説明

表示装置

【課題】立体感があり、違和感を軽減し得る表示を行うことが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】第1の発光表示像L1を形成する第1の発光表示手段1と、第2の発光表示像L2を形成する第2の発光表示手段2と、第1の発光表示像L1は観察者側に透過し第2の発光表示像L2は観察者P側に反射する透過型反射パネル3とを備え、透過型反射パネル3は観察者P側とは反対側に向けて凹む球面からなり観察者Pから見たとき第1の発光表示像L1の手前に第2の発光表示像L2の倒立実像L2hを反射形成する反射凹部31を有してなる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のダッシュボードに搭載され、観察者(主にドライバー)に表示像として各種情報を表示する表示装置に関するもので、特に発光表示像を観察者に直接表示するタイプの発光表示手段と、発光表示像を透過型反射部材を介して観察者に投影表示するタイプの発光表示手段とを組み込んでなる表示装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
この種の表示装置として、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この表示装置は、観察者に対面するように配置され発光する指針式表示像(第1の発光表示像)を形成する指針式表示器(第1の発光表示手段)と、この指針式表示器よりも観察者に近い位置で指針式表示器を遮らないよう配置され発光する装飾表示像(第2の発光表示像)を形成する発光表示器(第2の発光表示手段)と、観察者から見たとき指針式表示器を覆うと共に発光表示器に対向するように配置され指針式表示像は観察者側に透過し装飾表示像は観察者側に反射して投影表示する透過型反射パネルとを備えている。
【特許文献1】特開2005−300359号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記特許文献1では、透過型反射パネルは平面であるため、装飾表示像に立体感が乏しく、しかも透過型反射パネルを通じて反射する装飾表示像は、透過型反射パネルを基準としたしたとき、透過型反射パネルと発光表示器との光路長分奥まった位置に虚像として視認されるため、観察者によっては違和感を覚えてしまうという問題がある。
本発明はこの点に着目してなされたもので、その主な目的は、立体感があり、違和感を軽減し得る表示を行うことが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前述した課題を解決するため、観察者に対面するように配置され第1の発光表示像を形成する第1の発光表示手段と、この第1の発光表示手段を遮らないよう配置され第2の発光表示像を形成する第2の発光表示手段と、前記観察者から見たとき前記第1の発光表示手段を覆うと共に前記第2の発光表示手段に対向するように配置され前記第1の発光表示像は観察者側に透過し前記第2の発光表示像は前記観察者側に反射する透過型反射パネルとを備え、前記透過型反射パネルは前記観察者側とは反対側に向けて凹む球面からなり前記観察者から見たとき前記第1の発光表示像の手前に前記第2の発光表示像の倒立実像を反射形成する反射凹部を有してなることを特徴とする。
【0005】
また本発明は、前記第1の発光表示手段が指針とこの指針の作動軌道に沿って円弧状に配列された指標部とで前記第1の発光表示像を形成する指針式発光表示手段からなり、前記観察者から見たとき前記倒立実像が前記指標部の内側に表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、立体感があり、違和感を軽減し得る表示を行うことが可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付図面に基づいて、本発明を適用した表示装置の実施形態を説明する。
【0008】
図1、図2は、本発明の一実施形態を示すもので、図1は本実施形態による表示装置の正面図、図2は図1のA−A断面図である。
【0009】
図1及び図2において、本実施形態による表示装置は、例えば自動車のダッシュボードに搭載される速度計からなるもので、第1の発光表示手段1と、第2の発光表示手段2と、透過型反射パネル3とから構成されている。
【0010】
第1の発光表示手段1は、例えば指針11とこの指針11の作動軌道に沿って円弧状に配列された指標部12とで第1の発光表示像L1を形成する指針式発光表示手段からなり、観察者Pに対面するように設けられている。
【0011】
指針11は例えばステッピングモータを通じて軸回り回転(作動)し、指標部12は周知のスクリーン印刷等の手段により基板上に設けられている。この場合、指針11は、その先端側だけが発光するように他の箇所は遮光性のカバーによって覆われている。このため、指針11の先端だけが第1の発光表示像L1として視認される。
【0012】
また第1の発光表示手段1は、指針11と指標部12とを照明することで第1の発光表示像L1を形成させる光源も含んでいる。
【0013】
