説明

苗移植機

【課題】予備苗載せ台を展開状態と収納状態とに切り替える際の作業者の労力や負担を軽減すると共に、作業能率が向上する苗移植機の提供である。
【解決手段】走行車体2の支持フレーム49に支持される複数の予備苗載せ台38と、予備苗載せ台38と支持フレーム49との間のリンク機構Kと、支持フレーム49に連結するシリンダ81と、シリンダ81の作動により前後方向に移動する移動部材83と、移動部材83に接触して回転し、リンク機構Kに連結する回転部材84とを備え、予備苗載せ台38を展開状態と収納状態とに切り替える切替装置50と、切替装置50の切替スイッチ70と、スイッチ70のセンサ72と、切替スイッチ70操作に応じてシリンダ81を作動する制御装置100とを設けた苗移植機である。作業者がスイッチ70操作によって予備苗載せ台38を自動的に切り替えられるので、作業者の労力や負担を軽減し、作業能率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行装置を有する機体の側部に予備の苗載せ台を備えた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗植付装置を機体後部に備えた苗移植機において、機体の側部に、複数の予備の苗載せ台からなる予備苗載部を備えた苗移植機が知られている。
下記特許文献1には、複数の予備苗載せ台が上下多段となって平面視で重複した重複状態と、前記複数の予備苗載せ台が前後向きに略一直線状になって展開した展開状態とに、前記複数の予備苗載せ台を切り替え可能に構成した苗移植機が開示されている。この切り替え機構は、1本の長いリンクアームと2本の短いリンクアームからなる平行リンク機構に複数の予備苗載せ台を取り付け、平行リンク機構の回動によって上下方向に重なり合う状態(平面視で重なる収納状態)と前後方向に略一直線状に並ぶ状態(水平方向に並ぶ展開状態)とに予備苗載せ台の状態を切り替え可能な構成である。
【0003】
そして、重複状態(収納状態)から、複数の予備苗載せ台のうちのいずれか一つの可動予備苗載せ台を、固定予備苗載せ台に対して展開状態の姿勢に変更すると、複数の予備苗載せ台が展開状態に切り替えられ、逆に、展開状態から、複数の予備苗載せ台のうちのいずれか一つの可動予備苗載せ台を、固定予備苗載せ台に対して重複状態の姿勢に変更すると、複数の予備苗載せ台が重複状態に切り替えられる構成である。
したがって、複数の予備苗載せ台の状態の切り替えを簡易迅速に行うことができ、複数の予備苗載せ台の状態切り替え作業の作業性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−232809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、引用文献1に記載の苗移植機では、1本の長いリンクアームと2本の短いリンクアームからなる平行リンク機構によって、上下方向に重なり合う状態と前後方向に略一直線状に並ぶ状態とに予備苗載せ台の状態を切り替え可能である。
しかし、この苗移植機によれば、作業者が手動で「展開状態」と「収納状態」とに切り替えなければならず、作業者にとっては負担となり、切り替え作業に労力を費やすという問題がある。また、予備苗載せ台の状態を切り替えるための作業は、他の作業を中断して行わなければならず、作業能率が低下するという問題もある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、予備苗載せ台を「展開状態」と「収納状態」とに切り替える際の作業者の労力や負担を軽減すると共に、作業能率が向上する苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、下記構成によって達成される。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行装置(10、11)を備えた走行車体(2)と、該走行車体(2)の後側に設けられ、圃場に苗を植え付ける苗植付部(4)と、前記走行車体(2)に立設する支持フレーム(49)と、該支持フレーム(49)により支持され、補給用の苗を載せておく複数の予備苗載せ台(38a,38b,38c)と、該予備苗載せ台(38a,38b,38c)と支持フレーム(49)との間に設けられ、支持フレーム(49)に対して予備苗載せ台(38a,38b,38c)を回動自在に連結させて、各予備苗載せ台(38a,38b,38c)が略同一平面上に前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台(38a,38b,38c)が平面視で重複した上下方向に並ぶ収納状態とに切り替え可能なリンク機構(K)と、前記支持フレーム(49)に連結するアクチュエータ(81)と、該アクチュエータ(81)の駆動により前後方向に移動する移動部材(83)と、該移動部材(83)に接触して回転し、前記リンク機構(K)に連結する回転部材(84)とを備え、前記アクチュエータ(81)の駆動によりリンク機構(K)を作動して、各予備苗載せ台(38a,38b,38c)を前記展開状態と収納状態とに切り替える切替装置(80)と、該切替装置(80)の切り替え操作をする切替操作手段(70)と、該切替操作手段(70)の操作状態を検出する操作状態検出手段(72)と、該操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(70)の操作状態に応じて予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態と収納状態とに切り替えるように前記アクチュエータ(81)を駆動する処理を行う制御装置(100)とを設けた苗移植機である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記切替装置(80)の前記アクチュエータ(81)を油圧式、空気圧式又は電動式のシリンダ(81)とし、前記回転部材(84)を前記リンク機構(K)の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の回動支点に連結するピニオンギア(84)とし、前記移動部材(83)を前記シリンダ(81)の伸縮方向に長手方向を有し、前記ピニオンギア(84)と噛合するラックギア(83)とし、更に平面視で前記切替装置(80)の前後位置が収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後位置よりも内側又は一致するように、前記切替装置(80)の前後方向の長さを予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後方向の長さよりも短く又は同じ長さに形成した請求項1記載の苗移植機である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記切替装置(80)の前記アクチュエータ(81)を油圧式シリンダ(81)とし、前記走行装置(10、11)を含む各装置に作動油を送油する油圧バルブ(79)と、前記油圧式シリンダ(81)と前記油圧バルブ(79)とを繋ぐ送油管(88)と、前記走行装置(10、11)の速度を中立を含む複数の速度に切り替え可能な油圧無段変速装置(23)と、該油圧無段変速装置(23)の切り替え操作を行う変速操作手段(67)と、変速操作手段(67)の切り替え位置を検出する変速位置検出手段(69)とを設け、前記制御装置(100)は、変速位置検出手段(69)により検出される変速操作手段(67)の切り替え位置が中立位置にあるときは前記切替操作手段(70)の操作を有効にして切替操作手段(70)の操作状態に応じた予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態となるように油圧バルブ(79)から油圧式シリンダ(81)に送油するが、変速位置検出手段(69)により検出される変速操作手段(67)の切り替え位置が中立位置以外の位置にあるときは前記切替操作手段(70)の操作を無効にして前記油圧バルブ(79)から油圧式シリンダ(81)に送油しない処理を行う機能を有する請求項2記載の苗移植機である。