説明

自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置

【課題】スライディングドアの安定的な閉鎖動作を実現する。
【解決手段】拡開端部がシリンダー管体の内周面に密着し、第1の中心通孔を有する拡開型パッキンと、拡開型パッキンの拡開端部とは逆の方向に設けられ、第2の中心通孔を有する密着型ワッシャーと、第3の中心通孔を有するものであり、外周面に設置溝が形成され、第3の中心通孔の内周面にO−リング溝部と作動溝部が形成される胴部、拡開型パッキンを支持するヘッド部、及び胴部とヘッド部とを連結して、第1及び第2の中心通孔を貫通して拡開型パッキンと密着型ワッシャーとを係止する連結部、から構成される作動体と、設置溝に挿入されるオイル供給用スポンジと、O−リング溝部に挿入されるO−リングと、第3の中心通孔に胴部の側から挿入され、挿入された端部に断続ピンと係止板とが設けられるシリンダー軸と、を備えることを特徴とする、自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライディングドア制御用シリンダーに関し、特に自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動閉鎖型スライディングドアは、図1に示すように、一側に開放される形態でドア101が設置され、ドア101の上部にシリンダー102、ストッパー106、滑車103が設置される。また、スライディングドア101には、滑車103を介して、ワイヤー104に接続された錘105が設置される。図1は、ドア101が閉鎖された状態を示しているが、使用者がドア101をA方向に動かすと、図2に示すように、ドア101が図2における左側方向であるA方向に移動して、これに伴い錘105が上昇する。その後、ドア101をA方向に完全に動かすと、図3に示すように、ドア101は完全に開放され、シリンダー102がストッパー106から完全に離れて、錘105が更に上昇する。この状態で、使用者がドア101から手を離すと、図1〜3における右側方向であるB方向にドア101が徐々に閉じられる。その動作過程において、シリンダー102の端部がストッパー106に接触すると、シリンダー102の作用でドア101がゆっくり閉じられるように構成されている。
【0003】
このような従来の自動閉鎖型スライディングドアの、特に主要部であるシリンダー102の詳細な構造を、図4に図示する。図4(a)は、ドアが閉じられる過程でのシリンダー102の様子を示しており、図4(b)は、ドアが開放されるときのシリンダー102の様子を示している。シリンダー102は、シリンダー管110の内部に設けられたシリンダー軸120と、シリンダー軸120の先端に設けられたパッキン121と、パッキン121の後方に設けられた固定軸123と、が一体に結合されて構成されている。また、シリンダー軸120の先端と、パッキン121との間には、支持ワッシャー125が設けられる。また、パッキン121の中心には、通孔122が設けられている。
【0004】
シリンダー管110のシリンダー軸120が挿入される端部とは逆側の端部には、支持体131が設けられており、シリンダー管110を支持する。また、シリンダー軸120の、シリンダー管110に挿入される端部とは逆側の端部には、シリンダー軸支持体133が設けられ、シリンダー軸120を支持する。
【0005】
シリンダー軸120は、シリンダーの特性上、固定軸123とシリンダー管110との中心軸が一致することが好ましい。両者の中心軸を正確に一致させるために、シリンダー管110の開口部には、仕上げ部材132が設けられる。しかし、仕上げ部材132の内径を、固定軸123の外径と等しく形成してしまうと、仕上げ部材132の内周面と固定軸123の外周面との間で生じる摩擦力のために、シリンダー102の作動が困難になる。そのため、摩擦力を小さくするために、固定軸123が仕上げ部材132から離隔するように、固定軸123の外径は、仕上げ部材132の内径よりも小さく形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来の自動閉鎖型スライディングドアのシリンダーでは、固定軸123が仕上げ部材132と離隔して形成されているために、シリンダー102の作動時に、シリンダー軸120が微細に傾くこととなる。