説明

自動車用のワイパーブレード用のクリップベース部材及びこれを用いた自動車用のワイパーブレード

【課題】バーティブラに対する挟持固定のバラツキの防止を図ることができ、かつ、バーティブラへの挟持固定作業時間の短縮化、管理の便利化を図ることのできるクリップベース部材を提供する。
【解決手段】クリップベース部材8は、バーティブラ3の延びる方向と直交する横断方向両側から起立されかつワイパーアームが揺動可能に連結されるリベット部材が装着された一対の起立壁部11を有し、横断方向両側から対向しかつバーティブラ3のリフィール2を保持する一対の対向片部15と一対の対向片部15と協働してバーティブラの挟持空間を形成する一対の当接片部16とがそれぞれ形成されると共に、連結片部14が一体に形成され、一対の起立壁部11は、一対の起立壁部11にリベット部材を挿通し、カシメ手段を用いて起立壁部11を互いに対向させることによりバーティブラ3に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のワイパーブレード用のクリップベース部材及びこれを用いた自動車用のワイパーブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用のワイパーブレードには、リフィールを保持する長尺板形状のバッキングとワイパーアームとを連結するクリップベース部材をバッキングプレートに固定する構成のものが知られている。このものでは、そのクリップベース部材が左右分割型の分割部材から構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、公知ではないが、自動車用のワイパーブレードには、リフィールを保持する長尺板形状のバーティブラに分割型のクリップベース部材を固定する構成のものもある(特願2003−198009号)。
【特許文献1】特開2003−146190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のワイパーブレードでは、バッキング又はバーティブラに固定すべきクリップベース部材が左右分割型の分割部材から構成され、バッキング又はバーティブラに固定する際に左右一対の分割ベース部材を対向させ、リベット部材をカシメ手段を用いて分割ベース部材の一体化を図ると共にバッキング又はバーティブラに挟持固定する構造となっているため、カシメ作業工程における作業のバラツキにより、ワイパーブレードの払拭中にバッキング又はバーティブラに挟持固定されたクリップベース部材に緩みが生じたり、ガタが生じたりして、ワイパーブレードのジャダー(いわゆるビビリ)の原因になるという不都合がある。
【0005】
また、分割ベース部材を別々にバッキング又はバーティブラにセットして一体化を図る構造であり、かつ、バッキング又はバーティブラへの挟持固定強度を確保する観点から少なくとも2カ所以上でカシメ又はネジによる締結を行わなければならないために、バッキング又はバーティブラへの固定作業にも時間がかかるという不都合もある。
【0006】
更に、クリップベース部材が左右別々の分割ベース部材から構成されているので、部品管理の面からも不便であるという不都合がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、バーティブラに対する挟持固定のバラツキの防止を図ることができ、かつ、バーティブラへの挟持固定作業時間の短縮化、管理の便利化を図ることのできるクリップベース部材及びこれを用いたワイパーブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のクリップベース部材は、リフィールを保持する長尺板形状のバーティブラとワイパーアームとを連結する自動車用のワイパーブレードに用いられ、前記バーティブラに固定された状態で該バーティブラの延びる方向と直交する横断方向両側から起立されかつ前記ワイパーアームが揺動可能に連結されるリベット部材が装着された一対の起立壁部を有し、該一対の起立壁部には前記バーティブラに固定された状態で横断方向両側から対向しかつ前記バーティブラの前記リフィールを保持する厚さ方向一面側から該バーティブラに当接する一対の対向片部と前記横断方向両側から対向しかつ前記バーティブラの厚さ方向他面側から該バーティブラに当接して前記一対の対向片部と協働して前記バーティブラの挟持空間を形成する一対の当接片部とがそれぞれ形成されると共に、前記バーティブラに固定された状態で横断方向に延びかつ前記一対の起立壁部を連結する連結片部が一体に形成され、前記一対の起立壁部は、該一対の起立壁部に前記リベット部材を挿通し、カシメ手段を用いて前記起立壁部を互いに対向させることにより前記バーティブラに固定されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のクリップベース部材は、前記一対の起立壁部が、前記バーティブラの延びる方向に延びる形状とされ、前記一対の対向片部は前記一対の当接片部を境にして前記一対の起立壁部の延びる方向に間隔を開けて設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の自動車用のワイパーブレードは、リフィールを保持する長尺板形状のバーティブラとワイパーアームとを連結するクリップベース部材を有し、該クリップベース部材は、前記バーティブラに固定された状態で該バーティブラの延びる方向と直交する横断方向両側から起立されかつ前記ワイパーアームが揺動可能に連結されるリベット部材が貫通されて略平行とされた一対の起立壁部を有し、該一対の起立壁部には、前記バーティブラに固定された状態で横断方向両側から対向しかつ前記バーティブラの前記リフィールを保持する厚さ方向一面側から該バーティブラに当接する一対の対向片部と前記横断方向両側から対向しかつ前記バーティブラの厚さ方向他面側から該バーティブラに当接して前記一対の対向片部と協働して前記バーティブラの挟持空間を形成する一対の当接片部とがそれぞれ形成されると共に、前記バーティブラに固定された状態で横断方向に延びかつ前記一対の起立壁部を連結する連結片部が一体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一対の起立壁部を連結する連結片部とリベット部材とによりクリップベース部材をバーティブラに固定する構造であるので強度を維持することができる。
【0012】
また、1個のリベット部材のカシメのみによりクリップベース部材をバーティブラに固定できるので、バーティブラに対する挟持固定のバラツキの防止を図ることができる。
【0013】
この他、一対の起立壁部が連結片部を介して一体に連結されているので、バーティブラへの挟持固定作業時間の短縮化を図ることができる、部品点数の削減を図ることができるので、管理の容易化、便利化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に係わる自動車用のワイパーブレード用のクリップベース部材及びこれを用いたワイパーブレードを図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0015】
図1は本発明に係わるワイパーブレードの外観を示す斜視図、図2は図1の矢印A−A線に沿う断面図、図3はそのワイパーブレードの分解斜視図であって、この図1、図2において、1はワイパーブレード、2はリフィールである。そのリフィール2は図2に示すバーティブラ3に保持される。
【0016】
リフィール2はゴム製ラバー部材4と金属製のバッキング5とから大略構成されている。バーティブラ3は図3に示すように弓なりの長尺板形状の金属板から形成されている。リフィール2はそのバーティブラ3の延びる方向に沿って延びる形状とされている。
【0017】
このリフィール2は、図2に示すようにその延びる方向適宜箇所がホルダー部材6によってバーティブラ3に支持される。そのホルダー部材6には、バーティブラ3の延びる方向と直交する横断方向両側からリフィール2を保持する一対の保持片部6a、6aとスポイラー7の抜け止め用の一対の爪片部6b、6bが図2に拡大して示すように形成されている。
【0018】
このホルダー部材6は、図3に示すようにバーティブラ3の長手方向一端部又は両端部側からそのバーティブラ3に挿通されて接着剤等を用いてこのバーティブラ3に適宜間隔を開けて固着されている。そのリフィール2はバーティブラ3の長手方向一端部側からその一対の保持片部6a、6aの対向間に挿入されて挿脱可能に保持されるものである。
【0019】
そのスポイラー7は、バーティブラ3の中央部を境にしてその左右両側の端部からバーティブラ3の延びる方向に沿って挿入されて、ホルダー部材6に保持される。ワイパーブレード1の中央部には、図3に示すクリップベース部材8を被覆するカバー部材9が設けられている。
