説明

葉菜収穫機

【課題】収穫作業の中途でバッテリの充電をエンジンから簡単に行なうことができると共に、収穫機の軽量化及び運転性の向上を図ることができる葉菜収穫機を提供する。
【解決手段】走行装置5を有する走行機体2に、圃場に植生する葉菜作物を前方下部から後方上方に向けて搬送する搬送部9を後傾斜状に設け、該搬送部9の後方に排出供給される作物を収容する回収部36と操縦用のハンドル4aを配設すると共に、走行装置5の後部側にバッテリ7を載置し、該バッテリ7の電力によって走行装置5及び搬送部9等を駆動する収穫機1であって、前記走行機体2に、ハンドル4aが設置される側の搬送部9の前部側方にエンジン13を配設し、該エンジン13によって発電機14を駆動することにより、発電した電力をバッテリ7に充電することできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウレン草や明日葉,コマツ菜,小ネギ等の軟弱葉菜を収穫する葉菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホウレン草等の軟弱葉菜を収穫する葉菜収穫機は、走行装置を有する走行機体に、圃場に植生する軟弱葉菜(以下作物と言う)を前方下部から後方上方に向けて搬送する搬送部を後傾斜状に設け、該搬送部の後方に排出される作物を収容する回収部と操縦用のハンドルを配設している(例えば特許文献1。)。
この葉菜収穫機は、走行装置及び搬送部並びにカッタや掻き上げ装置等を、走行装置の後部に載置したバッテリの電力によって駆動するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−142226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示される葉菜収穫機は、バッテリの電力によって回転される各モータを備えて、走行装置の走行スピード及び搬送部のコンベアベルトの搬送スピード並びに掻き上げ装置の駆動スピードを調節し、例えば各葉部が茎部で分離するようなホウレン草のような作物も損傷を防止して収穫することができる。
然しながら、ホウレン草等を加工用の野菜として栽培する広い圃場では、バッテリの電力量が不足し圃場中途で収穫作業を中断した状態で、新たなバッテリと交換しなければならない等の欠点があった。また上記のようなバッテリの交換作業を省力するために、予め蓄電容量を増加させたバッテリを搭載すると、バッテリ重量及び駆動力の大きい大型走行モータが必要になること、並びに機体を小型軽量化することが困難となり、作物が植生する軟弱な圃場面での収穫作業が非能率になる等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は係る課題を解決するために、第1に、走行装置5を有する走行機体2に、圃場に植生する葉菜作物を前方下部から後方上方に向けて搬送する搬送部9を後傾斜状に設け、該搬送部9の後方に排出供給される作物を収容する回収部36と操縦用のハンドル4aを配設すると共に、走行装置5の後部側にバッテリ7を載置し、該バッテリ7の電力によって走行装置5及び搬送部9等を駆動する葉菜収穫機1において、前記走行機体2に、ハンドル4aが設置される側の搬送部9の前部側方にエンジン13を配設し、該エンジン13によって発電機14を駆動することにより、発電した電力をバッテリ7に充電することを特徴としている。
【0006】
第2に、発電機14を、カセット型のガスボンベ13aに充填される燃料ガスによって運転されるエンジン13によって駆動することを特徴としている。
【0007】
第3に、エンジン13を、走行装置5の走行フレーム17と該走行フレーム17の後部に立設されて搬送部9を取付支持する後部支柱フレーム18とを連結する連結フレーム19を前方に延長させて形成したエンジンフレーム23に搭載することを特徴としている。
【0008】
