説明

脱穀装置

【課題】選別網の詰まりによる選別効率の低下、メンテナンスが面倒であること。
【解決手段】扱胴10の下側に扱網15を設けて脱穀室11を形成し、該脱穀室11の下方に唐箕16からの送風により風選する風選室18を設け、該風選室18に往復揺動する揺動選別棚20を設け、該揺動選別棚20には、穀粒と藁屑とを選別するフィン36を揺動方向に複数並設したシーブ23を設け、前記揺動選別棚20には、シーブ23の下方に所定間隔をおいて選別網70を設け、該選別網70の上面に摺接しながら揺動選別棚20の揺動方向と交差する方向に往復移動するスクレーパ71を設けたことを特徴とする脱穀装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀室の下方に揺動選別装置を設け、揺動選別棚には、脱穀室からの落下物から穀粒を選別するシーブを設け、
シーブに付着した藁屑を除去する清掃手段を設けた構成は、公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−100671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、シーブに付着した藁屑の除去はできるが、選別網を清掃できず、詰まりが生じる課題があり、その結果、一番回収部での回収効率が低下するという課題がある。
加えて、選別網から上方のシーブへの選別風の通りを阻害し、シーブ上での選別効率が悪化し、シーブも詰まり、更に、選別効率が悪化させている。
本願は、シーブおよびスクレーパの構成を工夫して、穀粒の選別効率を高めたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、扱胴10の下側に扱網15を設けて脱穀室11を形成し、該脱穀室11の下方に唐箕16からの送風により風選する風選室18を設け、該風選室18に往復揺動する揺動選別棚20を設け、該揺動選別棚20には、穀粒と藁屑とを選別するフィン36を揺動方向に複数並設したシーブ23を設け、前記揺動選別棚20には、シーブ23の下方に所定間隔をおいて選別網70を設け、該選別網70の上面に摺接しながら揺動選別棚20の揺動方向と交差する方向に往復移動するスクレーパ71を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、選別網70上をスクレーパ71が揺動選別棚20の揺動方向と交差する方向に往復移動し、選別網70に詰まる藁屑を除去する。
請求項2記載の発明は、前記揺動選別棚20は、前記シーブ23の前側に設けた移送棚部22の後側下方に桶部74を形成し、該桶部74の後側に前記選別網70を位置させ、前記スクレーパ71の前端部を桶部74上に臨ませたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、スクレーパ71は選別網70および桶部74上を往復移動し、選別網70に詰まる藁屑を除去し、桶部74上の塵埃藁屑を除去する。
請求項3記載の発明は、前記スクレーパ71は、前記選別網70の上面から上下方向に所定長さを有する形状に形成したことを特徴とする脱穀装置としたものであり、スクレーパ71は、選別網70上の嵩のある藁屑であっても当接して除去する。
請求項4記載の発明は、前記スクレーパ71を、左右方向に複数設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、複数のスクレーパ71が選別網70上を夫々移動して広い部分の選別網70に詰まる藁屑を除去する。
請求項5記載の発明は、前記シーブ23に摺接しながら揺動選別棚20の揺動方向と交差する方向に往復移動する上側スクレーパ40を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものであり、スクレーパ71は選別網70に付着する藁屑を除去し、上側スクレーパ40はシーブ23に付着した付着物を除去する。
請求項6記載の発明は、前記揺動選別棚20側の取付軸63に前後アーム59の基部を軸支し、該前後アーム59に下側スクレーパ71を一体的に設け、前後アーム59の先端部を、上側スクレーパ40側の取付軸58に係合させ、前後アーム59を前記取付軸63回りに揺動させることで、下側スクレーパ71と上側スクレーパ40とが揺動選別棚20の揺動方向と交差する方向に往復移動することを特徴とする脱穀装置としたものであり、上側スクレーパ40と連動して下側スクレーパ71が移動する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、選別網70上をスクレーパ71が揺動選別棚20の揺動方向と交差する方向に往復移動するので、選別網70に詰まる藁屑を除去でき、選別網70からの穀粒の落下を促進させて、回収効率を向上させて、選別精度および選別効率を向上させることができ、スクレーパ71の左右移動により選別網70上の被処理物を拡散させて均分化させことができ、この点でも、穀粒の回収効率を向上させ、選別精度および選別効率を向上させることができる。
