苗移植機
【課題】
本発明は、苗載台周辺のメンテナンス作業を行いやすい苗移植機を提供することを課題とする。
【解決手段】
苗載台80の下部と苗載台支持機枠123を保持機構40で連結し、苗載台80を苗載台支持機枠123に沿って上下方向に移動自在に構成し、保持機構40に苗載台80を任意の上下位置で支持する持上支持部材46を設け、苗載台支持機枠123に苗載台80を上方に吊り上げる吊上部材48の基部を設け、苗載台支持機枠123の下部に設ける横枠81に接触して苗載台80を支持する上昇支持部材47を苗載台80の下部に回動自在に設けて構成する。
本発明は、苗載台周辺のメンテナンス作業を行いやすい苗移植機を提供することを課題とする。
【解決手段】
苗載台80の下部と苗載台支持機枠123を保持機構40で連結し、苗載台80を苗載台支持機枠123に沿って上下方向に移動自在に構成し、保持機構40に苗載台80を任意の上下位置で支持する持上支持部材46を設け、苗載台支持機枠123に苗載台80を上方に吊り上げる吊上部材48の基部を設け、苗載台支持機枠123の下部に設ける横枠81に接触して苗載台80を支持する上昇支持部材47を苗載台80の下部に回動自在に設けて構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水稲等の苗を圃場に移植する苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型の苗移植機は、例えば、特開2009−240317号公報に記載のごとく、作業者が搭乗する座席を設けた走行車体の後部に昇降リンク機構を介して苗植付装置を装着した構成となっている。
【0003】
前記の苗植付装置は、マット苗を積載する苗載台にマット苗を下方に送る苗送り装置や苗載台の下端に有ってマット苗から一株分の苗株を掻き取って圃場に植え付ける苗植付装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−240317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
苗載台は泥の付いたマット苗が積載されこのマット苗が苗送り装置で下方の苗植付装置へ送られるために、苗送り装置や苗植付装置に泥が付着し、放置すると作動不良になって植付作業が続けられなくなる。このために、特に苗載台の下部を時々掃除及びメンテナンスをしなければならないが、苗送り装置や苗植付装置の部材が複雑に配置されているため、掃除等のメンテナンス作業を行い難い。
【0006】
本発明は、苗載台周辺のメンテナンス作業を行いやすい苗移植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1記載の発明は、走行車体(2)の後部に昇降リンク装置(3)を介して苗載台支持機枠(123)を設け、該苗載台支持機枠(123)に載置された苗を送り出す苗送り装置(79)を備える苗載台(80)を設けた苗移植機において、該苗載台(80)の下部と苗載台支持機枠(123)を保持機構(40)で連結し、該苗載台(80)を苗載台支持機枠(123)に沿って上下方向に移動自在に構成し、前記保持機構(40)に苗載台(80)を任意の上下位置で支持する持上支持部材(46)を設けたことを特徴とする苗移植機とした。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記保持機構(40)を、苗載台(80)を左右に摺動させる摺動機構(82a)の後部に設ける持上案内部材(43)と、該持上案内部材(43)に形成する移動溝(43a)と、該移動溝(43a)内を移動自在に設ける持上支持部材(46)で構成し、該持上支持部材(46)を苗載台(80)に設ける連結部材(45)に貫入させて前記苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)とを連結する構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機とした。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記苗載台支持機枠(123)に苗載台(80)を上方に吊り上げる吊上部材(48)の基部を設け、該吊上部材(48)の端部を苗載台(80)の左右移動に伴い苗を送り出す苗送り装置(79)を所定間隔ごとに作動させる苗送り軸(89)に装着可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機とした。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記苗載台支持機枠(123)の下部に設ける横枠(81)に接触して苗載台(80)を支持する上昇支持部材(47)を苗載台(80)の下部に設け、該上昇支持部材(47)を上下方向に回動自在に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明の効果は、苗載台(80)を上下動させ、任意の位置で支持部材(46)で支持することができるので、苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)との間に作業者が入り込んで作業するスペースを継続して確保することができ、苗載台(80)及び苗載台支持機枠(123)の周辺のメンテナンス性が向上する。
【0012】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、持上案内部材(43)に形成した移動溝(43a)を支持部材(46)が移動自在な構成であるため、苗載台(80)を所定の範囲内で上下方向に移動させることができるので、上下方向に移動させた苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)との配置関係が変わりにくく、メンテナンス終了後の苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)との連結作業が容易となり、作業者の労力が軽減される。
【0013】
請求項3記載の発明の効果は、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、苗載台(80)を吊り上げる吊上部材(48)の基部を苗載台支持機枠(123)に設けたことにより、上方に移動させた苗載台(80)を吊上部材(48)で上方に引き上げ続けることができるので、メンテナンス等の作業中に苗載台(80)が自重で下方に移動することが防止され、メンテナンス作業の能率が向上する。
【0014】
また、吊上部材(48)の端部を苗送り軸(89)に装着可能に構成したことにより、苗載台(80)に吊上部材(48)の端部を装着する部材を新たに配置、あるいは形成する必要が無く、部品点数が削減される。
【0015】
請求項4記載の発明の効果は、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、苗載台(80)の下部に苗載台支持機枠(123)の横枠(81)に接触して苗載台(80)を支持する上昇支持部材(47)を設けたことにより、上昇させた苗載台(80)が自重で下降することを防止できるので、苗載台(80)が下ってくるたびに苗載台(80)を持ち上げる必要が無く、メンテナンス作業の能率が向上する。
【0016】
また、上昇支持部材(47)を上下回動自在に構成したことにより、不要なときは苗載台(80)の左右幅の内側に上昇支持部材(47)を収納することができるので、上昇支持部材(47)が壁等に干渉することがなく、機体の操作性が向上すると共に、狭い収納スペースにも容易に収納が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】苗移植機の側面図
【図2】苗移植機の平面図
【図3】苗載台の部分正面図
【図4】苗載台の側断面図
【図5】(a)苗載台を上昇させた側断面図、(b)吊下フックの拡大側面図
【図6】苗載台保持機構の拡大側面図
【図7】苗載台の下部拡大側断面図
【図8】苗載台の部分正面図
【図9】フロアステップの拡大側断面図
【図10】デフロックペダルとアクセルペダルを示す部分平面図
【図11】デフロックペダルとアクセルペダルを示す部分正面図
【図12】デフロックペダルとアクセルペダルを示す部分側面図
【図13】吊上フックの別実施例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図1及び図2は、6条植えの施肥装置付きの乗用型田植機1を示すものであり、この乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0019】
走行車体2は、駆動輪である各左右一対の前輪6,6及び後輪7,7を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース8が配置され、そのミッションケース8の左右側方に左右一対の前輪ファイナルケース9が設けられ、該前輪ファイナルケース9の変向可能な左右一対の前輪支持部から外向きに突出する前輪車軸に前輪6が取り付けられている。
【0020】
