説明

腫瘍抗原の生物活性を特異的にブロックする抗体

KAAG1と特異的に結合する新規モノクローナル抗体を記載する。いくつかの実施形態において、抗体は、KAAG1の生物活性をブロックし、癌、さらに詳細には、卵巣、腎臓、肺、直腸結腸、胸部、脳、及び前立腺癌、並びに黒色腫などのKAAG1細胞表面発現が増大した癌において、組成物で有用である。本発明はまた、ヒト化及びキメラ抗体などのモノクローナル抗体及び抗原結合フラグメントを発現する細胞に関する。さらに、抗体及びフラグメントを用いて癌を検出する方法及び癌を治療する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KAAG1と特異的に結合するモノクローナル抗体及びその抗原結合フラグメント並びに卵巣癌に関連する悪性腫瘍の診断、予防及び治療をはじめとする、ある疾患の治療のためのそれらの使用に関する。本発明は、様々な他の癌型の診断、予防及び治療のためのこれらの抗体の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
婦人科悪性腫瘍の中でも、卵巣癌は、米国では女性において最も高い腫瘍に関連する死亡率の原因である(Jemalら、2005年)。卵巣癌は、米国における女性の癌による死亡の第四番目の原因である(Menonら、2005年)。米国癌協会は、2005年に合計22,220の新規症例を予測し、16,210例の死因はこの疾患であるとした(Bonomeら、2005年)。過去30年間で、統計値はほとんど変わらず、卵巣癌にかかっている女性のほとんどはこの疾患で死亡する(Chambers及びVanderhyden、2006年)。当該疾患は、1:70の生涯リスクを伴い、死亡率は60%を越える(Chambers及びVanderhyden、2006年)。高い死亡率は、悪性腫瘍がすでに卵巣以外にも拡大していた場合には卵巣癌の早期発見が困難であるためである。実際、80%を越える患者が進行期疾患(III期又はIV期)と診断されている(Bonomeら、2005年)。これらの患者は予後が悪く、このことは、80%〜90%が当初は化学療法に反応するが、5年生存率が45%未満であることに反映される(Berekら、2000年)。数年前に5年生存率20%と比べると成功率が増加しており、これは少なくとも一部には腫瘍組織が卵巣に限定される場合に腫瘍組織を最適に減量できるためであり、これは卵巣癌の重要な予後因子である(Bristow R.E.、2000年、Brownら、2004年)。早期疾患(I期)と診断された患者では、5年生存率は90を越える(Chambers及びVanderhyden、2006年)。
【0003】
卵巣癌は、卵巣の表層上皮又は表面介在物(surface inclusion)由来の異種群の腫瘍を含む。これらは、漿液性、粘液性、類内膜、明細胞、及び女性生殖器官における異なる種類の上皮に対応するブレナー(遷移)型に分類される(Shih及びKurman、2005年)。これらのうち、漿液性腫瘍は診断された卵巣癌症例の約60%を占める。それぞれの組織学的下位範疇はさらに、それらの臨床的挙動を反映して、良性、中間(境界型腫瘍又は低悪性度(LMP))、及び悪性の3群に分類される(Seidmanら、2002年)。LMPは漿液性と診断された腫瘍の10%〜15%に相当し、非定型核構造及び転移挙動を示すので難題であるが、高悪性度漿液性腫瘍よりも悪性度はかなり低い。LMP腫瘍の患者の5年生存率は95%であるのに対して、同じ期間の進行した高悪性度疾患について生存率は45%未満である(Berekら、2000年)。
【0004】
現在、卵巣癌の診断は、一つには、患者の病歴の日常的分析を通じて、健康診断、超音波及びX線検査、並びに血液学的スクリーニングを実施することによって行われる。血清バイオマーカーの早期血液学的検出のために2つの代替法が報告されている。1つの方法は、癌の有無を検出する未知のタンパク質又はタンパク質フラグメントを見いだすための質量分析法による血清試料の分析である(Morら、2005年、Kozakら、2003年)。しかし、この方法は費用がかかり、広く利用可能ではない。別法として、血清中の既知タンパク質/ペプチドの有無を、抗体マイクロアレイ、ELISA、又は他の類似の方法を用いて検出する。CA−125(癌抗原125)と呼ばれるタンパク質バイオマーカーの血清試験が、卵巣癌のマーカーとして長年広く実施されてきた。しかし、卵巣癌細胞はこれらのタンパク質分子を過剰に産生し得るが、卵管癌又は子宮内膜癌(子宮の内膜の癌)をはじめとする他の癌、膵臓癌患者の60%、及び他の悪性腫瘍の患者の20%〜25%は高レベルのCA−125を有する。CA−125試験は、第I期卵巣癌患者の約50%についてしか真陽性の結果を示さず、II期、III期、及びIV期卵巣癌患者から真陽性結果がでる可能性は80%である。卵巣癌患者の残り20%はCA−125濃度の増加を示さない。加えて、高CA−125試験は、月経、妊娠、又は子宮内膜症などの癌と関連しない他の良性活性を示す可能性がある。結果として、この試験は、まだ治療可能であり、10%未満の陽性予測値(PPV)を示す早期疾患の検出に関して臨床用途が非常に限定されている。CA−125に超音波スクリーニングを加えても、PPVは約20%しか改善されない(Kozakら、2003年)。従って、この試験は有効なスクリーニング試験ではない。
【0005】
この疾患の病因の知見の向上、積極的な腫瘍縮小手術、及び最新の併用化学療法にもかかわらず、死亡率はほとんど変わっていない。不良転帰は、(1)早期疾患検出のための適切なスクリーニング試験がなく、あわせてこの段階での症状の発現がごくわずかであり、診断は後期段階まで進行した後にしか頻繁に行われず、この時点では癌の腹膜播種のために有効な治療が制限されること、及び(2)標準的化学療法に対する耐性がしばしば発現し、患者の5年生存率の改善が制限されること、に起因する。卵巣癌の初期化学療法レジメンは、カルボプラチン(パラプラチン)及びパクリタキセル(タキソール)の組み合わせを包含する。数年の臨床試験によって、この組み合わせが、有効な手術後に最も有効である(新たに卵巣癌と診断された女性の約80%において腫瘍体積が減少し、40%〜50%では完全に退縮する)ことが明らかになったが、これを改善する方法を求めて引き続き研究が行われている。到達が困難な(hard−to−reach)細胞を標的とする最近の化学療法剤の腹腔内注入は静脈内送達との併用により有効性が増大する。しかし、重篤な副作用のために、多くの場合、治療コースが完了しない。いくつかの他の化学療法剤としては、ドキソルビシン、シスプラチン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、エトポシド、ビンブラスチン、塩酸トポテカン、イホスファミド、5−フルオロウラシル及びメルファランが挙げられる。最近になって、臨床試験によりシスプラチンの腹腔内投与は全身性静脈内化学療法に比べて生存性において優位性があることが証明された(Cannistra及びMcGuire、2007年)。疾患早期で化学療法を受けた女性の生存率が優れていることは、卵巣癌の検出を改善するための方法を開発する研究活動にとっては当然のことである。さらに、新規卵巣癌関連バイオマーカーの発見は、卵巣癌の将来の治療のための、副作用が最小であるさらに有効な治療法の開発につながる。
【0006】
卵巣癌の理解および治療におけるこれらの最近の進歩にもかかわらず、化学療法の使用は必ず重大な有害反応を伴い、このためにそれらの使用が制限される。その結果として、抗原組織特異性とモノクローナル抗体の選択性とを組み合わせるなどのさらに特別な方法を要求することにより、的外れに関連する副作用が著しく軽減されるはずである。卵巣癌療法にモノクローナル抗体が使われ始め、行われる臨床試験数が増加している(Oeiら、2008年;Nicodemus及びberek、2005年)。これらの試みのほとんどでは、イットリウム90などの放射性同位体と結合したモノクローナル抗体、または他の癌型ですでに同定されている腫瘍抗原を標的とする抗体の使用を調べている。これの一例は、血管内皮成長因子を標的とするベバシズマブの使用である(Burger、2007年)。モノクローナル抗体の治療標的として現在調査中である卵巣癌特異的抗原はほとんどない。数例としては、B7−H4と称するタンパク質(Simonら、2006年)及び最近では葉酸受容体アルファ(Ebelら、2007年)の使用が挙げられ、後者は最近、II期臨床試験に入っている。
【0007】
腎臓関連抗原1(KAAG1)は、元々は細胞傷害性Tリンパ球に対して提示される抗原ペプチドとして組織適合性白血球抗原−B7腎臓癌細胞系から誘導されるcDNAライブラリからクローンされた(Van den Eyndeら、1999年、Genebank受入番号Q9UBP8)。KAAG1を含む座位は、逆ストランド上で両方向に転写された2つの遺伝子をコード化することが判明した。センスストランドは、DCDC2と称するタンパク質をコード化する転写物をコード化することが判明した。これらの著者らによる発現研究により、KAAG1アンチセンス転写物が腫瘍特異的であり、正常組織ではほとんど発現を示さないのに対して、DCDC2センス転写物は偏在的に発現されることが見いだされた(Van den Eyndeら、1999年)。癌、特に卵巣癌、腎臓癌、肺癌、結腸癌、乳癌及び黒色腫におけるKAAG1転写物の発現は、公開特許出願第PCT/CA2007/001134号で開示された。Van den Eyndeらはまた、腎臓癌、結腸直腸癌、黒色腫、肉腫、白血病、脳腫瘍、甲状腺腫瘍、乳房癌、前立腺癌、食道癌、膀胱腫瘍、肺癌及び頭頸部腫瘍におけるRNA発現も観察した。近年、連鎖不均衡研究から得られた有力な遺伝学的証拠から、VMP/DCDC2/KAAG1座位は失読症と関連することが判明した(Schumacherら、2006年、Copeら、2005年)。これらの報告のうちの1つは、失読症患者における原因としてDCDC2マーカーを挙げた。その理由は、皮質ニューロン移動におけるこのタンパク質の機能がしばしば異常なニューロン移動及び成熟を示すこれらの患者の症状と一致したからであった(Schumacherら、2006年)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、腫瘍細胞におけるKAAG1の発現に関する。本発明はまた、特異的抗KAAG1抗体及び抗原結合フラグメント並びに癌の治療、検出及び診断に有用なキットに関する。抗体及び抗原結合フラグメントは、さらに詳細には、腫瘍細胞がKAAG1を発現する癌、たとえば卵巣癌、皮膚癌、腎臓癌、結腸直腸癌、肉腫、白血病、脳腫瘍、甲状腺の癌、乳癌、前立腺癌、食道癌、膀胱癌、肺癌及び頭頸部癌の治療、検出及び診断に有用である。
【0009】
本発明は、その一態様において、単離又は実質的に精製された抗体又は抗原結合フラグメントを提供し、これらは腎臓関連抗原1(配列番号2で定義されるKAAG1)又はKAAG1変異体と特異的に結合することができる。
【0010】
さらに具体的に、そして本発明の実施形態によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1のアミノ酸30とアミノ酸84との間に位置するドメインと結合することができる。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1のアミノ酸1〜35に含まれるエピトープと結合することができる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1のアミノ酸36〜60内に含まれるエピトープと結合することができる。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1のアミノ酸61〜84に含まれるエピトープと結合することができる。
【0014】
本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、特に、KAAG1の分泌された形態、すなわちシグナルペプチドが切断されたKAAG1の形態と特異的に結合することができる。
【0015】
本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは特に、KAAG1の細胞外領域と結合することができる。
【0016】
従って、本発明は、KAAG1の分泌された形態又はKAAG1の細胞外領域に対して特異性を有する診断用及び/又は治療用抗体又は抗原結合フラグメントを包含する。本発明の抗体と同じエピトープ特異性を有する抗体又は抗原結合フラグメントも本発明に含まれる。候補抗体は、本明細書に記載する抗体が結合するエピトープと結合するかどうかを究明すること及び/又はこのエピトープと結合することが知られている抗体又は抗原結合フラグメントとの競合分析を実施することによって同定することができる。
【0017】
従って、本発明の別の態様は、本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントと競合できる単離された抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。
【0018】
本発明の単離された抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1発現腫瘍細胞又はKAAG1変異体発現腫瘍細胞の死滅(除去、破壊、溶解)を(たとえば、ADCCに依存した方法で)誘発できるものを包含する。
【0019】
本発明の単離された抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1発現腫瘍細胞の拡大を軽減するそれらの能力によって特徴づけられるもの及びKAAG1発現腫瘍の形成を減少させるか又は損なうそれらの能力によって特徴づけられるものも包含する。
【0020】
抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1が、KAAG1発現腫瘍細胞の表面で発現される場合に特に有効であり得、アンカレッジ依存性成長を特徴とするKAAG1発現腫瘍細胞を標的とするのに特に有用であり得る。
【0021】
本発明は、本明細書に記載する特性を有するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体(単離されたもの)並びに抗原結合フラグメントに関する。モノクローナル、キメラ、ヒト化又はヒト抗体間の軽鎖及び/又は重鎖の置換を含む抗体又は抗原結合フラグメントも含まれる。
【0022】
本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、したがってヒト定常領域のアミノ酸及び/又はヒト抗体のフレームワークアミノ酸を含み得る。
【0023】
「抗体」という用語は、インタクト抗体、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を意味する。「抗体」という用語は、二重特異的抗体などの多重特異的抗体も包含する。ヒト抗体は通常、2つの軽鎖及び2つの重鎖から形成され、それぞれは可変領域及び定常領域を含む。軽鎖可変領域は、3つのCDR(本明細書では、フレームワーク領域が隣接するCDRL1、CDRL2及びCDRL3に分類される)を含む。重鎖可変領域は、3つのCDR(本明細書では、フレームワーク領域が隣接するCDRH1、CDRH2及びCDRH3に分類される)を含む。
【0024】
「抗原結合フラグメント」という用語は、本明細書で用いられる場合、抗原(たとえば、KAAG1、KAAG1の分泌された形態又はその変異体)と結合する能力を保持する抗体の1以上のフラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能はインタクト抗体のフラグメントによって実行できることが証明された。抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に含まれる結合フラグメントの例としては、(i)Fabフラグメント(V、V、C及びCH1ドメインからなる一価フラグメント)、(ii)F(ab’)フラグメント(ヒンジ領域でジスルフィドブリッジにより結合した2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント)、(iii)V及びCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iv)抗体の単一アームのV及びVドメインからなるFvフラグメント(v)VドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al,(1989)Nature 341 544−546)、並びに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、たとえばVCDR3が挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるV及びVは、別の遺伝子によってコードされるが、組換え法を用いて、V及びV領域が対になって一価分子を形成する1本鎖ポリペプチド(1本鎖Fv(scFv)として知られ、たとえばBird et al(1988)Science 242:423−426、及びHuston et al(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879−5883を参照のこと)にすることができる合成リンカーによってこれらを結合させることができる。このような1本鎖抗体も、抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に含まれることが意図される。さらに、抗原結合フラグメントは、(i)イムノグロブリンヒンジ領域ポリペプチドと融合した結合ドメインポリペプチド(たとえば、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、又はリンカーペプチドを介して軽鎖可変領域と融合した重鎖可変領域)、(ii)ヒンジ領域と融合したイムノグロブリン重鎖CH2定常領域、及び(iii)CH2定常領域と融合したイムノグロブリン重鎖CH3定常領域を含む、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質を含む。ヒンジ領域は、1以上のシステイン残基をセリン残基で置換することにより修飾して、二量化を防止することができる。このような結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質はさらにUS2003/0118592及びUS2003/0133939で開示されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の通常の技術を用いて得られ、フラグメントをインタクト抗体と同様の方法で有用性についてスクリーンする。
【0025】
典型的な抗原結合部位は、軽鎖イムノグロブリン及び重鎖イムノグロブリンを対にすることによって形成される可変領域から構成される。抗体可変領域の構造は非常に一貫性があり、非常に類似した構造を示す。これらの可変領域は、典型的には、相補性決定領域(CDR)と称する3つの超可変領域が間に配置された比較的相同性のフレームワーク領域(FR)から構成される。抗原結合フラグメントの全体的な結合活性は、多くの場合、CDRの配列によって決定される。FRは、多くの場合、最適な抗原結合のためのCDRの3次元における適切な位置決定及びアラインメントに関与する。
【0026】
本発明の抗体及び/又は抗原結合フラグメントは、たとえば、マウス、ラット若しくは任意の他の哺乳動物又は組換えDNA技術などを介した他の起源由来のものであってよい。
【0027】
本発明のさらなる範囲、適用性及び利点は、以下の非限定的で詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、この詳細な説明は、本発明の例示的実施形態を示すが、添付の図面を参照して例示のためのみに提示されると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】20超の卵巣腫瘍、良性(低悪性度)腫瘍、卵巣癌細胞系、及び30の正常組織由来のRNA試料におけるKAAG1 mRNA発現のレベルを測定するために実施した半定量的RT−PCR反応を用いた発現プロファイリング分析を示す図である。対照パネルは、各RT−PCR反応における出発物質の量を比較するために用いられるハウスキーピング遺伝子であるGAPDHの発現を示す。
【図1B】KAAG1 mRNAが卵巣癌細胞系、特に腹水由来の細胞系において発現されることを示す半定量的RT−PCR実験を示す図である。
【図1C】卵巣癌細胞系がスフェロイドと呼ばれる3D構造を形成するできることを表す図である。左のパネルは、血清がない培地中で成長させた細胞を示し、一方、5%血清はスフェロイド構造の形成を刺激した。
【図1D】KAAG1 mRNAが卵巣癌細胞系におけるスフェロイド形成中に高度に誘発されることを示す半定量的RT−PCR実験の図である。
【図2A】創傷又はスクラッチ分析、つまりあらかじめ決められた期間にわたって露出部分へ移動できる細胞系の能力の測定である細胞に基づく分析を示す図である。KAAG1 shRNAを有するTOV−21G細胞は、露出部分を満たす能力が低下している。
【図2B】コロニー形成法(コロニー生存分析とも呼ばれる)の図である。数日の期間にわたって希釈された細胞の生存を測定した。KAAG1 shRNAを有するTOV−21G細胞は生存が減少した。
【図3A】クマシーブルーで染色され、一時的にトランスフェクトされた293E細胞において産生された精製Fc−KAAGI融合タンパク質の試料(10μg)を含むポリアクリルアミドゲルを示す図である。
【図3B】抗KAAG1 Fabを含むOmniclonalライブラリ#3から選択される個々のモノクローナル抗体を含む96穴プレートのうちの1つのELISAの結果を示す。この結果から、48(灰色で強調)のFabがKAAG1と非常に効率的に相互作用することがわかった。太字の数字で表示した穴は、例示的モノクローナル抗体3D3、3G10、及び3C4を含んでいた。
【図4A】クマシーブルーで染色され、精製Fc−KAAGI融合タンパク質(レーン1)、アミノ酸1〜60の範囲のKAAG1のトランケートされた突然変異体(レーン2)、及び一時的にトランスフェクトされた293E細胞において産生された、アミノ酸1〜35の範囲のKAAG1の別のトランケートされた突然変異体(レーン3)の試料(10μg)を含むポリアクリルアミドゲルを示す。全てのタンパク質はFc融合タンパク質であった。
【図4B】エピトープマッピング研究のために生成させたKAAG1のトランケートされた突然変異体を表すスキームである。
【図4C】Omniclonalライブラリ#3中に含まれる抗KAAG1抗体によって結合されたエピトープをマッピングするためのELISA分析から得られた結果を説明するための図である。結果から、モノクローナル抗体の大部分はKAAG1の中心部分と相互作用し、ある抗体はKAAG1のアミノ末端又はカルボキシル末端と結合することがわかる。
【図5】マウスFabをIgG1マウス−ヒトキメラmAbに変えるための関連するステップを表すスキームである。
【図6】マウス抗KAAG1 Fabの結合を、例示的抗体3D3、3G10、及び3C4の対応するIgG1キメラモノクローナル抗体の結合と比較する図である。結果は、Fab可変領域の相対的結合が、完全ヒトIgG1スカフォールドに移動した場合に維持されたことを示す。
【図7】キメラIgG1抗KAAG1モノクローナル抗体の存在下でTOV−21G及びOV−90卵巣癌細胞系を用いたスフェロイド形成実験の図である。ゆるく充填された構造は、低侵襲性癌細胞系の指標となる。結果は、例示的抗KAAG1抗体3D3、3G10、又は3C4で処理されたスフェロイドを示す。
【図8A】卵巣腫瘍患者から得られた約70の生検試料を含む組織マイクロアレイのスキャンを示す図である。試料を3D3抗KAAG1抗体でブロットし、卵巣腫瘍の大部分が非常に高レベルのKAAG1抗原を発現したことがわかった。
【図8B】組織マイクロアレイ実験から得られたさらに高倍率の図である。矢印は、漿液性卵巣腫瘍における細胞の上皮層の先端面でのKAAG1の膜への局在を示す。
【図8C】KAAG1があらゆる種類の卵巣癌において高度に発現されることを証明する他の免疫組織化学的研究を示す図である。図示した組織型(histotype)は、漿液性、粘液性及び類内膜である。
【図9A】ClustalW2プログラムを用いて選択されたCDRL1、CDRL2又はCDRL3配列について得られたアラインメント結果のまとめであり;「」は、その列の残基がアラインメント中の全配列で同じであることを意味し、「:」は、保存的置換が観察されたことを意味し、「.」は半保存的置換が観察されることを意味する。ClustalWプログラムを用いてコンセンサスCDRを得た(Larkin M.A., et al.,(2007)ClustalW and ClustalX version 2. Bioinformatics 2007 23(21):2947−2948)。
【図9B】ClustalW2プログラムを用いて選択されたCDRL1、CDRL2又はCDRL3配列について得られたアラインメント結果のまとめであり;「」は、その列の残基がアラインメント中の全配列で同じであることを意味し、「:」は、保存的置換が観察されたことを意味し、「.」は半保存的置換が観察されることを意味する。ClustalWプログラムを用いてコンセンサスCDRを得た(Larkin M.A., et al.,(2007)ClustalW and ClustalX version 2. Bioinformatics 2007 23(21):2947−2948)。
【図9C】ClustalW2プログラムを用いて選択されたCDRL1、CDRL2又はCDRL3配列について得られたアラインメント結果のまとめであり;「」は、その列の残基がアラインメント中の全配列で同じであることを意味し、「:」は、保存的置換が観察されたことを意味し、「.」は半保存的置換が観察されることを意味する。ClustalWプログラムを用いてコンセンサスCDRを得た(Larkin M.A., et al.,(2007)ClustalW and ClustalX version 2. Bioinformatics 2007 23(21):2947−2948)。
【図10A】ClustalW2プログラムを用いて選択されたCDRH1、CDRH2又はCDRH3配列について得られたアラインメント結果のまとめであり;「」は、その列の残基がアラインメント中の全配列で同じであることを意味し、「:」は、保存的置換が観察されたことを意味し、「.」は半保存的置換が観察されることを意味する。ClustalWプログラムを用いてコンセンサスCDRを得た(Larkin M.A., et al.,(2007)ClustalW and ClustalX version 2. Bioinformatics 2007 23(21):2947−2948)。
【図10B】ClustalW2プログラムを用いて選択されたCDRH1、CDRH2又はCDRH3配列について得られたアラインメント結果のまとめであり;「」は、その列の残基がアラインメント中の全配列で同じであることを意味し、「:」は、保存的置換が観察されたことを意味し、「.」は半保存的置換が観察されることを意味する。ClustalWプログラムを用いてコンセンサスCDRを得た(Larkin M.A., et al.,(2007)ClustalW and ClustalX version 2. Bioinformatics 2007 23(21):2947−2948)。
【図10C】ClustalW2プログラムを用いて選択されたCDRH1、CDRH2又はCDRH3配列について得られたアラインメント結果のまとめであり;「」は、その列の残基がアラインメント中の全配列で同じであることを意味し、「:」は、保存的置換が観察されたことを意味し、「.」は半保存的置換が観察されることを意味する。ClustalWプログラムを用いてコンセンサスCDRを得た(Larkin M.A., et al.,(2007)ClustalW and ClustalX version 2. Bioinformatics 2007 23(21):2947−2948)。
【図11】生成した軽鎖可変領域のそれぞれと配列番号16、20、24又は105で同定された代表的な軽鎖可変領域との配列比較を表す図である。配列同一性(%)及び配列類似性(%)は、本明細書で示すようにBlast2配列プログラムを用いて決定した。
【図12】生成した重鎖可変領域のそれぞれと、配列番号18、22、26又は132で同定された代表的な重鎖可変領域との配列比較を表す図である。配列同一性(%)及び配列類似性(%)は、本明細書で示すようにBlast2配列プログラムを用いて決定した。
【図13】KAAG1を標的とするIgG抗体はインビトロでADCC活性を効率的に媒介することができる。PBMNC(AllCells,LLC、カリフォルニア州エモリービル)を3D3とともに30分間インキュベートし、OVCAR−3又はWIL2−S細胞のいずれかと1:25の比で混合した。細胞を4時間37℃でインキュベートし、培地中のLDHレベルを測定することによって細胞溶解を決定した。細胞傷害性を次のようにして計算した:細胞傷害性(%)=(実験値−エフェクターの自発的溶解−標的の自発的溶解)×100/(標的最大溶解−標的自発的溶解)。
【図14】抗KAAG1 mAbはインビボでTOV−112D卵巣腫瘍の拡大を防止する。1×10細胞をSCIDマウスの腹腔中に200μLの体積で移植した。PBS又はPBS中で希釈した抗体のいずれかを用いた治療を25mg/kgqwkの用量で2日後に実施した。腹部の触診によって腫瘍が検出されるとすぐにマウスを屠殺した。腫瘍の数を視覚的に採点し(B)、パネルAのデータを腫瘍/マウス±SEの平均数として表す。
【図15】扁平上皮細胞癌及び黒色腫から単離されたいくつかの切片のヒト皮膚腫瘍組織マイクロアレイ(Pantomics Inc.、カリフォルニア州リッチモンド)上で抗KAAG1抗体を用いて実施した免疫組織化学法を示す図である。
【図16】キメラ3D3抗体の存在下又は非存在下での、黒色腫細胞系(A375及びSK−MEL5)並びに腎臓細胞癌細胞系(A498及び786−O)のスフェロイド形成を表す図である。
【図17A】増加する濃度の3C4、3D3及び3G10抗体の、細胞を透過しない条件下で固定された細胞系(OV−90、TOV−21G及びSKOV−3)に対する結合を表すグラフである。
【図17B】3D3抗体を用いてSKOV−3細胞系に関して実施したフローサイトメトリーの結果を表すグラフである。
【図18A】3D3抗体モデルの構造を表す略図である。
【図18B】3C4抗体モデルの構造を表す略図である。
【図19A】キメラ3D3抗体と比較した、増加する濃度のヒト化3D3抗体の組換えKAAG1に対する結合を表すグラフである。
【図19B】ヒト化3D3抗体、キメラ3D3抗体、並びにキメラ又はヒト化抗体の軽鎖及び重鎖の置換を含むハイブリッド抗体の動態パラメータをまとめた表である。
【図19C】ヒト化3D3抗体、キメラ3D3抗体の存在下又は緩衝液若しくは対照IgGの存在下でのSKOV−3卵巣癌細胞のスフェロイド形成を表す図である。
【図20A】モノクローナル3D3軽鎖可変領域(配列番号16)及びヒト化3D3軽鎖可変領域(配列番号178)の配列アラインメントを表す図である。ヒト化3D3軽鎖可変領域は、モノクローナル3D3軽鎖可変領域と86%同一(94%配列類似性)であり、それらの3つのCDRは100%同一である(太字で表示)。
【図20B】モノクローナル3D3重鎖可変領域(配列番号18)及びヒト化3D3重鎖可変領域(配列番号179)の配列アラインメントを表す。ヒト化3D3重鎖可変領域はモノクローナル3D3重鎖可変領域と82%同一(91%配列類似性)であり、それらの3つのCDRは100%同一である(太字で表示)。
【図21A】モノクローナル3C4軽鎖可変領域(配列番号24)及びヒト化3C4軽鎖可変領域(配列番号182)の配列アラインメントを表す。ヒト化3C4軽鎖可変領域はモノクローナル3C4軽鎖可変領域と85%同一(93%配列類似性)であり、それらの3つのCDRは100%同一である(太字で表示)。
【図21B】モノクローナル3C4重鎖可変領域(配列番号26)及びヒト化3C4重鎖可変領域(配列番号183)の配列アラインメントを表す。ヒト化3C4重鎖可変領域は、モノクローナル3C4重鎖可変領域と86%同一(93%配列類似性)であり、それらの3つのCDRは100%同一である(太字で表示)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