【0020】
このカバー部材9は、図4、図5に示すように、クリップベース部材8を被覆する被覆壁部9a、9aと、バーティブラ3の横断方向両側から対向してそのバーティブラ3に係合する係合爪9b、9bとを有し、図4に示すように、カバー部材9の上部には開口9cが形成されている。
【0021】
図示を略すワイパーアームは、その開口9cを通してクリップベース部材8に揺動可能に連結される。そのスポイラー7の中央部側の端部はそのカバー部材9によって被覆されると共に押圧保持され、そのスポイラー7の左右方向各端部はカバー部材10によって被覆されると共に押圧保持されるもので、カバー部材10はそのスポイラー7の断面形状に対応する形状を有している。
【0022】
クリップベース部材8は、図6〜図10に示すように、一対の長方板形状の起立壁部11を有する。この一対の起立壁部11には、図7、図8、図10に示すようにリベット部材12が貫通される貫通孔13が形成されている。そのリベット部材12は、図10に示すように小径部12aと大径部12bと頭部12cとを有する段付き構成のものとされている。
【0023】
その一対の起立壁部11、11には、一対の起立壁部11、11を連結する連結片部14が一体に形成されている。この連結片部14はこの一対の起立壁部11、11の延びる方向一方側の端部から延在された延在片部14aとそのバーティブラ3に固定された状態で横断方向に延びる横断片部14bとから構成されている。
【0024】
その一対の起立壁部11、11の下部には、屈曲片部15a、15aが一対の起立壁部11、11の延びる方向に間隔を開けてそれぞれ形成されている。この屈曲片部15a、15aはクリップベース部材8がバーティブラ3に固定された状態で横断方向両側から対向しかつバーティブラ3の厚さ方向一面側でしかもリフィール2を保持する側からバーティブラ3の一面3aに当接する一対の対向片部15として機能する。
【0025】
この一対の起立壁部11、11には、一対の当接片部16、16がそれぞれ形成されている。この一対の当接片部16、16は、屈曲片部15a、15aの間に存在して、バーティブラ3に固定された状態で横断方向両側から対向する構成とされている。
【0026】
その一対の当接片部16、16はバーティブラ3の厚さ方向他面側からバーティブラ3の他面3bに当接して、一対の対向片部15、15と協働してバーティブラ3の挟持空間3c(図7参照)を形成している。
【0027】
その一対の起立壁部11、11は、バーティブラ3に取り付けられる前の状態では連結片部14が形成された一方側の間隔に較べて遠い側の端部の間隔が大きく形成されたいわゆるハの字形状とされている。
【0028】
そのクリップベース部材8は、リベット部材12を一対の起立壁部11、11の貫通孔13に挿通し、カシメ手段を用いて小径部12aを圧潰することにより一対の起立壁部11、11が略平行とされる。これと共に、起立壁部11、11が互いに略平行に対向することにより一対の当接片部16、16と一対の対向片部15、15との間の挟持空間3cにバーティブラ3が挟み込まれ、これにより、バーティブラ3にクリップベース部材8が固定される。その一対の当接片部16、16は連結片部14と協働して一対の起立壁部11、11の対向間隔を略平行に維持する間隔維持部材としての役割も果たす。
【0029】
そのリベット部材12には、ここでは、その大径部12bに図示を略すワイパーアーム係合部材が取り付けられ、図示を略すワイパーアームがそのワイパーアーム係合部材に係合される。
【0030】
バーティブラ3に固定された状態でこのバーティブラ3の延びる方向に沿って延び、このバーティブラ3の延びる方向と直交する横断方向両側から起立されしかもワイパーアーム(図示を略す)が揺動可能に連結される。
【0031】
この発明の実施例では、図3に示すように、まず、ホルダー部材6をバーティブラ3に固着させる。ついで、図10に示すクリップベース部材8をバーティブラ3にカシメ手段を用いて固定する。
【0032】
ついで、図3に示すように、リフィール2をホルダー部材6に挿通してバーティブラ3に保持させる。次に、スポイラー7をバーティブラ3の長手方向両端部からホルダー部材6に保持させつつバーティブラ3に組み付ける。
【0033】
ついで、カバー部材9をバーティブラ3に装着してクリップベース部材8を被覆すると共にバーディブラ3の中央部にカバー部材9を装着して、クリップベース部材8を被覆すると共に、スポイラー7の中央部側の端部をカバー部材9により被覆保持する。