第4に、バッテリ7を載置するバッテリ台34に、箱状のバケット37の前底部を載せる載せ部42と、該バケット37の上辺を引っ掛けて支持する下向きU字状の掛け部43を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、走行機体にハンドルが設置される側の搬送部の前部側方に、発電機を駆動する発電用のエンジンを配設し、該エンジンの駆動による発電機によって発電した電力をバッテリに充電するようにしたことにより、収穫作業の中途でバッテリの電力が少なくなった場合に、オペレータはハンドル側から前方に配設されるエンジン側に移動し、エンジンを始動して充電を開始したのちハンドル側に迅速に戻ることが出来、収穫作業を支障なく継続することができると共に、広い圃場でも電力不足によって収穫作業を中断することなく作業能率を上げることができる。
また発電機のみを駆動させるエンジンは小型軽量化できるため、機体の左右バランスを妨げることなくハンドルの前方で搬送部の側方にコンパクトに纏めて設置することができ、収穫機の軽量化及び運転性の向上を図ることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、カセット型ガスボンベの燃料ガスによって運転されるエンジンによって発電することにより、バッテリに充電する際に排気ガスによる作物への影響を低減することができる。またエンジンの小型軽量化を図ることができるため、搬送部の側方にバランスよく設置することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、エンジンを、走行フレームと搬送部を取付支持する後部支柱フレームとを連結する連結フレームを、前方に延長させて形成したエンジンフレームに搭載することにより、エンジンを搬送部の前部側方に簡潔なフレーム構造によって、作物との接触を回避しながら機体後方のバッテリ等の重量に対して機体の前後バランスを図り易く配設することができる。
またエンジンをハンドルの後方に立つオペレータの視界を妨げないで配置することができるので、作物の搬送等の状況を正確に視認しながら収穫作業を行い易くすることができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、バッテリを載置するバッテリ台に、バケットの底部を載せる載せ部と下向きU字状の掛け部を設けたことにより、載せ部にバケットの底部を載せた状態でその上辺を掛け部に係止させると、バケットの前部の上下を後方への傾倒を規制して片持ち状に支持することができるので、バケットの設置を安定よく簡単に行うことができる。また作物を収容したバケットを取外すとき、該バケットは後部を上方に持ち上げる動作で、前部上辺を下げ掛け部から簡単に外すことができるので、機体スピードを上げた収穫作業を行なう場合でも、バケットの着脱を簡単且つ速やかに行い能率を上げることができる。
またバケットは、片持ち状で安定よく支持されるので、載せ部の前後長さを短くして収容部を簡潔でコンパクトな構成にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】葉菜収穫機の全体側面図である。
【図2】葉菜収穫機の構成を一部破断をして示す平面図である。
【図3】カッタ及びデバイダの取付構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1,図2で示す符号1は、主としてホウレン草や明日葉,コマツ菜,非結球葉菜の小ネギ等の軟弱葉菜(以下単に作物と言う)を収穫する葉菜収穫機(以下単に収穫機と言う)であり、走行機体2に圃場に植生する作物を収穫し後方に搬送して回収する収穫装置3を搭載している。
走行機体2は、機体フレーム4をクローラ型の走行装置5に構成しており、該機体フレーム4を介して収穫装置3を前低後高状の傾斜姿勢で上下揺動及び左右揺動回動自在に設け、且つ動力源としてのバッテリ7,7を左右の走行装置5の後部間でその駆動輪6の近傍位置に設置している。
【0015】
上記バッテリ7は、走行装置5の駆動輪6を駆動する走行モータ8に給電すると共に、収穫装置3を構成する搬送部9の搬送ベルト10と、カッタ(刈刃)11と、掻込体12と、昇降シリンダ3a等をそれぞれ駆動するように設置される、搬送モータ8a,カッタモータ8b,掻込モータ8c、並びに昇降モータ8d等に給電することができる。
またバッテリ7は、後述するように搬送部9の前部側方に搭載されるエンジン13から発電機14を駆動し、発電をした電力を充電可能にしている。
【0016】