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明の効果に加え、スクレーパ71が選別網70と桶部74上を揺動選別棚20の揺動方向と交差する方向に移動するので、選別網70に詰まる藁屑と桶部74上の塵埃藁屑を除去でき、選別網70からの穀粒の落下を促進させて、回収効率を向上させて、選別精度および選別効率を向上させることができる。
請求項3記載の発明では、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、所定高さを有するスクレーパ71により嵩のある藁屑であっても除去でき、選別網70からの穀粒の落下を促進させて、回収効率を向上させて、選別精度および選別効率を向上させることができる。
請求項4記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果に加え、複数のスクレーパ71が選別網70上を移動するので、広範囲の選別網70に詰まる藁屑を除去でき、穀粒の回収効率を向上させ、選別精度および選別効率を向上させることができる。
請求項5記載の発明では、上記請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、シーブ23と選別網70との上下二段の選別部分の付着物を、上側スクレーパ40と下側スクレーパ71の夫々により除去でき、穀粒の回収効率を向上させ、選別精度および選別効率を向上させることができる。
請求項6記載の発明では、上記請求項5記載の発明の効果に加え、前後アーム59により上側スクレーパ40と下側スクレーパ71とを移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】脱穀装置の縦断側面図。
【図3】揺動選別棚の側面図。
【図4】同平面図。
【図5】上側スクレーパの背面図。
【図6】下側スクレーパの側面図。
【図7】同着脱状態図。
【図8】脱穀装置の正面図。
【図9】下側スクレーパとアームの取付部分の概略斜視図。
【図10】同取付状態図。
【図11】選別網の平面図。
【図12】グレンタンクの正面図。
【図13】上部グレンタンクの正面図。
【図14】同側面図。
【図15】同着脱状態正面図。
【図16】同オープン作業状態平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例をコンバインの例にて図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取装置、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、6はグレンタンク5の前方に設けた操縦部である。
前記刈取装置4は、圃場の穀稈を分草する分草装置7と、穀稈を引き起こす引起装置8と、引き起こした穀稈を切断する刈刃9等を備えている。
前記脱穀装置3は、上部に扱胴10を略水平に軸装した脱穀室11を設け、脱穀室11の一側には前記刈取装置4により刈り取った穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置12の穀稈を挾持搬送する挾扼杆13Aと供給搬送チエン13Bを設けている。14は穀稈供給搬送装置12から引き継いだ脱穀済みの排藁を搬送する排藁搬送装置である。
なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0009】
扱胴10の主として下方側は扱網15により包囲し、扱網15の下方には唐箕16の唐箕ケーシング17を設ける。前記脱穀室11の下方には前記唐箕16の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室18を形成し、風選室18内には唐箕16の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設ける。
揺動選別装置21は、その揺動選別棚20の始端部(前端部)を唐箕ケーシング12の上方に位置させて移送棚部22に形成する。移送棚部22の構成は任意であり、移送方向下手側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚部22の上面に突起や凹凸を設けて、揺動選別装置21の移送方向下手側のシーブ(グレンシーブ)23に向けて扱網15からの落下物を移送できればよい。