癌細胞におけるKAAG1の発現及び生物活性
本発明は、様々な癌型、特に卵巣癌において見いだされる腫瘍を標的とする抗体の使用に関する。抗体を腫瘍に向かわせるために、癌細胞表面で発現される腫瘍特異性抗原の同定を実施しなければならない。腫瘍特異性抗原を同定するために利用可能な技術がいくつかあり、卵巣腫瘍におけるKAAG1を同定するために使用された方法(サブトラクティブトランスクリプションに基づくmRNAの増幅(STAR)と呼ばれる革新的な発見の基盤)は、公開特許出願第PCT/CA2007/001134号に記載されている。
【0030】
卵巣癌STARライブラリの分析によって、分泌されたタンパク質及び細胞表面タンパク質をコード化する多くの遺伝子を得た。AB−0447と称するこれらのうちの1つはオープンリーディングフレームを含み、これは、配列番号1に示すヌクレオチド配列を有する885塩基対のcDANによってコード化された配列番号2に対応する84のアミノ酸のポリペプチドをコード化した。公的に利用不可能なデータベースを検索することによって、AB−0447ヌクレオチド配列がKAAG1と呼ばれる遺伝子と同じであることが明らかになった。バイオインフォーマティック分析によって、その機能的ドメインを細胞外区画に対して提示する膜に固定されたタンパク質が予想された。KAAG1は、最初は腎臓癌ライブラリから細胞表面抗原としてクローンされ、これはその膜局在化を裏付ける結果である。さらに、本発明者らの研究から、タンパク質がそのアミノ末端で処理されることがわかり、これはアミノ酸30及び34又はその間の機能的シグナルペプチドの切断と一致した結果であった。さらに、完全長cDNAの一時的発現の結果、培地中で切断されたKAAG1が検出された。この最後の発見から、この膜に固定されたタンパク質は、高レベルで発現された場合に細胞から除去できることが示された。対照的に、KAAG1のアミノトランケートされた突然変異体の発現によって、タンパク質の細胞内保持が起こった。現在、本発明により開示される様な、卵巣癌におけるKAAG1の機能及び過剰発現を明らかにする公開された報告は今までに文書で記録されていない。
【0031】
従って、本発明者らはKAAG1を抗体に基づく診断及び治療に用いることができるかどうかを調査した。
【0032】
TOV−21G、TOV−112D、OV−90などのいくつかの卵巣癌細胞に基づくモデルが確立され、当業者には周知である。これらの細胞は、卵巣腫瘍又は腹水を有する患者由来のヒト卵巣癌細胞系のコレクションの一部である。これらの細胞系は、これらをヒト卵巣癌の優れた細胞に基づくモデルとするマイクロアレイ上の全般的遺伝子発現パターンを包含する徹底的分析を受けた。成長性、遺伝子発現パターン、及び化学療法薬に対する反応は、これらの細胞系がインビボでの卵巣腫瘍挙動の非常に代表的なものであることを示す(Benoitら、2007年)。これらの卵巣癌細胞系から単離された全RNAのRT−PCR分析から、KAAG1転写物は原発腫瘍由来の細胞系において弱く発現されたことがわかる。対照的に、腹水由来の細胞系は、高レベルのKAAG1発現を含んでいた。腹水由来の細胞におけるKAAG1の発現の増大は、細胞の環境がKAAG1遺伝子の調節に影響を及ぼすことを示唆した。腹水細胞は進行した疾患と関連し、この発現パターンは、KAAG1レベルの増大がアンカレッジ依存性成長と関連することを意味する。この後者の示唆によって、KAAG1発現は、原発腫瘍由来の細胞系において、これらの細胞が3D培養でスフェロイドとして培養される場合に有意に増大することが判明した。これらのスフェロイドは、広く特徴づけられ、インビボで腫瘍に関連する多くの特性を示すことが判明した(Codyら、2008年)。従って、KAAG1の発現は、特に卵巣癌発生中の腫瘍の進行をまねたモデルにおいて有意に増大することが判明した。
【0033】
KAAG1発現が卵巣癌細胞において調節されることが示されたので、卵巣癌細胞挙動におけるこの遺伝子の機能を細胞に基づいた分析で調べた。その趣旨で、RNA干渉(RNAi)を用いて、卵巣癌細胞系における内因性KAAG1遺伝子の発現をノックダウンし、KAAG1の発現の減少の結果、創傷治癒(又はスクラッチ)分析によって例示されるような標準的細胞運動性分析で測定すると細胞の移動が有意に減少することが判明した。この種類の分析は、細胞がコンフルエント単層中の露出部分を満たす速度を測定する。KAAG1の発現が減少すると、コロニー生存分析などのコロニー形成法によって測定される卵巣癌細胞系の生存が減少した。当業者は、癌細胞、特に卵巣癌細胞の挙動におけるKAAG1の要件を評価するために他の方法を用いることができる。
【0034】
卵巣腫瘍の大集団におけるKAAG1の発現、正常組織におけるその限定された発現、及び発現レベルと増大した悪性との一致、及び卵巣癌細胞系の挙動におけるKAAG1の推定上の生物学的役割に基づいて、卵巣癌の検出、予防、及び治療用抗体を開発するための治療標的としてKAAG1を選択した。卵巣癌以外の癌におけるKAAG1の発現によっても、本出願者らは他の癌の徴候に関する治療的又は診断的抗体を評価するに至った。
【0035】
従って、様々な抗KAAG1抗体及びその抗原結合フラグメント、たとえばモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ及びヒト化抗体(ヒト化モノクローナル抗体を包含する)、抗体フラグメント、1本鎖抗体、ドメイン抗体、及び抗原結合領域を有するポリペプチドであって、KAAG1を標的とするのに有用なものが提供される。
【0036】
抗原としてのKAAG1及びKAAG1由来のエピトープ
本出願者は、KAAG1がいくつかの腫瘍型において発現され、患者の血液及び腹水においても見いだされるという予想外の発見に至った。この抗原は従って、インビボで当該抗原を発現する腫瘍細胞を標的とするため、及びインビトロ又はインビボで腫瘍関連抗原を測定するための検出分析の開発に有用であり得る。血液中を循環するKAAG1抗原はシグナルペプチドがない。
【0037】
本発明はしたがって、KAAG1の循環形に特異的及び/又は腫瘍により発現されたKAAG1に特異的な抗体を生成するために有用なKAAG1抗原を提供する。KAAG1抗原(すなわちエピトープ)は、KAAG1の少なくとも10個のアミノ酸(かつ84個までのアミノ酸)のフラグメントを含み得、特にKAAG1の細胞外領域と結合し得る。
【0038】
抗原の一例は、配列番号2又はそのフラグメントと少なくとも80%の配列同一性を有する全KAAG1タンパク質又は変異体形態である。
【0039】
KAAG1由来の抗原の別の例は、KAAG1の分泌又は循環形であって、シグナルペプチド又はKAAG1の細胞外領域がないものである。この抗原は、さらに詳細には、KAAG1のアミノ酸1〜25、1〜26、1〜27、1〜28、1〜29、1〜30、1〜31、1〜32、1〜33、1〜34、1〜35又は1〜36がない。
【0040】
本明細書に記載する抗原又はエピトープは、抗体及び抗原結合フラグメントを生成させるために、キーホールリンペット(KHL)、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン(OVA)などの担体と融合させることができる。
【0041】
本発明はまた、本明細書に記載する抗体及び抗原結合フラグメントを生成させるための配列番号2のアミノ酸1〜35、配列番号2のアミノ酸36〜60又は配列番号2のアミノ酸アミノ酸61〜84に含まれるエピトープも提供する。本発明はさらに、KAAG1の分泌若しくは循環形態又はKAAG1の細胞外領域に対する抗体を生成させるための組成物を提供し、この組成物は、配列番号2のアミノ酸30〜84に含まれるKAAG1のエピトープ及び担体を含み得る。エピトープは特に、KAAG1の少なくとも10個のアミノ酸を含み得る。
【0042】
組成物の例示的実施形態は、KAAG1の分泌若しくは循環形態又はKAAG1の細胞外領域に対する抗体を生成させるための医薬組成物である。医薬組成物は、配列番号2のアミノ酸30〜84に含まれるKAAG1のエピトープ及び薬剤的に許容される担体を含み得る。
【0043】
さらに別の態様において、本発明は、KAAG1の分泌若しくは循環形態に対する抗体を生成させるための方法を提供する。この方法は、配列番号2のアミノ酸30〜84に含まれるKAAG1のエピトープを含むポリペプチドを投与することを含み、ここで、エピトープはKAAG1シグナルペプチドが欠失している。
【0044】
あるいは、当該方法は、シグナルペプチドを含むエピトープを投与し、タンパク質の分泌形態又は細胞外領域のみと結合する抗体を選択することを含み得る。
【0045】
さらなる態様において、本発明は、KAAG1の分泌又は循環形態に対する抗体を生成させるための、配列番号2のアミノ酸30〜84に含まれるKAAG1のエピトープの使用を提供する。
【0046】
KAAG1と結合する抗体及び抗原結合フラグメント
抗体は、最初は興味のある抗原に対するそれらの特異性に関してFabライブラリから単離された。最大の特徴を示す抗体の軽鎖可変領域又は重鎖可変領域のアミノ酸配列の比較によって、CDR内及び可変領域内のコンセンサス配列を誘導することができた。CDRのコンセンサス配列は、配列番号74〜90に示される。
【0047】
本明細書に記載される可変領域を所望の種の定常領域と融合させ、これによって所望の種のエフェクター細胞によって抗体を認識させることができる。定常領域は、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブタイプ由来であり得る。定常領域のフレーム中での可変領域を用いたクローニング又は合成は、十分に当業者の技術範囲内であり、たとえば組換えDNA技術によって実施することができる。
【0048】
本発明のある実施形態において、KAAG1と結合する抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブタイプのものであってよい。本発明のさらに具体的な実施形態は、IgG1サブタイプの抗体に関する。抗体は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、補体媒介性細胞傷害性(CMC)の媒介において生物学的に活性であるか、又は免疫複合体と関連するIgG1サブタイプのヒト化抗体であってよい。典型的なADCCは、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化に関与し、NK細胞の表面上のFc受容体による抗体被覆細胞の認識に依存する。Fc受容体は、標的細胞、特に、KAAG1などの抗原を発現する癌性細胞の表面と結合するIgG1上に存在するような抗体のFcドメインを認識する。IgGのFc受容体と結合した時点で、NK細胞はサイトカイン及び細胞傷害性顆粒を放出し、これらは標的細胞に侵入し、アポトーシスを引き起こすことによって細胞死を促進する。
【0049】
数例において、抗体3D3と実質的に同一である軽及び重鎖可変領域を有する抗KAAG1抗体は、KAAG1のアミノ酸36〜60(両端を含む)の範囲のエピトープと相互作用する。他の例では、抗体3G10と実質的に同一である軽及び重鎖可変領域を有する抗KAAG1抗体は、KAAG1のアミノ酸61〜84(両端を含む)の範囲のエピトープと相互作用する。さらに別の例では、抗体3C4と実質的に同一である軽及び重鎖可変領域を有する抗KAAG1抗体は、KAAG1のアミノ酸1〜35(両端を含む)のエピトープと相互作用する。
【0050】
本発明は、KAAG1と結合する抗体のコレクションを記載する。ある実施形態において、抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、例えばキメラ又はヒト化抗体、抗体フラグメント、例えば抗原結合フラグメント、1本鎖抗体、ドメイン抗体、及び抗原結合領域を有するポリペプチドからなる群から選択することができる。
【0051】
本発明の一態様において、本発明の単離された抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1発現腫瘍細胞又はKAAG1変異体発現腫瘍細胞の死滅(除去、破壊、溶解)を(たとえばADCCに依存した方法で)誘発することができる。
【0052】
本発明のさらなる態様において、本発明の単離された抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1発現腫瘍細胞の拡大を軽減するその能力によって特に特徴づけられる。
【0053】
本発明のさらなる態様において、本発明の単離された抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1発現腫瘍の形成を減少させるかまたは損なう能力により特徴づけられる。
【0054】
本発明の実施形態によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは、KAAG1がKAAG1発現腫瘍細胞の表面で発現される場合にさらに有効であり得る。
【0055】
また、本発明によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは、アンカレッジ依存性成長を特徴とするKAAG1発現腫瘍細胞を標的とするのに特に有用であり得る。
【0056】
さらなる態様において、本発明は、KAAG1を発現する腫瘍細胞を含む癌の治療において用いられる、単離された抗体又は抗原結合フラグメントに関する。
【0057】
さらに別の態様において、本発明は、KAAG1を発現する腫瘍細胞を含む癌の検出において用いられる単離された抗体又は抗原結合フラグメントに関する。
【0058】
本発明の例示的実施形態において、単離された抗体又は抗原結合フラグメントは、たとえばヒト抗体由来であり得る定常領域のアミノ酸を含み得る。
【0059】
本発明の別の例示的実施形態において、単離された抗体又は抗原結合フラグメントは、ヒト抗体のフレームワークアミノ酸を含み得る。
【0060】
本明細書に記載する例示的実施形態に限定されないが、本出願者は、本明細書に記載する目的のために有用であり得る抗体及び抗原結合フラグメントを生成させた。
【0061】
本発明は、従って例示的一実施形態において、
(a)配列番号74及び配列番号75からなる群から選択されるCDRL1配列、
(b)配列番号76、配列番号77及び配列番号78からなる群から選択されるCDRL2配列、又は
(c)配列番号79、配列番号80及び配列番号81からなる群から選択されるCDRL3配列
を有する軽鎖可変領域を含む単離された抗体又は抗原結合フラグメントを提供する。
【0062】
単離された抗体又は抗原結合フラグメントはまた、
(a)配列番号82を含むCDRH1配列、
(b)配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86及び配列番号87からなる群から選択されるCDRH2配列、又は
(c)配列番号88、配列番号89及び配列番号90からなる群から選択されるCDRH3配列
を有する重鎖可変領域を含んでもよい。
【0063】
例示的一実施形態において、抗体又は抗原結合フラグメントは、軽鎖可変領域の個々のCDR又はCDR1、CDR2及び/又はCDR3の組み合わせを含んでもよい。CDR3はさらに詳細に選択することができる。組み合わせとしては、たとえば、CDRL1とCDRL3;CDRL1とCDRL2;CDRL2とCDRL3及び;CDRL1とCDRL2とCDRL3が挙げられる。
【0064】
別の例示的実施形態において、抗体又は抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域の個々のCDR又はCDR1、CDR2及び/又はCDR3の組み合わせを含んでもよい。CDR3はさらに詳細に選択することができる。組み合わせには、たとえばCDRH1とCDRH3;CDRH1とCDRH2;CDRH2とCDRH3及び;CDRH1とCDRH2とCDRH3が含まれる。
【0065】
本発明によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは、CDRL1、CDRL2又はCDRL3の少なくとも2つのCDRを含み得る。
【0066】
また、本発明によれば抗体又は抗原結合フラグメントは、1つのCDRL1、1つのCDRL2及び1つのCDRL3を含み得る。
【0067】
さらに、本発明によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは:
(a)CDRL1、CDRL2又はCDRL3のうちの少なくとも2つのCDR及び
(b)CDRH1、1つのCDRH2又は1つのCDRH3のうちの少なくとも2つのCDR
を含んでもよい。
【0068】
抗体又は抗原結合フラグメントは、さらに詳細には、1つのCDRL1、1つのCDRL2及び1つのCDRL3を含んでもよい。
【0069】
抗体又は抗原結合フラグメントはまた、さらに詳細には1つのCDRH1、1つのCDRH2及び1つのCDRH3を含んでもよい。
【0070】
本発明の他の例示的実施形態は;
(a)配列番号82を含むCDRH1配列;
(b)配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86及び配列番号87からなる群から選択されるCDRH2配列、又は;
(c)配列番号88、配列番号89及び配列番号90からなる群から選択されるCDRH3配列
を有する重鎖可変領域を含む単離された抗体又は抗原結合フラグメントに関する。
【0071】
本発明によれば、抗体又は抗原結合フラグメントは、1つのCDRH1、1つのCDRH2又は1つのCDRH3を含んでもよい。
【0072】
本発明によれば、抗体又は抗原結合フラグメントはまた、1つのCDRH1、1つのCDRH2及び1つのCDRH3を含んでもよい。
【0073】
軽鎖可変領域又は重鎖可変領域のうちの1つだけが利用可能である場合、抗体又は抗原結合フラグメントを、当該技術分野で公知の方法を用いて相補性可変領域のライブラリをスクリーニングすることによって再構成することができる(Portolano et al. The Journal of Immunology(1993)150:880−887, Clarkson et al., Nature(1991)352:624−628)。
【0074】
本明細書に記載する少なくとも1つのCDRにおいて(もとのCDRと比較して)少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する可変鎖を含むポリペプチド又は抗体も本発明に含まれる。
【0075】
本発明は、少なくとも2つのCDRにおいて(もとのCDRと比較して)少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する可変鎖を含むポリペプチド又は抗体も含む。
【0076】
本発明は、3つのCDRにおいて(もとのCDRと比較して)少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する可変鎖を含むポリペプチド又は抗体も含む。
【0077】
本発明は、少なくとも1つのCDRにおいて(もとのCDRと比較して)少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を有する可変鎖を含むポリペプチド又は抗体も含む。
【0078】
本発明は、少なくとも2つのCDRにおいて(もとのCDRと比較して)少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を有する可変鎖を含むポリペプチド又は抗体も含む。
【0079】
本発明は、3つのCDRにおいて(もとのCDRと比較して)少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を有する可変鎖を含むポリペプチド又は抗体も含む。
【0080】
別の態様において、本発明は、(単一のポリペプチド鎖又は別個のポリペプチド鎖上で)本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントのうちの1つの、軽鎖可変領域の少なくとも1つの相補性決定領域及び重鎖可変領域の少なくとも1つの相補性決定領域を含むポリペプチド、抗体又は抗原結合フラグメントに関する。
【0081】
本発明は、その別の態様において、(単一のポリペプチド鎖上又は別個のポリペプチド鎖上で)本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントの6個の相補性決定領域(CDR)全てを含み得る抗KAAG1抗体に関する。
【0082】
本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、(1つ若しくは複数の)CDRのアミノ及び/又はカルボキシ領域に隣接するさらなるアミノ酸をさらに含み得る。これらのさらなるアミノ酸は、表A又は表Bに示されるようなものであり得るか、又はたとえば保存的アミノ酸置換を含み得る。
【0083】
本発明によれば、抗体は、式:
1aSSX2aSLLX3a4a5a6a7a8a9a10aLX11a(配列番号74)
(式中、X1aは塩基性アミノ酸であり;
2aは塩基性アミノ酸であり;
3aはH、Y又はNであり;
4aはS、T、N又はRであり;
5aは存在しないか、S又はNであり;
6aはD、F又はNであり;
7aはG又はQであり;
8aはK、L又はNであり;
9aはT又はNであり;
10aは芳香族アミノ酸であり、そして
11aはA、N、E又はYである)
を含むか、またはこれからなるCDRL1配列を含み得る。
【0084】
本発明の例示的実施形態において、X1aはK又はRであり得る。
【0085】
本発明のさらなる実施形態において、X2aはQ又はKであり得る。
【0086】
本発明のさらに別の実施形態において、X3aはN又はHであり得る。
【0087】
本発明のさらなる実施形態において、X10aはY又はFであり得る。
【0088】
本発明のさらに具体的な実施形態は、配列番号74のCDRL1を含み、ここで、X1aはK;X2aはQ;X3aはN;X3aはH;X4aはS;X4aはT;X5aはS;X5aは存在しない:X6aはN;X7aはQ;X7aはG;X8aはK;X9aはN;X9aはT;X10aはY;又はX11aはAである。
【0089】
本発明によれば、抗体は、式:
KASQDX1b2b3b4b5b6b(配列番号75)
(式中、X1bは疎水性アミノ酸であり;
2bはG又はHであり;
3bはT、N又はRであり;
4bはF、Y又はAであり;
5bは疎水性アミノ酸であり、そして;
6bはN又はAである)
を含むか、又はこれからなるCDRL1配列を含み得る。
【0090】
本発明の例示的実施形態において、X1bはV又はIであり得る。
【0091】
本発明の別の例示的実施形態において、X5bはV又はLであり得る。
【0092】
本発明のさらに具体的な実施形態は配列番号75のCDRL1を含み、ここで、X1bはI;X2bはH;X3bはT;X3bはN;X4bはY;X4bはF;X5bはL、又はX6bはNである。
【0093】
本発明によれば、抗体は、式:
FX1cSTX2c3cS(配列番号76)
(式中、X1cはA又はGであり;
2cはR又はTであり、そして;
3cはE、K又はAである)
を含むか、又はこれからなるCDRL2配列を含み得る。
【0094】
本発明の例示的実施形態において、X1cはAであり得、X2cはTであり得る。
【0095】
本発明の別の例示的実施形態において、X1cはAであり得、X2cはRであり得る。
【0096】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号76のCDRL2を含み、ここで、X1cはA;X2cはR、又はX3cはEである。
【0097】
本発明によれば、抗体は、式:
1dVSX2d3d4dS(配列番号77)
(式中、X1dはL又はKであり;
2dは塩基性アミノ酸であり;
3dはL又はRであり、そして;
4dはD又はFである)
を含むか、又はこれからなるCDRL2配列を含み得る。
【0098】
本発明の例示的実施形態において、X2dはK又はNであり得る。
【0099】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号77のCDRL2を含み、ここで、X1dはL;X2dはK;X3dはL、又はX4dはDである。
【0100】
本発明によれば、抗体は、式:

1eANRLVX2e(配列番号78)
(式中、X1eは塩基性アミノ酸であり、そして
2eはD又はAである)
を含むか、又はこれからなるCDRL2配列を含み得る。
【0101】
本発明の例示的実施形態において、X1eはR又はHであり得る。
【0102】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号78のCDRL2を含み、ここで、X1eはRであるか、又はX2eはDである。
【0103】
本発明によれば、抗体は、式:
1fQX2f3f4f5fPLT(配列番号79)
(式中、X1fはQ又はLであり;
2fは芳香族アミノ酸であり;
3fはD、F又はYであり;
4fはE、A、N又はSであり、そして;
5fはI、F又はTである)
を含むか、又はこれからなるCDRL3配列を含み得る。
【0104】
本発明の例示的実施形態において、X2fはY又はHであり得る。
【0105】
本発明の別の例示的実施形態において、X3fはY又はDであり得る。
【0106】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、X5fはI又はTであり得る。
【0107】
本発明の他の具体的な実施形態は配列番号79のCDRL3を含み、ここで、X1fはQ;X2fはH;X3fはD;X3fはY;X4fはS;X4fはE;X4fはA;X5fはT、又はX5fはIである。
【0108】
本発明によれば、抗体は、式:
QQHX1g2g3gPLT(配列番号80)
(式中、X1gは芳香族アミノ酸であり;
2gはN又はSであり、そして;
3gはI又はTである)
を含むか、又はこれからなるCDRL3配列を含み得る。
【0109】
本発明の例示的実施形態において、X1gはF又はYであり得る。
【0110】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号80のCDRL3を含み、ここで、X2gはSであるか、又はX3gはTである。
【0111】
本発明によれば、抗体は式:
1hQGX2hHX3hPX4hT(配列番号81)
(式中、X1hは芳香族アミノ酸であり;
2hは中性の親水性アミノ酸であり;
3hはF又はVであり、そして;
4hはR又はLである)
を含むか、またはこれからなるCDRL3配列を含み得る。
【0112】
本発明の例示的実施形態において、X1hはW又はFであり得る。
【0113】
本発明の別の例示的実施形態において、X2hはS又はTであり得る。
【0114】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号81のCDRL3を含み、ここで、X1hはW;X2hはT;X3hはF、又はX4hはRである。
【0115】
本発明によれば、抗体は、式:
GYX1iFX2i3iYX4i5iH(配列番号82)
(式中、X1iはT、I又はKであり;
2iは中性の親水性アミノ酸であり;
3iは酸性アミノ酸であり;
4iはE、N又はDであり、そして;
5iは疎水性アミノ酸である)
を含むか、又はこれからなるCDRH1配列を含み得る。
【0116】
本発明の例示的実施形態において、X2iはT又はSであり得る。
【0117】
本発明の別の例示的実施形態において、X3iはD又はEであり得る。
【0118】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、X4iはN又はEであり得る。
【0119】
本発明のさらなる例示的実施形態において、X5iはM、I又はvであり得る。
【0120】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号82のCDRH1を含み、ここで、X2iはT、X3iはD;X4iはE;X5iはI、又はX5iはMである。
【0121】
本発明によれば、抗体は、式:
1j2jDPX3jTGX4jTX5j(配列番号83)
(式中、X1jはV又はGであり、
2jは疎水性アミノ酸であり;
3jはA、G又はEであり;
4jはR、G、D、A、S、N又はVであり、そして;
5jは疎水性アミノ酸である)
を含むか、又はこれからなるCDRH2配列を含み得る。
【0122】
本発明の例示的実施形態において、X2jはI又はLであり得る。
【0123】
本発明の別の例示的実施形態において、X5jはA又はVであり得る。
【0124】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号83のCDRH2を含み、ここで、X1jはV;X2jはI;X3jはE;X4jはD、又はX5jはAである。
【0125】
本発明によれば、抗体は、式:
VX1kDPX2kTGX3kTA(配列番号84)
(式中、X1kは疎水性アミノ酸であり;
2kはA、E又はGであり;
3kはR、G、A、S、N、V又はDである)を含むか、またはこれからなるCDRH2配列を含み得る。
【0126】
本発明の例示的実施形態において、X1kはL又はIであり得る。
【0127】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号84のCDRH2を含み、ここで、X1kはI、X2kはE、又はX3kはDである。
【0128】
本発明によれば、抗体は、式:
YIX1l2l3lGX4l5l6l(配列番号85)
(式中、X1lはS又はNであり;
2lは芳香族アミノ酸であり;
3lはD、E又はNであり;
4lはD又はHであり;
5lはY、S又はNであり;
6lはD、E又はNである)
を含むか、またはこれからなるCDRH2配列を含み得る。
【0129】
本発明の例示的実施形態において、X3lはD又はNであり得る。
【0130】
本発明の別の例示的実施形態において、X6lはD又はNであり得る。
【0131】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号85のCDRH2を含み、ここで、X2lはF又はY、X3lはN、X4lはD、又はX6lはNである。
【0132】
本発明によれば、抗体は、式:
1mINPYNX2mVTE(配列番号86)
(式中、X1mはN又はYであり;そして
2mはE、D又はNである)
を含むか、又はこれからなるCDRH2配列を含み得る。
【0133】
本発明の例示的実施形態において、X2mはD又はNであり得る。
【0134】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号86のCDRH2を含み、ここで、X1mはNであるか、又はX2mはDである。
【0135】
本発明によれば、抗体は、式:
DINPX1nYGX2n3nT(配列番号87)
(式中、X1nはN又はYであり;
2nはG又はTであり;そして
3nはI又はTである)
を含むか、またはこれからなるCDRH2配列を含み得る。
【0136】
本発明によれば、抗体は、式:
MX1o2o3oDY(配列番号88)
(式中、X1oはG又はSであり;
2oはY又はHであり、そして;
3oはA又はSである)
を含むか、またはこれからなるCDRH3配列を含み得る。
【0137】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号88のCDRH3を含み、ここで、X1oはG;X2oはY、又はX3oはSである。
【0138】
本発明によれば、抗体は、式:
IX1pYAX2pDY(配列番号89)
(式中、X1pはG又はSであり、そして;
2pは存在しないか又はMである)
を含むか、又はこれからなるCDRH3配列を含み得る。
【0139】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号89のCDRH3を含み、ここで、X1pはSであるか、又はX2pがMである。
【0140】
本発明によれば、抗体は、式:
AX1q2qGLRX3q(配列番号90)
(式中、X1qはR又はWであり;
2qは芳香族アミノ酸であり、そして;
3qは塩基性アミノ酸である)
を含むか、またはこれからなるCDRH3配列を含み得る。
【0141】
本発明の例示的実施形態において、X2qはW又はFであり得る。
【0142】
本発明の別の例示的実施形態において、X3qはQ又はNであり得る。
【0143】
本発明の他の具体的な実施形態は、配列番号90のCDRH3を含み、ここでX1qはR;X2qはW、又はX3qはNである。
