説明

苗移植機

【課題】種々の苗の種類にも対応でき、多くの苗を収容可能な予備の苗載台を備えた苗移植機の提供である。
【解決手段】植付条数が所定値以上で予備苗載台25の左右幅よりも小さい苗載部6eを有する苗載台6を設けると、各予備苗載台25,25の左右外側端部L1は苗載台6の左右外側端部M1よりも左右外側に位置すると共に、左右内側端部L2は苗載台6の左右最外側の植付条の苗載部6eの左右内側端部M2よりも内側に位置することで、予備苗載台25に多くの苗を収容でき、機体のコンパクト化も図れる。また、各苗載部6eの左右方向幅が各予備苗載台25の左右方向幅に近似し、且つ植付条数が所定値未満の苗載部6eを有する苗載台6を設けると、左右の予備苗載台25,25の左右内側端部L2は苗載台6の左右最外側の植付条の苗載部6eの左右内側端部M2よりも外側に位置し、植付条間及び植付条数が異なる苗載部6eを有する苗載台6も装着できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行車体に苗植付装置を連結した苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右に複数設けた苗載部に苗を載せて左右移動して苗を一株分づつ前記苗載部に対応する左右に複数設けた苗取出口へ供給する苗載台と、苗取出口の苗を取って植え付ける左右に複数設けた苗植付装置を備える苗植付部と、粉粒体となる肥料や薬剤を貯溜する粉粒体貯溜部と該粉粒体貯溜部内の粉粒体を所定量づつ繰り出す繰出部とを備えた粉粒体吐出装置と、苗植付面を滑走しながら整地するフロートなどを走行車体に設けた苗移植機となる多条植形態の乗用型田植機が知られている。
【0003】
このような多条植形態の乗用型田植機では、作業効率を高めるために多くの苗を収容する必要があり、苗植付部の苗載台の他にも予備の苗載台を設けている。この予備の苗載台は通常、田植機の前部左右両側に設けられ、苗植付部の苗載台上の苗が少なくなると予備の苗載台上の苗を苗植付部の苗載台上に移すことで植え付け作業を継続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−53939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、上記特許文献1に記載の4条植えの乗用型田植機には、車体後部に昇降可能に装着された苗植付部に設けられた左右に往復動する苗載台と、車体前部の操縦席のハンドルの左右両側に設けられた予備の苗載台とを備えた構成が開示されている。このような乗用型田植機では、予備の苗載台に苗を収容しており、苗植付部の苗載台上の苗がなくなっても予備の苗載台上の苗を移すことで植え付け作業を中断することなく継続できる。
【0006】
しかし、植付面積の広い圃場では、予備の苗載台に収容可能な数の苗を載置しても、途中でなくなる場合もある。また、苗の種類(状態)が通常とは異なる、例えば苗をロール状に巻いた巻苗など大きさや形状が異なる苗の場合はあまり収容することができず、植え付け作業の作業効率が劣る場合もある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、種々の苗の種類にも対応でき、多くの苗を収容可能な予備の苗載台を備えた苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、下記構成によって達成される。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右の前輪(13)及び左右の後輪(15)を備える走行車体(56)と、該走行車体(56)の後方に昇降可能に連結し、前記走行車体(56)の前進方向に向かって左右に植付条数分、複数設けた苗載部(6e)から各苗載部(6e)に対応するように左右に複数設けられた苗取出口(6b)に苗載部(6e)上の苗を左右移動させて一株分づつ供給し、左右方向一列の苗が苗取出口(6b)から取り出されたら次列の苗を移送して苗取出口(6b)に送る苗載台(6)と前記苗取出口(6b)から取り出される苗を植え付ける苗植付装置(50)とを備えた苗植付部(N)と、前記走行車体(56)の前部の左右両側部にそれぞれ設けられ、前記苗載台(6)の各苗載部(6e)に補給するための苗を載せておく予備苗載台(25,25)とを設けた複数条植えの苗移植機において、植付条数が所定値以上であって、前記各苗載部(6e)の左右方向幅が前記左右の予備苗載台(25,25)の各予備苗載台(25,25)の左右方向幅よりも小さい苗載部(6e)を有する苗載台(6)を設けた場合に、前記左右の予備苗載台(25,25)の左右外側端部(L1)は前記苗載台(6)が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗載台(6)の左右外側端部(M1)よりも左右外側に位置すると共に、左右の予備苗載台(25,25)の左右内側端部(L2)は前記苗載台(6)が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗載台(6)の左右最外側の植付条の苗載部(6e)の左右内側端部(M2)よりも内側に位置する苗移植機である。
【0009】
