説明

自動試験システム

【課題】 自動試験装置による試験結果データを送信機で送信させ、その送信を必要な場所に配置した受信機で受信できる自動試験システムを提供する。
【解決手段】
この発明の自動試験システム1において、自動試験装置20は、被試験機10に対する試験項目に応じて、具備する複数の測定器21a,21b,21cから適切な測定器を選択し、選択した測定器を用いて被試験機10を測定し、その測定データを収集処理して試験結果データを生成する。送信機30は、自動試験装置20が生成した試験結果データを受け取ってそれを送信する。受信機40は、送信機30が送信した試験結果データを受信し、その内容を表示器45で表示するとともに異常があった場合にはその旨の警告を光学的な表示あるいは音声で行う。したがって、受信機を必要な場所に配置、あるいは、携帯すれば自動試験装置から離れていても試験結果データを自動的に知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動試験システムに関し、特に、自動試験装置が被試験機に対する試験項目毎の測定データを自動的に収集処理して生成した試験結果データを離れた場所でも確認することができる自動試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、自動試験システムの従来例を示すブロック図である。図4の自動試験システム2は、被試験機10と自動試験装置120とから構成されている。自動試験装置120は、各種の測定を実行する測定器121a,121b,121cと、接続切替器122と、コントローラ123とから構成されている。また、コントローラ123は、パーソナルコンピュータによって構成されており、CPU124と、ROM125と、RAM126と、表示器127と、HDD128とを含んでいる。コントローラ123のCPU124は、ROM125から読み出した試験に関する制御プログラムに従って、被試験機10に対する試験項目と、試験項目を実行できる測定器とを読み出す。読み出した測定器に対して、読み出した試験項目を実行するように指示を出す。また、測定器に指示を出すとともに、指示を出した測定器を被試験機10に接続するように、接続切替器122を切り替える。
【0003】
コントローラ123のCPU124は、被試験機10に接続された測定器が測定した測定データを受け取り、RAM126に格納する。ROM125には各試験項目に対応する正常値が予め格納されているので、CPU124は、指示した試験項目に対応する正常値を読み出し、RAM126に格納した測定データと比較する。比較の結果、測定データは正常値の範囲内であるか否かを判定する。CPU124は、試験項目と、測定データと、判定結果とからなる試験結果データををRAM126に格納し、表示器127に表示する。このような例の他に、本発明に関連したものとして下記の資料(特許文献1)に示されるような提案が開示されている。
【特許文献1】特開2003−121325号公報 (第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来技術においては、被試験機に対する測定データに異常がないかどうか等の試験状況を知るためには、自動試験装置のコントローラの表示器の画面を監視していなければならず、自動試験装置から離れなければならない場合には、被試験機に対する試験状況を知ることが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、自動試験装置による試験結果データを送信機によって送信させ、その送信を受信機によって受信することによって、身近な必要な場所に受信機を配置(携帯も含め)すれば自動試験装置から離れていても試験結果データを直ちに知ることができる自動試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る自動試験システムは、被試験機に対する試験項目に応じて、具備する複数の測定器から適切な測定器を選択し、選択した測定器を用いて被試験機を測定し、その測定データを収集処理した試験結果データを生成する自動試験装置と、自動試験装置に接続され、自動試験装置が生成した試験結果データを送信する送信機と、送信機が送信した試験結果データを受信し、その内容を表示するとともに異常があった場合にはその旨の警告を行う受信機とを有する。
【0007】
上述したような構成によれば、自動試験装置は、被試験機に対する試験項目に応じて、具備する複数の測定器から適切な測定器を選択し、選択した測定器を用いて被試験機を測定し、その測定データを収集処理して試験結果データを生成し、送信機は、自動試験装置が生成した試験結果データを受け取ってそれを送信する。受信機は、送信機が送信した試験結果データを受信し、その内容を表示するとともに異常があった場合にはその旨の警告を行う。したがって、身近に受信機を配置すれば自動試験装置から離れていても試験結果データを自動的に知ることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上に詳述したように本発明の自動試験システムによれば、自動試験装置は、被試験機に対する試験項目に応じて、具備する複数の測定器から適切な測定器を選択し、選択した測定器を用いて被試験機を測定し、その測定データを収集処理して試験結果データを生成し、送信機は、自動試験装置が生成した試験結果データを受け取ってそれを送信する。受信機は、送信機が送信した試験結果データを受信し、その内容を表示するとともに異常があった場合にはその旨の警告を行う。したがって、必要な場所に受信機を配置すれば自動試験装置から離れていても試験結果データを知ることができ、ひいては、自動試験装置のあるところに常駐して表示器の画面を監視していなければならないという必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の自動試験システムの実施の形態を示すブロック図、図2は、図1の送信機の構成を説明するためのブロック図、図3は、図1の受信機の構成を説明するためのブロック図である。図1の自動試験システム1は、被試験機10と、自動試験装置20と、送信機30と、受信機40とを有する。また、自動試験装置20は、各種の測定を実行する測定器21a,21b,21cと、接続切替器22と、コントローラ23とから構成されている。また、この例においては、コントローラ23は、パーソナルコンピュータによって構成されており、CPU24と、ROM25と、RAM26と、表示器27と、HDD28とを含んでいる。