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記切替装置(80)の前記アクチュエータ(81)を油圧式シリンダ(81)とし、前記走行装置(10、11)を含む各装置に作動油を送油する油圧バルブ(79)と、前記油圧式シリンダ(81)と前記油圧バルブ(79)とを繋ぐ送油管(88)と、前記走行装置(10、11)の速度を中立を含む複数の速度に切り替え可能な油圧無段変速装置(23)と、該油圧無段変速装置(23)の切り替え操作を行う変速操作手段(67)と、変速操作手段(67)の切り替え位置を検出する変速位置検出手段(69)とを設け、前記制御装置(100)は、変速位置検出手段(69)により検出される変速操作手段(67)の切り替え位置が中立位置又は所定速度未満の位置にあるときは前記切替操作手段(70)の操作を有効にして切替操作手段(70)の操作状態に応じた予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態となるように油圧バルブ(79)から油圧式シリンダ(81)に送油するが、変速位置検出手段(69)により検出される変速操作手段(67)の切り替え位置が所定速度以上の速度位置にあるときは前記切替操作手段(70)の操作を無効にして前記油圧バルブ(79)から油圧式シリンダ(81)に送油しない処理を行う機能を有する請求項2記載の苗移植機である。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)を左右一対設け、前記リンク機構(K)と切替装置(80)を左右一対の予備苗載せ台(38a,38b,38c)にそれぞれ設け、前記制御装置(100)は、操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(70)の操作状態に応じて左右両方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態と収納状態とに切り替えるように左右それぞれの切替装置(80)のアクチュエータ(81)を作動する処理を行う機能を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機である。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)を左右一対設け、前記リンク機構(K)と切替装置(80)と切替操作手段(70)と操作状態検出手段(72)を左右一対の予備苗載せ台(38a,38b,38c)にそれぞれ設け、前記各切替装置(80)の作動状態を検出する切替作動検出手段(80)をそれぞれ設け、前記制御装置(100)は、左右一方の操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(70)の操作状態に左右一方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)が切り替わって、左右一方の切替作動検出手段(80)によって左右一方の切替装置(80)の作動状態が検出されると、他方の操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(70)の操作を無効にする処理を行う機能を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の苗移植機によれば、作業者が切替操作手段(70)を操作すると、切替装置(80)の切替アクチュエータ(81)が駆動して予備苗載せ台(38a,38b,38c)を自動的に「展開状態」と「収納状態」に切り替えることができるので、作業者が手作業で切り替えを行う必要がなく、作業者の労力や負担を軽減すると共に、作業能率が向上する。
【0014】
請求項2記載の苗移植機によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、シリンダ(81)を伸縮させるとラックギア(83)がピニオンギア(84)を回転させてリンク機構(K)を回動させる構成であることから、切替装置(80)はラックギア(83)を設けたシリンダ(81)の収縮幅に沿った細長い形状となるため、切替装置(80)が作業者の視界を遮りにくく、前方の視認性が向上する。
【0015】
また、平面視で切替装置(80)の前後方向の長さを予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後方向の長さよりも短く、または略同じ長さとしたことにより、収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後幅から切替装置(80)が突出することがなく、予備苗載せ台(38a,38b,38c)や苗移植機をコンパクトな構成とすることができる。
【0016】
請求項3記載の苗移植機によれば、上記請求項2記載の発明の効果に加えて、変速操作手段(67)が中立位置にあるとき、すなわち苗移植機が停車状態であるときは切替操作手段(70)による操作を受け付けて油圧式シリンダ(81)に送油し、変速操作手段(67)が中立位置以外にあるとき、すなわち苗移植機が走行状態であるときには切替操作手段(70)による操作を受け付けないことで、走行中に誤って切替操作手段(70)を操作しても積載した苗を予備苗載せ台(38a,38b,38c)から落とすことを防止でき、落ちた苗を拾う必要がなく作業能率が向上する。また、予備苗載せ台(38a,38b,38c)を壁等の障害物に接触させることを防止できるので、予備苗載せ台(38a,38b,38c)の破損を防止でき耐久性が向上する。
更に、油圧無段変速装置(23)等に使われていない油を利用して油圧式シリンダ(81)を伸縮させることができるので、苗移植機の油圧系がコンパクトな構成となる。
【0017】
請求項4記載の苗移植機によれば、上記請求項2記載の発明の効果に加えて、低速走行中に切替操作手段(70)の操作を受け付けることにより、作業者は機体を畦際に近付けながら予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態にすることができるので、走行停止と同時に苗の積み込み作業が行えるため、作業能率が向上する。
【0018】
また、展開状態にした予備苗載せ台(38a,38b,38c)が畦際の障害物や圃場の作業者に接触しそうな場合でも、走行速度が低速であるため、接触する前に収納状態にする操作を行うことができ、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が作業者に接触することを防止できるので安全性が十分に確保されると共に、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が壁等の障害物に接触することを防止できるので、予備苗載せ台(38a,38b,38c)の破損が防止でき耐久性が向上する。
【0019】
そして、油圧無段変速装置(23)で使われる油量が少ない状態で油圧式シリンダ(81)を伸縮させることにより、油圧不足により作動不良を起こすことを防止できるので、予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態が確実に切り替えられ、作業能率が向上する。
【0020】
請求項5記載の苗移植機によれば、上記請求項1から4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、左右一方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)を操作すると他方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態も切り替わるため、作業者は一度の操作で左右両方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態と収納状態に切り替えることができるので、作業工数が削減され、作業能率が向上する。