そして、収穫機1は、機体フレーム4の上部から後方に向けて延設した二股状のハンドル4aに、運転操作用の制御ボックス15を設置しており、該制御ボックス15が備える前記各モータ8a,8b,8c,8dに対応する各モータ操作スイッチを操作することにより、各作業部を所望に駆動して収穫作業を行なうことができる。これにより収穫機1は制御ボックス15を操作し、走行モータ8を正逆回転及び回転調節をして機体の前後進と走行速度調節を行い、搬送モータ8aを回転調節して搬送速度調節操作を行い、カッタモータ8b,掻込モータ8c,昇降モータ8d等を駆動して圃場や作物の状況に適応した収穫作業を能率よく行うことができる。
【0017】
以下各部の構成について説明する。走行機体(車体)2は、左右の走行装置5の遊動輪(前輪)16と前記駆動輪(後輪)6を軸支する走行フレーム17と、該走行フレーム17の後部に支柱フレームを兼ねて立設される左右の車輪伝動ケース18と、走行フレーム17の中途部と車輪伝動ケース18の中途部とを、側面視でへ字状をなす板状部材からなる連結フレーム19で連結することにより機体フレーム4を構成している。
【0018】
この機体フレーム4は、左右の走行フレーム17の中途部を走行横フレーム21で連結し、且つ左右の車輪伝動ケース18の中途部を、連結フレーム19の連結位置より下側において、ケース横フレーム22によって連結することにより立体的な剛体枠構造にしている。この構成において左側の連結フレーム19は、エンジン13を搭載させるエンジンフレーム部23を、走行フレーム17の取付部17aから従動輪16より前方で上方に向けて一体的に延長形成している。また連結フレーム19の側面に発電機14を取付けることにより、該発電機14をエンジン13からベルト伝動手段14aを介して駆動し、発電した電力をバッテリ7,7に充電するようにしている。
【0019】
これによりエンジン13はエンジンフレーム部23に搭載した状態において、従動輪16の前部上方で地表から離間させた位置で、作物との接触を回避しながら機体後方のバッテリ7等の重量に対して機体の前後バランスを図る前方の重量構造体となり、搬送部9の前部側方に簡潔なフレーム構造によって安定よく配設される。
また搬送部9の前部左側方に搭載されるエンジン13は、ハンドル4aの後方に立つオペレータの視界を妨げないので、作物の刈取り及び掻き込み並びに搬送等の状況を正確に視認することができ運転作業性を高め収穫作業を行い易くすることができる。
【0020】
また実施形態のエンジン13は、プロパンガスを充填封入した家庭用コンロに使用されるカセット型のガスボンベ13aを、ボンベ支持部13bを介してエンジン本体に着脱可能に装着したガス燃焼式の小型エンジンとなして、専ら発電機14のみを駆動させるので、当該エンジン13を搭載した収穫機1は、ガソリンを燃焼とするエンジンとは異なりクリーンな排気ガスを排出するので、作物に対する排気ガスによる悪影響を心配しないで作業をすることができる。
またエンジン13は、搬送部9の側方に軽量コンパクトに纏めて設置することができ、また機体の左右バランスを妨げることなく収穫機1の軽量化を図ることができる。
【0021】
図示例のエンジン13はスタータロープ13cを備えており、該スタータロープ13cを引張り操作することによりエンジン始動をすると共に、ハンドル4aに設けた停止ボタンを押し操作することによりエンジン停止をするようにしている。尚、エンジン13の始動及び停止は、例えばバッテリ7の充電量を検知する検知手段の信号に基づいて作動する運転始動停止手段によって自動的に行うようにしてもよい。
【0022】
前記左右の車輪伝動ケース18は、その上部内側の前後を複数の上部横フレーム22aによって連結補強しており、該上部横フレーム22aは走行モータ8及びカッタモータ8b並びにハンドル4a等の取付部材となるようにしている。
即ち、前後の上部横フレーム22aには、左側に走行モータ8を横向に設置し、右側にカッタモータ8bを縦向きに設置していると共に、走行モータ8から左右の車輪伝動ケース18に回転動力を入り切り自在に伝動する、左右のサイドクラッチ機構24a,24bを有する伝動軸24を横向に沿設している。
【0023】
上記走行モータ8とカッタモータ8bとは、それぞれ車輪伝動ケース18の内側に固設した取付板18aとケース横フレーム22とに着脱自在に取付けられる、箱状のカバー体27a,27bによって覆い、且つ該カバー体27a,27bの間において、伝動軸24をカバー体27cにより覆っている。
