説明

蓄電システム

【課題】
これまでの太陽光発電システムでは、発電した電力を有効に活用できていなかった。
【解決手段】
上記課題を解決するため、本発明の蓄電システムでは、系統電源の電力線に接続される
蓄電池を複数の地区に設け、この蓄電池の充放電をコントロールするコントロール部を備
えた蓄電システムにおいて、前記コントロール部は、前記複数の地区の停電状況に応じて
、前記地区内へ電力を供給すべく充放電をコントロールすることを特徴とする蓄電システ
ム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を用いて発電を行う太陽光発電システムに関し、発電した電力を効率
よく蓄電し、また有効に活用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
夏場の電力需要逼迫の問題から、一時計画停電が行われており、冬場も引き続き対策を
講じなければならない可能性がある。
【0003】
実際に行われた計画停電では、生活時間帯を含めて、一定時間、電力供給がされない地
域が発生し、多くの家庭での生活に支障をきたし、また工場などでは勤務体系の変更や生
産体制に影響を与えた。
【0004】
一方、自然エネルギーとして、太陽光発電システムが普及しつつある。太陽光発電シス
テムでは、各家庭での電力をまかない、余った電力(余剰電力)を電力会社が一定期間固
定料金で買い取るいわゆるFIT制度が導入されている。
【0005】
これは、太陽光発電システムで発電し余剰電力分を電力系統に逆潮流し、逆潮流した電
力を電力計などにより計測し、電力会社がこの計測値と契約時の固定買取金額の値により
発電側に支払うものである。
【0006】
このような経緯から、近年、太陽光発電システムは急速に普及し、1つの柱上トランス
に接続される太陽光発電システムは急速に増加している。
【0007】
太陽光発電システムは、直流電圧を発電するため、交流にすべくパワーコンディショナ
システム(以下、「PCS」という。)を介在して系統側と接続している。
【0008】
ただ、柱上トランスの能力(たとえば50kvA)に対し、この柱上トランスにたとえ
ば10kvAの能力のPCSが6台接続されているとすると、柱上トランスの能力をPC
S側がオーバーすることになるが、このとき6台目のPCSから逆潮流しないようインピ
ーダンスなどを検出し、系統との連系を行わないよう単独運転検出を行って保護している

【0009】
単独運転検出されたPCSは、逆潮流できないため、本来、太陽光発電により発電可能
な状態でも強制的に停止させていた。
【0010】
また、系統の電圧が上昇した場合やPCSの温度上昇時には、逆潮流時に出力を抑制さ
せており、発電した電力を有効に活用できない状況があった。
【0011】
このような、蓄電池を用いて停電時に電力を供給するものとして、たとえば特許文献1
のような太陽光発電システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−295133号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1にかかる技術では、蓄電した電力は蓄電した家庭が使うか、
または、どこで使われるか、全くわからないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の蓄電システムでは、系統電源の電力線に接続され
る蓄電池を複数の地区に設け、この蓄電池の充放電をコントロールするコントロール部を
備えた蓄電システムにおいて、前記コントロール部は、前記複数の地区の停電状況に応じ
て、前記地区内へ電力を供給すべく充放電をコントロールすることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の蓄電システムの全体概要を示した図である。
【図2】図1における一地域における詳細を示した図である。
【図3】本発明の蓄電システムの全体概要を示した図である。
【図4】本発明の蓄電システムの全体概要を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0017】
本発明による蓄電システムにおける実施例1につき、図1を参照して説明する。
【0018】
図1は、系統電源1に電力系統線3を介して接続された複数の地区を示している。
【0019】
符合5は、各地区で、5A〜5Hの計8地区で構成されている。
【0020】
また、各地区には、それぞれ蓄電池7A〜7Hを備えている。
【0021】
説明上、各地区に蓄電池を1つずつ接続しているが、これに限るものではない。また、
地区も8地区に限られない。
【0022】
図2は、A地区で蓄電構成を示した図である。
【0023】
柱上トランス11の下流となる各家庭には、太陽光発電システムが備えられており、屋
根に太陽光パネル9が配置されている。太陽光パネルで発電した直流電力は、パワーコン
ディショナシステム(以下、「PCS」という。)17により交流電力に変換される。変
換された交流電力は、分電盤19を介して電力系統線3に接続されている。
【0024】
また、蓄電池7Aは、バッテリ部13とコントローラ部15を備えている。
【0025】
A地区にて太陽光発電システムの太陽光パネル9で発電した電力は、PCS17を介し
て蓄電池7のバッテリ部13に蓄電され、また、コントローラ部15により制御可能に構
成されている。
【0026】
他のB地区〜H地区も同様の構成となっている。
【0027】
次に本発明の作用について説明する。
【0028】
通常、計画を含め停電でないときには、各家庭は電力系統から電力を供給する。日中等
、太陽光発電システムで発電している時は、この太陽光発電システムからの電力の供給を
受ける。このとき、各家庭での電力の使用量が、太陽光発電システムでの発電量を下回る
ときは、発電した電力は余剰電力として、系統電源側へ逆潮流させる。
【0029】
ただ、柱上トランスの能力を超えることになるPCS17からの余剰電力となる場合や
、系統電圧の電圧上昇時、PCSの温度上昇時など、逆潮流不可あるいは逆潮流する電力
を抑制する制御がかかる場合がある。
【0030】
このとき、PCS17に具備する制御部(図示せず)により、系統から切り離す制御を
行い、発電した電力は蓄電池7に蓄電される。
【0031】
以上のように、太陽光発電システムのPCS17には、単独運転状態となった太陽光発
電システムの発電を停止させる単独運転検出機能や、無効電力により出力を抑制する出力
抑制機能、PCS17の温度を検出する機能が備えている。PCS17は、これら機能に
より逆潮流不可または逆潮流させることが無駄であることを検出した場合は、逆潮流させ
ることなく蓄電池7に蓄電している。
【0032】
次に、A地区からH地区で、順番に計画停電を行うこととなった場合について説明する