請求項2に係る発明は、植付条数が所定値未満であって、前記各苗載部(6e)の左右方向幅が植付条数が所定値以上の各苗載部(6e)の左右方向幅よりも大きく、且つ前記左右の予備苗載台(25,25)の各予備苗載台(25,25)の左右方向幅に近似する苗載部(6e)を有する苗載台(6)を設けた場合に、前記左右の予備苗載台(25,25)の左右外側端部(L1)は前記複数の苗載部(6e)が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗載台(6)の左右外側端部(M1)よりも左右外側に位置すると共に、左右の予備苗載台(25,25)の左右内側端部(L2)は前記複数の苗載部(6e)が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗載台(6)の左右最外側の植付条の苗載部(6e)の左右内側端部(M2)よりも外側に位置する請求項1記載の苗移植機である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記走行車体(56)の上部を覆う車体カバー(31)を設け、前記植付条数が所定値以上の場合は、前記左右の後輪(15)が車体カバー(31)の左右外側に位置し、前記植付条数が所定値未満の場合は、左右の後輪(15)が車体カバー(31)の左右内側に位置する請求項1又は2に記載の苗移植機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の苗移植機によれば、各苗載部(6e)の左右幅よりも左右幅が広い各予備苗載台(25,25)により、予備苗載台(25,25)上に大きさや形状が異なる苗(苗をロール状に巻いた巻苗など)でも必要量の苗の搭載ができるので予備苗載台(25,25)への苗の搭載が容易になり、また、多くの苗を収容できる。
そして、左右最外側の植付条の苗載部(6e)の左右幅が左右の各予備苗載台(25,25)の左右幅内に収まるため、左右最外側の苗載部(6e)と左右の各予備苗載台(25)との左右位置関係が略同じ位置となる。したがって、左右の予備苗載台(25,25)又は苗載台(6)を左右外側に大きく突出させることがなく、苗移植機自体をコンパクトに構成できる。また、左右最外側の苗載部(6e)と左右の各予備苗載台(25)との左右位置関係が略同じ位置であると、予備苗載台(25)から苗載部(6e)に苗を渡しやすい。
【0012】
また、請求項2記載の苗移植機によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、左右の予備苗載台(25,25)はそのままで、植付条間及び植付条数が異なる苗載部(6e)を有する苗載台(6)を装着することができ、この状態でも、左右の予備苗載台(25,25)の左右外側端部(L1)は苗載台(6)の左右外側端部(M1)よりも左右外側に位置するが、各苗載部(6e)の左右方向幅が各予備苗載台(25,25)の左右方向幅に近似するため、左右の予備苗載台(25,25)又は苗載台(6)を左右外側に大きく突出させることがなく、苗移植機自体をコンパクトに構成できる。
【0013】
また、請求項3記載の苗移植機によれば、上記請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、植付条数が比較的多い苗載部(6e)を装着した場合は各苗載部(6e)の左右幅が比較的小さくなり、左右最外側の苗載部(6e)の内側端部が(4条植えの場合と比べて)比較的外側に位置するため、左右最外側の苗載部(6e)へ苗を補給する際に、後輪(15)を利用した方が便利である。したがって、左右の後輪(15)が車体カバー(31)の左右外側に位置することで、後輪(15)上に足を載せて左右最外側の苗載部(6e)に苗を補給することができ、苗の補給作業性が向上する。
【0014】
一方、植付条数が比較的少ない苗載部(6e)を装着した場合は各苗載部(6e)の左右幅が比較的大きくなり、左右最外側の苗載部(6e)の左右内側端部は機体の左右方向内側寄りに配置されるため、後輪(15)上に足を載せて苗を補給する必要はない。
なお、苗移植機の種類によっても異なるが、植付条数が比較的多い場合とは、例えば5条以上の場合をいい、植付条数が比較的少ない場合とは、例えば5条未満の場合をいう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の苗移植機(6条植)の側面図である。
【図2】図1の苗移植機の平面図である。
【図3】図1の苗移植機の正面図である。
【図4】図1及び図2の田植機の苗植付部の伝動機構を示した図である。
【図5】図1の田植機の畦クラッチとその作動用のケーブルの接続部を示した図である。
【図6】図1の田植機の苗送りベルトとその作動用のケーブルの接続部を示した図である。
【図7】図1の田植機の苗植付部の伝動装置部の平面図である。
【図8】図1の苗移植機の苗植付部の伝動装置部を含めた後部平面図である。
【図9】本発明の一実施形態の苗移植機(4条植)の平面図である。
【図10】図8の左側の後輪付近の詳細図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本発明の一実施形態の苗移植機として6条植田植機の左側面図を示し、図2には図1の田植機の平面図を示し、図3には図1の苗移植機の正面図を示す。また、図4には、図1〜図3の田植機の苗植付部Nの伝動機構を示す。
なお、本明細書では、田植機の前進方向に向って左右方向をそれぞれ左、右とし、前進方向を前、後進方向を後とする。
【0017】
走行車体56は、駆動輪である各左右一対の前輪13,13及び後輪15,15を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース22が配置され、そのミッションケース22の左右側方に前輪ファイナルケース80が設けられ、該前輪ファイナルケース80の操向方向を変えることができる前輪支持部から外向きに突出する前輪車軸14に前輪13,13が取り付けられている。また、左右各々の後輪ギヤケース81は、回動支点軸S回りに上下に回動し、これにより、左右の後輪15が上下して、圃場に追従する。その後輪ギヤケース81から外向きに突出する後輪車軸16に後輪15,15が取り付けられている。