また、ミッションケース8の背面部にメインフレーム10の前端部が固着されており、そのメインフレーム10の後端左右中央部に前後水平に設けた左右一対の後輪ローリング軸を支点にして左右一対の後輪ギヤケース12がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース12から外向きに突出する後輪車軸に後輪7が取り付けられている。
【0021】
原動機となるエンジン13はメインフレーム10の上に搭載されており、該エンジン13の回転動力が、ベルト伝動装置14を介して正逆転切替可能な伝動装置となるHST(油圧式無段変速装置)15へ入力される。そして、該HST15からの出力がミッションケース8に伝達される。ミッションケース8に伝達された回転動力は、該ミッションケース8内の伝動分岐部で走行用伝動経路と植付用伝動経路とに分岐して伝動され、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース9に伝達されて前輪6を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース12に伝達されて後輪7を駆動する。また、外部取出動力は、取出伝動軸17を介して走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース18に伝達され、それから植付伝動軸19によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝動される。
【0022】
エンジン13の上部はエンジンカバー20で覆われており、その上に座席21が設置されている。座席21の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー22があり、その上方に前輪6を操向操作するハンドル23が設けられている。ハンドル23の右側には、前記HST15を操作する前後進変速レバー24が設けられている。前後進変速レバー24の操作位置を検出する前後進変速レバーセンサを設け、この前後進変速レバーセンサは、後述する苗植付装置37の作動速度を判断する植付速度センサとなる。また、前後進変速レバー24のグリップ部には、苗植付部4の昇降操作及び作動の入切操作がおこなえる植付昇降操作スイッチが設けられている。
【0023】
図10〜図12に示すように、前記エンジンカバー20及びフロントカバー22の下端左右両側は水平状のフロアステップ26で構成し、前記ハンドル23の右側下部にエンジン13の回転数を上昇させるアクセルペダル150と、デファレンシャルギア機構(図示省略)をロック状態にして左右の前輪6,6に伝動力が伝わるようにするデフロックペダル151を設ける。そして、前記フロアステップ26の下部位置のデフロックバー152に連動ロッド153を機体前側方向に向けて取り付け、該連動ロッド153の端部がフロアステップ26の下部でアクセルペダル150の軸を押し下げる構成としている。
【0024】
従来の構成においては、アクセルペダルとデフロックペダルはハンドルの右側下部に設けられているが、デフロックペダルとアクセルペダルを片足で同時に踏み込むことは難しく、作業者は進行方向に対して機体右側を向き、両足でアクセルペダルとデフロックペダルを踏みこんでいる。このデフロックを用いるのは、旋回途中に泥濘に嵌って抜けられなくなった場合など、走行姿勢がやや不安定となる状況が多いため、正面を向けない作業者に余分な労力をかけてしまっていた。
【0025】
これに対して上記構成では、デフロックペダル151を踏み込むと連動ロッド153がアクセルペダル150を下方に押し下げて、エンジン13の回転数を上昇させることができ、作業者は正面を見たままデフロックペダル151を踏み込めるので、泥濘から抜け出しながらの旋回動作に集中でき、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0026】
また、図8に示すごとく、前記ハンドル23の右側下部に踏み込むとHST(油圧式無段変速装置)を中立状態に切り替えるブレーキペダル53を設け、該ブレーキペダル53の端部にブレーキペダル53の踏み込みに連動して上下回動する連動プレート55を取り付ける。そして、HSTの出力を変更するトラニオン軸50の角度を切り替えるHSTカム51の基部を回動自在に設け、該HSTカム51の端部に複数の凹部を形成し、この凹部にローラを入り込ませてHSTカム51が走行負荷等によって自動的に回動することを規制する規制ローラアーム52を前後方向に回動自在に取り付ける。
【0027】
さらに、前記連動プレート55に規制ローラアーム52を牽引する牽引ワイヤ54の一側端部を接続し、該牽引ワイヤ54の他側端部を規制ローラアーム52に接続して、ブレーキ消音機構56が構成される。
【0028】
上記構成により、作業者がブレーキペダル53を踏み込むと牽引ワイヤ54が規制ローラアーム52を回動させてHSTカム51から機体前側方向に離間させるため、HSTカム51が回動してトラニオン軸50を中立位置に移動させる際に規制ローラアーム52に接触することがなく、接触による異音の発生や機体の振動が防止され、作業者が不快感を覚えることが防止され、作業能率が向上する。
【0029】
また、部材同士が接触し合う負荷が生じにくいため、部材の破損が防止され、機体の耐久性が向上する。
従来構成では、HSTカムの凹部に規制ローラアームを沿わせたまま、ブレーキペダルや走行操作レバーの操作を受けてHSTカムを回動させていたため、HSTカムが規制ローラアームと接触する際に金属同士が擦れ合う異音が発生し、また接触時の抵抗により機体が振動してしまうという問題があった。
【0030】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台27が設けられている。
昇降リンク装置3は、1本の上リンク70と左右一対の下リンク71を備えている。これらの上リンク70及び下リンク71は、その基部側がメインフレーム10の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム72に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク73が連結されている。そして、縦リンク73の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸74が挿入連結され、連結軸74を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム10に固着した支持部材と上リンク70に一体形成したスイングアームの先端部との間に昇降油圧シリンダ76が設けられており、該昇降油圧シリンダ76を油圧で伸縮させることにより、上リンク70が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0031】
苗植付部4は六条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース77、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口78に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口78に供給すると苗送りベルト79により苗を下方に移送する苗載台80、苗取出口78に供給された苗を苗植付具37aで圃場に植付ける苗植付装置37等を備えている。
【0032】
苗載台80は、苗載面の裏側でその裏面側下部に左右方向に設けた苗受枠となる横枠81に沿って左右動自在に支持されている。また、この苗載台80は、上下に延びる複数の仕切り壁部80aを備えており、該仕切り壁部80aにより区分されて各条の苗載部80bが構成され、六条分の苗を搭載できる構成となっている。尚、前記横枠81に六条分の前記苗取出口78が設けられている。伝動ケース77の左右両側から突出して該伝動ケース77内の動力でリードカム82aを横方向に左右往復移動させるリードカム軸82が設けられ、リードカム82aと苗載台80とが連結されていて、リードカム軸82が駆動回転することにより苗載台80が左右往復動するようにしている。リードカム軸82は、その一端部左端部が伝動ケース77で支持されている。
【0033】
苗載台80の裏面側の上下には、左右方向に長い上側移動ガイドアーム120と、横枠81に接触して摺動する下側移動ガイドアーム121がそれぞれ固着して設けられている。上側移動ガイドアーム120は、側面視で下側が切り欠かれた逆L字形状に形成されており、下側から支持される回転自在の支持ローラ122が係合している。この支持ローラ122は、上側移動ガイドアーム120に沿う適宜位置の4か所に4個設けられ、伝動ケース77の上側に固着された苗載台支持フレーム123の上部に取り付けられている。苗載台80の下側移動ガイドアーム121の下側に補強板95をボルト96で取り付け、この下側移動ガイドアーム121を横枠81の上に載せて、苗載台80が支持ローラ122と横枠81とにより左右方向に移動可能に支持されている。該補強板95は苗載台80の左右方向中央部の二条に亘る長さとする。
【0034】
上記構成により、苗載台80のうち、最も自重による負荷のかかる左右方向中央部を補強板95で支えることができるので、長期間の使用による負荷で苗載台80の中央部が破損してしまうことが防止され、苗載台80の耐久性が向上し、いっそう長期間にわたっての使用が可能となる。
【0035】