また左側のカバー体27aは、その後壁面をハンドル4aの取付部材に兼用しており、ハンドル4aを機体の左側に寄せて安定設置している。
【0024】
前記左右の連結フレーム19は、門型形状をなして掻込体12を支持する掻込体フレームの支柱基部を、取付部17aの近傍位置に前傾斜姿勢で固設している。
これにより機体フレーム4は、左右の車輪伝動ケース18及び掻込体フレーム26の門型をなす両支柱の間に搬送部9を挿入することができ、該搬送部9を後述するように前低後高状の傾斜姿勢で上下揺動及び左右揺動自在に設けることができる。
【0025】
走行装置5は、走行フレーム17の前後に配置した従動輪16と駆動輪6とに、ゴム製の突起付無端帯(クローラ)28を巻き掛けており、この実施形態では駆動輪6を大径となして前記車輪伝動ケース18の下部に回転駆動可能に軸支し、従動輪16を走行フレーム17の前端部に前後調節可能に軸支している。
これにより側面視において走行装置5は、クローラ28を前方が鋭角状の三角形状に張設し、小径の従動輪16側を搬送部9の両側下方に可及的に接近させ、且つクローラ28の前後方向の接地長を大きくしながら、収穫機1の全長を抑制しながら機体をコンパクトに纏めるようにしている。
【0026】
また図2で示すように走行モータ8はチェン伝動手段29により、前記伝動軸24を減速回転可能に伝動しており、左右のサイドクラッチ機構24a,24bを介して接続される各クラッチ軸31から、チェン伝動手段32を介して左右の車輪伝動ケース18に入力して駆動輪6を回転させるようにしている。また左右のクラッチ機構24a,24bは、それぞれハンドル4aに設けられるサイドクラッチレバー33の操作により、左右の駆動輪6を動力入り切り自在とするように接続しており、これにより左右の走行装置5を同時又は各別に駆動して操縦することができる。
【0027】
そして、機体フレーム4は、左右の走行装置5の間でケース横フレーム22に、バッテリ7を着脱可能に載置する左右のバッテリ台34を固設している。各バッテリ台34は、側面視でL字形状をなすように形成され前部上方をケース横フレーム22に取付けている。また各バッテリ台34は、後方に搬送部9の搬送終端から排出落下される作物を回収する回収部36を設置し、作物をバケット37に収容するようにしている。
【0028】
回収部36は、左右一対のホルダ38の直杆部41を固設したホルダベース39を、各バッテリ台34の後壁面に着脱自在に設けてなり、一対のホルダ38によってバケット37の前部上下を係脱自在に支持するようにしている。
上記ホルダ38は、直杆部41の下部をL字状に屈曲させてバケット37を載置する載せ部42を形成し、且つ直杆部41の上部を下向きU字状のフックをなすように屈曲させて掛け部43を形成することにより、載せ部42の載置されたバケット37の上辺を引っ掛けて保持するようにしている。
【0029】
上記バッテリ台34は、前方に配置されるエンジン13等との重量バランスを図るように、バッテリ7の重量を走行装置5の後部側に置くと共に、バッテリ台34をホルダ38の取付部材として利用しているので、回収部36のバケット支持を搬送部9の終端下部において、簡潔で廉価な構成によって適正回収位置に設置することができる。これにより収容部36は、搬送部9から排出落下される作物を方形状の箱体からなるバケット37内に適正姿勢を以って収容することができる。
【0030】
このときホルダ38は、載せ部42にバケット37の底部を載せつつ、その上辺をフック内に差し込み掛け部43に係止させると、バケット37の前部を片持ち状に安定よく速やかに支持することができる。また作物を収容したバケット37を取外すときは、バケット37の左右を把持し後部を上方に持ち上げて前部上辺を下げることにより、上辺を掛け部43から外すことができるので、このまま載せ部42上を後方に向けてスライドさせるとバケット37を簡単に外すことができる。
【0031】
