説明

融雪パネルおよび融雪装置

【課題】 基面を舗装するとともに融雪を行い、かつ工期の短縮も可能となる融雪パネルおよび融雪装置を提供できるようにする。
【解決手段】 融雪パネル1は、水を通さない素材で形成した平面状部材4と、平面状部材4の周縁から起立させた側面部3と、平面状部材4と側面部3とで囲まれた凹状部位に形成されて骨材と接着剤とを混合して所定の透水率からなる透水材2と、平面状部材4と基面9との間に空間Spを確保するアジャスター7と、空間Sp内に充填する資材によって形成され透水材2よりも低い透水率からなる遮水材8とを有する。融雪装置は、複数の融雪パネル1を連結して構成する。透水材2に浸透させた水は重力に逆らって舗装面(透水材2の表面)を容易に浸すので、融雪を行える。資材を充填する空間Spは水を通さない平面状部材4の下方(裏側)に位置して保護されるので、従来よりは工期を大幅に短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や車が通行可能な路面に降り積もる雪を融かす装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雪は熱すれば融ける性質を利用し、平板に埋めた放熱パイプに水蒸気等の熱媒体を通ずることにより融雪する技術や(例えば特許文献1を参照)、コンクリート体に埋めた発熱体により融雪する技術が知られている(例えば特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2002−188108号公報(第4−6頁,図1)
【特許文献2】特開2001−193008号公報(第4−7頁,図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、路床や路盤等に流し込んだモルタルが固まってコンクリート体になるには、天候が良くても相応の養生期間が必要であり、悪天候(例えば雨や雪等)が続くとモルタルが濡れて固まりにくくなるために養生期間も延びる。したがって、梅雨時や積雪時などでは固化に日数が掛かって工期も延びていた。このようなことから、悪天候が続いた場合でも従来よりは工期を短縮できる融雪部材が望まれていた。
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、基面(上述した例では路床や路盤等が該当する)を舗装するとともに融雪を行い、かつ工期の短縮も可能となる融雪パネルおよび融雪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、図1に模式的に表すように、水を通さない素材で形成した平面状部材4と、前記平面状部材4の周縁から起立させた側面部3と、前記平面状部材4と前記側面部3とで囲まれた凹状部位に形成されて骨材と接着剤とを混合して所定の透水率からなる透水材2と、前記平面状部材4と基面9との間に空間Spを確保するアジャスター7と、前記空間Sp内に充填する資材によって形成され前記透水材2よりも低い透水率からなる遮水材8とを有し、前記透水材2に浸透させた水によって融雪を行うことを要旨とする。
【0005】
解決手段1に記載した用語は、以下のように解釈する。当該解釈は特許請求の範囲および明細書の記載についても同様である。
(a)「平面状部材」は、水を通さない素材(すなわち透水率がゼロ)であれば任意の素材(すなわち材質,材料)で形成してよい。例えば金属(アルミや合金等),合成樹脂,木材等が該当し、特に水に対して耐腐食性の高い素材であることが望ましい。
また、平面状部材は、多角形状(三角形状,五角形状,六角形状等),円形状(楕円形状を含む),合成形状(二種以上の形状を合成した形状等)などのように任意の形状で形成してもよい。なお、四角形状は加工容易な点や低コストな点などで有利である。
(b)「側面部」は、透水材を外部(すなわち基面や他の透水材)と区画して水の流れを遮断するように形成されていればよい。側面部を形成する素材は、平面状部材のように水を通さない素材でもよく、透水材のように一定の透水率(ただし透水材の透水率よりは低い)で水を通す素材でもよい。側面部の形態は、仕切り板のように単体で構成してもよく、平面状部材と一体に(言い換えれば平面状部材の周縁を起立させた箱状部材として)構成してもよく、透水材と一体に(言い換えれば透水材の一部として)構成してもよい。
(c)「透水材」を形成する骨材には、資材(主に工業用資材)を用いてもよく、廃材(自然廃材や工業廃材を含む。)を用いてもよい。骨材の例としては、石類(砂,砂利,石片等を含む),籾殻,ゴムチップ,木屑,ウッドチップ,コンクリート片,プラスチック片等が該当する。接着剤の材質も任意であるが、例えばエステル系高分子ポリマーとメタノール溶液との混合物を用いるのが望ましい。
(d)「基面」は、融雪パネル(または後述する融雪装置)を設置する面である。例えば、路床,路盤,路面,未整地の地面,建築物(すなわち建物や家屋等)の一部などが該当する。これらのうち、路面はコンクリート,アスファルト,舗装用ブロック等で完成させた面であって、具体的には階段,駐車場,歩道橋,橋梁,護岸等が該当する。建築物の一部としては、例えば屋根がない通路部分(コンコース,ロビー,廊下,土間等)、ベランダ、バルコニー、屋根(ほぼ水平や傾斜角が緩いものであって切妻屋根等の急傾斜角を除く)などが該当する。
(e)「アジャスター」は平面状部材と基面との間に空間(すなわち空洞)を確保できれば任意の部材を適用してよく、当該空間の高さを調整できる部材(例えばネジやバネ等)を用いるのが望ましい。当該アジャスターは単体で構成してもよく、他の部材(すなわち平面状部材や後述する断熱材等)の一部として構成してもよく、当該他の部材と一体化させて構成してもよい。
【0006】
解決手段1による融雪パネル1は、大きく分けて透水材2,平面状部材4および側面部3,遮水材8からなり、平面状部材4と側面部3とで囲まれた凹状部位に透水材2を形成する。透水材2は、骨材と接着剤とを所定の比率で混合し、骨材どうしを接着剤で接着して形成するので、所定の強度と所定の透水率とを得ている。所定の強度を得ていることから、コンクリート体等と同様に舗装体として取り扱うことができる。また、水は骨材相互間の小さな隙間を通ることになるため、水自身の表面張力等を要因として毛細管現象が起きやすい。この毛細管現象によって、透水材2に浸透させた水は重力に逆らって舗装面(すなわち透水材2の表面)を容易に浸すことができる。連続的または間欠的に水を透水材2に供給すれば、舗装面を浸す水で融雪を継続できる。直射日光により舗装面が熱される夏場等では舗装面に水を浸すと、熱された透水材2を冷却するとともに、舗装面を浸した水が蒸発する際の気化熱によって周囲の気温を下げるので、心地良い環境を提供できる。降雨時に水の供給を止めれば、舗装面から浸透してきた雨水は透水材50を通り抜けて余分な水を排出できるので、水溜まりができにくい。
【0007】
遮水材8は、アジャスター7によって平面状部材4と基面9との間に確保された空間Sp内に充填された資材によって形成される。当該資材には、例えばモルタルなどのコンクリート用資材や、ウレタンや発泡スチロールなどの合成樹脂などが該当する。資材を充填する空間Spは水を通さない平面状部材4の下方(裏側)に位置して保護されるので、固まるのに日数を要するモルタルなどを資材として用いた場合は悪天候が続いても従来よりは影響を受けにくい。よって悪天候が続く時期に施工しても雨等で濡れないため、養生期間は天候が良い時期とほぼ同じか少し延びる程度であり、従来よりは工期を大幅に短縮することができる。また、遮水材8は地中に浸透しようとする水を防ぐので、側面部3と相俟って水を押し上げて湧水効果を奏し、舗装面を水で浸すことを容易にしている。
【0008】
(2)解決手段2は、解決手段1に記載した融雪パネル1であって、側面部3は、平面状部材4と透水材2とのうちでいずれか一方と一体に形成したことを要旨とする。
