自動ドアの制御モード切替装置およびそれを用いた自動ドア
【課題】モード数の追加・変更に容易に対応することができる自動ドアの制御モード切替装置およびそれを用いた自動ドアを提供することである。
【解決手段】
モード切替スイッチ100は、建物開口部に設けられた自動ドア500のモードを選択するモード切替スイッチ100であって、操作をキー350によりモード切替可能とし、接点オン回数および接点オン時間のうち少なくとも一方、または両方に基づいて、自動ドア500のモードを選択できる鍵付セレクタスイッチ300を有する。
【解決手段】
モード切替スイッチ100は、建物開口部に設けられた自動ドア500のモードを選択するモード切替スイッチ100であって、操作をキー350によりモード切替可能とし、接点オン回数および接点オン時間のうち少なくとも一方、または両方に基づいて、自動ドア500のモードを選択できる鍵付セレクタスイッチ300を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアの開閉制御モードを切り替えるモード切替装置およびそれを用いた自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動ドアの制御に関して種々の開発が行われている。例えば、特許文献1には、ドアを、任意に設定した位置まで自動的に開閉させることができるとともに、任意に設定した位置まで閉じることもでき、またそのような設定を簡単に行えるようにする自動ドア開閉装置について開示されている。
【0003】
特許文献1記載の自動ドア開閉装置では、ドアとドアを支持する支持体との間に設けられ、ドアを全閉位置から全開位置へ及びその逆方向へ開閉させる駆動手段と、ドア又は支持体に設けられた自動開扉スイッチと、ドアの設定開放位置を記憶するメモリと、各構成要素に電気的に接続され、自動開扉スイッチが作動することにより、駆動手段を作動させて、ドアを、メモリに記憶された設定開放位置まで開閉させる自動半開制御回路を有する制御装置とを備えるものであり、特許文献1の図2に示されるような操作盤を用いて制御が切り替えられる。
【0004】
さらに、特許文献2には、自動ドアの開放幅を任意の幅に変更できるようにする自動ドアについて開示されている。
【0005】
特許文献2記載の自動ドアは、建物開口部に設けられた扉体の動作制御が可能なドアコントローラと、このドアコントローラと通信可能なリモコンとを備えた自動ドアであって、リモコンは、通常の開閉モードや一方通行モードを選択可能なボタンが配置されているほか、扉体が建物開口部を開放しているときの開放幅に相当する値を任意の値に変更可能なボリュームスイッチと、このボリュームスイッチによって変更された値に応じた変更指令を出力する制御手段とを備え、ドアコントローラは、変更指令に応じて開放幅を変更するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−42258号公報
【特許文献2】特開2008−008082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、自動ドアにおいては、例えば、自動ドアの全閉保持、全開保持、通常の開閉、半開閉(いわゆる薬局モード)、一方通行など、開閉制御モード(以下、単にモードと呼ぶ)が多岐にわたり、また、これらの組み合わせや、これらと時刻とを組み合わせて制御を行うなど顧客ニーズも多様である。
【0008】
さて、各設置場所に応じて、必要なモードのみ選択できるようにするのが理想であるが、製造や在庫管理の関係で、現状は、一般的に利用されるモードを全て盛り込んだ制御モード切替装置となっている。
つまり、ある顧客にとっては、不要なモードが選択可能となっており、必要とするモードを選択する手間が増えるとともに、誤操作の恐れも出てくる。
逆に、新たにモードを追加しようとすると、スイッチを増やす必要があるが、既存のものをハードウェアおよびソフトウェアのいずれも流用することができない。更には追加されるスイッチの分だけ、モード切替装置が大きくなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、モード数の追加・変更に容易に対応することができる自動ドアの制御モード切替装置およびそれを用いた自動ドアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)
一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置は、建物開口部に設けられた自動ドアの開閉制御モードを切り替えるモード切替装置であって、スイッチのオン回数およびオン時間のうち少なくとも一方、または両方に基づいて、自動ドアの開閉制御モードを選択するスイッチ部と、スイッチ部の操作を鍵により可能または不可能にする鍵部と、を有するものである。
【0011】
この場合、建物の管理者のみが鍵を所有することにより、第三者に不用意に自動ドアの開閉制御モードが切り替えられるのを防止しつつ、管理者はこれを容易に切り替えることができる。また、スイッチのオン回数またはオン時間の少なくとも一方または両方に基づいて、自動ドアの開閉モードを選択することができる。
【0012】
その結果、スイッチによるオン回数により開閉制御モードを選定、またはスイッチのオン時間により開閉制御モードを選定することができるので、自動ドアの開閉制御モードが増加した場合でも、スイッチ部のスイッチの個数を増加しないで対応することができる。その結果、ソフトウェアのみ変更するだけで、顧客の要望にフレキシブルに対応ができ、かつモード切替装置は大型化しないため、省スペース化が図れる。
【0013】
また、自動ドアの開閉制御モードが減少した場合でも、スイッチ部のスイッチの個数は変わらないため、ソフトウェアを変更するだけで基本的に同じハードウェアを使用することができる。
以上より、モード数の追加・変更に容易に対応することができる。
【0014】
(2)
第2の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置において、スイッチ部と、鍵部とが一体に設けられてもよい。
【0015】
この場合、スイッチ部と鍵部とが一体に設けられているので、モード切替装置の省スペース化を図ることができる。また、操作者(建物の管理者)は、スイッチ部を操作可能とするとともに開閉制御モードの切り替えを一の動作で行うことができる。
【0016】
(3)
第3の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、第2の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置において、スイッチは、2つの接点を有し、一方の接点がオンした場合、開閉制御モードは所定の順序で変更され、他方の接点がオンした場合、開閉制御モードは所定の順序とは逆の順序で変更されるものである。
【0017】
この場合、建物の管理者は開閉制御モードを短時間で選択することができる。また、仮にモード切替スイッチの接点の一つが故障した場合であっても、故障していない他方の接点を用いることにより、開閉制御モードを選択することができるので、自動ドアの運用は阻害されない。
【0018】
(4)
第4の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、第3の発明に係るモード切替スイッチにおいて、スイッチ部は、接点がオンされている状態において、前記2つの接点がオフとなるような力を発生させる原点復帰機構を有するものである。
【0019】
この場合、スイッチ部は、原点復帰機構を有するので、スイッチが自動的に原点復帰する。その結果、管理者は、スイッチ部の操作が容易となる他、操作回数を容易に認識できる。
【0020】
(5)
第5の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置において、表示部は、開閉制御モード毎に設けられた発光ダイオードを備え、スイッチ部により選択された開閉制御モードに対応する発光ダイオードのみ点灯させるものである。
【0021】
この場合、表示部に表示されたモード毎に発光ダイオードが配置される。そして、スイッチ部により選択された開閉制御モードに応じた発光ダイオードのみが点灯されるので、現在選択されている開閉制御モードが一目で分かりやすいとともに、遠方からでも開閉制御モードを認識することができる。
【0022】
(6)
第6の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置において、開閉制御モードをに対応した表示が可能な液晶表示部を備え、スイッチ部により選択された開閉制御モードに対応した表示を液晶表示部に行うものである。
【0023】
この場合、液晶表示部に選択された開閉制御モードのみが表示されるので、モード切替スイッチの省スペース化を実現することができる。すなわち、多数の開閉モードの全てをモード切替スイッチに示す場合と比較して、選択された開閉モードのみが表示されるので、モード切替スイッチを小型化できる。
【0024】
(7)
第7の発明に係る自動ドアは、一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置を備えた自動ドアである。
【0025】
この場合、スイッチによるオン回数により開閉制御モードを選定、またはスイッチのオン時間により開閉制御モードを選定することができるので、自動ドアの開閉制御モードが増加した場合でも、スイッチ部のスイッチの個数を増加しないで対応することができる。その結果、ソフトウェアのみ変更するだけで、顧客の要望にフレキシブルに対応ができ、かつモード切替装置は大型化しないため、省スペース化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態に係るモード切替スイッチを有する自動ドアの概略を示す模式的説明図である。
【図2】自動ドアの無目内に主に設けられる各部を説明する構成図である。
【図3】モード切替スイッチの一例を示す模式図である。