そして、補強板95を左右方向中央部の二条分の長さにすることにより、補強板95に必要な資源の量やコストを低減することができる。
また、図5に示すごとく、苗載台80の裏面下部左右に螺子溝を内部に刻んだ持上支持軸46を固着したブランケット45を設け、前記リードカム82aの機体後側に側面視L字型の持上ガイド43を取り付け、該持上ガイド43に側面製L字型の移動溝43aを形成する。そして、該持上ガイド43の移動溝43aと前記ブランケット45の取付孔(図示省略)に前記持上支持軸46の端部を貫入させ、該持上支持軸46に一側が移動溝43aの幅よりも大径の連結ボルト44の螺子部を差し込んで、苗載台80と苗載台支持フレーム123とを連結すると共に苗載台80を上下方向に移動させて任意の位置で持上支持する苗載台保持機構40を構成する。
【0036】
苗載台80の周辺の清掃やメンテナンスを行う際には、連結ボルト44を緩めて持上支持軸46が移動溝43a内を移動可能な状態とし、苗載台80を上方に持ち上げて連結ボルト44を締め直すと、苗載台80が上方に持ち上げられた姿勢で保持されるので、苗載台支持フレーム123と苗載台80の下部の横板81との間に作業者が入り込む空間部を確保することができ、掃除やメンテナンス作業の作業能率が向上する。
【0037】
そして、苗載台支持フレーム123の左右両側に苗載台80を上方に吊り上げる吊上フック48,48を回動自在に設ける。該吊上フック48,48は苗載台80の左右方向への移動に伴い苗送りベルト79を所定間隔で駆動させる苗送りシャフト89と、該苗送りシャフト89と同径の吊下バー89aにそれぞれ引っ掛けて苗載台80を上方に吊り上げる。
【0038】
上記構成により、苗載台保持機構40を操作して持ち上げ状態となった苗載台80を左右の吊上フック48,48で上方に持ち上げることができるので、苗載台80が自重で下降していくことが防止され、苗載台80と苗載台支持フレーム123との間の作業者が掃除やメンテナンスを行なう空間部が確保され続けるため、作業能率が向上する。
【0039】
なお、苗載台80を下げるときは、左右の吊下フック48,48は苗送りシャフト89及び吊下バー89aから外しておく。この状態で吊下フック48,48が機体の振動等で回動しても、取付位置は他の部材に干渉するものではないが、苗載台支持フレーム123に吊下フック48,48を固定する回動規制フック140,140を設けてもよい。
【0040】
上記構成に加えて、図13で示すように、苗載台支持フレーム123に上端部側を回動可能に設ける上下方向に複数の受孔141a…を形成した左右の吊下アーム141,141を設け、調節孔142aを形成すると共に中空部を形成した左右の吊下フック142,142を該吊下アーム141,141に挿入し、任意の調節孔142aと受孔141aとを合わせてピン等の固定部材143で連結して、長さ調節可能な左右の吊下フック144,144を構成してもよい。
【0041】
上記構成により、吊下フック144,144の長さを調節することができるので、長さを変更して苗載台80の傾斜角度を任意に調節することができるので、作業者は苗載台80と苗載台支持フレーム123との間の空間部で作業を能率的に行なうことができる。
【0042】
また、メンテナンス作業が終了した後は吊下フック144,144の長さを最も短くすることにより、吊下フック144,144が回動しても他の部材に干渉することを防止できる。
【0043】
図7、図8に示すように、下側移動ガイドアーム121の左右両端部に左右のスタンドアーム47,47を機体上下方向に回動可能に設け、該スタンドアーム47,47を下方へ回動させると先端部が横枠81の溝に当接して、メンテナンス作業中等に苗載台80が自重で降下することを防止するので、苗載台80と苗載台支持フレーム123との間の空間部が確保され、作業能率が向上する。
【0044】
該左右のスタンドアーム47,47の先端部にゴムや樹脂製のキャップ46aを夫々嵌め込むことにより、苗載台80の重量がかかってスタンドアーム47,47が横枠81を擦ることがあっても、横枠81が傷付きにくいため、耐久性が向上する。
【0045】
図3で示すように、支持ローラ122を設ける苗載台支持フレーム123には苗載台80が左右移動端に到達したことを検出する左右各々の移動端センサ131を設け、該移動端センサ131は苗載台80の左右方向端部の裏面側に突出する仕切り壁部80aが当たって移動を検出する構成となっている。
【0046】
苗送りベルト79は、駆動ローラ84と従動ローラ85に無端状に巻き掛けられ、該駆動ローラ84は左右方向の苗送り駆動軸86と一体回転するように設けられている。苗送り駆動軸86は、2条毎に設けられ、各々のラチェット機構87により、苗送りベルト79が苗送りする方向にだけ回転を伝達するようになっている。従って、苗送りベルト79が、苗載台80の左右移動端で該苗載台80上の苗を苗受枠81側へ送る苗送り装置97となる。
【0047】
苗送りベルト79の駆動機構は図3、4に示すごとく、下記の構成となっている。すなわち、伝動ケース77の左右両側からそれぞれ突出して回転駆動する駆動側アーム88が設けられている。尚、伝動ケース77の右側の駆動側アーム88は、リードカム軸82を介して回転駆動する。また、苗送り駆動軸86の上側には左右方向の苗送りシャフト89が2条毎に設けられ、それに従動側アーム90が取り付けられている。苗送りシャフト89と苗送り駆動軸86とは、各々第一アーム91並びに第二アーム92及びリンク93とからなるリンク機構94により伝動連結されている。
【0048】
苗載台80が左右移動行程の端部に到達すると、駆動側アーム88が従動側アーム90にその下側から当たって、苗送りシャフト89を所定角度回転させる。その回転がリンク機構94及びラチェット機構87を介して苗送り駆動軸86に伝達される。これにより、苗送りベルト79が所定量だけ作動する。尚、苗載台80が左右移動両端部でそれぞれ苗送り動力を伝達できるように、1個の駆動側アーム88に対して左右に2個の従動側アーム90が同一の苗送りシャフト89上に設けられている。駆動側アーム88が従動側アーム90から離れると、苗送りシャフト89に係止したスプリングの張力によって苗送りシャフト89及び従動側アーム90は駆動前の位置に戻る。
【0049】
尚、リンク機構94及びラチェット機構87は、右側2条分のものは苗載台80の右端部、中央2条分のものは右から3条目の苗載部80bの右端部、左側2条分のものは苗載台80の右端部に配置されている。中央2条分のリンク機構94及びラチェット機構87は、左右一方側左側に偏位する伝動ケース77の苗送り伝動部77aに対して左右他方側右側に偏位して配置されるので、苗載台80と伝動ケース77を前後に近づけながら、伝動ケース77に干渉しないようにできる。ラチェット機構87には、各々2条分の苗送りベルト79の駆動を入切する苗送りクラッチを備えている。従って、該苗送りクラッチを操作する苗送りクラッチワイヤ132が、ラチェット機構87から苗載台80の裏面側で該苗載台80に沿って設けられている。
【0050】
尚、苗送りクラッチワイヤ132の他端は、2条毎の植付を入切する畦クラッチレバー133に連結されている。この畦クラッチレバー133は、走行車体2の後部に計3本設けられている。
【0051】
また、苗植付部4の苗載台80の前側には、横枠81を上下動させて苗植付装置37が苗取出口78で取り出す一株あたりの苗の量を変更する苗取り量変更レバー134を設けている。
【0052】
駆動側アーム88は、伝動ケース77の苗送り伝動部77aの左右両側の適宜位置に左右各々2個ずつ設けられている。右外側の駆動側アーム88は、苗載台80が左右移動右端に移動したとき、右の苗送りシャフト89の右側の従動側アーム90に当たる。右内側の駆動側アーム88は、苗載台80が左右移動右端に移動したとき、中央の苗送りシャフト89の右側の従動側アーム90に当たると共に、苗載台80が左右移動左端に移動したとき、右の苗送りシャフト89の左側の従動側アーム90に当たる。左内側の駆動側アーム88は、苗載台80が左右移動左端に移動したとき、中央の苗送りシャフト89の左側の従動側アーム90に当たると共に、苗載台80が左右移動右端に移動したとき、左の苗送りシャフト89の右側の従動側アーム90に当たる。左外側の駆動側アーム88は、苗載台80が左右移動左端に移動したとき、左の苗送りシャフト89の左側の従動側アーム90に当たる。従って、計6個の従動側アーム90に対して、駆動側アーム88の個数を4個として数を削減させている。
【0053】
尚、左右各々の苗送りシャフト89における左右各々の従動側アーム90は、該苗送りシャフト89の左右中央部に配置しているが、左右中央の苗送りシャフト89における左右の従動側アーム90は、該苗送りシャフト89の左右両端部に配置している。これにより、左右移動で振り分けて伝動ケース77の左右両側内側の駆動側アーム88から左右中央の苗送りシャフト89へ動力を伝達することができると共に、左右内側の駆動側アーム88を左右の苗送りシャフト89へ動力を伝達するアームとして兼用できる。また、各苗送りシャフト89の左右の従動側アーム90を、各苗送りシャフト89において略左右対称な位置に配置でき、2条毎で略左右中央に配置される後述する苗移動量変更モータ135による苗送り量の変更設定を高精度で行える。
【0054】