【0009】
解決手段2によれば、側面部3は平面状部材4と一体に形成するか、あるいは透水材2と一体に形成する。前者の場合には、例えば平面状部材4の周縁から延ばしてほぼ直立させた面が側面部3になり、外観上は箱状部材になる。後者の場合には、透水材2の一部として形成され、当該透水材2の透水率よりも低く(透水率が低いほど望ましい)することで水が流れにくくする。こうして側面部3を他の部材と一体化させると部品点数が減るので、コストを安く抑えたり、施工時間を短縮できる。
【0010】
(3)解決手段3は、解決手段1または2に記載した融雪パネル1であって、平面状部材4には、水路となり得る溝部4cを有することを要旨とする。
【0011】
透水材2で毛細管現象が起きやすいとはいえ、重力の影響によって流下する水が少なからず存在することも事実である。解決手段3によれば、透水材2の下方側(すなわち平面状部材4の上面またはその近傍であり、以下同様とする。)に流下した水は、一段低く形成されている溝部4cを通りやすい。したがって、溝部4cは水の通り道となる水路の機能を果たす。この水路機能によれば、複数の融雪パネル1を連結する場合には他の融雪パネル1に水を供給することができ、他の融雪パネル1がない場合には不要となった水を排出することができる。
なお、溝部4cをどのように平面状部材4に形成するかは任意であって、例えば平面状部材4の周縁に沿って形成してもよく、十字状,X字状,ストライプ状などで形成してもよい。
【0012】
(4)解決手段4は、解決手段1または3に記載した融雪パネル1であって、透水材2は、透水率が異なる上層部と下層部とで構成したことを要旨とする。
【0013】
重力の影響を受けて透水材2の下方側に流下した水は、当該下方側部位の透水率に従って流速が変わる。解決手段4によれば、透水材2は上層部と下層部の二層構造で形成する。各層の透水率は、上層部のほうが下層部よりも高い場合と、下層部のほうが上層部よりも高い場合とがある。前者は傾斜面等のように水の流れ(流速)が良すぎる場合に適用し、流速を抑えることができる。後者は水平面等のように水の流れが悪すぎる場合に適用し、流速を向上させることができる。したがって、水の流れを適切に確保できる。
【0014】
(5)解決手段5は、解決手段1から4のいずれか一項に記載した融雪パネル1であって、透水材2および平面状部材4には、遮水材8を形成する資材を空間Sp内に充填する際に、当該資材の通路となる貫通穴2a,4aを備える構成としたことを要旨とする。
【0015】
解決手段5によれば、基面9に平面状部材4とアジャスター7を設置した後、貫通穴から資材を空間Sp内に充填して遮水材8を形成することができる。また、充填を終えた後は平面状部材4の存在によって外気と遮断されるため、充填した資材を容易に硬化させられる。すなわちモルタルやエポキシ系樹脂等の資材は、雨や大気中の水分等の余分な水分から遮断された方が好ましく、水とセメント及び主剤と硬化剤との化学反応によりゲル状から硬化してゆくためである。
なお、貫通穴の個数は任意(すなわち1個または2個以上の複数個)であるが、上述した点を考慮すると、平面状部材4の中央付近に1個備えるのが望ましい。
【0016】
(6)解決手段6は、解決手段1から5のいずれか一項に記載した融雪パネル1であって、アジャスター7には、平面状部材4と基面9との間に確保する空間Spの高さを調整可能な部材を用いたことを要旨とする。
【0017】
解決手段6によれば、空間Spの高さを調整可能な部材、例えばネジやバネなどの部材をアジャスター7として用いる。一の融雪パネル1については、複数個のアジャスター7の全部に用いてもよく、複数個のうちで一個以上のアジャスター7に用いてもよい。アジャスター7で高さを調整すれば、融雪パネル1の舗装面を水平にしたり、当該舗装面を所定の勾配(例えば10%以下の水勾配)に傾斜させることが可能になる。他の利用形態としては、例えば遮水材8が固まるまでに施工した複数の融雪パネル1間で段差が生じたときは、アジャスター7で段差が無いように調整することができる。
【0018】
(7)解決手段7は、解決手段1から6のいずれか一項に記載した融雪パネル1であって、平面状部材4と基面9との間に介在させた発熱体5を有することを要旨とする。
【0019】
解決手段7によれば、平面状部材4と基面9との間に発熱体5を介在させるが、効率よく熱を伝えるには平面状部材4と接触させるのが望ましい。発熱体5は、熱を発すれば任意のものを適用することができる。例えば、電熱線(ニクロム線や白金抵抗線、セラミックスヒーター線、導電性ポリマーヒーター線など)や、熱流体を通すパイプ、遠赤外線を放射する部材などが該当する。熱流体は融雪が行える熱を持つ流体であれば任意のものを適用することができ、自然流体と人工流体とがある。自然流体は自然エネルギーによって蓄熱して地中から放出される流体であって、例えば温泉水や間欠泉などが該当する。人工流体は加熱装置によって人工的に熱した流体であって、例えばボイラーや太陽熱ヒーター等で加熱した水,不凍液,油などが該当する。遠赤外線を放射する部材は、例えば酸化シリカ、酸化アルミナ等を主要成分とする花崗岩や流紋岩の微粉末、石炭灰等が該当する。いずれの発熱体5にせよ、発熱体5から発する熱で透水材2(特に骨材)を温めると、透水材2内を流れる水も温まる。こうして温められた水が舗装面を浸すと、融雪が行いやすくなる。
【0020】
(8)解決手段8は、解決手段1から7のいずれか一項に記載した融雪パネル1であって、平面状部材4と基面9との間に介在させた断熱材6を有することを要旨とする。
【0021】
解決手段8によれば、平面状部材4と基面9との間に断熱材6を介在させるが、発熱体5を備える場合には当該発熱体5と基面9との間に断熱材6を介在させるのが望ましい。断熱材6は、熱の流れを断つものであれば任意の素材を用いて形成してよい。例えば、硬質スチロールや発泡スチロール等の合成樹脂、ウール(羊毛)やセルロース断熱材等の天然樹脂、グラスウールやロックウール等の鉱物繊維などが該当する。断熱材6を介在させたことによって、基面9(すなわち地中)側から伝わってくる冷気で透水材2に存する水が冷やされるのを防ぐことができる。また、発熱体5を備える場合には、当該発熱体5から発する熱が冷やされるのを防ぐことができる。さらに、断熱材6を備えると昼夜の温度差が少なくなるので、充填した資材の硬化スピードが向上する。なお、上述した貫通穴2a,4aと同様に、資材の通路となる貫通穴6aを断熱材6に備えるのが望ましい。
【0022】
(9)解決手段9は、解決手段8に記載した融雪パネル1であって、断熱材6は、透水材2よりも軟らかい素材を用いて形成したことを要旨とする。
【0023】
解決手段9によれば、透水材2よりも軟らかい素材(例えばゴム類,プラスチック組成物,発泡体(弾性発泡材料や塑性発泡材料等),エアキャップ,砂,粘土など)を用いて断熱材6を形成すれば、断熱材6が緩衝材としての役割を果たす。よって、融雪パネル1上を歩行者が歩く際にクッションとなるので、歩行に優しい融雪パネル1を提供することができる。
【0024】
(10)解決手段10は、図2に模式的に表すように、融雪装置Mは、解決手段1から9のいずれか一項に記載した融雪パネル1を複数用いて、複数の前記融雪パネル1を平面方向に対して連結する連結手段3a,3bと、前記融雪パネル1に水を送る送水路Wpとを有することを要旨とする。
【0025】