【0010】
コントローラ23のCPU24は、ROM25から読み出した試験に関する制御プログラムに従って、被試験機10に対して実行しなければならない試験項目と、試験項目を実行できる測定器とを読み出す。読み出した測定器に対して、GP−IB(General Purpose - Interface Bus)である制御ラインCLAを介して、読み出した試験項目を実行するように指示を出す。また、指示を出した測定器を被試験機10に接続するように、RS−232Cの制御ラインCLBを介して接続切替器24を切り替える。CPU24は、被試験機10に接続された測定器から送られる測定データを制御ラインCLAを介して受け取り、RAM26に格納する。
【0011】
ROM25には各試験項目に対応する正常値が予め格納されているので、コントローラ23のCPU24は、指示した試験項目に対応する正常値を読み出し、RAM26に格納した測定データと比較する。比較の結果、測定データは正常値の範囲内であるか否かを判定する。CPU24は、試験項目と、測定データと、判定結果とからなる試験結果データををRAM26に格納し、表示器27に表示するとともに、送信機30に引き渡す。送信機30においては、ROM35の制御プログラムに従って動作する制御部34が引き渡された試験結果データをRAM36に取り込み、取り込んだ試験結果データを変調部33に引き渡し、変調部33は試験結果データで変調を行い、送信部32がそれをアンテナ31を介して送信する。
【0012】
試験状態の監視を担当する者の身近に配置(携帯する場合も含む)された受信機40は、送信部32からの送信をアンテナ41を介して受信部42で受信し、復調部43に引き渡す。復調部43は、受信信号を復調して試験結果データを得て制御部44に引き渡す。制御部44は、ROM46の制御プログラムに従って、引き渡された試験結果データをRAM47に格納するとともに、その内容を表示器45に表示する。その際に、試験結果データの中の測定データ(例えば周波数)が正常値の範囲内でなく異常であると判定されている場合には、その旨の光学的な表示(LCD、LED)、あるいは、光学的な表示とともに音声(例えば、ブザー音)の警告を発するようにする。したがって、自動試験装置20の試験状態の監視を担当する者は、自動試験装置20の前に常駐する必要が無く、例えば、受信機40の受信範囲であれば、受信機40を携帯して自由に移動しても監視を継続することができる。また、このことから監視以外の業務を遂行している場合に、異常が発生しても直ちに異常処理に対応することができ、業務を効率的に遂行することができる。
【0013】
上述の例では、測定データやが試験結果データをRAMに格納するように説明したが、RAM以外のHDDなどの再書き込み可能な記憶媒体を使用してもよいことはいうまでもない。また、警告は試験結果データの中の測定データが異常である場合に発せられるようにしているが、異常でなくても、一つの試験項目に対する処理が完了した場合、あるいは、予め決められた一連の試験項目に対する処理が完了した場合には、それぞれに予め決められた注意音を発生させるようにするのが好ましい。なお、本発明について上述のように実施の形態を挙げて説明したが、このことは実施の形態によって本発明を制限するものではなく、本発明は、特許請求の範囲に記載される発明の精神および範囲に含まれる全ての代替物、変更および等価物を包含するものであることもいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の自動試験システムの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1の送信機の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図1の受信機の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】自動試験システムの従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0015】
1 自動試験システム、10 被試験機、20 自動試験装置、21a,21b,21c 測定器、22 接続切替器、 23 コントローラ、24 CPU、25,35,46 ROM、26,36,47 RAM、27,45 表示器、28 HDD、30 送信機、31,41 アンテナ、32 送信部、33 変調部、34,44 制御部、40 受信機、42 受信部、43 復調部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験機に対する試験項目に応じて、具備する複数の測定器から適切な測定器を選択し、選択した測定器を用いて被試験機を測定し、その測定データを収集処理した試験結果データを生成する自動試験装置と、
自動試験装置に接続され、自動試験装置が生成した試験結果データを送信する送信機と、
送信機が送信した試験結果データを受信し、その内容を表示するとともに異常があった場合にはその旨の警告を行う受信機とを有する自動試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−132999(P2006−132999A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320013(P2004−320013)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】