苗載台80の各条の苗載部80bの苗送りベルト79近くの適宜位置には、各々苗減少センサ136を設けている。この苗減少センサ136は、苗の有無を検出することにより、苗載台80上の適宜の位置で苗が減少したことを検出する。また、右から1条目、4条目及び6条目の苗載部80bの苗送りベルト79近くの適宜位置には、各々苗移動量センサ137を設けている。この苗移動量センサ137は、スプリング138で苗側上側に回動する側に付勢されたセンサ取付アーム146の先端に設けられ、外周面が苗の底面に接触して回転するローラ式であり、その回転角度を検出する回転角度検出型のセンサポテンショメータを備え、苗送りベルト79の苗の移送方向への苗載台80上の苗の移動量を検出する。尚、後述する苗移動量変更モータ135による苗送りベルト79の苗の最大移送量よりも、苗移動量センサ137の外周長が大きくなるよう構成されている。
【0055】
苗載台80の苗載面80cの上側には、マット苗の床部の上面に当たって該マット苗を苗載面80c側へ押圧する苗押え具130が設けられている。この苗押え具130により、マット苗を苗送りベルト79側に適度に押圧し、苗送りベルト79で確実に精度良くマット苗を移送できるようにしている。
【0056】
苗植付部4の下部には、中央2条分の苗植付位置を整地するセンターフロート100、及び左右それぞれ外側2条分の苗植付位置を整地するが設けられている。これらのフロートであるセンターフロート100及びサイドフロート101を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート100及びサイドフロート101が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置37により苗が植付けられる。各フロート100,101は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート100の前部の上下動が上下動検出機構により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ76を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0057】
施肥装置5は、肥料粉粒体貯留タンク110に貯留されている肥料粉粒体を各条の肥料粉粒体繰出部63によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を粉粒体移送ホース111でセンターフロート100及びサイドフロート101に取り付けた施肥ガイド112まで導き、施肥ガイド112の前側に設けた作溝体113によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。
【0058】
モータ114で駆動のブロア115で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ116を経由して肥料移送ホース111内に吹き込み、肥料移送ホース111内の肥料を苗植付部4側の施肥ガイド112へ強制的に移送するようになっている。施肥溝内に供給された肥料は、施肥ガイド112及び作溝体113の後方でセンターフロート100及びサイドフロート101に取り付けた覆土板117により覆土される。
【0059】
各条の施肥ガイド112及び作溝体113は、対応する苗植付装置37との位置関係距離を均一にして各条の肥効を均一化することが望ましいので、それぞれ前後方向において同じ位置機体側面視で同じ位置に配置される。同様に、各条の覆土板117も対応する施肥ガイド112、作溝体113及び苗植付装置37との位置関係を距離が均一になるにすることが望ましい。何故ならば、覆土板を前寄りに位置させて施肥ガイドに近づけ過ぎると、覆土板で押し寄せられる泥が施肥ガイド内に供給されて該施肥ガイドに泥が詰まるおそれがあり、覆土板を後寄りに位置させて施肥ガイドから離し過ぎると、覆土板で覆土するまでに圃場内の水等により施肥溝の底から肥料が若干浮き上がって、その結果覆土量が少なくなり、適切な肥効が得られなくなるおそれがあるからである。
【0060】
この乗用型の田植機1において、苗移動量センサ137は、移動端センサ131の検出に基づき、苗送りベルト79が前回の苗送り作動を完了させたタイミングから当回の苗送り作動が完了するまでの間、苗の移動量を検出し、検出した移動量を制御部147に入力する。制御部147は、入力された実移動量と苗取り量変更レバーセンサ134aから演算した設定移動量を比較し、実移動量が設定移動量より大きいときには次回の苗送り量が小さくなるように、逆に実移動量が設定移動量より小さいときには次回の苗送り量が大きくなるように、苗移送量変更モータ135へ出力し該苗移送量変更モータ135を作動させる。また、フロントカバー22に設けた苗送り量調節ダイヤル145により、該苗送り量調節ダイヤル145からの信号が制御部147に入力され、前記設定移動量を補正して変更できる構成となっている。
【0061】
畦クラッチレバーセンサ133a及び苗減少センサ136からの信号が制御部147に入力され、苗送りクラッチの伝動を切っているとき、又は2条毎において何れか一方の苗減少センサ136により苗が減少したことを検出したとき、制御部147は、苗移送量変更モータ135へ出力して苗取り量変更レバーセンサ134aの検出に基づく基準位置に苗移送量変更モータ135を戻す。
【0062】
そして、苗量センサ140からの信号が制御部147に入力され、制御部147は、苗の量が多いとき苗量センサ140の位置に苗があるときは設定移動量を小さく補正する。また、前後進変速レバーセンサ24aからの信号が制御部147に入力され、制御部147は、作業速度が速いときには設定移動量を大きく補正する。
【0063】
対応する2条の苗減少センサ136のうちの何れかの苗減少センサ136により苗が減少したことが入力されると、制御部147は、苗減少の警報を発すると共に、苗移動量センサ137の検出に拘らず、苗移送量変更モータ135へ出力して苗取り量変更レバーセンサ134aの検出に基づく基準位置に苗移送量変更モータ135を戻す。
【0064】
尚、制御部147は、全ての苗量センサ140がOFFからONになる回数を累計してカウントし、このカウント値を2倍して苗載台80に補給された概ねのマット苗の枚数を計数する構成としてもよい。これにより、作業者が苗の使用枚数を把握できたり、その使用枚数に応じて適正なマット苗枚数で植付作業が行えるように前記設定移動量を補正して苗送り量を変更したりすることができる。
【0065】
また、ハンドル23操作等に基づく機体旋回中でも苗移動量センサ137で苗の移動量を検出するようにしているので、更なる苗送り量の適正化が図れる。
尚、苗量センサ140の検出により苗の量が多いとき、センターフロート100の迎い角を前下がり側に補正する等して、苗植付部4の昇降制御の制御感度を敏感側に補正するようにしてもよい。また、苗量センサ140の検出により苗の量が多いとき、苗取り量変更レバー134を自動的に作動させる等して、苗取り量が多くなるように補正してもよい。
【0066】
また、植付昇降操作スイッチにより苗植付部4を非作動状態にしたとき、前後進変速レバーセンサ24aにより前後進変速レバー24を中立位置に操作して走行を停止させたことを検出したとき、あるいは苗移動量センサ137で検出した苗の移動量が極端に大きいときは、苗移動量センサ137による苗の移動量の検出を行わない構成としてもよい。これにより、苗載台80への苗補給時に誤検出するようなことを防止できる。
【符号の説明】
【0067】
40 苗載台保持機構(保持機構)
43 持上ガイド(持上案内部材)
43a 移動溝
46 持上支持軸(持上支持部材)
47 スタンドアーム(上昇支持部材)
48 吊上フック(吊上部材)
79 苗送りベルト(苗送り装置)
80 苗載台
123 苗載台支持フレーム(苗載台支持機枠)
【技術分野】
【0001】
本発明は、水稲等の苗を圃場に移植する苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型の苗移植機は、例えば、特開2009−240317号公報に記載のごとく、作業者が搭乗する座席を設けた走行車体の後部に昇降リンク機構を介して苗植付装置を装着した構成となっている。
【0003】
前記の苗植付装置は、マット苗を積載する苗載台にマット苗を下方に送る苗送り装置や苗載台の下端に有ってマット苗から一株分の苗株を掻き取って圃場に植え付ける苗植付装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−240317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
苗載台は泥の付いたマット苗が積載されこのマット苗が苗送り装置で下方の苗植付装置へ送られるために、苗送り装置や苗植付装置に泥が付着し、放置すると作動不良になって植付作業が続けられなくなる。このために、特に苗載台の下部を時々掃除及びメンテナンスをしなければならないが、苗送り装置や苗植付装置の部材が複雑に配置されているため、掃除等のメンテナンス作業を行い難い。
【0006】
