説明

表示板

【課題】視認性を確保しつつ、安全かつ容易に運搬できる表示板を提供すること。
【解決手段】表示部と、自立可能なフレームとを備え、前記フレームは、前記表示部の上端よりも上方に配置される上面フレーム部と、前記表示部の下端よりも下方に配置される底面フレーム部と、前記表示部の側面または背面に配され、前記上面フレーム部と底面フレーム部を接続する1本ないし複数本の縦フレーム部と、表示板を該フレームに取り付けるための取付部とからなり、前記表示部は前記取付部において前記フレームに取り付けられると共に、前記上面フレーム部および前記底面フレーム部は、前後左右方向のいずれにおいても前記表示部よりも張り出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として道路周辺に設置される情報表示板に関するものである。より詳しくは、特に災害や事故発生時や道路の工事・メンテナンス時など、緊急ないし臨時の交通規制や情報提供が必要なときに設置する仮設の可搬式表示板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、災害や事故発生時、あるいは道路の工事やメンテナンス作業時など、緊急ないし臨時の交通規制が必要になったときには、交通規制対象区間の手前に当該規制内容を知らせる情報板が設置されている。
【0003】
そもそも多く用いられてきた上記表示板としては、木枠に鉄板を取り付けて、その鉄板表面にペイントで「道路工事中」、「通行止」、「迂回」、「→」など、緊急ないし臨時の情報を書いたようなものが一般的であった。その後、LEDやエレクトロルミネッセンス等の自発光体が埋め込まれて形成された電光表示部を有する表示板が使用されるようになり、また、電光表示部の表示内容を必要に応じて変更できるよう、さらに制御部を備えたものが使用されるようになってきた。これにより、道路の通行者にとって視認性が良くなるとともに、表示内容を変更する必要が生じた場合にも、柔軟に対応できるようになってきている。
【0004】
一方、上記のような制御部を備える電光表示板は、相当大きく、また重いものである。このような表示板を運搬する際はトラックの荷台などに積載するのであるが、相当大きく重いものであり、しかも通常は高さ方向に長いものであるため、表示板を立てた状態で荷台に積載し運搬するときには、転倒・破損の恐れが多分にある。それゆえ、ロープなどで表示板を荷台に固定する作業、あるいは、表示板か荷台のいずれかに表示板を固定する固定手段を講じる必要があり、それでも運搬の困難は伴うものであった。
【0005】
さらに、この問題点に対しては、表示板の表示部を昇降可能なようにして、運搬時には表示部を降下させるようにしたもの(特許文献1)や、表示板を高さ方向に分割し、折り畳み可能にしたもの(特許文献2)がある。
【0006】
これらは、いずれも運搬時の表示板の高さ寸法を小さくして、表示板の運搬を容易にするものである。
【特許文献1】特開平11−61749
【特許文献2】特開2002−30622
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような表示板は、電光表示部や制御部等の電子機器を備えたものであり、運搬中に受ける外力によって、破損、損傷しやすい。したがって、上記特許文献1あるいは2に記載された発明によっても、例えばトラックの荷台への積載時に表示板をどこかにぶつけて破損する場合がある。特に、この種の表示板の表示部は四角形(直方体)状のものが多く、運搬時にはその角部をぶつけて損傷することが多い。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を克服するためのものであって、表示板の視認性を確保しつつ、当該表示板を安全かつ容易に運搬できる表示板を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、簡単な構造、操作によって転倒を防止できる表示板を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、必要に応じて容易に表示板の設置位置や向きを変えられる表示板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明の表示板は、表示部と、前記表示部を取り付けて路上に設置するための自立可能なフレームとを備え、前記フレームは、前記表示部の上端よりも上方に配置される上面フレーム部と、前記表示部の下端よりも下方に配置される底面フレーム部と、前記表示部の側面または背面に配され、前記上面フレーム部と底面フレーム部を接続する1本ないし複数本の縦フレーム部と、表示板を該フレームに取り付けるための取付部とからなり、前記表示部は前記取付部において前記フレームに取り付けられると共に、前記上面フレーム部および前記底面フレーム部は、前後左右方向のいずれにおいても前記表示部よりも張り出していることを特徴とする。
【0012】