そのため、シリンダー軸120の先端に設けられた支持ワッシャー125が傾き、支持ワッシャー125とパッキン121との間に隙間ができて、その隙間に通孔122を通して流入する空気が入り込むため、油圧が適正に作動せず、ドアの閉鎖動作が不安定になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ドアの閉鎖動作が安定的に行われることが可能な、新規かつ改良された自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、自動閉鎖型スライディングドアに用いられる制御用シリンダー装置であって、拡開端部がシリンダー管体3の内周面に密着し、第1の中心通孔11を有する拡開型パッキン10と、前記拡開型パッキン10の拡開端部を有する面とは逆の方向に設けられ、シリンダー管体3の内周面と離隔して形成され、第2の中心通孔21を有する密着型ワッシャー20と、前記密着型ワッシャー20の前記第2の中心通孔21と前記拡開型パッキン10の前記第1の中心通孔11とを貫通して配設され、かつ、第3の中心通孔31が形成され、かつ、前記密着型ワッシャー20と前記拡開型パッキン10とを係止するものであり、前記密着型ワッシャー20と接触して前記密着型ワッシャー20を支持し、前記シリンダー管体3の内周面と離隔して形成されて、外周面に少なくとも一つ以上の設置溝32が形成され、前記第3の中心通孔31の内周面にO−リング溝部33と作動溝部34が離隔して形成される胴部35、前記拡開型パッキン10の拡開端部の内側に接触して、前記拡開型パッキン10を支持するヘッド部36、及び前記胴部35と前記ヘッド部36との間を連結して、前記密着型ワッシャー20と前記拡開型パッキン10とが係止される連結部37、から構成される作動体30と、前記設置溝32に挿入されて固定され、前記シリンダー管体3の内周面に密着するオイル供給用スポンジ40と、前記O−リング溝部33に挿入されて固定され、前記作動体30の前記第3の中心通孔31の内側に、突出するように配設されるO−リング50と、前記作動体30の前記第3の中心通孔31に前記胴部35の側から挿入され、挿入された端部に断続ピン61が設けられ、前記断続ピン61と接して、かつ、前記断続ピン61の先端とは逆の位置に係止板65が設けられるシリンダー軸60と、を備えることを特徴とする、自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置が提供される。
【0009】
また、前記断続ピン61は、円錐形状を有し、前記断続ピン61の傾斜面が前記O−リング50の内周面に密着して、空気を遮断するように構成されてもよい。
【0010】
また、前記拡開型パッキン10、前記密着型ワッシャー20、前記作動体30、前記オイル供給用スポンジ40及び前記O−リング50は、作動方向に多重に形成されてもよい。
【0011】
また、前記シリンダー軸60の作動体30に挿入された端部とは逆側の端部には磁石67が設けられ、前記磁石67と対向する離隔した位置に金属板73が設けられたシリンダー軸支持具70が更に設けられ、前記シリンダー軸支持具70は、第1の傾斜面78と、前記第1の傾斜面78の略中央に前記第1の傾斜面78の傾斜方向に沿って設けられる略T字形状の断面を有する案内レール77と、前記第1の傾斜面78の上端に設けられる上部受止台79と、前記第1の傾斜面78の下端に設けられる下部受止台76と、を有するレール体75と、前記第1の傾斜面78に対応する第2の傾斜面74と、前記第2の傾斜面74の略中央に前記第2の傾斜面74の傾斜方向に沿って設けられ前記案内レール77に対応するレール溝72と、を有し、前記レール溝72が、前記レール体75の前記案内レール77に結合されるスライディング体71と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置は、スライディングドアの自動閉鎖時に空気がドアの閉鎖方向に漏れていくことを防止することによって、スライディングドアが錘の力で自動的に閉じられてシリンダーがストッパーに接触するときに、シリンダー圧が後方から抜けながら、その抜ける圧だけゆっくり閉じられるようになるため、スライディングドアが安定的に閉じられるというメリットがある。すなわち、スライディングドアの自動閉鎖時に、空気が後方に漏れていくことが防止されて、スライディングドアが安定的に閉じられることが可能になる。
【0013】
また、シリンダー軸を分離形成して結合することによって故障率及び破損率を減らすことができるため、長時間の使用が可能というメリットもある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術に係るスライディングドアの開放動作図である。
【図2】従来技術に係るスライディングドアの開放動作図である。
【図3】従来技術に係るスライディングドアの開放動作図である。
【図4】従来技術のシリンダー動作図である。
