説明

脱穀装置

【課題】機外に排出される藁屑などを圃場上で散乱させないで圃場上に排塵物の層を均一に分散させる、排塵物の拡散放出性能が優れた脱穀装置を提供すること。
【解決手段】 排藁を外部に排出するために扱室66の後方に分離板93を設け、選別室50の揺動棚51の後端部から外部へ排出される排塵物をガイドする後下がりの傾斜板98を設け、該傾斜板98上に背面視で右下がりの風ガイド97を少なくとも1つ設け、傾斜板98の後部が、分離板93の仮想延長線よりも後方に配置されるように設けた脱穀装置である。
揺動棚51の後端部から傾斜板98上を流下する排塵物に排塵ファン91の風を効果的に作用させて既刈側の圃場面(コンバインより右側の圃場)に分散して排出できる。これにより圃場面上に排出された藁屑の層厚の偏りを少なくでき、土質の偏りを小さくして安定した収量を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等に搭載される脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは穀稈の刈取装置と、脱穀装置と、脱穀後一時的に穀粒を貯留するグレンタンクと、グレンタンクに貯留されている穀粒を排出するオーガなどから構成される。
脱穀装置の主脱穀部である扱室には刈取装置で刈り取った穀稈が挿入され、穀稈は扱室に軸架された扱胴の表面に多数設けられた扱歯と扱網との相互作用により脱穀される。穀稈から分離された被処理物(穀粒や藁くず)は扱網を通過して、選別室の揺動棚で受け止められ、二番穀粒(二番物という場合がある)や藁屑などを分離して穀粒のみをグレンタンクに搬送する。
【0003】
二番穀粒は扱室の側方に設けられた二番処理室に送られ二番処理胴により穀粒、枝梗粒などに分離され、再び揺動棚に落下して比重選別や送風選別されて穀粒、藁屑などに分離される。扱室で発生した藁くずなど短尺のものは排塵処理室に搬送され、排塵処理胴により処理される。
【0004】
脱穀装置の中で最初に穀稈が挿入される扱室においては、被処理物が搬送されながら扱胴が回転することで穀稈の大部分が脱穀される。そして、扱室から落下する被処理物は、選別室において、上下前後方向に揺動する揺動棚上を移動しながら、後方のシーブで唐箕からの送風を受けて風力選別される。
【0005】
選別室においては、揺動棚上を移動してきた被処理物や扱室から落下する被処理物を濾過選別し、排藁などは機外に排出し、枝梗粒や穂切れ粒、稈切れ粒などと単粒とを分別して枝梗粒や穂切れ粒、稈切れ粒のみ二番処理室に送り、単粒はグレンタンクへ送る。
【0006】
下記特許文献1などに開示された脱穀装置では揺動棚で分別された排藁などは揺動棚の後方の排塵室の屑排出口から機体後方に排出している。
【特許文献1】特開2001−204229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の構成によれば、揺動棚から漏下しない藁屑などは揺動棚の後方に配置された排塵室の屑排出口から機体後方に排出しているが、この藁屑などは排塵処理室から排出される排塵物とは別の箇所で機外に排出されている。
【0008】
そのため、機外に排出される藁屑などが圃場上で散乱して見苦しく、また、圃場面上に堆積する排塵物の層を均一化できないので、収穫作業後にこの藁屑などを耕耘作業によって鋤き込んだ場合に土質が均一にならず、植え付け後の穀稈の生育状態が場所によって異なってしまうような問題があった。
【0009】
本発明の課題は、機外に排出される藁屑などを圃場上で散乱させないで圃場上に排塵物の層を均一に分散させる、排塵物の拡散放出性能が優れた脱穀装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は次の解決手段により解決できる。
請求項1記載の発明は、穀稈から穀粒を脱粒させる扱胴(69)を軸架した扱室(66)と、扱室(66)の隣接位置の二番処理室(58)に軸架して脱穀後の二番物を処理する二番処理胴(70)と、二番処理室(58)の後方に設けた排塵処理室(59)に軸架して扱室排塵物を処理する排塵処理胴(71)と、扱室(66)と二番処理室(58)と排塵処理室(59)の下方に設けて該各室(66,58,59)から落下する被処理物を後方に搬送しながら穀粒を選別する選別室(50)を備えた脱穀装置において、扱室(66)の後方に設けた排塵ファン(91)の排塵風吹き出し側に分離板(93)を設け、選別室(50)の揺動棚(51)の後端部から外部へ排出される排塵物をガイドする後下がりの傾斜板(98)を設け、傾斜板(98)上に背面視で右下がりの風ガイド(97)を少なくとも1つ設け、傾斜板(98)の後部が分離板(93)の仮想延長線よりも後方に配置されるように設けた脱穀装置である。