【0018】
車体56のステップフロア17上には、ミッドカバー18上に運転席19を搭載し、このシートカバー18下に駆動源であるエンジンEや燃料タンク21等を設ける。また、ステップフロア17の下方左右両側にオペレータが乗降する際の乗降ステップ20を設けている。
エンジンEの回転動力がエンジン出力プーリ90(図1)からベルト91(図1)を介して無段式の静油圧式変速装置(HST)93(図1)の入力軸に伝えられ、この入力軸から油圧ポンプを駆動し、更に、静油圧式変速装置の出力軸からミッションケース22内のミッションに伝達される。ミッションケース22内のミッションに伝達された回転動力は、ケース22内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、前輪ファイナルケース80から前輪13,13、後輪ギヤケース81から後輪15,15へ伝動すると共に、植付伝動軸23にも伝動する。
【0019】
機体の前部でステップフロア17から立ち上がるステアリングポスト24部の左右両側部には、補給用の苗を載せておく予備苗載台25,25が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
また、車体56の後端部には、平行リンク形態のリフトリンク57が上下回動自在に連結され、1本の上リンク57aと左右一対の下リンク57b,57bを備えている。これらリフトリンク57は、その基部側が車体56の後端部に立設した背面視門形のリヤフレーム26に回動自在に取り付けられている。そして、車体56と下リンク57b,上リンク57aとの間の昇降シリンダ27の伸縮によって、上リンク57a及び下リンク57b,57bが上下に回動し、苗植付部Nがほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0020】
そして、リフトリンク57後端のヒッチリンク28には、前後方向に長手方向を有するローリング軸55(図7)が配置され(図1のR部分に位置している)、左右方向にローリング自在に連結しているローリング軸55の左右両側にはバネ95(図1)があり、そのバネが伸びたり縮んだりすることで、水平状態を保っている。バネ95は、車体56側と支持フレーム30に連結している。また、ローリング軸55は車体56の左右方向中央部に位置している。
【0021】
そして、苗植付部Nは6条植の構成で、苗植付部Nの植付伝動部(苗植伝動ケース)1(図4)とローリング軸55を支持する支持フレーム30(支持フレーム30が、走行車体56からローリング軸55を介して支持されているともいえる)、苗を載せて左右往復動して苗を一株づつ各条の苗取出口6b、…に供給する苗載部6e、苗載部6eを有する苗タンク(苗載台)6、及び前記苗取出口6b、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置50、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ54(図2)等を備えている。
【0022】
各苗載部6eは方形状のマット苗を収容して繰出すもので、後下りの傾斜に構成されて、下端底部には苗送りベルト6cを設け、この苗送りベルト6cの間歇的駆動によって苗を一定量毎繰出すものである。具体的には、苗タンク6は、左右に複数設けた各々の苗載部6eにマット苗を載せて左右に往復動し苗を一株分づつ各条における苗受板(前板)6aの苗取出口6bに供給すると共に横一列の苗を全て苗取出口6bに供給すると苗送りベルト6cにより苗を下方に移送する。なお、苗タンク6が左右方向移動範囲の中央位置にあるとき、苗タンク6はちょうど機体の中央部に位置している。
【0023】
そして、苗植付装置50の苗植付具59は先端が閉ループ軌跡を描いて作動し、一株分の苗を切取って土中に植込む。また、苗載部6eはマット苗毎に仕切突条部6dによって仕切られている。なお、苗送りベルト6cは車体56の前進方向に向かって前後方向又は上下方向に苗を移送する。本実施形態では、苗送りベルト6cは車体56の前進方向に向かって後方下部に苗を移送する。
【0024】
苗植付部Nの下部には中央にセンターフロート51、その左右両側にサイドフロート52がそれぞれ設けられており、これらセンターフロート51、サイドフロート52を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート51、サイドフロート52が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置50、…により苗が植付けられる。前記センタフロート51とサイドフロート52は、後部を深さフレーム115後端のフロート軸40(図1)の周りに回動自在に支持し、深さフレーム115は支持フレーム30に対して上下回動可能にしてフロート軸40の高さを調節できる構成である。
【0025】
そして、各フロート(センターフロート51、サイドフロート52)は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動し、植付作業時にはセンターフロート51の前部の上下動が迎い角センサ53(図1)により検出され、その検出結果に応じて昇降シリンダ27を制御する油圧バルブ29(図1)を切り替えて苗植付部Nを昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0026】
