脱穀装置
【課題】送塵口側で搬送穀稈に対して刺さり粒が発生することを防止できる構造の脱穀装置を提供する。
【解決手段】扱胴9を軸架する穀稈供給口側壁23と送塵口側壁24との間の扱き口の上方の上唇板25Aに、扱胴9の横向き軸芯方向における扱歯76の存在範囲に亘って、扱胴9の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴9へ案内する可撓性を有する第1ガイド部材71を設け、扱胴9の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴9へ案内する剛体の第2ガイド部材78を、送塵口28側における扱胴9の横向き軸芯方向での扱歯76の存在範囲から外れた位置に配置した。
【解決手段】扱胴9を軸架する穀稈供給口側壁23と送塵口側壁24との間の扱き口の上方の上唇板25Aに、扱胴9の横向き軸芯方向における扱歯76の存在範囲に亘って、扱胴9の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴9へ案内する可撓性を有する第1ガイド部材71を設け、扱胴9の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴9へ案内する剛体の第2ガイド部材78を、送塵口28側における扱胴9の横向き軸芯方向での扱歯76の存在範囲から外れた位置に配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扱室の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴を備え、扱胴を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方の上唇板に、扱胴の横向き軸芯方向における扱歯の存在範囲に亘って、扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴へ案内する可撓性を有するガイド部材を設けてある脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、脱穀装置の扱室の扱き口に沿って、フィードチェーンで搬送される稈身の上部を覆う刺さり粒防止用のガイド部材を設けたものが知られている。
フィードチェーンで挟持搬送されながら扱室内に挿入された穀稈は、扱胴の回転によって脱穀処理され、脱穀処理中の処理物は扱胴の回転に連れ回って扱き口近くのフィードチェーンで挟持されている穀稈に向けて落下しようとするが、上記構成では、扱室の穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上部に沿って、穀稈の上部を覆う刺さり粒防止用のガイド部材を設けてあるので、このガイド部材によって穀稈に対して穀粒が刺さり込むのを防止できる利点がある。
扱胴に連れ回る処理物が塊となった場合、扱胴に連れ回る処理物の塊がガイド部材に当たると、可撓性のガイド部材が下方に撓んで処理物の塊の通過を許すようにしており、扱胴の外面とガイド部材の端部との間に処理物の塊が詰まるような状態が防止される。
【特許文献1】特開2000−270667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
扱室内では、搬送始端部では、穂付き穀稈から多量の穀粒が脱粒されるが、送塵口側では脱粒される穀粒量が少なくなる一方、扱胴に連れ回る処理物の量が多くなり送塵口側壁に沿って落下する処理物が多くなる。しかるに上記従来構造では、送塵口側壁と刺さり粒防止用のガイド部材との間に隙間があり、この隙間から送塵口側壁に沿って処理物が落下し、穀稈に多量の刺さり粒を生じさせることがあった。
【0004】
本発明の目的は、扱室終端部で搬送穀稈に対して刺さり粒が発生することを防止できる構造の脱穀装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔第1発明の構成〕
上記の目的を達成するため、本第1発明では、扱室の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴を備え、扱胴を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方の上唇板に、扱胴の横向き軸芯方向における扱歯の存在範囲に亘って、扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴へ案内する可撓性を有する第1ガイド部材を設け、扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴へ案内する剛体の第2ガイド部材を、送塵口側における扱胴の横向き軸芯方向での扱歯の存在範囲から外れた位置に配置してある。
【0006】
〔作用〕
本第1発明の構成によると、扱胴に連れ回りながら送塵口側壁に達した処理物は、送塵口側に設けた第2ガイド部材によって受け止められて扱胴側に落し込まれる。
【0007】
本第1発明によると、第2ガイド部材は送塵口側における扱胴の横向き軸芯方向での扱歯の存在範囲から外れた位置に配置されており、扱胴に連れ回る処理物の塊が第2ガイド部材に当たっても、扱胴の外面と第2ガイド部材の端部との間に処理物の塊が詰まるような状態は生じ難いので、第2ガイド部材を可撓性の部材で構成する必要はなく、金属板等の剛体で第2ガイド部材を構成することが可能である。