前記シーブ23は脱穀室11の排稈口25の略下方よりも上手側に設けた前側シーブ26と、排稈口25の略下方から下手側に設けた後側シーブ27を有している。
【0010】
30は後側シーブ27の下手側に設けたストローラック、31は揺動選別棚20の下方所定位置に設けた一番コンベア、32は一番コンベア31の後側に設けた二番コンベア、33は吸引排塵ファン、34は吸引排塵ファン33のケーシング、35は排塵処理装置、36Aは二番処理装置、37Aは移送棚部22上に設けた始端側寄せ板であり、二番処理装置36Aで処理された処理物を穀稈供給搬送装置12側のシーブ23に誘導し、揺動選別棚20上の被処理物の均分化を図るものである。
しかして、前側シーブ26および後側シーブ27は、薄い縦方向の平板形状のフィン36を、前側枠体37と後側枠体38に前後に所定間隔をおいて揺動方向に複数並設し、移送方向の下手側(後側)が高くなるように傾斜させて設けて構成する。
前記前側シーブ26および後側シーブ27のうち、少なくとも、前側シーブ26には、スクレーパ(上側スクレーパ)40を設ける。スクレーパ40は、前側シーブ26と共に、前側枠体37に取付け、前側枠体37を揺動選別棚20に対して着脱自在に取付け、スクレーパ40と前側シーブ26は、揺動選別棚20に対して着脱自在に構成する。
【0011】
そのため、前側シーブ26の付着物をスクレーパ40により除去でき、前側シーブ26のフィン36間の間隔が付着物により狭くなるのを防止し、穀粒の漏下効率の低下を抑制して、脱穀ロスの発生を防止する。
なお、後側シーブ27に、スクレーパ40と同一構成の後側スクレーパを設け、付着物の除去するように構成しても良い。
前記スクレーパ40の摺接部材50は、前側シーブ26のフィン36と直交させて、左右方向に複数並設して構成する。各摺接部材50には前記フィン36の断面形状に合わせた透孔(図示省略)を複数形成し、各透孔に各フィン36を挿通して取付ける。
そのため、摺接部材50は移動する際にフィン36の上下両面の付着物を除去する。
【0012】
即ち、湿った穀稈の脱穀作業では、作業中に湿ったフィン36の下面にも藁屑等が付着して各フィン36間の隙間を塞ぐが、摺接部材50によりフィン36の下面の付着物の除去も可能となって、各フィン36間の隙間を確保して、穀粒の落下を円滑にさせて、穀粒の回収効率を向上させ、湿材適応性を向上させられる。
前記スクレーパ40の摺接部材50は、透孔51の上下の内周面によりフィン36の付着物を除去するが、摺接部材50にはフィン36の付着物を除去するエッジ部52を設けると、一層、付着物を除去性能を向上させられる。エッジ部52の形状の構成は任意であるが、フィン36の付着物に対して斜めに当接するように構成する。例えば、エッジ部52は、平面視および正面視において略三角形状を呈し、正面視において左右中央位置が最も高く、左右側方に至るに従い低くなる上側傾斜面53と、平面視において前側が最も最も幅広く後側に至るに従い狭くなる側部傾斜縁54を有して形成している。
【0013】
そのため、摺接部材50によりフィン36の付着物を除去する際に、摺接部材50のエッジ部52の正面視の上側傾斜面53と平面視の側部傾斜縁54がフィン36の付着物に斜めに接触し、接触抵抗を減少させて付着物の除去を効率よく、円滑に行う。
前記スクレーパ40の摺接部材50は、揺動選別棚20の揺動方向に対する交差方向に往復移動する構成とする。
前記各摺接部材50の下部には取付部56を設ける。各摺接部材50の取付部56を連結部材57により連結して、各摺接部材50が互いに所定間隔を保持したまま、左右方向に往復移動させる。
スクレーパ40の夫々の互いに連結した複数の摺接部材50のうちの何れかには縦方向の取付軸(係合軸)58を取付け、取付軸58は前後方向の前後アーム59の先端の長孔により形成した係合孔(図示省略)に係合させる。前後アーム59の基部には左右方向の左右アーム61の左右中間部を固定し、前後アーム59と左右アーム61により摺接部材50を駆動させる駆動リンク部材62を構成する。駆動リンク部材62は左右アーム61の左右中間部を取付軸63により前側枠体37側の所定部分に回動自在に取付ける。
【0014】
前記左右アーム61の左右両端にはワイヤー等の一対の駆動伝達手段65を夫々連結し、一対の駆動伝達手段65のうちの一方をモータ等の駆動手段66により牽引すると、一対の駆動伝達手段65のうちの他方の駆動伝達手段65は弛むように、駆動手段66に連結する。
即ち、駆動手段66は、所定量駆動すると正逆転する構成とし、一対の駆動伝達手段65を交互に牽引し、これによりスクレーパ40を左右往復移動させる。