解決手段10によれば、複数の融雪パネル1をタイル状に並べて敷き詰める場合には、融雪パネル1どうしを連結手段3a,3bによって連結する。連結手段3a,3bは、融雪パネル1どうしを連結できれば任意の手段を用いてよい。例えば、一方側の融雪パネル1について側面部3にバーリング(穴をあけた周縁を突起させた形状)を施し、他方側の融雪パネル1について当該バーリングの突起部が入る穴を側面部3にあける。バーリングの突起部を穴に嵌め込めば、摺動抵抗が生じて融雪パネル1間を連結することができる。バーリングの突起部に抜け止め部を設ければ、嵌め込み後は抜けにくくなり、融雪パネル1を強固に連結できる。送水路Wpから水を融雪パネル1に送ることにより、当該融雪パネル1の舗装面を水で浸して融雪を行える。なお必要に応じて、複数の融雪パネル1から排出される水を排出する排水路Dpを備える構成としてもよい。
【0026】
(11)解決手段11は、解決手段10に記載した融雪装置Mであって、連結手段3bは、側面部3の相互間で水の通り道となる開口部を有することを要旨とする。
【0027】
解決手段11によれば、連結手段3bに備えた開口部は水の通り道となる。よって当該開口部が水路となるので、一方の透水材2(融雪パネル1)から他方の透水材2(融雪パネル1)に水を供給して全体に水を行き渡らせることができる。例えば、上述したバーリングと穴の組み合わせが該当し、バーリングの突起部が水路の役目を果たす。
【0028】
(12)解決手段12は、解決手段10または11に記載した融雪装置Mであって、水源から水を汲み上げて送水路Wpに供給する揚水機Pを有することを要旨とする。
【0029】
水源は、ダム,河川,排水路Dp等のように水を供給可能な源が該当する。水源よりも下流側に融雪装置Mを設置する場合には、流下する水をそのまま利用することができる。しかし、水源よりも上流側に融雪装置Mを設置する場合には、流下する水をそのまま利用することができない。解決手段12によれば、水源から水を揚水機Pによって汲み上げて送水路Wpに供給するので、確実に融雪装置Mの舗装面を水で浸して融雪を行うことができる。
【0030】
(13)解決手段13は、解決手段10から12のいずれか一項に記載した融雪装置Mであって、送水路Wpに流す水の圧力は、位置エネルギーまたは河川の水圧を利用する構成としたことを要旨とする。
【0031】
送水路Wpから水を送るには圧力(水圧)が必要となるので、一般的には揚水機Pを用いて圧力を加える。解決手段13によれば、標高差や落差等の位置エネルギーを利用したり、河川を流れる水の圧力を利用するので、揚水機Pが不要となる。したがって、圧力を得るのに揚水機Pひいては電力を必要としない。
【0032】
(14)解決手段14は、解決手段10から13のいずれか一項に記載した融雪装置Mであって、水を貯めておく貯水部Rと、前記貯水部Rを水源として水を汲み上げて送水路Wpに送る揚水機Pとを有することを要旨とする。
【0033】
解決手段14によれば、水を貯水部Rに貯めておき、貯まった水を揚水機Pで汲み上げて送水路Wpに送り、再び融雪装置Mの舗装面を水で浸す。すなわち公園の噴水のように水を循環させて融雪を繰り返し行う。貯水部Rは、貯水槽のような構造物を設けてもよく、水路(例えば用水路,送水路,排水路等)の一部を利用してもよい。貯水部Rに貯め得る水には、融雪装置Mを流れてきた水に限らず、当日以前に降った雨や雪なども該当する。揚水機Pを動かすための電力が必要となるものの、水を循環して利用すれば外部から水を調達しなくて済む。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、融雪が行えるとともに、かつ工期の短縮も可能となる融雪パネルおよび融雪装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明を実施するための最良の形態について、図3〜図11を参照しながら説明する。なお、上下左右等の方向を言う場合には図面に表された状態を基準とする。
【0036】
〔パネルの構成例〕
まず、平面状部材4と側面部3とを一体化させた部材に相当するパネル10の構成例について、図3を参照しながら説明する。当該図3(A)には平面図を示し、図3(B)には側面図を示し、図3(C)には図3(A)のC−C線断面図を示し、図3(D)および図3(F)には図3(C)に表す円内の拡大図をそれぞれ示し、図3(E)には図3(A)のE−E線断面図を示す。
【0037】
パネル10は平面部位16と側板12とが一体化されており、水を通さない素材(例えばアルミ板やステンレス板など)を加工して形成されている。側板12は、平面部位16の周縁からほぼ垂直に起立させた構造になっている。平面部位16は平面部4bに相当し、側板12は側面部3に相当する。図3(A)に示す例のパネル10は、所定の寸法(例えば450×450[mm])で形成され、平面が正方形状の箱状部材になっている。
【0038】
図3(A)および図3(E)に示すように、平面部位16のほぼ中央には貫通穴15を備える。貫通穴15は貫通穴4aに相当し、所定の直径(例えば20[mm])で所定の高さ(例えば5.5[mm])だけ上方側に突起させた構造になっている。図3(A),図3(D)および図3(F)に示すように、平面部位16の周縁部位には下方側に段差(例えば10[mm])を設けた溝部13を備える。溝部13は溝部4cに相当し、上述した平面部位16と合わせて平面状部材4に相当する。
【0039】
図3(A)および図3(B)に示すように、4つの側板12のうちで一の側板12にはバーリング11を形成し、他の側板12には穴14を形成する。バーリング11は連結手段3bに相当し、所定の直径(例えば8[mm])で穴があけられ、当該穴の周縁は所定の高さ(例えば5.5[mm])だけ外側に突起させた構造となっている。穴14の内径はバーリング11の外径とほぼ同じ寸法で形成することにより、一のパネル10に備えたバーリング11を他のパネル10に備えた穴14に嵌め合わせることができる。バーリング11は連結手段3bに相当し、穴14は連結手段3aに相当する。
【0040】
〔断熱部材の構成例〕
次に、調整部材30を断熱部材20に組み付けて構成する例について、図4を参照しながら説明する。当該図4(A)には平面図を示し、図4(B)には側面図を示し、図4(C)には図4(A)のC−C線断面図を示し、図4(D)には図4(A)のD−D線断面図を示し、図4(E)には図4(A)のE−E線断面図を示す。
【0041】
断熱部材20は断熱材6に相当し、例えば硬質スチロールまたは発泡スチロールによって形成する。図4(A),図4(D)および図4(E)に示すように、断熱部材20の表面には溝21が形成されている。溝21に電熱線40を嵌め込むと、モルタルの充填時等でも位置ずれが起きにくくなり、融雪パネルを形成した後はパネル10をほぼ均等に温めることができる。電熱線40には、例えばニクロム線や白金抵抗線、セラミックスヒーター線、導電性ポリマーヒーター線などを用いる。
【0042】
図4(A)および図4(C)に示すように、断熱部材20にあけられた貫通穴22は、上述したパネル10の貫通穴15と同一軸上に位置する。これらの貫通穴15および貫通穴22によって、空間Spにモルタル等を確実に充填することができるようになる。
【0043】
図4(A)および図4(B)に示すように、断熱部材20の所定位置(例えば四隅)には調整部材30が組み付けられている。調整部材30はアジャスター7に相当し、断熱部材20の下方側にモルタル等を充填できるようにするための空間Spを確保する。調整部材30は断熱部材20と同一の素材で一体に形成してもよく、断熱部材20とは別個の素材(例えば金属)で形成したうえで断熱部材20に取り付けてもよい。調整部材30としてネジ状部材を用いれば、空間Spの高さ(例えば2[cm])を調整することができる。
【0044】
〔融雪パネルの形成例〕
上述したパネル10や断熱部材20等を用いて融雪パネルを形成(もしくは製造)する例について、図5,図6を参照しながら説明する。これらの図5,図6にはそれぞれ製造過程を説明するための縦断面図を表す。
【0045】