【図4】モード切替スイッチの内部構造の一例を説明する模式図である。
【図5】、制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図6】AUTOモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図7】ONEWAYモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図8】F−OPENモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図9】CLOSEモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図10】P−OPENモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図11】図3のモード切替スイッチの他の例を示す模式図である。
【図12】図3および図11のモード切替スイッチのさらに他の例を示す模式図である。
【図13】図5に示した制御回路の動作の他の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施の形態に係るモード切替スイッチ100を有する自動ドア500の概略を示す模式的説明図であり、図2は、自動ドア500の無目110内に主に設けられる各部を説明する構成図である。
【0028】
図1および図2に示すように、自動ドア500は、建物の出入り口等の開口部に設けられる。本実施の形態においては、扉体120が固定扉体130に対して開閉移動する片引き式の引き戸を例示して説明する。
なお、本実施の形態においては、片引き式の引き戸を例示したが、これに限定されず、両引き式の引き戸、開き戸、グライドスライドドア、折戸、回転扉、引き込み扉、その他の任意の戸、窓等にも適用できる。
【0029】
図2に示すように、自動ドア500は、モード切替スイッチ100、ドアコントローラ510、モータ520、外側(屋外)起動センサ610、内側(屋内)起動センサ620、電気錠530等を有する。
これらのドアコントローラ510、モータ520、外側(屋外)起動センサ610、内側(屋内)起動センサ620、電気錠530等は、図1に示す自動ドア500の無目110内に収容される。
【0030】
外側(屋外)起動センサ610は、開口部の屋外側の所定領域で人または物体を検知するエリアセンサ(例えば、赤外線センサ)により構成されている。同様に、内側(屋内)起動センサ620は、開口部の屋内側の所定領域で人または物体を検知するエリアセンサ(例えば、赤外線センサ)により構成されている。
【0031】
電気錠530は、扉体120の移動を拘束するものであり、ドアコントローラ510は、モード切替スイッチ100からの指示に基づいてモータ520の駆動を制御する。
【0032】
本実施の形態おいては、モード切替スイッチ100は、開口部側方の壁面に配置される。なお、受付または管理場所等がある場合には、それらにモード切替スイッチ100を配置させてもよい。
【0033】
(自動ドア500の動作概略)
例えば、モード切替スイッチ100は、外側(屋外)起動センサ610、または内側(屋内)起動センサ620からの検知信号に基づいて電気錠530に施解錠指示信号、またはドアコントローラ510に開閉指示信号を与える。ドアコントローラ510は、開閉指示信号に基づいてモータ520に駆動指令である起動信号または半開信号(停止指令を含む)を与える。なお、起動信号、半開信号は接点信号として別々の配線で伝達することもできるし、伝送信号として1本の配線で伝達することもできる。
【0034】
(モード切替スイッチ100)
図3は、モード切替スイッチ100の一例を示す模式図であり、図4はモード切替スイッチ100の内部構造の一例を説明する模式図である。
【0035】
図3に示すように、モード切替スイッチ100は、主に、鍵付セレクタスイッチ300、LED(発光ダイオード)211,221,231,241,251およびモード表示210,220,230,240,250からなる。
図3に示すように、モード表示は、AUTOモード表示210、CLOSEモード表示220、P−OPENモード表示230、ONEWAYモード表示240およびF―OPENモード表示250を有する。当該モードの説明については、後述する。当該モード表示は、銘板等に取り付けられ、各モード表示の近傍には、透明窓または貫通孔が設けられ、当該窓または孔に応じてLED211,221,231,241,251が設けられる。
【0036】
また、鍵付セレクタスイッチ300は、図3に示すように、鍵穴にキー350を差し込み、キー350を左右のいずれか一方へまわすことにより、接点(P2,P3)がオンするものである。また、鍵付セレクタスイッチ300は、原点復帰機構を有する。原点復帰機構は、キー350を左右のいずれか一方へまわした後、手を離すことにより内蔵されたバネ等の付勢力で、図3に示す中立位置(P1)に戻す機構である。
【0037】
(各モードの説明)
ここで、本実施の形態における各モードの説明を行う。
【0038】
<AUTOモード>
まず、AUTOモードは、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号の受信状況に応じて扉体120の開閉動作を行うモードである。すなわち、通常一般的に制限無く通行可能にするモードである。
【0039】
<F−OPENモード>
F−OPENモードは、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号の受信状況の如何に関わらず、扉体120を全開にして、それを維持するモードである。すなわち、扉体120を固定扉体130と重ねている状態である。
【0040】
<ONEWAYモード>
ONEWAYモードは、内側(屋内)起動センサ620および外側(屋外)起動センサ610のうちいずれか一方だけの検知信号の受信状況に応じて、扉体120を開閉するモードである。すなわち、一方だけの検知信号に応じて扉体120を開閉し、他方の検知信号は無視するものである。なお、本実施の形態においては、内側(屋内)起動センサ620の検知信号の受信状況のみに応じて扉体120を開閉する。また、外側(屋外)起動センサ610と、内側(屋内)起動センサ620とのいずれか一方を選択できるモードも含まれる。
【0041】
<P−OPENモード>
P−OPENモードは、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号の受信状況に応じて扉体120を予め設定した位置(例えば、全開位置の半分や1/3など)まで扉体120の開閉動作を行うモードである。この場合、ドアコントローラ510は、半開信号を受信してモータ520の制御を行う。
【0042】
<CLOSEモード>
CLOSEモードは、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号の受信状況の如何に関わらず、扉体120を全閉状態に維持するモードである。すなわち、通行を禁止しているモードである。
【0043】
(モード切替スイッチ100の内部動作)
図4に示すように、モード切替スイッチ100は、鍵付セレクタスイッチ300、制御回路380および各モードに応じたLED211,221,231,241,251からなる。制御回路380には、不揮発性メモリ(図示省略)が内蔵され、電源が切れても各種情報が保持されるようになっている。
【0044】
(操作説明)
まず、鍵付セレクタスイッチ300を左右のいずれか一方へまわすことにより、モードが選択される。本実施の形態においては、鍵付セレクタスイッチ300を左へ(P3の位置)まわすことにより、AUTOモード、CLOSEモード、P−OPENモード、ONEWAYモード、F−OPENモードの順(図3の時計回り順)にモード選択がされ、鍵付セレクタスイッチ300を右へ(P2の位置)まわすことにより、AUTOモード、F−OPENモード、ONEWAYモード、P−OPENモード、CLOSEモードの順(図3の反時計回り順)にモード選択がされる。
また、モードが選択される毎にLED211,221,231,241,251が点灯消灯を繰り返し、選択されたモード表示に該当する発光ダイオードのみが点灯する。
【0045】
モード切替スイッチ100の制御回路380は、外側(屋外)起動センサ610または内側(屋内)起動センサ620からの検知信号を受信し、選定された上記のモードに応じて、開閉指示信号または施解錠指示信号を出力する。以下、制御回路380の具体的動作についてフローチャートを用いて説明する。
【0046】
(フローチャート)
図5は、制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
まず、図5に示すように、制御回路380は、制御回路380に内蔵された不揮発性メモリから選択されたモードを読み出す(ステップS1)。
続いて、制御回路380は、選択されたモードを示すモード設定値に応じたLEDを点灯する。これにより管理者は、現在の選択されたモードを認識することができる。
【0047】
続いて、制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されたか否かを判定する(ステップS3)。
ここで、制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されたと判定した場合(ステップS3のYes)、さらに、鍵付セレクタスイッチ300の右接点がオン(ON)したか否かを判定する(ステップS4)。
【0048】
制御回路380は、右接点がオン(ON)したと判定した場合(ステップS4のYes)、右隣に設定されているモードに切り替える(ステップS5)。例えば、図3においては、AUTOモードからF−OPENモードへ、ONEWAYモードからP−OPENモードへ、モードが切り替えられる。
続いて、制御回路380は、これまで選択されていたモードに対応するLEDを消灯し、新たに選択されたモードに対応するLED、すなわち、当該消灯したLEDの右隣のLEDを点灯する(ステップS6)。