【図5】本発明に係る自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置のドアの開放時のシリンダー動作図である。
【図6】本発明に係るドア閉鎖時動作図である。
【図7】本発明に係るシリンダー装置の動作図である。
【図8】本発明に係るシリンダー装置の分解斜視図である。
【図9】本発明に係る他の実施形態に係るシリンダー装置の結合図である。
【図10】本発明に係る使用状態図である。
【図11】本発明に係るシリンダー軸支持具の使用状態図である。
【図12】本発明に係るシリンダー軸支持具の使用状態図である。
【図13】本発明に係るシリンダー軸支持具の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
図5及び図6は、本発明に係る自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置の構成及び動作を説明するための概念図である。図5は、ドアが開放されるときのシリンダー装置の動きを示し、図6は、ドアが閉じられるときのシリンダー装置の動きを示している。また、図8は、本発明に係る自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置を、各部材に分解したときの様子を示している。
【0017】
図5、図6、及び図8を参照すると、本発明に係る自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置は、拡開型パッキン10、密着型ワッシャー20、作動体30、オイル供給用スポンジ40、O−リング50及びシリンダー軸60から構成される。
【0018】
前記拡開型パッキン10は、拡開端部がシリンダー管体3の内周面に密着するように構成され、当該拡開型パッキン10の中心には第1の中心通孔(貫通孔)11が形成される。拡開型パッキン10は、合成樹脂等の材質で形成され、拡開端部がシリンダー管体3の内周面に密着することによって、拡開端部とシリンダー管体3の内周面との間を空気が通り抜けないように構成される。
【0019】
前記拡開型パッキン10の後方には、密着型ワッシャー20が設けられる。密着型ワッシャー20は、その外周縁を空気が移動する必要があるため、シリンダー管体3の内面に、所定の間隔をおいて離隔形成される。また、密着型ワッシャー20には、第2の中心通孔21が形成される。
【0020】
密着型ワッシャー20は、拡開型パッキン10と同じ材質で形成されるが、拡開型パッキン10との間の接着と分離が簡単にできるようにすることが好ましい。また、密着型ワッシャー20の後方面(拡開型パッキン10と相対する面と対向する面)は、作動体30の結合側前方面39と密着して、空気の流れを遮断するように構成される。
【0021】
前記密着型ワッシャー20の後方から拡開型パッキン10の前方までを貫通するように、作動体30が設けられる。
【0022】
作動体30には、中心部に第3の中心通孔31が形成され、密着型ワッシャー20の後方に位置する胴部35と、拡開型パッキン10の前方に位置するヘッド部36と、胴部35とヘッド部36とを連結し、密着型ワッシャー20と拡開型パッキン10とが係止される連結部37と、が形成される。
【0023】
胴部35は、結合側前方面39を密着型ワッシャー20の後方面に接触させて、密着型ワッシャー20を支持する。また、胴部35は、シリンダー管体3の内周面に所定の間隔をおいて離隔形成されており、外周面には少なくとも一つ以上の設置溝32が形成される。そして、胴部35の第3の中心通孔31の内周面には、O−リング溝部33と、作動溝部34がそれぞれ形成される。前記O−リング溝部33には後述するO−リング50が挿入されて固定され、作動溝部34にはシリンダー軸60の係止板65が係止される。
【0024】
ヘッド部36は、連結部37に結合される拡開型パッキン10の前方内面に接触して、拡開型パッキン10を支持する。このとき、ヘッド部36と拡開型パッキン10の前方内面とは、互いに離隔して配設され、シリンダー軸60の前後(軸方向)の作動により密着又は離隔する。
【0025】
連結部37は、胴部35とヘッド部36とを連結し、密着型ワッシャー20と拡開型パッキン10とが連結部37に係止される。図5に示すように、シリンダー軸60が後方に動くとき、連結部37と拡開型パッキン10の第1の中心通孔11との空間に空気が流動する。また、拡開型パッキン10の後方に位置される密着型ワッシャー20は、作動体30の前方面39に密着して固定される。
【0026】