従って、広い圃場において嵩張る作物を収穫するような場合に、オペレータに随行する補助者が作物が収容されたバケット37の取り外し並びに新たなバケット37の装着を簡単且つ速やかに行うことができ、機体スピードを上げながら収穫作業を能率よく行うことができる。またホルダ38は、片持ち状で安定よく支持することができるので、載せ部42の長さをバケット37の前後長さの半分程度にすることができるため、収容部36の構成部材を機体後方に大きく突出させることなく、コンパクトで簡潔な構成にすることができる等の利点がある。
【0032】
次に、収穫装置3について図3に基づいて説明する。この収穫装置3は前部で収穫された作物を受けて後方に向けて搬送する搬送部9と、前記搬送部9の終端で作物を収容する回収部36等からなる。図示例の収穫装置3は搬送部9の搬送始端側に前処理部として、圃場に植生している作物を切断又は掘り起こしをするカッタ11を備えていると共に、該カッタ11に対向する上方に作物を葉部に接当して搬送始端側に掻き込みをする掻込体12を設置している。
【0033】
搬送部9は、一般的な畝幅の間隔(90cm程度)よりやや広い搬送幅(105cm程度)を有した搬送フレーム9aを左右に配設しており、その前後に従動ローラ46と駆動ローラ47を平行状に軸支し、該従動ローラ46と駆動ローラ47とに上記搬送幅を有する平ベルト状の搬送ベルト10を巻き掛けて張設している。
そして、前記搬送モータ8aによって駆動ローラ47を回転させ、搬送ベルト10を矢印方向に回転駆動することにより、作物を後方上方に搬送し終端から回収部36に向けて排出供給する。
【0034】
上記左右の搬送フレーム9aは、それぞれ搬送ベルト10の両側に位置し作物の側方漏れを規制する搬送案内用のガイド板49を立設しており、且つ各搬送フレーム9aの前部側方には、側面視で扇板状をなす取付部材51を駆動ローラ47側を支点に後部を上下回動自在に枢支し、且つその後部を調節孔を介してボルト51aによって上下位置調節可能に取付けている。
上記左右の取付部材51は図1,図3で示すように、植生する作物の茎部を切断する前処理部としてのカッタ11と、側面視で鋭角状のL字形状をなしてカッタ11の切断に先立って作物を分草する複数(図示例では4本)のデバイダ53を以下の構造によって取付けている。
【0035】
即ち、左右の取付部材51は、カッタ取付板11aの両端をボルト11bによって着脱自在に固設し、このカッタ取付板11aの前部にカッタ11を取付けている。また左右の取付部材51は後方下部に、四角形断面の棒状杆からなる取付横フレーム52を一側から挿入支持するようにしており、挿入する際に、各デバイダ53をその基部に設けた四角形断面の取付筒53aを嵌挿しながら両端を支持させる。
そして、取付横フレーム52は、左右の取付部材51の両側から突出させた突出端に、四角形断面の固定筒52aを嵌挿しボルト52bによって固定することにより抜け止めをする。また各デバイダ53は、収穫される作物の種類及び植生状態並びに畝の大きさ等に対応させて左右に移動して、隣接するデバイダ間隔(分草間隔)を定めた状態で、取付筒53aに設けたボルト53bによって取付け位置を固定する。
【0036】
上記構成によりカッタ11及びデバイダ53は、取付部材51の回動調節を介して図1で示す矢印方向に上下回動させて刈取り及び分草高さを調節をすることができると共に、各デバイダ53を取付横フレーム52に対し所望のデバイダ間隔にすることができる。従って、各デバイダ53はデバイダ間隔を等間隔にしたり、図3で示すように刈取幅の両側におけるデバイダ間隔を狭くしながら、内側のデバイダ間隔を広くするように簡単に位置決め調節することができ、茎の長い作物や各葉部が茎部で分離し広がっているようなホウレン草等の収穫を、作物を傷めることなく能率よく分草することができる等の特徴がある。
【0037】
また搬送部9は、その前部を左右の搬送フレーム9aに設けた接地輪54を介して地面に接地支持させると共に、左右の搬送フレーム9aの中途部を、搬送幅の中心位置で前記ケース横フレーム22に自在継手56を介して取付けている。
これにより機体フレーム4に傾斜姿勢で支持される搬送部9は、搬送始端部側を後方の自在継手56を支点に、接地輪54が地面の凹凸に倣って上下左右に転接移動することに基づきスムーズに揺動した収穫作業を行うことができる。
【0038】