【0144】
本明細書で記載する重鎖及び/又は軽鎖のフレームワーク領域は、表A及びBに示すフレームワーク領域から誘導することができる。抗体又は抗原結合フラグメントは、従って、本明細書に記載する1以上のCDR(たとえば、特定のCDR又は配列番号74〜90のコンセンサスCDRから選択される)並びに表A及びBに記載するもの由来のフレームワーク領域を含み得る。表A及びBでは、予想されるCDRを太字で示し、フレームワーク領域は太字でない。
【0145】
表2は、抗KAAG1抗体の具体例の完全軽及び重鎖イムノグロブリンに対応するヌクレオチド及びアミノ酸の配列を記載する。
【0146】
【表1】

【0147】
KAAG1を結合できる抗体又は抗原結合フラグメントは、表2に記載するいずれか1つのL鎖といずれか1つのH鎖イムノグロブリンを含み得る。ある実施形態において、抗体3D3の軽鎖は、3D3の重鎖又は3G10の重鎖と組み合わせて、KAAG1結合活性を有する完全抗体を形成することができる。本発明の例示的実施形態において、3D3L鎖を3D3H鎖と組み合わせることができるか、3G10L鎖を3G10H鎖と組み合わせることができるか、又は3C4L鎖を3C4H鎖と組み合わせることができる。さらに、抗体又は抗原結合フラグメントの数例は、表2に記載する抗体のリストからの2つのL鎖及びいずれか2つのH鎖の任意の組み合わせからなるものであってよい。
【0148】
抗体3D3の軽及び重イムノグロブリン鎖の完全ヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号3及び5に示し、抗体3D3の軽及び重イムノグロブリン鎖の対応するアミノ酸配列をそれぞれ配列番号4及び6に示す。したがって、例示的一実施形態において、KAAG1と結合する抗体は、配列番号4に示す軽鎖アミノ酸を配列番号6に示す重鎖アミノ酸配列と組み合わせて含み得る。別の実施形態において、抗体は、配列番号4を含む2つの同じ3D3軽鎖及び配列番号6を含む2つの同じ3D3重鎖を含み得る。
【0149】
抗体3G10の軽及び重イムノグロブリン鎖の完全ヌクレオチド配列を配列番号7及び9にそれぞれ示し、抗体3G10の軽及び重イムノグロブリン鎖の対応するアミノ酸配列を配列番号8及び10にそれぞれ示す。したがって、例示的一実施形態において、KAAG1と結合する抗体は、配列番号8に示す軽鎖アミノ酸を、配列番号10に示す重鎖アミノ酸配列と組み合わせて含み得る。別の実施形態において、抗体は、配列番号8を含む2つの同じ3G10軽鎖及び配列番号10を含む2つの同じ3G10重鎖を含み得る。
【0150】
抗体3C4の軽及び重イムノグロブリン鎖の完全ヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号11及び13に示し、抗体3C4の軽及び重イムノグロブリン鎖の対応するアミノ酸配列をそれぞれ配列番号12及び14に示す。したがって、例示的一実施形態において、KAAG1と結合する抗体は、配列番号12に示す軽鎖アミノ酸を配列番号14に示す重鎖アミノ酸配列と組み合わせて含み得る。別の実施形態において、抗体は、配列番号12を含む2つの同じ3C4軽鎖及び配列番号14を含む2つの同じ3C4重鎖を含み得る。
【0151】
軽及び/又は重イムノグロブリン鎖の組み合わせにより形成される他の抗KAAG1抗体又は抗原結合フラグメントの変異体であって、それぞれ独立して、表2に記載するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の同一性を有するものも提供される。ある実施形態において、抗体変異体は、少なくとも1つの軽鎖及び1つの重鎖を含み得る。他の例では、抗体変異体は、2つの同じ軽鎖及び2つの同じ重鎖を含み得る。本発明によれば、変異の領域は、定常領域中又は可変領域中に位置してもよい。また、本発明によれば、変異の領域は、フレームワーク領域中に位置してもよい。
【0152】
表Aに記載する可変領域のうちの1つを含む軽鎖及び表Bに示す可変領域のうちの1つを含む重鎖を含む抗体も本発明に含まれる。軽鎖及び重鎖は定常領域を含み得る。表2、表A及び表Bの軽鎖及び重鎖の組み合わせも本発明に含まれる。
【0153】
軽鎖及び重鎖可変領域を含む抗体又は抗原結合フラグメントも本発明で提供される。さらに、ある実施形態は、これらの軽及び重鎖可変領域の抗原結合フラグメント、変異体、及び誘導体を包含する。
【0154】
本発明のさらに別の例示的実施形態は、配列番号2、配列番号2の細胞外部分、又は配列番号2の分泌形態若しくはその変異体と特異的に結合できる単離された抗体又は抗原結合フラグメントを包含し、この抗体は、
(a)配列番号16で定義される軽鎖可変領域及び配列番号18で定義される重鎖可変領域、
(b)配列番号20で定義される軽鎖可変領域及び配列番号22で定義される重鎖可変領域、
(c)配列番号24で定義される軽鎖可変領域及び配列番号26で定義される重鎖可変領域、
(d)配列番号105で定義される軽鎖可変領域及び配列番号132で定義される重鎖可変領域、
(e)配列番号106で定義される軽鎖可変領域及び配列番号133で定義される重鎖可変領域、
(f)配列番号107で定義される軽鎖可変領域及び配列番号134で定義される重鎖可変領域、
(g)配列番号108で定義される軽鎖可変領域及び配列番号154で定義される重鎖可変領域、
(h)配列番号109で定義される軽鎖可変領域及び配列番号153で定義される重鎖可変領域、
(i)配列番号110で定義される軽鎖可変領域及び配列番号135で定義される重鎖可変領域、
(j)配列番号111で定義される軽鎖可変領域及び配列番号136で定義される重鎖可変領域、
(k)配列番号112で定義される軽鎖可変領域及び配列番号149で定義される重鎖可変領域、
(l)配列番号113で定義される軽鎖可変領域及び配列番号137で定義される重鎖可変領域、
(m)配列番号114で定義される軽鎖可変領域及び配列番号140で定義される重鎖可変領域、
(n)配列番号115で定義される軽鎖可変領域及び配列番号141で定義される重鎖可変領域、
(o)配列番号116で定義される軽鎖可変領域及び配列番号142で定義される重鎖可変領域、
(p)配列番号117で定義される軽鎖可変領域及び配列番号139で定義される重鎖可変領域、
(q)配列番号119で定義される軽鎖可変領域及び配列番号143で定義される重鎖可変領域、
(r)配列番号120で定義される軽鎖可変領域及び配列番号152で定義される重鎖可変領域、
(s)配列番号121で定義される軽鎖可変領域及び配列番号146で定義される重鎖可変領域、
(t)配列番号122で定義される軽鎖可変領域及び配列番号138で定義される重鎖可変領域、
(u)配列番号123で定義される軽鎖可変領域及び配列番号150で定義される重鎖可変領域、
(v)配列番号124で定義される軽鎖可変領域及び配列番号144で定義される重鎖可変領域、
(w)配列番号126で定義される軽鎖可変領域及び配列番号145で定義される重鎖可変領域、
(x)配列番号127で定義される軽鎖可変領域及び配列番号157で定義される重鎖可変領域、
(y)配列番号128で定義される軽鎖可変領域及び配列番号155で定義される重鎖可変領域、
(z)配列番号129で定義される軽鎖可変領域及び配列番号156で定義される重鎖可変領域、又は、
(aa)配列番号130で定義される軽鎖可変領域及び配列番号151で定義される重鎖可変領域
を含む。
【0155】
本明細書では、前記の特定の組み合わせの軽鎖可変領域を任意の他の軽鎖可変領域に変えることができると理解されるべきである。同様に、特定の組み合わせの重鎖可変領域を任意の他の重鎖可変領域に変えることができる。
【0156】
これらの軽及び重鎖可変領域中に存在する配列の具体例を表3に開示する。
【0157】
【表2】

【0158】
従って、KAAG1と結合する抗体及び抗原結合フラグメントは、同じ名称の抗体の1つの軽鎖可変領域及び1つの重鎖可変領域または任意の組み合わせを含み得る。たとえば、例示的一実施形態において、抗KAAG1抗体又はフラグメントは、3D3軽鎖可変領域(配列番号16)及び3D3重鎖可変領域(配列番号18)を含み得る。別の実施形態において、抗KAAG1抗体又はフラグメントは、3D3軽鎖可変領域(配列番号16)及び3G10重鎖可変領域(配列番号22)を含み得る。別の実施形態において、抗KAAG1抗体は、2つの同じ軽鎖可変領域及び2つの同じ重鎖領域を含み得る。さらに別の実施形態において、抗KAAG1抗体は、2つの異なる軽鎖可変領域及び2つの異なる重鎖領域を含み得る。
【0159】
それぞれ、表3に記載するアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、又は99%の同一性を有する軽及び/又は重鎖可変領域の組み合わせによって形成される他の抗KAAG1抗体の変異体も提供される。当業者は、抗KAAG1抗体変異体が、表3に記載する軽及び/又は重鎖可変領域のアミノ酸配列において、保存的アミノ酸変化、アミノ酸置換、欠失、又は付加を含み得ることも認めるであろう。
【0160】
本発明によれば、変異領域は、可変領域のフレームワーク領域中に位置し得る。
【0161】
【表3】

【0162】
本発明のある実施形態において、抗KAAG1抗体又は抗原結合フラグメントは、表4に示すCDR配列を含み得るか、又は表4のCDR配列と実質的な配列同一性を有し得る。例示的一実施形態において、3D3抗KAAG1抗体は、それぞれ配列番号27、28、及び29によってコード化されるCDR1、2、及び3を含む軽鎖可変領域、及び/又はそれぞれ配列番号30、31、及び32によってコード化されるCDR1、2、及び3を含む重鎖可変領域を含み得る。他の実施形態において、CDR3領域は抗原結合を提供するために十分であり得る。従って、CDR3L又はCDR3H又はCDR3LとCDR3Hとの両方を含むポリペプチドは本発明に含まれる。
【0163】
さらに、抗KAAG1抗体又は抗原結合フラグメントは、表4に記載するCDRの任意の組み合わせを含み得る。たとえば、抗体又は抗原結合フラグメントは軽鎖CDR3及び重鎖CDR3を含み得る。抗KAAG1抗体又は抗原結合フラグメント中に含まれるCDRは、表4に記載するCDR配列と80%、85%、90%、又は95%の配列同一性を有する変異体CDRであってよいと解釈される。当業者らはまた、変異体が表4に記載するCDR配列において保存的アミノ酸変化、アミノ酸置換、欠失又は付加を含み得ることを認識するであろう。
【0164】
本発明の他の例示的実施形態は、配列番号2、配列番号2の細胞外部分又は配列番号2の分泌形態若しくはその変異体と特異的に結合できる単離された抗体又は抗原結合フラグメントを含み、この抗体は:
(a)配列番号16で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号18で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(b)配列番号20で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号22で定義される重鎖可変領域の3つのCDR;
(c)配列番号24で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号26で定義される重鎖可変領域の3つのCDR;
(d)配列番号105で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号132で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(e)配列番号106で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号133で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(f)配列番号107で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号134で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(g)配列番号108で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号154で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(h)配列番号109で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号153で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(i)配列番号110で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号135で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(j)配列番号111で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号136で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(k)配列番号112で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号149で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(l)配列番号113で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号137で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(m)配列番号114で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号140で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(n)配列番号115で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号141で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(o)配列番号116で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号142で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(p)配列番号117で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号139で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(q)配列番号119で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号143で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(r)配列番号120で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号152で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(s)配列番号121で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号146で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(t)配列番号122で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号138で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(u)配列番号123で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号150で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(v)配列番号124で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号144で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(w)配列番号126で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号145で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(x)配列番号127で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号157で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(y)配列番号128で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号155で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、
(z)配列番号129で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号156で定義される重鎖可変領域の3つのCDR、又は;
(aa)配列番号130で定義される軽鎖可変領域の3つのCDR及び/又は配列番号151で定義される重鎖可変領域の3つのCDR
を含む。
【0165】
ここでも、前記の具体的な組み合わせの軽鎖可変領域は、本明細書に記載する任意の他の軽鎖可変領域に変えることができる。同様に、前記の具体的な組み合わせの重鎖可変領域は、本明細書に記載する任意の他の重鎖可変領域に変えることができる。
【0166】
変異体抗体及び抗原結合フラグメント
本発明は本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントの変異体も包含する。含まれる変異体抗体又は抗原結合フラグメントは、アミノ酸配列に変異を有するものである。たとえば、含まれる変異体抗体又は抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの変異体CDR(2、3、4、5若しくは6の変異体CDR又はさらには12の変異体CDR)、変異体軽鎖可変領域、変異体重鎖可変領域、変異体軽鎖及び/又は変異体重鎖を有するものである。本発明に含まれる変異体抗体又は抗原結合フラグメントは、たとえばもとの抗体又は抗原結合フラグメントと比べて結合親和性が類似しているか又は改善されているものである。
【0167】
本明細書で用いられる場合、「変異体」という用語は、本明細書に記載するすべての配列に適用され、例えば、変異体CDR(CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2及び/又はCDRH3のいずれか)、変異体軽鎖可変領域、変異体重鎖可変領域、変異体軽鎖、変異体重鎖、変異体抗体、変異体抗原結合フラグメント及びKAAG1変異体が挙げられる。
【0168】
本発明に含まれる変異体抗体又は抗原結合フラグメントは、挿入、欠失又はアミノ酸置換(保存的若しくは非保存的)を含み得るものである。これらの変異体は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、異なる残基がその場所に挿入されていてもよい。
【0169】
置換型突然変異誘発のために最も重要な部位としては、超可変領域(CDR)があげられるが、フレームワーク領域またはさらには定常領域における改変も想定される。保存的置換は、下記群(群1〜6)からの(CDR、可変鎖、抗体などの)1つのアミノ酸を同じ群の別のアミノ酸と交換することによってなすことができる。
【0170】
保存的置換の他の例示的実施形態を、表1A中「好適な置換」という見出しの下に記載する。このような置換の結果、望ましくない性質となる場合、表1Aで「例示的な置換」と命名したさらに実質的な変化、又はアミノ酸のクラスに関連して以下でさらに記載する様なものを導入して、生成物をスクリーンしてもよい。
【0171】
変異体は、置換型突然変異誘発によって生成させることができ、本発明のポリペプチドの生物活性を保持することが、当該技術分野では知られている。これらの変異体は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されている。たとえば、置換型突然変異誘発に関して興味深い1つの部位は、様々な種から得られる特定の残基が同一である部位を含み得る。「保存的置換」と特定される置換の例を表1Aに示す。このような置換の結果、望ましくない変化が起こるならば、表1Aで「例示的置換」と命名される他の種類の置換、又はアミノ酸のクラスに関連して本明細書でさらに記載するようなものを導入し、生成物をスクリーンしてもよい。
【0172】
機能又は免疫学的同一性における置換型修飾は、(a)置換部分でのポリペプチド骨格の構造、たとえばシートまたは螺旋状構造、(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の嵩の維持に対するそれらの影響が有意に異なる置換を選択することによって行う。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて次の群に分類される:
(1群)疎水性:ノルロイシン、メチオニン(Met)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)
(2群)中性親水性:システイン(Cys)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)
(3群)酸性:アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)
(4群)塩基性:アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、リシン(Lys)、アルギニン(Arg)
(5群)鎖の配向に影響を及ぼす残基:グリシン(Gly)、プロリン(Pro);及び
(6群)芳香族:トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)
【0173】
非保存的置換は、これらの種類のメンバーを互いに交換する。
【0174】
【表4】

【0175】
変異体抗体又は抗原結合フラグメントのアミノ酸配列における変異は、アミノ酸付加、欠失、挿入、置換等、1以上のアミノ酸の骨格若しくは側鎖における1以上の修飾、又は1以上のアミノ酸(側鎖若しくは骨格)への1つの基若しくは別の分子の付加を包含する。
【0176】
変異体抗体又は抗原結合フラグメントは、もとの抗体又は抗原結合フラグメントアミノ酸配列と比較して、そのアミノ酸配列において実質的な配列類似性及び/又は配列同一性を有し得る。2つの配列間の類似性の程度は、同一性(同じアミノ酸)及び保存的置換のパーセンテージに基づく。
【0177】
一般的に、可変鎖間の類似性及び同一性の程度は、本発明では、Blast2配列プログラム(Tatiana A.Tatusova,Thomas L.Madden(1999),“Blast 2 sequences−a new tool for comparing protein and nucleotide sequences”,FEMS Microbiol Lett.174:247−250)を用い、デフォルト設定を用いて、すなわち、blastpプログラム、BLOSUM62マトリックス(オープンギャップ11及びエクステンションギャップペナルティー1;gapxドロップオフ50、期待値10.0、ワードサイズ3)及び活性化フィルターを用いて決定した。
【0178】
同一性(%)は、従ってもとのペプチドと比較して同一であり、同じか又は類似した位置を占め得るアミノ酸を表す。
【0179】
類似性(%)は、同一であり、もとのペプチドと比較して、同じか又は類似した位置にて保存的アミノ酸置換で置換されているアミノ酸を表す。
【0180】
本発明の変異体は、従って、もとの配列又はもとの配列の一部と少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有し得るものを含む。
【0181】
変異体の例示的実施形態は、本明細書に記載する配列と少なくとも81%の配列同一性を有し、もとの配列又はもとの配列の一部と81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列類似性を有するものである。
【0182】
変異体の他の例示的実施形態は、本明細書に記載する配列と少なくとも82%の配列同一性を有し、もとの配列又はもとの配列の一部と82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%配列類似性を有するものである。
【0183】
変異体のさらなる例示的実施形態は、本明細書に記載する配列と少なくとも85%の配列同一性を有し、もとの配列又はもとの配列の一部と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列類似性を有するものである。
【0184】
変異体の他の例示的実施形態は、本明細書に記載する配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、もとの配列又はもとの配列の一部と90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列類似性を有するものである。
【0185】
変異体のさらなる例示的実施形態は、本明細書に記載する配列と少なくとも95%の配列同一性を有し、もとの配列又はもとの配列の一部と95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列類似性を有するものである。
【0186】
変異体のさらなる例示的実施形態は、本明細書に記載する配列と少なくとも97%の配列同一性を有し、もとの配列又はもとの配列の一部と97%、98%、99%又は100%の配列類似性を有するものである。
【0187】
簡潔にするために、本出願者は、本発明に含まれる個々の変異体の例示的実施形態を示し、特定の配列同一性(%)及び配列類似性(%)を含む表1Bを提示する。各「X」は、所与の変異体を示すと解釈される。
【0188】
【表5】

【0189】
本発明は、本明細書に記載する配列と少なくとも80%の同一性を有するCDR、軽鎖可変領域、重鎖可変領域、軽鎖、重鎖、抗体及び/又は抗原結合フラグメントを含む。
【0190】
本発明の抗体又は抗原結合フラグメントの例示的実施形態は、配列番号16と少なくとも70%、75%、80%同一である配列、配列番号20と少なくとも70%、75%、80%同一である配列、配列番号24と少なくとも70%、75%、80%同一である配列、配列番号105と少なくとも70%、75%、80%同一である配列、配列番号109と少なくとも70%、75%、80%同一である配列及び配列番号126と少なくとも70%、75%、80%同一である配列からなる群から選択される配列を含む軽鎖可変領域を含むものである。
【0191】
これらの軽鎖可変領域は、配列番号27と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号28と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号29と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含み得る。
【0192】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号27と少なくとも90%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0193】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号27と100%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0194】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号28と少なくとも90%同一であるCDRL2配列を含み得る。
【0195】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号28と100%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0196】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号29と少なくとも90%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0197】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号29と100%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0198】
前記軽鎖可変領域は、配列番号33と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号34と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号35と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含み得る。
【0199】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号33と少なくとも90%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0200】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号33と100%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0201】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号34と少なくとも90%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0202】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号34と100%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0203】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号35と少なくとも90%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0204】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号35と100%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0205】
前記軽鎖可変領域は、配列番号39と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号40と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号41と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含み得る。