【0011】
請求項2記載の発明は、扱室(66)の後方に排藁カッター(81b)を設け、前記風ガイド(97)と傾斜板(98)を排藁カッター(81b)の下側に配置した請求項1記載の脱穀装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、選別室(50)の揺動棚(51)の後端部から傾斜板(98)上を流下する排塵物に排塵ファン(91)の風を効果的に作用させて、既刈側の圃場面(コンバインより右側の圃場)に分散して排出できる。これにより圃場面上に排出された藁屑の層厚の偏りを少なくでき、この排藁を堆肥とする土質の偏りを小さくして安定した収量を得ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、風ガイド(97)と傾斜板(98)とを排藁カッター(81b)の下側に来るようにした配置しているので、排藁カッター(81b)による切藁を圃場に均分に拡散でき、窒素分の圃場のバラツキを防げる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1には本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの右側面図を示し、図2には図1のコンバインの正面図を示し、図3には図1のコンバインの脱穀装置の左側面断面図を示し、図4には図3の脱穀装置の背面図を示し、図5には図1のコンバインの脱穀装置の扱胴などの処理胴を含む部分の一部切り欠き平面図を示す。
なお、本明細書ではコンバインの前進方向を前、後進方向を後、前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右という。
【0015】
コンバイン1の走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部にはエンジン(図示せず)、脱穀装置15、操縦席20およびホッパ30を搭載する。
【0016】
刈取装置6は、図示しない刈取昇降シリンダの伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具7を、その背後に傾斜状にした穀稈引き起こし装置8を、その後方底部には刈刃11を配置している。刈刃11と脱穀装置15のフィードチェン14の始端部との間に、図示しない前部搬送装置、扱深さ調節装置、供給搬送装置などを順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
【0017】
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジン(図示せず)を始動して変速用、操向用などの操作レバー(図示せず)をコンバイン1が前進するように操作し、刈取・脱穀クラッチ(図示せず)を入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引き起こし装置8の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0018】
次いで、穀稈は供給搬送装置からフィードチェン14の始端部に受け継がれ、脱穀装置15に供給される。脱穀装置15は、上側に扱胴69を軸架した扱室66を配置し、扱室66の下側に選別室50を一体的に設け、供給された刈取穀稈を脱穀、選別する。
【0019】
脱穀装置15に供給された穀稈は、挟扼杆12とフィードチェン14に挟持されながら主脱穀部である扱室66に挿入され、扱室66に軸架され回転する扱胴69の多数の扱歯69aにより脱穀され、被処理物(穀粒や藁くず)は脱穀装置15内の選別室50の揺動棚51で受け止められ、上下前後方向に揺動する揺動棚51上を寄せ板(図示せず)で揺動棚51の幅方向に均一な層厚になるように拡散されて後方へ送られながら、唐箕79からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒はシーブ53および選別網63から漏下して、一番棚板64上を流下し、一番螺旋65aから搬送螺旋(図示せず)を内蔵している一番揚穀筒65(図4)を経てホッパ30へ搬送され、このホッパ30に一時貯留される。
【0020】
脱穀装置15の扱室66の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、排藁チェーン(図示せず)に挟持されて搬送され、脱穀装置15の後部の排藁処理室95の藁用カッター81a、81b(図3)に投入された後、切断され、圃場に放出される。
【0021】