上記構成においてカッタ13は、突起状刃先を左右に多数配置した上刃と下刃とを重ねて往復作動させるバリカン型カッタとしており、右側を搬送フレーム9aから突出させた入力部13aに、カッタモータ8bの出力軸に設けたフレキシブルワイヤ等からなる伝動部材57を接続して伝動するようにしている。この刈刃31はカッタモータ8bによって上刃と下刃を、相対的に往復振動(例えば1000〜2000回/分)させることにより葉菜の茎部を切断することができる。
【0039】
掻込体12は、ブラシロール58のブラシ軸59を、前記掻込体フレーム23に支持軸60と高さ調節手段61を介して上下回動自在に枢支される左右の第1アーム62と、該第1アーム62の先端側に姿勢変更手段63を介して接続される左右の第2アーム64とによって支持している。
尚、実施形態のブラシロール58は、葉部を傷傷めない柔軟なブラシを搬送幅とほぼ同等の長さを有するブラシ軸58に、ブラシ外径を30〜40cm程度となして構成している。
【0040】
上記左右の第1アーム62は、その先端を連結部材を介して掻込体フレーム23側に設けたを有するネジ杆67に連結しており、ハンドル66の操作に基づくネジ杆67の回動によって支持軸60を支点に上下動させることにより、ブラシロール58の掻込高さを調節することができる。また左右の第2アーム64は、中途部を中空状の横フレーム67で連結し、該横フレーム67内に設置した掻込モータ8cから回転伝動手段68を介してブラシ軸59を矢印方向に回転駆動するようにしている。このブラシロール58は、その周速度を搬送ベルト10の搬送速度よりやや速い程度に設定される。
【0041】
そして、上記姿勢変更手段63は、左右の第2アーム64の基部側を第1アーム62の先端に、支持ピン69を介して回動自在に枢支しており、この状態で取付ピン71を実線位置から略90度下方に変位させたA位置に付け替えて連結することにより、ブラシロール58を作業姿勢から、支持ピン69を支点に上方に回動退避させたメンテナンス姿勢に簡単に切換えて保持することができる。
【0042】
これにより収穫機1は収穫作業中に、例えば木屑或いはプラスッチク塵等の異物が、カッタ13又は搬送部9の始端部に至ったとき、オペレータは機体を停止した状態でブラシロール58をメンテナンス姿勢に切換えることができ、これによりカッタ13及び搬送始端部を大きく開放することができる。従って、オペレータは、ブラシロール58に邪魔されることなく異物の除去を能率よく簡単に行うことができる。
【0043】
次に、以上のように構成される収穫機1の使用態様及び作用を、圃場の畝に植生するホウレン草のような作物を収穫する例について説明する。先ず収穫機1は畝の幅及び作物の植生状況に対応させて、各デバイダ53を前記デバイダ間隔に調節設定しカッタ11による刈取り高さを設定して、左右の走行装置5を作業開始位置に置き、昇降モータ8dを駆動し昇降シリンダ3aによって搬送部9の作業高さを設定し、且つ掻込体12を作業姿勢にセットして作業開始状態となす。
次いで、制御ボックス15の各スイッチを操作することにより、走行モータ8及び搬送モータ8a並びにカッタモータ8b,掻込モータ8cを駆動して作業を行なう。
【0044】
これにより収穫機1は圃場の状況やホウレン草の植生状況に適応した走行速度と搬送速度を有して圃場を進行し、デバイダ53で掻き分けたホウレン草の根元部乃至茎部をカッタ11で切断し、切断されたホウレン草を掻込体12の掻き込み及び掻き上げ作用と共に、搬送部9で後方上方に向けて搬送する。また搬送部9の終端から回収部36に設けられるバケット37内に順次集積して収容する。そして、ホウレン草が満杯になったバケット37は、順次新たなバケット37と取替え装着する回収作業を繰り返すことにより、収穫機1は機体を停止することなく収穫作業を能率よく連続的に行うことができる。
【0045】
このような収穫作業の中途においてバッテリ7の電力が少なくなったことを、オペレータが機体の運転状況の把握又はバッテリ7の電力残存量を報知する報知手段等によって認知したとき、オペレータはハンドル4a側からエンジン13側に移動しエンジン13を始動して充電を開始したのち、ハンドル4a側に戻って収穫作業を続行する。またバッテリ7に必要量の充電をしたのちはエンジン13を停止する。