また、切替操作手段(70)が一つで足りるため、部品点数が削減され、コストダウンを図ることができる。
【0021】
請求項6記載の苗移植機によれば、上記請求項1から4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、左右一方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)を操作中のときは、他方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の切替操作手段(70)の操作を受け付けない構成としたことにより、作業者は操作している側の予備苗載せ台(38a,38b,38c)に集中することができるので、予備苗載せ台(38a,38b,38c)が障害物に接触しかけたときや、積載した苗が落下しそうなときに即座に対応することができるので、予備苗載せ台(38a,38b,38c)の破損が防止されると共に、落下した苗を拾う必要がなく作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態の乗用型田植機の側面図である。
【図2】図1の乗用型田植機の平面図である。
【図3】図1の乗用型田植機の予備苗載せ台を上下三段に配置した場合(収納状態)の側面図である。
【図4】図1の乗用型田植機の予備苗載せ台を同一平面に配置した場合(展開状態)の側面図である。
【図5】図1の乗用型田植機の予備苗載せ台を同一平面に配置した場合(展開状態)の平面図である。
【図6】図1の乗用型田植機の切替装置の簡略図である。
【図7】図1の乗用型田植機の制御装置のブロック図である。
【図8】切替アクチュエータとして、油圧式シリンダを採用した場合の油圧回路図である。
【図9】切替アクチュエータとして、油圧式シリンダを採用した場合の制御装置の制御の一例(フロー)である。
【図10】図1の乗用型田植機の制御装置の制御の別の例(フロー)である。
【図11】図1の乗用型田植機の制御装置のブロック図の別の例である。
【図12】図1の乗用型田植機の制御装置の制御の別の例(フロー)である。
【図13】図1の乗用型田植機の右ブレーキの側面図である。
【図14】図14(a)及び図14(b)は、図1の乗用型田植機のブレーキの要部の背面図である。
【図15】図1の乗用型田植機のアクセルペダルの側面図である。
【図16】従来の乗用型田植機のアクセルペダルの側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明の苗移植機の典型例である施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが乗用型田植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0024】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11(走行装置)を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギアケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギアケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0025】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び油圧無段変速装置(HST)23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギアケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構(図示せず)によって施肥装置5へ伝動される。
【0026】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0027】
昇降リンク装置3は平行リンク機構であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。
【0028】
メインフレーム15に固着した支持部材(図示せず)と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧式シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0029】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し、苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載せ台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ75等を備えている。
【0030】
苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ、前記昇降油圧式シリンダ46を制御する油圧バルブ(図示せず)を切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0031】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体148、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0032】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(左右の第1ロータ27a,27aと第2ロータ27bの組み合わせを単にロータ27ということがある)が取り付けられている。また、苗載せ台51は苗植付部4の全体を支持する支持部65によって、左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65bの支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗載せ台38,38が機体の前後に張り出す位置(展開状態)と上下に並んだ位置(収納状態)とに回動可能に設けられている。
【0033】
一方の機体側面にある第1予備苗載せ台38a,第2予備苗載せ台38b,第3予備苗載せ台38cを上下三段に配置した場合(収納状態)の側面図を図3に示し、第1予備苗載せ台38a,第2予備苗載せ台38b,第3予備苗載せ台38cを同一平面に配置した場合(展開状態)の側面図を図4に示し、平面図を図5に示す。これらの図は、平行リンク機構Kが分かりやすいように、収納状態と展開状態の切り替えを行う切替装置80の図示は省略している。切替装置80については後に詳しく説明する。
【0034】
予備苗載せ台38は走行車体2のフロアステップ35の下部に基部側を配置した支持フレーム49に支持され、移動リンク部材39a,39b,39cを介してそれぞれ上下三段に構成され、第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cからなっている。
これら第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cの底面にはそれぞれ一体的に第1支持枠体37a、第2支持枠体37b及び第3支持枠体37cが取り付けられており、第1支持枠体37aの中央部と第2支持枠体37bの前端部には第1移動リンク部材39aの両端の回動軸39a1,39a2がそれぞれ回動自在に連結し、第1支持枠体37aの後端部と第3支持枠体37cの前端部には第2移動リンク部材39bの両端の回動軸39b1,39b2がそれぞれ回動自在に連結し、さらに第2支持枠体37bの後端部と第3支持枠体37cの中央部には第3移動リンク部材39cの両端の回動軸39c1,39c2とが回動自在に連結している。
回動軸39a2,39b1,39b2,39c1の外周部は、支持枠体37a,37b,37cに溶接して取り付けられている。そして、支持枠体37a,37b,37cに溶着された回動軸39a2,39b1,39b2,39c1の挿入部に、移動リンク部材39a,39b,39cの支持片を挿し込んで装着する。
