説明

芝刈機

【課題】騒音を低減した芝刈機の提供。
【解決手段】モータ4の回転軸部に装着され該回転軸部と同軸一体回転するピニオンギアと、ピニオンギアと噛合する第一ギア62と、第一ギア62に噛合する第二ギア63と、を備え、第一ギア62は、ピニオンギアに噛合する歯部62Bと、回転軸周りに歯部62Bを支持し回転軸の軸方向で肉抜きされた肉抜き部62aが形成された支持部62Aとから構成され、第二ギア63は、第一ギア62に噛合する歯部63Bと、回転軸周りに歯部63Bを支持し回転軸の軸方向で肉抜きされた肉抜き部63aが形成された支持部63Aとから構成され、第一ギア62と第二ギア63とは、第一ギア62と第二ギア63とを結ぶ直線上に、第一ギア62と第二ギア63とのいずれか一方の肉抜き部と、いずれか他方の非肉抜き部とが位置するように噛合している

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の芝刈機では、特許文献1に示されるように、モータの出力軸に装着されたピニオンギアに噛合する第一ギアと、第一ギアに噛合し第一ギアと同形状、同寸法の第二ギアとにそれぞれ回転刃を設け、これらの回転刃と回転不能に固定された固定刃とで鋏み切るように芝を刈っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−59113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の芝刈機では、ギアにより動力を伝達しているため、例えば第一ギアと第二ギアとの噛合時の加振力により、第一ギア及び第二ギアに振動が発生する。この振動が第一ギアまたは第二ギアの固有振動数と一致すると、共振して第一ギア及び第二ギア表面から騒音が放出されていた。更にこの加振力による振動がギア等を保持するシャーシや、カバー等に伝達すると、そのシャーシやカバー等からも騒音を発生していた。よって本発明は、騒音を低減した芝刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、底部に車輪を備えた本体と、該本体から後方上方に延びるハンドルと、該本体に支持され、回転軸部を有するモータと、該回転軸部に装着され該回転軸部と同軸一体回転する駆動歯車と、該駆動歯車と噛合する第一従動歯車と、該第一従動歯車に接続されて駆動される第一回転刃と、を備え、該第一従動歯車は、該駆動歯車に噛合する歯部と、回転軸周りに該歯部を支持する支持部とから構成され、該支持部には、該回転軸の軸方向で肉抜きされた肉抜き部が形成されている芝刈機を提供する。
【0006】
このような構成によると、肉抜き部を形成することにより騒音の発生源である第一従動歯車の表面積を減らすことができるので、第一従動歯車から放出される騒音を低減することができる。また肉抜き部が形成されることにより支持部の剛性が低下するため、固有振動数を下げることができる。これにより、加振力に基づき発生する振動の周波数から歯車の固有振動数を遠ざけることができ、振動を低減することができる。従って、歯車が振動して歯車自身から発生する騒音を低減するとともに、歯車の振動が固定軸を介してシャーシ等に伝達して発生する騒音を低減することが可能となる。
【0007】
上記構成の芝刈機において、該肉抜き部は、該支持部において周方向に等しい間隔に複数形成されていることが好ましい。
【0008】
このような構成によると、第一従動歯車に均等に肉抜き部を形成することができ、第一従動歯車の重心を回転軸位置と同じ位置にすることができる。よって第一従動歯車が回転する際に、振動が発生することが抑制される。
【0009】
また該支持部において、隣り合う肉抜き部の間に非肉抜き部が規定され、該第一従動歯車と噛合する第二従動歯車と該第二従動歯車に接続されて駆動される第二回転刃とを有し、該第一従動歯車と該第二従動歯車とは略同一径、略同一形状に構成されていることが好ましい。
【0010】
また該支持部において、隣り合う肉抜き部の間に非肉抜き部が規定され、該第一従動歯車と噛合する第二従動歯車と該第二従動歯車に接続されて駆動される第二回転刃とを有し、該第一従動歯車と該第二従動歯車とは、該第一従動歯車の回転軸から該第二従動歯車の回転軸を結ぶ直線上に、該第一従動歯車と該第二従動歯車とのいずれか一方の肉抜き部と、いずれか他方の非肉抜き部とが位置するように噛合していることが好ましい。
【0011】
これらのような構成によると、肉抜き部と非肉抜き部とが上述の直線上に並んでいる状態で噛合することで、第一従動歯車と第二従動歯車との間のねじり剛性の変動を小さくすることができる。剛性の変動が小さくなることにより、剛性の変動に起因する振動が発生しにくくなるので、振動に起因する騒音を低減することが可能となる。
【0012】
