみならず締結方向に対して左右方向でも固定する。また、爪ホルダー36を締結手段であるボルト7の挿入方向が耕耘軸4と非平行に耕耘軸4に固着して、ボルト7の頭やナット9を作業者の方に向かせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘機やトラクターなどの耕耘作業機の耕耘軸に取り付けられる耕耘爪と爪ホルダー、および耕耘爪を耕耘軸に取り付ける耕耘爪の取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、耕耘爪を耕耘作業機の耕耘軸に取り付ける構造として、一端部に被係止部を有する耕耘爪と、耕耘爪を係止する係止部を有し、耕耘軸に固着される爪ホルダーとが用いられている。この耕耘爪は、その被係止部の断面形状が四角形に形成されており、四角形の開口を有する爪ホルダーに差し込まれて固定される。このような爪ホルダーに耕耘爪を差し込む構造では、爪ホルダーと耕耘爪との隙間に土が入りやすく、隙間に土が入り込むと耕耘爪が爪ホルダーから外れにくくなる。また、耕耘爪や爪ホルダーが錆びることでも、耕耘爪が爪ホルダーから外れにくくなる。そこで、耕耘爪を爪ホルダーから外れやすいように、耕耘爪と爪ホルダーとの間に隙間が空けられている。そのために、耕耘爪を爪ホルダーに固定する際には、耕耘爪を耕耘軸の回転方向と反対の方向に押し付けた状態で耕耘爪を爪ホルダーに固定することによって、耕耘作業時に耕耘爪が動かないようにしている(以下、従来の耕耘爪と爪ホルダーという)。
【0003】
また、耕耘爪の被係止部の断面形状をひし形にし、爪ホルダーの内面の形状をひし形にした耕耘爪と爪ホルダーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この耕耘爪と爪ホルダーでは、耕耘爪が耕耘作業によって耕耘軸の回転方向と反対の方向に抵抗を受けることで、耕耘爪のひし形状の凸部が爪ホルダーのひし形状の凹部に挟まれて固定されるようになっている。
【0004】
さらに、耕耘爪の被係止部に波状の溝部と突部とを設け、爪ホルダーの内面に波状の溝部と突部とを設けた耕耘爪と爪ホルダーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この耕耘爪と爪ホルダーでは、耕耘爪と爪ホルダーとに設けた溝部と突部とが嵌め合わされて、耕耘爪が爪ホルダーに固定されるようになっている。
【0005】
一方、耕耘爪を耕耘軸に取り付ける構造として、爪ホルダーは、耕耘爪と爪ホルダーとを締結するボルトの挿入方向が、耕耘軸と平行に耕耘軸に固着されている。(以下、従来の耕耘爪の取付け構造という)。
【特許文献1】特開2000−342009号公報(段落0008,0009、第2図)
【特許文献2】特開平7−274604号公報(段落0009,第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の耕耘爪と爪ホルダーを逆回転機能付きの耕耘作業機に用いると、耕耘爪に押し付けている方向とは逆の方向に力が加わるために、耕耘爪が爪ホルダーの中で動いてしまう。そのために、耕耘爪にがたつきが生じ、このがたつきによる衝撃や摩耗によって爪ホルダーや耕耘爪に変形が生じる。さらに、このがたつきによってボルトが緩み、耕耘爪が爪ホルダーから抜け落ちることもある。
【0007】
一方、前記従来の耕耘爪と爪ホルダーを一方向にしか回転しない耕耘作業機に用いる場合であっても、耕耘爪を爪ホルダーに押し付ける方向を間違いやすいために、取付け間違いによる耕耘爪のがたつきが生じて前記したような弊害が生じやすい。さらに、耕耘爪を爪ホルダーに押し付ける工程が必要なために、耕耘爪の取付け作業が煩雑である。
【0008】
また、前記特許文献1に係る耕耘爪と爪ホルダーでは、前記従来の耕耘爪と爪ホルダーと同様に、耕耘軸を逆回転させると耕耘爪が爪ホルダーの中で動くために、前記したような弊害が生じる。
【0009】