【0049】
一方、制御回路380は、右接点がオン(ON)していないと判定した場合(ステップS4のNo)、左隣に設定されているモードに切り替える(ステップS15)。例えば、図3においては、AUTOモードからCLOSEモードへ、P−OPENからONEWAYモードへ、モードが切り替えられる。
続いて、制御回路380は、これまで選択されていたモードに対応するLEDを消灯し、新たに選択されたモードに対応するLED、すなわち、当該消灯したLEDの左隣のLEDを点灯する(ステップS16)。
【0050】
続いて、ステップS6の処理またはステップS16の処理の後、制御回路380は、現在選択されているモードを制御回路380に内蔵された不揮発性メモリに保存し(ステップS7)、ステップS3の処理に戻る。
【0051】
また、制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されていないと判定した場合(ステップS3のNo)、鍵付セレクタスイッチ300の接点オフ(OFF)となってから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS20)。
ここで所定時間とは、例えば3秒間である。なお、所定時間は、1秒から30秒までの間でもよく、他の任意の時間であってもよい。
【0052】
制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点オフ(OFF)となってから所定時間経過したと判定した場合(ステップS20のYes)、後述する各モードに応じた開閉制御を実施し(ステップS30)、ステップS3の処理に戻る。
【0053】
一方、制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点オフ(OFF)となってから所定時間経過していないと判定した場合(ステップS20のNo)、ステップS3の処理に戻る。
このように接点オフ、すなわち操作が終わってから所定時間経過した後に、新たに選択された制御モードが実施されるので、制御モード選択作業中に意図しない制御モードが実施されることがない。
【0054】
(各モードに応じた開閉制御)
以下、各モードに応じた開閉制御について説明を行う。
<AUTOモード>
図6は、AUTOモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0055】
まず、制御回路380は、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS41)。
【0056】
内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されたと判定した場合(ステップS41のYes)、電気錠530を解錠する(ステップS42)。そして、制御回路380は、検知信号が入力される時間に応じてドアコントローラ510に開閉指示信号として起動信号の出力を行う(ステップS43)。
【0057】
続いて、制御回路380は、扉体120全閉後、電気錠530を施錠し(ステップS44)、ステップS41の処理へリターンする。なお、本実施の形態においては、全閉状態をドアコントローラ510からの扉体120の位置情報を取得して全閉を判定している。なお、別途扉体120の全閉位置を検知するリミットスイッチ等、任意のセンサを設けてもよい。
【0058】
一方、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS41のNo)、制御回路380は、図5のステップS3の処理が行われるまで、ステップS41の処理へリターンする。なお、本実施例においては、電気錠を作動させているが、電気錠の寿命を延ばすために、作動させなくても構わない。
【0059】
<ONEWAYモード>
図7は、ONEWAYモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。なお、上述したように、本実施の形態においてONEWAYモードは、建物屋内から屋外方向への一方通行の状態のみ説明する。
【0060】
まず、制御回路380は、内側(屋内)起動センサ620から検知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS51)。ここで、外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されても制御回路380は、当該信号を無視する。
【0061】
制御回路380は、内側(屋内)起動センサ620から検知信号が入力されたと判定した場合(ステップS51のYes)、電気錠530を解錠する(ステップS52)。そして、制御回路380は、検知信号が入力される時間に応じてドアコントローラ510に開閉指示信号として起動信号の出力を行う(ステップS53)。
【0062】
続いて、制御回路380は、扉体120全閉後、電気錠530を施錠し(ステップS54)、ステップS51の処理へリターンする。
【0063】
一方、内側(屋内)起動センサ620から検知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS51のNo)、制御回路380は、図5のステップS3の処理が行われるまで、ステップS51の処理へリターンする。
【0064】
<F−OPENモード>
図8は、F−OPENモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0065】
まず、制御回路380は、電気錠530を解錠する(ステップS61)。次に、制御回路380は開閉指示信号として起動信号を継続して出力する(ステップS62)。その後、図5のステップS3の処理が行われるまで、待機する。
【0066】
<CLOSEモード>
図9は、CLOSEモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0067】
まず、制御回路380は、開閉指示信号として起動信号または半開信号の出力を停止し(ステップS71)、電気錠530を解錠する(ステップS72)。その後、図5のステップS3の処理が行われるまで、待機する。
【0068】
<P−OPENモード>
図10は、P−OPENモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0069】
まず、制御回路380は、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS81)。
内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されたと判定した場合(ステップS81のYes)、電気錠530を解錠する(ステップS82)。そして、制御回路380は、検知信号が入力される時間に応じてドアコントローラ510に開閉指示信号として半開信号の出力を行う(ステップS83)。
【0070】
続いて、制御回路380は、扉体120全閉後、電気錠530を施錠し(ステップS84)、図5のステップS3の処理が行われるまで、ステップS81の処理へリターンする。
【0071】
一方、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS81のNo)、制御回路380は、図5のステップS3の処理が行われるまで、ステップS81の処理へリターンし、待機状態となる。なお、本実施例においては、電気錠を作動させているが、電気錠の寿命を延ばすために、作動させなくても構わない。
【0072】
以上のように、モード切替スイッチ100においては、モード数が増加した場合でも、鍵付セレクタスイッチ300の接点を増やす必要が無く、ソフトウェアのみ変更するだけで、顧客の要望にフレキシブルに対応ができる。さらにモード切替スイッチ100が大型化しないため、省スペース化を図ることができる
また、モードが減少した場合でも、鍵付セレクタスイッチ300の接点数は変わらないため、ソフトウェアを変更するだけで基本的に同じハードウェアを使用することができる。
【0073】
さらに、万が一、モード切替スイッチ100の複数の接点(P2,P3)のいずれか一方が故障した場合であっても、他方の接点を用いることにより、モードを選択することができるので、自動ドアの運用は阻害されない。
また、鍵付セレクタスイッチ300は、原点復帰機構を有するので、自動的に原点(接点P1)復帰する。その結果、モード切替スイッチ100の操作が容易になる。
【0074】
(他の例)
図11は、図3のモード切替スイッチ100の他の例を示す模式図である。
【0075】
図11に示すモード切替スイッチ100aは、鍵付セレクタスイッチ300および液晶表示画面400からなる。
【0076】
鍵付セレクタスイッチ300は、図3と同様に、鍵穴にキー350を差し込み、キー350を左右のいずれか一方へまわすことにより、接点がオンするものである。また、図11の鍵付セレクタスイッチ300も、原点復帰機構を有する。
【0077】
図11に示すように、鍵付セレクタスイッチ300を左右いずれか一方に回すことにより、液晶表示画面400のモード表示210,〜,250が切り替えられる。
【0078】
具体的には、鍵付セレクタスイッチ300を左回りに回すことにより、表示のAUTOモードからCLOSEモード、P−OPENモード、ONEWAYモード、F−OPENモードの順に切り替えられ、鍵付セレクタスイッチ300を右回りに回すことにより、表示のAUTOモードからの順に切り替えられ、F−OPENモード、ONEWAYモード、P−OPENモード、CLOSEモードの順に切り替えられる。
【0079】
なお、鍵付セレクタスイッチ300は、2接点スイッチを用いてもよい。すなわち、左右のいずれか一方のみ回すことができるタイプであってもよい。
【0080】
以上のように、モード切替スイッチ100aにおいては、液晶表示画面400に選択されたモードのみが表示されるので、モード切替スイッチ100と比較して、モード切替スイッチ100aの省スペース化を実現することができる。
【0081】
(さらに他の例)
