説明

表示灯

【課題】表示板の被照射面における照度低下を抑制しつつ、光源の写り込みによるハレーションを防止可能な表示灯を提供する。
【解決手段】広告看板の被照射面の前方に位置し、前記被照射面を前方から投光照明する表示灯5であって、放電ランプ11と、前記放電ランプ11が放射する放射光を前記被照射面に向けて反射する主反射鏡12とを有し、前記放電ランプ11と前記被照射面との間に設けられ、前記放電ランプ11から前記被照射面に直接向かう放射光の一部を前記主反射鏡12に向けて反射し当該主反射鏡12から前記被照射面に向けて照射する副反射鏡14をさらに備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告看板や標識板等の屋外に設置された表示板の照明に用いて好適な表示灯に係り、特に、照明時のハレーションを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に設置される広告看板などを照明する照明装置が知られている。この種の照明装置は、アームを被照射面の上端又は下端より突き出し、その先端にランプを内蔵した表示灯を装着し、被照射面の前方から投光照明するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。近年では、広告看板からの漏れ光(光害)の問題により、アームの取付位置を被照射面の上端とし、被照射面を上側前方から投光照明するのが主流となりつつある。
【特許文献1】特開平10−214503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、広告看板を視認する人間の視点は通常、広告看板よりも下方に位置するため、被照射面を上側前方から投光照明する構成においては、ランプが被照射面に写り込んで高輝度ととなり、その部分の明るさが非常に強くなる現象(以下、「ハレーション」と言う)が生じ、さらに、表示灯の反射光によるハレーションも生じるため、これらのハレーションによって広告看板の文字や絵柄が見えにくくなる、といった問題がある。このような問題を解決するには、表示灯と被照射面との距離を大きくする手法や、表示灯の前面(光放射側)に拡散透過性ガラスグローブを設ける手法により、ランプの写り込みの低減を図ることが考えられる。
【0004】
しかしながら、いずれの手法によっても、ランプの写り込みによるハレーションの抑制効果が低く、さらに、被照射面の照度が小さくなることから、被照射面の均一性が低下し、視認性が悪くなるといった問題がある。さらに、上記の手法においては、広告看板が矩形である場合に、上側二隅の照度低下が著しくなるという問題もある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、表示板の被照射面における照度低下を抑制しつつ、光源の写り込みによるハレーションを防止することができる表示灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、表示板の被照射面の前方に位置し、前記被照射面を前方から投光照明する表示灯であって、光源と、前記光源が放射する放射光を前記被照射面に向けて反射する主反射鏡とを有し、前記光源と前記被照射面との間に設けられ、前記光源から前記被照射面に直接向かう放射光の一部を前記主反射鏡に向けて反射し当該主反射鏡から前記被照射面に向けて照射する副反射鏡をさらに備えることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記発明において、前記主反射鏡の反射光のうち、前記光源の放射光を直接反射してなる一次反射光が前記被照射面の遠方領域を照射し、前記副反射鏡にて反射された光を反射してなる二次反射光が前記遠方領域よりも近い領域を照射するように構成したことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記発明において、前記副反射鏡の幅を前記光源の全長よりも短くし、前記光源の中央部から放射された放射光の一部を前記副反射鏡により反射すると共に、前記光源の両端部から放射された放射光の少なくとも一部を前記被照射面に直接照射することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記発明において、前記副反射鏡は、前記光源側から前記光源の下側を覆うように当該光源の長軸に対して略垂直に延び、その延びた先端部の両側を切欠き、前記光源から放射された放射光の一部を前記切欠部から前記副反射鏡を通過させ、照射方向に沿った遠方の両側を照射することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記発明において、前記被照射面の上側に配置された場合に、前記副反射鏡は、前記光源から放射された放射光のうち、略0°<前方鉛直角θ1<略60°、略0°<後方鉛直角θ2<略120、略0°<水平角θ3<略120°の範囲の前記放射光を前記主反射鏡に向けて反射し当該主反射鏡から前記被照射面に向けて照射することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記発明において、前記主反射鏡は、横型配光を有すると共に、前記副反射鏡により反射された光を、前方を中心に両側に広がりを持たせて反射する反射面を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記発明において、透過性樹脂剤から形成され、前記副反射鏡に反射させずに入射する放射光の入射角度が臨界角度よりも小さくなるように傾斜した傾斜部を有するグローブの縁の全周或いは一部に返し部を形成すると共に、前記器具本体の投光開口の周囲に沿って、止水用のパッキン部材が充填された嵌込部を形成し、前記グローブの縁を前記返し部と共に前記嵌込部に嵌め込み固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源と、前記光源が放射する放射光を前記被照射面に向けて反射する主反射鏡とを有し、光源と被照射面との間に設けられ、前記光源から前記被照射面に直接向かう放射光の一部を主反射鏡に向けて反射し当該主反射鏡から前記被照射面に向けて照射する副反射鏡を備える構成としたため、光源から被照射面への放射光が副反射鏡により遮られて当該光源の写り込みによるハレーションの発生が防止可能となると共に、副反射鏡が反射する光が主反射鏡により反射され被照射面の照明に利用されるため被照射面の照度低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る広告看板照明装置(以下、単に「照明装置」と言う)の側面図である。照明装置1は、略矩形の広告看板2の上縁3から前方に突出するように延びたアーム4と、このアーム4の先端に設けられ、広告看板2の広告面である被照射面2Aを上側前方から投光照明する表示灯5を有している。なお、この図において、矢印Aは、表示灯5の照明方向を示す。
【0014】
図2は表示灯5の側面及び正面を共に示す図であり、図3は表示灯5の底面を示す図である。表示灯5は、光源たる放電ランプ11と、当該放電ランプ11が放射する光を広告看板2の被照射面2Aに向けて反射する主反射鏡12とを備える器具本体10と、器具本体10の前面の投光開口100を覆う、透過性樹脂から形成されたグローブ13とを有している。器具本体10の背面側には、ヒンジ部9が設けられ、このヒンジ部9に上記アーム4の先端が取り付けられて、ヒンジ部9を中心に傾動自在に構成され、また、表示灯5の傾動角度が操作レバー90の操作によって所望の角度に調整可能になされている。
【0015】
上記放電ランプ11は、例えばメタルハライドランプであり、発光管11Aを略円筒状の外管11Bに収容して成り、器具本体10の背面側に、外管11Bが左右に延びる姿勢で取り付けられている。また、図3に示すように、主反射鏡12は略楕円曲線の反射面を有し、左右中心軸C1に対して略線対称な形状に形成され、表示灯5を中心として左右対称な配光制御が主反射鏡12によって行われる。さらに、この主反射鏡12は、左右中心軸C1方向に長尺し、主反射鏡12の配光が照射方向Aに沿って延びる、いわゆる縦型配光となっており、本実施形態の表示灯5は、後に説明する図4に示すように、鉛直方向に延びた略矩形の広告看板2の照明に使用される。
【0016】
さて、器具本体10には、上記放電ランプ11及び主反射鏡12に加え、図2に示すように、副反射鏡14が放電ランプ11を挟んで主反射鏡12と対向して設けられており、副反射鏡14が放電ランプ11と被照射面2Aとの間に配置されている。この副反射鏡14は、略放物線曲線反射面14Aを有し、放電ランプ11の放射光のうち、被照射面2Aに直接向かう放射光(以下、「直射光」と言う)の一部を主反射鏡12の略中央のエリア120(図3参照)に向けて反射し、この主反射鏡12から被照射面2Aに向けて照射する。なお、図2において、符号L1は、放電ランプ11から放射され、被照射面2Aに向かう直射光のうち、上記副反射鏡14により反射された光を示す。一般に、広告看板2の被照射面2Aにおける放電ランプ11の写り込みによるハレーションは、放電ランプ11の直射光が被照射面2Aに反射して発生するが、本実施形態によれば、この直射光が副反射鏡14により主反射鏡12に向けて反射され、これにより、直射光の被照射面2Aへの照射が遮られるため、被照射面2Aにおけるハレーションが防止されることとなる。