まず図5(A)では、箱状に形成したパネル10において、平面部位16と側板12とで囲まれた凹状部位に混合物50a(骨材と接着剤とを混合したもの)を流し込む。この混合物50aが固まると、所定の透水率(例えば4[cm/sec])からなる透水材50になる。この透水率は「透水係数」とも呼ばれ、水が単位時間当たりに部材内を透過する距離であるので、数値が大きくなるにつれて水を透過しやすくなる。
【0046】
骨材には、資材(主に工業用資材)のみを用いてもよく、廃材(自然廃材および工業廃材を含む。)のみを用いてもよく、両者を混在して用いてもよい。また、資材にせよ廃材にせよ、一種類のみの素材を用いてもよく、複数種類の素材を混在して用いてもよい。例えばコンクリート片とゴム片を混在させると、コンクリート片の硬さとゴム片の弾力性とを兼ね備えることが可能になる。廃材には、自然廃材(例えば籾殻,木屑,ウッドチップ,砂利等)や、産業廃材(例えばプラスチック片,コンクリート片,ガラス片等)がある。これらの廃材を骨材として用いることで、当該廃材をリサイクルに有効活用できる。
【0047】
接着剤には、上述した骨材どうしを接着可能なものであれば、任意の成分からなる接着剤を用いることができる。特に、硬化後にほぼ透明(あるいは半透明)となる接着剤を用いた場合には、骨材として用いた素材そのものの特性(例えば色合いや木目等)をそのまま活かせる。骨材は舗装面にも表れるので、カラフルな舗装面としたり、文字,模様やキャラクタ等の図柄を舗装面に描くことも可能になる。また、エステル系高分子ポリマーとメタノール溶液との混合物からなる接着剤を用いた場合には、植物の生育にほとんど障害を与えず、自然環境を保全できる。
【0048】
骨材と接着剤とを混合する比率は、骨材の構造や水分吸収率等の影響を受けるため、予め骨材ごとに実験等を予め行なっておく。例えば透水率を4[cm/sec]に設定し、エステル系高分子ポリマーとメタノール溶液との混合物からなる接着剤を用いるという条件下において、籾殻,木屑,ウッドチップ,砂利を骨材として用いた場合の各混合比率(すなわち骨材重量:接着剤重量)は、次表のようになる。
【0049】

【0050】
パネル10に流し込んだ混合物50aを表面がほぼ平らになるように均したうえで固めると、凹状部位には図5(B)に示すような透水材50が形成される。パネル10の貫通穴15を回避して均せば、当該部位が結果として透水材50の貫通穴50bとなる。透水材50は透水材2に相当し、貫通穴50bは貫通穴2aに相当する。この場合、透水材50の厚みは表面から平面部位16の表面までの距離であり、図には「d」で示す。
【0051】
そして図5(C)に示すように、路床60には遮水を確実にするために遮水シート25を敷く。当該遮水シート25の上には、電熱線40を嵌め込んだ断熱部材20を置く。この状態では、断熱部材20に設けた調整部材30の分だけ断熱部材20と遮水シート25との間に空間ができる。ただし、電熱線40は電源から電力を受けて発熱可能に電気的接続を行なっておく。断熱部材20の上には、パネル10の平面部位16(上げ底のような部位)と嵌まるようにして、透水材50が形成されたパネル10を置く。こうして断熱部材20にパネル10を置いた状態を図6(A)に示す。
【0052】
図6(A)に示す状態では、貫通穴15,22,50bがほぼ同一軸上に位置しているので、この貫通穴を通じて断熱部材20と遮水シート25との間に確保された空間Spにモルタル80a(資材に相当する)を充填することができる。そこで図6(B)に示すように、ノズル70から貫通穴15,22,50bを通じてモルタル80aを充填する。モルタル80aの充填を終えた後はパネル10の存在によって外気と遮断されるため、充填したモルタル80aを容易に硬化させられる。すなわちモルタル80aは、雨や大気中の水分等の余分な水分から遮断された方が好ましく、水とセメント及び主剤と硬化剤との化学反応によりゲル状から硬化してゆくためである。モルタル80aが固まると、遮水材8に相当するコンクリート80になる。このコンクリート80は地中に浸透しようとする水を防ぐので、パネル10の側板12と相俟って水を押し上げて湧水効果を奏し、舗装面を水で浸すことを容易にしている。
【0053】
図6(C)において上から順番に、透水材50が形成されたパネル10、電熱線40を嵌め込んだ断熱部材20、コンクリート80などからなる融雪パネル90を完成する。融雪パネル90は融雪パネル1に相当する。なお、上述した製造手順を自動化するような製造装置を構成した場合には、融雪パネル90を大量生産することができ、1枚あたりの製造コストを安く抑えることができる。
【0054】
〔融雪装置の構成例〕
ここからは広範な基面を舗装するにあたって、上述のように形成した複数の融雪パネル90を用いて融雪装置を構成する例について、図7〜図9を参照しながら説明する。図7は、融雪装置の構成例を平面図で表す。図8にはパネルの連結例を示す。図9は、融雪装置の構成部品の一部を表す。
【0055】
図7に表す融雪装置100は、給水管102,複数の融雪パネル90(本例では5行8列状に敷き詰めた40枚),排水管105などを有しており、周囲を外枠101で囲うように構成する。この外枠101は融雪パネル90よりも5[mm]程度高く形成され、融雪パネル90(具体的にはパネル10)を固定しやすくしたり、融雪パネル90を浸した水が外部に流れ出さないようにする機能を果たす。当該融雪装置100は融雪装置Mに相当し、図の左側が上流側、右側が下流側となるように設置する。送水管103に接続される給水管102は、複数の融雪パネル90に水を供給する。当該給水管102は送水路Wpに相当する。送水管103の途中には、供給する水の量を調整するバルブ104を設ける。当該バルブ104はバルブVに相当する。バルブ104の設置位置は任意であるが、できるだけ融雪装置100に近い位置が望ましい。排水路Dpに相当する排水管105は、複数の融雪パネル90で使用された後、余った水を排水する。当該排水管105はU字状に形成されているので、上蓋106を載せて覆う。
【0056】
上述した給水管102の構造例については、図8(A)に側面図で表し、図8(B)に右側面図で表す。給水管102は角筒状に形成され、複数の穴102aを有する。当該複数の穴102aは、融雪パネル90(具体的にはパネル10)に備えた穴14と同様の内径と個数からなる。よって、一番上流側に位置する融雪パネル90のパネル10に備えたバーリング11を嵌め込むことにより両者を連結する。
【0057】
排水管105の構造例については、図8(C)に平面図で表し、図8(D)に右側面図で表し、図8(E)に側面図で表す。排水管105は一部を開放したU字状(樋状)に形成され、複数のバーリング105aを有する。当該複数のバーリング105aは、融雪パネル90(具体的にはパネル10)に備えたバーリング11と同様の外径と個数からなる。よって、一番下流側に位置する融雪パネル90のパネル10に備えた穴14に対して、バーリング105aを嵌め込むことにより両者を連結する。
【0058】
上蓋106の構造例については、図8(F)に平面図で表し、図8(G)に右側面図で表し、図8(H)に側面図で表す。上蓋106は一部を開放したU字状(樋状)に形成され、複数の穴106aを有する。上述した穴102aのような連結は行わず、単に水の通り道になるだけであるので、内径,個数,間隔などは任意に設定できる。
【0059】
上記では給水管102と融雪パネル90との連結方法や、融雪パネル90と排水管105との連結方法を説明したが、複数の融雪パネル90どうしを連結する方法の一例を図9に示す。当該図9では図示を分かり易くするために、融雪パネル90をパネル10で代用する(図では符号を「90(10)」と記載する)。よって、図9の説明において特に明示しない限り、パネル10は融雪パネル90を意味する。また、3枚以上の連結は2枚の連結を繰り返せばよいので、ここでは2枚の融雪パネル90を連結する例を説明する。
【0060】