本発明は、苗載台周辺のメンテナンス作業を行いやすい苗移植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1記載の発明は、走行車体(2)の後部に昇降リンク装置(3)を介して苗載台支持機枠(123)を設け、該苗載台支持機枠(123)に載置された苗を送り出す苗送り装置(79)を備える苗載台(80)を設けた苗移植機において、該苗載台(80)の下部と苗載台支持機枠(123)を保持機構(40)で連結し、該苗載台(80)を苗載台支持機枠(123)に沿って上下方向に移動自在に構成し、前記保持機構(40)に苗載台(80)を任意の上下位置で支持する持上支持部材(46)を設けたことを特徴とする苗移植機とした。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記保持機構(40)を、苗載台(80)を左右に摺動させる摺動機構(82a)の後部に設ける持上案内部材(43)と、該持上案内部材(43)に形成する移動溝(43a)と、該移動溝(43a)内を移動自在に設ける持上支持部材(46)で構成し、該持上支持部材(46)を苗載台(80)に設ける連結部材(45)に貫入させて前記苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)とを連結する構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機とした。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記苗載台支持機枠(123)に苗載台(80)を上方に吊り上げる吊上部材(48)の基部を設け、該吊上部材(48)の端部を苗載台(80)の左右移動に伴い苗を送り出す苗送り装置(79)を所定間隔ごとに作動させる苗送り軸(89)に装着可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機とした。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記苗載台支持機枠(123)の下部に設ける横枠(81)に接触して苗載台(80)を支持する上昇支持部材(47)を苗載台(80)の下部に設け、該上昇支持部材(47)を上下方向に回動自在に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明の効果は、苗載台(80)を上下動させ、任意の位置で支持部材(46)で支持することができるので、苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)との間に作業者が入り込んで作業するスペースを継続して確保することができ、苗載台(80)及び苗載台支持機枠(123)の周辺のメンテナンス性が向上する。
【0012】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、持上案内部材(43)に形成した移動溝(43a)を支持部材(46)が移動自在な構成であるため、苗載台(80)を所定の範囲内で上下方向に移動させることができるので、上下方向に移動させた苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)との配置関係が変わりにくく、メンテナンス終了後の苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)との連結作業が容易となり、作業者の労力が軽減される。
【0013】
請求項3記載の発明の効果は、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、苗載台(80)を吊り上げる吊上部材(48)の基部を苗載台支持機枠(123)に設けたことにより、上方に移動させた苗載台(80)を吊上部材(48)で上方に引き上げ続けることができるので、メンテナンス等の作業中に苗載台(80)が自重で下方に移動することが防止され、メンテナンス作業の能率が向上する。
【0014】
また、吊上部材(48)の端部を苗送り軸(89)に装着可能に構成したことにより、苗載台(80)に吊上部材(48)の端部を装着する部材を新たに配置、あるいは形成する必要が無く、部品点数が削減される。
【0015】
請求項4記載の発明の効果は、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、苗載台(80)の下部に苗載台支持機枠(123)の横枠(81)に接触して苗載台(80)を支持する上昇支持部材(47)を設けたことにより、上昇させた苗載台(80)が自重で下降することを防止できるので、苗載台(80)が下ってくるたびに苗載台(80)を持ち上げる必要が無く、メンテナンス作業の能率が向上する。
【0016】
また、上昇支持部材(47)を上下回動自在に構成したことにより、不要なときは苗載台(80)の左右幅の内側に上昇支持部材(47)を収納することができるので、上昇支持部材(47)が壁等に干渉することがなく、機体の操作性が向上すると共に、狭い収納スペースにも容易に収納が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】苗移植機の側面図
【図2】苗移植機の平面図
【図3】苗載台の部分正面図
【図4】苗載台の側断面図
【図5】(a)苗載台を上昇させた側断面図、(b)吊下フックの拡大側面図
【図6】苗載台保持機構の拡大側面図
【図7】苗載台の下部拡大側断面図
【図8】苗載台の部分正面図
【図9】フロアステップの拡大側断面図
【図10】デフロックペダルとアクセルペダルを示す部分平面図
【図11】デフロックペダルとアクセルペダルを示す部分正面図
【図12】デフロックペダルとアクセルペダルを示す部分側面図
【図13】吊上フックの別実施例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図1及び図2は、6条植えの施肥装置付きの乗用型田植機1を示すものであり、この乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0019】
走行車体2は、駆動輪である各左右一対の前輪6,6及び後輪7,7を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース8が配置され、そのミッションケース8の左右側方に左右一対の前輪ファイナルケース9が設けられ、該前輪ファイナルケース9の変向可能な左右一対の前輪支持部から外向きに突出する前輪車軸に前輪6が取り付けられている。
【0020】
また、ミッションケース8の背面部にメインフレーム10の前端部が固着されており、そのメインフレーム10の後端左右中央部に前後水平に設けた左右一対の後輪ローリング軸を支点にして左右一対の後輪ギヤケース12がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース12から外向きに突出する後輪車軸に後輪7が取り付けられている。
【0021】
原動機となるエンジン13はメインフレーム10の上に搭載されており、該エンジン13の回転動力が、ベルト伝動装置14を介して正逆転切替可能な伝動装置となるHST(油圧式無段変速装置)15へ入力される。そして、該HST15からの出力がミッションケース8に伝達される。ミッションケース8に伝達された回転動力は、該ミッションケース8内の伝動分岐部で走行用伝動経路と植付用伝動経路とに分岐して伝動され、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース9に伝達されて前輪6を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース12に伝達されて後輪7を駆動する。また、外部取出動力は、取出伝動軸17を介して走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース18に伝達され、それから植付伝動軸19によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝動される。
【0022】
エンジン13の上部はエンジンカバー20で覆われており、その上に座席21が設置されている。座席21の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー22があり、その上方に前輪6を操向操作するハンドル23が設けられている。ハンドル23の右側には、前記HST15を操作する前後進変速レバー24が設けられている。前後進変速レバー24の操作位置を検出する前後進変速レバーセンサを設け、この前後進変速レバーセンサは、後述する苗植付装置37の作動速度を判断する植付速度センサとなる。また、前後進変速レバー24のグリップ部には、苗植付部4の昇降操作及び作動の入切操作がおこなえる植付昇降操作スイッチが設けられている。
【0023】
図10〜図12に示すように、前記エンジンカバー20及びフロントカバー22の下端左右両側は水平状のフロアステップ26で構成し、前記ハンドル23の右側下部にエンジン13の回転数を上昇させるアクセルペダル150と、デファレンシャルギア機構(図示省略)をロック状態にして左右の前輪6,6に伝動力が伝わるようにするデフロックペダル151を設ける。そして、前記フロアステップ26の下部位置のデフロックバー152に連動ロッド153を機体前側方向に向けて取り付け、該連動ロッド153の端部がフロアステップ26の下部でアクセルペダル150の軸を押し下げる構成としている。
【0024】