【0017】
このとき、被照射面2Aへの直射光を遮ればハレーションを防止することができるものの、直射光を遮蔽する分だけ照射光量が減るため、被照射面2Aにおける照度が低下を招く。これに対して、本実施形態では、直射光を副反射鏡14により主反射鏡12に向けて反射し、当該主反射鏡12の反射により二次反射光にして被照射面2Aを照射するため、照度低下が抑制されることとなる。なお、この二次反射光は、主反射鏡12により配光制御されるが、これについては、後に詳述する。
【0018】
さて、一般に、放電ランプ11と被照射面2Aの照射点までの距離が長くなるほど、その照射点に届く光量が小さくなるため、上記ハレーションの防止には、表示灯5の近傍への直射光だけを遮り二次反射光とすれば十分であり、また、こうすることにより、被照射面2Aにおける照度低下が必要最小限に抑えられる。
したがって、本実施形態では、図4に示すように、直射光の直射を遮る非直射領域30を表示灯5の近傍に制限することでハレーションを防止し、また、広告看板2の左右端部20Aや下端部20B等の表示灯5から遠方の箇所を直射光で照射し、これらの左右端部20A及び下端部20Bにおける照度低下を防止している。
【0019】
具体的には、前掲図2に示すように、副反射鏡14は、放電ランプ11の直射光の一部のみを反射する程度の長さだけ器具本体10の背面側から正面側に向けて延出し、また、副反射鏡14の横幅14Wが放電ランプ11の外管11Bの全長よりも短く抑えられ、当該放電ランプ11の両端部が副反射鏡14から延び出る形状とされている。これにより、前掲図4に示すように、表示灯5の近傍の非直射領域30に向かう直射光のみが副反射鏡14により反射され、非直射領域30よりも外側の領域、特に、照射方向Aに沿った遠方に位置する下端部20Bと、照射方向Aと略直交する方向の遠方に位置する左右端部20Aと、さらに、表示灯5の左右方向における照度、すなわち、被照射面2Aの上側の2隅M1、M2の各々に直射光が照射され、表示灯5から遠方の照明に直射光が効率的に利用される。
【0020】
ここで、表示灯5の左右方向への光は、放電ランプ11の延在方向と一致するため、他の方向への光よりも光量が小さく、さらに、遠方の被照射面2Aの下端部20Bにおける左右の2隅M3、M4では、何ら対策を施さなければ、表示灯5の左右方向における照度が低下する。そこで前掲図2の正面図に示すように、副反射鏡14の先端部の両側のそれぞれに、放電ランプ11の長軸方向に10〜120mm、長軸に対して垂直方向に10〜50mmの点をつないだ切欠部140A、140Bを形成し、放電ランプ11の放射光の一部を切欠部140A、140Bから通過させ、広告看板2の下側の2隅M3、M4に向けて照射することで、これら2隅M3、M4における照度低下を防止している。なお、図4において、表示灯5から下側の2隅M3、M4に向けて延びる実線30A、30Bのそれぞれが上記切欠部140A、140Bに対応し、各切欠部140A、140Bを通過する光は、実線30A、30Bよりも外側(左右端部20A側)のエリアを照射している。
【0021】
次いで、主反射鏡12による配光制御について説明する。
上述したように、副反射鏡14は非直射領域30に向かう直射光を反射するが、それ以外の直射光は被照射面2Aに照射される。このとき、非直射領域30に光が全く照射されない訳ではなく、非制御反射光やグローブ13の表面で拡散された光が非直射領域30に到達し、このような光により、図5(A)に示すように、表示灯5の最近傍領域31が照明される。
【0022】
しかしながら、主反射鏡12の反射による一次反射光及び副反射鏡14及び主反射鏡12の反射による二次射光を被照射面2Aに照射しないものとすると、上記最近傍領域31において、表示灯5から所定距離内の領域31Aでは照明として十分な照度が維持されるが、領域31Aよりも外側の領域31Bにおいては表示灯5からの距離により光量が小さくなるため照度が低くなる。
また、図5(B)に示すように、被照射面2Aの下端部20B側の最遠方領域32には、上述の通り、直射光が照射されるものの表示灯5からの距離が遠いため、この最遠方領域32においても照度が不足することがある。
さらに、図5(C)に示すように、最遠方領域32と最近傍領域31との間の中間領域33においては、図4に示す非直射領域30を含むことから、この非直射領域30の影響により照度低下が生じることになる。
【0023】