図12は、図3および図11のモード切替スイッチ100のさらに他の例を示す模式図である。
【0082】
図12に示すモード切替スイッチ100bは、主にモード表示210,〜,250、LED211,221,231,241,251、下順押しボタンスイッチ270、上順押しボタンスイッチ280および鍵付セレクタスイッチ300からなる。
【0083】
さらに他の例における鍵付セレクタスイッチ300は、図3および図11に示した鍵付セレクタスイッチ300と異なり、原点を含むオンオフのみの2接点(P1,P2)スイッチであり、原点復帰機構を有さない。
【0084】
図12に示すモード表示は、AUTOモード表示210、CLOSEモード表示220、P−OPENモード表示230、ONEWAYモード表示240およびF―OPENモード表示250の順に鉛直上方向から鉛直下方向に向けて配置される。
また、当該モード表示は、銘板等に配置され、各モード表示の近傍には、透明窓または貫通孔が設けられ、当該窓または孔に応じてLED211,221,231,241,251が設けられる。
【0085】
(操作説明)
また、鍵付セレクタスイッチ300は、図12に示すように、鍵穴にキー350を差し込み、キー350を右へまわすことにより、接点がオン(P2)するものである。また、鍵付セレクタスイッチ300は、原点復帰機構を有しないので、キー350を右へまわした後、手を離しても、当該位置(P2)が保持される。
【0086】
その際に、下順押しボタンスイッチ270、上順押しボタンスイッチ280のいずれか一方を押して操作することによりモードの切替えが行われる。
例えば、下順押しボタンスイッチ270を1回押した場合、AUTOモードがCLOSEモードへ、CLOSEモードがF−OPENモードへ、切替る。
一方、上順押しボタンを1回押した場合、AUTOモードがONEWAYモードへ、F−OPENモードがCLOSEモードへ、切替る。
【0087】
モードの選定が終了した場合、鍵付セレクタスイッチ300を左へ回し、図12に示す中立位置(P1)に戻す。それにより、選択されたモードが決定される。
【0088】
以上のように、モード切替スイッチ100bにおいては、各モードの横にLED211,221,231,241,251が配置される。そして、下順押しボタンスイッチ270または上順押しボタンスイッチ280より選択されたモードのLEDのみが点灯されるので、遠方からでもモードを認識することができる。
【0089】
(さらに他の例)
図13は、図5に示した制御回路380の動作の他の例を説明するフローチャートである。
【0090】
以下、図13に示す制御回路380の動作が、主に図5に示す制御回路380の動作と異なる点について説明する。
【0091】
モード切替スイッチ100における鍵付セレクタスイッチ300は、例えば、左回りに回した位置(図3のP3位置)で所定時間保持した場合、自動的に鍵付セレクタスイッチ300のカウントアップが行われる。すなわち、左回りに回した状態で所定時間、例えば2秒保持した場合、AUTOモードからCLOSEモードへ、さらに1秒保持するとP−OPENモードへ、さらに1秒保持すると、ONEWAYモードへ、と順に自動切替えが行われる。
【0092】
同様に、右回りに回した位置(図3のP2位置)で所定時間保持した場合、自動的に鍵付セレクタスイッチ300のカウントアップが行われる。すなわち、右回りに回した状態で所定時間、例えば2秒保持した場合、AUTOモードからF−OPENモードへ、さらに1秒保持するとONEWAYモードへ、さらに3秒保持すると、P−OPENモードへ、と順に自動切替えが行われる。
【0093】
続いて、フローチャートについて説明する。図13に示すように、ステップS1からS6までの処理、ステップS15,S16,S20,S30の処理は、図5と同様であるので、説明を省略する。
【0094】
図13に示すように、制御回路380は、所定時間継続して鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されているか否かを判定する(ステップS6a)。ここで、制御回路380は、所定時間継続して、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されていると判定した場合(ステップS6aのYes)、ステップS4の処理から処理を繰り返す。
【0095】
一方、所定時間継続して、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されていないと判定した場合(ステップS6aのNo)、制御回路380は、切り替えたモードを制御回路380に内蔵された不揮発性メモリに保存し(ステップS7)、ステップS3の処理に戻る。
【0096】
以上のように、本実施の形態に係るモード切替スイッチ100,100a,100bにおいては、管理者のみがキー350を所有することにより、第三者はモードを勝手に変更できず、管理者のみが自動ドア500の各モードを容易に変更することができる。また、鍵付セレクタスイッチ300の接点オン回数または設定オン時間の少なくとも一方または両方に基づいて、自動ドア500のモードを選択することができる。
【0097】
その結果、自動ドア500のモード数が増加した場合でも、接点オン回数のみによりモードを選定、または所定時間の接点オン時間のみによりモードを選定することができるので、鍵付セレクタスイッチ300の接点個数を増加しないで対応することができる。
すなわち、モード数が増えると、モード選定のためのスイッチや接点が多数必要となり、モード切替スイッチが大きくなってしまうところ、本実施の形態にかかるモード切替スイッチ100,100a,100bにおいては、モード数が増加しても、モード切替スイッチ100が大型化せず、省スペースを維持できる。
【0098】
さらに少ないモード数で十分な設置場所には、ソフトウェアを変更すればモード数を限定したモード切替スイッチ100を容易に提供できるため、不要なモードを選択することがなくなる。
【0099】
なお、本実施の形態においては、5種類の各モードについて説明したが、他の任意のモードを用いることもできる。
その場合、各LEDがどのモードに対応するのかを文字や図形で表示する銘板と制御回路380のプログラムを変更し、予め設置された孔にLEDを設けることにより、容易にモード個数の変更を行うことができる。したがって、顧客の要望にフレキシブルに対応でき、汎用性を高めることができる。また、LEDについては、予想される最大数を実装しておいても構わない。要は必要なモードに対応するLEDのみ点灯すればよいだけである。
さらにLEDは一色である必要はなく、モードに応じた色を発光させてもよい。これにより実装するLEDの数が減るため、コンパクトなままでより多くのモードに対応できるようになる。
【0100】
本発明においては、自動ドア500が自動ドアに相当し、モード切替スイッチ100が自動ドアの制御モード切替装置に相当し、鍵付セレクタスイッチ300の接点(P2,P3)、下順押しボタンスイッチ270または上順押しボタンスイッチ280がスイッチ部に相当し、キー350が鍵に相当し、鍵付セレクタスイッチ300が鍵部に相当し、LED211,221,231,241,251および液晶表示画面400が表示部に相当し、液晶表示画面400が液晶表示部に相当し、LED211,221,231,241,251が発光ダイオードに相当し、鍵付セレクタスイッチ300がスイッチ部と鍵部とが一体に設けられたに相当し、接点P2,P3が2つの接点に相当し、接点P2がオンすることが一方の接点がオンに相当し、接点P3がオンすることが他方の接点がオンに相当する。
【0101】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0102】
100 モード切替スイッチ
210,220,230,240,250 モード表示
211,221,231,241,251 LED
270 下順押しボタンスイッチ
280 上順押しボタンスイッチ
300 鍵付セレクタスイッチ
350 キー
400 液晶表示画面
500 自動ドア
P1,P2,P3 接点
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアの開閉制御モードを切り替えるモード切替装置およびそれを用いた自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動ドアの制御に関して種々の開発が行われている。例えば、特許文献1には、ドアを、任意に設定した位置まで自動的に開閉させることができるとともに、任意に設定した位置まで閉じることもでき、またそのような設定を簡単に行えるようにする自動ドア開閉装置について開示されている。
【0003】
特許文献1記載の自動ドア開閉装置では、ドアとドアを支持する支持体との間に設けられ、ドアを全閉位置から全開位置へ及びその逆方向へ開閉させる駆動手段と、ドア又は支持体に設けられた自動開扉スイッチと、ドアの設定開放位置を記憶するメモリと、各構成要素に電気的に接続され、自動開扉スイッチが作動することにより、駆動手段を作動させて、ドアを、メモリに記憶された設定開放位置まで開閉させる自動半開制御回路を有する制御装置とを備えるものであり、特許文献1の図2に示されるような操作盤を用いて制御が切り替えられる。
【0004】
さらに、特許文献2には、自動ドアの開放幅を任意の幅に変更できるようにする自動ドアについて開示されている。
【0005】
特許文献2記載の自動ドアは、建物開口部に設けられた扉体の動作制御が可能なドアコントローラと、このドアコントローラと通信可能なリモコンとを備えた自動ドアであって、リモコンは、通常の開閉モードや一方通行モードを選択可能なボタンが配置されているほか、扉体が建物開口部を開放しているときの開放幅に相当する値を任意の値に変更可能なボリュームスイッチと、このボリュームスイッチによって変更された値に応じた変更指令を出力する制御手段とを備え、ドアコントローラは、変更指令に応じて開放幅を変更するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−42258号公報