また該肉抜き部は、該中心軸近傍から半径方向に延びるように形成され、該肉抜き部の周方向幅と、該非肉抜き部の周方向幅とが、略等しくなるように構成されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、第一従動歯車と第二従動歯車とが常に互いの肉抜き部と非肉抜き部で噛合するため、歯車のねじり剛性がほぼ均一になる。よって剛性の変動による振動を更に抑制でき、騒音をより低減することが可能となる。
【0014】
また該歯部と該支持部との間には、周方向に複数のリブが設けられ、該肉抜き部は周方向において隣り合う該リブの間に配置されていることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、歯車の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の芝刈機によれば、騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る芝刈機の側面図。
【図2】図4のII-II線に沿った断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る芝刈機の底面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る芝刈機のギア機構の位置関係を示す平面図。
【図5】本発明の実施の形態に係る芝刈機の第一ギアと第二ギアとを示す斜視図。
【図6】本発明の実施の形態に係る芝刈機の第一ギアと第二ギアとの第一の変更例に係る斜視図。
【図7】本発明の実施の形態に係る芝刈機の第一ギアと第二ギアとの第二の変更例に係る斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る芝刈機について図1乃至図5に基づき説明する。図1に示される芝刈機1は、主に、シャーシ2と、ボディカバー3と、モータ4(図2)と、ギア保持部5(図2)と、ギア機構6(図2)と、刃部7(図2)と、ファン機構8(図2)とから主に構成されており、刃部7で芝生や草を刈り込む工具である。以下の説明においては、水平な芝生面Wに対して鉛直上方を上側と定義して上下方向を規定し、作業者が芝刈機1を押し進める進行方向を前側として前後方向を規定する。また作業者が芝刈機1を作業している状態で、進行方向左側及び右側を左右方向と規定する。
【0019】
シャーシ2は、鉄などの金属から形成された略平板状の板材から構成されており、図2に示されるように車輪22と、ローラ23と、リンク機構24と、集草袋25と、を主に備えて構成されている。車輪22はシャーシ2の前側両側面に配置され、ローラ23はリンク機構24を介してシャーシ2の後側に配置され、車輪22とローラ23とが芝生面Wに対して転がることにより、芝刈機1が前後進可能になる。リンク機構24は、シャーシ2に装着されると共にローラ23及び車輪22と接続されており、シャーシ2からローラ23及び車輪22を保持している箇所までの距離を変更可能としている。よって芝生面Wからシャーシ2までの距離を変更することができる。シャーシ2の下方には後述のように刃部7が設けられているため、リンク機構24により芝生面Wからシャーシ2までの距離を変更することにより、芝生面Wに対する刈り込み深さを変更することができる。集草袋25は、シャーシ2の後方に装着されており、ファン機構8と協働して、刃部7で刈り込んだ芝生等を貯留可能にしている。
【0020】
ボディカバー3は、樹脂材料により形成され、シャーシ2の上方に覆い被さるように固定され、ハンドル部31と、操作レバー32とを備えている。ハンドル部31は、ボディカバー3に対して、回動可能に後方上方に向けて延出されて設けられている。またハンドル部31において作業者が把持する箇所には、図示せぬ電源ケーブルでモータ4に接続され回転を制御するスイッチ部31Aが設けられている。操作レバー32は、リンク機構24と連動しており、操作レバー32を操作することによりリンク機構24が動作する。
【0021】
モータ4は、回転軸部41を有しており、回転軸部41の軸方向が上下方向と一致するように、シャーシ2上であってボディカバー3内に固定されている。回転軸部41は、シャーシ2を貫通しており、先端がシャーシ2の下側に位置している。
【0022】
ギア保持部5は、ギアケース51(図3)と、第一固定軸部52(図4)と、第二固定軸部53(図4)とから主に構成されている。ギアケース51はシャーシ2の下側に配置され、ギアケース51内部にギア機構6が配置されると共に回転軸部41の先端が突出している。第一固定軸部52と第二固定軸部53とは図4に示されるように左右方向に並んで配列され、図2に示されるように、ギアケース51内に配置されてシャーシ2の下方に延出され、下端が芝生面W近傍に位置するように構成されている。
【0023】