【0035】
また、第2移動リンク部材39bのほぼ中央部と第2支持枠体37bのほぼ中央部は回動支点(回動軸)37b1が設けられ、互いに回動自在となっている。
また支持フレーム49には前後2つの分岐フレーム49a,49bが設けられ、分岐フレーム49a,49bの頂部は第2支持枠体37bの下面近くまで達している。そして前側分岐フレーム49aの頂部付近には第2移動リンク部材39bの中央部付近に設けられた回動軸39b3が設けられ、該回動軸39b3を中心として第2移動リンク部材39bが前側分岐フレーム49aの周りを回動自在となっている。前記回動軸39b3は回動支点37b1より下側の第2移動リンク部材39bに設けられている。また後側分岐フレーム49bの頂部付近には第3移動リンク部材39cの後端部付近に設けられた回動軸39c3が設けられ、該回動軸39c3を中心として第3移動リンク部材39cが後側分岐フレーム49bの周りを回動自在となっている。前記回動軸39c3は回動軸39c1より下側の第3移動リンク部材39cに設けられている。
【0036】
第2予備苗載せ台38bは機体部材である前側分岐フレーム49aと後側フレーム49bに固定されておらず、第2移動リンク部材39bが図3に示す状態から回動支点39b3を中心に回動して図4に示す状態になる場合には回動支点39b3が第2予備苗載せ台38bの中央部側面の回動軸37b1より下方にあるため、図3に示す位置より前寄りに第2予備苗載せ台38bが配置される。このとき、第3移動リンク部材39cも図3に示す状態から回動支点39c3を中心に回動して図4に示す状態になる場合には同様に第3予備苗載せ台38cも図3に示す位置より前寄りに配置される。
したがって、図5の平面図に示すように第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cをほぼ同一平面上に展開形態とすると、広い苗箱などの載置平面を得ようとする場合にはこれら3つの予備苗載せ台38a,38b,38cが従来より前寄りに移動して、機体前側端部を圃場の外に突出させることができるので、例えば、畦際でトラックなどから苗を予備苗載せ台38a,38b,38c上に積載する作業が容易となる。
【0037】
また図5の平面図に示すように、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cの前側両端部に前方に向かって突出する一対の前側突出部38a1,38b1,38c1をそれぞれ形成し、後側端部中央に後方に向かって突出する後側突出部38a2,38b2,38c2をそれぞれ形成している。したがって第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cを展開形態にした場合に、機体前側に位置する予備苗載せ台38a,38bの後部突出部38a2,38b2が機体後側に位置する予備苗載せ台38b,38cの前側突出部38b1,38c1と側面視で重複する位置に配置されることになる。このため第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cが前後方向に並ぶ展開形態にあるときには、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cを前後方向に部分的に嵌め込み状態で並べることができるので、予備苗載せ台38a,38b,38cに積み込む苗箱を円滑に後側に移動させることができ、作業能率が従来より向上する。
【0038】
また図3、図4の側面図に示すように、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cの前側突出部38a1,38b1,38c1に後上り傾斜部を形成し、該傾斜部の上面を各予備苗載せ台38a,38b,38cの苗載せ面よりも高くしている。また第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cの後側突出部38a2,38b2,38c2の上面を各予備苗載せ台38a,38b,38cの苗載せ面よりも高くし、且つ前側突出部38a1,38b1,38c1の上面と同じかまたは前記上面より低くしている。
【0039】
このように前側突出部38a1,38b1,38c1に後上り傾斜部を形成したので、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cを展開状態にしたとき、前側の予備苗載せ台38a,38bから後側の予備苗載せ台38b,38cに苗箱などを移動させるときに、後上り傾斜部に乗り上げて後方に移動することができるので、苗箱などの移動が容易となり、作業能率が従来より向上する。また、前側突出部38a1,38b1,38c1と後側突出部38a2,38b2,38c2の上面を各予備苗載せ台38a,38b,38cの苗載せ面よりも高くしたことにより、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cを収納形態にしたときに、前側突出部38a1,38b1,38c1と後側突出部38a2,38b2,38c2で各予備苗載せ台38a,38b,38cに載置した苗箱などの前後移動を防止することができるので、各予備苗載せ台38a,38b,38cから苗箱等が下方に落下することが防止され、落下した苗箱等を拾う必要が無くなり、作業能率が従来より向上する。
【0040】
各予備苗載せ台38a,38b,38cの一対の前側突出部38a1,38b1,38c1の左右間で、且つ当該予備苗載せ台38a,38b,38cの底部に前側の予備苗載せ台38a,38b,38cの後側突出部38a2,38b2,38c2を受けるための受け部材38a3,38b3,38c3をそれぞれ設け、該受け部材38a3,38b3,38c3は一対の前側突出部38a1,38b1,38c1同士の間の空間部に突出して形成している。
こうして、各予備苗載せ台38b,38cの前側突出部38b1,38c1の左右間に受け部材38b3,38c3で、それぞれの前側の予備苗載せ台38a,38bの後側突出部38a2,38b2を受け止めることができるので、各予備苗載せ台38a,38b,38cが下がり過ぎることがなく、展開状態の各予備苗載せ台38a,38b,38cが確実にほぼ同一平面上に並ぶ姿勢となるため、苗箱などの積み込み作業が容易となり、作業能率が従来より向上する。
【0041】
また、予備苗載せ台38a,38b,38cの底部に受け部材38a3,38b3,38c3を設けたことにより、後側突出部38b2,38c2の上端部は前側突出部38a1,38b1,38c1の上端部と略同じ高さ、または下側に位置するので、後上り傾斜部を有する前側突出部38a1,38b1,38c1に載り上げる苗箱などの移動が円滑に行われるため、作業能率が従来より向上する。
また、第1,第2,第3予備苗載せ台38a,38b,38cの左右側面の前後の合計6箇所に苗箱などの落下を防ぐ第1,第2,第3仕切壁38a4,38b4,38c4をそれぞれ配置している。
これら第1予備苗載せ台38a、第2予備苗載せ台38b及び第3予備苗載せ台38cは上述の移動リンク部材39a,39b,39cからなる平行リンク機構Kの回動によって各予備苗載せ台38a,38b,38cが略同一平面上に前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台38a,38b,38cが平面視で重複した上下方向に並ぶ収納状態とに切り替えられる。
【0042】
また、第2移動リンク部材39bの回動支点39b3と第2予備苗載せ台38bの取り付け位置(回動軸37b1に相当)を同軸上に設けても良い。この場合は、図4のように中央の第2予備苗載せ台38bが前後に移動せず、図3の位置を保つ。
図6には、乗用型田植機の平行リンク機構Kの切替装置80の簡略図を示す。図6(a)には、平面図を示し、図6(b)には、側面図(図6(a)のS視)を示す。図7には、図1の乗用型田植機の制御装置のブロック図を示す。
【0043】