【特許文献2】特開2008−008082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、自動ドアにおいては、例えば、自動ドアの全閉保持、全開保持、通常の開閉、半開閉(いわゆる薬局モード)、一方通行など、開閉制御モード(以下、単にモードと呼ぶ)が多岐にわたり、また、これらの組み合わせや、これらと時刻とを組み合わせて制御を行うなど顧客ニーズも多様である。
【0008】
さて、各設置場所に応じて、必要なモードのみ選択できるようにするのが理想であるが、製造や在庫管理の関係で、現状は、一般的に利用されるモードを全て盛り込んだ制御モード切替装置となっている。
つまり、ある顧客にとっては、不要なモードが選択可能となっており、必要とするモードを選択する手間が増えるとともに、誤操作の恐れも出てくる。
逆に、新たにモードを追加しようとすると、スイッチを増やす必要があるが、既存のものをハードウェアおよびソフトウェアのいずれも流用することができない。更には追加されるスイッチの分だけ、モード切替装置が大きくなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、モード数の追加・変更に容易に対応することができる自動ドアの制御モード切替装置およびそれを用いた自動ドアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)
一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置は、建物開口部に設けられた自動ドアの開閉制御モードを切り替えるモード切替装置であって、スイッチのオン回数およびオン時間のうち少なくとも一方、または両方に基づいて、自動ドアの開閉制御モードを選択するスイッチ部と、スイッチ部の操作を鍵により可能または不可能にする鍵部と、を有するものである。
【0011】
この場合、建物の管理者のみが鍵を所有することにより、第三者に不用意に自動ドアの開閉制御モードが切り替えられるのを防止しつつ、管理者はこれを容易に切り替えることができる。また、スイッチのオン回数またはオン時間の少なくとも一方または両方に基づいて、自動ドアの開閉モードを選択することができる。
【0012】
その結果、スイッチによるオン回数により開閉制御モードを選定、またはスイッチのオン時間により開閉制御モードを選定することができるので、自動ドアの開閉制御モードが増加した場合でも、スイッチ部のスイッチの個数を増加しないで対応することができる。その結果、ソフトウェアのみ変更するだけで、顧客の要望にフレキシブルに対応ができ、かつモード切替装置は大型化しないため、省スペース化が図れる。
【0013】
また、自動ドアの開閉制御モードが減少した場合でも、スイッチ部のスイッチの個数は変わらないため、ソフトウェアを変更するだけで基本的に同じハードウェアを使用することができる。
以上より、モード数の追加・変更に容易に対応することができる。
【0014】
(2)
第2の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置において、スイッチ部と、鍵部とが一体に設けられてもよい。
【0015】
この場合、スイッチ部と鍵部とが一体に設けられているので、モード切替装置の省スペース化を図ることができる。また、操作者(建物の管理者)は、スイッチ部を操作可能とするとともに開閉制御モードの切り替えを一の動作で行うことができる。
【0016】
(3)
第3の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、第2の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置において、スイッチは、2つの接点を有し、一方の接点がオンした場合、開閉制御モードは所定の順序で変更され、他方の接点がオンした場合、開閉制御モードは所定の順序とは逆の順序で変更されるものである。
【0017】
この場合、建物の管理者は開閉制御モードを短時間で選択することができる。また、仮にモード切替スイッチの接点の一つが故障した場合であっても、故障していない他方の接点を用いることにより、開閉制御モードを選択することができるので、自動ドアの運用は阻害されない。
【0018】
(4)
第4の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、第3の発明に係るモード切替スイッチにおいて、スイッチ部は、接点がオンされている状態において、前記2つの接点がオフとなるような力を発生させる原点復帰機構を有するものである。
【0019】
この場合、スイッチ部は、原点復帰機構を有するので、スイッチが自動的に原点復帰する。その結果、管理者は、スイッチ部の操作が容易となる他、操作回数を容易に認識できる。
【0020】
(5)
第5の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置において、表示部は、開閉制御モード毎に設けられた発光ダイオードを備え、スイッチ部により選択された開閉制御モードに対応する発光ダイオードのみ点灯させるものである。
【0021】
この場合、表示部に表示されたモード毎に発光ダイオードが配置される。そして、スイッチ部により選択された開閉制御モードに応じた発光ダイオードのみが点灯されるので、現在選択されている開閉制御モードが一目で分かりやすいとともに、遠方からでも開閉制御モードを認識することができる。
【0022】
(6)
第6の発明に係る自動ドアの制御モード切替装置は、一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置において、開閉制御モードをに対応した表示が可能な液晶表示部を備え、スイッチ部により選択された開閉制御モードに対応した表示を液晶表示部に行うものである。
【0023】
この場合、液晶表示部に選択された開閉制御モードのみが表示されるので、モード切替スイッチの省スペース化を実現することができる。すなわち、多数の開閉モードの全てをモード切替スイッチに示す場合と比較して、選択された開閉モードのみが表示されるので、モード切替スイッチを小型化できる。
【0024】
(7)
第7の発明に係る自動ドアは、一局面に従う自動ドアの制御モード切替装置を備えた自動ドアである。
【0025】
この場合、スイッチによるオン回数により開閉制御モードを選定、またはスイッチのオン時間により開閉制御モードを選定することができるので、自動ドアの開閉制御モードが増加した場合でも、スイッチ部のスイッチの個数を増加しないで対応することができる。その結果、ソフトウェアのみ変更するだけで、顧客の要望にフレキシブルに対応ができ、かつモード切替装置は大型化しないため、省スペース化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態に係るモード切替スイッチを有する自動ドアの概略を示す模式的説明図である。
【図2】自動ドアの無目内に主に設けられる各部を説明する構成図である。
【図3】モード切替スイッチの一例を示す模式図である。
【図4】モード切替スイッチの内部構造の一例を説明する模式図である。
【図5】、制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図6】AUTOモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図7】ONEWAYモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図8】F−OPENモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図9】CLOSEモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図10】P−OPENモードが選定された際の制御回路の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図11】図3のモード切替スイッチの他の例を示す模式図である。
【図12】図3および図11のモード切替スイッチのさらに他の例を示す模式図である。
【図13】図5に示した制御回路の動作の他の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施の形態に係るモード切替スイッチ100を有する自動ドア500の概略を示す模式的説明図であり、図2は、自動ドア500の無目110内に主に設けられる各部を説明する構成図である。
【0028】
図1および図2に示すように、自動ドア500は、建物の出入り口等の開口部に設けられる。本実施の形態においては、扉体120が固定扉体130に対して開閉移動する片引き式の引き戸を例示して説明する。
なお、本実施の形態においては、片引き式の引き戸を例示したが、これに限定されず、両引き式の引き戸、開き戸、グライドスライドドア、折戸、回転扉、引き込み扉、その他の任意の戸、窓等にも適用できる。
【0029】
図2に示すように、自動ドア500は、モード切替スイッチ100、ドアコントローラ510、モータ520、外側(屋外)起動センサ610、内側(屋内)起動センサ620、電気錠530等を有する。
これらのドアコントローラ510、モータ520、外側(屋外)起動センサ610、内側(屋内)起動センサ620、電気錠530等は、図1に示す自動ドア500の無目110内に収容される。
【0030】
外側(屋外)起動センサ610は、開口部の屋外側の所定領域で人または物体を検知するエリアセンサ(例えば、赤外線センサ)により構成されている。同様に、内側(屋内)起動センサ620は、開口部の屋内側の所定領域で人または物体を検知するエリアセンサ(例えば、赤外線センサ)により構成されている。
【0031】
電気錠530は、扉体120の移動を拘束するものであり、ドアコントローラ510は、モード切替スイッチ100からの指示に基づいてモータ520の駆動を制御する。
【0032】