これにより、扱胴に連れ回る処理物の塊が第2ガイド部材に当たっても、第2ガイド部材があまり撓むことなく、処理物の塊が確実に扱胴側に落し込まれる点、及び第2ガイド部材に落下した処理物は第2ガイド部材で撥ね返されて分散した状態で扱胴側に落し込まれる点が期待できるので、穀粒の穀稈への刺さり込みを防止しながら扱室終端部での処理物の再処理も良好に行われる。
【0008】
〔発明の効果〕
したがって、本第1発明によれば、送塵口側の扱歯により処理されない穀稈に落下することによって生じる穀粒の刺さり込み現象を回避しながら、良好に脱穀処理を行うことができるに至った。
【0009】
〔第2発明の構成〕
本第2発明は、第1発明の構成において、第2ガイド部材を扱き口の上部の位置から扱胴に向かう下り傾斜の姿勢で配設してある。
【0010】
〔作用効果〕
本第2発明によれば、第2ガイド部材を扱き口の上部の位置から扱胴に向かう下り傾斜にしてあるので、第2ガイド部材に落下した処理物は扱胴側に向けて落し込まれ、穀粒の穀稈への刺さり込みを防止しながら送塵口側の処理物が良好に処理される。
【0011】
〔第3発明の構成〕
本第3発明は、第1発明の構成において、第2ガイド部材を扱き口の上部の位置から扱胴に向かう下り傾斜で、且つ送塵口側壁の位置から穀稈供給口側に向かう下り傾斜の姿勢で配設してある。
【0012】
〔作用効果〕
本第3発明によれば、第2ガイド部材を出口側における扱き口終端の角部から扱室の入り口側内方に向かう下り傾斜に形成してあるので、第2ガイド部材へ落下した処理物は扱胴側に向けて落とし込まれながら、扱室入口側にも戻されるようになり、一層分散した状態で扱胴側に落とし込まれて、穀粒の穀稈への刺さり込みを防止しながら良好に脱穀処理を行うことができるに至った。
【0013】
〔第4発明の構成〕
本第4発明は、第1〜第3発明のいずれか一つの構成において、第2ガイド部材を平面視で第1ガイド部材と重複するように配設してある。
【0014】
〔作用効果〕
本第4発明によれば、第2ガイド部材を第1ガイド部材と上下で重複するように構成しているので、平面視において、第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に隙間が生じない状態になっている。これにより、扱胴に連れ回る処理物が第1ガイド部材と第2ガイド部材との間を通過して穀稈に刺さり込むような状態が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、コンバインを示している。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1に支持される機体フレーム2の前端部に、横軸芯P周りで上下揺動自在に刈取前処理装置3を装着するとともに、機体フレーム2に、脱穀装置4、搭乗運転部5、穀粒貯留部6等を搭載装備して構成している。
【0016】
図2、図3にはコンバインに搭載される脱穀装置4を表しており、この脱穀装置4では脱穀部A、選別部B、回収部C夫々を上部、中間部、下部に配置して構成されている。
【0017】
前記脱穀部Aは扱室7内に前後向き姿勢の支軸8と一体回転自在に支持された扱胴9と、この扱胴9の下側に沿って配置した受網10とを備えると共に、扱室7の側面にフィードチェーン11と挟持レール12とで成る挟持搬送機構Dを備えて構成されている。
選別部Bは揺動選別装置13と、この揺動選別装置13に選別風を送る唐箕14とで構成され、揺動選別装置13は受網10から漏下した処理物を前部位置の波状に成形されたグレンパン15で受け止めると共に、揺動によって後方に移送しながらチャフシーブ16で粗選別を行った後、グレンシーブ17で穀粒だけを選別して漏下させ、更に、長藁はストローラック18によって脱穀装置外に送り出すものとなっている。
又、回収部Cは揺動選別装置13のグレンシーブ17で選別された穀粒を回収する一番スクリュー19と、グレンシーブ17の後端から放出された、あるいは、ストローラック18から漏下した二番物を回収する二番スクリュー20とを備えて構成され、一番スクリュー19で回収された穀粒は穀粒貯留部6に送られ、二番スクリュー20で回収された藁や枝付きの穀粒等の処理物は還元装置21によって揺動選別装置13の前部に戻されるようになっている。尚、脱穀装置4の後部には装置内の塵埃を吸引して排出する排塵ファン22を備えている。
【0018】
図2、図3、図5に示すように前記扱室7は穀稈供給口側の壁となる前壁23と、送塵口側の壁となる後壁24と、扱き口側の壁となる左側壁25と、これらの上部を覆う位置に配置される天井壁26とを備えて構成されると共に、前記扱胴9の支軸8は前壁23と後壁24とに架設され、前壁23には穀稈供給口27が形成され、後壁24には送塵口28が形成され、左側壁25には穀稈供給口27と送塵口28とに連なる扱き口29が形成されている。又、左側壁25のうち、扱き口29の上部近くの部分を含む上方箇所を上唇板25Aと称し、扱き口29の下部近くの部分を含む下方箇所を下唇板25Bと称し、上唇板25Aの外面に対して前記挟持レール12が支持され、下唇板25Bの外壁に対して前記フィードチェーン11が支持されている。
【0019】