また、手動で苗の植え付け深さを調節するための植え付け深さ調節レバー33(図8)を設けている。植え付け深さ調節レバー33の基端部は、苗の植え付け深さを変更する深さフレーム115(図1)の回動軸35に固着連結しており、植え付け深さ調節レバー33を操作することで、深さフレーム115が上下に回動して苗の植付深さを変更できる。また、植え付け深さ調節レバー33の隣には、苗植付装置50が苗取出口6bで取り出す一株あたりの苗の量を変更する苗取り量調節レバー34(図8)を設けている。
【0027】
前記苗植付装置50の植付伝動部1は、左右方向に幅広い形態であり、後部を左右に分岐させて各センタフロート51、及びサイドフロート52の上部に沿って後方へ突出してフォーク状形態に分岐部を形成している。
植付伝動軸23によって苗植付部Nへ伝動される動力は、苗植付部Nに備える植付伝動部1内へ伝動され、該植付伝動部1内から各条の苗植付装置50及び苗送りベルト6cへ伝動される。植付伝動部1内で動力を分岐して各2条毎の単位で苗植付装置50へ伝動する分岐伝動部41が設けられ、該分岐伝動部41の伝動を入切する植付用部分クラッチ61が設けられ、植付用部分クラッチ61から分岐伝動部41にはチェン178(図4)により動力が伝導される構成であり、植付用部分クラッチ61により苗植付装置50を2条毎に停止させることができる。
【0028】
苗植付装置50の作動及び停止を隣接する2条づつの単位で切り替える植付用部分クラッチ61は、畦際での作業時に「切」に操作されることが多いことから、通常「畦クラッチ」と呼ばれている。なお、植付用部分クラッチ61の操作に連動してそれに対応する植付条の苗送りベルト6cも停止させる連動機構が設けられている。植付用部分クラッチ61を操作する各々の畦クラッチレバー62(図1)が運転席19の後側で且つ苗タンク6の上部の前方に設けられている。
【0029】
また、図4に示すように、植付伝動部1内の動力からの駆動により苗送り駆動カム170が常時回転し、苗載部6eの左右移動端で苗送り駆動カム170が苗送りアーム172、172に係合することで苗送りアーム172と一体の回転軸174が回動し、174の回動により左右のリンク176を介して左右の苗送り用部分クラッチ63も駆動し、苗送り用部分クラッチ63から苗送り駆動ローラ220を駆動して、苗送りベルト6cを駆動する。
【0030】
そして、図5には植付用部分クラッチ61とその作動用の植付用ケーブル72の接続部を示し、図6には苗送りベルト6cとその作動用の苗送りケーブル73の接続部を示している。
植付伝動部1内に設けられた植付用部分クラッチ61は苗植付装置50の伝動軸50aに固着した駆動側クラッチ体206と該クラッチ体206のクラッチ歯206aと係脱自在のクラッチ歯207aを有する受動側クラッチ体207を備えており、該受動側クラッチ体207はスプリング209とスプロケット210とワッシャ211により常時伝動軸50a側に付勢されており、常時は植付用部分クラッチ61は作動状態にある(植付用ケーブル72を引いた状態)。
【0031】
受動側クラッチ体207の側面にはクラッチピン溝207bが設けられており該溝内に植付用ケーブル72の先端に接続された畦クラッチピン213が挿脱自在に設けられている。畦クラッチピン213は植付伝動部1の壁面の穴を貫通するように穴内に設けられ、かつスプリング214で植付伝動部1の壁面から植付伝動部1の内側に突出自在になっている。従って植付用ケーブル72を引くと畦クラッチピン213は受動側クラッチ体207のクラッチピン溝207bから引き抜かれる方向に移動される。畦クラッチピン213は受動側クラッチ体207のクラッチピン溝207b内を所定の引き抜き量で引き抜かれると、スプリング214の付勢力により植付用部分クラッチ61が「入」となる。植付用部分クラッチ61は苗の植え付けを行わない時(植付用部分クラッチ61:「切」)は定位置停止クラッチとなっており、植付用ケーブル72を引くと植付用部分クラッチ61が「入」となる。
【0032】
植付用部分クラッチ61を切にするときは、植付用ケーブル72が弛められるので、圧縮スプリング214の付勢により畦クラッチピン213がクラッチピン溝207bに入り、その状態で受動側クラッチ体207が回転することにより、クラッチピン溝207bの案内により受動側クラッチ体207が圧縮スプリング209に抗して徐々に該圧縮スプリング209側に移動し、受動側クラッチ体207の所定の回転位置(クラッチピン溝207bの回転方向端部に畦クラッチピン213が位置する状態)でクラッチ歯206a、207aの係合が初めて外れ、受動側クラッチ体207が定位置で停止する。なお、圧縮スプリング209の付勢力で、圧縮スプリング214が縮んで畦クラッチピン213が植付用ケーブル72側へ押し戻されることはない。
そして、植付用部分クラッチ61が「入」となると、スプロケット210に係止しているチェン216が駆動され、苗植付装置50が作動する。
【0033】
図6には苗送りベルト6cの作動機構の構成を示す。苗送りケーブル73はL字状のシフターアーム219の一端部に接続しており該シフターアーム219の他端部は苗送り駆動ローラ220の駆動側クラッチ体221に接続しており、苗送りケーブル73の「入」、「切」側への動きに応じて駆動側クラッチ体221が「入」、「切」に切り替わる構成になっており、苗送り用部分クラッチ63を構成している。駆動側クラッチ体221は苗送りローラ220にクラッチ歯220a、221aを介して係脱可能な構成であり、苗送り駆動ローラ220の駆動側クラッチ体221とは反対側には隣接条の苗送り駆動ローラ220に常時噛合したクラッチ歯を介して接続している。苗送り駆動ローラ220の並列位置に苗送り従動ローラ223があり、これらの駆動ローラ220、従動ローラ223間には苗送りベルト6cが巻かれている。