さらに、前記特許文献2に係る耕耘爪と爪ホルダーでは、耕耘軸を逆回転させても耕耘爪を爪ホルダーに固定することができるようになった。しかし、この耕耘爪と爪ホルダーでは、複雑な形状のために、隙間に土が入り込むと耕耘爪が爪ホルダーから外れにくくなる。また、この耕耘爪と爪ホルダーでは、溝部と突部に大きな力がかかるために溝部と突部が変形しやすく、わずかな変形でも溝部と突部との嵌め合わせができなくなる。さらに、溝部と突部との嵌め合わせを確認しながら耕耘爪と爪ホルダーとを締結する必要があるために、耕耘爪の取付け作業が煩雑である。
【0010】
一方、前記従来の耕耘爪の取付け構造では、ボルトが耕耘軸と平行に挿入されるために、隣の耕耘爪や爪ホルダーが邪魔になってインパクトドライバーなどの電動工具の先端部品をボルトの頭やナットに嵌めにくい。そのために、電動工具が使いにくく、耕耘爪の取付け作業を効率化することができない。
【0011】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、耕耘軸を逆回転させても耕耘爪ががたつかない耕耘爪と爪ホルダーを提供すると共に、電動工具が使いやすい耕耘爪の取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、耕耘爪の被係止部の断面形状を、テーパー状に形成した。
【0013】
請求項2に係る発明では、爪ホルダーの係止部の断面形状を、前記耕耘爪の被係止部の断面形状に合わせて逆テーパー状に形成した。
【0014】
請求項3に係る発明では、耕耘爪を耕耘軸に取り付ける耕耘爪の取付け構造を、一端部に被係止部を有し、その被係止部の断面形状がテーパー状に形成された耕耘爪と、耕耘爪を係止する係止部を有し、その係止部の断面形状が耕耘爪の被係止部の断面形状に合わせて逆テーパー状に形成された、耕耘軸に固着される爪ホルダーと、耕耘爪と爪ホルダーとを締結する締結手段とを備えて構成した。そして、耕耘爪と爪ホルダーとが嵌合するようにした。
【0015】
請求項4に係る発明では、前記締結手段をボルトとした。そして、爪ホルダーを、ボルトの挿入方向が耕耘軸と非平行に、耕耘軸に固着した。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、耕耘爪の被係止部の断面形状をテーパー状に形成したので、耕耘爪を爪ホルダーから外れやすくできる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、爪ホルダーの係止部の断面形状を前記耕耘爪の被係止部の断面形状に合わせて逆テーパー状に形成したので、耕耘爪と爪ホルダーとをテーパー状に形成した面と逆テーパー状に形成した面(以下テーパー面という)とで嵌め合わせることができると共に、耕耘爪を爪ホルダーから外れやすくもできる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、耕耘爪と爪ホルダーとをテーパー面で嵌め合わせるので、耕耘爪を締結方向のみならず締結方向に対して左右方向でも固定することができる。そのために、耕耘軸を逆回転させても、耕耘爪ががたつかないように爪ホルダーに固定することができる。また、耕耘爪と爪ホルダーとをテーパー面で嵌め合わせるので、従来よりも小さなトルクで締め付けることができると共に、締付けを緩みにくくもできる。
【0019】
また、この耕耘爪の取付け構造では、耕耘爪と爪ホルダーとを締結することによって自動的に嵌合する面が合うので、耕耘爪の取付け作業を簡略化することができると共に、取付け間違いも生じない。
【0020】