この発明の表示板によれば、前記上面フレーム部および底面フレーム部が、前後左右方向のいずれにおいても表示部より張り出しているため、移動、運搬の際に表示部をどこかにぶつけて破損させてしまう危険性が少ない。また、このフレームにより、表示部の上下、左右、および前後面全てが保護されているので、運搬時には表示板を立てた状態でも横に寝かせた状態でも積載・運搬可能となる。さらに、この発明によれば、表示部の前面に道路通行者の視界を遮るものがないので、良好な視認性が確保される。
【0013】
なお、この良好な視認性を保持するため、本発明の表示板においては、前記表示部が、その側面、上下面、または背面において、前記フレームに取り付けられ、保持されているのが好ましい。
【0014】
また、本発明の表示板においては、前記底面フレーム部に、その前後および/または左右方向に伸縮可能な脚部を設けるのが好ましい。このようにすれば、表示板の設置時に脚部を伸ばした状態で設置できるので、当該表示板が転倒しにくくなる。
【0015】
さらに、前記底面フレーム部の近傍に移動用車輪を備えるようにするのが好ましい。このようにすれば、設置場所を変えたり、運搬したりする必要があるときに、表示板を持ち上げることなく移動、運搬可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり、本発明の表示板によれば、前記上面フレーム部および底面フレーム部が、前後左右方向のいずれにおいても表示部より張り出しているので、移動、運搬の際に表示部をどこかにぶつけて破損させてしまう危険性が少ない。また、このフレームにより、表示部の上下、左右、および前後面全てが保護されているので、運搬時には表示板を立てた状態でも横に寝かせた状態でも積載・運搬可能となる。
【0017】
さらに、この発明によれば、表示部の前面に道路通行者の視界を遮るものがないので、良好な視認性が確保される。また、前記底面フレーム部に、その前後および/または左右方向に伸縮可能な脚部を設けることによって、当該表示板が転倒しにくくなる。さらに、前記底面フレーム部近傍に移動用車輪を備えるようにすることによって、当該表示板の移動、運搬が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る表示板の最良の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る表示板全体の脚部を伸ばした状態を示す斜視図である。図2は、本発明に係る表示板の脚部を収納した状態を示す正面図であり、図3は、脚部を伸ばした状態を示す正面図である。また、図4は、本発明に係る表示板の側面図であり、図5は、その背面図である。
【0020】
図1に示す通り、本実施形態における表示板1は、表示部2およびフレーム3により構成されている。表示部2は、所謂電光表示板であって、多数の自発光体(この実施形態においてはチップLED)が略マトリクス状に多数配置されており、表示部2の筐体内に備える制御部からの制御により任意のチップLEDを発光させて、表示すべき内容を表示させることができるものである。尚、図1においては、「迂回」を表示している。
【0021】
この表示部2に利用する自発光体としては、チップLEDに限らず、砲弾型LED,エレクトロルミネッセンスなど、制御可能な任意の自発光体を適用可能である。また、この表示部2は、電光表示板に限定されるものではなく、通常の金属板や樹脂板により構成される表示板など、各種表示板を使用できる。
【0022】
フレーム3は、前記表示部2よりも上方に位置する上面フレーム部31、表示部2より下方に位置する下面フレーム部32、上面フレーム部31と下面フレーム32とを接続する左右の縦フレーム部33、33とを備えている。
【0023】
前記上面フレーム部31は、中空状パイプを略矩形状に成型したものであり、底面フレーム部32には平面板を使用している。また、縦フレーム部33も、上面フレーム部31と同じく中空状パイプにより成型されたものであって、その上下両端部が、それぞれ上面フレーム部31と底面フレーム部32に溶接により接続されている。
【0024】
この実施形態においては、フレーム3は全てアルミ製であるが、それ以外の各種金属(ステンレス、鉄など)、木材、樹脂なども適宜利用でき、また、例えば金属製のフレームを樹脂で被覆するようにしてもよい。
【0025】
また、表示部2の重みで縦フレーム部33が倒壊するのを防ぐため、左右の縦フレーム部33、33に略L字状の補強パイプ36、36を備えており、各補強パイプ36はいずれもその両端部が縦フレーム部33と底面フレーム部32とに溶接することにより固定されている。
【0026】
さらに、この実施形態においては、図5に示す通り、前記左右の縦フレーム間に複数の横フレーム部34を設けてあり、この横フレーム部34に表示部2を取り付ける取付部35を形成している。この実施形態においては、取付部35において、表示部2がボルト止めされ、フレームに固定されている。尚、表示部2のフレーム3への取り付けは、任意の方法によることが可能であるが、ボルト止め等、容易に表示部2を交換でき、かつ確実に固定できるような方法によるのが好ましい。