ギア機構6は、図4に示されるように駆動歯車であるピニオンギア61と、第一従動歯車である第一ギア62と、第二従動歯車である第二ギア63と、を主に備えて構成されている。ピニオンギア61は、ギアケース51内において回転軸部41に同軸一体回転するように固定されている。第一ギア62と第二ギア63とは、同径かつ同形状、同歯数であり、それぞれ軸受を介して第一固定軸部52と第二固定軸部53とに回転可能に装着され、第一ギア62がピニオンギア61に噛合し、第二ギア63が第一ギア62に噛合している。第一ギア62と第二ギア63とは同形状であるため、代表として第一ギア62について説明する。
【0024】
第一ギア62は樹脂製であり、図5に示されるようにピニオンギア61及び第二ギア63に噛合する歯部62Bと、略円板状を成し第一固定軸部52周りに歯部62Bを保持する支持部62Aとから主に構成されている。支持部62Aには、中心位置に配置され第一固定軸部52が挿入される貫通孔62bと、貫通孔62b近傍位置から半径方向に延びる複数の肉抜き部62aとが形成されている。貫通穴62bには軸受が嵌入され、第一固定軸部52は、軸受を介して第一ギア62を回転可能に支持している。複数の肉抜き部62aは、いずれも同形状かつ第一ギア62の周方向において等間隔に形成されている。また支持部62Aにおいて隣り合う肉抜き部62aの間には、非肉抜き部62Cが規定されている。この肉抜き部62aの周方向幅と非肉抜き部62Cの周方向幅とは略等しくなるように構成されている。肉抜き部62aが均等配置されていることにより、第一ギア62の重心位置を回転中心と一致させることができる。また支持部62Aにおいて下面側の貫通孔62b近傍位置には、外周に軸方向に延びるキー溝が形成されて後述の第一回転刃取付盤76がスプライン係合される筒状の係合部62Dが設けられている。また支持部62Aは歯部62Bに対して段差が生じるように薄肉に構成されており、支持部62Aと歯部62Bの段差部分には周方向に沿ってリブ62Eが複数設けられている。複数のリブ62Eは、周方向における肉抜き部62aと非肉抜き部62Cとの境界位置の半径方向延長線上に位置するようにそれぞれ配置されている。肉抜き部62aの周方向幅と非肉抜き部62Cの周方向幅とは略等しいので、隣り合うリブ62Eの間隔は、等間隔になる。
【0025】
第二ギア63も第一ギア62と同様に、支持部63A及び歯部63Bから構成され、支持部63Aには貫通孔63b及び複数の肉抜き部63aが形成され、非肉抜き部63Cが規定されると共に、後述の第二回転刃取付盤77がスプライン係合される係合部63Dが設けられている。支持部63Aと歯部63Bの段差部には第一ギア62と同様にリブ63Eが設けられている。この互いに同径、同形状の第一ギア62及び第二ギア63は、図5に示されるように、第一ギア62の回転軸から該第二ギア63の回転軸を結ぶ直線上に、第一ギア62と第二ギア63とのいずれか一方の肉抜き部と、いずれか他方の非肉抜き部とが常に位置するように噛合している。
【0026】
刃部7は、図3に示されるように第一固定刃71と第二固定刃72と固定刃支持具73と、第一回転刃74と第二回転刃75と第一回転刃取付盤76(図2)と、第二回転刃取付盤77(図2)とから主に構成されている。第一固定刃71及び第二固定刃72は、略対称形状、略同一径であり、それぞれ第一固定軸部52及び第二固定軸部53の下端位置にネジ71A及びネジ72Aで固定され芝生面W近傍位置に配置されている。固定刃支持具73は第一固定刃71と第二固定刃72とに架け渡されており、第一固定刃71と第二固定刃72とのそれぞれに対して回動不能に固定されている。第一固定刃71と第二固定刃72とが固定刃支持具73により回動不能に固定されるため、第一固定刃71及び第二固定刃72は、第一固定軸部52及び第二固定軸部53に対して回動不能になる。
【0027】
第一回転刃74は、第一固定刃71上面側に位置しており、第一回転刃取付盤76を介して第一ギア62に装着されている。第二回転刃75は、第二固定刃72上面側に位置しており、第二回転刃取付盤77を介して第二ギア63に装着されている。第一回転刃74と第二回転刃75とは刈り残しを防止するため外周が互いにオーバーラップするよう配置されている。第一回転刃74と第二回転刃75とは互いに略対称形状、略同一径である。また第一回転刃取付盤76と第二回転刃取付盤77とは互いに略対称形状、略同一径である。よって代表として第二回転刃75と第二回転刃取付盤77について説明する。
【0028】
第二回転刃取付盤77は、略筒状に構成されて、第二固定軸部53の第二固定刃72上方に上下動可能かつ回転可能に装着されると共に、下端に第二回転刃75が同軸一体回転するように取付られ、上端に係合部63Dを受けてスプライン係合する開口77aが形成されている。よって第二回転刃取付盤77は、第二ギア63と同軸一体回転するが、第二ギア63に対して上下動することができる。また開口77a内には、第二ギア63に対して第二回転刃取付盤77を下方に付勢するスプリング77Aが配置されている。第二回転刃取付盤77が下方に付勢されることにより、第二回転刃75が第二固定刃72に擦れ合うように押し付けられる。