図4は扱室7の前方の部分縦断側面図、図5は脱穀装置4の前側上部の部分縦断背面図を示す。前壁23の前方には脱穀装置4のフロントカバー30が設けられている。図示していないが、前壁23の前方に位置する扱胴9の支軸8には駆動プーリが配設されており、この駆動プーリはフロントカバー30で覆われている。
フロントカバー30にはゴム製のハンプ31,32がハンプ押さえ板33で押え付けられて、ネジ34で固定されて吊設されている。フロントカバー30の上部にはカバー取付け用ブラケット35に下向きにピン36が固定され、前壁23に連設されてピン孔を形成したクランク状のカバー支持板37を付設し、前記ピン孔にフロントカバー30に付設の前記ピン36を差し込むことにより、フロントカバー30が吊持ち支持されている。フロントカバー30側のピン36をカバー支持板37の前記ピン孔に挿通した段階では、ピン孔とピン36の係合部を支点としてフロントカバー30が前後に揺動できる状態にある。
フロントカバー30の下端部には、先端に上向き片38を有するボルト39で止着された係合片40を備え、前壁23に取付けられた底板41には係合部40と係合する板バネ係合部材42をボルト43止めしてある。
【0020】
フロントカバー30の中間高さに対応する高さ位置における前壁23の前面に支持棒43を前方にクランク状に延設し、フロントカバー30の背面に支持棒43の前側の横棒部分43aを嵌入させる二股状受け片44を取付けるとともに、横棒部分43aを二股状受け片44に嵌入させた状態で、係合ロックするロック部材45をフロントカバー30に設けてある。ロック部材45は、コイルスプリング(図示せず)で図4において紙面反時計回りに付勢されていて、ピン36をカバー支持板37のピン孔に挿通してフロントカバー30がカバー支持板37に揺動自在に支持された開放状態からフロントカバー30の下部を閉じ方向に揺動させるとロック部材45が横棒部分43aに当接して開き、フロントカバー30を閉じ位置まで押し込むとロック部材45がコイルスプリングの付勢力によりロック動作するように構成されている。符号46はカバーロック機構の操作部であり、これを開位置に操作するとロック部材45をロック状態からロック解除してこのロック解除状態を維持し、閉位置に操作するとロック解除状態が解かれてロック部材34がコイルスプリングの付勢力によりロック状態となる。
【0021】
図5、図9に示すように、扱室7内の天井壁26には、扱胴軸芯方向に複数の送塵弁47が設けられている。送塵弁47はリンク48で連係されており、ステッピングモータ49の駆動により角度を変更できるようになっている。制御装置50(マイコン)はチャフシーブ16上の選別処理物の処理量(厚み)を検出するシーブセンサ51の検出信号を受けて、処理量が多いときには、送塵弁47による脱穀処理物の送り量が速くなるようにステッピングモータ49を駆動させて、ギヤ52を図9において紙面反時計回りに回動させて送塵弁47の送り角度を大きくし、逆に選別処理物の処理量が少ないときには、送塵弁47による脱穀処理物の送り量が遅くなるようにステッピングモータ49を逆転駆動させて送塵弁47の送り角度を小さくなるように制御する。送塵弁47の角度は角度センサ53で検出され、送塵弁47の角度がシーブセンサ51による出力信号に見合う角度になるとステッピングモータ49の駆動が停止される。
【0022】
送塵弁47の角度は送塵弁自動手動切換スイッチ54による手動側への切換えにより、上記の自動制御から搭乗運転部5に設けた送塵弁開度設定器55を手動で設定することで、開度設定器55による開度に対応した角度に送塵弁54を無段階に設定することができるように構成されている。
【0023】
図10、図11は、一番スクリュー19に回収された穀粒を貯留する穀粒貯留部6のタンク内を示す縦断側面図及び部分正面図である。タンクの底部の搬送スクリュー56の上部にはバイブロシャッター57を設けてあり、タンクの上部にはバイブロシャッター57の駆動機構と同じ揺動機構58を備えた網体59を設けてある。揺動機構58は、傾斜させた網体59の回動支点軸60の下方にU字状の揺動片61を設け、左右の揺動片61の内部に摺接する偏芯カム62を設けてある。偏芯カム62の回転により、網体59が回動支点軸60を中心に揺動する。そして、一番スクリュー19に回収され、揚送装置63で揚送された穀粒はタンク内の網体59上に放出され、揺動機構58で篩い選別された穀粒はタンク内に落下し、網体59上に切れ藁が残った場合は、図示しない開口を開放する蓋体を開けて回収される。
【0024】
図5〜図8は本発明の特徴構造を示す。第1ガイド部材としての処理物ガイド部材71は、ゴム板取付け用のガイド板72とゴム板73とで構成されており、これらをボルト74で上唇板25Aに固定してある。処理物ガイド部材71は、ゴム板73により可撓性を有するように構成してある。
図7、図8に示すようにゴム板73の下端部に扱胴9の扱歯76が通過できるよう複数の切り欠き部77を開口形成すると共に、ゴム板73の下端が扱歯76の先端部の回転軌跡Sと重複するように構成してある。これにより、扱胴9の回転力によって扱室7内を回転する処理物は扱胴9側に確実に戻される結果、刺さり粒を発生させ難いものとなる。
この場合、ゴム板73の先端部が扱歯76の半径方向の長さ(図8の紙面左右方向の長さ)の1/2を越えて扱胴9側に入り込むように、ゴム板73を図8の紙面左右方向に長いものに構成してもよい。このように構成することに伴って、切り欠き部77がゴム板73に対して深いものになる(大きいものになる)。
【0025】
