説明

自転車用ブレーキシューおよび該ブレーキシューを備えたブレーキアセンブリ

【課題】急にブレーキをかけても自転車の走行安全性が損なわれない自転車用ブレーキシューおよび該ブレーキシューを備えたブレーキアセンブリを提供する。
【解決手段】本発明のブレーキシューは、車輪リムの端側から間を開けて配置される固定部を形成する固定端部を有するブレーキアームに載置するためのホルダーと、ブレーキアームが通常の位置にあるとき端側から間をおいて配置される摩擦面を有し、ブレーキアームが機械的にブレーキをかける位置にあるときに車輪リムがブレーキ動作を実行する固定部に載置されるパッドと、磁場の力が車輪リムの回転速度を落とすためには不十分であるとき通常の位置にあり、ブレーキ動作を行うときに、形成された磁場の力が機械的にブレーキ位置に達するまで徐々に磁場を形成する力が車輪リムの回転速度を落とすことができるほど十分に大きい吸引力を発生させる端側から間を開けて配置され、磁場を形成するために固定部に載置される磁気ユニットを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用ブレーキアセンブリに関し、特に、摩擦により車輪リムの回転を遅らせ或いは止めることができるブレーキシューおよび該ブレーキシューを備えたブレーキアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自転車は、通常、一例としてブレーキをかけると、ブレーキシューで車輪リムを挟み付け、その摩擦により制動力を生むブレーキアセンブリを備えているものがある。この種のブレーキは、自転車フレームに枢着された一対のブレーキアームと、車輪リムに対向して該一対のブレーキアームに取り付けられた一対のブレーキシューとをそなえ、この一対のブレーキアームは、車輪リムに跨って自転車フレームに対して回動可能に設けられ、ブレーキアームに取り付けられたブレーキシューは、ブレーキアームが回動すると対向して両側から車輪リムと接触し車輪リムとの摩擦により車輪リムの回転を遅らせ或いは止める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、高速回転中の車輪に急激なブレーキをかけると、車輪がロックされてスリップしたり、転覆したりすることがあり、走行安全性を損なう。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、急にブレーキをかけても自転車の走行安全性が損なわれない自転車用ブレーキシューおよび該ブレーキシューを備えたブレーキアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は、フレーム本体と、軸方向に車輪軸を囲んで左右のリム側部を有する磁化率の高い強磁性材よりなる車輪リムを有する車輪と備えた自転車の車輪にブレーキをかけるためのブレーキアセンブリであって、軸方向に対して直角で左右の枢軸のまわりでフレーム本体に枢動できるように搭載される左右のピボット端部と、直立方向で前記車輪リムの外側にある前記左右のピボット端部から延伸する左右の取付部とからなり、ブレーキをかけると、前記左右の取付部は前記左右の取付部が前記車輪リムから離れている通常の位置から、前記左右の取付部が前記車輪リムに近づいた機械的にブレーキをかける位置に移動する左右のブレーキアームと、左右のピボット端部から軸方向に間を開けて配置される左右の固定部が形成され、直立方向で軸方向に対して直角となっている左右の固定端部で途切れる左右の縦線に沿って延伸し、前記左右の取付部に載置される左右のホルダーと、前記左右の取付部が通常の位置にあるときに左右のリム側部から間を開けて配置される左右の摩擦面を有し、左右のピボット端部に接触して摩擦することにより、前記左右の取付部が機械的にブレーキをかける位置にあるときに前記車輪リムがブレーキ動作を実行する、前記左右の固定部に載置される左右のパッドと、磁場を形成するために軸方向に向かい合い、磁場の力が前記車輪リムの回転速度を落とすためには不十分である通常の位置の前記左右のピボット端部から間をあけて配置され、ブレーキ動作が実行されるときに、機械的にブレーキ位置に達するまで徐々に磁場を形成する力が前記車輪リムの回転速度を落とすことができるほど十分に大きい吸引力を発生させる、前記左右の固定部に載置される左右の磁気ユニットと、を備えることを特徴とするブレーキアセンブリを提供する。