【0206】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号39と少なくとも90%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0207】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号39と100%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0208】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号40と少なくとも90%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0209】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも配列番号40と100%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0210】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号41と少なくとも90%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0211】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号41と100%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0212】
前記軽鎖可変領域は、配列番号158と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号159と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号160と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含み得る。
【0213】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも配列番号158と少なくとも90%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0214】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号158と100%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0215】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号159と少なくとも90%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0216】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号159と100%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0217】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号160と少なくとも90%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0218】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号160と100%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0219】
前記軽鎖可変領域は、配列番号164と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号165と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号166と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含み得る。
【0220】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号164と少なくとも90%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0221】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号164と100%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0222】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号165と少なくとも90%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0223】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号165と100%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0224】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号166と少なくとも90%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0225】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号166と100%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0226】
前記軽鎖可変領域は、配列番号170と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号171と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号172と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含み得る。
【0227】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号170と少なくとも90%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0228】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号170と100%同一であり得るCDRL1配列を含み得る。
【0229】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号171と少なくとも90%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0230】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号171と100%同一であり得るCDRL2配列を含み得る。
【0231】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号172と少なくとも90%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0232】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号172と100%同一であり得るCDRL3配列を含み得る。
【0233】
変異体抗体軽鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号16のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号16のフレームワーク領域と比較して、22までのアミノ酸修飾(たとえば保存的又は非保存的アミノ酸置換)をそのフレームワーク領域中に有する軽鎖可変領域を含む。配列番号16変異体を配列番号178に示す。
【0234】
変異体抗体軽鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号20のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号20のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域において22までのアミノ酸修飾(たとえば、保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する軽鎖可変領域を含む。
【0235】
変異体抗体軽鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号24のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号24のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域において21までのアミノ酸修飾(たとえば、保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する軽鎖可変領域を含む。配列番号24変異体を配列番号182に示す。
【0236】
変異体抗体軽鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号105のCDRアミノ酸と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号105のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域において22までのアミノ酸修飾(たとえば保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する、軽鎖可変領域を含む。
【0237】
変異体抗体軽鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号109のCDRアミノ酸と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号109のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域において22までのアミノ酸修飾(たとえば保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する、軽鎖可変領域を含む。
【0238】
変異体抗体軽鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号126のCDRアミノ酸と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号126のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域において21までのアミノ酸修飾(たとえば保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する、軽鎖可変領域を含む。
【0239】
数例において、変異体抗体軽鎖可変領域は、アミノ酸欠失又は付加(アミノ酸置換と組み合わせて、又はアミノ酸置換を含まない)を含み得る。多くの場合、1、2、3、4又は5のアミノ酸欠失又は付加が許容され得る。
【0240】
例示的一実施形態において、抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号18と少なくとも80%同一である配列、配列番号22と少なくとも70%、75%、80%同一である配列、配列番号26と少なくとも70%、75%、80%同一である配列、配列番号132と少なくとも70%、75%、80%同一である配列、配列番号145と少なくとも70%、75%、80%同一である配列及び配列番号153と少なくとも70%、75%、80%同一である配列からなる群から選択される配列を含む重鎖可変領域を含み得る。
【0241】
これらの重鎖可変領域は、配列番号30と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号31と少なくとも80%同一であるCDRH2配列及び配列番号32と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含み得る。
【0242】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号30と少なくとも90%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0243】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号30と100%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0244】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号31と少なくとも90%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0245】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号31と100%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0246】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号32と少なくとも90%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0247】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号32と100%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0248】
前記重鎖可変領域は、配列番号36と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号37と少なくとも80%同一であるCDRH2配列及び配列番号38と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含み得る。
【0249】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号36と少なくとも90%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0250】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号36と100%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0251】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号37と少なくとも90%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0252】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号37と100%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0253】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号38と少なくとも90%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0254】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号38と100%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0255】
前記重鎖可変領域は、配列番号42と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号43と少なくとも80%同一であるCDRH2配列、及び配列番号44と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含み得る。
【0256】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号42と少なくとも90%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0257】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号42と100%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0258】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号43と少なくとも90%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0259】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号43と100%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0260】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号44と少なくとも90%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0261】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号44と100%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0262】
前記重鎖可変領域は、配列番号161と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号162と少なくとも80%同一であるCDRH2配列及び配列番号163と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含み得る。
【0263】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号161と少なくとも90%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0264】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号161と100%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0265】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号162と少なくとも90%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0266】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号162と100%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0267】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号163と少なくとも90%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0268】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号163と100%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0269】
前記重鎖可変領域は、配列番号167と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号168と少なくとも80%同一であるCDRH2配列及び配列番号169と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含み得る。
【0270】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号166と少なくとも90%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0271】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号166と100%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0272】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号168と少なくとも90%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0273】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号168と100%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0274】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号169と少なくとも90%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0275】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号169と100%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0276】
前記重鎖可変領域は、配列番号173と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号174と少なくとも80%同一であるCDRH2配列及び配列番号175と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含み得る。
【0277】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号173と少なくとも90%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0278】
本発明の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号173と100%同一であり得るCDRH1配列を含み得る。
【0279】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号174と少なくとも90%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0280】
本発明のさらなる例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号174と100%同一であり得るCDRH2配列を含み得る。
【0281】
本発明の別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号175と少なくとも90%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0282】
本発明のさらに別の例示的実施形態において、本明細書に記載する抗体はいずれも、配列番号175と100%同一であり得るCDRH3配列を含み得る。
【0283】
変異体抗体重鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号18のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号18のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域において22までのアミノ酸修飾(たとえば、保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する重鎖可変領域を含む。配列番号18変異体を配列番号179に示す。
【0284】
変異体抗体重鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号22のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号22のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域において23までのアミノ酸修飾(たとえば、保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する重鎖可変領域を含む。
【0285】
変異体抗体重鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号26のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号26のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域中で23までのアミノ酸修飾(たとえば、保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する重鎖可変領域を含む。配列番号26変異体を配列番号183に示す。
【0286】
変異体抗体重鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号132のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号132のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域中で23までのアミノ酸修飾(たとえば、保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する重鎖可変領域を含む。
【0287】
変異体抗体重鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号153のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号153のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域中で23までのアミノ酸修飾(たとえば、保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する重鎖可変領域を含む。
【0288】
変異体抗体重鎖可変領域の例示的実施形態は、配列番号145のCDRアミノ酸配列と100%同一であるCDRアミノ酸配列を有し、配列番号145のフレームワーク領域と比較して、そのフレームワーク領域中で22までのアミノ酸修飾(たとえば、保存的又は非保存的アミノ酸置換)を有する重鎖可変領域を含む。
【0289】
数例において、変異体抗体重鎖可変領域は、アミノ酸欠失又は付加(アミノ酸置換と組み合わせて、又はアミノ酸置換を含まない)を含み得る。多くの場合、1、2、3、4若しくは5のアミノ酸欠失又は付加が許容される。
【0290】
細胞における抗体の産生
本明細書で開示するKAAG1抗体は、ハイブリドーマ法又は組換えDNA法などの当業者に周知の様々な方法によって作製することができる。
【0291】
本発明の例示的実施形態において、抗KAAG1抗体は、通常のハイブリドーマによって産生することができ、この場合、マウスを抗原で免疫化し、脾臓細胞を単離し、HGPRT発現が欠失した骨髄種細胞と融合させ、ハイブリッド細胞をヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミン(HAT)含有培地によって選択する。
【0292】
本発明のさらなる例示的実施形態において、抗KAAG1抗体を組換えDNA法によって産生することができる。
【0293】
抗KAAG1抗体を発現するために、本明細書で記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つなどをコード化できるヌクレオチド配列を、発現ベクター、すなわち特定の宿主において挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳制御のためのエレメントを含むベクター中に挿入することができる。これらのエレメントには、調節配列、たとえばエンハンサー、構成及び誘導性プロモータ、並びに5’及び3’未翻訳領域が含まれる。当業者に周知の方法を用いて、かかる発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組換えが挙げられる。
【0294】
当業者に公知の様々な発現ベクター/宿主細胞系を用いて、本明細書に記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列由来のポリペプチド又はRNAを発現することができる。これらとしては、組換えバクテリオファージ、プラスミド、又はコスミッドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;バクロウイルスベクターに感染した昆虫細胞系;ウイルス若しくは細菌発現ベクターで形質転換された植物細胞系;又は動物細胞系が挙げられるが、これらに限定されるものではない。哺乳動物系における組換えタンパク質の長期産生のために、細胞系における安定な発現を実施することができる。たとえば、本明細書で記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列を、同じか又は別のベクター上にウイルス性複製起点及び/又は内因性発現エレメント並びに選択又は可視マーカーを含み得る発現ベクターを用いて細胞系中に形質転換することができる。本発明は、用いられるベクター又は宿主細胞によって限定されない。本発明のある実施形態において、本明細書で記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列をそれぞれ別の発現ベクター中に結合することができ、各鎖を別に発現させることができる。別の実施形態において、本明細書に記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できる軽及び重鎖の両方を1つの発現ベクター中に結合し、同時に発現させることができる。
【0295】
あるいは、RNA及び/又はポリペプチドを、インビトロ転写系又はカップリングしたインビトロ転写/翻訳系をそれぞれ使用して、本明細書に記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列を含むベクターから発現させることができる。
【0296】
一般的に、本明細書で記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列を含有し、及び/又は本明細書で記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列によってコード化されるポリペプチドを発現する宿主細胞、又はその一部は、当業者に公知の様々な手順によって同定することができる。これらの手順としては、DNA/DNA又はDNA/RNAハイブリダイゼーション、PCR増幅、及び核酸若しくはアミノ酸配列の検出及び/又は定量化のための膜、溶液、又はチップに基づく技術を包含するタンパク質生物検定又は免疫測定技術が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特異的ポリクローナル又はモノクローナル抗体のいずれかを用いたポリペプチドの発現を検出及び測定するための免疫学的方法は、当該技術分野で公知である。このような技術の例としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、放射免疫測定(RIA)、及び蛍光表示式細胞分取(FACS)が挙げられる。当業者らは、本発明にこれらの方法を容易に適合させることができる。
【0297】
本明細書で記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列を含む宿主細胞を、このように対応するRNA(mRNA、siRNA、shRNAなど)の転写及び/又は細胞培養物からのポリペプチドの発現のための条件下で培養することができる。細胞によって産生されたポリペプチドを、使用される配列及び/又はベクターに応じて分泌させることができるか、又は細胞内に保持することができる。例示的一実施形態において、本明細書に記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列を含む発現ベクターは、原核又は真核細胞膜を通ってポリペプチドの分泌させるシグナル配列を含むように設計することができる。