このように構成されたことから、脱穀処理が行われる場合には、挟持搬送機構Dで株元が挟持された状態で搬送される穀稈の穂先部は、扱胴9の下側と受網10の上面との間に送り込まれることで、扱胴9の扱歯76の作用で穂先部から穀粒が分離して受網10から漏下するものとなっており、又、受網10から漏下していない穀粒が混在する処理物は扱胴9の回転力によって扱室7内を回転して穀稈の株元側に送られるものであるが、扱胴9の周りを回転してきた処理物は処理物ガイド部材71に接触して扱胴9の側に戻されるので、搬送穀稈の束の内部に入り込む、いわゆる、刺さり粒の発生を抑制するものとなっている。
【0026】
図6、図7、図8に示すように、扱室7の後壁24には、扱き口29側から内方下方に傾斜した剛体の第2ガイド部材としての鋼製の蹴返し板78を設けてある。蹴返し板78の取付け片78Aは2個のボルトナット79で後壁24に固定し、蹴返し板78の蹴返し片78Bは扱胴9の外周面よりも外方で、前記処理物ガイド部材71のゴム板73の上側で、且つ、扱胴9の後端より前方で扱胴9に設けられた後端の扱歯76よりも後方となる部位に配設してある。
【0027】
このように扱室7の出口となる扱室後壁24に蹴返し板78を設ければ、扱室終端で循環していた藁屑と穀粒の混合物(処理物)は、蹴返し板78によって受け止められて扱胴9側に落し込まれる。蹴返し板78は剛体で形成してあるので、蹴返し板78に落下した処理物は蹴返し板78で撥ね返されて分散した状態で扱胴9側に落し込まれるので、穀粒の穀稈への刺さり込みを防止しながら扱室終端部での処理物の再処理が良好に行われる。
【0028】
〔別実施の形態〕
図12は、扱き口29の下方の下唇板25Bに取付けたチェーン脱穀機構64を示し、駆動スプロケット65と上下一対の従動スプロケット66,67とに亘って扱歯付きチェーン68を巻回してある。扱歯付きチェーン68を穀稈の搬送方向に複数列設けてチェーン脱穀機構64を構成してある。駆動スプロケット65は図中の矢印で示す紙面時計回りに回転する。これにより、扱胴9によるボリュームの多い穀稈の下側の扱き残しを解消するとともに、搬送途中で折れ曲がった穀稈を正しい位置に戻し、又、穀稈に刺さり込んだ穀粒を下側から掻き出すようにしてある。このチェーン脱穀機構64を、前記した発明を実施するための最良の形態に追加してもよい。
【0029】
上記発明を実施するための最良の形態では、第2ガイド部材である蹴返し板78を扱室の後壁24に設けたが、蹴返し板78を上唇板25A側に取付けてもよい。又、蹴返し片78Bの蹴返し面は、機体左右方向に水平で、機体前方側程低い傾斜状態に、或いは機体左右方向及び機体前方側程低い傾斜状態に設けてもよい。
【0030】
図13は、扱胴9とフィードチェーン11の配置の変形例を示す平面図、図14はその側面図である。この構造では、フィードチェーン11を搬送始端部から搬送終端部まで平面視で斜めに配設するとともに、挟持レール12を下側に、フィードチェーン11をその上側に配置してあり、扱胴9もこれに沿って斜めに配設してある。これによってフィードチェーン11を排藁搬送チェーンを兼ねて、脱穀後の搬送排藁に受け継ぎミスがないようにしてある。
【0031】
図15は、扱胴9とフィードチェーン11の配置の別の変形例を示す縦断正面図であり、扱き口29を扱室7の上方に設け、扱き口29の上方に沿ってフィードチェーン11と挟持レール12を設けたものである。このようにすれば、刺さり粒は自重により落下する傾向にあるので、刺さり粒防止用の処理物ガイド板を設けなくても穀稈への刺さり粒を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の概略縦断側面図
【図3】脱穀装置の部分正面図
【図4】扱室前方の部分縦断側面図
【図5】脱穀装置の部分縦断背面図
【図6】脱穀装置の後部の一部破断背面図
【図7】処理物ガイド部材を示す側面図
【図8】処理物ガイド部材を示す一部横断平面図
【図9】送塵弁の制御構成を示すブロック図
【図10】穀粒貯留部の一部縦断側面図
【図11】穀粒貯留部の部分正面図
【図12】別実施の形態を示す脱穀装置のチェーン脱穀機構の一部縦断背面図
【図13】別実施の形態の概略平面図
【図14】別実施の形態の概略側面図
【図15】変形例の形態を示す一部縦断正面図
【符号の説明】
【0033】
7 扱室
9 扱胴
23 穀稈供給口側壁(扱室の前壁)
24 送塵口側壁(扱室の後壁)
25A 上唇板
28 送塵口
29 扱き口
71 第1ガイド部材(処理物ガイド部材)
76 扱歯
78 第2ガイド部材(蹴返し板)
【技術分野】
【0001】
本発明は扱室の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴を備え、扱胴を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方の上唇板に、扱胴の横向き軸芯方向における扱歯の存在範囲に亘って、扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴へ案内する可撓性を有するガイド部材を設けてある脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、脱穀装置の扱室の扱き口に沿って、フィードチェーンで搬送される稈身の上部を覆う刺さり粒防止用のガイド部材を設けたものが知られている。