本実施の形態おいては、モード切替スイッチ100は、開口部側方の壁面に配置される。なお、受付または管理場所等がある場合には、それらにモード切替スイッチ100を配置させてもよい。
【0033】
(自動ドア500の動作概略)
例えば、モード切替スイッチ100は、外側(屋外)起動センサ610、または内側(屋内)起動センサ620からの検知信号に基づいて電気錠530に施解錠指示信号、またはドアコントローラ510に開閉指示信号を与える。ドアコントローラ510は、開閉指示信号に基づいてモータ520に駆動指令である起動信号または半開信号(停止指令を含む)を与える。なお、起動信号、半開信号は接点信号として別々の配線で伝達することもできるし、伝送信号として1本の配線で伝達することもできる。
【0034】
(モード切替スイッチ100)
図3は、モード切替スイッチ100の一例を示す模式図であり、図4はモード切替スイッチ100の内部構造の一例を説明する模式図である。
【0035】
図3に示すように、モード切替スイッチ100は、主に、鍵付セレクタスイッチ300、LED(発光ダイオード)211,221,231,241,251およびモード表示210,220,230,240,250からなる。
図3に示すように、モード表示は、AUTOモード表示210、CLOSEモード表示220、P−OPENモード表示230、ONEWAYモード表示240およびF―OPENモード表示250を有する。当該モードの説明については、後述する。当該モード表示は、銘板等に取り付けられ、各モード表示の近傍には、透明窓または貫通孔が設けられ、当該窓または孔に応じてLED211,221,231,241,251が設けられる。
【0036】
また、鍵付セレクタスイッチ300は、図3に示すように、鍵穴にキー350を差し込み、キー350を左右のいずれか一方へまわすことにより、接点(P2,P3)がオンするものである。また、鍵付セレクタスイッチ300は、原点復帰機構を有する。原点復帰機構は、キー350を左右のいずれか一方へまわした後、手を離すことにより内蔵されたバネ等の付勢力で、図3に示す中立位置(P1)に戻す機構である。
【0037】
(各モードの説明)
ここで、本実施の形態における各モードの説明を行う。
【0038】
<AUTOモード>
まず、AUTOモードは、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号の受信状況に応じて扉体120の開閉動作を行うモードである。すなわち、通常一般的に制限無く通行可能にするモードである。
【0039】
<F−OPENモード>
F−OPENモードは、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号の受信状況の如何に関わらず、扉体120を全開にして、それを維持するモードである。すなわち、扉体120を固定扉体130と重ねている状態である。
【0040】
<ONEWAYモード>
ONEWAYモードは、内側(屋内)起動センサ620および外側(屋外)起動センサ610のうちいずれか一方だけの検知信号の受信状況に応じて、扉体120を開閉するモードである。すなわち、一方だけの検知信号に応じて扉体120を開閉し、他方の検知信号は無視するものである。なお、本実施の形態においては、内側(屋内)起動センサ620の検知信号の受信状況のみに応じて扉体120を開閉する。また、外側(屋外)起動センサ610と、内側(屋内)起動センサ620とのいずれか一方を選択できるモードも含まれる。
【0041】
<P−OPENモード>
P−OPENモードは、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号の受信状況に応じて扉体120を予め設定した位置(例えば、全開位置の半分や1/3など)まで扉体120の開閉動作を行うモードである。この場合、ドアコントローラ510は、半開信号を受信してモータ520の制御を行う。
【0042】
<CLOSEモード>
CLOSEモードは、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号の受信状況の如何に関わらず、扉体120を全閉状態に維持するモードである。すなわち、通行を禁止しているモードである。
【0043】
(モード切替スイッチ100の内部動作)
図4に示すように、モード切替スイッチ100は、鍵付セレクタスイッチ300、制御回路380および各モードに応じたLED211,221,231,241,251からなる。制御回路380には、不揮発性メモリ(図示省略)が内蔵され、電源が切れても各種情報が保持されるようになっている。
【0044】
(操作説明)
まず、鍵付セレクタスイッチ300を左右のいずれか一方へまわすことにより、モードが選択される。本実施の形態においては、鍵付セレクタスイッチ300を左へ(P3の位置)まわすことにより、AUTOモード、CLOSEモード、P−OPENモード、ONEWAYモード、F−OPENモードの順(図3の時計回り順)にモード選択がされ、鍵付セレクタスイッチ300を右へ(P2の位置)まわすことにより、AUTOモード、F−OPENモード、ONEWAYモード、P−OPENモード、CLOSEモードの順(図3の反時計回り順)にモード選択がされる。
また、モードが選択される毎にLED211,221,231,241,251が点灯消灯を繰り返し、選択されたモード表示に該当する発光ダイオードのみが点灯する。
【0045】
モード切替スイッチ100の制御回路380は、外側(屋外)起動センサ610または内側(屋内)起動センサ620からの検知信号を受信し、選定された上記のモードに応じて、開閉指示信号または施解錠指示信号を出力する。以下、制御回路380の具体的動作についてフローチャートを用いて説明する。
【0046】
(フローチャート)
図5は、制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
まず、図5に示すように、制御回路380は、制御回路380に内蔵された不揮発性メモリから選択されたモードを読み出す(ステップS1)。
続いて、制御回路380は、選択されたモードを示すモード設定値に応じたLEDを点灯する。これにより管理者は、現在の選択されたモードを認識することができる。
【0047】
続いて、制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されたか否かを判定する(ステップS3)。
ここで、制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されたと判定した場合(ステップS3のYes)、さらに、鍵付セレクタスイッチ300の右接点がオン(ON)したか否かを判定する(ステップS4)。
【0048】
制御回路380は、右接点がオン(ON)したと判定した場合(ステップS4のYes)、右隣に設定されているモードに切り替える(ステップS5)。例えば、図3においては、AUTOモードからF−OPENモードへ、ONEWAYモードからP−OPENモードへ、モードが切り替えられる。
続いて、制御回路380は、これまで選択されていたモードに対応するLEDを消灯し、新たに選択されたモードに対応するLED、すなわち、当該消灯したLEDの右隣のLEDを点灯する(ステップS6)。
【0049】
一方、制御回路380は、右接点がオン(ON)していないと判定した場合(ステップS4のNo)、左隣に設定されているモードに切り替える(ステップS15)。例えば、図3においては、AUTOモードからCLOSEモードへ、P−OPENからONEWAYモードへ、モードが切り替えられる。
続いて、制御回路380は、これまで選択されていたモードに対応するLEDを消灯し、新たに選択されたモードに対応するLED、すなわち、当該消灯したLEDの左隣のLEDを点灯する(ステップS16)。
【0050】
続いて、ステップS6の処理またはステップS16の処理の後、制御回路380は、現在選択されているモードを制御回路380に内蔵された不揮発性メモリに保存し(ステップS7)、ステップS3の処理に戻る。
【0051】
また、制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されていないと判定した場合(ステップS3のNo)、鍵付セレクタスイッチ300の接点オフ(OFF)となってから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS20)。
ここで所定時間とは、例えば3秒間である。なお、所定時間は、1秒から30秒までの間でもよく、他の任意の時間であってもよい。
【0052】
制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点オフ(OFF)となってから所定時間経過したと判定した場合(ステップS20のYes)、後述する各モードに応じた開閉制御を実施し(ステップS30)、ステップS3の処理に戻る。
【0053】
一方、制御回路380は、鍵付セレクタスイッチ300の接点オフ(OFF)となってから所定時間経過していないと判定した場合(ステップS20のNo)、ステップS3の処理に戻る。
このように接点オフ、すなわち操作が終わってから所定時間経過した後に、新たに選択された制御モードが実施されるので、制御モード選択作業中に意図しない制御モードが実施されることがない。
【0054】
(各モードに応じた開閉制御)
以下、各モードに応じた開閉制御について説明を行う。
<AUTOモード>
図6は、AUTOモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0055】
まず、制御回路380は、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS41)。
【0056】
内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されたと判定した場合(ステップS41のYes)、電気錠530を解錠する(ステップS42)。そして、制御回路380は、検知信号が入力される時間に応じてドアコントローラ510に開閉指示信号として起動信号の出力を行う(ステップS43)。