【0029】
図2に示されるようにファン機構8は主にシャーシ2においてギア機構6の前側に位置しており、ファンカバー81とファンギア82とファン83とから主に構成されている。ファンカバー81は、主にシャーシ2上面に載置されており、内部にファン83を内蔵している。ファンカバー81においてファン83の上方位置には、吸気孔81aが形成され、またファン83の前方位置には送風路84が設けられている。送風路84はシャーシ2を上下に貫通してシャーシ2下側で刃部7前方に開口する送風口を有しており、ファン83によって発生した風を後方側の集草袋25にガイドするよう構成されている。
【0030】
ファンギア82は、ギアケース51内に配置されており、第二ギア63と噛合している。ファン83は第二ギア63と同軸一体回転するように構成されており、ファン83が回転することにより吸気孔81aから空気を取り込み送風路84に空気を送っている。
【0031】
上記構成の芝刈機1を使用する際には、作業者が図示せぬ電源ケーブルを図示せぬ外部電源に接続し、スイッチ部31Aを操作することでモータ4が駆動され、第一回転刃74及び第二回転刃75が回転する。これにより、芝や草を第一回転刃74と第一固定刃71、第二回転刃75と第二固定刃72の間で鋏み切るように刈り取り、さらに、ファン83の回転により発生した風がシャーシ2下面の送風口より送り出され、刈り取った芝や草を集草袋25に回収する。作業者がハンドル部31を把持して芝刈機1を押し進めることにより、芝刈作業を行う。
【0032】
本実施の形態においては、第一ギア62及び第二ギア63にそれぞれ肉抜き部62a、63aを形成することにより、ギアの固有振動数ωnを下げて、加振力となる噛み合い周波数ω(=モータ回転周波数×ピニオン歯数=ギア回転周波数×ギア歯数)から遠ざけている。具体的には、ω/ωnの値を1.4以上となるように第一ギア62及び第二ギア63を設計することで、ギアの振動を低減することができる。これにより、第一ギア62及び第二ギア63の振動に起因して発生する騒音を低減するとともに、第一ギア62及び第二ギア63の振動が第一固定軸部52、第二固定軸部53を介してシャーシ2やボディカバー3に伝達されてシャーシ2やボディカバー3で発生する騒音を低減することが可能となる。また、肉抜き部62a、63aにより第一ギア62及び第二ギア63の表面積が減少することで第一ギア62及び第二ギア63自身から放出される騒音はさらに低減することができる。第一ギア62及び第二ギア63は型成形により製造されるが、肉抜き部62a、63aを設けることで第一ギア62及び第二ギア63の体積が減少するため、材料の減量が可能となり、低コスト化を図ることができる。
【0033】
第一ギア62及び第二ギア63の径は、それぞれが左右に並んだ状態でシャーシ2の幅に収まる範囲で極力大径に構成されているため、ギア機構6を簡素化しながら十分な減速を行えるようになっている。また、面積の広い支持部62A、63Aがシャーシ2の平面状部分に面した構成となっている場合でも、支持部62A、63Aが肉抜き部を有する構成としたことで、シャーシ2への振動の伝達は抑制される。
【0034】
また、支持部62Aは歯部62Bに対して厚み方向に一段低く形成されているため、ギアを成型する材料を少なく抑えることができる。また、支持部62Aと歯部62Bとの段差部にはリブ62Eが設けられているので剛性を高めることができ、噛合によって歯部62Bに第一ギア62の軸側へと倒れこむような力が発生した場合にも、第一ギア62の変形を抑制し、変形に伴う歯の欠損を抑制することができる。第二ギア63においても同様にリブ63Eにより、第二ギア63の破損を抑制することができる。また第一ギア62および第二ギア63において肉抜き部62a、63aは隣り合うリブ62E、63Eの間にそれぞれ形成されているので、応力集中を抑制することができ、ギア機構6の寿命を向上させることができる。
【0035】
また、本実施の形態においては、肉抜き部62a、63aと非肉抜き部62C、63Cを等間隔とし、第一ギア62と第二ギア63とを互いの肉抜き部62a、63aと非肉抜き部62C、63Cとが第一ギア62の回転軸から第二ギア63の回転軸を結ぶ直線上で噛合させることで、第一ギア62と第二ギア63との噛合位置でのねじり剛性が円周方向にわたってほぼ均一となる。これにより第一ギア62及び第二ギア63での剛性の変動による振動を抑制でき、騒音をより低減することが可能となる。
【0036】