このように、被照射面2Aにおいては、一次反射光及び二次反射光を被照射面2Aに照射しないものとすると、最近傍領域31の外側領域31B、最遠方領域32及び中間領域33の各々で照度が低下するため、これを補うべく、主反射鏡12は、放電ランプ11の光を直接反射してなる一次反射光、及び、上記二次反射光の各々を配光制御して、上記領域31B、32、33の各々に向けて照射するようにしている。
このとき、一次反射光よりも二次反射光の方においては反射回数が多く光量が小さくなることから、図5(B)に示す最遠方領域32を一次反射光が照射し、また、図5(C)に示す中間領域33を二次反射光が照射するように主反射鏡12が配光制御することで、被照射面2A全体の均斉度を高めている。
【0024】
次いで、上記非直射領域30、最遠方領域32及び中間領域33の大きさについて具体例を挙げて説明する。
前掲図4に示すように、表示灯5は、広告看板2の上縁3の中央に配置され、高さHが6M(メートル)、横幅Wが4M(メートル)の寸法の広告看板2を照明するものとする。さらに、表示灯5は、広告看板2の被照射面2Aから表示灯5の放電ランプ11の中心までの垂直距離D1(図1参照)が略0.66M(メートル)、被照射面2Aから器具本体10の頂部10Aまでの垂直距離である出幅D2(図1参照)が0.95M(メートル)の位置にアーム4によって配置されるものとする。
【0025】
このとき、副反射鏡14は、図2に示すように、放電ランプ11の中心軸C2を通る鉛直軸K1に対し、0°<前方鉛直角θ1<60°、0°<後方鉛直角θ2<120°の角度範囲の放射光を主反射鏡12に向けて反射し、また、左右方向を規定する水平軸K2に対し、0°<水平角θ3<120°の角度範囲を主反射鏡12に向けて反射する。
より詳細には、本実施形態の副反射鏡14は、鉛直角方向においては、0°<前方鉛直角θ1<45°、0°<後方鉛直角θ2<90°の角度範囲、すなわち、前方鉛直角方向及び後方鉛直角方向からなる鉛直角方向においては約3/4(=135°/180°)の放射光を主反射鏡12に向けて反射し、また、水平角方向においては、水平角θ3の角度範囲が約71°の範囲、すなわち、左右方向においては約2/5(≒71°/180°)の放射光を主反射鏡12に向けて反射し、図4に示す非直射領域30を形成している。これにより、被照射面2Aには、表示灯5から照射方向Aに沿って長さが約3.8M(メートル)、幅が約1.5M(メートル)の非直射領域30が形成される。
【0026】
さらに、最遠方領域32が、図5(B)に示すように、表示灯5から照射方向Aに沿って4.5M(メートル)よりも遠方の領域として規定され、また、中間領域33が、図5(C)に示すように、表示灯5から照射方向Aに沿って2M(メートル)〜5M(メートル)の間の領域として規定され、主反射鏡12の配光制御により、最遠方領域32に一次反射光が、中間領域33に二次反射光が照射される。
【0027】
以上のような主反射鏡12の配光制御、及び、副反射鏡14の形状により、広告看板2の被照射面2Aをハレーションの発生を防止しつつ十分な照度で均斉度良く照明することが可能となる。特に、出幅D2が0.95M(メートル)という値は、一般的な大型広告看板表示灯に比べて非常に小さな値であり、通常の大型広告看板表示灯であれば、被照射面2Aと表示灯とが近接することで顕著なハレーションを生じるものである。これに対して、本実施形態の表示灯5においては、上述の副反射鏡14により、出幅D2を0.95M(メートル)としてもハレーションの発生が抑制され、さらに、被照射面2Aの均斉度も高められる。
【0028】
ところで、本実施形態では、表示灯5から遠方(例えば、前掲図4に示す隅M1〜M4)に向けて光を照射しているため、図6に示すように、遠方に向けて照射される光L2は水平方向に比較的近くなる。このとき、器具本体10の前面の投光開口100を覆うグローブ13が、仮想線にて示すような平面ガラス40であると、当該平面ガラス40への光L2の入射角度が臨界角度をこえ平面ガラス40にて反射光L3が生じるため、器具本体10の外に放出する光L2の量が減少し照明に利用可能な光量が低下する。
【0029】
これに対して、本実施においては、器具本体10の投光開口を平面ガラス40に代えてグローブ13の形状をカップ型とし、表示灯5の正面及び左右の両側に、上記光L2の入射角θ4を直入射に近づけ臨界角度より小さくする面、より具体的には、入射角θ4を50°以下にするように水平面に対して30°〜90°の範囲に傾斜した面を構成する傾斜部130を有する構成とし、グローブ13による光L2の反射を抑え器具本体10の外に放出する光量が減少するのを防止している。
【0030】