【0034】
最後に、カバー部材10をバーティブラ3の長手方向両端部からバーティブラ3に組み付け、スポイラー7の左右方向両端部を被覆保持する。これにより、図1に示すワイパーブレード1が組み立てられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係わるワイパーブレードの斜視図である。
【図2】図1の矢印A−A線に沿う断面図である。
【図3】図1に示すワイパーブレードの分解斜視図である。
【図4】図1に示すクリップベースカバー部材の斜視図である。
【図5】図4に示すクリップカバー部材の断面図である。
【図6】図3に示すクリップベース部材の平面図である。
【図7】図6のB−B線に沿う断面図である。
【図8】図6に示すクリップベース部材の縦断面図である。
【図9】図3に示すバーディブラにクリップベース部材が固定された状態を示す部分拡大斜視図である。
【図10】図3に示すバーディブラにクリップベース部材が固定される前の状態を示す部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
2…リフィール
3…バーティブラ
8…クリップベース部材
11…起立壁部
14…連結片部
15…対向片部
16…当接片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフィールを保持する長尺板形状のバーティブラとワイパーアームとを連結する自動車用のワイパーブレードに用いられるクリップベース部材であって、
前記バーティブラに固定された状態で該バーティブラの延びる方向と直交する横断方向両側から起立されかつ前記ワイパーアームが揺動可能に連結されるリベット部材が装着された一対の起立壁部を有し、該一対の起立壁部には前記バーティブラに固定された状態で横断方向両側から対向しかつ前記バーティブラの前記リフィールを保持する厚さ方向一面側から該バーティブラに当接する一対の対向片部と前記横断方向両側から対向しかつ前記バーティブラの厚さ方向他面側から該バーティブラに当接して前記一対の対向片部と協働して前記バーティブラの挟持空間を形成する一対の当接片部とがそれぞれ形成されると共に、前記バーティブラに固定された状態で横断方向に延びかつ前記一対の起立壁部を連結する連結片部が一体に形成され、前記一対の起立壁部は、該一対の起立壁部に前記リベット部材を挿通し、カシメ手段を用いて前記起立壁部を互いに対向させることにより前記バーティブラに固定されることを特徴とするクリップベース部材。
【請求項2】
前記一対の起立壁部は、前記バーティブラの延びる方向に延びる形状とされ、前記一対の対向片部は前記一対の当接片部を境にして前記一対の起立壁部の延びる方向に間隔を開けて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリップベース部材。
【請求項3】
リフィールを保持する長尺板形状のバーティブラとワイパーアームとを連結するクリップベース部材を有し、
該クリップベース部材は、前記バーティブラに固定された状態で該バーティブラの延びる方向と直交する横断方向両側から起立されかつ前記ワイパーアームが揺動可能に連結されるリベット部材が貫通されて略平行とされた一対の起立壁部を有し、
該一対の起立壁部には、前記バーティブラに固定された状態で横断方向両側から対向しかつ前記バーティブラの前記リフィールを保持する厚さ方向一面側から該バーティブラに当接する一対の対向片部と前記横断方向両側から対向しかつ前記バーティブラの厚さ方向他面側から該バーティブラに当接して前記一対の対向片部と協働して前記バーティブラの挟持空間を形成する一対の当接片部とがそれぞれ形成されると共に、前記バーティブラに固定された状態で横断方向に延びかつ前記一対の起立壁部を連結する連結片部が一体に形成されていることを特徴とする自動車用のワイパーブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−69422(P2006−69422A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256900(P2004−256900)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】