上述のように、平行リンク機構Kの作動(回動)により、予備苗載せ台38の各予備苗載せ台38a,38b,38cが前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台38a,38b,38cが上下方向に並ぶ収納状態とに切り替えられるが、この切り替えは、切替装置80によって行うことができる。
【0044】
切替装置80は、支持フレーム49に連結する油圧式シリンダ81(切替アクチュエータの一例であり、空気圧シリンダ(ガスダンパ等)や電動シリンダでも良い)と、油圧式シリンダ81の作動により前後方向に移動するラックギア83(移動部材の一例)と、ラックギア83に接触して回転し、リンク機構Kに連結するピニオンギア84(回転部材の一例)とを備え、切替アクチュエータ81の駆動によりラックギア83及びピニオンギア84を介して平行リンク機構Kが作動して、予備苗載せ台38の各予備苗載せ台38a,38b,38cが前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台38a,38b,38cが上下方向に並ぶ収納状態とに切り替える構成である。なお、ピニオンギア84は第2移動リンク部材39bの回動支点39b3(平行リンク機構Kの回動軸)に軸着している。
【0045】
具体的には、平行リンク機構Kのフロントカバー32側にケース73(図1、図2、図5など)を設け、ケース73内にピニオンギア84を内装し、このピニオンギア84に接触するラックギア83を伸縮ロッド81aの先端に取り付けた油圧式シリンダ81を、ケース73の内部に取り付ける。なお、取り付け方はボルト止め、溶着等、どんな方法でも良い。そして、ケース73のフロントカバー32側の開放部(内部構造が露出する部分)を覆う別のカバー(ケースが箱としたら蓋の役目をするもの)を取り付けて、外れないようにボルト等で固定することで、ピニオンギア84とラックギア83と油圧式シリンダ81とによる切替装置80が構成される。また、これらケース73及びカバーによって、ラックギア83の作動域を全て覆うようにしても良い。
【0046】
そして、切替装置80を展開状態と収納状態とに切り替え操作する切替操作手段として切替スイッチ(ボタン、レバーでも良い)70(図1、図2)を座席31近傍に設け、更に、この切替スイッチ70の操作状態(展開状態又は収納状態)を検出する切替スイッチセンサ72を切替スイッチ70近傍に設ける。そして、本実施形態では、この切替スイッチセンサ72により検出される操作状態に応じて予備苗載せ台38を展開状態と収納状態とに切り替えるように切替装置80の油圧式シリンダ81を作動する処理を行う制御装置(CPU)100を設けたことを特徴としている。
【0047】
従来の乗用型田植機などの苗移植機では、作業者が手動で「展開状態」と「収納状態」とに切り替えなければならず、作業者にとっては負担となり、切り替え作業に労力を費やすという問題があった。また、予備苗載せ台の状態を切り替えるための作業は、他の作業を中断して行わなければならず、作業能率が低下するという問題もある。
【0048】
しかし、本構成により、作業者が切替スイッチ70を操作すると、制御装置100によって自動で油圧式シリンダ81が伸縮してピニオンギア84を回動させ、予備苗載せ台38を自動的に「展開状態」と「収納状態」に切り替えることができるので、作業者が手作業で切り替えを行う必要がなく、作業者の労力や負担を軽減すると共に、作業能率が向上する。
なお、第2移動リンク部材39bの回動支点39b3と第2予備苗載せ台38bの回動軸37b1を異なる位置に設けた図3に示す予備苗載せ台38の構成でも同様である。
【0049】
また、油圧式シリンダ81が伸縮するとラックギア83がピニオンギア84を回転させてリンク機構Kを回動させる構成であることから、切替装置80はラックギア83を設けた油圧式シリンダ81の収縮幅に沿った細長い形状となるため、切替装置80が作業者の視界を遮りにくく、前方の視認性が向上する。
【0050】
また、図6に示すように、平面視で油圧式シリンダ81、ラックギア83、ピニオンギア84などの切替装置80の前後位置が収納状態時の予備苗載せ台38の前後位置よりも内側又は一致するように、切替装置80の前後方向の長さを予備苗載せ台38の前後方向の長さよりも短く、または略同じ長さにすると、収納状態時の予備苗載せ台38の前後幅から切替装置80が突出することがなく、予備苗載せ台38や乗用型田植機をコンパクトな構成とすることができる。
【0051】
以上のように、切替アクチュエータの一例として、油圧式シリンダ81を採用する場合について、説明した。切替アクチュエータとしてモータ(電動、油圧式等)を採用した場合は、シリンダ(油圧に限らず、電動、空気式でも)に比べて出力が小さいため、モータ軸に噛合するギアのギア比を上げてトルクを稼ぐ必要があり、切替装置自体が大きくなってしまう。
しかし、切替アクチュエータとして、油圧式シリンダ81を採用することで、油圧は小さくても高出力であるため、省スペース化が可能となる。また、切替装置の軽量化が達成され、見た目にもスッキリとした外観になる。
【0052】
図8には、切替アクチュエータとして、油圧式シリンダ81を採用した場合の油圧回路図を示し、図9には、切替アクチュエータとして、油圧式シリンダ81を採用した場合の制御装置100の制御の一例(フロー)を示す。
切替スイッチ70を操作すると制御装置100によってソレノイド油圧バルブ79が作動して第一オイルタンク76a内のオイルがポンプ78の駆動によってフィルタ77を介して送油管88から油圧式シリンダ81に送油される。余剰のオイルは第二オイルタンク76bや安全弁86を設けた第三オイルタンク76cへ送油される。
【0053】
そして、図9のフローに示すように、例えば予備苗載せ台38が収納状態であるときに切替スイッチ70を操作すると(展開状態への操作となる)、切替スイッチセンサ72によって制御装置100に当該センサ信号が入力される。そして、制御装置100はソレノイド油圧バルブ79を作動させる信号を出力することで油圧式シリンダ81に送油され、油圧式シリンダ81が伸びて平行リンク機構Kが回動し、予備苗載せ台38が展開状態となる。なお、切替アクチュエータとして、ギアモータを採用した場合も同様に、予備苗載せ台38が展開状態に切り替わる。
【0054】
次に、切替スイッチ70を操作すると(収納状態への操作となる)、切替スイッチセンサ72によって制御装置100に当該センサ信号が入力される。そして、制御装置100はソレノイド油圧バルブ79を作動させる信号を出力することで油圧式シリンダ81に送油され、油圧式シリンダ81が縮んで平行リンク機構Kが回動し、予備苗載せ台38が収納状態となる。なお、切替アクチュエータとして、ギアモータを採用した場合も同様に、予備苗載せ台38が収納状態に切り替わる。なお、図9中、「苗枠閉」とは、予備苗載せ台38が収納状態であることを意味し、「苗枠開」とは、予備苗載せ台38が展開状態であることを意味している。以下、同様とする。
【0055】
また、このように切替アクチュエータを油圧式シリンダ81とした場合、ソレノイド油圧バルブ79は左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11などに作動油を送油する油圧バルブと同じものとして、油圧式シリンダ81に送油する構成とすれば良い。
本構成は、油圧無段変速装置(HST)23が中立位置にあるとき、すなわち油圧系に余裕があるときのみ制御装置100によって切替スイッチ70の操作を受け付けることで、油圧不足による動作不良を防止することにあり、そのための構成を既存の部材を用いて行うためのものである。
【0056】
乗用型田植機の車速は、油圧無段変速装置23によって中立を含む複数の速度に切り替え可能である。この速度の切り替えは、変速レバー67(変速操作手段)により行い、変速レバー67の切り替え位置は例えば低速、中立、高速、路上走行などがある。なお、車速は低速、高速、路上走行の順に速くなり、中立の時は乗用型田植機が停車状態の場合である。
【0057】