ホッパ30内に貯留した穀粒を排出シュータ19a(図1)から籾袋に排出する。刈取装置6で刈り取った穀稈は刈取装置6に装着された扱深さ調節装置で扱深さなどが調節され、脱穀装置15の主脱穀部である扱室66内に挿入される。扱室66に軸架された扱胴69は、その表面に多数の扱歯69aが設けられており、エンジン(図示せず)からの動力が扱胴69の回転軸(図示せず)に伝達され、回転する。
【0022】
扱室66に挿入された穀粒の付いた穀稈は、移動するフィードチェン14とフィードチェン挟扼杆12(図2、図3)との間に挟扼され、後方に移送されながら、回転する扱胴69の扱歯69aにより脱穀される。穀稈から分離された被処理物(穀粒や藁くず)は図示しない扱網を通過して、揺動棚51で受け止められる。
【0023】
揺動棚51は扱室66の扱網の下方に配置した移送棚52とその後方に配置した上方のシーブ53とその下方の選別網63と最後端部に配置したストローラック62などから構成されている。
【0024】
扱室66の前方の約1/3の領域で漏下する脱穀初期に脱粒した穀粒は単粒であり、夾雑物も含んでいないので図3などに示すシーブ53上で粗選別する必要が無く、直接選別網63で唐箕79からの送風により風選することができ、シーブ53の負荷を軽くし、能率的な脱穀が可能となる。
【0025】
また、揺動棚51は揺動棚駆動機構(図示せず)の作動により上下前後方向に揺動するので、被処理物は矢印A方向(図3)に移動しながら、移送棚52上に漏下した比重の重い穀粒は選別網63を矢印B方向に通過し、一番棚板64で集積され、一番螺旋65aから一番揚穀筒65を経てホッパ30へ搬送される。ホッパ30に貯留された穀粒は、シャッターの開放操作によって排出シュータ19aに装着された籾袋に充填される。
【0026】
揺動棚51の上の被処理物のうち軽量のものは、揺動棚51の揺動作用と唐箕79のファン79aによる送風に吹き飛ばされて、移送棚52からシーブ53に向けて矢印AD方向(図3)に移動し、シーブ53の目合いを通過する大きさの小さい二番穀粒と、このシーブ53に続くストローラック62(図4)の隙間から漏下する藁屑の混じった二番穀粒とは矢印C方向に漏下して二番棚板85上を流下し、二番螺旋86の設置部分に集められ、二番還元筒87へ搬送され、二番還元筒87から二番処理室58(図5)の後部に送られて、二番処理胴70の螺旋70aで前方へ移送されながら処理される。さらに軽いものは排塵ファン91で矢印D方向(図3)の機外に排出される。
なお、図3〜図5に示すように排藁処理室95には排塵ファン91からの吹き出し風を後述する分離板93、案内板94、風ガイド97、及び傾斜板98に沿う方向に誘導する排出ガイド99(図5)が設けられている。
【0027】
図3及び図5に示すように扱胴69に隣接して二番処理胴70を配置し、該二番処理胴70は扱室66を構成する壁面の前壁である前板66aと中板66bとの間に設けている。なお、中板66bは二番処理胴70の後端部に位置し、該中板66bと後板66cとの間に連通口66xを形成する。即ち、中板66bは、二番処理室58側と排塵処理室59側とを仕切る壁となる。
前記二番穀粒(二番物)は、正常な穀粒、枝梗粒、藁くずおよび藁くずの中に正常な穀粒が刺さっているササリ粒などの混合物であり、二番還元筒87の中を二番螺旋により上方に揚送されて、二番処理室58の後端上部に開口した入口から斜め前方へ向けて放出される。前記二番処理室58の下部に軸架する二番処理胴70に設けられた二番処理螺旋(螺旋体)70aによって搬送される間に穀粒の分離と枝梗粒からの枝梗の除去を行い、一部の被処理物は漏下して揺動棚51に落下して扱室66からの被処理物と合流して再選別される。
【0028】
なお、扱室66の被処理物搬送方向終端部に到達した被処理物は、図5に示す連通口66xから矢印A方向に搬送されて排塵処理室59に入り、該排塵処理室59では回転する排塵処理胴71(二番処理胴70と同軸)の螺旋体71aにより搬送されながら解砕、処理される。この被処理物中には、少量ながら枝梗の付着した穀粒が含まれており、この枝梗付着粒および小さな藁屑は、格子状の受け網(濾過部材)72(図4)を漏下して揺動棚51に落下する。
【0029】
さらに詳細に説明すると、揺動棚51におけるシーブ53の前部から選別網63上へ漏下した被処理物は、唐箕79からの選別風を下側から受けて細かな藁屑が吹き飛ばされながら後方に移送され、この移送中に選別網63から漏下したものが一番螺旋65aに取り込まれる。このように、選別網63から漏下して一番螺旋65aに取り込まれる被処理物は、桔梗付着の少ない穀粒(清粒)が主である。
【0030】
一方、この選別網63から漏下しないものは、この選別網63上を後方へ移送されて該選別網63の後端部から二番螺旋86側に供給される。選別網63から漏下せずに二番螺旋86側に供給される被処理物は、枝梗付着粒や小さな藁屑等が主である。