【0298】
遺伝子コード特有の縮重のために、同じであるか又は実質的に同じであるか、又は機能的に等価なアミノ酸配列をコード化する他のDNA配列を産生し、たとえば本明細書で記載する軽及び重イムノグロブリン鎖のいずれか1つをコード化できるヌクレオチド配列によってコード化されるポリペプチドを発現するために使用することができる。本発明のヌクレオチド配列を、様々な目的、たとえばこれらに限定されるものではないが、遺伝子産物のクローニング、プロセッシング、及び/又は発現のためにヌクレオチドを改変するために、当該技術分野で一般的に知られている方法を用いて操作することができる。遺伝子フラグメント及び合成オリゴヌクレオチドのランダムフラグメンテーション及びPCR再構築によるDNAシャッフリングを用いてヌクレオチド配列を操作することができる。たとえば、オリゴヌクレオチド媒介性部位特異的突然変異誘発を用いて、新しい制限部位の作製、グリコシル化パターンの改変し、コドン優先性の変更、スプライス変異体の産生などの突然変異を導入することができる。
【0299】
加えて、宿主細胞株を、所望の方法で挿入された配列の発現を調節するか、又は発現されたポリペプチドを処理するその能力に関して選択することができる。ポリペプチドのこのような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的一実施形態において、特定のグリコシル化構造又はパターンを含む抗KAAG1抗体が望ましい場合がある。ポリペプチドの「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセッシングは、タンパク質ターゲティング、フォールディング、及び/又は活性を規定するためにも使用できる。特異的細胞機構及び翻訳後活性に特徴的な機構を有する様々な宿主細胞(たとえば、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、及びW138)が市販され、またアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能であり、発現されたポリペプチドの正しい修飾及びプロセッシングを確実にするために選択することができる。
【0300】
当業者らは、天然、修飾、又は組換え核酸配列を異種配列と結合させて、その結果、前記宿主系のいずれかにおいて異種ポリペプチド部分を含む融合ポリペプチドの翻訳が得られることを容易に理解するであろう。このような異種ポリペプチド部分は、市販の親和性マトリックスを用いて融合ポリペプチドの精製を促進することができる。このような部分としては、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン、カルモジュリン結合ペプチド、6−His(His)、FLAG、c−myc、ヘマグルチニン(HA)、及び抗体エピトープ、たとえばモノクローナル抗体エピトープが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0301】
さらに別の態様において、本発明は、融合タンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含み得るポリヌクレオチドに関する。融合タンパク質は、本明細書に記載するポリペプチド(たとえば、完全軽鎖、完全重鎖、可変領域、CDRなど)と融合する融合パートナー(たとえば、HA、Fcなど)を含み得る。
【0302】
当業者らは、当該技術分野で周知の化学的または酵素的方法を用いて、全体としてまたは部分的に核酸及びポリペプチド配列を合成することができることも容易に理解するであろう。たとえば、ペプチド合成は、様々な固相技術及びABI431などの機械を用いて実施することができる。ペプチド合成器(PE Biosystems)を用いて合成を自動化することができる。所望により、アミノ酸配列を合成中に改変及び/又は他のタンパク質由来の配列と組み合わせて、変異体タンパク質を産生することができる。
【0303】
抗体複合体
本発明の抗体又は抗原結合フラグメントを、検出可能な部分(すなわち、検出若しくは診断目的)又は治療部分(治療目的)と結合させることができる。
【0304】
「検出可能な部分」は、分光学、光化学、生化学、免疫化学、化学及び/又は他の物理的手段によって検出可能な部分である。検出可能な部分を直接的及び/又は間接的のいずれかで(たとえば、これらに限定されるものではないが、DOTA又はNHS結合などの結合を介して)、当該技術分野で周知の方法を用いて本発明の抗体及びその抗原結合フラグメントとカップリングさせることができる。様々な検出可能な部分を用いることができ、その選択は、必要とされる感度、結合の容易さ、安定性要件及び利用可能な器具に依存する。好適な検出可能な部分としては、これらに限定されるものではないが、蛍光標識、放射性標識(たとえば、これらに限定されないが、125I、In111、Tc99、I131、PETスキャナー用陽電子放出同位体等を包含する)、核磁気共鳴活性標識、発光標識、化学発光標識、発色団標識、酵素標識(たとえば、これらに限定されるものではないが、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)、量子ドット及び/又はナノ粒子が挙げられる。検出可能な部分は、検出可能なシグナルを誘発及び/又は産生することができ、これによって検出可能な部分からのシグナルを検出することが可能になる。
【0305】
本発明の別の例示的実施形態において、抗体又はその抗原結合フラグメントを治療部分(たとえば、薬剤、細胞傷害性部分)とカップリング(修飾)することができる。
【0306】
例示的一実施形態において、抗KAAG1抗体及び抗原結合フラグメントは、化学療法剤又は細胞傷害性剤を含んでもよい。たとえば、抗体及び抗原結合フラグメントは、化学療法剤又は細胞傷害性剤と結合させることができる。化学療法剤又は細胞傷害性剤としては、イットリウム90、スカンジウム47、レニウム186、ヨウ素131、ヨウ素125、及び当業者により認められる多くの他のもの(たとえば、ルテチウム(たとえば、Lu177)、ビスマス(たとえば、Bi213)、銅(たとえば、Cu67))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の例では、化学療法剤又は細胞傷害性剤は、当業者に公知のもののなかでも、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン、イリノテカン、タキサン、シュードモナス・エンドトキシン、リシン及び他の毒素から構成され得る。
【0307】
あるいは、本発明の方法を実施するために、そして当該技術分野で公知のように、本発明の抗体又は抗原結合フラグメント(共役又は非共役)を、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントと特異的に結合することができ、所望の検出可能な部分、診断部分又は治療部分を有し得る第2の分子(たとえば二次抗体など)と併用することができる。
【0308】
抗体の医薬組成物及びそれらの使用
抗KAAG1抗体(共役又は非共役)の医薬組成物も本発明に含まれる。医薬組成物は、抗KAAG1抗体又は抗原結合フラグメントを含んでもよく、また薬剤的に許容される担体も含んでもよい。
【0309】
本発明の他の態様は、本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメント及び担体を含み得る組成物に関する。
【0310】
本発明はまた、本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメント及び薬剤的に許容される担体を含み得る医薬組成物にも関する。
【0311】
本発明のさらに別の態様は、本明細書に記載する単離された抗体又は抗原結合フラグメントの、卵巣癌の治療または診断における使用に関する。
【0312】
活性成分に加えて、医薬組成物は、水、PBS、塩溶液、ゼラチン、油、アルコール、並びに活性化合物を薬剤的に使用できる製剤に加工するのを容易にする他の賦形剤及び助剤を含む薬剤的に許容される担体を含んでもよい。他の例では、このような製剤は滅菌してもよい。
【0313】
本明細書で用いられる場合、「医薬組成物」とは、薬剤的に許容される希釈剤、保存料、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体とあわせた治療有効量の薬剤を意味する。「治療有効量」とは、本明細書で用いられる場合、所与の状態及び投与レジメンに関して治療効果をもたらす量を意味する。このような組成物は、液体であるか又は凍結乾燥若しくは他の方法で乾燥された配合物であり、様々な緩衝液内容物(たとえば、Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pH及びイオン強度の希釈剤、表面への吸収を防ぐためのアルブミン又はゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(たとえば、Tween 20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)を含む。可溶化剤(たとえば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、酸化防止剤(たとえば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存料(たとえば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、増量物質又は等張性改良剤(たとえば、ラクトース、マンニトール)、ポリエチレングリコールなどのポリマーのタンパク質に対する共有結合、金属イオンとの錯体形成、又はポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどのポリマー化合物の粒子状調製物中若しくは上、或いはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層若しくは多重層ベシクル、赤血球ゴースト、又はスフェロプラスト上への物質の組み入れを含む。このような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、インビボ放出速度、及びインビボクリアランス速度に影響を及ぼす。制御放出又は持続放出組成物には、親油性デポー(たとえば、脂肪酸、ワックス、油)中の配合物が含まれる。ポリマー(たとえば、ポロキサマー又はポロキサミン)でコーティングされた粒子状組成物も本発明に含まれる。本発明の組成物の他の実施形態は、粒子状形態保護コーティング、プロテアーゼ阻害物質又は非経口、肺、鼻、経口、膣、直腸経路をはじめとする様々な投与経路用の透過促進剤を組み入れる。一実施形態において、医薬組成物は、非経口、癌近傍(paracancerally)、経粘膜、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、頭蓋内及び腫瘍内投与される。
【0314】
さらに、本明細書で用いられる場合、「薬剤的に許容される担体」又は「医薬担体」は、当該技術分野で公知であり、0.01〜0.1M若しくは0.05Mリン酸塩緩衝液又は0.8%塩溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、このような薬剤的に許容される担体は、水性若しくは非水性溶液、懸濁液、及びエマルジョンであってもよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルジョン又は懸濁液(塩溶液及び緩衝媒体を含む)が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液又は固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルには、流体及び栄養補給薬、電解質補充薬、たとえばリンガーデキストロース系のものなどが含まれる。保存料及び他の添加剤、たとえば抗菌剤、酸化防止剤、照合剤(collating agent)、不活性ガスなども存在し得る。
【0315】
任意の化合物に関して、治療有効量は、細胞培養試験又はマウス、ラット、ウサギ、イヌ、若しくはブタなどの動物モデルのいずれかで推定することができる。動物モデルは、濃度範囲及び投与経路を決定するためにも用いることができる。このような情報を次に、ヒトにおける有用な用量及び投与経路を決定するために用いることができる。これらの技術は当業者には周知であり、治療有効量とは、症状又は状態を改善する活性成分の量を意味する。治療効果及び毒性は、細胞培養において又は実験動物を用いて標準的薬剤的手順によって、たとえばED50(集団の50%において治療上有効な用量)及びLD50(集団の50%に対して致死的な用量)統計を計算し、対比することによって決定することができる。本明細書に記載する治療組成物のいずれも、かかる治療を必要とする任意の対象、たとえばこれらに限定されるものではないが、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及びヒトなどの哺乳動物に適用することができる。
【0316】
本発明において用いられる医薬組成物は、これらに限定されるものではないが、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻内、経腸、局所、舌下、又は直腸手段をはじめとする任意の数の経路によって投与することができる。
【0317】
「治療」という用語は、本開示に関しては、治療と予防又は防止的処置の両方を意味し、この場合、目的は標的とされる病状又は疾患を予防若しくは減速(軽減)させることである。治療を必要とする者としては、すでに疾患にかかっている者並びに疾患に罹りやすい者又は障害を予防しなければならない者が挙げられる。
【0318】
抗KAAG1抗体及びその抗原結合フラグメントは、卵巣癌、腎臓癌、結腸癌、肺癌、黒色腫などの様々な癌型の治療において治療的に使用することができる。例示的一実施形態において、抗体及びフラグメントは、卵巣癌において治療に使用される。ある例においては、抗KAAG1抗体及びフラグメントは、KAAG1を発現する癌細胞と相互作用して、ADCCを媒介することによって免疫学的反応を誘発することができる。他の例では、抗KAAG1抗体及びフラグメントは、KAAG1とそのタンパク質パートナーとの相互作用をブロックすることができる。
【0319】
抗KAAG1抗体及びその抗原結合フラグメントは、様々な種類の卵巣癌の治療において治療的に使用することができる。いくつかの異なる細胞型は異なる卵巣癌組織型(histotype)を生じさせる可能性がある。卵巣癌の最も一般的な形態は、卵巣又は卵管の上皮細胞層に由来する腫瘍からなる。このような上皮卵巣癌としては、漿液性腫瘍、類内膜腫瘍、粘液性腫瘍、明細胞腫瘍、及び境界型腫瘍が挙げられる。他の実施形態において、抗KAAG1抗体及びその抗原結合フラグメントは、生殖系及び性索卵巣癌などの他の種類の卵巣癌の治療において用いられる。
【0320】
ある例では、抗KAAG1抗体及びその抗原結合フラグメントを、同じ状態に対して施される他の治療と併用して同時に投与することができる。したがって、抗体を、抗有糸分裂剤(たとえば、タキサン)、白金系薬剤(たとえば、シスプラチン)、DNA損傷剤(たとえば、ドキソルビシン)及び当業者に公知の他の抗癌治療薬とともに投与することができる。他の例では、抗KAAG1抗体及びその抗原結合フラグメントを他の治療抗体とともに投与することができる。これらとしては、EGFR、CD−20、及びHer2を標的とする抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0321】
本発明は、さらなる態様において、KAAG1発現細胞の成長を阻害する方法に関し、この方法は、当該細胞を有効量の本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントと接触させることを含み得る。
【0322】
本発明は、哺乳動物において癌を治療するか、又はKAAG1発現細胞の成長を阻害する方法も包含し、この方法は、本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントを、必要とする哺乳動物に投与することを含む。
【0323】
さらなる態様において、本発明は、本発明の抗体又は抗原結合フラグメントを用いた治療法、診断法及び検出法、並びにかかる目的のための医薬組成物若しくは薬剤の製造におけるこれらの抗体又は抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0324】
本発明に含まれる治療法は、本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントを、必要とする哺乳動物、特に癌に罹っているか若しくは癌に罹っている疑いのある患者に投与することを含む。
【0325】
本発明はまた、さらなる態様において、腫瘍の拡大、腫瘍浸潤、腫瘍形成を軽減するか、又は腫瘍溶解を誘発する方法も提供し、この方法は、単離された抗体又は抗原結合フラグメントを、必要とする哺乳動物に投与することを含み得る。
【0326】
本発明は、従って、癌の治療、腫瘍の拡大、腫瘍浸潤、腫瘍形成の軽減又はKAAG1発現腫瘍細胞の腫瘍溶解(の誘発のための医薬組成物の製造)における、本明細書に記載する単離された抗体の使用に関する。
【0327】
抗体又は抗原結合フラグメントは、さらに詳細には、たとえば転移する能力を有する悪性腫瘍及び/又はアンカレッジ依存性成長を特徴とする腫瘍細胞をはじめとする悪性腫瘍に適用可能である。本発明の抗体又は抗原結合フラグメントは、癌の診断においても使用することができる。癌の診断は、癌に罹っているか若しくは癌に罹っている疑いがある哺乳動物に対して本発明の抗体又は抗原結合フラグメントを投与することによってインビボで実施することができる。診断は、哺乳動物から得た試料を抗体又は抗原結合フラグメントと接触させ、KAAG1を発現する細胞(腫瘍細胞)の有無を判断することによって、エクスビボで実施することもできる。
【0328】
本発明は、哺乳動物において癌を検出するか又はKAAG1発現細胞を検出する方法も包含し、この方法は、本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントを、必要とする哺乳動物に投与することを含み得る。
【0329】
本発明は、その別の態様において、KAAG1発現細胞を検出する方法に関し、この方法は、細胞を本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントと接触させ、抗体及びKAAG1発現細胞によって形成される複合体を検出することを含み得る。検出法で使用される抗体又は抗原結合フラグメントの例示的実施形態は、KAAG1の細胞外領域と結合できるものである。
【0330】
検出法で使用される抗体又は抗原結合フラグメントの他の例示的実施形態は、腫瘍細胞の表面で発現されるKAAG1と結合するものである。
【0331】
本明細書で記載する治療、検出又は診断法から恩恵を受ける患者は、卵巣癌(たとえば、漿液性、類内膜、明細胞若しくは粘液性)、皮膚癌(たとえば、黒色腫、扁平上皮細胞癌)、腎臓癌(たとえば、乳頭細胞癌、明細胞癌)、結腸直腸癌(たとえば、結腸直腸癌腫)、肉腫、白血病、脳腫瘍、甲状腺腫瘍、乳癌(たとえば、乳房癌)、前立腺癌(prostate cancer)(たとえば、前立腺癌(prostatic cancer))、食道腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍(たとえば、肺癌)又は頭頸部腫瘍に罹っているか若しくは罹っている疑いのある患者であり、特に癌が悪性であることを特徴とする場合及び/又はKAAG1発現細胞がアンカレッジ依存性成長を特徴とする場合である。
【0332】
本発明に特に含まれるのは、卵巣癌(たとえば、漿液性、類内膜、明細胞若しくは粘液性)、皮膚癌(たとえば、黒色腫、扁平上皮細胞癌)又は腎臓癌(たとえば、乳頭細胞癌)に罹っているか若しくは罹っている疑いがある患者であり、特に癌が悪性であることを特徴とする場合及び/又はKAAG1発現細胞がアンカレッジ依存性成長を特徴とする場合である。
【0333】
本発明の別の態様は、KAAG1(配列番号2)、配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するKAAG1変異体又はKAAG1若しくはKAAG1変異体の分泌形態若しくは循環形態を検出する方法に関し、この方法は、KAAG1若しくはKAAG1変異体を発現する細胞又はKAAG1若しくはKAAG1変異体を含むか若しくは含むことが疑われる試料(生検、血清、血漿、尿など)を、本明細書に記載する抗体又は抗原結合フラグメントと接触させ、結合を測定することを含み得る。試料は、癌(たとえば、卵巣癌)に罹っているか、又は癌(たとえば、卵巣癌)に罹っていることが疑われる哺乳動物(たとえば、ヒト)由来であり得る。試料は、哺乳動物から得られる組織試料又は細胞培養物上清であり得る。
【0334】
本発明によれば、試料は、哺乳動物から得られる血清試料、血漿試料、血液試料又は腹水であってよい。本明細書で記載する抗体又は抗原結合フラグメントは、有利には、KAAG1の分泌又は循環形態(血液中を循環)を検出することができる。
【0335】
当該方法は、KAAG1又はKAAG1変異体と結合する抗体又は抗原結合フラグメントによって形成される複合体を定量化することを含み得る。
【0336】
抗体の抗原との結合は、抗原の予想される分子量を増大させる。従って、抗体又は抗原結合フラグメントと抗原との特異的結合によって物理的変化が起こる。
【0337】
このような変化は、たとえば電気泳動とそれに続くウェスタンブロット及びゲル又はブロットの着色、質量分析法、コンピュータとカップリングさせたHPLCなどを用いて検出することができる。分子量におけるシフトを計算できる他の装置は当該技術分野で公知であり、たとえば、Phosphorimager(商標)が挙げられる。
【0338】
抗体がたとえば検出可能な標識を含む場合、抗原−抗体複合体は、標識によって放出される蛍光、標識の放射線放出、その基質を用いて得られる標識の酵素活性などにより検出することができる。
【0339】
抗体又は抗原結合フラグメントと抗原との間の結合の検出及び/又は測定は、当該技術分野で公知の様々な方法によって実施することができる。抗体又は抗原結合フラグメントと抗原との間の結合は、検出可能な標識によって放出されるシグナル(放射線放出、蛍光、変色など)を検出できる装置を用いてモニタリングすることができる。このような装置は、生じた際に結合を示すデータを提供し、抗原に結合した抗体の量に関する表示も提供し得る。装置(通常、コンピュータとカップリングしたもの)は、バックグラウンドシグナル(たとえば、抗原−抗体結合の非存在下で得られるシグナル)又はバックグラウンドノイズと特異的抗体−抗原結合によって得られるシグナルとの差を計算することもできる。このような装置は、従って、抗原が検出されたかどうかに関する表示及び結論を使用者に提供する。
【0340】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載する1以上の抗体又は抗原結合フラグメントを含む1以上の容器を含み得るキットに関する。
【0341】
核酸、ベクター及び細胞
抗体は、通常、細胞中で作製され、軽鎖及び重鎖をコード化する核酸配列を含む(1つ若しくは複数の)ベクターから発現される軽鎖及び重鎖の発現を可能にする。
【0342】
本発明はしたがって、本明細書に記載するCDR、軽鎖可変領域、重鎖可変領域、軽鎖、重鎖のいずれかをコード化することができる核酸を含む。
【0343】
本発明はしたがって、さらなる態様において、KAAG1と特異的に結合できる抗体の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域をコード化する核酸に関する。
【0344】
本発明の実施形態によれば、核酸は、特に、KAAG1発現腫瘍細胞の死滅(除去、破壊、溶解)を誘発することができる抗体の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域をコード化することができる。
【0345】
本発明の別の実施形態によれば、核酸は、特に、KAAG1発現腫瘍細胞の拡大を軽減することができる抗体の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域をコード化することができる。
【0346】
本発明のさらに別の実施形態によれば、核酸は、特に、KAAG1発現腫瘍の形成を減少又は損なうことができる抗体の軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域をコード化することができる。
【0347】
本発明の核酸の例示的実施形態は:
(a)配列番号74及び配列番号75からなる群から選択されるCDRL1配列;
(b)配列番号76、配列番号77及び配列番号78からなる群から選択されるCDRL2配列、又は;
(c)配列番号79、配列番号80及び配列番号81からなる群から選択されるCDRL3配列
を含む軽鎖可変領域をコード化する核酸を含む。
【0348】
本発明によれば、核酸は、CDRL1、CDRL2又はCDRL3の少なくとも2つのCDRを含み得る軽鎖可変領域をコード化することができる。
【0349】
また、本発明によれば、核酸は、1つのCDRL1、1つのCDRL2及び1つのCDRL3を含み得る軽鎖可変領域をコード化することができる。
【0350】
本発明はまた:
(a)配列番号82を含むCDRH1配列;
(b)配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86及び配列番号87からなる群から選択されるCDRH2配列、又は、
(c)配列番号88、配列番号89及び配列番号90からなる群から選択されるCDRH3配列
を含む重鎖可変領域をコード化する核酸にも関する。
【0351】
本発明によれば、核酸は、CDRH1、CDRH2又はCDRH3の少なくとも2つのCDRを含み得る重鎖可変領域をコード化することができる。
【0352】
本発明によれば、核酸は、1つのCDRH1、1つのCDRH2及び1つのCDRH3を含み得る重鎖可変領域をコード化することができる。
【0353】
少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する抗体変異体をコード化する核酸も本発明に含まれる。
【0354】
本発明によれば、核酸は、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化することができる。
【0355】
本発明によれば、核酸は、CDRのうちの少なくとも2つにおいて少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化することができる。
【0356】
本発明によれば、核酸は、3つのCDRにおいて少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化することができる。
【0357】
本発明によれば、核酸は、CDRの少なくとも1つにおいて少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化することができる。
【0358】
本発明によれば、核酸はCDRの少なくとも2つにおいて少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化することができる。
【0359】
本発明によれば、核酸は3つのCDRにおいて少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化することができる。
【0360】
本発明の他の態様は、配列番号16、配列番号20、配列番号24、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130及び配列番号131からなる群から選択される配列と少なくとも70%、75%、80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコード化する核酸に関する。
【0361】
本発明のさらに別の態様は、配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157からなる群から選択される配列と少なくとも70%、75%、80%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコード化する核酸に関する。本発明の他の態様は、配列番号1、配列番号1の10〜884ヌクレオチドのフラグメント及び前記のいずれかの補体からなる群から選択される核酸の、KAAG1を発現する腫瘍細胞の移動又は生存を損なうための使用に関する。かかる核酸の例示的実施形態は、siRNA、アンチセンス、リボザイムなどを含む。
【0362】
さらに別の態様において、本発明は、本明細書で記載する核酸を含むベクターに関する。
【0363】
本発明によれば、ベクターは発現ベクターであってよい。
【0364】
特定の宿主における挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳制御のためのエレメントを含むベクターは、当該技術分野で公知である。これらのエレメントには、調節配列、たとえばエンハンサー、構成及び誘導性プロモータ、並びに5’及び3’未翻訳領域が含まれる。当業者に周知の方法を用いて、このような発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組換えが挙げられる。
【0365】
別の態様において、本発明は本明細書に記載する核酸を含み得る単離された細胞に関する。
【0366】
単離された細胞は、軽鎖可変領域をコード化する核酸及び重鎖可変領域をコード化する核酸を別個のベクター上又は同じベクター上のいずれかで含み得る。単離された細胞は、別のベクター上又は同じベクター上のいずれかで軽鎖をコード化する核酸及び重鎖をコード化する核酸も含み得る。
【0367】
本発明によれば、細胞は、抗体又はその抗原結合フラグメントを発現、構築及び/又は分泌することができる。
【0368】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載する抗体を含有及び/又は発現し得る細胞を提供する。
【0369】
本発明によれば、細胞は軽鎖可変領域をコード化する核酸及び重鎖可変領域をコード化する核酸を含み得る。
【0370】
細胞は、抗体又はその抗原結合フラグメントを発現、構築及び/又は分泌することができる。
【0371】
以下の実施例で本発明の詳細の概要を記載する。
【実施例】
【0372】
実施例1
この実施例は、卵巣腫瘍及び卵巣癌細胞系におけるKAAG1遺伝子の発現パターンを記載する。
【0373】
PCR分析を実施して、KAAG1をコード化するmRNAを発現する卵巣腫瘍(図中AB−0447として表示)のパーセンテージを検証した。結果から、KAAG1遺伝子が、疾患のあらゆる段階からの卵巣腫瘍の85%超及び末期の腫瘍の100%において発現されることがわかった。KAAG1の発現は、LMP試料においては検出可能性が低いか又は検出不能である(図1Aを参照)。各試料に関して、1μgの増幅されたRNAを、Thermoscript RT(Invitrogen)を用いてランダムヘキサマーで逆転写した。cDNAを希釈し、反応の1/200を、示されるように遺伝子特異的プライマーとの各PCR反応のテンプレートとして使用した。KAAG1 mRNAを増幅するために使用したプライマーは、配列番号45及び46に示す配列を含んでいた。PCR反応を96穴プレート中で実施し、25μlの反応物の半分を1%アガロースゲル上で電気泳動した。ゲルを可視化し、ゲル・ドキュメンテーション・システム(BioRad)を用いて写真撮影した。図1Aの上側のパネルは、6のLMP試料(LMP)及び22の卵巣腫瘍及び6の卵巣細胞系(右の最後の6レーン、OVCa)試料からの結果を示す。図1の下側のパネルは、示されるように試験した30の正常組織からのRNA試料を示す。
【0374】