変速レバー67の切り替え位置は、変速レバー67近傍に設けた変速レバー位置センサ69によって検出される。変速レバー位置センサ69により検出される変速レバー67の切り替え位置が中立位置にあるときは切替装置80の切替スイッチ70の操作を有効にして切替スイッチ70の操作状態に応じた予備苗載せ台38の状態となるようにソレノイド油圧バルブ79から油圧式シリンダ81に送油する処理が制御装置100によって行われる。
【0058】
一方、変速レバー位置センサ69により検出される変速レバー67の切り替え位置が中立位置以外の位置、例えば低速、高速、路上走行などにあるときは切替装置80の切替スイッチ70の操作を無効にして油圧バルブ79から油圧式シリンダ81に送油しない処理が制御装置100によって行われる。
【0059】
変速レバー67が中立位置にあるとき、すなわち乗用型田植機が停車状態であるときは切替スイッチ70による操作を受け付けて油圧式シリンダ81に送油し、変速レバー67が中立位置以外にあるとき、すなわち乗用型田植機が走行状態であるときには切替スイッチ70による操作を受け付けないことで、走行中に誤って切替スイッチ70を操作しても積載した苗を予備苗載せ台38から落とすことを防止でき、落ちた苗を拾う必要がなく作業能率が向上する。また、予備苗載せ台38を壁等の障害物に接触させることを防止できるので、予備苗載せ台38の破損を防止でき耐久性が向上する。
【0060】
更に、変速レバー67が中立の時は乗用型田植機が停車状態の時であるため、油圧無段変速装置23等に使われていない油を利用して油圧式シリンダ81を伸縮させることができるので、乗用型田植機の油圧系がコンパクトな構成となる。
なお、切替アクチュエータとして、ギアモータを採用した場合も同様に、変速レバー67の切り替え位置に応じて予備苗載せ台38の状態が切り替わる。
【0061】
また、上述の例では、変速レバー67が中立位置にあるときのみ切替スイッチ70による操作を受け付ける構成であるが、乗用型田植機が所定速度未満の比較的低速の走行時は切替スイッチ70による操作を受け付ける構成でも良い。
例えば、変速レバー位置センサ69により検出される変速レバー67の切り替え位置が中立位置又は低速位置にあるときは切替装置80の切替スイッチ70の操作を有効にして切替スイッチ70の操作状態に応じた予備苗載せ台38の状態となるようにソレノイド油圧バルブ79から油圧式シリンダ81に送油する処理が制御装置100によって行われる構成としても良い。変速レバー67が低速位置にあるときの車速は0.3m/秒程度である。
【0062】
そして、変速レバー位置センサ69により検出される変速レバー67の切り替え位置が高速や路上走行にあるときは切替装置80の切替スイッチ70の操作を無効にして油圧バルブ79から油圧式シリンダ81に送油しない処理が制御装置100によって行われる。
【0063】
このように、乗用型田植機の低速走行中(例えば、0.3m/秒未満)には切替スイッチ70の操作を受け付けることにより、作業者は機体を畦際に近付けながら予備苗載せ台38を展開状態にすることができるので、走行停止と同時に苗の積み込み作業が行えるため、作業能率が向上する。また、図示しない車速センサを設けて、変速レバー67の切り替え位置に応じた車速を測定し、一定車速未満の場合は切替スイッチ70の操作を受け付けるが、一定車速以上の場合は切替スイッチ70の操作を受け付けないように制御装置100によって油圧バルブ79から油圧式シリンダ81に送油する(又はしない)構成としても良い。
【0064】
本構成により、展開状態にした予備苗載せ台38が畦際の障害物や圃場の作業者に接触しそうな場合でも、走行速度が低速であるため、接触する前に収納状態にする操作を行うことができ、予備苗載せ台38が作業者に接触することを防止できるので安全性が十分に確保されると共に、予備苗載せ台38が壁等の障害物に接触することを防止できるので、予備苗載せ台38の破損が防止でき耐久性が向上する。
【0065】
そして、油圧無段変速装置23で使われる油量が少ない状態で油圧式シリンダ81を伸縮させることにより、油圧不足により作動不良を起こすことを防止できるので、予備苗載せ台38の状態が確実に切り替えられ、作業能率が向上する。また、油圧無段変速装置23等の余剰の油を利用して油圧式シリンダ81を伸縮させることができるので、乗用型田植機の油圧系がコンパクトな構成となる。
【0066】
一方、乗用型田植機の高速走行時(変速レバー67の切り替え位置が高速や路上走行にあるとき)は切替装置80の切替スイッチ70の操作を無効にすることで予備苗載せ台38の状態が切り替わらない(動かない)ため、安全性が向上する。
なお、切替アクチュエータとして、ギアモータを採用した場合も同様に、変速レバー67の切り替え位置に応じて予備苗載せ台38の状態が切り替わる。
【0067】
そして、切替装置80の切替スイッチ70を操作すると、左右両方の予備苗載せ台38の状態が切り替わる構成としても良い。制御装置100は、切替スイッチセンサ72により検出される切替スイッチ70の操作状態に応じて左右両方の予備苗載せ台38を展開状態と収納状態とに切り替えるように左右それぞれの切替装置80の油圧式シリンダ81を作動する処理を行う。
【0068】
このように、本構成により、左右一方の予備苗載せ台38の切替スイッチ70を操作すると他方の予備苗載せ台38の状態も切り替わるため、作業者は一度の操作で左右両方の予備苗載せ台38を展開状態と収納状態に同時に切り替えることができるので、作業工数が削減され、作業能率が向上する。
そして、切替スイッチ70が一つで足りるため、部品点数が削減され、コストダウンを図ることができる。
【0069】
図10には、制御装置100の制御の別の例(フロー)を示す。
左右両方の予備苗載せ台38が収納状態であるときに切替スイッチ70を操作すると(展開状態への操作となる)、切替スイッチセンサ72によって制御装置100に当該センサ信号が入力される。そして、制御装置100は左右両方のソレノイド油圧バルブ79に作動信号を出力することで左右両方の油圧式シリンダ81に送油され、左右両方の油圧式シリンダ81が伸びて左右両方の平行リンク機構Kが回動し、左右両方の予備苗載せ台38が同時に展開状態となる。
【0070】
次に、切替スイッチ70を操作すると(収納状態への操作となる)、切替スイッチセンサ72によって制御装置100に当該センサ信号が入力される。そして、制御装置100は左右両方のソレノイド油圧バルブ79に作動信号を出力することで左右両方の油圧式シリンダ81に送油され、左右両方の油圧式シリンダ81が縮んで左右両方の平行リンク機構Kが回動し、左右両方の予備苗載せ台38が同時に収納状態となる。
【0071】
また、左右の切替装置80の切替スイッチ70を左右それぞれに設け、左右一方の予備苗載せ台38の切替スイッチ70を操作すると、他方の切替スイッチ70を操作しなくても、予備苗載せ台38の状態が切り替わる構成としても良い。この場合、制御装置100は、一方の切替スイッチセンサ72により検出される切替スイッチ70の操作状態に応じて左右両方の予備苗載せ台38を展開状態と収納状態とに切り替えるように左右それぞれの切替装置80の油圧式シリンダ81を作動する処理を行う。
【0072】
この場合は、切替スイッチ70が二つ必要になるが、作業者は左右一方の切替スイッチ70を操作するという一度の操作で左右両方の予備苗載せ台38を展開状態と収納状態に同時に切り替えることができるので、作業工数が削減され、作業能率が向上する。
なお、切替アクチュエータとして、ギアモータを採用した場合も同様である。
【0073】
図11には、図1の乗用型田植機の制御装置のブロック図の別の例を示す。
また、左右の各切替装置80の作動状態を検出する切替作動センサ89L,89Rをそれぞれ設け、左右一方の切替作動センサ89L(又は89R)によって左右一方の切替装置80の作動が検出された場合は、他方の切替装置89R(又は89L)は作動させないように、制御装置100によって処理する構成としても良い。各切替作動センサ89L,89Rは、左右の平行リンク機構Kにそれぞれ設けると良い。
【0074】