まず図9(A)に断面図で示すように、左側のパネル10に備える穴14に対して、右側のパネル10に備えるバーリング11を嵌め込む。図9(B)に斜視図で示すように、バーリング11は穴11bと当該穴11bをあけた周縁を突起させた突起部11aとからなる。穴11bは開口部に相当し、図示する破線の部位(すなわちパネル10にあけた穴)を含む。穴14の内径はバーリング11の外径とほぼ同じ寸法で形成されているので、バーリング11の突起部11aを穴14に嵌め込めば、摺動抵抗が生じてパネル10間を連結することができる。よって、ネジやナット等の連結用部材を用いずに簡単で素早く連結を行える。こうして2枚のパネル10を連結した状態を図9(C)に断面図で示す。
【0061】
給水管102とパネル10との連結、パネル10と排水管105との連結、複数のパネル10どうし(すなわち融雪パネル90どうし)の連結を行なった状態を図9(D)に表す。当該図9(D)は図7のD−D線断面図を表す。図の左側から右側に向かって、給水管102の穴102aにパネル10のバーリング11を連結し、パネル10どうしを数回(本例では7回)連結し、パネル10の穴14に排水管105のバーリング105aを連結したうえで、さらに外枠101を取り付けた状態を示す。この連結によって、水は給水管102→パネル10→パネル10→…→パネル10→排水管105の順に流れてゆく。なお、連結を行わない側板12(すなわち穴14のみの側板12)では、パネル10の相互間でほぼ同じ位置に穴14があいているので、当該穴14を通じて水が流れてゆく。
【0062】
〔基面の舗装例〕
次に、上述のように形成した融雪装置100を用いて基面9を舗装する例について、図10,図11を参照しながら説明する。本例では、基面9の一例として路床を舗装する例を説明する。図10には、融雪装置100を用いて路床を舗装する様子を表す。また図11には、流量に対する透水率,透水材の厚み,傾斜角との関係例をグラフで表す。
【0063】
まず図10(A)に示すように、地表201から融雪装置100の高さ分だけ掘り下げて路床200を施工する。本例では水路202に隣接させ、しかも図の左側から右側に向かって傾斜角θだけ下るように施工している。その後は、上述のように完成させた融雪装置100を設置してもよく、融雪パネル90の形成順および融雪装置100の構成順に従って現場で組み立ててもよい。現場で組み立てる場合には、例えば図5(C)に示すようにパネル10の上げ底部分に断熱部材20を組み付けた段階で必要数(図7の例では40枚)だけパネル10どうしを連結し、図5(C)に示す遮水シート25を路床200に敷き、図6(B)に示すモルタル80aを流し込むのが望ましい。こうして設置また組み立てた融雪装置100に対して、送水管103を接続した例を図10(B)に示す。
【0064】
図10(B)のように施工した場合には、水源から送水管103および給水管102を経て複数の融雪パネル90に連続的または間欠的に水を供給する。具体的には、作業者がバルブ104を調整することで送水管103および給水管102を通じて融雪装置100に供給する水の流量を調整する。この調整により、融雪装置100を構成する融雪パネル90の表面(すなわち舗装面)を浸す水で融雪を継続できる。
【0065】
水路202は貯水部Rに相当し、例えば貯水槽のような構造物であってもよく、用水路,送水路,排水路等の一部を利用してもよい。水路202に貯まる水は、融雪パネル90を流れてきた水や、当日以前に降った雨や雪などである。この水路202を水源とする場合には、さらに図10(C)に示すように施工するのが望ましい。すなわち水路202内の水を汲み上げるポンプ203を設置し、当該ポンプ203と給水管102とを送水管103で送水可能に接続する。当該ポンプ203は揚水機Pに相当する。このように構成すれば、融雪装置100と水路202との間で水を循環して使用することができる。
【0066】
上述した融雪装置100は傾斜角θの傾斜があるので、水は上流側から下流側に流れ易くなることから、傾斜角θと流量によっては水を供給しても舗装面を浸さなくなる場合がある。そこで、流量に対する透水材50の透水率との関係、流量に対する透水材50の厚みとの関係、流量に対する基面(本例では路床200)の傾斜角θとの関係についてそれぞれ試験してみた。それぞれの試験結果をグラフで図11に表し、簡単に説明する。
【0067】
図11(A)には、流量fに対する透水材50の透水率kとの関係を表す。透水率kが大きくなるにつれて、舗装面を浸すのに必要な流量fも増えてゆくので、両者間にはほぼ比例する関係が成り立つ。この関係によれば、確保できる流量fに応じて透水率kを設定すれば、融雪装置100の舗装面を確実に水で浸すことができる。
【0068】
図11(B)には、流量fに対する透水材50の厚みd(図5(B)を参照)との関係を表す。厚みdが大きくなるにつれて、舗装面を浸すのに必要な流量fも増えてゆくので、両者間にはほぼ比例する関係が成り立つ。この関係によれば、確保できる流量fに応じて厚みdを設定すれば、融雪装置100の舗装面を確実に水で浸すことができる。なお、厚みdは小さい(薄い)ほうが流量fも少なく済むので、経済的である。
【0069】
図11(C)には、流量fに対する路床200の傾斜角θとの関係を表す。傾斜角θが大きくなるにつれて、舗装面を浸すのに必要な流量fも少し増える。ところが図示するように、傾斜角θがある角度を超えると必要な流量fが次第に減少してゆくことが分かった。この現象は、透水材50に供給された水は通常であれば重力の作用を受けて下方に向かうのに対して、傾斜角θが大きくなったことにより透水材50の表面側(舗装面側)の流れが速くなる反面、透水材50の底部側(透水材50の下方側に相当する。)は透水材50自身の抵抗力が大きくなって滞留し易くなるためと考えられる。
【0070】
また、透水率kおよび厚みdを増やすにつれて、曲線C1→曲線C2→曲線C3のように変化する結果となった。これらの曲線について最大流量となる頂点は、曲線C1は傾斜角θ1のときに流量f1となり、曲線C2は傾斜角θ2(θ2>θ1)のときに流量f2(f2>f1)となり、曲線C3は傾斜角θ3(θ3>θ2>θ1)のときに流量f3(f3>f2>f1)となる。この現象は、透水率kが低くなると水の表面張力の影響が強くなり、流量fが少なくても透水材50の表面を流れ易くなるためと考えられる。なお、透水率kおよび厚みdが大きくなるにつれて流量fが増える点は、図11(A)および図11(B)と同様の結果である。
【0071】
透水材50の透水率k,透水材50の厚みdおよび路床200の傾斜角θのうちで少なくとも一つが決定すれば、上述した図11(A),図11(B)および図11(C)の関係に基づいて残りの適正値を求めることができ、融雪装置100の舗装面を確実に水で浸すことができる。こうして適切な流量fを融雪装置100に供給して融雪が行えるので、水の無駄を最小限に抑えることができる。
【0072】
〔実施の形態の効果〕
上述した実施の形態によれば、以下に示すような効果を得ることができる。
(1)融雪パネル90を構成する透水材50は、骨材どうしを接着剤で接着して形成するので、所定の強度と所定の透水率とを得ている。所定の強度を得ていることから、コンクリート体等と同様に舗装体として取り扱うことができる。また、水は骨材相互間の小さな隙間を通る(流れる)ことになるため、水自身の表面張力等を要因として毛細管現象が起きやすい。この毛細管現象によって、透水材50に浸透させた水は重力に逆らって舗装面(すなわち透水材50の表面)を容易に浸すことができる。連続的または間欠的に水を透水材50に供給すれば、舗装面を浸す水で融雪を継続できる。直射日光により舗装面が熱される夏場等では舗装面に水を浸すと、熱された透水材50を冷却するとともに、舗装面を浸した水が蒸発する際の気化熱によって周囲の気温を下げるので、通行者等に心地良い環境を提供できる。降雨時に水の供給を止めれば、舗装面から浸透してきた雨水は透水材50を通り抜けて余分な水を排出できるので、水溜まりができにくい。