【0006】
前記ブレーキアセンブリは、前記磁気ユニットが、前記左右のパッドのそれぞれの両側に配置される第1及び第2の磁石ブロックを有することが好ましい。
【0007】
又、前記ブレーキアセンブリは、前記第1の磁石ブロックが、各々前記車輪リムに向かい合って逆の磁極を有し、前記第2の磁石ブロックが、各々前記車輪リムに向かい合って逆の磁極を有することが好ましい。
【0008】
又、前記ブレーキアセンブリは、前記磁気ユニットの前記第1及び第2の磁石ブロックが、対応する前記パッドと逆の磁極を有することが好ましい。
【0009】
又、前記ブレーキアセンブリは、前記第1及び第2の磁石ブロックが、対応する前記パッドの一つより薄肉に形成されることが好ましい。
【0010】
又、本発明は、車輪の車輪リムから離れている通常の位置から、車輪リムに近づいて機械的にブレーキをかける位置に回動可能である自転車のブレーキアームに載置するためのブレーキシューであって、車輪リムの端側から間を開けて配置される固定部を形成する固定端部を有するブレーキアームに載置するためのホルダーと、前記ブレーキアームが通常の位置にあるとき端側から間をおいて配置される摩擦面を有し、前記ブレーキアームが機械的にブレーキをかける位置にあるときに車輪リムがブレーキ動作を実行する前記固定部に載置されるパッドと、磁場の力が車輪リムの回転速度を落とすためには不十分であるとき通常の位置にあり、ブレーキ動作を行うときに、形成された磁場の力が機械的にブレーキ位置に達するまで徐々に磁場を形成する力が車輪リムの回転速度を落とすことができるほど十分に大きい吸引力を発生させる端側から間を開けて配置され、磁場を形成するために前記固定部に載置される磁気ユニットと、を備えることを特徴とするブレーキシューを提供する。
【0011】
前記ブレーキシューは、前記磁気ユニットが、前記左右のパッドのそれぞれの両側に配置される第1及び第2の磁石ブロックを有することが好ましい。
【0012】
又、前記ブレーキシューは、前記第1及び第2の磁石ブロックが、対応する前記左右のパッドより薄肉に形成されることが好ましい。
【0013】
又、前記ブレーキシューは、前記磁気ユニットの前記第1及び第2の磁石ブロックが、対応する前記左右のパッドと逆の磁極を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車輪リムが安定してコントロール可能にブレーキをかけることができるように、ブレーキシューが車輪リムに接触する前に車輪リムに対する抵抗を発生させるように操作可能である自転車のブレーキアセンブリ及びブレーキシューを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるブレーキアセンブリの好ましい実施例の斜視図である。
【図2】本発明によるブレーキアセンブリの好ましい実施例の概略上面図である。
【図3】本発明によるブレーキアセンブリの好ましい実施例の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、同一構成及び機能を有する構成要素については、同一番号を付してその説明を省略する。
【実施例】
【0017】
図1〜3を参照すると、本発明によるブレーキアセンブリの好ましい実施例は、フレーム本体と、車輪(2)と備えた自転車(図示せず)の車輪2にブレーキをかけるためのブレーキケーブル5とともに用いられる。
【0018】
車輪2は、通常、車輪リム21と、車輪リム21を囲んでいるタイヤを備え、車輪リム21は、軸方向に車輪軸を囲んで左右のリム側部を有する磁化率の高い強磁性材よりなる。
【0019】
ブレーキアセンブリは、左右のブレーキアーム3、3と、左右のブレーキシュー4、4を備えている。左のブレーキアーム3は、左のピポット端部31と、左の取付部32を含む。右のブレーキアーム3は、右のピポット端部31と、右の取付部32を含む。左右のピボット端部31はそれぞれ、左右の枢軸のまわりに位置する自転車のフォーク(図示せず)に取り付けられる。そして、それぞれは車輪2の車軸の軸方向に対して直角となって枢軸のまわりでフレーム本体に枢動できる。左右の取付部32は、直立方向で車輪リム21の外側にある左右のピボット端部31、31から延伸する。このように、ブレーキケーブル5によりブレーキがかけられるとき、左右の取付部32、32は、車輪リム21から離れている通常の位置から車輪リム21に近づいて機械的にブレーキをかける位置に移動する。