【0031】
また、シーブ53の前部から漏下しない被処理物は、このシーブ53上を後方へ移送されて該シーブ53の後部から漏下して、二番螺旋86側に供給される。このように、シーブ53の後部から漏下して二番螺旋86に取り込まれるものは、主として藁屑である(僅かに穀粒も含まれる)。これら枝梗付着粒や藁屑を二番還元して再処理する。
【0032】
また、シーブ53の後端まで移送されたものは、矢印D方向(図3)にそのまま脱穀装置15の外へ排出される。この中には僅かな穀粒が含まれていることがあり、この量(比率)によって、脱穀装置15の選別精度が評価される。
このように、一番螺旋65a又は二番螺旋86にはそれぞれ、主に清粒、枝梗付着粒、藁屑といった大きさ(目合いを漏下するか否か)及び形状(選別風の影響を受け易いか)によって選別された被処理物が供給される。
【0033】
本実施例では、排塵処理室59の後端部から外部へ排出される排塵物と、選別室50の後端部から外部へ排出される排塵物とを、該揺動棚51の後端部の幅方向いっぱいに後下がりの傾斜状に取り付けた一枚の分離板93と該分離板93の上に背面視右下がり状に配置した複数の案内板94によって、後部左右のいずれか一方の側(本実施例では右側)へ放出案内できるように構成している。
このように、複数の案内板94は排塵処理室59と選別室50の双方からの排塵物を受けて分散するようにしている。
【0034】
また、分離板93の下方から後部が分離板93の仮想延長線よりも後方に来るように構成した揺動棚51の幅方向いっぱいに後下がりの傾斜状に取り付けた傾斜板98を設け、該傾斜板98の後部が分離板93の仮想延長線よりも後方に来るように構成し、この傾斜板98の上面に一枚以上の風ガイド97を背面視右下がり状に設けている。
上記構成により排塵処理室59と選別室50からの排塵物を圃場に均分に排出でき、窒素分の圃場のバラツキを防げる。
【0035】
即ち、揺動棚51の後端部に設けた傾斜板98の後部が、分離板93の仮想延長線よりも後側に配置されるため、揺動棚51の後端部から傾斜板98の上を流下する排塵物に排塵ファン91の風を効果的に作用させて既刈側の圃場面(コンバイン1の右側の圃場)に分散して排出できる。これにより圃場面上に排出された藁屑の層厚の偏りを少なくでき、この藁屑を堆肥とした土質の偏りを小さくして安定した収量を得ることができる。
【0036】
また、傾斜板98の上に背面視で右下がりの風ガイド97を設けているが、該風ガイド97は背面視で風ガイド97の始端部が扱胴69の中心軸と排塵処理胴71の中心軸との間に来るように構成した。
これにより、扱室66の後端の排稈口(脱穀後の排藁の穂先部が出ていくところ)から排出される扱室排塵物と排塵処理室59からの排塵物とを、コンバイン1の右側(既刈側)へ円滑に排出できる。
また、風ガイド97と傾斜板98とを排藁カッター81bの回転刃の下側に来るように配置しているので、排藁カッター81bによる切藁を圃場に均分に拡散でき、窒素分の圃場のバラツキを防げる。
【0037】
さらに、背面視において風ガイド97の始端部が扱胴69の回転軸と後側板始端部100(図4)とのほぼ中間に来るような構成にした。なお、後側板始端部100は扱胴69の後側を軸支する板であり、扱室66の後側壁となるものである。
このような構成により、扱室66からの扱室排塵物と排塵処理室59からの排塵物を圃場に均分に排出でき、窒素分の圃場のバラツキを防げる。
【0038】
また、風ガイド97の始端部が複数配置されるストローラック62(図4)のほぼ中央部に来るようにしているので、排塵処理室59からの排塵物を圃場に均分に排出でき、窒素分の圃場のバラツキを防げる。
このように藁が腐敗すると窒素分が多くなり、窒素分が多いと土壌が酸性になって腐食しやすいので、窒素分を圃場面に均一分散して肥料成分として有効に活用することができる。
【0039】
図6には、ホッパ型コンバインにおける、キャリア35の後方、排藁カッター81a,81bの前方に配置された燃料タンク101の固定手段の別実施例を示す。
図6(a)は燃料タンク101の側面図、図6(b)は燃料タンク101の平面図、図6(c)は燃料タンク101の固定バンド103の取付部分の斜視図であり、図6(d)は燃料タンク101の固定バンド103の一端部の斜視図である。
【0040】
燃料タンク101は、走行フレーム2の後端にナット105を溶接したプレート102を固定し、タンク固定バンド103の一端部に穴103aを設け、ボルト104で締め付ける。
【0041】
また、キャリア側・タンク101前下にL字のプレート108を設け、そこにタンクバンド固定用の穴108aを設け、タンク固定バンド103のもう一方の端部に取り付けたネジ107で固定する。
【0042】