【0073】
また、融雪パネル90を構成するコンクリート80は、調整部材30によってパネル10と路床60との間に確保された空間Sp内にモルタル80aを充填して固めた(図6を参照)。空間Spは水を通さないパネル10の下方(裏側)に位置して保護されるので、固まるのに日数を要するモルタル80aを用いた場合、悪天候が続いても従来よりは影響を受けにくい。よって悪天候が続く時期に施工しても雨等で濡れないため、養生期間は天候が良い時期とほぼ同じか少し延びる程度であり、従来よりは工期を大幅に短縮することができる。なお、コンクリート80に代えて、ウレタンや発泡スチロールなどの合成樹脂を遮水材8として用いた場合でも同様の効果を得ることができる。
【0074】
(2)側板12は平面部位16とを一体にし、箱状のパネル10を形成した(図3を参照)。こうして側板12を他の部材と一体化させたので部品点数が減り、製造コストを安く抑えたり、施工時間を短縮することができる。
【0075】
(3)水路となり得る溝部13を平面部位16の周縁部位に備える構成とした(図3を参照)。透水材50で毛細管現象が起きやすいとはいえ、重力の影響によって流下する水が少なからず存在することも事実である。透水材50の底部側に流下した水は、一段低く形成されている溝部13を通りやすくなる。したがって、溝部13は水の通り道となる水路の機能を果たす。この水路機能によれば、複数の融雪パネル90を連結する場合には他の融雪パネル90に水を供給することができ、他の融雪パネル90がない場合には不要となった水を排出することができる。
【0076】
(4)コンクリート80を形成するモルタル80aを空間Sp内に充填する際に、当該モルタル80aの通路となる貫通穴50bを透水材50に備え、貫通穴15をパネル10に構成とした(図3を参照)。この構成によれば、路床60に平面部位16と調整部材30を設置した後、貫通穴50b,15からモルタル80aを空間Sp内に充填してコンクリート80を形成することができる。モルタル80aの充填を終えた後はパネル10の存在によって外気と遮断されるため、充填したモルタル80aを容易に硬化させられる。
【0077】
(5)空間Spの高さを調整可能な部材(すなわちネジ状部材やバネ状部材等)を調整部材30として用いた場合には、融雪パネル90の舗装面を水平にしたり、当該舗装面を所定の勾配(例えば10%以下の水勾配)に傾斜させることができる。他の利用形態としては、例えばコンクリート80が固まるまでに施工した複数の融雪パネル90間で段差が生じたときは、調整部材30によって段差が無いように調整可能になる。
【0078】
(6)平面部位16と路床60との間には、平面部位16と接触させるように電熱線40を介在させる構成とした(図3を参照)。電熱線40から発する熱で透水材50(特に骨材)を温めると、透水材50内を流れる水も温まる。こうして温められた水が舗装面を浸すと、融雪が行いやすくなる。
本例では発熱体5として電熱線40を適用したが、熱流体(自然流体や人工流体)を通すパイプ、遠赤外線を放射する部材などを適用してもよい。自然流体は自然エネルギーによって蓄熱して地中から放出される流体であって、例えば温泉水や間欠泉などが該当する。人工流体は加熱装置によって人工的に熱した流体であって、例えばボイラーや太陽熱ヒーター等で加熱した水,不凍液,油などが該当する。遠赤外線を放射する部材は、例えば酸化シリカ、酸化アルミナ等を主要成分とする花崗岩や流紋岩の微粉末、石炭灰等が該当する。これらの発熱体を用いた場合でも同様の効果を得ることができる。
【0079】
(7)断熱部材20は硬質スチロールや発泡スチロールで形成したので、路床60側から伝わってくる冷気で透水材50に存する水が冷やされるのを防ぐとともに、電熱線40から発する熱が冷やされるのを防ぐことができる。また、パネル10の下方側に断熱部材20を備えたことによって空間Spでは昼夜の温度差が少なくなるので、当該空間Spに充填するモルタル80aの硬化スピードが向上し、工期をさらに短縮することができる。
なお、硬質スチロールや発泡スチロール等の合成樹脂に代えて、ウール(羊毛)やセルロース断熱材等の天然樹脂、グラスウールやロックウール等の鉱物繊維などで断熱部材20の全部または一部を構成した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0080】
(8)断熱部材20は、硬質スチロールや発泡スチロールは透水材50よりも軟らかい素材で形成したので、緩衝材としての役割を果たす。よって、融雪パネル90上を歩行者が歩く際にクッションとなり、歩行に優しい融雪パネル90を提供することができる。なお、硬質スチロールや発泡スチロール等の発泡体に代えて、ゴム類,プラスチック組成物,エアキャップ,砂,粘土などで断熱部材20の全部または一部を構成した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0081】
(9)融雪装置100には、複数の融雪パネル90を平面方向に対して連結するバーリング11および穴14と、融雪パネル90に水を送る給水管102とを備えた(図7,図9を参照)。バーリング11の突起部11aを穴14に嵌め込めば、摺動抵抗が生じて融雪パネル90間を連結することができる。給水管102から水を融雪パネル90に送ることにより、当該融雪パネル90の舗装面を水で浸して融雪を行える。なお、バーリング11の突起部11aに抜け止め部(例えば釣り針に備わるかえしのような形状など)を設ければ、嵌め込み後は抜けにくくなり、融雪パネル90を強固に連結できる。
【0082】
(10)バーリング11は、側板12の相互間で水の通り道となる穴11bを備えた(図9を参照)。この穴11bは水の通り道(すなわち水路)となるので、一方の透水材50(融雪パネル90)から他方の透水材50(融雪パネル90)に水を供給して、融雪装置100の全体に水を行き渡らせることができる。
【0083】
(11)水源(本例では水路202)から水を汲み上げて給水管102に供給するポンプ203を備える構成とした(図10(C)を参照)。水路202から水をポンプ203によって汲み上げて給水管102に供給するので、確実に融雪装置100の舗装面を水で浸して融雪を行うことができる。本例では水路202を水源としたが、ダム,河川,排水管105等のように水を供給可能な源を水源としてもよい。
【0084】
(12)水を貯めておく水路202と、当該水路202から水を汲み上げて給水管102に送るポンプ203とを備える構成とした(図10(C)を参照)。水を水路202に貯めておき、貯まった水をポンプ203で汲み上げて給水管102に送り、再び融雪パネル90の舗装面を水で浸す。すなわち公園の噴水のように水を循環させて融雪を繰り返し行う。ポンプ203を動かすための電力が必要となるものの、水を循環して利用すれば外部から水を調達しなくて済む。
なお、ポンプ203は水を汲み上げる機能を有するので、取水装置として用いたり、取水装置との兼用も可能である。ポンプ203の電力は、自然エネルギーを利用した発電装置(例えば風力発電機や太陽電池等)または蓄電装置(例えばキャパシタや蓄電池等)などから得るのが望ましい。こうすれば、外部から調達すべき電力を最小限に抑えることができる。
【0085】
〔他の実施の形態〕
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は当該実施の形態には何ら限定されない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することが可能である。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0086】