しかして、前記揺動選別棚20は、シーブ23の下方に所定間隔をおいて選別網70を設け、該選別網70上に選別網70の上面を摺接しながら左右に往復移動するスクレーパ(下側スクレーパ)71を設ける。
そのため、シーブ23の隙間から穀粒と一緒に落下した藁屑が選別網70に詰まるのを除去して、選別網70からの穀粒の落下を促進させて、回収効率を向上させて、選別精度および選別効率を向上させられる。
【0015】
また、下側スクレーパ71は、左右に往復移動するので、選別網70上の被処理物を拡散させて均分化させることも期待でき、この点でも、回収効率を向上させて、選別精度および選別効率を向上させられる。
また、シーブ23に設けたスクレーパ40と、下側スクレーパ71とにより揺動選別棚20には、上下二段構成にスクレーパを設けたことになり、シーブ23と選別網70との選別効率を向上させられる。
前記揺動選別棚20は、移送棚部22に続いて桶部74を形成し、桶部74の後側に前記選別網70を位置させる。前記下側スクレーパ71の前端部は桶部74上に臨ませる。
即ち、揺動選別棚20の桶部74に続いて選別網70を設け、桶部74と選別網70に跨った、揺動選別棚20の底面とシーブ23との間の内部空間に下側スクレーパ71を設けている。
【0016】
そのため、下側スクレーパ71は、桶部74上で左右方向に被処理物を拡散させ拡散させて均分化させることも期待でき、しかも、選別網70の付着物除去部材として兼用できる。
また、揺動選別棚20の桶部74の部分では唐箕16からの送風が抜けにくい箇所であるので、下側スクレーパ71により清掃効果は高く、有効である。
前記下側スクレーパ71は左右方向に複数並設する。
そのため、下側スクレーパ71による均分および濾過性能を向上させられる。
具体的には、各下側スクレーパ71を左右方向の連結部材75により連結し、複数の下側スクレーパ71を一体的に往復移動させる。
下側スクレーパ71の移動構成は任意であるが、シーブ23の上側スクレーパ40を移動させる駆動リンク部材62の前後アーム59に下側スクレーパ71の取付部76を固定し、上側スクレーパ40と連動して移動する構成とする(図9)。
【0017】
前後アーム59と略平行に第二前後アーム59Bを設ける。第二前後アーム59Bは取付軸63Bにより回動自在に取付ける。前後アーム59と第二前後アーム59Bの夫々に下側スクレーパ71の取付部76を固定する。
77は前後アーム59と第二前後アーム59Bとを連動させる連結ロッドである。
したがって、駆動リンク部材62の前後アーム59が取付軸63中心に回動することにより、下側スクレーパ71も取付軸63中心に選別網70上を円弧移動する。
なお、駆動リンク部材62の前後アーム59の取付位置を工夫することにより、下側スクレーパ71の作用域を広げることができる。
図10は、下側スクレーパ71の移動構成の他の実施例を示し、複数の下側スクレーパ71を連結杆78により連結し、複数の下側スクレーパ71の一つに係合軸79を設け、係合軸79を駆動リンク部材62の前後アーム59の前後方向に長い係合孔80に係合させる。
81はガイド部材であり、係合孔80には左右方向の誘導孔82を形成し、誘導孔82に係合軸79を挿通する。ガイド部材81は揺動選別棚20の底面に着脱自在に取付ける。
【0018】
したがって、駆動リンク部材62の前後アーム59が取付軸63中心に回動し、前後アーム59の回動を、係合孔80と誘導孔82により左右方向移動に変換させて下側スクレーパ71に伝達して、左右方向に往復移動させる。
そのため、下側スクレーパ71による作用域を大きくさせられ、下側スクレーパ71の均分化と漏下作用を促進させられる。
このように、唐箕16からの送風が抜けにくい揺動選別棚20の桶部74の部分でも、下側スクレーパ71が摺接するので、悪条件の塵埃付着による被処理物の搬送障害の防止や付着塵埃の清掃が不要あるいは頻度を減少させられ、メンテナンス作業を軽減させ、塵埃付着による重量増加に起因する揺動選別棚20の破損や不具合発生を防止する。
また、下側スクレーパ71には下方に突出して選別網70と摺接するブラシ部(図示省略)を設けると、選別網70を下側スクレーパ71により摺接し、塵埃除去効率を向上させられ、好適である。
【0019】
前記選別網70の構成は、任意であり、打ち抜き鉄板あるいはクリンプ網や樹脂成型品により形成すればよい。選別網70の目合は、前後の目合幅は前側(始端側)から後側(終端側)まで略同じに形成し、選別網70の左右方向の目合は、前側(始端側)に比し後側(終端側)を大きく形成する(図11)。
即ち、幅A=幅B、幅C<幅D、幅A=幅C、幅B<幅Dとしている。