本発明の芝刈機は、上述した実施の形態に限定されず特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。例えば第一、第二従動歯車である第一、第二ギアの肉抜き部及び非肉抜き部の形状を、第一の変形例として図6に示すように第一の実施の形態に係る非肉抜き部よりも細い非肉抜き部162Cとしてもよい。このような構成によると、第一、第二ギアの剛性を下げ、第一、第二ギアの噛合による振動をさらに低減する事が可能となる。この非肉抜き部162Cを細くする形状は、製品仕様に応じて必要な強度を得られる範囲で任意に選択可能である。また、本実施の形態に係る肉抜き部の形状を、第二の変形例として図7に示すように円周方向に傾斜する肉抜き部262aとしてもよい。このような構成によると、第一、第二ギアの円周方向に常に肉抜き部262aが存在することで、さらに剛性の変動を滑らかにすることが可能となる。また、ギアの半径方向の力に対して弾性作用を有するため、発生する振動を抑制することができる。
【符号の説明】
【0037】
1・・芝刈機 2・・シャーシ 3・・ボディカバー 4・・モータ 5・・ギア保持部
6・・ギア機構 7・・刃部 8・・ファン機構 22・・車輪 23・・ローラ
24・・リンク機構 25・・集草袋 31・・ハンドル部 31A・・スイッチ部
32・・操作レバー 41・・回転軸部 51・・ギアケース 52・・第一固定軸部
53・・第二固定軸部 61・・ピニオンギア 62・・第一ギア 62A・・支持部
62B・・歯部 62C・・非肉抜き部 62D・・係合部 62a・・肉抜き部
62b・・貫通孔 63・・第二ギア 63A・・支持部 63B・・歯部
63C・・非肉抜き部 63D・・係合部 63a・・肉抜き部 63b・・貫通孔
71・・第一固定刃 71A・・ネジ 72・・第二固定刃 72A・・ネジ
73・・固定刃支持具 74・・第一回転刃 75・・第二回転刃
76・・第一回転刃取付盤 77・・第二回転刃取付盤 77A・・スプリング
77a・・開口 81・・ファンカバー 81a・・吸気孔 82・・ファンギア
83・・ファン 84・・送風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に車輪を備えた本体と、
該本体から後方上方に延びるハンドルと、
該本体に支持され、回転軸部を有するモータと、
該回転軸部に装着され該回転軸部と同軸一体回転する駆動歯車と、
該駆動歯車と噛合する第一従動歯車と、
該第一従動歯車に接続されて駆動される第一回転刃と、を備え、
該第一従動歯車は、該駆動歯車に噛合する歯部と、回転軸周りに該歯部を支持する支持部とから構成され、
該支持部には、該回転軸の軸方向で肉抜きされた肉抜き部が形成されていることを特徴とする芝刈機。
【請求項2】
該肉抜き部は、該支持部において周方向に等しい間隔に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の芝刈機。
【請求項3】
該支持部において、隣り合う肉抜き部の間に非肉抜き部が規定され、
該第一従動歯車と噛合する第二従動歯車と該第二従動歯車に接続されて駆動される第二回転刃とを有し、
該第一従動歯車と該第二従動歯車とは略同一径、略同一形状に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の芝刈機。
【請求項4】
該支持部において、隣り合う肉抜き部の間に非肉抜き部が規定され、
該第一従動歯車と噛合する第二従動歯車と該第二従動歯車に接続されて駆動される第二回転刃とを有し、
該第一従動歯車と該第二従動歯車とは、該第一従動歯車の回転軸から該第二従動歯車の回転軸を結ぶ直線上に、該第一従動歯車と該第二従動歯車とのいずれか一方の肉抜き部と、いずれか他方の非肉抜き部とが位置するように噛合していることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の芝刈機。
【請求項5】
該肉抜き部は、該中心軸近傍から半径方向に延びるように形成され、
該肉抜き部の周方向幅と、該非肉抜き部の周方向幅とが、略等しくなるように構成されていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の芝刈機。
【請求項6】
該歯部と該支持部との間には、周方向に複数のリブが設けられ、該肉抜き部は周方向において隣り合う該リブの間に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項5のいずれかに記載の芝刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−200143(P2011−200143A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69208(P2010−69208)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】