バッテリ充電をするとき、エンジン13をハンドル4aと同じ側の前方に配設した収穫機1は、オペレータがハンドル4a側とエンジン11側との移動を直線的に歩いて速やかに行うので、植生する作物に損傷を与えたり支障されることなく充電作業及び運転操作を能率よく行うことができる。
【0046】
また収穫機1は、走行装置5の走行フレーム17と該走行フレーム17に立設される車輪伝動ケース18とを連結する連結フレーム19を利用して、前方に向けて延長形成したエンジンフレーム23に搭載するので、簡潔で剛性の高いフレーム構造によって、搬送部9の側方で作物との接触を回避しながら収穫作業を行うことができる。
さらに、エンジン11をハンドル4aの後方に立つオペレータの視界を妨げることなく配置することができ、作物の搬送等の状況を正確に視認することができ収穫作業を行い易くすることができる。
【0047】
またエンジン13は、ガスボンベ13aから供給されるガスを燃料に運転するので、ガソリン燃料のエンジンに比較しクリーンな排気ガスにすることができ、作物に対する排気汚染の心配を無くすことができる。
さらにカセット型のガスボンベ8をボンベ支持部13bに装着するエンジン13は、小型で軽量化することができるので、左右の重量バランスを損なうことなく走行装置5の前部で搬送部9の左側方にコンパクトに纏めて設置することができ、収穫機1の小型軽量化を図ることができる等の特徴がある。
【0048】
尚、上記収穫機1の機体フレーム4には、広幅平ベルト状の搬送ベルト10を横向きに張設した搬送部9を有する収穫装置3を装着する他、例えば縦向きの従動ローラ46と駆動ローラ47とに狭幅の搬送ベルト10を張設し、該搬送ベルト10に対し同様の搬送ベルト10又は挟持用レールを対設することにより、ネギを挟持搬送するに好適な搬送部9を備えた収穫装置3を設置することができる。また走行装置5はクローラ28を機体の左右に配置したものに限ることなく、機体の中央部にのみクローラ28を配置してもよく、またクローラ28に代えて走行フレーム17の前後にタイヤ型の車輪を備えた構成にすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 葉菜収穫機(収穫機)
2 走行機体
4 機体フレーム
4a ハンドル
5 走行装置
7 バッテリ
9 搬送部
10 搬送ベルト
13 エンジン
13a ガスボンベ
14 発電機
17 走行フレーム
18 後部支柱フレーム(車輪伝動ケース)
19 連結フレーム
34 バッテリ台
36 回収部
37 バケット
38 ホルダ
42 載せ部
43 掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(5)を有する走行機体(2)に、圃場に植生する葉菜作物を前方下部から後方上方に向けて搬送する搬送部(9)を後傾斜状に設け、該搬送部(9)の後方に排出供給される作物を収容する回収部(36)と操縦用のハンドル(4a)を配設すると共に、走行装置(5)の後部側にバッテリ(7)を載置し、該バッテリ(7)の電力によって走行装置(5)及び搬送部(9)等を駆動する葉菜収穫機(1)において、前記走行機体(2)に、ハンドル(4a)が設置される側の搬送部(9)の前部側方にエンジン(13)を配設し、該エンジン(13)によって発電機(14)を駆動することにより、発電した電力をバッテリ(7)に充電することを特徴とする葉菜収穫機。
【請求項2】
発電機(14)を、カセット型のガスボンベ(13a)に充填される燃料ガスによって運転されるエンジン(13)によって駆動する請求項1記載の葉菜収穫機。
【請求項3】
エンジン(13)を、走行装置(5)の走行フレーム(17)と該走行フレーム(17)の後部に立設されて搬送部(9)を取付支持する後部支柱フレーム(18)とを連結する連結フレーム(19)を前方に延長させて形成したエンジンフレーム(23)に搭載する請求項1又は2記載の葉菜収穫機。
【請求項4】
バッテリ(7)を載置するバッテリ台(34)に、箱状のバケット(37)の前底部を載せる載せ部(42)と、該バケット(37)の上辺を引っ掛けて支持する下向きU字状の掛け部(43)を設けた請求項1乃至3記載の葉菜収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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