そのため、単に、目合の大きさを後側の選別網70で大きくすると、藁屑塵埃の落下量も増加してしまうが、本願の選別網70の後半部分の目合の前後幅を同じにして藁屑の落下を防止し、左右方向の目合幅を大きくしているので、下側スクレーパ71の移動によって穀粒の落下を促進させ、選別精度を上げて回収効率を向上させられる。
また、下側スクレーパの左右移動により、選別網70上の長尺の藁屑が前後方向に沿う姿勢となり、選別網70の目合い左右のみ広くしているので、この藁屑が選別網70から落下しにくく、選別精度が向上する。
【0020】
また、選別網70の左右幅を大きくした目合の分布を、選別網70の前後略中間より後方とすると、唐箕16からの送風の抜けが良好にできて、好適である。
そのため、二番コンベア32に向けた二番物の飛散を良好にし、二番コンベア(二番受樋)32の二番物の回収効率を向上させられる。
しかして、前記グレンタンク5は上部を合成樹脂で形成した樹脂タンク85に形成し、下部を金属板で形成した下部タンク86に形成する。下部タンク86は下側に薄金属板により箱形形状の下部箱フレーム87と該下部箱フレーム87内に設けた漏斗部88により形成する。下部箱フレーム87は機体フレーム1側に固定状態に取付ける。
前記漏斗部88には穀粒排出螺旋89を設けている。
また、樹脂タンク85は下部タンク86に対して少なくとも所定任意位置を回動支点Sとして外側回動自在に構成する(図16)。
【0021】
樹脂タンク85の下部の周縁には、下部タンク86の開口部92に嵌合する嵌合部93を設け、嵌合部93を開口部92を嵌合させて、グレンタンク5内に穀粒貯留空間を形成する。
前記嵌合部93の前後何れか一方または両方には下部タンク86の開口部92の周壁板(前後板および外側板)94の上縁を乗り越えるときのガイド部材95を設ける。ガイド部材95は周縁の嵌合部93より下方に膨出させ、樹脂タンク85の移動方向の前後両側に傾斜案内面96を設ける。
96Aは樹脂タンク85を下部タンク86に嵌合させるときの傾斜面、96Bは樹脂タンク85をオープンさせるときの傾斜面である。
そのため、樹脂タンク85を下部タンク86に対して回動させると、樹脂タンク85の嵌合部93のガイド部材95の傾斜案内面96が乗り越えるとき、ガイド部材95が樹脂タンク85を持ち上げるように作用するので、外側回動を円滑に行う。
【0022】
反対に、外側オープンさせた樹脂タンク85は、元の位置に戻すとき、ガイド部材95が開口部92を乗り越え、樹脂タンク85の嵌合部93を下部タンク86の開口部92に嵌合させる。
この場合も、ガイド部材95が樹脂タンク85を持ち上げるように作用するので、樹脂タンク85の嵌合部93が下部タンク86の開口部92に嵌合する際の嵌合作業を容易にする。
また、下部タンク86の開口部92の前側上縁は外側が低く内側が高くなるように傾斜させて形成する。
そのため、樹脂タンク85のオープンおよび格納するときの開口部92の乗り越えを軽くする。
前記ガイド部材95は、樹脂タンク85を合成樹脂により一体成形で形成すると、安価に製造でき、好適である。
【0023】
(実施例の作用)
刈り取られた穀稈は、脱穀室11で回転する扱胴10により脱穀され、脱穀された被処理物は、扱網15から漏下して揺動選別棚20の始端部の移送棚部22に落下し、移送棚部22からシーブ23の前側シーブ26に移送されて選別され、更に、唐箕16からの送風と、風選室18内で往復揺動する揺動選別棚20の後側シーブ27とにより選別される。
揺動選別棚20では、シーブ23の各フィン36の間から穀粒を落下させて回収するため、シーブ23のフィン36に藁屑等が付着すると、各フィン36の間の隙間が狭くなって穀粒の落下の障害となるが、前側シーブ26にはスクレーパ40を設けているので、スクレーパ40の左右方向に移動する摺接部材50はシーブ23のフィン36の表面を摺接移動する。
そのため、スクレーパ40の摺接部材50はシーブ23(前側シーブ26)の各フィン36間を塞ぐように付着した藁屑等を移動しながら取り除くことができ、シーブ23のフィン36間の間隔が付着物により狭くなるのを防止し、穀粒の漏下効率の低下を抑制して、穀粒の回収ロスを軽減する。
【0024】
スクレーパ40の夫々の互いに連結した複数の摺接部材50のうちの何れかには縦方向の取付軸58を取付け、取付軸58は前後方向の前後アーム59の先端の長孔により形成した係合孔60に係合させ、前後アーム59の基部には左右方向の左右アーム61の左右中間部を固定し、前後アーム59と左右アーム61により摺接部材50を駆動させる駆動リンク部材62を構成し、駆動リンク部材62は左右アーム61の左右中間部を取付軸63により前側枠体37側の所定部分に回動自在に取付け、左右アーム61の左右両端にはワイヤー等の一対の駆動伝達手段65を夫々連結しているので、一対の駆動伝達手段65のうちの一方をモータ等の駆動手段66により牽引すると、一対の駆動伝達手段65のうちの他方の駆動伝達手段65は弛み、駆動リンク部材62の左右アーム61が取付軸63中心に回動し、これにより、駆動リンク部材62の前後アーム59の先端が左右往復回動し、前後アーム59は取付軸58を左右方向に往復移動させて摺接部材50を往復移動させる。