KAAG1発現は、少数の正常な組織において弱く検出され、一方、mRNAは卵管及び膵臓において明らかであった(図1Aを参照)。これらの反応で使用した全RNAの量を、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の平行PCR増幅を用いて制御し、結果から、各試料中に等価な出発物質が存在することがわかった(図1Aを参照)。GAPDH遺伝子を増幅するために使用したプライマーは、配列番号47及び48に示す配列を含んでいた。従って、KAAG1遺伝子の発現は、卵巣腫瘍の大部分で過剰発現され、その発現は、ほとんどの正常な組織で低いかまたは存在しないという重要な選択基準を満たす。これらのデータは、卵巣腫瘍がKAAG1に対する高親和性モノクローナル抗体を用いて特異的に標的とされ得ることを示唆する。
【0375】
早期癌又は腫瘍は、高分化状態にある細胞で構成される傾向があるが、腫瘍はさらに悪性かつ侵襲的状態に進行するにつれ、癌細胞は次第に未分化状態になる。この遷移に貢献する因子を同定し、治療薬を開発するための標的としてこれらのタンパク質を活用する必要がある。原発腫瘍から誘導されたいくつかの卵巣癌細胞系が利用可能であり、機能研究の優れたモデルとしての働きをする。KAAG1の発現をこれらの細胞系において調べた。TOV−21G、TOV−112D、TOV−1946、及びTOV−2223Gと称する4つの系が原発腫瘍から確立され、一方、OV−90及びOV−1946は、進行した卵巣癌患者の腹水中に含まれる細胞由来の細胞系である。原発腫瘍から確立された細胞由来の全RNA(図1Bにおいて、レーン1、TOV−21G;2、TOV−112D;5、TOV−1946;6、TOV−2223Gを参照)及び腹水細胞から確立された細胞(レーン3、OV−90;4、OV−1946)を、逆転写酵素を用いてcDNAに変え、KAAG1特異的プライマー(配列番号45及び46)を用いたPCR反応においてテンプレートとして使用した。負の対照として、正常な卵巣からの全RNAを用いて反応を実施した。GAPDH(配列番号47及び48)を用いた平行PCR反応により明らかなように等量の出発物質が使用された。PCR反応の試料をアガロースゲル上で電気泳動させ、エチジウムブロミドで可視化した。図1Bで示すように、KAAG1は検出可能であったが、原発腫瘍由来の細胞系においては弱く発現され、多数サイクルで実施したPCR反応によって、これらの4つの細胞系全てにおいてKAAG1転写物が示された。反対に、腹水細胞から確立された両細胞系は、高レベルのKAAG1転写物を示した。腹水由来の細胞における増大した発現は、細胞の環境がKAAG1遺伝子の調節に影響を及ぼすことを示唆する。
【0376】
腹水細胞は進行した疾患に関連し、図1Bで開示される発現のパターンは、増大したKAAG1レベルがアンカレッジ依存性成長と関連することを意味する。細胞が単層として成長する場合と同様に、細胞がペトリ皿に付着するのを防止する状態である懸滴において細胞を培養することによってこの問題に取り組んだ。これらのいわゆる三次元培養によって、細胞が結合することができ、スフェロイドの形成が観察される(図1Cを参照)。スフェロイドを次のように培養した:TOV−112D、OV−90、又はTOV−21G細胞(15μl中4000)を4日間培地中、5%FBSの非存在下(左パネル、図1C)若しくは5%FBSの存在下(右パネル、図1C、+5%血清)でインキュベートした。画像の倍率を100×に設定した。これらのスフェロイドは広く特徴づけられており、マイクロアレイに基づく発現プロファイリングによって測定される形態学的及び機能的特性並びに分子署名をはじめとする、原発腫瘍において見いだされる特性の多くを示す。
【0377】
全RNAをスフェロイド調製物から単離し、図1Aに関して記載するようにRT−PCRを実施した。TOV−21G、TOV−112D、OV−90細胞を、スフェロイドを産生する条件下で図1Cの説明文で記載するように播種した。4日後、全RNAを単離し、KAAG1特異的プライマー(配列番号45及び46)を用いたRT−PCR反応を実施するために使用した。PCR反応をアガロースゲル上で電気泳動にかけた。GAPDH(配列番号47及び48)を増幅するための平行反応の実施により、等量の出発物質が各試料中に存在することが示された。次の頭文字を図1Dで使用する。Ce.:単層として成長した細胞、Sph.:スフェロイドとして成長した細胞。特に、TOV−21G及びTOV−112Dがスフェロイドとして成長した場合にKAAG1発現が上方調節された(図1Dを参照)。OV−90細胞の場合、KAAG1遺伝子の発現レベルは変わらず、非常に高いままであった。おそらく、OV−90細胞及びOV−1946細胞(図1Aを参照)により例示されるような腹水由来の細胞系で達成される発現レベルは最大に達した。
【0378】
これらの結果は、腹水由来の細胞系で高い発現を示す先のデータと相関し、KAAG1の発現が、癌細胞の微環境によって影響を受けることを裏付ける。さらに、スフェロイドで観察されたKAAG1転写の上方調節は、悪性卵巣癌では高レベルのKAAG1が存在することを意味する。
【0379】
実施例2
この実施例は、卵巣癌細胞の生存におけるKAAG1の重要な役割を示唆するインビトロ結果を説明する。
【0380】
KAAG1発現が卵巣癌細胞において調節されることが示されたので、これらの細胞におけるこの遺伝子の機能を調べた。この課題に取り組むために、インビトロ分析を実施して、このタンパク質が癌細胞増殖、移動、及び/又は生存に関与するかどうかを究明した。RNAiを使用して、TOV−21G卵巣癌細胞系における内因性KAAG1遺伝子の発現をノックダウンした。2つの独立したショートヘアピンRNA(shRNA)配列の設計は、当業者が無料で利用可能なウェブベースのソフトウェア(例えばQiagen)を用いて実施した。これらの選択された配列(通常は19−mer)を、shRNAのテンプレートを形成する2つの相補的オリゴヌクレオチド中に含めた。すなわち19−ntセンス配列、9−ntリンカー領域(ループ)、19−ntアンチセンス配列とそれに続くRNAポリメラーゼIIIの終止用5−6ポリ−Tトラクト。KAAG1の発現をノックダウンするために使用した19−merの配列を配列番号49及び50に示す。適切な制限部位をこれらのオリゴヌクレオチドの末端に挿入して、挿入物の正しいポジショニングを容易にして、転写出発点がhU6プロモータの下流の的確な位置になるようにした。全てのRNA干渉研究で使用したプラスミドであるpSilencer 2.0(配列番号51)は、商業的供給業者(Ambion、テキサス州オースチン)から購入した。RNAi効果を観察する機会及び表現型観察結果の特異性を増大させるために、2つの異なるshRNA発現ベクターを構築した。TOV−21G細胞を6穴プレート中に播種し、24時間後に1μgのpSil−shRNAベクターを用いてトランスフェクトした。sh.1及びsh.2を使用して、KAAG1遺伝子を標的とする2つの異なるshRNA配列を指定した。安定な形質転換体を5〜7日間選択し、拡大させ、コンフルエンスになるまで成長させた。以下のインビトロ細胞ベースの分析は全て、これらのKAAG1について特異的なshRNAを含む、安定にトランスフェクトされた細胞系を用いて実施した。
【0381】
細胞の移動又は移動度は、標準的な細胞運動性分析で測定した。このいわゆるスクラッチ分析は、細胞がコンフルエント単層中の露出部分を満たす速度を測定する。図2Aで示すように、スクランブル化shRNAを含むTOV−21G細胞は、対照の未処置細胞と比較して、24時間後にほぼ完全に創傷を満たした(左から2番目のパネルと1番左のパネルとを比較)。一方、KAAG1 shRNAを発現するTOV−21G細胞が露出部分を満たす能力は大幅に減少した。実際、KAAG1 shRNA細胞の存在下で露出部分を満たす細胞の数は、0時での細胞数とよく似ていた(左パネルと右パネルとを比較)。
【0382】
卵巣癌細胞におけるKAAG1の減少した発現の長期効果を調べるために、コロニー生存分析において、細胞を十分に希釈し、10日間培養した。TOV−21G細胞を12穴プレート中に50000細胞/穴の密度で播種し、24時間後に1μgのpSil−shRNAベクターを用いてトランスフェクトした。sh−1及びsh−2は、同じ遺伝子を標的とする2つの異なるshRNA配列を指す。翌日、2μg/mlのピューロマイシンを含む新鮮な培地を適用し、細胞の選択を3日間実施した。細胞を洗浄し、ピューロマイシンを含まない新鮮な培地を添加し、成長をさらに5日間継続させた。残りのコロニーを可視化するために、細胞をPBS中で洗浄し、固定し、同時に1%クリスタルバイオレット/10%PBS中エタノール中で15分間室温にて染色した。PBS中でよく洗浄した後、乾燥したプレートを写真解析のためにスキャンした。癌細胞系の生存において有意な減少が観察され、代表的な実験結果を図2Bに示す。shRNAを別の卵巣癌細胞系であるTOV−112D中にトランスフェクトした場合にも同じ結果が得られた。
【0383】
従って、まとめると、分離した細胞におけるKAAG1の調節された発現は、卵巣癌細胞の移動及び生存におけるこの遺伝子の要件とあわせて、卵巣癌細胞におけるKAAG1の重要な役割を裏付ける。さらに、これらの実験は、モノクローナル抗体などのKAAG1タンパク質の拮抗物質が、侵襲性を減少させ、腫瘍生存を減少させることを示唆する。
【0384】
実施例3
この実施例は、KAAG1と結合するモノクローナル抗体のファミリーに関する詳細を提供する。
【0385】
KAAG1と結合する抗体を、Biositeファージ提示技術を用いて生成させた。この技術及びこれらの抗体の生成法の詳細は、米国特許第6,057,098号に記載されている。手短に言うと、この技術は、抗原結合フラグメント(Fab)を提示するファージライブラリのストリンジェントなパニングを利用する。数回のパニング後、Omniclonalと称するライブラリを得、これはKAAG1と非常に高い親和性及び特異性で結合する軽及び重鎖可変領域を含む組換えFabを多く含んでいた。このライブラリ(より正確にはOmniclonal AL0003Z1)から、96の個々の組換えモノクローナルFabをイー・コリ(E.coli)から調製し、KAAG1結合について試験した。
【0386】
各モノクローナル抗体の相対的結合を測定するために、組換えヒトKAAG1を、大規模一時的トランスフェクション技術を用いて293E細胞において産生した(Durocherら、2002年;Durocher、2004年)。KAAG1 cDNAの全コーディング領域を、BamHI制限部位を組み入れた順方向プライマー(配列番号52)及びHindIII制限部位を組み入れた逆方向プライマー(配列番号53)を用いたPCRによって増幅した。結果として得られたPCR産物は276塩基対であり、BamHI及びHindIIIで消化後、フラグメントを、同じ制限酵素で同様に消化した発現ベクターpYD5(配列番号54)中に結合させた。pYD5発現プラスミドはヒトFcドメインのコーディング配列を含み、これによって融合タンパク質が生成し、またIgG1シグナルペプチドをコード化する配列が培地中に融合タンパク質を分泌させることが可能になる。細胞1ミリリットルごとに、1マイクログラムのpYD5−0447と称する発現ベクターを、1500000〜2000000細胞/mlの密度まで懸濁液中で成長させた293E細胞中にトランスフェクトした。使用したトランスフェクション試薬は、ポリエチレンイミン(PEI)、(直線状、MW25,000、Cat#23966 Polysciences, Inc.、ペンシルベニア州ウォリントン)であり、これは1:3のDNA:PEI比で含まれていた。細胞の成長を5日間継続させ、その後、培地を組換えFc−KAAGI融合タンパク質の精製のために集めた。タンパク質を、製造業者(Sigma−Aldrich Canada Ltd.、オンタリオ州オークビル)によって指示されるようにして、タンパク質−Aアガロースを用いて精製した。精製Fc−KAAGI(Fc−0447と表示)の試料を示す代表的なポリアクリルアミドゲルを図3Aに示す。
【0387】
モノクローナル調製物の96穴マスタープレートは、各ウェル中に様々な濃度の精製抗KAAG1 Fabを含んでいた。10μg/mlの最終濃度までFabを希釈することによって第2のストックマスタープレートを調製し、これからELISA測定用のその後の全ての希釈を実施した。Fc−KAAGIをモノクローナル調製物と結合させるために、Fc−KAAGIを、NHS−ビオチン(Pierce、イリノイ州ロックフォード)を用いてビオチニル化し、10ng/穴をストレプトアビジン96穴プレート中にコーティングした。1ナノグラムの各Fabモノクローナル調製物を各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。HRP結合マウス抗カッパ軽鎖抗体を用いてTMB液体基質(Sigma−Aldrich Canada Ltd.、オンタリオ州オークビル)の存在下で結合した抗体を検出し、マイクロタイタープレートリーダーで450nmにて読み取った。図3Bに示すように、合計48の(灰色で強調した)モノクローナル抗体はこの分析で有意な結合を示した(>0.1任意OD450単位)。抗体を意図的に1ng/穴まで希釈して、KAAG1について最高の親和性でこれらの抗体の結合を増強する。対照として、抗体はビオチニル化Fcドメインと結合しなかった。これらのデータから、抗体の結合はウェルごとに異なることが明らかになり、このことは抗体がKAAG1について異なる親和性を示すことを意味する。
【0388】
実施例4
この実施例は、KAAG1のどの領域に抗体が結合するかを究明するエピトープマッピング研究を記載する。
【0389】
モノクローナル抗体によって結合するKAAG1の領域をさらに説明するために、KAAG1のトランケートされた突然変異体を発現させ、ELISAにおいて使用した。完全長KAAG1について、トランケートされた形態をPCRによって増幅し、BamHI/HindIII消化pYD5中に結合させた。使用したプライマーは順方向オリゴヌクレオチドを、配列番号55及び56のプライマーを用いて配列番号52に示す配列と組み合わせて、それぞれKAAG1のアミノ酸番号60及び35を末端とするFc融合フラグメントを産生した。これらの突然変異体の発現は、完全長Fc−KAAGIについて前述のように実施し、タンパク質−Aアガロースで精製した。ELISAで使用したタンパク質調製物の代表的なゲルを図4Aに示し、エピトープマッピングに使用した突然変異タンパク質の概略図を図4Bに示す。
【0390】
結果から、ライブラリは、図示したKAAG1領域のそれぞれと結合することができる抗体から構成されることがわかった。特に、最初のELISAでKAAG1と結合した48個のmAbのうち、9個(ウェルA2、A12、C2、C4、D1、E10、F1、H3、及びH8)はKAAG1の最初の35のアミノ酸と相互作用することが判明したのに対して、5個(D12、E8、F5、G10、及びH5)はKAAG1の最後の25のアミノ酸と相互作用することが判明した。従って、残りの34個の抗体は、アミノ酸36〜59の範囲のKAAG1の領域と相互作用した。これらの結果は、24の代表的な軽及び重鎖可変領域の配列分析と一致した。実際、これらの配列アラインメントによって、抗体は、それらの各CDRにおける同一性(%)に基づいて3群に分類されることが明らかになった。各クラスターに含まれる抗体は全て、KAAG1の同じ領域と相互作用した。
【0391】
従って、mAbの相対的結合親和性、差次的エピトープ相互作用特性、及び可変領域配列における差に基づいて、実施例3で記載したプレートからの3つの抗体を、例示的抗KAAG1モノクローナル抗体としてさらなる分析のために選択した。
【0392】
実施例5
この実施例は、Fabを完全IgG1キメラモノクローナル抗体に変えるために使用される方法を開示する。方法のスキームを図5に示す。
【0393】
FabモノクローナルとKAAG1タンパク質間の相互作用研究を実施する可能性は別として、Fabの使用は、重要なインビトロ及びインビボ研究を実施して抗原の生物学的機能を検証することに関して限定される。従って、Fabに含まれる軽及び重鎖可変領域を完全抗体スカフォールドに移し、マウス−ヒトキメラIgG1を生成させることが必要であった。軽及び重イムノグロブリン鎖の両方の発現ベクターを、i)Fab発現ベクターの上流のもとの細菌シグナルペプチド配列が哺乳動物シグナルペプチドと置換され、そしてii)マウス抗体中の軽及び重鎖定常領域がヒト定常領域と置換されるように構築した。この転移を実施するための方法は、当業者に周知の標準的分子生物学技術を使用した。方法論の簡単な概要をここで説明する(図5を参照)。
【0394】
軽鎖発現ベクター−293E一次的トランスフェクションシステムにおいて使用されるように設計された、pTTVH8G(Durocherら、2002年)と称する既存の哺乳動物発現プラスミドを修飾して、マウス軽鎖可変領域に適合させた。結果として得られるマウス−ヒトキメラ軽鎖は、マウス可変領域とそれに続いてヒトカッパ定常ドメインを含んでいた。ヒトカッパ定常ドメインをコード化するcDNA配列を、プライマーOGS1773及びOGS1774(それぞれ配列番号57及び58)を用いてPCRにより増幅した。ヒトカッパ定常領域のヌクレオチド配列及び対応するアミノ酸配列をそれぞれ配列番号59及び60に示す。結果として得られる321塩基対PCR産物を、ヒトVEGFA(NM_003376)のシグナルペプチド配列のすぐ下流のpTTVH8G中に結合させた。このクローニングステップは、マウス軽鎖可変領域をコード化するcDNAの正確なポジショニングを可能にする独自のエンドヌクレアーゼ部位の位置決定も行った。pTTVKIと称する最終発現プラスミドの配列を配列番号61に示す。表3に開示された配列に基づいて、それらの5’末端で、VEGF Aシグナルペプチドの最後の20塩基対と同じ配列を組み入れた、抗体3D3、3G10、及び3C4の軽鎖可変領域(それぞれ配列番号15、19、及び23)に特異的なPCRプライマーを設計した。これらのプライマーの配列を配列番号62、63、及び64に示す。同じ逆方向プライマーを使用して、3つの軽鎖可変領域全てを増幅させた。その理由は、3’側最末端は同じであるからである。このプライマー(配列番号65)は、その3’末端で、ヒトカッパ定常ドメインの最初の20塩基対と同じ配列を組み入れていた。PCRフラグメント及び消化されたpTTVKIの両方をT4 DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性で処理し、その結果、相補的末端を得、これをアニーリングによって結合させた。アニーリング反応をコンピテントイー・コリに変換し、マウス軽鎖可変領域がpTTVKI発現ベクター中に適切に挿入されるようにシーケンシングすることによって発現プラスミドを検証した。当業者らは、軽鎖発現プラスミドの構築に用いられる方法が、もとのFabライブラリ中に含まれる全ての抗KAAG1抗体に当てはまることを容易に認識するであろう。
【0395】
重鎖発現ベクター−重鎖イムノグロブリンを産生した発現ベクターを、軽鎖イムノグロブリンの産生について前述したpTTVKIと同様の方法で設計した。ヒトIgGKシグナルペプチド配列並びにIgG1のヒトFcドメインのCH2及びCH3領域を含むプラスミドpYD11(Durocherら、2002)を、ヒト定常CH1領域をコード化するcDNA配列を結合させることによって修飾した。独自の制限エンドヌクレアーゼ部位を含むように設計されたPCRプライマーOGS1769及びOGS1770(配列番号66及び67)を使用して、配列番号68及び69に示すヌクレオチド配列及び対応するアミノ酸配列を含むヒトIgG1 CH1領域を増幅した。IgGKシグナルペプチド配列のすぐ下流のヒトCH1の309塩基対フラグメントの結合後、修飾されたプラスミド(配列番号70)をpYD15と指定した。選択された重鎖可変領域をこのベクター中に結合する場合、結果として得られるプラスミドは、ヒト定常領域を有する完全IgG1重鎖イムノグロブリンをコード化する。表3に開示する配列に基づいて、その5’−末端でIgGKシグナルペプチドの最後の20塩基対と同じ配列を組み入れた、抗体3D3、3G10、及び3C4の重鎖可変領域(それぞれ配列番号17、21、及び25)に特異的なPCRプライマーを設計した。これらのプライマーの配列を配列番号71(3D3及び3G10は同じ5’−末端配列を有する)並びに72に示す。同じ逆方向プライマーを用いて3つの重鎖可変領域全てを増幅した。その理由は、3’側最末端は同じだからである。このプライマー(配列番号73)は、その3’末端で、ヒトCH1定常ドメインの最初の20塩基対と同じ配列を組み入れていた。PCRフラグメント及び消化されたpYD15の両方をT4 DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性で処理し、その結果、相補性末端を得、こアニーリングによって結合させた。アニーリング反応をコンピテントイー・コリ中に変換し、マウス重鎖可変領域がpYD15発現ベクター中に適切に挿入されるようにシーケンシングすることによって発現プラスミドを検証した。当業者らは、重鎖発現プラスミドの構築に使用される方法がもとのFabライブラリ中に含まれる全ての抗KAAG1抗体に当てはまることを容易に認識するであろう。
【0396】
293E細胞におけるヒトIgG1の発現−軽及び重鎖イムノグロブリンをコード化した、前段で調製された発現ベクターを、一時的トランスフェクションシステムを用いて293E細胞において発現した(Durocherら、2002年)。軽及び重鎖発現ベクターをコトランスフェクションするために使用した方法は、実施例3で記載した。組織培地中で抗体の最高収率を達成するために軽鎖の重鎖に対する比を最適化し、9:1(L:H)であることが判明した。キメラ抗KAAG1モノクローナル抗体が組換えFc−KAAGIと結合する能力をELISAで測定し、もとのマウスFabと比較した。方法は実施例3で記載した。図6で図示するように、3D3、及び3G10キメラIgG1モノクローナル抗体の結合は、Fabと非常に似ていた。3C4の場合、キメラの結合活性は、Fabよりも若干低かった。これに反して、この結果から、マウスFabからの可変領域のヒトIgG1骨格への転位は、軽及び重鎖可変領域がKAAG1結合を付与する能力に有意に影響を及ぼさなかったことがわかる。
【0397】
実施例6
この実施例は、卵巣癌細胞モデルにおいてKAAG1の活性をブロックするための抗KAAG1抗体の使用を記載する。
【0398】
実施例2は、KAAG1が卵巣癌細胞の挙動において重要な役割を果たすことを示すRNAi研究を開示した。前述のモノクローナル抗体を使用して、細胞表面のKAAG1を標的とすることによってこれらの結果を再現することが可能であるかどうかを究明した。TOV−21G及びOV−90細胞を、スフェロイドを産生する条件下で培養し、10μg/mlの3D3、3G10、又は3C4抗KAAG1キメラモノクローナル抗体で処理した。図7に示すように、未処理のままで放置した場合(親)又は抗体希釈緩衝液で処理した場合(対照)に両細胞系は効率的にスフェロイドを形成した。対照的に、抗KAAG1抗体の存在は、ゆるく充填された構造をもたらし、ある場合には、細胞はスフェロイドに構築することができなかった。これらの結果は、先の観察結果を裏付け、抗KAAG1モノクローナル抗体がスフェロイドの形成中にKAAG1の活性を調節できることを示唆する。癌細胞系によるスフェロイド形成は、腫瘍形成のインビトロモデルであるので、結果は、KAAG1をブロックすることがインビボでの腫瘍形成の軽減につながることも示唆する。
【0399】
実施例7
この実施例は、卵巣腫瘍におけるKAAG1の発現を検出するための抗KAAG1抗体の使用を記載する。
【0400】
卵巣癌腫瘍におけるKAAG1タンパク質の発現を確認する手段として、そして遺伝子の発現がタンパク質の存在と相関するかどうかを究明するために、免疫組織化学法を実施した。患者生検から生成させた数ダースの卵巣腫瘍試料を含む組織マイクロアレイを得た。パラフィン包埋上皮卵巣腫瘍試料をスライドガラス上に置き、15分間50℃で固定した。キシレンで2回処理し、続いて100%、80%、及び70%エタノール中で連続して5分間洗浄して脱水することによって、脱パラフィンを実施した。スライドをPBS中で2回、5分間洗浄し、そして抗原修復溶液で処理して(クエン酸塩−EDTA)、抗原をアンマスキングした。スライドをメタノール中でHとともにインキュベートすることによって内因性ペルオキシド反応性種を除去し、スライドを無血清ブロッキング溶液(Dakocytomation)とともに20分間室温にてインキュベートすることによってブロッキングを実施した。一次mAb(抗KAAG1 3D3)を1時間室温で添加した。KAAG1反応性抗原を、ビオチン結合マウス抗カッパ、続いてストレプトアビジン−HRP三次抗体とともにインキュベートすることによって検出した。ポジティブ染色は、スライドをDAB−過酸化水素基質で5分未満処理することによって示され、続いてヘマトキシリンで対比染色した。KAAG1タンパク質は、大部分の卵巣腫瘍試料において非常に高レベルで発現されることが判明した。70腫瘍を含む代表的なアレイを図8Aに図示する。RT−PCRを用いて実施した発現プロファイリングによって示されるように、KAAG1転写物は分析した卵巣腫瘍試料の85%超で存在していた。明らかに、KAAG1遺伝子の転写と卵巣癌中のタンパク質の存在との間には優れた相関関係がある。試料の一部をさらに高倍率で調べて、どの細胞がKAAG1タンパク質を発現しているかを究明した。図8Bで示すように、KAAG1は、卵巣腫瘍の表層上皮で主に発現される。加えて、これらの上皮細胞の先端側上で強い強度が観察された(図8B中の矢印を参照、倍率20×)。最後に、免疫組織化学法を様々な組織型由来の卵巣腫瘍試料に関して繰り返した。先に説明したように、上皮卵巣癌は4つの主な組織型、すなわち漿液性、類内膜、明細胞、及び粘液性に分類することができる。KAAG1の発現は、上皮卵巣癌の全ての型、特に漿液性及び類内膜組織型で検出された(図8Cを参照)。
【0401】
まとめると、これらの免疫組織化学的研究は、モノクローナル抗体を用いた卵巣癌におけるKAAG1検出の有用性を示す。
【0402】
実施例8
KAAG1に対するIgG抗体はADCCを媒介することができる。
抗体依存性細胞傷害性(ADCC)は、細胞媒介性免疫機構であり、これによって免疫系のエフェクター細胞、典型的にはナチュラルキラー(NK)細胞は、特異的抗体により結合された標的細胞を積極的に溶解する。NK細胞と抗体との間の相互作用は、抗体の定常Fcドメイン及びNK細胞の表面上の高親和性Fcγ受容体によって起こる。IgGは、Fc受容体に関して最高の親和性を有し、一方、IgGmAbは非常に低い親和性を示す。この理由のために、KAAG1を標的とするキメラ抗体はIgGとして設計した。このように媒介されるこの種類のエフェクター機能によって、多くの場合、自身の細胞表面上で高レベルの抗原を発現する癌細胞を選択的に殺すことができるようになる。
【0403】
すでに公開されている方法の中から、抗KAAG1 IgGキメラ抗体のADCC活性を測定するためのインビトロ分析を採用した。この方法で、WIL2−Sと呼ばれるリンパ腫細胞系の存在下で抗CD20リツキサンのADCC活性を測定した(Idusogie et al.,(2000)J.Immunol.164,4178−4184)。ヒト末梢血単核細胞(PBMNC)を、濃度が増大する3D3キメラIgG抗体の存在下で活性化されたNK細胞源として使用した(図12を参照)。標的細胞を1:25の比で活性化されたPBMNCとともにインキュベートした。図示するように、細胞死は、OVCAR−3及びリンパ腫細胞系の両方の存在下で用量に依存して増加し、後者はRT−PCRによってKAAG1を発現することが証明された(不図示)。正の対照として、公開された方法から得られた結果を再現し、この場合、リツキサンに関してWIL2−S細胞の存在下で高レベルのADCCが得られた。
【0404】
ADCCは、比較的高レベルのKAAG1を発現する他の卵巣癌細胞系を用いても観察
された。これらの結果は、3D3により例示されるように、KAAG1について特異的なIgG抗体が、自身の細胞表面上で抗原を発現する癌細胞の溶解を向上させ得ることを証明する。
【0405】
実施例9
KAAG1に対する抗体は、卵巣腫瘍の浸潤を軽減させることができる。
卵巣癌に罹っている患者は、卵巣の上皮層中、又は数例においては卵管中の細胞の制御不能な成長により典型的に開始する病巣を有する。早期に発見されたならば、これらの原発腫瘍を手術により除去し、初回化学療法の結果、非常に良好な奏効率を得ることができ、また全体的な生存を改善することができる。残念ながら、70%の患者は疾患が再発し、その結果、腹腔全体に数百の微小転移性腫瘍が広がることになる。第二回治療は有効であり得るが、多くの場合、患者の反応が不良であるか、又は腫瘍が化学療法剤耐性になるかのいずれかである。治療法の選択肢は限られ、細胞傷害性剤に対する耐性を回避するための新規療法が緊急に必要とされる。
【0406】
インビボの抗KAAG1抗体の有効性を試験するために、ヒトにおける卵巣癌の臨床症状に最も近い卵巣癌の動物モデルを使用した。TOV−112D細胞系は、類内膜起源のものであり、RT−PCRにより測定されるようにKAAG1抗原を発現する。先のIHC研究により、類内膜組織型の卵巣腫瘍は、KAAG1の強力な発現を含み、従って、112D細胞系を、抗KAAG1抗体を試験するための適切な選択肢とする。
【0407】
SCIDマウスにおけるTOV−112D細胞系の腹腔内接種の結果、ヒトにおいて観察されるものと非常によく似た数ダースの微小転移性腫瘍が移植された。抗体の希釈剤であるPBSで処置されたマウスは、検査によると、動物1匹あたり平均で25〜30の腫瘍を含んでいた(図13A及びB)。数例では、これらのマウスの腹腔中の腫瘍数は多すぎて腫瘍の数を容易に測定できなかったので、これらのマウスは統計分析から除外した。マウスを3C4及び3D3抗体で処理した場合、微小転移性腫瘍の数は大幅に減少した。加えて、抗KAAG1で処理した群につき少なくとも1匹の動物では腫瘍が見られなかった。さらに多数のTOV−112D腫瘍(>50/動物)を含むマウスで第2の実験を実施し、非常によく似た結果を得た。さらに、3D3抗体と比較して、3C4で処置された群ではほとんど差はなかった。しかし、これらのインビボ実験における傾向並びに細胞ベースの分析で得られた結果は、3D3抗体の方が若干有効性が高いことを示した。これが、よりアクセス可能なエピトープによるのか、又は抗原に対して3C4と比較して3D3のより高い親和性によるのかは、まだわかっていない。これらの2つの実験から得られた結果は、卵巣癌細胞表面上のKAAG1を標的とすることは、インビボの腫瘍の拡大を著しく軽減することにつながり得ることを証明した。
【0408】
さらに、これらの発見は、細胞ベースの分析で得られた観察結果と完全に一致する。たとえば、単層として成長した細胞系と比較して、スフェロイドにおけるKAAG1 mRNAの発現の増加;KAAG1 shRNAの存在下での細胞移動の減少、KAAG1抗体で処置された場合の細胞系がスフェロイドを形成する能力の減少;そして最後に、抗KAAG1 IgGによるADCC活性の向上。まとめると、この結果は、抗体を用いてKAAG1を標的とすることが再発性卵巣癌において治療上大いに有望であることを強力に示唆する。
【0409】
実施例10
KAAG1は皮膚腫瘍及び腎臓細胞癌で発現され、これらの適応症における治療上の標的である。
実施したmRNAプロファイリング研究から、KAAG1抗原をコード化する転写物は、黒色腫試料及び腎臓癌由来の細胞系で高度に発現されたことがわかった。これらの結果は、Sooknananら(2007年)で開示された。これらの癌型におけるKAAG1遺伝子の転写調節を確認するために、免疫組織化学法を、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から単離されたいくつかの切片を含むヒト皮膚腫瘍組織マイクロアレイ(Pantomics Inc.、カリフォルニア州リッチモンド)で抗KAAG1抗体を用いて実施した。このアレイの分析は、扁平上皮細胞癌及び黒色腫から単離された生検において非常に強い染色を示した(図14、上のパネル)。これらの型はどちらも皮膚癌の最も一般的な形態に含まれ、また興味深いことに、扁平上皮細胞癌は最も転移性が強く、この事実もKAAG1の発現と侵襲的表現型とを結びつける。すでに観察されたように、アレイ上に含まれる3つの正常な皮膚試料上のKAAG1の存在は非常に微弱であるか又は存在しなかった。同様に、KAAG1は、腎臓癌のアレイに含まれる試料の多くで検出された。陽性試料のほとんどは、主に乳頭細胞癌型のものであり、若干の明細胞癌がKAAG1タンパク質を発現した。乳頭癌は腎臓癌症例の約20%に相当する。
【0410】