【0033】
まず最初に、にA地区5Aで一定時間(たとえば3時間)停電となる場合、A地区5A
には、系統電源1から電力は供給されない。このとき、非常のために蓄電した蓄電池7A
から7Hにより各家庭に電力が供給される。供給される順番は、最初は自分の地域の電池
7Aを使用し、その後7Bを使用するなど順序は問わない。計画停電の場合、B地区から
H地区には、系統電源から電力が供給されているため、基本的に蓄電池7B〜7Hを用い
なくても問題ない。
【0034】
しばらくして、B地区で計画停電を行うこととなった場合は、B地区には系統電源1か
ら電力が供給されないが、このときは、A地区の蓄電池7Aと、C地区からH地区の蓄電
池7Cから7Hに蓄電した電力を供給する。これにより各地区に安定した電力が供給され
る。
【0035】
このように、各地区での停電があった場合は、自己の地区の蓄電池の電力を他の地区に
供給可能にすることで、電力需要逼迫時の計画停電に対応する。
【0036】
どの地区に供給するは、予め協力関係にある地域か、近隣の同一市の各地域などを決め
ておき、蓄電池7のコントローラ部15にて制御できるようにしておく。
【0037】
図4は、一部の地区の蓄電池のみを用いて停電地区の電力を賄う場合の例である。
【0038】
図に示すように、例えばA地区で停電があった場合、B地区5Bの蓄電池7B、C地区
5Cの蓄電池7C、D地区5Dの蓄電池7DおよびE地区の蓄電池7Eに蓄電した電力を
A地区に供給する。これにより、残りのF地区5Fの蓄電池7FからH地区5Hの蓄電池
7Hは、連続して計画停電があった場合や、非常時に用いるなど有効に活用することがで
きる。
【0039】
この蓄電池7A〜7Hは、分電盤19A〜19Hの自立運転用端子などに接続されてお
り、必要に応じ、取り外すことで運搬可能となっている。
【0040】
たとえば、A地区5AからH地区5Hまでで計画停電がなかった場合や、被災地など電
気が来なくなった地域に緊急に電力が必要となった場合などで、運搬し活用することがで
きる。
【0041】
また、PCS17MPPTが正確に検知していない場合に、同様に蓄電池7に蓄電する
ようにしてもよい。
【0042】
また、この蓄電池7は、運搬し、電気系統の故障していない太陽光発電システムに接続
可能なため、さらに充電して活用することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1、系統電源
3、電力系統線
5、地区
7、蓄電池
9、太陽光パネル
11、柱上トランス
13、バッテリ部
15、コントローラ
17、パワーコンディショナシステム(PCS)
19、分電盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源の電力線に接続される蓄電池を複数の地区に設け、この蓄電池の充放電をコント
ロールするコントロール部を備えた蓄電システムにおいて、
前記コントロール部は、前記複数の地区の停電状況に応じて、前記地区内へ電力を供給
すべく充放電をコントロールすることを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
前記蓄電池は、運搬可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の蓄電システム

【請求項3】
前記蓄電池は、太陽光発電システムにより発電した電力が供給可能に構成され、前記太陽
光発電システムのパワーコンディショナシステムには、単独運転検出機能または本体の温
度制御検出機能の少なくとも一の機能が備えられており、少なくともいずれか一の機能を
検出したときに前記蓄電池に蓄電することを特徴とする請求項1または2記載の蓄電シス
テム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−93938(P2013−93938A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233424(P2011−233424)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】