【0057】
続いて、制御回路380は、扉体120全閉後、電気錠530を施錠し(ステップS44)、ステップS41の処理へリターンする。なお、本実施の形態においては、全閉状態をドアコントローラ510からの扉体120の位置情報を取得して全閉を判定している。なお、別途扉体120の全閉位置を検知するリミットスイッチ等、任意のセンサを設けてもよい。
【0058】
一方、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS41のNo)、制御回路380は、図5のステップS3の処理が行われるまで、ステップS41の処理へリターンする。なお、本実施例においては、電気錠を作動させているが、電気錠の寿命を延ばすために、作動させなくても構わない。
【0059】
<ONEWAYモード>
図7は、ONEWAYモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。なお、上述したように、本実施の形態においてONEWAYモードは、建物屋内から屋外方向への一方通行の状態のみ説明する。
【0060】
まず、制御回路380は、内側(屋内)起動センサ620から検知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS51)。ここで、外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されても制御回路380は、当該信号を無視する。
【0061】
制御回路380は、内側(屋内)起動センサ620から検知信号が入力されたと判定した場合(ステップS51のYes)、電気錠530を解錠する(ステップS52)。そして、制御回路380は、検知信号が入力される時間に応じてドアコントローラ510に開閉指示信号として起動信号の出力を行う(ステップS53)。
【0062】
続いて、制御回路380は、扉体120全閉後、電気錠530を施錠し(ステップS54)、ステップS51の処理へリターンする。
【0063】
一方、内側(屋内)起動センサ620から検知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS51のNo)、制御回路380は、図5のステップS3の処理が行われるまで、ステップS51の処理へリターンする。
【0064】
<F−OPENモード>
図8は、F−OPENモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0065】
まず、制御回路380は、電気錠530を解錠する(ステップS61)。次に、制御回路380は開閉指示信号として起動信号を継続して出力する(ステップS62)。その後、図5のステップS3の処理が行われるまで、待機する。
【0066】
<CLOSEモード>
図9は、CLOSEモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0067】
まず、制御回路380は、開閉指示信号として起動信号または半開信号の出力を停止し(ステップS71)、電気錠530を解錠する(ステップS72)。その後、図5のステップS3の処理が行われるまで、待機する。
【0068】
<P−OPENモード>
図10は、P−OPENモードが選定された際の制御回路380の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0069】
まず、制御回路380は、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されたか否かを判定する(ステップS81)。
内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されたと判定した場合(ステップS81のYes)、電気錠530を解錠する(ステップS82)。そして、制御回路380は、検知信号が入力される時間に応じてドアコントローラ510に開閉指示信号として半開信号の出力を行う(ステップS83)。
【0070】
続いて、制御回路380は、扉体120全閉後、電気錠530を施錠し(ステップS84)、図5のステップS3の処理が行われるまで、ステップS81の処理へリターンする。
【0071】
一方、内側(屋内)起動センサ620または外側(屋外)起動センサ610から検知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS81のNo)、制御回路380は、図5のステップS3の処理が行われるまで、ステップS81の処理へリターンし、待機状態となる。なお、本実施例においては、電気錠を作動させているが、電気錠の寿命を延ばすために、作動させなくても構わない。
【0072】
以上のように、モード切替スイッチ100においては、モード数が増加した場合でも、鍵付セレクタスイッチ300の接点を増やす必要が無く、ソフトウェアのみ変更するだけで、顧客の要望にフレキシブルに対応ができる。さらにモード切替スイッチ100が大型化しないため、省スペース化を図ることができる
また、モードが減少した場合でも、鍵付セレクタスイッチ300の接点数は変わらないため、ソフトウェアを変更するだけで基本的に同じハードウェアを使用することができる。
【0073】
さらに、万が一、モード切替スイッチ100の複数の接点(P2,P3)のいずれか一方が故障した場合であっても、他方の接点を用いることにより、モードを選択することができるので、自動ドアの運用は阻害されない。
また、鍵付セレクタスイッチ300は、原点復帰機構を有するので、自動的に原点(接点P1)復帰する。その結果、モード切替スイッチ100の操作が容易になる。
【0074】
(他の例)
図11は、図3のモード切替スイッチ100の他の例を示す模式図である。
【0075】
図11に示すモード切替スイッチ100aは、鍵付セレクタスイッチ300および液晶表示画面400からなる。
【0076】
鍵付セレクタスイッチ300は、図3と同様に、鍵穴にキー350を差し込み、キー350を左右のいずれか一方へまわすことにより、接点がオンするものである。また、図11の鍵付セレクタスイッチ300も、原点復帰機構を有する。
【0077】
図11に示すように、鍵付セレクタスイッチ300を左右いずれか一方に回すことにより、液晶表示画面400のモード表示210,〜,250が切り替えられる。
【0078】
具体的には、鍵付セレクタスイッチ300を左回りに回すことにより、表示のAUTOモードからCLOSEモード、P−OPENモード、ONEWAYモード、F−OPENモードの順に切り替えられ、鍵付セレクタスイッチ300を右回りに回すことにより、表示のAUTOモードからの順に切り替えられ、F−OPENモード、ONEWAYモード、P−OPENモード、CLOSEモードの順に切り替えられる。
【0079】
なお、鍵付セレクタスイッチ300は、2接点スイッチを用いてもよい。すなわち、左右のいずれか一方のみ回すことができるタイプであってもよい。
【0080】
以上のように、モード切替スイッチ100aにおいては、液晶表示画面400に選択されたモードのみが表示されるので、モード切替スイッチ100と比較して、モード切替スイッチ100aの省スペース化を実現することができる。
【0081】
(さらに他の例)
図12は、図3および図11のモード切替スイッチ100のさらに他の例を示す模式図である。
【0082】
図12に示すモード切替スイッチ100bは、主にモード表示210,〜,250、LED211,221,231,241,251、下順押しボタンスイッチ270、上順押しボタンスイッチ280および鍵付セレクタスイッチ300からなる。
【0083】
さらに他の例における鍵付セレクタスイッチ300は、図3および図11に示した鍵付セレクタスイッチ300と異なり、原点を含むオンオフのみの2接点(P1,P2)スイッチであり、原点復帰機構を有さない。
【0084】
図12に示すモード表示は、AUTOモード表示210、CLOSEモード表示220、P−OPENモード表示230、ONEWAYモード表示240およびF―OPENモード表示250の順に鉛直上方向から鉛直下方向に向けて配置される。
また、当該モード表示は、銘板等に配置され、各モード表示の近傍には、透明窓または貫通孔が設けられ、当該窓または孔に応じてLED211,221,231,241,251が設けられる。
【0085】
(操作説明)
また、鍵付セレクタスイッチ300は、図12に示すように、鍵穴にキー350を差し込み、キー350を右へまわすことにより、接点がオン(P2)するものである。また、鍵付セレクタスイッチ300は、原点復帰機構を有しないので、キー350を右へまわした後、手を離しても、当該位置(P2)が保持される。
【0086】
その際に、下順押しボタンスイッチ270、上順押しボタンスイッチ280のいずれか一方を押して操作することによりモードの切替えが行われる。
例えば、下順押しボタンスイッチ270を1回押した場合、AUTOモードがCLOSEモードへ、CLOSEモードがF−OPENモードへ、切替る。
一方、上順押しボタンを1回押した場合、AUTOモードがONEWAYモードへ、F−OPENモードがCLOSEモードへ、切替る。
【0087】
モードの選定が終了した場合、鍵付セレクタスイッチ300を左へ回し、図12に示す中立位置(P1)に戻す。それにより、選択されたモードが決定される。
【0088】
以上のように、モード切替スイッチ100bにおいては、各モードの横にLED211,221,231,241,251が配置される。そして、下順押しボタンスイッチ270または上順押しボタンスイッチ280より選択されたモードのLEDのみが点灯されるので、遠方からでもモードを認識することができる。
【0089】
(さらに他の例)
図13は、図5に示した制御回路380の動作の他の例を説明するフローチャートである。
【0090】
以下、図13に示す制御回路380の動作が、主に図5に示す制御回路380の動作と異なる点について説明する。
【0091】