従来の構成においては、アクセルペダルとデフロックペダルはハンドルの右側下部に設けられているが、デフロックペダルとアクセルペダルを片足で同時に踏み込むことは難しく、作業者は進行方向に対して機体右側を向き、両足でアクセルペダルとデフロックペダルを踏みこんでいる。このデフロックを用いるのは、旋回途中に泥濘に嵌って抜けられなくなった場合など、走行姿勢がやや不安定となる状況が多いため、正面を向けない作業者に余分な労力をかけてしまっていた。
【0025】
これに対して上記構成では、デフロックペダル151を踏み込むと連動ロッド153がアクセルペダル150を下方に押し下げて、エンジン13の回転数を上昇させることができ、作業者は正面を見たままデフロックペダル151を踏み込めるので、泥濘から抜け出しながらの旋回動作に集中でき、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0026】
また、図8に示すごとく、前記ハンドル23の右側下部に踏み込むとHST(油圧式無段変速装置)を中立状態に切り替えるブレーキペダル53を設け、該ブレーキペダル53の端部にブレーキペダル53の踏み込みに連動して上下回動する連動プレート55を取り付ける。そして、HSTの出力を変更するトラニオン軸50の角度を切り替えるHSTカム51の基部を回動自在に設け、該HSTカム51の端部に複数の凹部を形成し、この凹部にローラを入り込ませてHSTカム51が走行負荷等によって自動的に回動することを規制する規制ローラアーム52を前後方向に回動自在に取り付ける。
【0027】
さらに、前記連動プレート55に規制ローラアーム52を牽引する牽引ワイヤ54の一側端部を接続し、該牽引ワイヤ54の他側端部を規制ローラアーム52に接続して、ブレーキ消音機構56が構成される。
【0028】
上記構成により、作業者がブレーキペダル53を踏み込むと牽引ワイヤ54が規制ローラアーム52を回動させてHSTカム51から機体前側方向に離間させるため、HSTカム51が回動してトラニオン軸50を中立位置に移動させる際に規制ローラアーム52に接触することがなく、接触による異音の発生や機体の振動が防止され、作業者が不快感を覚えることが防止され、作業能率が向上する。
【0029】
また、部材同士が接触し合う負荷が生じにくいため、部材の破損が防止され、機体の耐久性が向上する。
従来構成では、HSTカムの凹部に規制ローラアームを沿わせたまま、ブレーキペダルや走行操作レバーの操作を受けてHSTカムを回動させていたため、HSTカムが規制ローラアームと接触する際に金属同士が擦れ合う異音が発生し、また接触時の抵抗により機体が振動してしまうという問題があった。
【0030】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台27が設けられている。
昇降リンク装置3は、1本の上リンク70と左右一対の下リンク71を備えている。これらの上リンク70及び下リンク71は、その基部側がメインフレーム10の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム72に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク73が連結されている。そして、縦リンク73の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸74が挿入連結され、連結軸74を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム10に固着した支持部材と上リンク70に一体形成したスイングアームの先端部との間に昇降油圧シリンダ76が設けられており、該昇降油圧シリンダ76を油圧で伸縮させることにより、上リンク70が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0031】
苗植付部4は六条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース77、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口78に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口78に供給すると苗送りベルト79により苗を下方に移送する苗載台80、苗取出口78に供給された苗を苗植付具37aで圃場に植付ける苗植付装置37等を備えている。
【0032】
苗載台80は、苗載面の裏側でその裏面側下部に左右方向に設けた苗受枠となる横枠81に沿って左右動自在に支持されている。また、この苗載台80は、上下に延びる複数の仕切り壁部80aを備えており、該仕切り壁部80aにより区分されて各条の苗載部80bが構成され、六条分の苗を搭載できる構成となっている。尚、前記横枠81に六条分の前記苗取出口78が設けられている。伝動ケース77の左右両側から突出して該伝動ケース77内の動力でリードカム82aを横方向に左右往復移動させるリードカム軸82が設けられ、リードカム82aと苗載台80とが連結されていて、リードカム軸82が駆動回転することにより苗載台80が左右往復動するようにしている。リードカム軸82は、その一端部左端部が伝動ケース77で支持されている。
【0033】
苗載台80の裏面側の上下には、左右方向に長い上側移動ガイドアーム120と、横枠81に接触して摺動する下側移動ガイドアーム121がそれぞれ固着して設けられている。上側移動ガイドアーム120は、側面視で下側が切り欠かれた逆L字形状に形成されており、下側から支持される回転自在の支持ローラ122が係合している。この支持ローラ122は、上側移動ガイドアーム120に沿う適宜位置の4か所に4個設けられ、伝動ケース77の上側に固着された苗載台支持フレーム123の上部に取り付けられている。苗載台80の下側移動ガイドアーム121の下側に補強板95をボルト96で取り付け、この下側移動ガイドアーム121を横枠81の上に載せて、苗載台80が支持ローラ122と横枠81とにより左右方向に移動可能に支持されている。該補強板95は苗載台80の左右方向中央部の二条に亘る長さとする。
【0034】
上記構成により、苗載台80のうち、最も自重による負荷のかかる左右方向中央部を補強板95で支えることができるので、長期間の使用による負荷で苗載台80の中央部が破損してしまうことが防止され、苗載台80の耐久性が向上し、いっそう長期間にわたっての使用が可能となる。
【0035】
そして、補強板95を左右方向中央部の二条分の長さにすることにより、補強板95に必要な資源の量やコストを低減することができる。
また、図5に示すごとく、苗載台80の裏面下部左右に螺子溝を内部に刻んだ持上支持軸46を固着したブランケット45を設け、前記リードカム82aの機体後側に側面視L字型の持上ガイド43を取り付け、該持上ガイド43に側面製L字型の移動溝43aを形成する。そして、該持上ガイド43の移動溝43aと前記ブランケット45の取付孔(図示省略)に前記持上支持軸46の端部を貫入させ、該持上支持軸46に一側が移動溝43aの幅よりも大径の連結ボルト44の螺子部を差し込んで、苗載台80と苗載台支持フレーム123とを連結すると共に苗載台80を上下方向に移動させて任意の位置で持上支持する苗載台保持機構40を構成する。
【0036】
苗載台80の周辺の清掃やメンテナンスを行う際には、連結ボルト44を緩めて持上支持軸46が移動溝43a内を移動可能な状態とし、苗載台80を上方に持ち上げて連結ボルト44を締め直すと、苗載台80が上方に持ち上げられた姿勢で保持されるので、苗載台支持フレーム123と苗載台80の下部の横板81との間に作業者が入り込む空間部を確保することができ、掃除やメンテナンス作業の作業能率が向上する。
【0037】
そして、苗載台支持フレーム123の左右両側に苗載台80を上方に吊り上げる吊上フック48,48を回動自在に設ける。該吊上フック48,48は苗載台80の左右方向への移動に伴い苗送りベルト79を所定間隔で駆動させる苗送りシャフト89と、該苗送りシャフト89と同径の吊下バー89aにそれぞれ引っ掛けて苗載台80を上方に吊り上げる。
【0038】
上記構成により、苗載台保持機構40を操作して持ち上げ状態となった苗載台80を左右の吊上フック48,48で上方に持ち上げることができるので、苗載台80が自重で下降していくことが防止され、苗載台80と苗載台支持フレーム123との間の作業者が掃除やメンテナンスを行なう空間部が確保され続けるため、作業能率が向上する。
【0039】
なお、苗載台80を下げるときは、左右の吊下フック48,48は苗送りシャフト89及び吊下バー89aから外しておく。この状態で吊下フック48,48が機体の振動等で回動しても、取付位置は他の部材に干渉するものではないが、苗載台支持フレーム123に吊下フック48,48を固定する回動規制フック140,140を設けてもよい。
【0040】
上記構成に加えて、図13で示すように、苗載台支持フレーム123に上端部側を回動可能に設ける上下方向に複数の受孔141a…を形成した左右の吊下アーム141,141を設け、調節孔142aを形成すると共に中空部を形成した左右の吊下フック142,142を該吊下アーム141,141に挿入し、任意の調節孔142aと受孔141aとを合わせてピン等の固定部材143で連結して、長さ調節可能な左右の吊下フック144,144を構成してもよい。