KAAG1の機能が、卵巣癌におけるその役割と比較して、これらの種類の癌で同じかどうかを試験するために、黒色腫及び腎臓細胞癌由来の細胞系を得、スフェロイド培養試験で試験した(実施例1及び6を参照)。黒色腫モデルに関して、A375及びSK−MEL5細胞の2つの悪性黒色腫細胞系を、これらが5%FBSの存在下でスフェロイドを形成することを可能にする条件下で培養した。培養物を5μg/mlの濃度の抗KAAG1キメラ3D3抗体とともに又はこの抗体なしでインキュベートした。図15に示すように、培養物中に3D3抗体を含めることで、黒色腫細胞系におけるスフェロイド構造の適切な構築が防止された。この結果は、KAAG1が卵巣癌において果たすのと同様の役割を黒色腫でも果たすことを示唆した。腎臓細胞癌由来の細胞系も試験した。A−498細胞系は腎臓乳頭細胞癌細胞系であるのに対して、786−Oは腎臓明細胞癌である。図15で示すように、A−498スフェロイドのみが3D3抗KAAG1抗体の存在によって影響を受け、一方、786−O細胞系はこの分析で影響を受けなかった。これらの結果は、前述の免疫組織化学法の結果に匹敵し、スフェロイド形成の阻害が、主に乳頭腎臓癌由来の腎臓癌細胞表面上のKAAG1の存在に依存することを示す。しかし、抗KAAG1抗体は腎臓明細胞癌の他の種類の分析において機能し得るこ可能性がある。
【0411】
まとめると、これらのデータは、黒色腫及び腎臓癌におけるKAAG1の役割の重要な機能を強力に支持し、これらの適応症で抗体を用いてKAAG1をブロックすることは、治療的可能性を有することを示す。
【0412】
実施例11
KAAG1は卵巣癌細胞の表面上で発現される。KAAG1をコード化するcDNAの一次構造のバイオインフォーマティック分析、生化学研究、及び上皮細胞中のタンパク質の免疫組織化学的検出から得られた総合結果は、KAAG1抗原が細胞表面上に位置することを示唆した。しかし、KAAG1が実際に膜結合タンパク質であることを証明するためにはさらに直接的な証拠が必要であった。一方法において、KAAG1を発現することが知られている卵巣癌細胞系をマイクロタイタープレート中に播種し、細胞を透過しない条件下で固定し、抗KAAG1キメラ抗体の濃度を増加させつつインキュベートした。細胞をよく洗浄した後、修飾された細胞ベースのELISAにおいて二次抗体としてHRP結合抗ヒトIgGを用いて結合抗体を検出した(図16Aを参照)。これらの実験から得ることができる最初の観察結果は、抗体を細胞によって特異的に捕獲することができることであり、このことは、KAAG1が細胞表面で存在することを示唆した。第2に、結合の量は、SKOV−3細胞上で最強であり、TOV−21G細胞は最弱の結合を示した。これは、KAAG1 mRNAがこれらの細胞系において同様の割合で発現されることを証明したRT−PCRデータ(不図示)と完全に一致した。さらに、3D3抗体は最強のシグナルを生じ、このことは、この抗体によって標的とされるエピトープがこの分析では最もアクセス可能であったことを意味する。3G10は、最高レベルのAB−0447を発現した細胞系においてKAAG1を検出できるだけであった(SKOV−3細胞、図16Aの右パネルを参照)。使用した第2の方法はフローサイトメトリーであった。この場合、マウス3D3抗KAAG1抗体をSKOV−3卵巣癌細胞とともに飽和条件でインキュベートし、続いてよく洗浄し、結合した3D3抗KAAG1抗体を、フローサイトメーターでFITCと結合した抗マウスIgGを用いて検出した。図16Bで示すように、SKOV−3細胞の表面でのシグナルは、バックグラウンドの読みと同じ蛍光レベルである、非哺乳動物非関連性タンパク質について特異的な負の対照である抗KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)抗体で標識された同じ細胞と比較してはるかに高かった。まとめると、これらの結果は、KAAG1が細胞表面上に位置することを示す。
【0413】
実施例12
ヒト化抗KAAG1抗体の使用法。
インビトロ及び予備インビボ結果の両方に基づいて、2つのマウス抗KAAG1抗体候補(3D3及び3C4と表示)を、当業者に周知の方法を使用するコンピュータ内でのモデリングを用いたヒト化について選択した。手短に言うと、ネズミ抗体の可変領域を、高い配列相同性と類似したCDRループ長さを呈するマウス、ヒト化、及び完全ヒト可変領域の利用可能な結晶構造に基づいて3Dでモデル化した。CDRは、抗原結合に寄与するアミノ酸配列であり、抗体鎖上に3つのCDRが存在する。さらに、CDR間に介在するアミノ酸配列であるフレームワーク領域を、マウスとヒト抗体配列との標準的相同性比較によって修飾し、その結果、「最良適合」ヒト配列を得た。これらの修飾は、潜在的なN及びO結合グリコシル化部位の保存はもちろんのこと、ヒト化構造における最大抗原結合を保証するために、これらの修飾はCDRの適切なポジショニングが確実に維持されるようにした。ヒト化(h)3D3及び3G4における重鎖及び軽鎖可変領域の両方の配列の結果として、それぞれ96%及び94%がヒト化された。各抗体の3D3及び3C4モデルの構造をそれぞれ図17A及び17Bに示す。これらの構造に示されるように、3D3は、3つの異常なアミノ酸(図17A、重鎖上のMet93及びGly94、並びに軽鎖上のSer57)がCDRモデルに近いので、これらのアミノ酸の維持を必要とした。モデリングは、これらのマウスアミノ酸のヒト等価物での置換が抗体のKAAG1抗原との結合を相殺し得ることを予想した。3C4の場合、6個のアミノ酸が異常と見なされた(図17B、重鎖上のGlu1、Gln72及びSer98、並びに軽鎖上のThr46、Phe49及びSer87)。両図において、軽鎖CDRは、CDR1、CDR2、及びCDR3についてそれぞれL1、L2、及びL3により示され、一方、重鎖CDRは、CDR1、CDR2、及びCDR3についてそれぞれH1、H2、及びH3で示される。
【0414】
完全抗KAAG1 3D3イムノグロブリン軽及び重鎖をコード化する配列をそれぞれ配列番号176及び177に示す。ヒト化3D3軽鎖の可変領域は配列番号176のアミノ酸21〜133の間に含まれ、配列番号178に示される。ヒト化3D3重鎖の可変領域は配列番号177のアミノ酸20〜132の間に含まれ、配列番号179に示される。完全抗KAAG1 3C4イムノグロブリン軽及び重鎖をコード化する配列をそれぞれ配列番号180及び181に示す。ヒト化3C4軽鎖の可変領域は配列番号180のアミノ酸21〜127の間に含まれ、配列番号182に示される。ヒト化3C4重鎖の可変領域は配列番号181のアミノ酸19〜136の間に含まれ、配列番号183に示される。
【0415】
トランスフェクトされた哺乳動物細胞における発現ベクターのアセンブリ及びh3D3の産生後(実施例5を参照)、ヒト化プロセスの生物学的同等性を証明するためにいくつかの分析を実施した。エフェクター機能を有する抗体が必要とされたので、h3D3をヒトIgGとして構築した。h3D3の能力を組換えKAAG1と直接比較するためにELISAに基づく分析を実施した。これらの試験を実施するために用いられる方法は、組換えFc−KAAGIを使用して実施例3に記載したとおりにした。図18Aに示すように、h3D3の結合活性は、キメラ3D3の結合活性と同じであった。
【0416】
さらに正確な測定は、Biacore装置で表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて実施した。動態解析を用いて、キメラ3D3のh3D3との親和性並びに軽及び重鎖の様々な置換を含むハイブリッド抗体との親和性を比較した(図18Bを参照)。手短に言えば、抗ヒトFcをBiacoreセンサーチップ上に固定しキメラ又はh3D3をこのチップ上に捕獲した。様々な濃度のモノマー組換えKAAG1を注入し、データを簡単な1:1モデルに全体的に適合させて、相互作用の動態パラメータを決定した。キメラ3D3の動態パラメータを図18Bで図示した(m3D3)。キメラ3D3の平均Kは2.35×10−10Mであった。比較して、キメラ(C)/ヒト化(H)の全置換は、非常に類似した動態パラメータを示した。キメラ重鎖とともに発現されたキメラ軽鎖(図18Bでは「CC」として表示)の平均Kは2.71×10−10Mであり、キメラ重鎖とともに発現されたヒト化軽鎖(図18Bでは「HC」として表示)の平均Kは3.09×10−10Mであり、ヒト化重鎖とともに発現されたキメラ軽鎖(図18Bでは「CH」として表示)の平均Kは5.05×10−10Mであり、ヒト化重鎖とともに発現されたヒト化軽鎖(図18Bでは「HH」として表示)の平均Kは4.39×10−10Mであった。分析から、3D3のヒト化がもとのマウス抗体の結合活性を保存することがわかった。
【0417】
h3D3の生物学的機能をスフェロイド培養試験で評価した(実施例6を参照)。SKOV−3卵巣癌細胞を、5%FBSの存在下、h3D3又は非KAAG1結合同位体対照抗体の存在下で培養した。結果(図18Cに図示)は、緩衝液又は非関連IgGのいずれかを用いた治療は、コンパクトな3−D構造の形成を阻害しなかったことを示す。対照的に、キメラ3D3とヒト化3D3とはどちらも、スフェロイドが形成されるのを防止した。結果を二とおりで示す(左及び右のパネル)。これらの結果は、キメラ3D3の生物活性がヒト化3D3で保存されることを示し、h3D3が同様に挙動することを示唆する。
【0418】
[参考文献]























【特許請求の範囲】
【請求項1】
KAAG1(配列番号2)又は配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するKAAG1変異体と特異的に結合できる、単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記抗体が、KAAG1の分泌された形態又はKAAG1の細胞外領域と特異的に結合できる、請求項1記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号2のアミノ酸30からアミノ酸84の間に位置するドメインと結合する、請求項2記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号2のアミノ酸1〜35内に含まれるエピトープと結合できる、請求項1又は2記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗体が、配列番号2のアミノ酸36〜60内に含まれるエピトープと結合できる、請求項1又は2記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号2のアミノ酸61〜84内に含まれるエピトープと結合できる、請求項1又は2記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号16と少なくとも80%同一である配列、配列番号20と少なくとも80%同一である配列、配列番号24と少なくとも80%同一である配列、配列番号105と少なくとも80%同一である配列、配列番号109と少なくとも80%同一である配列及び配列番号126と少なくとも80%同一である配列からなる群から選択される配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記軽鎖可変領域が、配列番号27と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号28と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号29と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含む、請求項7記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項9】
前記CDRL1配列が、配列番号27と少なくとも90%同一である、請求項8記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項10】
前記CDRL1配列が配列番号27と100%同一である、請求項9記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項11】
前記CDRL2配列が配列番号28と少なくとも90%同一である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項12】
前記CDRL2配列が配列番号28と100%同一である、請求項11記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項13】
前記CDRL3配列が配列番号29と少なくとも90%同一である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項14】
前記CDRL3配列が配列番号29と100%同一である、請求項13記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項15】
前記軽鎖可変領域が、配列番号33と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号34と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号35と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含む、請求項7記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項16】
前記CDRL1配列が配列番号33と少なくとも90%同一である、請求項15記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項17】
前記CDRL1配列が配列番号33と100%同一である、請求項16記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項18】
前記CDRL2配列が配列番号34と少なくとも90%同一である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項19】
前記CDRL2配列が配列番号34と100%同一である、請求項18記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項20】
前記CDRL3配列が配列番号35と少なくとも90%同一である、請求項15〜19のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項21】
前記CDRL3配列が配列番号35と100%同一である、請求項20記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項22】
前記軽鎖可変領域が、配列番号39と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号40と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号41と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含む、請求項7記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項23】
前記CDRL1配列が配列番号39と少なくとも90%同一である、請求項22記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項24】
前記CDRL1配列が配列番号39と100%同一である、請求項23記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項25】
前記CDRL2配列が配列番号40と少なくとも90%同一である、請求項22〜24のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項26】
前記CDRL2配列が配列番号40と100%同一である、請求項25記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項27】
前記CDRL3配列が配列番号41と少なくとも90%同一である、請求項22〜26のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項28】
前記CDRL3配列が配列番号41と100%同一である、請求項27記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項29】
前記軽鎖可変領域が、配列番号158と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号159と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号160と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含む、請求項7記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項30】
前記CDRL1配列が配列番号158と少なくとも90%同一である、請求項29記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項31】
前記CDRL1配列が配列番号158と100%同一である、請求項30記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項32】
前記CDRL2配列が配列番号159と少なくとも90%同一である、請求項29〜31のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項33】
前記CDRL2配列が配列番号159と100%同一である、請求項32記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項34】
前記CDRL3配列が配列番号160と少なくとも90%同一である、請求項29〜33のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項35】
前記CDRL3配列が配列番号160と100%同一である、請求項34記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項36】
前記軽鎖可変領域が、配列番号164と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号165と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号166と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含む、請求項7記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項37】
前記CDRL1配列が配列番号164と少なくとも90%同一である、請求項36記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項38】
前記CDRL1配列が配列番号164と100%同一である、請求項37記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項39】
前記CDRL2配列が配列番号165と少なくとも90%同一である、請求項36〜38のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項40】
前記CDRL2配列が配列番号165と100%同一である、請求項39記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項41】
前記CDRL3配列が配列番号166と少なくとも90%同一である、請求項36〜40のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項42】
前記CDRL3配列が配列番号166と100%同一である、請求項41記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項43】
前記軽鎖可変領域が、配列番号170と少なくとも80%同一であるCDRL1配列、配列番号171と少なくとも80%同一であるCDRL2配列及び配列番号172と少なくとも80%同一であるCDRL3配列を含む、請求項7記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項44】
前記CDRL1配列が配列番号170と少なくとも90%同一である、請求項43記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項45】
前記CDRL1配列が配列番号170と100%同一である、請求項44記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項46】
前記CDRL2配列が配列番号171と少なくとも90%同一である、請求項43〜45のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項47】
前記CDRL2配列が配列番号171と100%同一である、請求項46記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項48】
前記CDRL3配列が配列番号172と少なくとも90%同一である、請求項43〜47のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項49】
前記CDRL3配列が配列番号172と100%同一である、請求項48記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項50】
前記抗体が、配列番号18と少なくとも80%同一である配列、配列番号22と少なくとも80%同一である配列、配列番号26と少なくとも80%同一である配列、配列番号132と少なくとも80%同一である配列、配列番号145と少なくとも80%同一である配列、及び配列番号153と少なくとも80%同一である配列からなる群から選択される配列を含む重鎖可変領域を含む、請求項1〜49のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項51】
前記重鎖可変領域が、配列番号30と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号31と少なくとも80%同一であるCDRH2配列及び配列番号32と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含む、請求項50記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項52】
前記CDRH1配列が配列番号30と少なくとも90%同一である、請求項51記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項53】
前記CDRH1配列が配列番号30と100%同一である、請求項52記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項54】
前記CDRH2配列が配列番号31と少なくとも90%同一である、請求項51〜53のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項55】
前記CDRH2配列が配列番号31と100%同一である、請求項54記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項56】
前記CDRH3配列が配列番号32と少なくとも90%同一である、請求項51〜55のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項57】
前記CDRH3配列が配列番号32と100%同一である、請求項56記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項58】
前記重鎖可変領域が、配列番号36と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号37と少なくとも80%同一であるCDRH2配列及び配列番号38と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含む、請求項50記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項59】
前記CDRH1配列が配列番号36と少なくとも90%同一である、請求項58記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項60】
前記CDRH1配列が配列番号36と100%同一である、請求項59記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項61】
前記CDRH2配列が配列番号37と少なくとも90%同一である、請求項58〜60のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項62】
前記CDRH2配列が配列番号37と100%同一である、請求項61記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項63】
前記CDRH3配列が配列番号38と少なくとも90%同一である、請求項58〜62のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項64】
前記CDRH3配列が配列番号38と100%同一である、請求項63記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項65】
前記重鎖可変領域が、配列番号42と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号43と少なくとも80%同一であるCDRH2配列及び配列番号44と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含む、請求項50記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項66】
前記CDRH1配列が配列番号42と少なくとも90%同一である、請求項65記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項67】
前記CDRH1配列が配列番号42と100%同一である、請求項66記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項68】
前記CDRH2配列が配列番号43と少なくとも90%同一である、請求項65〜67のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項69】
前記CDRH2配列が配列番号43と100%同一である、請求項68記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項70】
前記CDRH3配列が配列番号44と少なくとも90%同一である、請求項65〜69のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項71】
前記CDRH3配列が配列番号44と100%同一である、請求項70記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項72】
前記重鎖可変領域が、配列番号161と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号162と少なくとも80%同一であるCDRH2配列、及び配列番号163と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含む、請求項50記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項73】
前記CDRH1配列が配列番号161と少なくとも90%同一である、請求項72記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項74】
前記CDRH1配列が配列番号161と100%同一である、請求項73記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項75】
前記CDRH2配列が配列番号162と少なくとも90%同一である、請求項72〜74のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項76】
前記CDRH2配列が配列番号162と100%同一である、請求項75記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項77】
前記CDRH3配列が配列番号163と少なくとも90%同一である、請求項72〜76のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項78】
前記CDRH3配列が配列番号163と100%同一である、請求項77記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項79】
前記重鎖可変領域が、配列番号167と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号168と少なくとも80%同一であるCDRH2配列、及び配列番号169と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含む、請求項50記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項80】
前記CDRH1配列が配列番号166と少なくとも90%同一である、請求項79記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項81】
前記CDRH1配列が配列番号166と100%同一である、請求項80記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項82】
前記CDRH2配列が配列番号168と少なくとも90%同一である、請求項79〜81のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項83】
前記CDRH2配列が配列番号168と100%同一である、請求項82記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項84】
前記CDRH3配列が配列番号169と少なくとも90%同一である、請求項79〜83のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項85】
前記CDRH3配列が配列番号169と100%同一である、請求項84記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項86】
前記重鎖可変領域が、配列番号173と少なくとも80%同一であるCDRH1配列、配列番号174と少なくとも80%同一であるCDRH2配列、及び配列番号175と少なくとも80%同一であるCDRH3配列を含む、請求項50記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項87】
前記CDRH1配列が配列番号173と少なくとも90%同一である、請求項86記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項88】
前記CDRH1配列が配列番号173と100%同一である、請求項87記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項89】
前記CDRH2配列が配列番号174と少なくとも90%同一である、請求項87〜88のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項90】
前記CDRH2配列が配列番号174と100%同一である、請求項89記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項91】