フィードチェーンで挟持搬送されながら扱室内に挿入された穀稈は、扱胴の回転によって脱穀処理され、脱穀処理中の処理物は扱胴の回転に連れ回って扱き口近くのフィードチェーンで挟持されている穀稈に向けて落下しようとするが、上記構成では、扱室の穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上部に沿って、穀稈の上部を覆う刺さり粒防止用のガイド部材を設けてあるので、このガイド部材によって穀稈に対して穀粒が刺さり込むのを防止できる利点がある。
扱胴に連れ回る処理物が塊となった場合、扱胴に連れ回る処理物の塊がガイド部材に当たると、可撓性のガイド部材が下方に撓んで処理物の塊の通過を許すようにしており、扱胴の外面とガイド部材の端部との間に処理物の塊が詰まるような状態が防止される。
【特許文献1】特開2000−270667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
扱室内では、搬送始端部では、穂付き穀稈から多量の穀粒が脱粒されるが、送塵口側では脱粒される穀粒量が少なくなる一方、扱胴に連れ回る処理物の量が多くなり送塵口側壁に沿って落下する処理物が多くなる。しかるに上記従来構造では、送塵口側壁と刺さり粒防止用のガイド部材との間に隙間があり、この隙間から送塵口側壁に沿って処理物が落下し、穀稈に多量の刺さり粒を生じさせることがあった。
【0004】
本発明の目的は、扱室終端部で搬送穀稈に対して刺さり粒が発生することを防止できる構造の脱穀装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔第1発明の構成〕
上記の目的を達成するため、本第1発明では、扱室の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴を備え、扱胴を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方の上唇板に、扱胴の横向き軸芯方向における扱歯の存在範囲に亘って、扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴へ案内する可撓性を有する第1ガイド部材を設け、扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて扱胴へ案内する剛体の第2ガイド部材を、送塵口側における扱胴の横向き軸芯方向での扱歯の存在範囲から外れた位置に配置してある。
【0006】
〔作用〕
本第1発明の構成によると、扱胴に連れ回りながら送塵口側壁に達した処理物は、送塵口側に設けた第2ガイド部材によって受け止められて扱胴側に落し込まれる。
【0007】
本第1発明によると、第2ガイド部材は送塵口側における扱胴の横向き軸芯方向での扱歯の存在範囲から外れた位置に配置されており、扱胴に連れ回る処理物の塊が第2ガイド部材に当たっても、扱胴の外面と第2ガイド部材の端部との間に処理物の塊が詰まるような状態は生じ難いので、第2ガイド部材を可撓性の部材で構成する必要はなく、金属板等の剛体で第2ガイド部材を構成することが可能である。
これにより、扱胴に連れ回る処理物の塊が第2ガイド部材に当たっても、第2ガイド部材があまり撓むことなく、処理物の塊が確実に扱胴側に落し込まれる点、及び第2ガイド部材に落下した処理物は第2ガイド部材で撥ね返されて分散した状態で扱胴側に落し込まれる点が期待できるので、穀粒の穀稈への刺さり込みを防止しながら扱室終端部での処理物の再処理も良好に行われる。
【0008】
〔発明の効果〕
したがって、本第1発明によれば、送塵口側の扱歯により処理されない穀稈に落下することによって生じる穀粒の刺さり込み現象を回避しながら、良好に脱穀処理を行うことができるに至った。
【0009】
〔第2発明の構成〕
本第2発明は、第1発明の構成において、第2ガイド部材を扱き口の上部の位置から扱胴に向かう下り傾斜の姿勢で配設してある。
【0010】
〔作用効果〕
本第2発明によれば、第2ガイド部材を扱き口の上部の位置から扱胴に向かう下り傾斜にしてあるので、第2ガイド部材に落下した処理物は扱胴側に向けて落し込まれ、穀粒の穀稈への刺さり込みを防止しながら送塵口側の処理物が良好に処理される。
【0011】
〔第3発明の構成〕
本第3発明は、第1発明の構成において、第2ガイド部材を扱き口の上部の位置から扱胴に向かう下り傾斜で、且つ送塵口側壁の位置から穀稈供給口側に向かう下り傾斜の姿勢で配設してある。
【0012】
〔作用効果〕
本第3発明によれば、第2ガイド部材を出口側における扱き口終端の角部から扱室の入り口側内方に向かう下り傾斜に形成してあるので、第2ガイド部材へ落下した処理物は扱胴側に向けて落とし込まれながら、扱室入口側にも戻されるようになり、一層分散した状態で扱胴側に落とし込まれて、穀粒の穀稈への刺さり込みを防止しながら良好に脱穀処理を行うことができるに至った。
【0013】
〔第4発明の構成〕
本第4発明は、第1〜第3発明のいずれか一つの構成において、第2ガイド部材を平面視で第1ガイド部材と重複するように配設してある。
【0014】
〔作用効果〕