さらに、この耕耘爪の取付け構造では、耕耘爪と爪ホルダーとをテーパー面で嵌め合わせるので、耕耘爪や爪ホルダーに多少の変形が生じても、嵌合する面を確実に合わせることができる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、爪ホルダーを締結手段であるボルトの挿入方向が耕耘軸と非平行に耕耘軸に固着させたので、ボルトの頭やナットを作業者の方に向かせることができる。そのために、インパクトドライバーなどの電動工具の先端部品が、ボルトの頭やナットに嵌りやすくなる。また、ボルトの頭やナットを、隣の耕耘爪や爪ホルダーが邪魔にならない方向に向かせることもできる。このように、この耕耘爪の取付け構造によれば、ボルトの頭やナットが電動工具を使いやすい方向に向いているので、電動工具を使った耕耘爪の取付け作業が可能になり、耕耘爪の取付け作業を効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、この発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、この発明に係る耕耘爪と爪ホルダーが取り付けられる耕耘機の側面図である。図1に示すように、この耕耘機1は、その後部に耕起と砕土を行う耕耘部2を備えている。そして、この耕耘部2は、エンジン3からの回転動力によって回転する耕耘軸4と、この耕耘軸4に固着される図示しない爪ホルダーと、この爪ホルダーを介して耕耘軸4に取り付けられる耕耘爪5と有して構成されている。なお、耕耘軸4の回転方向は、矢印Aが正回転方向であり、矢印Bが逆回転方向である。そして、耕耘作業は、その大半を正回転方向Aに耕耘軸4を回転させて行っている。
【0023】
図2の(a)は、この発明に係る耕耘爪5と爪ホルダーを耕耘軸4に取り付けた状態を示す斜視図である。図2の(a)に示すように、耕耘爪5は、耕耘軸4に固着された爪ホルダー6を介して耕耘軸4に取り付けられている。
【0024】
耕耘爪5は、一端部に爪ホルダー6に係止される被係止部5aを有している。そして、この被係止部5aは、その耕耘爪5の延長方向と直角をなす平面に沿って切った切り口(以下断面という)の形状が相対する側面を対称的に傾斜させたテーパー状に形成されている。また、この被係止部5aには、ボルト7が挿入されるボルト孔5bが穿設されている。
【0025】
爪ホルダー6は、角筒形の保持具であり、ここでは、耕耘爪5の被係止部5aが差し込まれる方向と直角をなす平面に沿って切った切り口(以下断面という)の形状が略コの字形をした2つの部材を嵌め合わせて角筒状にしている。この爪ホルダー6は、その内側に耕耘爪5の被係止部5aを係止する係止部6aを有している。そして、この係止部6aは、断面形状が耕耘爪5の被係止部5aの断面形状に合わせて逆テーパー状に形成されている。また、この爪ホルダー6には、相対する面にボルト7が挿入されるボルト孔6b,6cが穿設されている。このボルト孔6b,6cは、一方がボルト7の頭を回転しないように固定する六角孔6bであり、他方がボルト7の軸部を通す丸孔6cである。なお、この爪ホルダー6に穿設されるボルト孔6b,6cは、六角孔6bが幅広面に、丸孔6cが幅狭面に穿設されている。
【0026】
このように構成された耕耘爪5と爪ホルダー6では、耕耘爪5をその被係止部5aが爪ホルダー6の係止部6aとテーパー面で嵌め合うように差し込み、この状態でボルト7にワッシャー8を介してナット9をねじ嵌めしている。なお、ここでは、ボルト7を爪ホルダー6の六角孔6b側から挿入している。
【0027】
図2の(b)と(c)は、図2の(a)のX−X断面図である。(b)は、ボルト7にナット9をねじ嵌めする前の状態を示し、(c)は、ねじ嵌めした状態を示す。図2の(c)に示すように、ボルト7にナット9がねじ嵌めされると、耕耘爪5の被係止部5aと爪ホルダー6の係止部6aとがテーパー面で嵌め合う。そして、このテーパー面で嵌め合うことによって、耕耘爪5が爪ホルダー6によって耕耘軸4(図2の(a)参照)の正回転方向Aと逆回転方向Bに対して挟持される。そのために、耕耘軸4を逆回転方向Bに回転させても、耕耘爪5ががたつくかない。
【0028】
一方、耕耘爪5を外す場合は、耕耘爪5と爪ホルダー6とがテーパー面で嵌め合わされているので、耕耘爪5の基部を締結方向と逆の方向にハンマーなどで軽く叩き、被係止部5aを図2の(c)に示す挟持状態から図2の(b)に示す解放状態に移動させることによって、耕耘爪5を取り外すことができる。このように、耕耘爪5を爪ホルダー6の幅広面側に移動させることによって耕耘爪5を外すことができるので、耕耘爪5の取り外しが容易にできる。