胴部35の設置溝32には、オイル供給用スポンジ40が挿入されることで装着される。オイル供給用スポンジ40は、空気の通気が可能な材質で形成され、その外周面がシリンダー管体3の内周面に密着するように配設されることによって、シリンダー管体3と作動体30との中心軸が一致するようになる。オイル供給用スポンジ40は羊毛材質で形成されることが好ましく、設置使用時には、オイル供給用スポンジ40を油に浸して、シリンダー管体3内で胴部35の作動がスムーズにできるようにする。
【0027】
O−リング溝部33にはO−リング50が挟まれて固定される。O−リング50は、後述するシリンダー軸60の断続ピン61に接触するもので、作動体30の第3の中心通孔31の内周面に挟まれて固定される。
【0028】
前記作動体30の後方には、シリンダー軸60が設けられる。シリンダー軸60の先端には、作動体30の後方から第3の中心通孔31に挿入される断続ピン61が形成されて、断続ピン61の後方には、作動体30内の作動溝部34にはめ込まれる係止板65が一体形成される。
【0029】
係止板65は、シリンダー軸60の前後進時に作動溝部34内で係止作動して、作動体30からのシリンダー軸60の離脱を防止する。
【0030】
前記断続ピン61は、先端部が尖っている円錐形状で形成され、先端がO−リング50に垂直に挿入されなくても、断続ピン61の傾斜面がO−リング50と密着して空気を遮断するように構成される。このときO−リング50にどの角度からでも挿入が容易でなければならないため、円錐状で構成されることが好ましく、また必ずしも円錐状のように端部が鋭い形状ではなくても、挿入可能な形状であればよい。
【0031】
シリンダー管体3のシリンダー軸60が挿入される端部とは逆側の端部には、支持体81が設けられ、シリンダー管体3を支持する。支持体81には空気通路が形成されており、当該空気通路を介して、シリンダー管体3の内部と外部との間を空気が移動することが可能になる。また、支持体81には、当該空気通路と略垂直な方向に開口部が更に設けられており、当該開口部には、当該空気通路を塞ぐように、空気量調節部材82が挿入される。空気量調節部材82は、当該空気通路に対して略垂直に挿入され、当該空気通路を塞ぐ。空気量調節部材82が支持体81に挿入される長さを調節することで、空気量調節部材82が当該空気通路を塞ぐ面積を調節することができるため、シリンダー管体3の内部と外部との間の空気の移動量を調節することができる。特に、シリンダー軸60がシリンダー管体3に挿入される方向に動くとき、すなわち、図5、又は図6においてシリンダー軸60が左側に動くときには、空気量調節部材82を用いてシリンダー管体3から外部に排出される空気の量を調節することで、シリンダー軸60が移動する速度を調節することができる。
【0032】
次に、前記構成からなる本発明に係る動作に関する説明を行う。
【0033】
先ず、図10に示すように自動閉鎖型スライディングドア5の上部に本発明に係る制御用シリンダー装置が設置される。
【0034】
このとき、スライディングドア5が閉じられた状態では、シリンダー軸60の端部は、シリンダー軸支持具70に接触した状態である。この状態で、スライディングドア5を開放すると、図10における左側の方向に、スライディングドア5に固定されたシリンダー管体3も共に移動する。このとき、シリンダー管体3内部は、図5に示す状態になる。
【0035】
このとき、図5に示すように、シリンダー管体3がスライディングドア5に沿って左側に移動することによって、拡開型パッキン10が移動して、密着型ワッシャー20と拡開型パッキン10との間、拡開型パッキン10と作動体30のヘッド部36との間に空気が移動する空間が生じる。その空間を通じて、右側から左側に空気が移動しながらシリンダー管体3が左側に移動し、スライディングドア5が左側に移動しながら開放される。
【0036】
それに対して、スライディングドアの閉鎖時には、シリンダー軸60の磁石67が付いた外側端部がシリンダー軸支持具70に接触してから、図10における左側の方向に移動していたシリンダー管体3がシリンダー軸60を覆うと共に右側の方向に移動する。
【0037】
このとき、シリンダー軸60の左側に備えられた断続ピン61は、図6に示すように、作動体30内のO−リング50の内側に挿入され、断続ピン61の傾斜面とO−リング50の内周面とが密着して空気の流れを遮断し、シリンダー軸60の前方係止面69が、作動体30の後方面38と接触する。
【0038】
このとき、図6に示すように、シリンダー管体3内を左側(イ側)から右側(ロ側)に移動する空気が、拡開型パッキン10の前面に当たった後、右側(ロ側)に移動する空気通路がないため、拡開型パッキン10の拡開端部とシリンダー管体3内周面の接触により、スライディングドア5の閉鎖のためのシリンダー管体3の右側方向への移動がゆっくりと行われて、スライディングドア5が徐々に閉じられる。