【0020】
左のブレーキシュー4は、左のホルダー41と、左のパッド42と、左の磁気ユニット43を含む。右のブレーキシュー4は、右のホルダー41と、右のパッド42と、右の磁気ユニット43を含む。
【0021】
左右のホルダー41、41は、左右の取付部32、32に載置され、左右の固定端部411、411で途切れる左右の縦線に沿って延伸する左右のスタッド413、413をそれぞれ有する。左右の固定端部411、411は、直立方向で軸方向に対して横向きに延伸し、軸方向に車輪リム21の左右のリム側部から間を開けて配置される左右の固定部412、412を各々形成する。左右のパッド42、42はゴムからなり、左右の固定部412、412に載置される。
【0022】
パッド42、42は、左右の取付部32、32が通常の位置にある時、車輪リム21の左右のリム側部から間を開けて配置される左右の摩擦面421、421を有し、左右の取付部32、32が機械的にブレーキをかける位置にあるとき、左右のピボットに接触して摩擦することで車輪リム21に対してブレーキ動作を実行する。
【0023】
磁気ユニット43、43は、左右の固定部412、412に載置される。左右の磁気ユニット43、43は、それぞれ左右のパッド42、42の対応するのと反対の位置に配置される永久磁石である第1及び第2の磁石ブロック431、431、・・・を有し、それぞれは磁場を形成するための左右のパッド42、42の対応するのと逆の磁極を有する。また、磁気ユニット43の第1の磁石ブロック431、431は、車輪リム21と向かい合い、逆の磁極を有し、磁気ユニット43の第2の磁石ブロック431、431は、車輪リム21と向かい合い、逆の磁極を有する。更に、第1及び第2の磁石ブロック431は、ブレーキがかけられる前に、形成された磁場が車輪リム21が走行中に引き止めるのに不十分とさせるように対応するパッド42より薄肉に形成される。
【0024】
ブレーキ動作が実行されるときには、機械的にブレーキをかける位置に達するまで磁場を形成する力が車輪リム21の回転速度を落とすことができるほど徐々に十分に大きく引き止める力を発生させる。
【0025】
図示するように、パッド42、42は、左右の摩擦面421が摩擦で車輪リム21を係合する前に、磁場は車輪リム21の回動速度を減速させるほど引きずる力を発生させるように形成される。その上、車輪リム21の回動速度がより速いとき、引きずる力はより大きくなる。このため、安定且つ安全なブレーキ動作を実行することができ、パッド42の耐用年数が長くなる。
【0026】
本発明について最も実際的で好適な実施例であると考えられるものを記載したが、本発明は開示された実施例に限られることなく、最も幅広い解釈及び同等のアレンジを含むものと理解される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、急にブレーキをかけても自転車の走行安全性が損なわれず、安定且つ安全なブレーキ動作を実行することができ、パッドの耐用年数が長いブレーキアセンブリ及びブレーキシューを得ることができる。
【符号の説明】
【0028】
2 車輪
21 車輪リム
3 ブレーキアーム
31 ピポット端部
32 取付部
4 ブレーキシュー
41 ホルダー
411 固定端部
412 固定部
413 スタッド
42 パッド
421 摩擦面
43 磁気ユニット
431 磁石ブロック
5 ブレーキケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム本体と、軸方向に車輪軸を囲んで左右のリム側部を有する磁化率の高い強磁性材よりなる車輪リムを有する車輪と備えた自転車の車輪にブレーキをかけるためのブレーキアセンブリであって、