【0034】
畦クラッチレバー62の操作により、植付用部分クラッチ61の受動側クラッチ体207を作動・非作動に切り換えることができ、また苗送りベルト6cの駆動側クラッチ体221を作動・非作動に切り換えることができる。すなわち、畦クラッチ作動用の植付用ケーブル72を畦クラッチ作動側に動かし、同時に苗送りベルト作動用の苗送りケーブル73を苗送りベルト作動側に動かすことができ、また、畦クラッチ作動用の植付用ケーブル72を畦クラッチ非作動側に動かし、同時に苗送りベルト作動用の苗送りケーブル73を苗送りベルト非作動側に動かすことができる。このように、各畦クラッチレバー62の操作で苗植付装置50と苗送りベルト6cを同時に作動させることができ、また同時に非作動とさせることができる。
【0035】
図7には、図1の苗移植機の苗植付部Nの植付伝動部1の平面図を示す。また、図8には、図1の苗移植機の苗植付部Nの植付伝動部1を含めた後部平面図を示す。
前記植付伝動部1は、中央部のセンタケース2の左右両側部にチューブ形態のスペーサケース44を介してサイドケース43を連結して一体的構成として、フォーク状形態に形成する。このフォーク状形態の柄部に当るセンタケース2部のほぼ同じ位置にローリング軸55を設けると共に、この右寄り位置に入力軸3を設けて、前記植付伝動軸23に連結する。
【0036】
各センタケース2及びサイドケース43の後端部に軸装される植付軸9の左右両側部には植付ケース36が設けられる。各植付ケース36の前後端部には、植付軸9に連結したフレーム46に支持された苗植付具59が設けられて、この植付ケース36の回転によって垂下姿勢を維持して昇降駆動されながら、上部の苗取出口6bで分離保持した苗を土壌面に挿植するもので、センタケース2、サイドケース43毎に二条植形態とし、全体で六条植えの構成としている。
【0037】
センタケース2とサイドケース43の前部間には、該スペーサケース44内部を経て横方向にわたって伝動軸4が軸装され、この伝動軸4から分岐伝動部41、センタケース2、サイドケース43内の縦伝動機構であるチェン178を介して植付軸9が伝動回転する。更に各分岐伝動部41には植付用部分クラッチ61が設けられ、この植付用部分クラッチ61を入り切りすることによってセンタケース2、サイドケース43部への伝動が入り、切りされる。畦クラッチレバー62(図8)を矢印A方向に操作すると植付用部分クラッチ61が入りになり、畦クラッチレバー62を矢印A方向とは反対方向に操作すると植付用部分クラッチ61が切りになる。
【0038】
この植付用部分クラッチ61は各センタケース2及びサイドケース43毎に設けられるため、畦際作業で苗植作業を停止しようとする条数域にわたる個所の植付用部分クラッチ61を切り操作できる。このとき、各植付用部分クラッチ61は、二条植の分岐伝動部41の伝動を入り切りする形態であるため、二条植毎の植付用部分クラッチ61の操作となる。
また、この各分岐伝動部41には安全クラッチ8が設けられ、安全クラッチ8は、分岐伝動部41の伝動軸4上には該伝動軸4とチエンスプロケット67との間で動力を伝達するクラッチ爪を備えて、スプリング68によってチエンスプロケット67側へ押圧されている。チエンスプロケット67は伝動軸4周りに回転自在で、このチエンスプロケット67側に苗植付過負荷が働くことによって、この安全クラッチ8部がクラッチ切りになる。
【0039】
前記中央部のセンタケース2の前部には、チェン178、及び前記ローリング軸55の右側にカム軸伝動ケース12が形成されて、前記苗載部6eの底部下側に横方向に沿って設けられるリードカム軸10の右端部を軸受けする。カム軸伝動ケース12内にはリードカム軸10の右端部と伝動軸4との間のチェン伝動からなるカム軸伝動機構11が設けられ、カム軸伝動機構11、カム軸伝動ケース12からなる横伝動部により、伝動軸4からリードカム軸10に動力が伝動される。
【0040】
このリードカム軸10は周面に往復螺旋状のカム溝47が形成されて、左右移動自在に支持された苗載部6e底部下面に突出するリードカム48を嵌合させて、このリードカム軸10の回転によって苗載部6eをタンク幅にわたって左右へ往復移動させる。このリードカム軸10の先端部には苗送り駆動カム170を有して、この苗送り駆動カム170の回転によって苗送りアーム172(図4)が駆動し、苗載部6eが左右横端部に移動する毎に苗送りベルト6cを一定量毎に駆動して、苗載部6eのマット苗を苗受板6a側へ移送する。
【0041】
苗植作業時に苗植付部Nはローリング軸55周りにローリング自在の状態にあって、センタフロート51、サイドフロート52の接地滑走により、土壌面や耕盤等が左右に傾斜すると、このローリング軸55の周りにローリング制御されて、各フロート51、52による滑走土壌面をできるだけ水平面に維持するように均平にして、苗植深さを揃えるように維持する。
【0042】
苗植付部Nの伝動機構について説明する。