図7は、上記グローブ13の器具本体10への取付構造を示す図である。器具本体10の投光開口100の全周には、図7に示すように、器具本体10の縁をコ字状に折り曲げてなる嵌込部101が形成されており、この嵌込部101に、グローブ13の縁13Aが嵌め込まれて固定される。グローブ13の縁13Aには、全周にわたって、或いは、全周の複数箇所に、当該縁13Aを略L字状に折り曲げて成る返し部132が形成されている。したがって、グローブ13の縁13Aを嵌込部101に嵌め込んだ際に、返し部132により嵌め合いが強まり、グローブ13の固定強度が高められる。さらに、この嵌込部101には止水用のパッキン部材15が充填されており、グローブ13内への浸水防止が図られている。
【0031】
ここで、一般に器具本体10の前面の投光開口を覆う部材には、強化ガラスや硬質ガラス等のガラス材が使用されているが、上記のように、平面ガラス40に代えて、カップ型のグローブ13とした場合、このグローブ13をガラス材にて形成すると質量が重く、また、破損落下の人的危険性がある。これに対して、本実施形態においては、上記のように、グローブ13を透過性樹脂から形成しているため、グローブ13が軽量化され、さらにグローブ13の固定強度が高められているため、落下の危険性を回避できる。また、グローブ13内への浸水防止が図られているため、浸水により、グローブ13の荷重が増えることも無い。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、放電ランプ11と被照射面2Aとの間に設けられ、放電ランプ11から被照射面2Aに直接向かう放射光(直射光)の一部を主反射鏡12に向けて反射し当該主反射鏡12から被照射面2Aに向けて照射する副反射鏡14を備える構成としたため、放電ランプ11から被照射面2Aへの直射光が副反射鏡14により遮られて当該放電ランプ11の写り込みによるハレーションの発生が防止可能となると共に、副反射鏡14が反射する光が主反射鏡12により反射され二次反射光として被照射面2Aの照明に利用されるため被照射面2Aの照度低下が抑制される。
【0033】
また、本実施形態によれば、主反射鏡12の反射光のうち、放電ランプ11の放射光を直接反射してなる一次反射光が被照射面2Aの最遠方領域32を照射し、副反射鏡14にて反射された光を反射してなる二次反射光が最遠方領域32よりも近い中間領域33を照射するように構成したため、被照射面2Aの照度を十分維持しつつ均斉度が高められる。
【0034】
また、本実施形態によれば、副反射鏡14の幅を放電ランプ11の全長よりも短くし、当該放電ランプ11の両端部から放射された放射光が被照射面2Aの上側の2隅M1、M2をそれぞれ照射する構成としたため、被照射面2Aの上側の隅部での照度低下を防止することができる。
【0035】
さらに、本実施形態によれば、副反射鏡14の先端部の両側に切欠部140A、140を形成し、それぞれの切欠部140A、140Bから放射光を通過させ、照射方向Aに沿った遠方の両側の2隅M3、M4を照射する構成としたため、これら2隅M3、M4における照度低下が防止可能となる。
【0036】
また、本実施形態によれば、副反射鏡14は、0°<前方鉛直角θ1<60°、0°<後方鉛直角θ2<120°、0°<水平角θ3<120°の範囲の放射光を反射して非直射領域30を形成する構成としたため、出幅D2が約1メートル以下という表示灯5と被照射面2Aとが非常に近づいた状態で設置されたとしても、ハレーションの発生が防止される。
【0037】
また、本実施形態によれば、副反射鏡14に反射させずに放射される光L2の入射角θ4が臨界角度よりも小さくなる傾斜部130を有するグローブ13を器具本体10の投光開口100に設ける構成としたため、グローブ13における光L2の反射を抑制し、光量の低下を抑制できる。
【0038】
また、本実施形態によれば、グローブ13の縁13Aの全周或いは一部に返し部132を形成し、器具本体10の投光開口100の縁に沿って形成された嵌込部101に嵌め込み固定する構成としたため、上記返し部132によりグローブ13と嵌込部101との嵌め合い強度が高められる。
さらに、本実施形態によれば、止水用のパッキン部材15を嵌込部101に充填したため、グローブ13内への浸水防止を図ることができ、また、グローブ13を透過性樹脂剤から形成する構成としたため、グローブ13の軽量化が図られる。
【0039】
(第2実施形態)
次いで本発明の第2実施形態について説明する。
上述した第1実施形態では、主反射鏡12の配光が縦型配光を有する表示灯5を説明したが、本実施形態では、横型配光を有する主反射鏡112を備えた表示灯105について説明する。