軸方向に対して直角で左右の枢軸のまわりでフレーム本体に枢動できるように搭載される左右のピボット端部と、直立方向で前記車輪リムの外側にある前記左右のピボット端部から延伸する左右の取付部とからなり、ブレーキをかけると、前記左右の取付部は車輪リムから離れている通常の位置から、前記左右の取付部が車輪リムに近づいた機械的にブレーキをかける位置に移動する左右のブレーキアームと、
前記左右のピボット端部から軸方向に間を開けて配置される左右の固定部が形成され、直立方向で軸方向に対して直角となっている左右の固定端部で途切れる左右の縦線に沿って延伸し、前記左右の取付部に載置される左右のホルダーと、
前記左右の取付部が通常の位置にあるときに左右のリム側部から間を開けて配置される左右の摩擦面を有し、左右のピボット端部に接触して摩擦することにより、左右の取付部が機械的にブレーキをかける位置にあるときに前記車輪リムがブレーキ動作を実行する、前記左右の固定部に載置される左右のパッドと、
磁場を形成するために軸方向に向かい合い、磁場の力が車輪リムの回転速度を落とすためには不十分である通常の位置の左右のピボット端部から間をあけて配置され、ブレーキ動作が実行されるときに、機械的にブレーキ位置に達するまで徐々に磁場を形成する力が前記車輪リムの回転速度を落とすことができるほど十分に大きい吸引力を発生させる、前記左右の固定部に載置される左右の磁気ユニットと、
を備えることを特徴とするブレーキアセンブリ。
【請求項2】
前記磁気ユニットが、前記左右のパッドのそれぞれの両側に配置される第1及び第2の磁石ブロックを有することを特徴とする請求項1に記載のブレーキアセンブリ。
【請求項3】
前記磁気ユニットの前記第1の磁石ブロックが、各々前記車輪リムに向かい合って逆の磁極を有し、
前記磁気ユニットの前記第2の磁石ブロックが、各々前記車輪リムに向かい合って逆の磁極を有することを特徴とする請求項2に記載のブレーキアセンブリ。
【請求項4】
前記磁気ユニットの前記第1及び第2の磁石ブロックが、対応する前記左右のパッドと逆の磁極を有することを特徴とする請求項3に記載のブレーキアセンブリ。
【請求項5】
前記第1及び第2の磁石ブロックが、対応する前記左右のパッドより薄肉に形成されることを特徴とする請求項2に記載のブレーキアセンブリ。
【請求項6】
車輪の車輪リムから離れている通常の位置から、車輪リムに近づいて機械的にブレーキをかける位置に回動可能である自転車のブレーキアームに載置するためのブレーキシューであって、
前記車輪リムの端側から間を開けて配置される固定部を形成する固定端部を有するブレーキアームに載置するためのホルダーと、
前記ブレーキアームが通常の位置にあるとき端側から間をおいて配置される摩擦面を有し、前記ブレーキアームが機械的にブレーキをかける位置にあるときに車輪リムがブレーキ動作を実行する前記固定部に載置されるパッドと、
磁場の力が前記車輪リムの回転速度を落とすためには不十分であるとき通常の位置にあり、ブレーキ動作を行うときに、形成された磁場の力が機械的にブレーキ位置に達するまで徐々に磁場を形成する力が前記車輪リムの回転速度を落とすことができるほど十分に大きい吸引力を発生させる端側から間を開けて配置され、磁場を形成するために前記固定部に載置される磁気ユニットと、
を備えることを特徴とするブレーキシュー。
【請求項7】
前記左右の磁気ユニットはそれぞれ、前記左右のパッドのそれぞれの両側に配置される第1及び第2の磁石ブロックを有することを特徴とする請求項6に記載のブレーキシュー。
【請求項8】
前記第1及び第2の磁石ブロックが、対応する前記左右のパッドより薄肉に形成されることを特徴とする請求項7に記載のブレーキシュー。
【請求項9】
前記磁気ユニットの前記第1及び第2の磁石ブロックが、対応するパッドと逆の磁極を有することを特徴とする請求項7に記載のブレーキシュー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−270793(P2010−270793A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121239(P2009−121239)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(594046167)巨大機械工業股▲分▼有限公司 (25)
【Fターム(参考)】