【0029】
図3の(a)は、他の実施形態に係る耕耘爪と爪ホルダーを耕耘軸4に取り付けた状態を示す斜視図である。また、図3の(b)と(c)は、図3の(a)のX−X断面図であり、(b)は、ボルト7にナット9をねじ嵌めする前の状態を示し、(c)は、ねじ嵌めした状態を示す。
【0030】
図3の(a)に示すように、他の実施形態に係る耕耘爪15は、断面形状がテーパー状に形成された被係止部15aの先太面に、ボルト孔15bを中心にしてボルト7の頭を回転させないように固定する六角形状の凹部15cが設けられている。一方、他の実施形態に係る爪ホルダー16は、前記爪ホルダー6の係止部6aを構成する部材からなり、その係止部16aの断面形状が耕耘爪15の被係止部15aの断面形状に合わせて逆テーパー状に形成されている。そして、この爪ホルダー16の耕耘爪15の被係止部15aと対向する面には、ボルト7の軸部を通す丸孔16cが穿設されている。
【0031】
このように構成された耕耘爪15と爪ホルダー16では、耕耘爪15をその被係止部15aが爪ホルダー16の係止部16aとテーパー面で嵌め合うように差し込み、この状態でボルト7にナット9をねじ嵌めして爪ホルダー16に固定している。ここで、図3の(c)に示すように、ボルト7の頭が、耕耘爪15の被係止部15aに形成された凹部15cによって回転しないように固定される。このように、耕耘爪15にボルト7の頭を固定する凹部15cを設けたので、爪ホルダー16の構造を簡略化することができると共に、爪ホルダー16の軽量化を図ることもできる。
【0032】
図4の(a)は、この発明に係る耕耘爪の取付け構造を従来の爪ホルダーに適用した状態を示す斜視図である。また、図4の(b)と(c)は、図4の(a)のX−X断面図であり、(b)は、ボルト7にナット9をねじ嵌めする前の状態を示し、(c)は、ねじ嵌めした状態を示す。
【0033】
図4の(a)に示すように、この耕耘爪25は、耕耘軸4に固着された従来の爪ホルダー26に継手部材10を介して固定されている。耕耘爪25は、前記耕耘爪5と同じ構造であり、断面形状がテーパー状に形成された被係止部25aを有している。この被係止部25aは、後記する継手部材10の厚みの分だけ、厚みを薄く形成している。継手部材10は、断面形状がコの字形をした板状の部材である。そして、この継手部材10は、その内面の断面形状が、耕耘爪25の被係止部25aの断面形状に合わせて逆テーパー状に形成されている。また、その外面の断面形状が、従来の爪ホルダー26の断面形状に合わせて四角形に形成されている。さらに、この継手部材10の中央には、ボルト7の軸部を通すボルト孔10aが穿設されている。
【0034】
このように構成された耕耘爪25は、あらかじめ継手部材10が取り付けられた従来の爪ホルダー26に、その被係止部25aが継手部材10の内面に形成した逆テーパー面とテーパー面で嵌め合うように差し込み、この状態でボルト7にナット9をねじ嵌めして従来の爪ホルダー26に固定される。図4の(c)に示すように、従来の爪ホルダー26に継手部材10を取り付けることで、簡単にこの発明に係る耕耘爪の取付け構造を適用することができる。
【0035】
図5は、この発明に係る耕耘爪の取付け構造の斜視図であり、爪ホルダーをボルト7の挿入方向が耕耘軸4の軸方向に対して直角に交わるように耕耘軸4に固着した状態を示す。図5の(a)は、耕耘爪を耕耘軸4の上方の位置で交換する場合の耕耘爪の取付け構造を示し、図5の(b)は、耕耘爪を耕耘軸4の下方の位置で交換する場合の耕耘爪の取付け構造を示す。
【0036】
図5の(a)に示すように、この爪ホルダー36は、ボルト7の挿入方向が耕耘軸4の軸方向に対して直角に交わるように耕耘軸4に固着されている。このように、爪ホルダー36をボルト7の挿入方向が耕耘軸4の軸方向に対して直角に交わるようにしたので、ナット9が耕耘機1(図1参照)の後方に向く。すなわち、ナット9が作業者の方に向くので、作業者はインパクトドライバー12の先端部品をナット9に嵌めやすくなる。
【0037】