エンジンEからの動力が植付伝動軸23を介して入力軸3へ伝動されて伝動軸4が回転し、センタケース2、サイドケース43部の植付用部分クラッチ61、安全クラッチ8、分岐伝動部41、及びチェン178等を経て苗植付具59が作動する。また、この伝動軸4からカム軸伝動ケース12内のカム軸伝動機構11を経てリードカム軸10が回転し、苗載部6eが左右に往復移動することで、苗取出口6b上に順次苗を供給する。また、この苗の供給動作と共に、苗載部6eが左右端部に達すると、苗送り駆動カム170によって苗送りアーム172(図4)が駆動し、苗送りベルト6cにより苗を下方に移送する。そして、このようにして、苗載部6eに収容していたマット状の苗が、苗受板6a側に繰出されると共に、苗受板6aの苗取出口6bに作用する各苗植付具59によって分離保持されて、センタフロート51、各サイドフロート52で均平された土壌面に植付けられる。
【0043】
そして、本実施形態によれば、ステアリングポスト24部の左右両側部に、それぞれ予備苗載台25,25を設けており、これら予備苗載台25,25に苗を収容することで、苗タンク6の苗載部6e上の苗がなくなっても予備苗載台25,25上の苗を移すことで植え付け作業を中断することなく継続できる。
しかし、植付面積の広い圃場では、予備苗載台25,25に収容可能な数の苗を載置しても、途中でなくなる場合もある。また、苗の種類(状態)が通常とは異なる、例えば苗をロール状に巻いた巻苗など大きさの大きい苗の場合はあまり収容することができず、植え付け作業の作業効率が劣る場合もある。
【0044】
そこで、本実施形態の苗移植機によれば、植付条数が所定値以上(例えば5条以上、本実施形態では6条である)の苗載部6eを有する苗タンク6を設けた場合に、左右の予備苗載台25,25の左右外側端部L1(図2)は苗タンク6が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗タンク6の左右外側端部M1よりも左右外側に位置すると共に、左右の予備苗載台25,25の左右内側端部L2は苗タンク6が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗タンク6上の左右最外側の植付条の苗載部6eの左右内側端部M2よりも内側に位置している。
【0045】
このように、各苗載部6eの左右幅よりも左右幅が広い各予備苗載台25,25により、予備苗載台25,25上に大きさや形状が異なる苗(苗をロール状に巻いた巻苗など)でも必要量の苗の搭載ができるので予備苗載台25,25への苗の搭載が容易になり、また、多くの苗を収容できる。
そして、左右最外側の植付条の苗載部6eの左右幅が左右の各予備苗載台25,25の左右幅内に収まるため、左右最外側の苗載部6eと左右の各予備苗載台25との左右位置関係が略同じ位置となる。したがって、左右の予備苗載台25,25又は苗載台6を左右外側に大きく突出させることがなく、苗移植機自体をコンパクトに構成できる。また、左右最外側の苗載部6eと左右の各予備苗載台25との左右位置関係が略同じ位置であると、予備苗載台25から苗載部6eに苗を渡しやすい。
【0046】
また、図2に示すように、本実施形態の苗移植機には、走行車体56の上部を覆う車体カバー31を設けている。
そして、左右の後輪15は車体カバー31の左右外側に位置し、左右の後輪15の前方に該左右の後輪15と左右方向が同じ位置になるように左右の前輪13を各々配置し、左右の前輪13と左右の後輪15との間に乗降ステップ20を設けている。
左右の前輪13と左右の後輪15の左右方向位置を揃えて、左右の前輪13と左右の後輪15との間に乗降ステップ20を設けることで、乗降ステップ20が機体の外側に大きく突出しないため、機体の左右幅をコンパクトに構成できる。
【0047】
乗降ステップ20は、オペレータが乗降する際に使うため、低い位置で前輪13の後方にある。苗移植機の走行時には藁屑などの夾雑物が前輪13で踏み込まれて、前輪13の左右方向に拡がったり、散らばるが、乗降ステップ20は前輪13の真後ろにあるため、拡がったり、散らばった夾雑物が乗降ステップ20に引っかかりにくい。
また、図1に示すように、乗降ステップ20の高さ位置は後輪15の上端高さよりも低い位置にあるため、低い位置にある乗降ステップ20や高い位置にある左右の後輪15上などに足をかけて、苗タンク6上の苗載部6eに苗を容易に補給することができ、苗の補給作業性が向上する。
【0048】
また、図2に示すように、ステップフロア17の左右外側に左右の前輪13及び左右の後輪15を設けており、本構成とすることで、ステップフロア17上の運転席19から左右の前輪13及び左右の後輪15が見えるため、前輪13の操向状態や前輪13並びに後輪15の位置を把握でき、作業性の向上を図ることができる。
【0049】
図9には、本発明の一実施形態の苗移植機(4条植)の平面図を示す。
図9には、植付条数が所定値(例えば5条)未満であって、各苗載部6eの左右方向幅が、植付条数が所定値以上(例えば図2に示す6条植え)の各苗載部6eの左右方向幅よりも大きく、各予備苗載台25,25の左右方向幅に近似する苗載部6eを有する苗タンク6を設けた場合を示している。この場合に、左右の予備苗載台25,25の左右外側端部L1は苗タンク6が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗タンク6の左右外側端部M1よりも左右外側に位置すると共に、左右内側端部L2は苗タンク6が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗タンク6の左右最外側の植付条の苗載部6eの左右内側端部M2よりも外側に位置する。
【0050】