本第4発明によれば、第2ガイド部材を第1ガイド部材と上下で重複するように構成しているので、平面視において、第1ガイド部材と第2ガイド部材との間に隙間が生じない状態になっている。これにより、扱胴に連れ回る処理物が第1ガイド部材と第2ガイド部材との間を通過して穀稈に刺さり込むような状態が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、コンバインを示している。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1に支持される機体フレーム2の前端部に、横軸芯P周りで上下揺動自在に刈取前処理装置3を装着するとともに、機体フレーム2に、脱穀装置4、搭乗運転部5、穀粒貯留部6等を搭載装備して構成している。
【0016】
図2、図3にはコンバインに搭載される脱穀装置4を表しており、この脱穀装置4では脱穀部A、選別部B、回収部C夫々を上部、中間部、下部に配置して構成されている。
【0017】
前記脱穀部Aは扱室7内に前後向き姿勢の支軸8と一体回転自在に支持された扱胴9と、この扱胴9の下側に沿って配置した受網10とを備えると共に、扱室7の側面にフィードチェーン11と挟持レール12とで成る挟持搬送機構Dを備えて構成されている。
選別部Bは揺動選別装置13と、この揺動選別装置13に選別風を送る唐箕14とで構成され、揺動選別装置13は受網10から漏下した処理物を前部位置の波状に成形されたグレンパン15で受け止めると共に、揺動によって後方に移送しながらチャフシーブ16で粗選別を行った後、グレンシーブ17で穀粒だけを選別して漏下させ、更に、長藁はストローラック18によって脱穀装置外に送り出すものとなっている。
又、回収部Cは揺動選別装置13のグレンシーブ17で選別された穀粒を回収する一番スクリュー19と、グレンシーブ17の後端から放出された、あるいは、ストローラック18から漏下した二番物を回収する二番スクリュー20とを備えて構成され、一番スクリュー19で回収された穀粒は穀粒貯留部6に送られ、二番スクリュー20で回収された藁や枝付きの穀粒等の処理物は還元装置21によって揺動選別装置13の前部に戻されるようになっている。尚、脱穀装置4の後部には装置内の塵埃を吸引して排出する排塵ファン22を備えている。
【0018】
図2、図3、図5に示すように前記扱室7は穀稈供給口側の壁となる前壁23と、送塵口側の壁となる後壁24と、扱き口側の壁となる左側壁25と、これらの上部を覆う位置に配置される天井壁26とを備えて構成されると共に、前記扱胴9の支軸8は前壁23と後壁24とに架設され、前壁23には穀稈供給口27が形成され、後壁24には送塵口28が形成され、左側壁25には穀稈供給口27と送塵口28とに連なる扱き口29が形成されている。又、左側壁25のうち、扱き口29の上部近くの部分を含む上方箇所を上唇板25Aと称し、扱き口29の下部近くの部分を含む下方箇所を下唇板25Bと称し、上唇板25Aの外面に対して前記挟持レール12が支持され、下唇板25Bの外壁に対して前記フィードチェーン11が支持されている。
【0019】
図4は扱室7の前方の部分縦断側面図、図5は脱穀装置4の前側上部の部分縦断背面図を示す。前壁23の前方には脱穀装置4のフロントカバー30が設けられている。図示していないが、前壁23の前方に位置する扱胴9の支軸8には駆動プーリが配設されており、この駆動プーリはフロントカバー30で覆われている。
フロントカバー30にはゴム製のハンプ31,32がハンプ押さえ板33で押え付けられて、ネジ34で固定されて吊設されている。フロントカバー30の上部にはカバー取付け用ブラケット35に下向きにピン36が固定され、前壁23に連設されてピン孔を形成したクランク状のカバー支持板37を付設し、前記ピン孔にフロントカバー30に付設の前記ピン36を差し込むことにより、フロントカバー30が吊持ち支持されている。フロントカバー30側のピン36をカバー支持板37の前記ピン孔に挿通した段階では、ピン孔とピン36の係合部を支点としてフロントカバー30が前後に揺動できる状態にある。
フロントカバー30の下端部には、先端に上向き片38を有するボルト39で止着された係合片40を備え、前壁23に取付けられた底板41には係合部40と係合する板バネ係合部材42をボルト43止めしてある。
【0020】
フロントカバー30の中間高さに対応する高さ位置における前壁23の前面に支持棒43を前方にクランク状に延設し、フロントカバー30の背面に支持棒43の前側の横棒部分43aを嵌入させる二股状受け片44を取付けるとともに、横棒部分43aを二股状受け片44に嵌入させた状態で、係合ロックするロック部材45をフロントカバー30に設けてある。ロック部材45は、コイルスプリング(図示せず)で図4において紙面反時計回りに付勢されていて、ピン36をカバー支持板37のピン孔に挿通してフロントカバー30がカバー支持板37に揺動自在に支持された開放状態からフロントカバー30の下部を閉じ方向に揺動させるとロック部材45が横棒部分43aに当接して開き、フロントカバー30を閉じ位置まで押し込むとロック部材45がコイルスプリングの付勢力によりロック動作するように構成されている。符号46はカバーロック機構の操作部であり、これを開位置に操作するとロック部材45をロック状態からロック解除してこのロック解除状態を維持し、閉位置に操作するとロック解除状態が解かれてロック部材34がコイルスプリングの付勢力によりロック状態となる。
【0021】