また、このように構成された耕耘爪の取付け構造では、耕耘爪35と爪ホルダー36とがテーパー面で嵌め合うことによって固定されるので、耕耘爪35を締結方向のみならず、締結方向に対して左右方向でも固定することができる。すなわち、この耕耘爪の取付け構造では、耕耘爪35が耕耘軸4の正回転方向Aと逆回転方向Bのみならず、耕耘軸4の軸方向についても固定される。
【0038】
図5の(a)の部分拡大図に示すように、爪ホルダー36をボルト7の挿入方向が耕耘軸4の軸方向に対して直角に交わるようにした場合には、耕耘爪35の爪部35bの基部に爪ホルダー36の開口部に当接する当接部35cを形成することが望ましい。この当接部35cは、耕耘爪35が土に当たることで生じる力を受け止めることができるので、ボルト7とナット9が受ける力を軽減させることができる。そのために、ボルト7の緩みや変形を防ぐことができる。なお、ここでは、被係止部35aを爪部35bの方向から90°傾けた状態で一体成形しているが、前記耕耘爪5をねじって成形しても構わない。また、耕耘爪35の爪部35bと被係止部35aとの境部分に、補強部材を取り付けても構わない。
【0039】
耕耘爪35を耕耘軸4の上方の位置で交換しにくい場合には、図5の(b)に示すように、耕耘爪35´を耕耘軸4の下方の位置で交換するようにしても構わない。このように、耕耘爪35´を耕耘軸4の下方の位置で交換する場合には、耕耘爪35´を耕耘軸4の下方に位置させたときに、ナット9が耕耘機1(図1参照)の後方に向くことが望ましい。そのために、爪ホルダー36´は、図5の(a)に示した爪ホルダー36を耕耘軸4に対して180°回転させた状態で耕耘軸4に固着している。また、耕耘爪35´の被係止部35a´は、図5の(a)に示した耕耘爪35の被係止部35aを爪部35bの方向から180°回転させた状態で一体成形されている。このように構成された耕耘爪の取付け構造では、耕耘爪35´と爪ホルダー36´とがテーパー面で嵌め合うことによって固定されるので、耕耘爪35´を締結方向のみならず、締結方向に対して左右方向でも固定することができる。なお、耕耘爪35´を耕耘軸4の下方の位置で交換する場合には、耕耘軸4を正回転方向Aに回転させたときにテーパー面での嵌め合わせを外す方向に力が加わるが、耕耘爪35´に形成した当接部35c´によってその力を受け止めることができるので、ボルト7とナット9が受ける力を軽減させることができる。そのために、耕耘爪35´を耕耘軸4の下方の位置で交換する場合であっても、十分な強度を確保することができる。
【0040】
図6は、他の実施形態に係る耕耘爪の取付け構造の斜視図であり、爪ホルダーをボルト7の挿入方向が耕耘軸4の軸方向に対して45°傾いて耕耘軸4に固着した状態を示す。図6の(a)は、耕耘爪を耕耘軸4の上方の位置で交換する場合の耕耘爪の取付け構造を示し、図6の(b)は、耕耘爪を耕耘軸4の下方の位置で交換する場合の耕耘爪の取付け構造を示す。
【0041】
図6の(a)に示すように、この爪ホルダー46は、ボルト7の挿入方向が耕耘軸4の軸方向に対して45°傾いて耕耘軸4に固着されている。このように、爪ホルダー46をボルト7の挿入方向が耕耘軸4の軸方向に対して45°傾くようにしたので、ナット9が耕耘機1(図1参照)の斜め後方に向く。そこで、耕耘軸4の同円周上に複数の爪ホルダー46を固着させた場合であっても、ナット9を隣の耕耘爪45や爪ホルダー46が邪魔にならない方向に向かせることができる。また、耕耘爪45を耕耘軸4の上方の位置で交換しにくい場合には、図6の(b)に示すように、耕耘爪45´を耕耘軸4の下方の位置で交換するようにしても構わない。
【0042】
なお、ここでは、爪ホルダー36,46を、ボルト7の挿入方向が耕耘軸4の軸方向に対して直角に交わるよう固着した実施形態と、耕耘軸4の軸方向に対して45°傾けて固着した実施形態について説明したが、耕耘軸4と非平行に固着することの例示にすぎない。そのために、爪ホルダー36,46の固着方向は、インパクトドライバー12の先端部品がナット9に嵌りやすいように適切に変えることが望ましい。