本構成により、図1から図3に示す6条植の比較的左右幅の小さい苗載部6eを有する苗タンク6から、それよりも植付条の少なく比較的左右幅の大きい4条植えの苗載部6eを有する苗タンク6に取り替えた場合でも、車体56を共用できる。したがって、左右の予備苗載台25,25はそのままで、植付条間及び植付条数が異なる苗載部6eを有する苗タンク6を装着することができ、この状態でも、左右の予備苗載台25,25の左右外側端部L1は苗タンク6の左右外側端部M1よりも左右外側に位置するが、各苗載部6eの左右方向幅が各予備苗載台25,25の左右方向幅に近似するため、左右の予備苗載台25,25又は苗タンク6を左右外側に大きく突出させることがなく、苗移植機自体をコンパクトに構成できる。
【0051】
そして、図2に示すように、植付条数が所定値(例えば5条)以上の場合は、左右の後輪15が車体カバー31の左右外側に位置する一方、図9に示すように、植付条数が所定値未満の場合は、左右の後輪15が車体カバー31の左右内側に位置する構成としても良い。
6条植えなど植付条数が比較的多い苗タンク6を装着した場合は各苗載部6eの左右幅が比較的小さくなり、左右最外側の苗載部6eの内側端部が4条植えの場合と比べて比較的外側に位置するため、外側から苗を補給する際に、後輪15を利用した方が便利である。したがって、左右の後輪15が車体カバー31の左右外側に位置することで、後輪15上に足を載せて左右最外側の苗載部6eに苗を補給することができ、苗の補給作業性が向上する。
【0052】
一方、植付条数が比較的少ない苗載部6eを装着した場合は各苗載部6eの左右幅が比較的大きくなり、左右最外側の苗載部6eの左右内側端部は機体の左右方向内側寄りに配置されるため、後輪15上に足を載せて苗を補給する必要はない。
【0053】
図10には、図8の左側の後輪15付近の詳細図を示す。
図10には、後輪15のラグ15aをリム85に取り付ける際に、植付条数が比較的多い場合と植付条数が比較的少ない場合とで、取り付け位置を変えた例を示している。
図9に示すような植付条数が少ない場合(例えば4条植え)は、左右の後輪15,15間のトレッド(距離)が小さいため、ラグ15aのリム85と平面視で重なる位置よりも左右方向内側部分を大きくし(2点鎖線で示す)、図2に示すような植付条数が多い場合(例えば6条植え)は、左右の後輪15,15間のトレッドが大きいため、図8に示すようにラグ15aのリム85と平面視で重なる位置よりも左右方向外側部分を大きくするように(実線で示す)、左右の後輪15を入れ替えて装着する。
【0054】
植付条数が異なる場合に、左右の後輪15を入れ替えることで、植付条数が多い苗載部6eを有する苗タンク6を装着する場合でも、後輪15の車軸16の長さを短くできるため、車軸16の強度が得られる。また、後輪15の車軸16の長さを短くすることで、軽量化やコスト低減なども図れる。
また、乗降ステップ20を使用しなくても、機体前方のステップフロア17の左右方向側方から苗移植機に乗り降りすることができる。
【0055】
ステップフロア17の左右両側部には予備苗載台25,25を配置しているが、左右の予備苗載台25,25の左右方向内側端に設けた苗取り板7(図3)の裏面(下面)がステップフロア17側(予備苗載台25の支柱25aよりも左右方向内側)にしか収納できないようにすると良い。なお、図3には苗取り板7を収納した状態の図を示している。
【0056】
苗取り板7は予備苗載台25の支柱25aに設けた上部リング180と下部リング181により支持されている。苗取り板7は、苗箱からマット苗を取り出すためのもので、一端に把持部7aを形成し、他端に、マット苗の底面に挿入し易いように先が薄くなった挿入部7bを備えている。使用する場合は、収納している苗取り板7を取り外して、オペレータ(作業者)が適宜使用する。
【0057】
ステップフロア17を行き来するオペレータが左右側方の苗取り板7に触れても苗取り板7の裏面側に触れるため、表面(上面)には傷が付きにくく、苗取り板7による苗の取り出しを円滑に行うことができる。また、予備苗載台25の支柱25aと運転席19との間の通路部Tを極力広く取ることができる。
そして、図8に示すように、植え付け深さ調節レバー33と苗取り量調節レバー34を左側に配置し、左右方向に3つあるうちの中央の畦クラッチレバー62を機体中央部よりも右側に配置し、植え付け深さ調節レバー33及び苗取り量調節レバー34が配置される左側の畦クラッチレバー62の数を右側の畦クラッチレバー62の数よりも少なくなるように、これらのレバー(植え付け深さ調節レバー33、苗取り量調節レバー34、畦クラッチレバー62)を左右均等に振り分けて配置している。
【0058】
本構成を採用することにより、各レバーをコンパクトに配置できると共に、各レバーの左右の配置バランスが良いことから各レバーの操作性が向上する。
また、中央の畦クラッチレバー62の「切り」位置が植え付け深さ調節レバー33や苗取り量調節レバー34から離れる側(図8では右側)に設定することで、畦クラッチレバー62の操作性に優れる。そして、その他の畦クラッチレバー62の入り切りは図8に示すとおりである。なお、左側や右側の畦クラッチレバー62は、元々(入の状態で)左側や右側(植え付け深さ調節レバー33や苗取り量調節レバー34から離れる側)に傾いているので、操作性の問題は少ない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の苗移植機は、田植機に限らず、野菜苗などのその他の苗を植え付ける苗移植機として利用可能性がある。また、乗用型の苗移植機でも歩行型の苗移植機でもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 植付伝動部 2 センタケース
3 入力軸 4 伝動軸
6 苗タンク(苗載台) 6a 苗受板
6b 苗取出口 6b 苗取出口
6c 苗送りベルト 6d 仕切突条部
6e 苗載部 7 苗取り板