【0041】
上記構成により、吊下フック144,144の長さを調節することができるので、長さを変更して苗載台80の傾斜角度を任意に調節することができるので、作業者は苗載台80と苗載台支持フレーム123との間の空間部で作業を能率的に行なうことができる。
【0042】
また、メンテナンス作業が終了した後は吊下フック144,144の長さを最も短くすることにより、吊下フック144,144が回動しても他の部材に干渉することを防止できる。
【0043】
図7、図8に示すように、下側移動ガイドアーム121の左右両端部に左右のスタンドアーム47,47を機体上下方向に回動可能に設け、該スタンドアーム47,47を下方へ回動させると先端部が横枠81の溝に当接して、メンテナンス作業中等に苗載台80が自重で降下することを防止するので、苗載台80と苗載台支持フレーム123との間の空間部が確保され、作業能率が向上する。
【0044】
該左右のスタンドアーム47,47の先端部にゴムや樹脂製のキャップ46aを夫々嵌め込むことにより、苗載台80の重量がかかってスタンドアーム47,47が横枠81を擦ることがあっても、横枠81が傷付きにくいため、耐久性が向上する。
【0045】
図3で示すように、支持ローラ122を設ける苗載台支持フレーム123には苗載台80が左右移動端に到達したことを検出する左右各々の移動端センサ131を設け、該移動端センサ131は苗載台80の左右方向端部の裏面側に突出する仕切り壁部80aが当たって移動を検出する構成となっている。
【0046】
苗送りベルト79は、駆動ローラ84と従動ローラ85に無端状に巻き掛けられ、該駆動ローラ84は左右方向の苗送り駆動軸86と一体回転するように設けられている。苗送り駆動軸86は、2条毎に設けられ、各々のラチェット機構87により、苗送りベルト79が苗送りする方向にだけ回転を伝達するようになっている。従って、苗送りベルト79が、苗載台80の左右移動端で該苗載台80上の苗を苗受枠81側へ送る苗送り装置97となる。
【0047】
苗送りベルト79の駆動機構は図3、4に示すごとく、下記の構成となっている。すなわち、伝動ケース77の左右両側からそれぞれ突出して回転駆動する駆動側アーム88が設けられている。尚、伝動ケース77の右側の駆動側アーム88は、リードカム軸82を介して回転駆動する。また、苗送り駆動軸86の上側には左右方向の苗送りシャフト89が2条毎に設けられ、それに従動側アーム90が取り付けられている。苗送りシャフト89と苗送り駆動軸86とは、各々第一アーム91並びに第二アーム92及びリンク93とからなるリンク機構94により伝動連結されている。
【0048】
苗載台80が左右移動行程の端部に到達すると、駆動側アーム88が従動側アーム90にその下側から当たって、苗送りシャフト89を所定角度回転させる。その回転がリンク機構94及びラチェット機構87を介して苗送り駆動軸86に伝達される。これにより、苗送りベルト79が所定量だけ作動する。尚、苗載台80が左右移動両端部でそれぞれ苗送り動力を伝達できるように、1個の駆動側アーム88に対して左右に2個の従動側アーム90が同一の苗送りシャフト89上に設けられている。駆動側アーム88が従動側アーム90から離れると、苗送りシャフト89に係止したスプリングの張力によって苗送りシャフト89及び従動側アーム90は駆動前の位置に戻る。
【0049】
尚、リンク機構94及びラチェット機構87は、右側2条分のものは苗載台80の右端部、中央2条分のものは右から3条目の苗載部80bの右端部、左側2条分のものは苗載台80の右端部に配置されている。中央2条分のリンク機構94及びラチェット機構87は、左右一方側左側に偏位する伝動ケース77の苗送り伝動部77aに対して左右他方側右側に偏位して配置されるので、苗載台80と伝動ケース77を前後に近づけながら、伝動ケース77に干渉しないようにできる。ラチェット機構87には、各々2条分の苗送りベルト79の駆動を入切する苗送りクラッチを備えている。従って、該苗送りクラッチを操作する苗送りクラッチワイヤ132が、ラチェット機構87から苗載台80の裏面側で該苗載台80に沿って設けられている。
【0050】
尚、苗送りクラッチワイヤ132の他端は、2条毎の植付を入切する畦クラッチレバー133に連結されている。この畦クラッチレバー133は、走行車体2の後部に計3本設けられている。
【0051】
また、苗植付部4の苗載台80の前側には、横枠81を上下動させて苗植付装置37が苗取出口78で取り出す一株あたりの苗の量を変更する苗取り量変更レバー134を設けている。
【0052】
駆動側アーム88は、伝動ケース77の苗送り伝動部77aの左右両側の適宜位置に左右各々2個ずつ設けられている。右外側の駆動側アーム88は、苗載台80が左右移動右端に移動したとき、右の苗送りシャフト89の右側の従動側アーム90に当たる。右内側の駆動側アーム88は、苗載台80が左右移動右端に移動したとき、中央の苗送りシャフト89の右側の従動側アーム90に当たると共に、苗載台80が左右移動左端に移動したとき、右の苗送りシャフト89の左側の従動側アーム90に当たる。左内側の駆動側アーム88は、苗載台80が左右移動左端に移動したとき、中央の苗送りシャフト89の左側の従動側アーム90に当たると共に、苗載台80が左右移動右端に移動したとき、左の苗送りシャフト89の右側の従動側アーム90に当たる。左外側の駆動側アーム88は、苗載台80が左右移動左端に移動したとき、左の苗送りシャフト89の左側の従動側アーム90に当たる。従って、計6個の従動側アーム90に対して、駆動側アーム88の個数を4個として数を削減させている。
【0053】
尚、左右各々の苗送りシャフト89における左右各々の従動側アーム90は、該苗送りシャフト89の左右中央部に配置しているが、左右中央の苗送りシャフト89における左右の従動側アーム90は、該苗送りシャフト89の左右両端部に配置している。これにより、左右移動で振り分けて伝動ケース77の左右両側内側の駆動側アーム88から左右中央の苗送りシャフト89へ動力を伝達することができると共に、左右内側の駆動側アーム88を左右の苗送りシャフト89へ動力を伝達するアームとして兼用できる。また、各苗送りシャフト89の左右の従動側アーム90を、各苗送りシャフト89において略左右対称な位置に配置でき、2条毎で略左右中央に配置される後述する苗移動量変更モータ135による苗送り量の変更設定を高精度で行える。
【0054】
苗載台80の各条の苗載部80bの苗送りベルト79近くの適宜位置には、各々苗減少センサ136を設けている。この苗減少センサ136は、苗の有無を検出することにより、苗載台80上の適宜の位置で苗が減少したことを検出する。また、右から1条目、4条目及び6条目の苗載部80bの苗送りベルト79近くの適宜位置には、各々苗移動量センサ137を設けている。この苗移動量センサ137は、スプリング138で苗側上側に回動する側に付勢されたセンサ取付アーム146の先端に設けられ、外周面が苗の底面に接触して回転するローラ式であり、その回転角度を検出する回転角度検出型のセンサポテンショメータを備え、苗送りベルト79の苗の移送方向への苗載台80上の苗の移動量を検出する。尚、後述する苗移動量変更モータ135による苗送りベルト79の苗の最大移送量よりも、苗移動量センサ137の外周長が大きくなるよう構成されている。
【0055】
苗載台80の苗載面80cの上側には、マット苗の床部の上面に当たって該マット苗を苗載面80c側へ押圧する苗押え具130が設けられている。この苗押え具130により、マット苗を苗送りベルト79側に適度に押圧し、苗送りベルト79で確実に精度良くマット苗を移送できるようにしている。
【0056】
苗植付部4の下部には、中央2条分の苗植付位置を整地するセンターフロート100、及び左右それぞれ外側2条分の苗植付位置を整地するが設けられている。これらのフロートであるセンターフロート100及びサイドフロート101を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート100及びサイドフロート101が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置37により苗が植付けられる。各フロート100,101は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート100の前部の上下動が上下動検出機構により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ76を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0057】
施肥装置5は、肥料粉粒体貯留タンク110に貯留されている肥料粉粒体を各条の肥料粉粒体繰出部63によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を粉粒体移送ホース111でセンターフロート100及びサイドフロート101に取り付けた施肥ガイド112まで導き、施肥ガイド112の前側に設けた作溝体113によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。
【0058】