燃料タンク101が脱穀装置15の後方にある場合や、ホッパ型コンバインでない場合には機体後方での作業になりやすいため、燃料タンク101の前側でタンク固定バンド103をフックに引っ掛け、後方でナット締めする構成が多い。
【0043】
この場合、後方にステーが必要であり、このステーが排藁カッター81bから落下する切断藁を遮ったり、下方へ突き出したタンク固定バンド103のネジ部107が泥土との干渉による後方からの力を受け、変形しやすい問題があった。
【0044】
そこで本実施例では、タンク固定バンド103の一端部をボルト104とナット105で固定することで、取り付け位置を任意に取りやすくなり、カッター81a,81bからの落下物を遮る構成を回避しやすく、また、簡易な構成でタンク固定バンド103の片端を確実に固定できる。
このように燃料タンク101の前後をバンド103を介して容易にセッティングできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の脱穀装置はコンバインなどの収穫した穀粒の処理装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの右側面図である。
【図2】図1のコンバインの正面図である。
【図3】図1のコンバインの脱穀装置の左側面断面図である。
【図4】図3の脱穀装置の背面図である。
【図5】図3の脱穀装置の処理胴を含む部分の一部切り欠き平面図である。
【図6】本発明の他の実施例のホッパ型コンバインの燃料タンクの固定手段を示し、図6(a)は燃料タンクの側面図、図6(b)は燃料タンクの平面図、図6(c)は燃料タンクの固定バンドの取付部分の斜視図、図6(d)は燃料タンクの固定バンドの一端部である。
【符号の説明】
【0047】
1 コンバイン 2 走行フレーム
3 走行装置 4 クローラ
6 刈取装置 7 分草具
8 穀稈引き起こし装置 11 刈刃
12 フィードチェン挟扼杆 14 フィードチェン
15 脱穀装置 18 縦オーガ
19 横オーガ 19a 排出シュータ
20 操縦席 30 ホッパ
35 キャリア 50 選別室
51 揺動棚 52 移送棚
53 シーブ 58 二番処理室
59 排塵処理室 62 ストローラック
63 選別網 64 一番棚板
65 一番揚穀筒 65a 一番螺旋
66 扱室 66a 前板
66b 中板 66c 後板
66x 連通口 69 扱胴
69a 扱歯 70 二番処理胴
70a 二番処理螺旋 71 排塵処理胴
71a 螺旋体 72 受け網
79 唐箕 79a 唐箕ファン
81a,81b 排藁カッター
85 二番棚板 86 二番螺旋
87 二番還元筒 91 排塵ファン
93 分離板 94 案内板
95 排藁処理室 97 風ガイド
98 傾斜板 99 排出ガイド
100 後板側始端部 101 燃料タンク
102 プレート 103 タンク固定バンド
103a 穴 104 ボルト
105 ナット 107 ネジ
108 L字プレート 108a 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈から穀粒を脱粒させる扱胴(69)を軸架した扱室(66)と、扱室(66)の隣接位置の二番処理室(58)に軸架して脱穀後の二番物を処理する二番処理胴(70)と、二番処理室(58)の後方に設けた排塵処理室(59)に軸架して扱室排塵物を処理する排塵処理胴(71)と、扱室(66)と二番処理室(58)と排塵処理室(59)の下方に設けて該各室(66,58,59)から落下する被処理物を後方に搬送しながら穀粒を選別する選別室(50)を備えた脱穀装置において、
扱室(66)の後方に設けた排塵ファン(91)の排塵風吹き出し側に分離板(93)を設け、選別室(50)の揺動棚(51)の後端部から外部へ排出される排塵物をガイドする後下がりの傾斜板(98)を設け、傾斜板(98)上に背面視で右下がりの風ガイド(97)を少なくとも1つ設け、傾斜板(98)の後部が分離板(93)の仮想延長線よりも後方に配置されるように設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
扱室(66)の後方に排藁カッター(81b)を設け、前記風ガイド(97)と傾斜板(98)を排藁カッター(81b)の下側に配置したことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−237134(P2008−237134A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83780(P2007−83780)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】