上述のように、左右の切替装置80の切替スイッチ70を左右それぞれに設けた場合であって、左右一方の予備苗載せ台38の切替スイッチ70L(又は70R)を操作すると、切替スイッチセンサ72L(又は72R)によって制御装置100に当該センサ信号が入力され、左右一方のソレノイド油圧バルブ79L(又は79R)により左右一方の切替装置80が作動して予備苗載せ台38が展開状態又は収納状態に切り替わる。このときの切替装置80の作動を左右一方の切替作動センサ89L(又は89R)によって検出すると、他方の切替装置80の切替スイッチ70R(又は70L)を操作しても、制御装置100はこのスイッチ操作を受け付けない処理を行う。すなわち、切替装置80が、どちらか1つずつのみしか作動しないようにする。
【0075】
図12には、制御装置100の制御の別の例(フロー)を示す。
左右一方の、例えば左の予備苗載せ台38が収納状態であるときに左の切替スイッチ70Lを操作すると(展開状態への操作となる)、左の切替スイッチセンサ72Lによって制御装置100に当該センサ信号が入力される。そして、制御装置100は左のソレノイド油圧バルブ79Lに作動信号を出力することで左の油圧式シリンダ81に送油され、左の油圧式シリンダ81が伸びて左の平行リンク機構Kが回動し、左の予備苗載せ台38が同時に展開状態となる。しかし、右の予備苗載せ台38は切替スイッチ70Rを操作しても、当該操作は無効とする。
【0076】
次に、左の予備苗載せ台38の切替スイッチ70Lを操作すると(収納状態への操作となる)、切替スイッチセンサ72Lによって制御装置100に当該センサ信号が入力される。そして、制御装置100は左の予備苗載せ台38のソレノイド油圧バルブ79Lに作動信号を出力することで左の予備苗載せ台38の油圧式シリンダ81に送油され、左の予備苗載せ台38の油圧式シリンダ81が縮んで左の予備苗載せ台38の平行リンク機構Kが回動し、左の予備苗載せ台38が収納状態となる。しかし、他方の予備苗載せ台38は切替スイッチ70Rを操作しても、当該操作は無効とする。
【0077】
本構成によれば、作業者は操作している側の予備苗載せ台38に集中することができるので、予備苗載せ台38が障害物に接触しかけたときや、積載した苗が落下しそうなときに即座に対応することができるので、予備苗載せ台38の破損が防止されると共に、落下した苗を拾う必要がなく作業能率が向上する。
【0078】
なお、切替スイッチ70を左右両方に設けた場合に、左右どちらかの切替スイッチ70を操作すると、左右両方の予備苗載せ台38を展開状態と収納状態に切り替えることができるという前述の構成と、左右どちらかの切替スイッチ70を操作して、操作した側の切替装置80が作動した場合は、他方の切替装置80は作動しないというこの構成は矛盾するが、どちらの制御を行うか選択できるスイッチ(図示せず)を設けると作業者によって又は作業内容によって選択可能となる。そして、一台の乗用型田植機でバラエティに富んだ仕様が可能となり、経済的でもある。
なお、切替アクチュエータとして、ギアモータを採用した場合も同様である。
【0079】
図13には、図1の乗用型田植機の右ブレーキの側面図を示し、図14(a)及び図14(b)には、図1の乗用型田植機のブレーキの要部の背面図を示す。
ところで、従来の乗用型田植機のブレーキにはリターンスプリングが左右ブレーキに各々付いていたが、一本のスプリングで左右両方のブレーキに作用する構成とすれば、コスト軽減やブレーキ全体の軽量化が図れる。
【0080】
図13に示すように、ブレーキ90のスプリング92のフック穴94を右ブレーキ90aと左ブレーキ90bとの中間に配置して、又、上下方向の長穴にする。
そして、図14(a)に示すように、右ブレーキ90aと左ブレーキ90bを正面視T字型の連結プレート(連結部材)96の左右端部で連結し、中央部の突起部分96aのフック穴94にスプリング92の上端を掛ける。
【0081】
また、図14(b)に示すように、二つの略L字型左右プレート97a、97bを右ブレーキ90aと左ブレーキ90bにそれぞれ連結させて左右のプレート97a、97bの下端部のフック穴94a、94bにスプリング92の上端を通す。なお、スプリング92の下端は機体側に固着した支持アーム93に連結している。
図14(a)や図14(b)に示すように、右ブレーキ90aと左ブレーキ90bの連結部材にスプリング92を通すことで、従来の左右ブレーキにスプリングをそれぞれ使用していた(合計2個使用)場合に比べて、部品点数の削減やコストダウンが図れる。
【0082】
また、図15には、図1の乗用型田植機のアクセルペダル105の側面図を示し、図16(a)及び(b)には、従来のアクセルペダル107の側面図を示す。
従来の乗用型田植機のアクセルペダル107では、図16(a)に示すように、アクセルペダル107とステップ35との間に隙間Mがあるため、作業者が足109を引っかけてしまう恐れがあった。また、アクセルペダルアーム108を外す際に引っ掛かるなどの問題があった。また、図16(b)に示すように、肥料袋111をステップ35に乗せればアクセルペダル107の角107aで肥料袋111が破れてしまう恐れがあった。
【0083】
しかし、図15に示すように、アクセルペダル105の形状を側面視でステップ35上を覆うように山形状にして、角のあるアクセルペダル105の前後端部をステップ35内に入り込ませることで、アクセルペダル105とステップ35との間の隙間Mは閉空間となり足が入って引っ掛かることがなくなる。また、アクセルペダル105の前後端部で肥料袋111(図16(b))が破れることもない。更に、ステップ35を取り付けたり外したりする作業が楽になる。
【0084】
また、従来のアクセルペダル107は、前後端部がステップ35よりも上方にあるため、ステップ35を取り外す際にアクセルペダル107の端部が引っ掛かることがある。しかし、図15に示すように、アクセルペダル105の端部が最初からステップ35内に入り込んでいれば、ステップ35を取り外す際に、アクセルペダル105の端部に沿って持ち上げればステップ35がアクセルペダル105に引っ掛かることがなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の苗移植機は、田植機に限らず、野菜苗などのその他の苗を植え付ける苗移植機として利用可能性がある。
【符号の説明】
【0086】
1 施肥装置付き乗用型田植機 2 走行車体
3 昇降リンク装置 4 苗植付部
5 粉粒体繰出し装置(施肥装置)
10 前輪 11 後輪
12 ミッションケース 13 前輪ファイナルケース
15 メインフレーム 18 後輪ギアケース
20 エンジン 21 ベルト伝動装置
23 油圧無段変速装置(HST)25 植付クラッチケース
26 植付伝動軸 27 ロータ
27a 第1ロータ 27b 第2ロータ
30 エンジンカバー 31 座席
32 フロントカバー 34 ハンドル
35 フロアステップ 36 リヤステップ
37a 第1支持枠体 37b 第2支持枠体
37b1 回動軸 37c 第3支持枠体
38 予備苗載せ台 38a 第1予備苗載せ台
38b 第2予備苗載せ台 38c 第3予備苗載せ台
38a1,38b1,38c1 前側突出部
38a2,38b2,38c2 後側突出部
38a3,38b3,38c3 受け部材
38a4 第1仕切壁 38b4 第2仕切壁
38c4 第3仕切壁 39a 第1移動リンク部材
39b 第2移動リンク部材 39c 第3移動リンク部材
39a1,39a2,39b1,39b2 回動軸
39c1,39c2,39b3,39c3 回動軸
40 上リンク 41 下リンク
42 リンクベースフレーム 43 縦リンク
44 連結軸 45a 第1補助リンク
45b 第2補助リンク 45c 第3補助リンク
46 昇降油圧式シリンダ 49 支持フレーム
49a,49b 分岐フレーム 50 伝動ケース
51 苗載せ台 51a 苗取出口
51b 苗送りベルト 52 苗植付装置
53 ブロア用電動モータ 55 センターフロート
56 サイドフロート
58 ブロア 59 エアチャンバ
60 肥料ホッパ 61 繰出部
62 施肥ホース 65 支持部
65a 支持ローラ 65b 支持枠体
67 変速レバー 69 変速レバー位置センサ