【0039】
一方、図7に示すように、実質的にシリンダー軸60は、シリンダー管体3内で、シリンダー軸60の長さと自重によって、右側(後方)が下側に傾く。すなわち、シリンダー管体3の中心軸に対して、シリンダー軸60の中心軸は傾きを有する。図7(a)はドアが閉じられるときの様子を、図7(b)は、ドアが開放されるときの様子を示している。どちらの場合においても、作動体30とシリンダー軸60とが分離して構成されていることによって、作動体30の水平維持には支障を与えないため、作動がスムーズになり、故障率が低くなる。
【0040】
また、拡開型パッキン10、密着型ワッシャー20、作動体30、オイル供給用スポンジ40及びO−リング50を、二重又はそれ以上の多重に構成してもよい。このとき、図9に示すように、作動体30の第3の中心通孔31の中でも、シリンダー軸60に設けられた断続ピン61が接触する、右側(後方)部位にだけO−リング50を配設して使用してもよい。
【0041】
図11〜図13は、本発明に係るシリンダー軸60とシリンダー軸支持具70の構成を示した図である。
【0042】
前述したように、シリンダー軸60の外側端部には磁石67が設けられており、磁石67と対向する離隔された位置に、金属板73を有するシリンダー軸支持具70が固定設置される。
【0043】
スライディングドア5の閉鎖時における、シリンダー軸支持具70の動作を、図12を参照して説明する。スライディングドア5が開放された状態から徐々に閉じられるときには、まず、図12(a)に示すように、シリンダー軸60の端部に設けられた磁石67が、シリンダー軸支持具70の金属板73に接触する。次に、図12(b)に示すように、磁石67と金属板73とが磁力的に結合しながら、シリンダー軸60の中心軸が上側に滑るように移動して閉鎖が完了する。
【0044】
それに対して、スライディングドア5を開放するときには、シリンダー軸60の端部に設けられた磁石67が、シリンダー軸支持具70に磁力で結合された状態から、シリンダー管体3が図5、図10、及び図12における左側(前方)の方向に移動し、シリンダー管体3の右側開口部に形成された仕上げ部材8が作動体30の後方面38に接触すると、シリンダー管体3が左側へ移動しようとする力によって、磁力で結合されたシリンダー軸60とシリンダー軸支持具70とが離れる。
【0045】
次に、図11及び図13を参照して、シリンダー軸支持具70の構成について説明する。シリンダー軸支持具70は、下段に位置するレール体75と、その上部に設けられるスライディング体71とで構成される。更に、レール体75は、前方に下部受止台76が形成され、下部受止台76の後方に上向きの第1の傾斜面78が形成され、第1の傾斜面78の中心にT字型の案内レール77が形成され、第1の傾斜面78の上部には上部受止台79が形成されている。すなわち、レール体75は、第1の傾斜面78を有し、当該第1の傾斜面78の略中央に、当該第1の傾斜面78の傾斜方向に沿って、略T字型形状の断面を有する案内レール77が形成され、第1の傾斜面78の上端には上部受止台79が更に形成され、第1の傾斜面78の下端には下部受止台76が更に形成されている。また、スライディング体71は、下部面に前記第1の傾斜面78に対応する第2の傾斜面74が形成され、第2の傾斜面74上に前記案内レール77に対応するレール溝72が形成される。すなわち、スライディング体71は、前記レール体75の第1の傾斜面78に対応する第2の傾斜面74を有し、当該第2の傾斜面74の略中央に、当該第2の傾斜面74の傾斜方向に沿って、略T字型形状の断面を有するレール溝72が、前記レール体75の案内レール77に対応するように形成されている。つまり、前記レール体75と前記スライディング体71とは、案内レール77とレール溝72によって、第1の傾斜面78と第2の傾斜面74とが接するように接続される。スライディング体71は、レール溝72が案内レール77に接続された状態で、案内レール77に沿って、すなわち、第1の傾斜面78の傾斜方向に移動することが可能である。スライディング体71の、シリンダー軸60の端部に設けられた磁石67と接する面には、金属板73が設けられており、図12(a)及び図12(b)に示すように、シリンダー軸60の端部に設けられた磁石67が、金属板73を押すことで、スライディング体71は傾斜に沿って滑るように移動することができる。
【0046】