(1)上述した実施の形態では、側面部3を側板12で実現するとともに、平面部位16と一体にパネル10を形成する構成とした(図3を参照)。この形態に代えて、図12に示すように側面部3を周縁部52で実現するとともに、中央部51と一体に透水材50を形成する構成としてもよい。図12(A)には透水材50の水平断面図を表し、図12(B)には透水材50を透水率ごとに分解した場合の斜視図を表す。すなわち透水材50は、所定の透水率からなる中央部51と、当該中央部51よりも透水率を低く(透水率が低いほど望ましい)して周縁部位に形成した周縁部52とで構成する。中央部51と周縁部52はともに透水材であるものの、周縁部52は透水率が低くて水が流れにくいので、パネル10の側板12に似た作用をする。したがって、上述した実施の形態と同様に部品点数が減って製造コストを安く抑えたり、施工時間を短縮することができる。
【0087】
(2)上述した実施の形態では、融雪パネル90を構成する透水材50は同じ透水率で形成する構成とした(図5(A),図5(B)を参照)。この形態に代えて、図13に示すように透水率が異なる上層部53と下層部54とで透水材50を形成する構成としてもよい。図13(A)には透水材50の縦断面図を表し、図13(B)には透水材50を透水率ごとに分解した場合の斜視図を表す。上層部53と下層部54の各透水率は、上層部53のほうが下層部54よりも高い場合と、下層部54のほうが上層部53よりも高い場合とがある。前者は傾斜面等のように水の流れ(流速)が良すぎる場合に適用し、流速を抑えることができる。後者は水平面等のように水の流れが悪すぎる場合に適用し、流速を向上させることができる。したがって、水の流れを適切に確保できる。
なお、下層部54の透水率を上層部53よりも大幅に低くした場合には、平面部位16と同様の機能を果たす。この場合には、実施の形態における透水材50と平面部位16とを一体に形成したような形状となる。したがって、上述した実施の形態と同様に部品点数が減って製造コストを安く抑えたり、施工時間を短縮することができる。
【0088】
(3)上述した実施の形態では、水源となる水路202からポンプ203によって水を汲み上げ、当該ポンプ203によって給水管102に流す水圧を確保したうえで融雪装置100に供給する構成とした(図10(C)を参照)。この形態に代えて、例えば図14に示すように給水管102に流す圧力を位置エネルギーまたは河川の水圧を利用する構成としてもよい。
【0089】
まず図14(A)に示すように、送水管103は標高差H(落差)だけ上方にあるダム300(または湖,池,河川等)から導水するように敷設する。送水管103の直径にもよるが、標高差Hは10メートル程度もあれば噴出に必要な水圧が得られる。よって、ビル等の建築物に水を貯めておくタンクを設け、当該タンクに送水管103を接続して水圧を確保することもできる。また、建築物に設けられた雨樋を送水管103の一部として利用することも可能である。
【0090】
図14(B)に示すように、送水管103の取水口103aを河川400に設置する。一般的に河川400は川底から川面に近付くにつれて流れが速くなることから、川面に近い位置のほうが高い水圧を得やすい。そのため、川面の近くに取水口103aを設置するのが望ましい。また、二点鎖線で示すように取水口103aの端部側に近付くつれて広がるように(すなわちラッパ状に)送水管103を形成すれば、管内を流れてゆくにつれて径が小さくなるために水圧が高まるので、傾斜が緩やかな河川400でも所望の水圧を得ることが可能になる。したがって、上流側の河川400から導水するのが望ましいが、下流側の河川400であっても水圧を確保することが可能である。
【0091】
図14(A)に示すダム300のように標高差や落差等の位置エネルギーを利用したり、図14(B)に示す河川400を流れる水の圧力を利用するので、ポンプ203が不要となる。したがって、水圧を得るのにポンプ203ひいては電力を必要としない。
【0092】
(4)上述した実施の形態では、作業者がバルブ104を調整することにより、融雪装置100に供給する流量を調整した。この形態に代えて、融雪装置100に供給する流量を自動的に調整する装置を用いてもよい。例えば図15に示すように、傾斜角入力手段501,記憶装置502,駆動回路503,流量決定手段504などを有する流量制御装置500を用いる。流量決定手段504については、いずれもハードウェアロジックで構成してもよく、ソフトウェアプログラムをCPUが実行して実現してもよい。
【0093】
傾斜角入力手段501はキーボードやマウス,テンキーなどの入力装置が該当し、透水材50の透水率k,透水材50の厚みdおよび路床200の傾斜角θのうちで少なくとも一つを入力する。記憶装置502には、図11(A),図11(B),図11(C)に示す各関係を表すデータや数式、傾斜角入力手段501から入力した値などを記憶する。流量決定手段504は、傾斜角入力手段501から入力した値に基づいて、図11(A),図11(B),図11(C)に示す各関係を表すデータや数式を参照して必要な流量を決定する。駆動回路503は、流量決定手段504によって決定された流量に見合うようにポンプ107や電磁弁108などを駆動する。ポンプ107はポンプ203に代わるものであり、電磁弁108はバルブ104に代わるものである。ポンプ107と電磁弁108は、いずれも流量制御装置500によって流量を制御可能なものを用いる。
【0094】
上述した流量制御装置500を備えると、水源から供給される流量が変化してもほぼ一定の流量で融雪装置100に水を供給できる。また、図11(A),図11(B),図11(C)に示す各関係に従って流量を決定するので、最小限の流量で融雪装置100の舗装面を水で浸して融雪を確実に行える。なお、現在の流量を流量制御装置500に出力可能な流量計を送水管103に設置し、フィードバック制御によって現在の流量を監視しながら流量を調整する構成とすれば安定性が高まる。
【0095】
(5)上述した実施の形態では、水路となり得る溝部13を平面部位16の周縁部位に備えて、ほぼ口字状に形成する構成とした(図3を参照)。この形態に代えて、図16に示すような他の形態からなる溝部を構成してもよい。当該図16では、実施の形態で示した口字状の溝部13に加えて、X字状の溝部17を形成している。その他、幾何学形状,十字状,ストライプ状,渦巻き状などのように、任意の形状で溝部を形成してもよい。溝部を形成した平面積が増えるにつれて水路機能もまた向上するので、複数の融雪パネル90を連結する融雪装置100では他の融雪パネル90に水を効率良く供給することができ、単独の融雪パネル90では不要となった水を効果的に排出することができる。
なお、このように様々な形状で溝部を形成した場合には、電熱線40を嵌め込む側の断熱部材20を当該溝部の形状に合わせて形成する必要がある。
【0096】
(6)上述した実施の形態では、パネル10は水を通さない素材としてアルミ板やステンレス板などを加工して形成した。この素材に代えて、腐食し難い性質であれば他の金属板(例えば銅板など)で形成してもよい。金属板以外では、合成樹脂板や木材等で形成してもよい。このように水を通さない素材で形成すれば任意の素材でもよい。よって融雪装置100は、実施の形態で適用した路床200に限らず、路盤,路面,未整地の地面,建築物(すなわち建物や家屋等)の一部にも利用することが可能になる。路面はコンクリート,アスファルト,舗装用ブロック等で完成させた面であって、具体的には階段,駐車場,歩道橋,橋梁,護岸等が適切である。建築物の一部としては、例えば屋根がない通路部分(コンコース,ロビー,廊下,土間等)、ベランダ、バルコニー、屋根(ほぼ水平や傾斜角が緩いものであって切妻屋根等の急傾斜角を除く)などが適切である。
【0097】