【0025】
しかして、揺動選別棚20は、シーブ23の下方に所定間隔をおいて選別網70を設け、該選別網70上に選別網70の上面を摺接しながら左右に往復移動する下側スクレーパ71を設けているので、シーブ23の隙間から穀粒と一緒に落下した藁屑が選別網70に詰まるのを除去して、選別網70からの穀粒の落下を促進させて、回収効率を向上させて、選別精度および選別効率を向上させられる。
また、下側スクレーパ71は左右に往復移動し、下側スクレーパ71の移動により選別網70上の被処理物を拡散させて均分化させるので、穀粒の回収効率を向上させ、選別精度および選別効率を向上させられる。
また、シーブ23に設けたスクレーパ40と、選別網70の下側スクレーパ71とにより、揺動選別棚20のシーブ23と選別網70との上下二段の選別部の構成に夫々スクレーパを設けているので、シーブ23と選別網70の夫々の付着物を除去し、選別効率を向上させられる。
【0026】
揺動選別棚20は、移送棚部22に続いて桶部74を形成し、桶部74の後側に選別網70を位置させ、下側スクレーパ71の前端部は桶部74上に臨ませ、桶部74と選別網70に跨った、揺動選別棚20の底面とシーブ23との間の内部空間に下側スクレーパ71を設けているので、シーブ23と選別網70との間の空間を有効利用して、被処理物の拡散による均分化、および、選別網70の付着物除去部材としての兼用構成としうる。
また、揺動選別棚20の桶部74の部分では唐箕16からの送風が抜けにくい箇所であるが、下側スクレーパ71は桶部74上に臨ませているので、塵埃の溜まりやすい桶部74上の清掃効果は高くし、メンテナンス頻度を軽減させられ、特に、有効である。
下側スクレーパ71は左右方向に複数並設しているので、下側スクレーパ71による均分および濾過性能を向上させられる。
【0027】
シーブ23の上側スクレーパ40を移動させる駆動リンク部材62の前後アーム59に下側スクレーパ71の取付部76を固定し、上側スクレーパ40と連動して移動する構成としているので、下側スクレーパ71専用の駆動機構を設けずに済み、構成を簡素にする。
また、前後アーム59と略平行に第二前後アーム59Bを設け、第二前後アーム59Bは取付軸63Bにより回動自在に取付け、前後アーム59と第二前後アーム59Bの夫々に下側スクレーパ71の取付部76を固定しているので、左右の下側スクレーパ71は、駆動リンク部材62の前後アーム59と第二前後アーム59Bが取付軸63中心に回動することにより、下側スクレーパ71も取付軸63中心に選別網70上を円弧移動する。
【0028】
図10の下側スクレーパ71の移動構成の他の実施例では、複数の下側スクレーパ71を連結杆連結杆78により連結し、複数の下側スクレーパ71の一つに係合軸係合軸79を設け、係合軸79を駆動リンク部材62の前後アーム59の前後方向に長い係合孔係合孔80に係合させているので、駆動リンク部材62の前後アーム59が取付軸63中心に回動し、前後アーム59の回動を、係合孔80と誘導孔82により左右方向移動に変換させて下側スクレーパ71に伝達して、左右方向に往復移動させる。
そのため、下側スクレーパ71による作用域を大きくさせられ、下側スクレーパ71の均分化と漏下作用を促進させられる。
このように、唐箕16からの送風が抜けにくい揺動選別棚20の桶部74の部分でも、下側スクレーパ71が摺接するので、悪条件の塵埃付着による被処理物の搬送障害の防止や付着塵埃の清掃が不要あるいは頻度を減少させられ、メンテナンス作業を軽減させ、塵埃付着による重量増加に起因する揺動選別棚20の破損や不具合発生を防止する。
【0029】
図10の下側スクレーパ71の他の実施例では、下側スクレーパ71にブラシ部83を設けているので、選別網70はブラシ部83により摺接され、藁屑塵埃除去効率を向上させられる。
この場合、下側スクレーパ71は選別網70の上面より所定高さを有するように起立させて形成しているから、藁屑による目詰まり除去効果を高くする。