モード切替スイッチ100における鍵付セレクタスイッチ300は、例えば、左回りに回した位置(図3のP3位置)で所定時間保持した場合、自動的に鍵付セレクタスイッチ300のカウントアップが行われる。すなわち、左回りに回した状態で所定時間、例えば2秒保持した場合、AUTOモードからCLOSEモードへ、さらに1秒保持するとP−OPENモードへ、さらに1秒保持すると、ONEWAYモードへ、と順に自動切替えが行われる。
【0092】
同様に、右回りに回した位置(図3のP2位置)で所定時間保持した場合、自動的に鍵付セレクタスイッチ300のカウントアップが行われる。すなわち、右回りに回した状態で所定時間、例えば2秒保持した場合、AUTOモードからF−OPENモードへ、さらに1秒保持するとONEWAYモードへ、さらに3秒保持すると、P−OPENモードへ、と順に自動切替えが行われる。
【0093】
続いて、フローチャートについて説明する。図13に示すように、ステップS1からS6までの処理、ステップS15,S16,S20,S30の処理は、図5と同様であるので、説明を省略する。
【0094】
図13に示すように、制御回路380は、所定時間継続して鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されているか否かを判定する(ステップS6a)。ここで、制御回路380は、所定時間継続して、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されていると判定した場合(ステップS6aのYes)、ステップS4の処理から処理を繰り返す。
【0095】
一方、所定時間継続して、鍵付セレクタスイッチ300の接点がオン(ON)されていないと判定した場合(ステップS6aのNo)、制御回路380は、切り替えたモードを制御回路380に内蔵された不揮発性メモリに保存し(ステップS7)、ステップS3の処理に戻る。
【0096】
以上のように、本実施の形態に係るモード切替スイッチ100,100a,100bにおいては、管理者のみがキー350を所有することにより、第三者はモードを勝手に変更できず、管理者のみが自動ドア500の各モードを容易に変更することができる。また、鍵付セレクタスイッチ300の接点オン回数または設定オン時間の少なくとも一方または両方に基づいて、自動ドア500のモードを選択することができる。
【0097】
その結果、自動ドア500のモード数が増加した場合でも、接点オン回数のみによりモードを選定、または所定時間の接点オン時間のみによりモードを選定することができるので、鍵付セレクタスイッチ300の接点個数を増加しないで対応することができる。
すなわち、モード数が増えると、モード選定のためのスイッチや接点が多数必要となり、モード切替スイッチが大きくなってしまうところ、本実施の形態にかかるモード切替スイッチ100,100a,100bにおいては、モード数が増加しても、モード切替スイッチ100が大型化せず、省スペースを維持できる。
【0098】
さらに少ないモード数で十分な設置場所には、ソフトウェアを変更すればモード数を限定したモード切替スイッチ100を容易に提供できるため、不要なモードを選択することがなくなる。
【0099】
なお、本実施の形態においては、5種類の各モードについて説明したが、他の任意のモードを用いることもできる。
その場合、各LEDがどのモードに対応するのかを文字や図形で表示する銘板と制御回路380のプログラムを変更し、予め設置された孔にLEDを設けることにより、容易にモード個数の変更を行うことができる。したがって、顧客の要望にフレキシブルに対応でき、汎用性を高めることができる。また、LEDについては、予想される最大数を実装しておいても構わない。要は必要なモードに対応するLEDのみ点灯すればよいだけである。
さらにLEDは一色である必要はなく、モードに応じた色を発光させてもよい。これにより実装するLEDの数が減るため、コンパクトなままでより多くのモードに対応できるようになる。
【0100】
本発明においては、自動ドア500が自動ドアに相当し、モード切替スイッチ100が自動ドアの制御モード切替装置に相当し、鍵付セレクタスイッチ300の接点(P2,P3)、下順押しボタンスイッチ270または上順押しボタンスイッチ280がスイッチ部に相当し、キー350が鍵に相当し、鍵付セレクタスイッチ300が鍵部に相当し、LED211,221,231,241,251および液晶表示画面400が表示部に相当し、液晶表示画面400が液晶表示部に相当し、LED211,221,231,241,251が発光ダイオードに相当し、鍵付セレクタスイッチ300がスイッチ部と鍵部とが一体に設けられたに相当し、接点P2,P3が2つの接点に相当し、接点P2がオンすることが一方の接点がオンに相当し、接点P3がオンすることが他方の接点がオンに相当する。
【0101】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0102】
100 モード切替スイッチ
210,220,230,240,250 モード表示
211,221,231,241,251 LED
270 下順押しボタンスイッチ
280 上順押しボタンスイッチ
300 鍵付セレクタスイッチ
350 キー
400 液晶表示画面
500 自動ドア
P1,P2,P3 接点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に設けられた自動ドアの開閉制御モードを切り替えるモード切替装置であって、
スイッチのオン回数およびオン時間のうち少なくとも一方、または両方に基づいて、前記自動ドアの開閉制御モードを選択するスイッチ部と、
前記スイッチ部の操作を鍵により可能または不可能にする鍵部と、
前記スイッチ部によって選択された開閉制御モードを表示する表示部と、を有することを特徴とする自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項2】
前記スイッチ部と、前記鍵部とが一体に設けられたことを特徴とする請求項1記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項3】
前記スイッチは、2つの接点を有し、
前記一方の接点がオンした場合、前記開閉制御モードは所定の順序で変更され、
前記他方の接点がオンした場合、前記開閉制御モードは前記所定の順序とは逆の順序で変更されることを特徴とする請求項2記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項4】
前記スイッチは、何れか一方の前記接点がオンされている状態において、前記2つの接点がオフとなるような力を発生させる原点復帰機構を有することを特徴とする請求項3に記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記開閉制御モードごとに設けられた発光ダイオードを備え、
前記スイッチ部により選択された前記開閉制御モードに対応する発光ダイオードのみ点灯させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記開閉制御モードに対応した表示が可能な液晶表示部を備え、
前記スイッチ部により選択された前記開閉制御モードに対応した表示を前記液晶表示部に行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項7】
請求項1記載の自動ドアの制御モード切替装置を備えたことを特徴とする自動ドア。
【請求項1】
建物開口部に設けられた自動ドアの開閉制御モードを切り替えるモード切替装置であって、
スイッチのオン回数およびオン時間のうち少なくとも一方、または両方に基づいて、前記自動ドアの開閉制御モードを選択するスイッチ部と、
前記スイッチ部の操作を鍵により可能または不可能にする鍵部と、
前記スイッチ部によって選択された開閉制御モードを表示する表示部と、を有することを特徴とする自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項2】
前記スイッチ部と、前記鍵部とが一体に設けられたことを特徴とする請求項1記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項3】
前記スイッチは、2つの接点を有し、
前記一方の接点がオンした場合、前記開閉制御モードは所定の順序で変更され、
前記他方の接点がオンした場合、前記開閉制御モードは前記所定の順序とは逆の順序で変更されることを特徴とする請求項2記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項4】
前記スイッチは、何れか一方の前記接点がオンされている状態において、前記2つの接点がオフとなるような力を発生させる原点復帰機構を有することを特徴とする請求項3に記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記開閉制御モードごとに設けられた発光ダイオードを備え、
前記スイッチ部により選択された前記開閉制御モードに対応する発光ダイオードのみ点灯させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記開閉制御モードに対応した表示が可能な液晶表示部を備え、
前記スイッチ部により選択された前記開閉制御モードに対応した表示を前記液晶表示部に行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の自動ドアの制御モード切替装置。
【請求項7】
請求項1記載の自動ドアの制御モード切替装置を備えたことを特徴とする自動ドア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−23812(P2013−23812A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156071(P2011−156071)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】
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