図5、図9に示すように、扱室7内の天井壁26には、扱胴軸芯方向に複数の送塵弁47が設けられている。送塵弁47はリンク48で連係されており、ステッピングモータ49の駆動により角度を変更できるようになっている。制御装置50(マイコン)はチャフシーブ16上の選別処理物の処理量(厚み)を検出するシーブセンサ51の検出信号を受けて、処理量が多いときには、送塵弁47による脱穀処理物の送り量が速くなるようにステッピングモータ49を駆動させて、ギヤ52を図9において紙面反時計回りに回動させて送塵弁47の送り角度を大きくし、逆に選別処理物の処理量が少ないときには、送塵弁47による脱穀処理物の送り量が遅くなるようにステッピングモータ49を逆転駆動させて送塵弁47の送り角度を小さくなるように制御する。送塵弁47の角度は角度センサ53で検出され、送塵弁47の角度がシーブセンサ51による出力信号に見合う角度になるとステッピングモータ49の駆動が停止される。
【0022】
送塵弁47の角度は送塵弁自動手動切換スイッチ54による手動側への切換えにより、上記の自動制御から搭乗運転部5に設けた送塵弁開度設定器55を手動で設定することで、開度設定器55による開度に対応した角度に送塵弁54を無段階に設定することができるように構成されている。
【0023】
図10、図11は、一番スクリュー19に回収された穀粒を貯留する穀粒貯留部6のタンク内を示す縦断側面図及び部分正面図である。タンクの底部の搬送スクリュー56の上部にはバイブロシャッター57を設けてあり、タンクの上部にはバイブロシャッター57の駆動機構と同じ揺動機構58を備えた網体59を設けてある。揺動機構58は、傾斜させた網体59の回動支点軸60の下方にU字状の揺動片61を設け、左右の揺動片61の内部に摺接する偏芯カム62を設けてある。偏芯カム62の回転により、網体59が回動支点軸60を中心に揺動する。そして、一番スクリュー19に回収され、揚送装置63で揚送された穀粒はタンク内の網体59上に放出され、揺動機構58で篩い選別された穀粒はタンク内に落下し、網体59上に切れ藁が残った場合は、図示しない開口を開放する蓋体を開けて回収される。
【0024】
図5〜図8は本発明の特徴構造を示す。第1ガイド部材としての処理物ガイド部材71は、ゴム板取付け用のガイド板72とゴム板73とで構成されており、これらをボルト74で上唇板25Aに固定してある。処理物ガイド部材71は、ゴム板73により可撓性を有するように構成してある。
図7、図8に示すようにゴム板73の下端部に扱胴9の扱歯76が通過できるよう複数の切り欠き部77を開口形成すると共に、ゴム板73の下端が扱歯76の先端部の回転軌跡Sと重複するように構成してある。これにより、扱胴9の回転力によって扱室7内を回転する処理物は扱胴9側に確実に戻される結果、刺さり粒を発生させ難いものとなる。
この場合、ゴム板73の先端部が扱歯76の半径方向の長さ(図8の紙面左右方向の長さ)の1/2を越えて扱胴9側に入り込むように、ゴム板73を図8の紙面左右方向に長いものに構成してもよい。このように構成することに伴って、切り欠き部77がゴム板73に対して深いものになる(大きいものになる)。
【0025】
このように構成されたことから、脱穀処理が行われる場合には、挟持搬送機構Dで株元が挟持された状態で搬送される穀稈の穂先部は、扱胴9の下側と受網10の上面との間に送り込まれることで、扱胴9の扱歯76の作用で穂先部から穀粒が分離して受網10から漏下するものとなっており、又、受網10から漏下していない穀粒が混在する処理物は扱胴9の回転力によって扱室7内を回転して穀稈の株元側に送られるものであるが、扱胴9の周りを回転してきた処理物は処理物ガイド部材71に接触して扱胴9の側に戻されるので、搬送穀稈の束の内部に入り込む、いわゆる、刺さり粒の発生を抑制するものとなっている。
【0026】
図6、図7、図8に示すように、扱室7の後壁24には、扱き口29側から内方下方に傾斜した剛体の第2ガイド部材としての鋼製の蹴返し板78を設けてある。蹴返し板78の取付け片78Aは2個のボルトナット79で後壁24に固定し、蹴返し板78の蹴返し片78Bは扱胴9の外周面よりも外方で、前記処理物ガイド部材71のゴム板73の上側で、且つ、扱胴9の後端より前方で扱胴9に設けられた後端の扱歯76よりも後方となる部位に配設してある。
【0027】
このように扱室7の出口となる扱室後壁24に蹴返し板78を設ければ、扱室終端で循環していた藁屑と穀粒の混合物(処理物)は、蹴返し板78によって受け止められて扱胴9側に落し込まれる。蹴返し板78は剛体で形成してあるので、蹴返し板78に落下した処理物は蹴返し板78で撥ね返されて分散した状態で扱胴9側に落し込まれるので、穀粒の穀稈への刺さり込みを防止しながら扱室終端部での処理物の再処理が良好に行われる。
【0028】
〔別実施の形態〕
図12は、扱き口29の下方の下唇板25Bに取付けたチェーン脱穀機構64を示し、駆動スプロケット65と上下一対の従動スプロケット66,67とに亘って扱歯付きチェーン68を巻回してある。扱歯付きチェーン68を穀稈の搬送方向に複数列設けてチェーン脱穀機構64を構成してある。駆動スプロケット65は図中の矢印で示す紙面時計回りに回転する。これにより、扱胴9によるボリュームの多い穀稈の下側の扱き残しを解消するとともに、搬送途中で折れ曲がった穀稈を正しい位置に戻し、又、穀稈に刺さり込んだ穀粒を下側から掻き出すようにしてある。このチェーン脱穀機構64を、前記した発明を実施するための最良の形態に追加してもよい。
【0029】