選別網70は、打ち抜き鉄板あるいはクリンプ網や樹脂成型品により形成すればよく、選別網70の目合は、前後の目合幅は前側(始端側)から後側(終端側)まで略同じに形成するが、選別網70の左右方向の目合は、前側(始端側)に比し後側(終端側)を大きく形成しているので、本願の選別網70の後半部分の目合の前後幅を同じにして藁屑の落下を防止し、左右方向の目合幅を大きくすることで、下側スクレーパ71の移動によって穀粒の落下を促進させ、選別精度を上げて回収効率を向上させられる。
【0030】
また、選別網70の左右幅を大きくした目合の分布を、選別網70の前後略中間より後方としているので、唐箕16からの送風の抜けが良好にでき、風選効果を向上させられ、また、選別網70の後側部分での二番コンベア32に向けた二番物の飛散を良好にし、二番コンベア(二番受樋)32の二番物の回収効率を向上させられる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0031】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、10…扱胴、11…脱穀室、12…穀稈供給搬送装置、13A…挾扼杆、13B…供給搬送チエン、15…扱網、16…唐箕、17…唐箕ケーシング、18…風選室、20…揺動選別棚、21…揺動選別装置、22…移送棚部、23…シーブ、25…排出口、26…前側シーブ、27…後側シーブ、30…ストローラック、31…一番コンベア、32…二番コンベア、33…吸引排塵ファン、34…ケーシング、36…フィン、37…前側枠体、38…後側枠体、40…上側スクレーパ、50…摺接部材、52…エッジ部、53…上側傾斜面、54…側部傾斜縁、56…取付部、57…連結部材、58…取付軸(係合軸)、59、59B…前後アーム、60…係合孔、61…左右アーム、62…駆動リンク部材、63…取付軸、65…駆動伝達手段、66…駆動手段、70…選別網、71…スクレーパ(下側スクレーパ)、74…桶部、75…連結部材、76…取付部、77…連結ロッド、78…連結杆、79…係合軸、80…係合孔、81…ガイド部材、82…誘導孔、85…樹脂タンク、86…下部タンク、87…下部箱フレーム、88…漏斗部、89…穀粒排出螺旋、92…開口部、93…嵌合部、94…周壁板、95…ガイド部材、96…傾斜案内面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(10)の下側に扱網(15)を設けて脱穀室(11)を形成し、該脱穀室(11)の下方に唐箕(16)からの送風により風選する風選室(18)を設け、該風選室(18)に往復揺動する揺動選別棚(20)を設け、該揺動選別棚(20)には、穀粒と藁屑とを選別するフィン(36)を揺動方向に複数並設したシーブ(23)を設け、前記揺動選別棚(20)には、シーブ(23)の下方に所定間隔をおいて選別網(70)を設け、該選別網(70)の上面に摺接しながら揺動選別棚(20)の揺動方向と交差する方向に往復移動するスクレーパ(71)を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、前記揺動選別棚(20)は、前記シーブ(23)の前側に設けた移送棚部22の後側下方に桶部(74)を形成し、該桶部(74)の後側に前記選別網(70)を位置させ、前記スクレーパ(71)の前端部を桶部(74)上に臨ませたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の発明において、前記スクレーパ(71)は、前記選別網(70)の上面から上下方向に所定長さを有する形状に形成したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3記載の発明において、前記スクレーパ(71)を、左右方向に複数設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記シーブ(23)に摺接しながら揺動選別棚(20)の揺動方向と交差する方向に往復移動する上側スクレーパ(40)を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項6】
請求項5記載の発明において、前記揺動選別棚(20)側の取付軸(63)に前後アーム(59)の基部を軸支し、該前後アーム(59)に下側スクレーパ(71)を一体的に設け、前後アーム(59)の先端部を、上側スクレーパ(40)側の取付軸(58)に係合させ、前後アーム(59)を前記取付軸(63)回りに揺動させることで、下側スクレーパ(71)と上側スクレーパ(40)とが揺動選別棚(20)の揺動方向と交差する方向に往復移動することを特徴とする脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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