(7)上述した実施の形態では、連結手段3bとしてバーリング11を適用し、連結手段3aとして穴14を適用した(図9を参照)。この形態に代えて、他の手段で融雪パネル90を連結してもよい。第1の手段は、融雪パネル90の相互間をネジやナットなどの部材を用いて連結する。第2の手段は、融雪パネル90どうしを接着剤で接着することで連結する。第3の手段は、熱で溶融する素材を融雪パネル90に備え、バーナー等で熱することで連結する(溶着接合)。いずれの手段にせよ、複数の融雪パネル90を確実に連結することができる。
【0098】
(8)上述した実施例では、融雪パネル90の平面形状を四角形状に形成した(図3,図7等を参照)。当該四角形状は加工容易な点や低コストな点などで有利であるが、融雪パネル90の平面形状を他の形状で形成してもよい。例えば他の多角形状(三角形状や五角形状等)や、円形状(楕円形状を含む),合成形状(二種以上の形状を合成した形状等)などのように任意の形状で形成してもよい。特に四方に連続する形状であれば、骨材の色や粒度などを変えることにより舗装面の模様を形成することが可能になる。
【0099】
(9)上述した実施の形態では、一の側板12や給水管102等に形成するバーリング11や穴14の数を本例では3つとした{図3(A),図3(B),図8等を参照}。この形態に代えて、形成する数は1つや2つでもよく、4つ以上を形成してもよい。形成する数が多くなるほど連結が行いにくくなるが、融雪パネル90の相互間では水路となるので水の通りがよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】融雪パネルの構成例を模式的に表す分解斜視図である。
【図2】融雪装置の構成例を模式的に表す平面図である。
【図3】パネルの構成例を表す図である。
【図4】断熱部材の構成例を表す図である。
【図5】融雪パネルの製造工程を説明する図である。
【図6】図5に続いて融雪パネルの製造工程を説明する図である。
【図7】融雪装置の構成例を表す平面図である。
【図8】融雪装置の構成部品を説明する図である。
【図9】融雪パネル(パネル)の連結例を説明する図である。
【図10】融雪装置を用いて路床を舗装する様子を説明する図である。
【図11】流量に対する透水率,透水材の厚み,傾斜角との関係例を示す図である。
【図12】透水材の構成例を表す図である。
【図13】透水材の構成例を表す図である。
【図14】自然エネルギーを利用して送水する例を表す図である。
【図15】送水管の流量を制御するための構成例を表す図である。
【図16】X字状の溝部を有するパネルの構成例を表す平面図である。
【符号の説明】
【0101】
1 融雪パネル
2 透水材
2a 貫通穴
3 側面部
3a,3b 連結手段
4 平面状部材
4a 貫通穴
4b 平面部
4c 溝部
5 発熱体
6 断熱材
6a 貫通穴
7 アジャスター
8 遮水材
9 基面
M 融雪装置
Wp 送水路
Dp 排水路
V バルブ
P 揚水機
R 貯水部
10 パネル
11 バーリング(連結手段)
11a 突起部
11b 穴(開口部)
12 側板(側面部)
13,17 溝部
14 穴(連結手段)
15,22,50b 貫通穴
16 平面部位(平面状部材)
20 断熱部材(断熱材)
25 遮水シート
30 調整部材(アジャスター)
40 電熱線(発熱体)
50 透水材
50a 混合物
51 中央部
52 周縁部
53 上層部
54 下層部
60 路床(基面)
70 ノズル
80 コンクリート(遮水材)
80a モルタル(資材)
90 融雪パネル
100 融雪装置
101 外枠
102 給水管(送水路)
102a 穴(連結手段)
103 送水管
104 バルブ
105 排水管(排水路)
105a バーリング(連結手段)
107,203 ポンプ(揚水機)
108 電磁弁
200 路床(基面)
201 地表
202 水路(貯水部)
300 ダム
300 河川
500 流量制御装置
501 傾斜角入力手段
502 記憶装置
503 駆動回路
504 流量決定手段
f(f1,f2,f3) 流量
k 透水率
θ(θ1,θ2,θ3) 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を通さない素材で形成した平面状部材と、
前記平面状部材の周縁から起立させた側面部と、
前記平面状部材と前記側面部とで囲まれた凹状部位に形成され、骨材と接着剤とを混合して所定の透水率からなる透水材と、
前記平面状部材と基面との間に空間を確保するアジャスターと、
前記空間内に充填する資材によって形成され、前記透水材よりも低い透水率からなる遮水材とを有し、
前記透水材に浸透させた水によって融雪を行う融雪パネル。
【請求項2】
請求項1に記載した融雪パネルであって、
側面部は、平面状部材と透水材とのうちでいずれか一方と一体に形成した融雪パネル。
【請求項3】
請求項1または2に記載した融雪パネルであって、
平面状部材には、水路となり得る溝部を有する構成とした融雪パネル。
【請求項4】
請求項1から4のいずれか一項に記載した融雪パネルであって、
透水材は、透水率が異なる上層部と下層部とで構成した融雪パネル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載した融雪パネルであって、
透水材および平面状部材には、遮水材を形成する資材を空間内に充填する際に、当該資材の通路となる貫通穴を備える構成とした融雪パネル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載した融雪パネルであって、
アジャスターには、平面状部材と基面との間に確保する空間の高さを調整可能な部材を用いた融雪パネル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載した融雪パネルであって、
平面状部材と基面との間に介在させた発熱体を有する融雪パネル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載した融雪パネルであって、
平面状部材と基面との間に介在させた断熱材を有する融雪パネル。
【請求項9】
請求項8に記載した融雪パネルであって、
断熱材は、透水材よりも軟らかい素材を用いて形成した融雪パネル。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載した融雪パネルを複数用いて、
複数の前記融雪パネルを平面方向に対して連結する連結手段と、
前記融雪パネルに水を送る送水路とを有する融雪装置。
【請求項11】
請求項10に記載した融雪装置であって、
連結手段は、側面部の相互間で水の通り道となる開口部を有する融雪装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載した融雪装置であって、
水源から水を汲み上げて送水路に供給する揚水機を有する融雪装置。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載した融雪装置であって、
送水路に流す水の圧力は、位置エネルギーまたは河川の水圧を利用する構成とした融雪装置。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項に記載した融雪装置であって、
水を貯めておく貯水部と、
前記貯水部を水源として水を汲み上げて送水路に送る揚水機とを有する融雪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−97447(P2006−97447A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313082(P2004−313082)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(503263425)泉建設株式会社 (5)
【Fターム(参考)】