前記CDRH3配列が配列番号175と少なくとも90%同一である、請求項87〜90のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項92】
前記CDRH3配列が配列番号175と100%同一である、請求項91記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項93】
(a)配列番号74及び配列番号75からなる群から選択されるCDRL1配列;
(b)配列番号76、配列番号77及び配列番号78からなる群から選択されるCDRL2配列、並びに
(c)配列番号79、配列番号80及び配列番号81からなる群から選択されるCDRL3配列
からなる群から選択されるCDRを有する軽鎖可変領域を含む、単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項94】
前記抗体が、
(a)配列番号82を含むCDRH1配列;
(b)配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86及び配列番号87からなる群から選択されるCDRH2配列、並びに
(c)配列番号88、配列番号89及び配列番号90からなる群から選択されるCDRH3配列
からなる群から選択されるCDRを有する重鎖可変領域を含む、請求項93記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項95】
前記抗体が、CDRL1、CDRL2又はCDRL3のうちの少なくとも2つのCDRを含む、請求項93又は94記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項96】
前記抗体が、1つのCDRL1、1つのCDRL2及び1つのCDRL3を含む、請求項95記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項97】
前記抗体が、
(a)CDRL1、CDRL2又はCDRL3の少なくとも2つのCDR、及び
(b)CDRH1、1つのCDRH2又は1つのCDRH3のうちの少なくとも2つのCDR
を含む、請求項94記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項98】
前記抗体が1つのCDRL1、1つのCDRL2及び1つのCDRL3を含む、請求項97記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項99】
前記抗体が1つのCDRH1、1つのCDRH2及び1つのCDRH3を含む、請求項97又は98記載の単離された抗体。
【請求項100】
(a)配列番号82を含むCDRH1配列;
(b)配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86及び配列番号87からなる群から選択されるCDRH2配列、並びに
(c)配列番号88,配列番号89及び配列番号90からなる群から選択されるCDRH3配列
からなる群から選択されるCDRを有する重鎖可変領域を含む単離された抗体又は抗原結合フラグメント又は抗原結合フラグメント。
【請求項101】
前記抗体が1つのCDRH1、1つのCDRH2又は1つのCDRH3を含む、請求項100記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項102】
前記前記抗体が1つのCDRH1、1つのCDRH2及び1つのCDRH3を含む、請求項100記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項103】
前記CDRの少なくとも1つで少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項7〜102のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項104】
前記CDRの少なくとも2つで少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項7〜102のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項105】
前記3CDR中に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項7〜102のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項106】
前記CDRの少なくとも1つで少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項7〜102のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項107】
前記CDRの少なくとも2つで少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項7〜102のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項108】
前記3CDR中に少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項7〜102のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項109】
NO.:KAAG1又はNO.:KAAG1の分泌形態、KAAG1の細胞外領域若しくはその変異体と特異的に結合することができる単離された抗体又は抗原結合フラグメントであって、前記抗体が:
(a)配列番号16で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号18で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(b)配列番号20で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号22で定義される重鎖可変領域の3CDR;
(c)配列番号24で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号26で定義される重鎖可変領域の3CDR;
(d)配列番号105で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号132で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(e)配列番号106で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号133で定義される重鎖可変領域の3CDR
(f)配列番号107で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号134で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(g)配列番号108で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号154で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(h)配列番号109で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号153で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(i)配列番号110で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号135で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(j)配列番号111で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号136で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(k)配列番号112で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号149で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(l)配列番号113で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号137で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(m)配列番号114で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号140で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(n)配列番号115で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号141で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(o)配列番号116で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号142で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(p)配列番号117で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号139で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(q)配列番号119で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号143で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(r)配列番号120で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号152で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(s)配列番号121で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号146で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(t)配列番号122で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号138で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(u)配列番号123で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号150で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(v)配列番号124で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号144で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(w)配列番号126で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号145で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(x)配列番号127で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号157で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(y)配列番号128で定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号155で定義される重鎖可変領域の3CDR、
(z)配列番号129において定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号156において定義される重鎖可変領域の3CDR、又は
(aa)配列番号130において定義される軽鎖可変領域の3CDR及び配列番号151において定義される重鎖可変領域の3CDR
を含む、単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項110】
KAAG1発現腫瘍細胞の溶解を誘発できることを特徴とする、請求項1〜109のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項111】
KAAG1が、KAAG1発現腫瘍細胞の表面で発現される、請求項110記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項112】
KAAG1発現腫瘍細胞の拡大を軽減できることを特徴とする、請求項1〜109のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項113】
KAAG1が、KAAG1発現腫瘍細胞の表面で発現される、請求項112記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項114】
前記KAAG1発現腫瘍細胞がアンカレッジ依存性成長を特徴とする、請求項112記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項115】
KAAG1発現腫瘍の形成を減少させるかまたは損なうことができることを特徴とする、請求項1〜109のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項116】
KAAG1が、KAAG1発現腫瘍細胞の表面で発現される、請求項115記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項117】
KAAG1を発現する腫瘍細胞を含む癌の治療において用いられる、請求項1〜109のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項118】
KAAG1が、KAAG1を発現する腫瘍細胞の表面で発現される、請求項117記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項119】
KAAG1を発現する腫瘍細胞を含む癌の検出において用いられる、請求項1〜109のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項120】
KAAG1が、KAAG1を発現する腫瘍細胞の表面で発現される、請求項119記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項121】
前記抗体が定常領域のアミノ酸を含む、請求項1〜120のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項122】
前記定常領域の前記アミノ酸がヒト抗体由来である、請求項121記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項123】
ヒト抗体のフレームワークアミノ酸を含む、請求項1〜122のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項124】
前記抗原結合フラグメントが、scFv、Fab、Fab’又は(Fab’)である、請求項1〜123のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項125】
前記抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体及びヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントからなる群から選択される、請求項1〜124のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項126】
前記抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項125記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項127】
請求項1〜126のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合フラグメントと競合できる、単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項128】
前記抗体が検出可能な部分又は細胞傷害性部分と結合する、請求項1〜127のいずれか1項に記載の単離された抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項129】
KAAG1に対して特異的結合できる抗体の軽鎖可変領域又は重鎖可変領域をコード化する核酸。
【請求項130】
前記抗体が、KAAG1発現腫瘍細胞の死滅を誘発できる、請求項129記載の核酸。
【請求項131】
前記抗体が、KAAG1発現腫瘍細胞の拡大を軽減することができる、請求項129記載の核酸。
【請求項132】
前記抗体が、KAAG1発現腫瘍の形成を減少または損なうことができる、請求項129記載の核酸。
【請求項133】
(a)配列番号74及び配列番号75からなる群から選択されるCDRL1配列;
(b)配列番号76、配列番号77及び配列番号78からなる群から選択されるCDRL2配列、又は
(c)配列番号79、配列番号80及び配列番号81からなる群から選択されるCDRL3配列
を含む、軽鎖可変領域をコード化する核酸。
【請求項134】
前記軽鎖可変領域が、CDRL1、CDRL2又はCDRL3の少なくとも2つのCDRを含む、請求項133記載の核酸。
【請求項135】
前記軽鎖可変領域が1つのCDRL1、1つのCDRL2及び1つのCDRL3を含む、請求項134記載の核酸。
【請求項136】
(a)配列番号82を含むCDRH1配列;
(b)配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86及び配列番号87からなる群から選択されるCDRH2配列、又は
(c)配列番号88、配列番号89及び配列番号90からなる群から選択されるCDRH3配列
を含む重鎖可変領域をコード化する核酸。
【請求項137】
前記重鎖可変領域が、CDRH1、CDRH2又はCDRH3の少なくとも2つのCDRを含む、請求項136記載の核酸。
【請求項138】
前記重鎖可変領域が1つのCDRH1、1つのCDRH2及び1つのCDRH3を含む、請求項137記載の核酸。
【請求項139】
少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化する、請求項133〜138のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項140】
前記CDRの少なくとも2つで少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化する、請求項133〜138のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項141】
前記3CDR中に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化する、請求項133〜138のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項142】
前記CDRの少なくとも1つに少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化する、請求項133〜138のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項143】
前記CDRのうちの少なくとも2つにおいて少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化する、請求項133〜138のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項144】
前記3CDRにおいて少なくとも2つの保存的アミノ酸置換を含むCDRをコード化する、請求項133〜138のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項145】
配列番号16、配列番号20、配列番号24、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127配列番号128、配列番号129、配列番号130及び配列番号131からなる群から選択される配列と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコード化する核酸。
【請求項146】
配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157からなる群から選択される配列と少なくとも80%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコード化する核酸。
【請求項147】
請求項129〜146のいずれか1項に記載の核酸を含むベクター。
【請求項148】
前記ベクターが発現ベクターである、請求項147記載のベクター。
【請求項149】
請求項129〜146のいずれか1項に記載の核酸を含む、単離された細胞。
【請求項150】
前記細胞が、軽鎖可変領域をコード化する核酸及び重鎖可変領域をコード化する核酸を含む、請求項149記載の単離された細胞。
【請求項151】
前記細胞が、抗体又はその抗原結合フラグメントの発現、構築及び/又は分泌が可能である、請求項150記載の単離された細胞。
【請求項152】
請求項1〜128のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントを含むか又は発現する、単離された細胞。
【請求項153】
前記細胞が軽鎖可変領域をコード化する核酸及び重鎖可変領域をコード化する核酸を含む、請求項152記載の単離された細胞。
【請求項154】
前記細胞が、抗体又はその抗原結合フラグメントの発現、構築及び/又は分泌が可能である、請求項153記載の単離された細胞。
【請求項155】
請求項1〜128のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント及び薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項156】
請求項1〜128のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントおよび担体を含む組成物。
【請求項157】
KAAG1発現細胞を含む癌の治療における、請求項1〜128のいずれか1項に記載の単離された抗体の使用。
【請求項158】
前記癌が、卵巣癌、皮膚癌、腎臓癌、結腸直腸癌、肉腫、白血病、脳腫瘍、甲状腺腫瘍、乳癌、前立腺癌、食道腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍及び頭頸部腫瘍からなる群から選択される、請求項157記載の使用。
【請求項159】
前記癌が悪性であることを特徴とする、請求項158記載で定義される使用。
【請求項160】
KAAG1発現細胞を含む癌の診断における、請求項1〜128のいずれか1項に記載の単離された抗体の使用。
【請求項161】
前記KAAG1発現細胞がアンカレッジ依存性成長を特徴とする、請求項160で定義される使用。
【請求項162】
前記癌が、卵巣癌、皮膚癌、腎臓癌、結腸直腸癌、肉腫、白血病、脳腫瘍、甲状腺腫瘍、乳癌、前立腺癌、食道腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍及び頭頸部腫瘍からなる群から選択される、請求項160で定義される使用。
【請求項163】
前記癌が悪性であることを特徴とする、請求項162で定義される使用。
【請求項164】
KAAG1発現腫瘍細胞の検出における、請求項1〜128のいずれか1項に記載の単離された抗体の使用。
【請求項165】
KAAG1が、前記KAAG1発現腫瘍細胞の表面で発現される、請求項164で定義される使用。
【請求項166】
前記腫瘍細胞が、卵巣癌細胞、皮膚癌細胞、腎臓癌細胞、結腸直腸癌細胞、肉腫細胞、白血病細胞、脳腫瘍細胞、甲状腺腫瘍細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、食道腫瘍細胞、膀胱腫瘍細胞、肺腫瘍細胞及び頭頸部腫瘍細胞からなる群から選択される、請求項164で定義される使用。
【請求項167】
前記癌細胞が悪性であることを特徴とする、請求項166で定義される使用。
【請求項168】
前記癌細胞がアンカレッジ依存性成長を特徴とする、請求項166で定義される使用。
【請求項169】
KAAG1発現細胞を含む癌を治療する方法であって、必要とする哺乳動物に請求項1〜28のいずれか1項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項170】
前記癌が、卵巣癌、皮膚癌、腎臓癌、結腸直腸癌、肉腫、白血病、脳腫瘍、甲状腺腫瘍、乳癌、前立腺癌、食道腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍及び頭頸部腫瘍からなる群から選択される、請求項169記載の方法。
【請求項171】
KAAG1発現細胞を含む腫瘍を検出する方法であって、必要とする哺乳動物に請求項1〜128のいずれか1項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項172】
KAAG1が前記KAAG1発現細胞の表面で発現される、請求項171記載の方法。
【請求項173】
前記癌が、卵巣癌、皮膚癌、腎臓癌、結腸直腸癌、肉腫、白血病、脳腫瘍、甲状腺腫瘍、乳癌、前立腺癌、食道腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍及び頭頸部腫瘍からなる群から選択される、請求項172記載の方法。
【請求項174】
配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するKAAG1(配列番号2)又はKAAG1変異体を検出する方法であって、KAAG1若しくはKAAG1変異体を発現する細胞、或いはKAAG1若しくはKAAG1変異体を含むか又は含むことが疑われる試料を請求項1〜128のいずれか1項に記載の抗体と接触させ、結合を測定することを含む、方法。
【請求項175】
前記試料が哺乳動物由来である、請求項174記載の方法。
【請求項176】
前記哺乳動物が癌を有するか又は癌を有することが疑われる、請求項175記載の方法。
【請求項177】
前記試料が、前記哺乳動物から得られる血清試料、血漿試料又は血液試料である、請求項174〜176のいずれか1項に記載の方法。
【請求項178】
前記試料が前記哺乳動物から得られる組織試料である、請求項174〜176のいずれか1項に記載の方法。
【請求項179】
前記試料が細胞培養物又は上清である、請求項174記載の方法。
【請求項180】
KAAG1又はKAAG1変異体に結合した抗体の量を定量化することを含む、請求項174〜179のいずれか1項に記載の方法。
【請求項181】
請求項1〜129のいずか1項に記載の抗体を含むキット。
【請求項182】
抗体の産生におけるKAAG1の分泌された形態又はKAAG1の細胞外領域の使用。
【請求項183】
KAAG1はシグナルペプチドが欠失している、請求項182で定義される使用。
【請求項184】
KAAG1はアミノ酸1〜30が欠失している、請求項182で定義される使用。
【請求項185】
配列番号2NO.:NO.:NO.:の少なくとも10個のアミノ酸を含むエピトープの、癌を診断または治療するための抗体を生成させるための使用。
【請求項186】
前記エピトープが、KAAG1の細胞外領域由来である、請求項185で定義される使用。
【請求項187】
KAAG1の分泌された形態又はKAAG1の細胞外領域に対する抗体を生成させるための組成物であって、配列番号2のアミノ酸30〜84内に含まれるKAAG1のエピトープ及び担体を含む、組成物。
【請求項188】
KAAG1の分泌された形態又はKAAG1の細胞外領域に対する抗体を生成させるための医薬組成物であって、配列番号2のアミノ酸30〜84内に含まれるKAAG1のエピトープ及び薬剤的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項189】
KAAG1の分泌された形態又はKAAG1の細胞外領域に対する抗体を生成させるための方法であって、配列番号2のアミノ酸30〜84内に含まれるKAAG1のエピトープを含むポリペプチドを投与することを含み、前記エピトープはKAAG1シグナルペプチドが欠失している、方法。
【請求項190】
配列番号2のアミノ酸30〜84内に含まれるKAAG1のエピトープの、KAAG1の分泌された形態又はKAAG1の細胞外領域に対する抗体を生成するための使用。
【請求項191】
腫瘍の拡大、腫瘍浸潤若しくは腫瘍形成を減少させるため又は腫瘍溶解を誘発するための請求項1〜128のいずれか1項に記載の単離された抗体の使用であって、前記腫瘍がKAAG1又はKAAG1変異体を発現する、使用。
【請求項192】
前記腫瘍が悪性腫瘍である、請求項191記載の使用。
【請求項193】
前記悪性腫瘍が転移する能力を有する、請求項192記載の使用。
【請求項194】
前記腫瘍がアンカレッジ依存性成長を特徴とする腫瘍細胞を含む、請求項191記載の使用。
【請求項195】
腫瘍の拡大、腫瘍浸潤、腫瘍形成を軽減するため又は腫瘍溶解を誘発するための方法であって、請求項1〜128のいずれか1項に記載の単離された抗体を必要とする哺乳動物に投与することを含む方法であって、前記腫瘍がKAAG1又はKAAG1変異体を発現する、方法。
【請求項196】
必要とする前記哺乳動物が悪性腫瘍を有する、請求項195記載の方法。
【請求項197】
前記悪性腫瘍が転移する能力を有する、請求項196記載の方法。
【請求項198】
KAAG1を発現する腫瘍細胞の移動又は生存を損なう、配列番号1、配列番号1の10〜884ヌクレオチドのフラグメント及び補体からなる群から選択される核酸の使用。
【請求項199】
KAAG1を発現する前記腫瘍細胞が、アンカレッジ依存性成長を特徴とする、請求項198で定義される使用。

【図1B】
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【図1Cand1D】
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【図2A】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4Aand4B】
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【図4C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図1A】
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【図2B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【公表番号】特表2012−507266(P2012−507266A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533500(P2011−533500)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001586
【国際公開番号】WO2010/060186
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(507196491)アレシア・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド (7)
【出願人】(595006223)ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ (25)
【Fターム(参考)】