【0040】
図8は表示灯105の側面及び正面を共に示す図であり、図9は表示灯105の底面を示す図である。なお、これらの図において、第1実施形態と同様の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
表示灯105の主反射鏡112は、図9に示すように、左右中心軸C1方向と略直交する方向に長尺し、主反射鏡112の配光が照射方向Aと略直交する方向に沿って延びる、いわゆる横型配光となっている。そして、このような配光を有する表示灯105によって、図10に示すように、水平方向に延びた鉛直方向に延びた略矩形の広告看板2の照明に使用され、表示灯105に内蔵された副反射鏡114によって非直射領域30が形成される。この副反射鏡114に設けられた切欠部1140A、1140Bは、第1実施形態の切欠部140A、140Bと同様である。
【0041】
さらに、副反射鏡114は、第1実施形態と同様に、略放物線曲線に形成された反射面114Aを有し、この反射面114Aにて反射された直射光が主反射鏡112のエリア1120に入射され、当該主反射鏡112により配光制御されて二次反射光として被照射面2Aに照射される。主反射鏡112の反射面は、略放物線曲線に形成されると共に、その一部に、副反射鏡114にて反射された光が入射する上記エリア1120が形成されている。このエリア1120の反射面は、入射された光を被照射面2Aの左右両側(照射方向Aと略直交する方向)に向けて反射する形状に形成されており、横長の広告看板2の左右両側遠方に向けて二次反射光が照射されるように成されている。
具体的には、図11に示すように、表示灯105の照射方向Aに沿って最遠方の最遠方領域32を一次反射光が照射し、この最遠方領域32よりも表示灯105に近い中間領域33を二次反射光が照射するのは第1実施形態と同様である。ただし、本実施形態においては、主反射鏡112の配光が水平方向に延びた配光となるため、各領域32、33の境界は表示灯105を中心とした円弧を描くようになる。
【0042】
このような表示灯105が前掲図10に示すように、広告看板2の上縁3の中央に配置され、高さHが4M(メートル)、横幅Wが6M(メートル)の寸法の広告看板2を照明する場合であって、広告看板2の被照射面2Aから表示灯105の放電ランプ11の中心までの垂直距離D1が略0.71M(メートル)、被照射面2Aから器具本体10の頂部10Aまでの垂直距離である出幅D2が0.98M(メートル)の位置にアーム4によって表示灯105が配置されている場合には、副反射鏡14は、次の角度範囲の直射光を反射する。
【0043】
すなわち、副反射鏡14は、図8に示すように、放電ランプ11の中心軸C2を通る鉛直軸K1に対し、0°<前方鉛直角θ1<60°及び、0°<後方鉛直角θ2<120°の角度範囲の放射光を主反射鏡12に向けて反射し、また、左右方向を規定する水平軸K2に対し、0°<水平角θ3<120°の角度範囲の角度範囲の放射光を主反射鏡12に向けて反射して非直射領域30を形成する。
より詳細には、本実施形態の副反射鏡14は、鉛直角方向においては、0°<前方鉛直角θ1<35°、0°<後方鉛直角θ2<112°の角度範囲の放射光を主反射鏡12に向けて反射し、また、水平角方向においては、水平角θ3の角度範囲が65°の範囲の放射光を主反射鏡12に向けて反射している。
これにより、出幅D2を0.98M(メートル)という小さいな値としても、4M×6Mの寸法の広告看板2を照明する際のハレーションの発生を防止し、さらに、被照射面2Aの均斉度も高められる。
【0044】
なお、上述した第1及び第2実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した各実施形態では、1灯の照明装置1により広告看板2を照明する場合を例示したが、これに限らず、広告看板2の横幅に応じて照明装置1の灯数を増やしても良い。また、照明対象を広告看板2としたが、これに限らず、道路に設けられた標識板などの各種表示板の表示面を照明しても良い。
また、広告看板2等の表示板の上側に表示灯5、105が配置され、鉛直方向を照射方向Aとして上側から表示面を照明する場合を例示したが、これに限らず、表示灯5、105を表示板の左右縁部に配置し、水平方向を照射方向Aとして左又は右方向から表示面を照明しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る照明装置の構成を示す図。
【図2】同実施形態の表示灯の正面及び側面を共に示す図。
【図3】同実施形態の表示灯の底面を示す図。