モータ114で駆動のブロア115で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ116を経由して肥料移送ホース111内に吹き込み、肥料移送ホース111内の肥料を苗植付部4側の施肥ガイド112へ強制的に移送するようになっている。施肥溝内に供給された肥料は、施肥ガイド112及び作溝体113の後方でセンターフロート100及びサイドフロート101に取り付けた覆土板117により覆土される。
【0059】
各条の施肥ガイド112及び作溝体113は、対応する苗植付装置37との位置関係距離を均一にして各条の肥効を均一化することが望ましいので、それぞれ前後方向において同じ位置機体側面視で同じ位置に配置される。同様に、各条の覆土板117も対応する施肥ガイド112、作溝体113及び苗植付装置37との位置関係を距離が均一になるにすることが望ましい。何故ならば、覆土板を前寄りに位置させて施肥ガイドに近づけ過ぎると、覆土板で押し寄せられる泥が施肥ガイド内に供給されて該施肥ガイドに泥が詰まるおそれがあり、覆土板を後寄りに位置させて施肥ガイドから離し過ぎると、覆土板で覆土するまでに圃場内の水等により施肥溝の底から肥料が若干浮き上がって、その結果覆土量が少なくなり、適切な肥効が得られなくなるおそれがあるからである。
【0060】
この乗用型の田植機1において、苗移動量センサ137は、移動端センサ131の検出に基づき、苗送りベルト79が前回の苗送り作動を完了させたタイミングから当回の苗送り作動が完了するまでの間、苗の移動量を検出し、検出した移動量を制御部147に入力する。制御部147は、入力された実移動量と苗取り量変更レバーセンサ134aから演算した設定移動量を比較し、実移動量が設定移動量より大きいときには次回の苗送り量が小さくなるように、逆に実移動量が設定移動量より小さいときには次回の苗送り量が大きくなるように、苗移送量変更モータ135へ出力し該苗移送量変更モータ135を作動させる。また、フロントカバー22に設けた苗送り量調節ダイヤル145により、該苗送り量調節ダイヤル145からの信号が制御部147に入力され、前記設定移動量を補正して変更できる構成となっている。
【0061】
畦クラッチレバーセンサ133a及び苗減少センサ136からの信号が制御部147に入力され、苗送りクラッチの伝動を切っているとき、又は2条毎において何れか一方の苗減少センサ136により苗が減少したことを検出したとき、制御部147は、苗移送量変更モータ135へ出力して苗取り量変更レバーセンサ134aの検出に基づく基準位置に苗移送量変更モータ135を戻す。
【0062】
そして、苗量センサ140からの信号が制御部147に入力され、制御部147は、苗の量が多いとき苗量センサ140の位置に苗があるときは設定移動量を小さく補正する。また、前後進変速レバーセンサ24aからの信号が制御部147に入力され、制御部147は、作業速度が速いときには設定移動量を大きく補正する。
【0063】
対応する2条の苗減少センサ136のうちの何れかの苗減少センサ136により苗が減少したことが入力されると、制御部147は、苗減少の警報を発すると共に、苗移動量センサ137の検出に拘らず、苗移送量変更モータ135へ出力して苗取り量変更レバーセンサ134aの検出に基づく基準位置に苗移送量変更モータ135を戻す。
【0064】
尚、制御部147は、全ての苗量センサ140がOFFからONになる回数を累計してカウントし、このカウント値を2倍して苗載台80に補給された概ねのマット苗の枚数を計数する構成としてもよい。これにより、作業者が苗の使用枚数を把握できたり、その使用枚数に応じて適正なマット苗枚数で植付作業が行えるように前記設定移動量を補正して苗送り量を変更したりすることができる。
【0065】
また、ハンドル23操作等に基づく機体旋回中でも苗移動量センサ137で苗の移動量を検出するようにしているので、更なる苗送り量の適正化が図れる。
尚、苗量センサ140の検出により苗の量が多いとき、センターフロート100の迎い角を前下がり側に補正する等して、苗植付部4の昇降制御の制御感度を敏感側に補正するようにしてもよい。また、苗量センサ140の検出により苗の量が多いとき、苗取り量変更レバー134を自動的に作動させる等して、苗取り量が多くなるように補正してもよい。
【0066】
また、植付昇降操作スイッチにより苗植付部4を非作動状態にしたとき、前後進変速レバーセンサ24aにより前後進変速レバー24を中立位置に操作して走行を停止させたことを検出したとき、あるいは苗移動量センサ137で検出した苗の移動量が極端に大きいときは、苗移動量センサ137による苗の移動量の検出を行わない構成としてもよい。これにより、苗載台80への苗補給時に誤検出するようなことを防止できる。
【符号の説明】
【0067】
40 苗載台保持機構(保持機構)
43 持上ガイド(持上案内部材)
43a 移動溝
46 持上支持軸(持上支持部材)
47 スタンドアーム(上昇支持部材)
48 吊上フック(吊上部材)
79 苗送りベルト(苗送り装置)
80 苗載台
123 苗載台支持フレーム(苗載台支持機枠)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後部に昇降リンク装置(3)を介して苗載台支持機枠(123)を設け、該苗載台支持機枠(123)に載置された苗を送り出す苗送り装置(79)を備える苗載台(80)を設けた苗移植機において、該苗載台(80)の下部と苗載台支持機枠(123)を保持機構(40)で連結し、該苗載台(80)を苗載台支持機枠(123)に沿って上下方向に移動自在に構成し、前記保持機構(40)に苗載台(80)を任意の上下位置で支持する持上支持部材(46)を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記保持機構(40)を、苗載台(80)を左右に摺動させる摺動機構(82a)の後部に設ける持上案内部材(43)と、該持上案内部材(43)に形成する移動溝(43a)と、該移動溝(43a)内を移動自在に設ける持上支持部材(46)で構成し、該持上支持部材(46)を苗載台(80)に設ける連結部材(45)に貫入させて前記苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)とを連結する構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記苗載台支持機枠(123)に苗載台(80)を上方に吊り上げる吊上部材(48)の基部を設け、該吊上部材(48)の端部を苗載台(80)の左右移動に伴い苗を送り出す苗送り装置(79)を所定間隔ごとに作動させる苗送り軸(89)に装着可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。
【請求項4】
前記苗載台支持機枠(123)の下部に設ける横枠(81)に接触して苗載台(80)を支持する上昇支持部材(47)を苗載台(80)の下部に設け、該上昇支持部材(47)を上下方向に回動自在に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。
【請求項1】
走行車体(2)の後部に昇降リンク装置(3)を介して苗載台支持機枠(123)を設け、該苗載台支持機枠(123)に載置された苗を送り出す苗送り装置(79)を備える苗載台(80)を設けた苗移植機において、該苗載台(80)の下部と苗載台支持機枠(123)を保持機構(40)で連結し、該苗載台(80)を苗載台支持機枠(123)に沿って上下方向に移動自在に構成し、前記保持機構(40)に苗載台(80)を任意の上下位置で支持する持上支持部材(46)を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記保持機構(40)を、苗載台(80)を左右に摺動させる摺動機構(82a)の後部に設ける持上案内部材(43)と、該持上案内部材(43)に形成する移動溝(43a)と、該移動溝(43a)内を移動自在に設ける持上支持部材(46)で構成し、該持上支持部材(46)を苗載台(80)に設ける連結部材(45)に貫入させて前記苗載台(80)と苗載台支持機枠(123)とを連結する構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記苗載台支持機枠(123)に苗載台(80)を上方に吊り上げる吊上部材(48)の基部を設け、該吊上部材(48)の端部を苗載台(80)の左右移動に伴い苗を送り出す苗送り装置(79)を所定間隔ごとに作動させる苗送り軸(89)に装着可能に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。
【請求項4】
前記苗載台支持機枠(123)の下部に設ける横枠(81)に接触して苗載台(80)を支持する上昇支持部材(47)を苗載台(80)の下部に設け、該上昇支持部材(47)を上下方向に回動自在に構成したことを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−205908(P2011−205908A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73908(P2010−73908)
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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