70 切替スイッチ 72 切替スイッチセンサ
73 ケース 75 線引きマーカ
76 オイルタンク 77 フィルタ
78 ポンプ 79 ソレノイド油圧バルブ
80 切替装置 81 油圧式シリンダ
83 ラックギア 84 ピニオンギア
86 安全弁 88 送油管
89 切替作動センサ 90 ブレーキ
92 スプリング 93 支持アーム
94 フック穴 96 連結プレート
96a 突起部分 97 プレート
100 制御装置(CPU)
105、107 アクセルペダル
107a アクセルペダルの角
108 アクセルペダルアーム 109 足
111 肥料袋 148 作溝体
K 平行リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(10、11)を備えた走行車体(2)と、
該走行車体(2)の後側に設けられ、圃場に苗を植え付ける苗植付部(4)と、
前記走行車体(2)に立設する支持フレーム(49)と、
該支持フレーム(49)により支持され、補給用の苗を載せておく複数の予備苗載せ台(38a,38b,38c)と、
該予備苗載せ台(38a,38b,38c)と支持フレーム(49)との間に設けられ、支持フレーム(49)に対して予備苗載せ台(38a,38b,38c)を回動自在に連結させて、各予備苗載せ台(38a,38b,38c)が略同一平面上に前後方向に並ぶ展開状態と各予備苗載せ台(38a,38b,38c)が平面視で重複した上下方向に並ぶ収納状態とに切り替え可能なリンク機構(K)と、
前記支持フレーム(49)に連結するアクチュエータ(81)と、該アクチュエータ(81)の駆動により前後方向に移動する移動部材(83)と、該移動部材(83)に接触して回転し、前記リンク機構(K)に連結する回転部材(84)とを備え、前記アクチュエータ(81)の駆動によりリンク機構(K)を作動して、各予備苗載せ台(38a,38b,38c)を前記展開状態と収納状態とに切り替える切替装置(80)と、
該切替装置(80)の切り替え操作をする切替操作手段(70)と、
該切替操作手段(70)の操作状態を検出する操作状態検出手段(72)と、
該操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(70)の操作状態に応じて予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態と収納状態とに切り替えるように前記アクチュエータ(81)を駆動する処理を行う制御装置(100)と
を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記切替装置(80)の前記アクチュエータ(81)を油圧式、空気圧式又は電動式のシリンダ(81)とし、前記回転部材(84)を前記リンク機構(K)の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の回動支点に連結するピニオンギア(84)とし、前記移動部材(83)を前記シリンダ(81)の伸縮方向に長手方向を有し、前記ピニオンギア(84)と噛合するラックギア(83)とし、
更に平面視で前記切替装置(80)の前後位置が収納状態時の予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後位置よりも内側又は一致するように、前記切替装置(80)の前後方向の長さを予備苗載せ台(38a,38b,38c)の前後方向の長さよりも短く又は同じ長さに形成したことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記切替装置(80)の前記アクチュエータ(81)を油圧式シリンダ(81)とし、
前記走行装置(10、11)を含む各装置に作動油を送油する油圧バルブ(79)と、
前記油圧式シリンダ(81)と前記油圧バルブ(79)とを繋ぐ送油管(88)と、
前記走行装置(10、11)の速度を中立を含む複数の速度に切り替え可能な油圧無段変速装置(23)と、
該油圧無段変速装置(23)の切り替え操作を行う変速操作手段(67)と、
変速操作手段(67)の切り替え位置を検出する変速位置検出手段(69)とを設け、
前記制御装置(100)は、変速位置検出手段(69)により検出される変速操作手段(67)の切り替え位置が中立位置にあるときは前記切替操作手段(70)の操作を有効にして切替操作手段(70)の操作状態に応じた予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態となるように油圧バルブ(79)から油圧式シリンダ(81)に送油するが、変速位置検出手段(69)により検出される変速操作手段(67)の切り替え位置が中立位置以外の位置にあるときは前記切替操作手段(70)の操作を無効にして前記油圧バルブ(79)から油圧式シリンダ(81)に送油しない処理を行う機能を有することを特徴とする請求項2記載の苗移植機。
【請求項4】
前記切替装置(80)の前記アクチュエータ(81)を油圧式シリンダ(81)とし、
前記走行装置(10、11)を含む各装置に作動油を送油する油圧バルブ(79)と、
前記油圧式シリンダ(81)と前記油圧バルブ(79)とを繋ぐ送油管(88)と、
前記走行装置(10、11)の速度を中立を含む複数の速度に切り替え可能な油圧無段変速装置(23)と、
該油圧無段変速装置(23)の切り替え操作を行う変速操作手段(67)と、
変速操作手段(67)の切り替え位置を検出する変速位置検出手段(69)とを設け、
前記制御装置(100)は、変速位置検出手段(69)により検出される変速操作手段(67)の切り替え位置が中立位置又は所定速度未満の位置にあるときは前記切替操作手段(70)の操作を有効にして切替操作手段(70)の操作状態に応じた予備苗載せ台(38a,38b,38c)の状態となるように油圧バルブ(79)から油圧式シリンダ(81)に送油するが、変速位置検出手段(69)により検出される変速操作手段(67)の切り替え位置が所定速度以上の速度位置にあるときは前記切替操作手段(70)の操作を無効にして前記油圧バルブ(79)から油圧式シリンダ(81)に送油しない処理を行う機能を有することを特徴とする請求項2記載の苗移植機。
【請求項5】
前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)を左右一対設け、
前記リンク機構(K)と切替装置(80)を左右一対の予備苗載せ台(38a,38b,38c)にそれぞれ設け、
前記制御装置(100)は、操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(70)の操作状態に応じて左右両方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)を展開状態と収納状態とに切り替えるように左右それぞれの切替装置(80)のアクチュエータ(81)を作動する処理を行う機能を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
前記予備苗載せ台(38a,38b,38c)を左右一対設け、
前記リンク機構(K)と切替装置(80)と切替操作手段(70)と操作状態検出手段(72)を左右一対の予備苗載せ台(38a,38b,38c)にそれぞれ設け、
前記各切替装置(80)の作動状態を検出する切替作動検出手段(80)をそれぞれ設け、
前記制御装置(100)は、左右一方の操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(70)の操作状態に左右一方の予備苗載せ台(38a,38b,38c)が切り替わって、左右一方の切替作動検出手段(80)によって左右一方の切替装置(80)の作動状態が検出されると、他方の操作状態検出手段(72)により検出される切替操作手段(70)の操作を無効にする処理を行う機能を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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