【0043】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は前記実施形態には限定されない。例えば、実施形態では、この発明に係る爪ホルダー6を2つの部材を嵌め合わせて形成したが、図7に示すように一体成形しても構わない。なお、図7では爪ホルダー56の外形の断面形状を四角形に形成したが、内面の形状に合わせて台形にしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明に係る耕耘爪と爪ホルダーが取り付けられる耕耘機の側面図である。
【図2】(a)は、この発明に係る耕耘爪と爪ホルダーを耕耘軸に取り付けた状態を示す斜視図である。(b)は、(a)のX−X断面図のうちで、ボルトにナットをねじ嵌めする前の状態を示し、(c)は、(a)のX−X断面図のうちで、ボルトにナットをねじ嵌めした状態を示す。
【図3】(a)は、他の実施形態に係る耕耘爪と爪ホルダーを耕耘軸に取り付けた状態を示す斜視図である。(b)は、(a)のX−X断面図のうちで、ボルトにナットをねじ嵌めする前の状態を示し、(c)は、(a)のX−X断面図のうちで、ボルトにナットをねじ嵌めした状態を示す。
【図4】(a)は、この発明に係る耕耘爪の取付け構造を従来の爪ホルダーに適用した状態を示す斜視図である。(b)は、(a)のX−X断面図のうちで、ボルトにナットをねじ嵌めする前の状態を示し、(c)は、(a)のX−X断面図のうちで、ボルトにナットをねじ嵌めした状態を示す。
【図5】(a)は、この発明に係る爪ホルダーをボルトの挿入方向が耕耘軸の軸方向に対して直角に交わるように耕耘軸に固着した状態を示す斜視図のうちで、耕耘爪を耕耘軸の上方の位置で交換する場合を示し、(b)は、耕耘爪を耕耘軸の下方の位置で交換する場合を示す。
【図6】(a)は、この発明に係る爪ホルダーをボルトの挿入方向が耕耘軸の軸方向に対して45°傾いて耕耘軸に固着した状態を示す斜視図のうちで、耕耘爪を耕耘軸の上方の位置で交換する場合を示し、(b)は、耕耘爪を耕耘軸の下方の位置で交換する場合を示す。
【図7】(a)は、他の実施形態に係る爪ホルダーのうちで、ボルトにナットをねじ嵌めする前の状態を示し、(b)は、他の実施形態に係る爪ホルダーのうちで、ボルトにナットをねじ嵌めした状態を示す。
【符号の説明】
【0045】
4 耕耘軸
5,15,25,35,45 耕耘爪
5a,15a,25a,35a,45a 被係止部
6,16,26,36,46,56 爪ホルダー
6a,16a,26a,36a,46a 係止部
7 ボルト
8 ワッシャー
9 ナット
10 継手部材
A 正回転方向
B 逆回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に被係止部を有する耕耘爪であって、
その被係止部の断面形状が、テーパー状に形成されていること特徴とする耕耘爪。
【請求項2】
請求項1に記載の耕耘爪を係止する係止部を有する爪ホルダーであって、
その係止部の断面形状が、前記耕耘爪の被係止部の断面形状に合わせて逆テーパー状に形成されていること特徴とする爪ホルダー。
【請求項3】
耕耘爪を耕耘軸に取り付ける耕耘爪の取付け構造であって、
一端部に被係止部を有し、その被係止部の断面形状がテーパー状に形成された耕耘爪と、
前記耕耘爪を係止する係止部を有し、その係止部の断面形状が耕耘爪の被係止部の断面形状に合わせて逆テーパー状に形成された、前記耕耘軸に固着される爪ホルダーと、
前記耕耘爪と前記爪ホルダーとを締結する締結手段とを備え、
前記耕耘爪と前記爪ホルダーとが嵌合することを特徴とする耕耘爪の取付け構造。
【請求項4】
前記締結手段をボルトとし、
前記爪ホルダーを、前記ボルトの挿入方向が前記耕耘軸と非平行に、前記耕耘軸に固着することを特徴とする請求項3に記載の耕耘爪の取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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