【0027】
また、フレーム3に無停電電源装置を備える電源ボックス(図示せず)を取り付け可能にすることができ、この電源ボックスから表示板2に電源供給するようにすれば、電源が無い場所でも本発明の表示板を使用することが可能となる。
【0028】
さらに、この実施形態においては、表示板1が倒れないように伸縮可能な脚部4を備えている。この脚部4は、表示板1の前後方向に伸縮可能な第一脚部41、およびそれぞれ左方向、右方向に伸縮可能な第二脚部42、42からなる。第一脚部41は、スライドバー411、および接地バー412を備えている。スライドバー411は、底面フレームに設けられた嵌挿部322内にスライド可能に嵌挿されており、接地バー412は、下端部が接地する高さとしている。同様に、左右の第二脚部42、42は、それぞれスライドバー421、および接地バー422を備えていいて、スライドバー421は底面フレームに設けられた嵌挿部321内にスライド可能に嵌挿されており、接地バー422は下端部が接地する高さとしている。
【0029】
このような構成を備えることで、スライドバー411、421を、嵌挿部321、322内でスライドさせることにより、第一脚部41および第二脚部42を、それぞれ表示板1の前後方向、および左右方向に伸縮することが可能となっている。表示板1を設置する際には、第一脚部41、および第二脚部42,42を伸ばした状態で設置して、表示板1が倒れるのを防止することが出来る。また、表示板1を移動、運搬する際には、これら脚部4を縮めた状態とすることができるので、表示板1の移動、運搬が容易である。
【0030】
さらに、この実施形態においては、底面フレーム部近傍の左右に移動用車輪5、5を備えている。
【0031】
図4および5に示す通り、この移動用車輪5、5は、左右縦フレーム部33、33のそれぞれの下部に設けた移動用車輪取付部6、6に取付穴(図示せず)をあけ、この取付穴に回動自在に嵌挿したシャフト7の両端に固定的に取り付けられている。
【0032】
これにより、表示板1を移動させる際には、作業者Pが表示板1の上面フレーム部31を把持して、表示板を斜めに倒し、移動用車輪を利用することによって、表示板1を持ち上げることなく、容易に移動させることが可能である(図6)。
【0033】
なお、この移動用車輪の下端部は、当該表示板の設置時には、地面に接しない位置に取り付けられている(図4参照)。このようにすることで、多少の斜面に設置する場合でも、表示板1が勝手に移動することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る表示板の脚部を伸ばした状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る表示板の脚部を収納した状態を示す正面図である。
【図3】本発明に係る表示板の脚部を伸ばした状態を示す正面図である。
【図4】本発明に係る表示板の側面図である。
【図5】本発明に係る表示板の背面図である。
【図6】本発明に係る表示板を移動させるときの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 表示板
2 表示部
3 フレーム
31 上面フレーム部
32 下面フレーム部
33 縦フレーム部
34 横フレーム部
35 取付部
36 補強パイプ
4 脚部
41 第一脚部
42 第二脚部
411、421 スライドバー
412、422 接地バー
5 移動用車輪





【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、前記表示部を取り付けて路上に設置するための自立可能なフレームとを備え、
前記フレームは、前記表示部の上端よりも上方に配置される上面フレーム部と、前記表示部の下端よりも下方に配置される底面フレーム部と、前記表示部の側面または背面に配され、前記上面フレーム部と底面フレーム部を接続する1本ないし複数本の縦フレーム部と、表示板を該フレームに取り付けるための取付部とからなり、前記表示部は、前記取付部において前記フレームに取り付けられると共に、前記上面フレーム部および前記底面フレーム部は、前後左右方向のいずれにおいても前記表示部よりも張り出していることを特徴とする表示板。
【請求項2】
前記底面フレーム部に、その前後および/または左右方向に伸縮可能な脚部を設けたことを特徴とする請求項1記載の表示板。
【請求項3】
前記底面フレーム部近傍に移動用車輪を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の表示板。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−180944(P2009−180944A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20141(P2008−20141)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】