上記発明を実施するための最良の形態では、第2ガイド部材である蹴返し板78を扱室の後壁24に設けたが、蹴返し板78を上唇板25A側に取付けてもよい。又、蹴返し片78Bの蹴返し面は、機体左右方向に水平で、機体前方側程低い傾斜状態に、或いは機体左右方向及び機体前方側程低い傾斜状態に設けてもよい。
【0030】
図13は、扱胴9とフィードチェーン11の配置の変形例を示す平面図、図14はその側面図である。この構造では、フィードチェーン11を搬送始端部から搬送終端部まで平面視で斜めに配設するとともに、挟持レール12を下側に、フィードチェーン11をその上側に配置してあり、扱胴9もこれに沿って斜めに配設してある。これによってフィードチェーン11を排藁搬送チェーンを兼ねて、脱穀後の搬送排藁に受け継ぎミスがないようにしてある。
【0031】
図15は、扱胴9とフィードチェーン11の配置の別の変形例を示す縦断正面図であり、扱き口29を扱室7の上方に設け、扱き口29の上方に沿ってフィードチェーン11と挟持レール12を設けたものである。このようにすれば、刺さり粒は自重により落下する傾向にあるので、刺さり粒防止用の処理物ガイド板を設けなくても穀稈への刺さり粒を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の概略縦断側面図
【図3】脱穀装置の部分正面図
【図4】扱室前方の部分縦断側面図
【図5】脱穀装置の部分縦断背面図
【図6】脱穀装置の後部の一部破断背面図
【図7】処理物ガイド部材を示す側面図
【図8】処理物ガイド部材を示す一部横断平面図
【図9】送塵弁の制御構成を示すブロック図
【図10】穀粒貯留部の一部縦断側面図
【図11】穀粒貯留部の部分正面図
【図12】別実施の形態を示す脱穀装置のチェーン脱穀機構の一部縦断背面図
【図13】別実施の形態の概略平面図
【図14】別実施の形態の概略側面図
【図15】変形例の形態を示す一部縦断正面図
【符号の説明】
【0033】
7 扱室
9 扱胴
23 穀稈供給口側壁(扱室の前壁)
24 送塵口側壁(扱室の後壁)
25A 上唇板
28 送塵口
29 扱き口
71 第1ガイド部材(処理物ガイド部材)
76 扱歯
78 第2ガイド部材(蹴返し板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴を備え、前記扱胴を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方の上唇板に、前記扱胴の横向き軸芯方向における扱歯の存在範囲に亘って、前記扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて前記扱胴へ案内する可撓性を有する第1ガイド部材を設け、
前記扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて前記扱胴へ案内する剛体の第2ガイド部材を、前記送塵口側における前記扱胴の横向き軸芯方向での前記扱歯の存在範囲から外れた位置に配置してある脱穀装置。
【請求項2】
前記第2ガイド部材を前記扱き口の上部の位置から前記扱胴に向かう下り傾斜の姿勢で配設してある請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記第2ガイド部材を前記扱き口の上部の位置から前記扱胴に向かう下り傾斜で、且つ前記送塵口側壁の位置から穀稈供給口側に向かう下り傾斜の姿勢で配設してある請求項1記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記第2ガイド部材を平面視で前記第1ガイド部材と重複するように配設してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【請求項1】
扱室の内部に横向き姿勢の軸芯周りで回動する扱胴を備え、前記扱胴を軸架する穀稈供給口側壁と送塵口側壁との間の扱き口の上方の上唇板に、前記扱胴の横向き軸芯方向における扱歯の存在範囲に亘って、前記扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて前記扱胴へ案内する可撓性を有する第1ガイド部材を設け、
前記扱胴の回転に伴って上方から下方に入り込む穀粒を受け止めて前記扱胴へ案内する剛体の第2ガイド部材を、前記送塵口側における前記扱胴の横向き軸芯方向での前記扱歯の存在範囲から外れた位置に配置してある脱穀装置。
【請求項2】
前記第2ガイド部材を前記扱き口の上部の位置から前記扱胴に向かう下り傾斜の姿勢で配設してある請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記第2ガイド部材を前記扱き口の上部の位置から前記扱胴に向かう下り傾斜で、且つ前記送塵口側壁の位置から穀稈供給口側に向かう下り傾斜の姿勢で配設してある請求項1記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記第2ガイド部材を平面視で前記第1ガイド部材と重複するように配設してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−88323(P2010−88323A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259819(P2008−259819)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]