7a 把持部 7b 挿入部
8 安全クラッチ 9 植付軸
10 リードカム軸 11 カム軸伝動機構
12 カム軸伝動ケース 13 前輪
14 前輪車軸 15 後輪
15a ラグ 16 後輪車軸
17 ステップフロア 18 ミッドカバー
19 運転席 20 乗降ステップ
21 燃料タンク 22 ミッションケース
23 植付伝動軸 24 ステアリングポスト
25 予備苗載台 25a 支柱
26 リヤフレーム 27 昇降シリンダ
28 ヒッチリンク 29 油圧バルブ
30 支持フレーム 31 車体カバー
33 植え付け深さ調節レバー
34 苗取り量調節レバー
35 回動軸 36 植付ケース
40 フロート軸 41 分岐伝動部
43 サイドケース 44 スペーサケース
46 フレーム 47 カム溝
48 リードカム 50 苗植付装置
50a 伝動軸 51 センターフロート
52 サイドフロート 53 迎い角センサ
54 マーカ 55 ローリング軸
56 走行車体 57 リフトリンク
57a 上リンク 57b 下リンク
59 苗植付具 61 植付用部分クラッチ
62 畦クラッチレバー 63 苗送り用部分クラッチ
67 チエンスプロケット 68 スプリング
72 植付用ケーブル 73 苗送りケーブル
80 前輪ファイナルケース
81 後輪ギヤケース 85 リム
90 エンジン出力プーリ 91 ベルト
93 静油圧式変速装置 95 バネ
115 深さフレーム
170 苗送り駆動カム 172 苗送りアーム
174 回転軸 176 リンク
178 チェン 180 上部リング
181 下部リング 207 受動側クラッチ体
206a、207a クラッチ歯
207b クラッチピン溝 209、214 スプリング
210 スプロケット 211 ワッシャ
213 畦クラッチピン 214 スプリング
216 チェン 219 L字状のシフターアーム
220 苗送り駆動ローラ 221 駆動側クラッチ体
220a、221a クラッチ歯
223 従動ローラ
E エンジン N 苗植付部
S 回動支点軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の前輪(13)及び左右の後輪(15)を備える走行車体(56)と、
該走行車体(56)の後方に昇降可能に連結し、前記走行車体(56)の前進方向に向かって左右に植付条数分、複数設けた苗載部(6e)から各苗載部(6e)に対応するように左右に複数設けられた苗取出口(6b)に苗載部(6e)上の苗を左右移動させて一株分づつ供給し、左右方向一列の苗が苗取出口(6b)から取り出されたら次列の苗を移送して苗取出口(6b)に送る苗載台(6)と前記苗取出口(6b)から取り出される苗を植え付ける苗植付装置(50)とを備えた苗植付部(N)と、
前記走行車体(56)の前部の左右両側部にそれぞれ設けられ、前記苗載台(6)の各苗載部(6e)に補給するための苗を載せておく予備苗載台(25,25)と
を設けた複数条植えの苗移植機において、
植付条数が所定値以上であって、前記各苗載部(6e)の左右方向幅が前記左右の予備苗載台(25,25)の各予備苗載台(25,25)の左右方向幅よりも小さい苗載部(6e)を有する苗載台(6)を設けた場合に、前記左右の予備苗載台(25,25)の左右外側端部(L1)は前記苗載台(6)が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗載台(6)の左右外側端部(M1)よりも左右外側に位置すると共に、左右の予備苗載台(25,25)の左右内側端部(L2)は前記苗載台(6)が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗載台(6)の左右最外側の植付条の苗載部(6e)の左右内側端部(M2)よりも内側に位置することを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
植付条数が所定値未満であって、前記各苗載部(6e)の左右方向幅が植付条数が所定値以上の各苗載部(6e)の左右方向幅よりも大きく、且つ前記左右の予備苗載台(25,25)の各予備苗載台(25,25)の左右方向幅に近似する苗載部(6e)を有する苗載台(6)を設けた場合に、前記左右の予備苗載台(25,25)の左右外側端部(L1)は前記複数の苗載部(6e)が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗載台(6)の左右外側端部(M1)よりも左右外側に位置すると共に、左右の予備苗載台(25,25)の左右内側端部(L2)は前記複数の苗載部(6e)が左右方向移動範囲の中央位置にあるときの苗載台(6)の左右最外側の植付条の苗載部(6e)の左右内側端部(M2)よりも外側に位置することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記走行車体(56)の上部を覆う車体カバー(31)を設け、
前記植付条数が所定値以上の場合は、前記左右の後輪(15)が車体カバー(31)の左右外側に位置し、前記植付条数が所定値未満の場合は、左右の後輪(15)が車体カバー(31)の左右内側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−50311(P2011−50311A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202351(P2009−202351)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】