【図4】同実施形態の副反射鏡による非直射領域を示す図。
【図5】同実施形態の主反射鏡による配光制御を示す図。
【図6】同実施形態のグローブの形状を説明するための示す図。
【図7】同実施形態のグローブと器具本体との取付構造を説明するための図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る表示灯の正面及び側面を共に示す図。
【図9】同実施形態の表示灯の底面を示す図。
【図10】同実施形態の主反射鏡による配光制御を示す図。
【図11】同実施形態の主反射鏡による配光制御を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1 照明装置
2 広告看板(表示板)
2A 被照射面
5、105 表示灯
10 器具本体
11 放電ランプ(光源)
12、112 主反射鏡
13 グローブ
14、114 副反射鏡
15 パッキン部材
30 非直射領域
31 最近傍領域
32 最遠方領域
33 中間領域
100 投光開口
101 嵌込部
130 傾斜部
132 返し部
A 照射方向
D2 出幅
L1、L2 光
θ1 鉛直角
θ2 水平角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示板の被照射面の前方に位置し、前記被照射面を前方から投光照明する表示灯であって、
光源と、前記光源が放射する放射光を前記被照射面に向けて反射する主反射鏡とを有し、前記光源と前記被照射面との間に設けられ、前記光源から前記被照射面に直接向かう放射光の一部を前記主反射鏡に向けて反射し当該主反射鏡から前記被照射面に向けて照射する副反射鏡をさらに備える
ことを特徴とする表示灯。
【請求項2】
請求項1に記載の表示灯において、
前記主反射鏡の反射光のうち、前記光源の放射光を直接反射してなる一次反射光が前記被照射面の遠方領域を照射し、前記前記副反射鏡にて反射された光を反射してなる二次反射光が前記遠方領域よりも近い領域を照射するように構成したことを特徴とする表示灯。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示灯において、
前記副反射鏡の幅を前記光源の全長よりも短くし、
前記光源の中央部から放射された放射光の一部を前記副反射鏡により反射すると共に、前記光源の両端部から放射された放射光の少なくとも一部を前記被照射面に直接照射することを特徴とする表示灯。
【請求項4】
請求項3に記載の表示灯において、
前記副反射鏡は、前記光源側から前記光源の下側を覆うように当該光源の長軸に対して略垂直に延び、その延びた先端部の両側を切欠き、
前記光源から放射された放射光の一部を前記切欠部から前記副反射鏡を通過させ、照射方向に沿った遠方の両側を照射することを特徴とする表示灯。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の表示灯において、
前記被照射面の上側に配置された場合に、
前記副反射鏡は、前記光源から放射された放射光のうち、略0°<前方鉛直角θ1<略60°、略0°<後方鉛直角θ2<略120、略0°<水平角θ3<略120°の範囲の前記放射光を前記主反射鏡に向けて反射し当該主反射鏡から前記被照射面に向けて照射することを特徴とする表示灯。
【請求項6】
請求項5に記載の表示灯において、
前記主反射鏡は、
横型配光を有すると共に、
前記副反射鏡により反射された光を、前方を中心に両側に広がりを持たせて反射する反射面を有することを特徴とする表示灯。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の表示灯において、
透過性樹脂剤から形成され、前記副反射鏡に反射させずに入射する放射光の入射角度が臨界角度よりも小さくなるように傾斜した傾斜部を有するグローブの縁の全周或いは一部に返し部を形成すると共に、前記器具本体の投光開口の周囲に沿って、止水用のパッキン部材が充填された嵌込部を形成し、前記グローブの縁を前記返し部と共に前記嵌込部に嵌め込み固定したことを特徴とする表示灯。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−216613(P2008−216613A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53700(P2007−53700)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000126274)株式会社アイ・ライティング・システム (56)
【Fターム(参考)】