このような構成によって、シリンダー軸60のツイストを防止することができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0048】
3 シリンダー管体
10 拡開型パッキン
11 第1の中心通孔
21 第2の中心通孔
31 第3の中心通孔
20 密着型ワッシャー
30 作動体
32 設置溝
33 O−リング溝部
34 作動溝部
35 胴部
36 ヘッド部
37 連結部
40 オイル供給用スポンジ
50 O−リング
60 シリンダー軸
61 断続ピン
65 係止板
67 磁石
70 シリンダー軸支持具
71 スライディング体
72 レール溝
73 金属板
74 第2の傾斜面
75 レール体
76 下部受止台
77 案内レール
78 第1の傾斜面
79 上部受止台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動閉鎖型スライディングドアに用いられる制御用シリンダー装置であって、
拡開端部がシリンダー管体の内周面に密着し、第1の中心通孔を有する拡開型パッキンと、
前記拡開型パッキンの拡開端部を有する面とは逆の方向に設けられ、シリンダー管体の内周面と離隔して形成され、第2の中心通孔を有する密着型ワッシャーと、
前記密着型ワッシャーの前記第2の中心通孔と前記拡開型パッキンの前記第1の中心通孔とを貫通して配設され、かつ、第3の中心通孔が形成され、かつ、前記密着型ワッシャーと前記拡開型パッキンとを係止するものであり、前記密着型ワッシャーと接触して前記密着型ワッシャーを支持し、前記シリンダー管体の内周面と離隔して形成されて、外周面に少なくとも一つ以上の設置溝が形成され、前記第3の中心通孔の内周面にO−リング溝部と作動溝部が離隔して形成される胴部、前記拡開型パッキンの拡開端部の内側に接触して、前記拡開型パッキンを支持するヘッド部、及び前記胴部と前記ヘッド部との間を連結して、前記密着型ワッシャーと前記拡開型パッキンとが係止される連結部、から構成される作動体と、
前記設置溝に挿入されて固定され、前記シリンダー管体の内周面に密着するオイル供給用スポンジと、
前記O−リング溝部に挿入されて固定され、前記作動体の前記第3の中心通孔の内側に、突出するように配設されるO−リングと、
前記作動体の前記第3の中心通孔に前記胴部の側から挿入され、挿入された端部に断続ピンが設けられ、前記断続ピンと接して、かつ、前記断続ピンの先端とは逆の位置に係止板が設けられるシリンダー軸と、
を備えることを特徴とする、自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置。
【請求項2】
前記断続ピンは、円錐形状を有し、前記断続ピンの傾斜面が前記O−リングの内周面に密着して、空気を遮断するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置。
【請求項3】
前記拡開型パッキン、前記密着型ワッシャー、前記作動体、前記オイル供給用スポンジ及び前記O−リングは、作動方向に多重に形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置。
【請求項4】
前記シリンダー軸の作動体に挿入された端部とは逆側の端部には磁石が設けられ、
前記磁石と対向する離隔した位置に金属板が設けられたシリンダー軸支持具が更に設けられ、
前記シリンダー軸支持具は、
第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面の略中央に前記第1の傾斜面の傾斜方向に沿って設けられる略T字形状の断面を有する案内レールと、前記第1の傾斜面の上端に設けられる上部受止台と、前記第1の傾斜面の下端に設けられる下部受止台と、を有するレール体と、
前記第1の傾斜面に対応する第2の傾斜面と、前記第2の傾斜面の略中央に前記第2の傾斜面の傾斜方向に沿って設けられ前記案内レールに対応するレール溝と、を有し、前記レール溝が、前記レール体の前記案内レールに結合されるスライディング体と、
を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動閉鎖型スライディングドア制御用シリンダー装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−64307(P2013−64307A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−31976(P2012−31976)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(512040428)
【Fターム(参考)】