第2の発光表示手段2は、例えば各種警報・報知情報からなる第2の発光表示像L2を形成する液晶パネル等の電子式フラットディスプレイからなり、この第1の発光表示手段1を遮らないようにその手前に配置されている。
【0014】
また第1の発光表示手段2は、前記電子式フラットディスプレイを照明して第2の発光表示像L2を形成させる光源も含んでいる。
【0015】
透過型反射パネル3は、例えば合成樹脂からなる基材に光透過性を有する反射膜を形成したハーフミラーからなり、観察者Pから見たとき第1の発光表示手段1を覆うと共に第2の発光表示手段2に対向するように第1の発光表示手段1の手前に配置され、第1の発光表示像L1は観察者P側に透過し、第2の発光表示像L2は観察者P側に反射する。なお透過型反射パネル3は、第1の発光表示像L1は観察者P側に透過し、第2の発光表示像L2は観察者P側に反射するものであれば、任意のものを用いることができる。
【0016】
この透過型反射パネル3には、観察者P側とは反対側に向けて凹む球面からなる反射凹部31が形成されており、この反射凹部31で第2の発光表示像L2を反射することにより、観察者Pから見たとき第1の発光表示像L1の手前に第2の発光表示像L2の倒立実像L2hを反射形成する(図1参照)。
【0017】
この倒立実像L2hは、球面ミラーとして機能する反射凹部31の焦点Fよりも遠方で、球面ミラーによる倒立実像を観察者Pが視認可能な位置に第2の発光表示手段2を位置させることにより形成されるもので、球面ミラーの結像原理としては、例えば特許第2903871号公報に記載されている。
【0018】
この実施形態では、第2の発光表示手段2が円形の背景(例えば赤色)内にシートベルトの着用を促す絵マークを配した、シートベルト警報マークからなる第2の発光表示像L2を表示する例を示しており、この場合、反射凹部31によって反射された第2の発光表示像L2は、観察者Pから見たとき、第1の発光表示像L1の手前であって、円弧状に配列された指標部12の内側に、全体が赤色の球体のように立体感を有する倒立実像L2hとして視認される。
【0019】
なお本実施形態では、第2の発光表示手段2が電子式フラットディスプレイからなるため、第2の発光表示像L2の表示位置や像の歪み補正といった調整が容易にでき、また第2の発光表示像L2を動画とする等の応用も容易である。
【0020】
また本実施形態では、この倒立実像L2hを指標部12の内側で且つ指針11の発光表示像と重ならない位置に表示させることにより、第1の発光表示像L1の読み取りを阻害しないようにできる。
【0021】
また本実施形態では、シートベルト警報マークからなる第2の発光表示像L2を例示したが、第2の発光表示像L2は、基本的には任意の形状や内容を選択できる。但し、反射凹部31が球面からなることから、円形の表示像が好ましい。
【0022】
以上のように、本実施形態では、観察者Pに対面するように配置され第1の発光表示像L1を形成する第1の発光表示手段1と、この第1の発光表示手段1を遮らないよう配置され第2の発光表示像L2を形成する第2の発光表示手段2と、観察者Pから見たとき第1の発光表示手段1を覆うと共に第2の発光表示手段2に対向するように配置され第1の発光表示像L1は観察者側に透過し第2の発光表示像L2は観察者P側に反射する透過型反射パネル3とを備え、透過型反射パネル3は観察者P側とは反対側に向けて凹む球面からなり観察者Pから見たとき第1の発光表示像L1の手前に第2の発光表示像L2の倒立実像L2hを反射形成する反射凹部31を有してなることにより、第1の発光表示像L1からなる実像の手前に第2の発光表示像L2を倒立実像L2hとして表示でき、これにより第2の発光表示像L2を立体的に見せることができると共に第2の発光表示像L2が虚像として視認されることによる違和感を軽減できる。特に第2の発光表示像L2が警報情報や報知情報の場合、立体表示により注意喚起性を高めることができる。
【0023】
また本実施形態では、第1の発光表示手段1が指針11とこの指針11の作動軌道に沿って円弧状に配列された指標部12とで第1の発光表示像L1を形成する指針式発光表示手段からなり、観察者Pから見たとき倒立実像L2hが指標部12の内側に表示されることにより、指針式表示を行う第1の発光表示像L1の読み取りを阻害しないようにでき、視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態による表示装置の正面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 第1の発光表示手段
2 第2の発光表示手段
3 透過型反射パネル
11 指針
12 指標部
31 反射凹部
F 焦点
L1 第1の発光表示像
L2 第2の発光表示像
L2h 倒立実像
P 観察者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者に対面するように配置され第1の発光表示像を形成する第1の発光表示手段と、
この第1の発光表示手段を遮らないよう配置され第2の発光表示像を形成する第2の発光表示手段と、
前記観察者から見たとき前記第1の発光表示手段を覆うと共に前記第2の発光表示手段に対向するように配置され前記第1の発光表示像は観察者側に透過し前記第2の発光表示像は前記観察者側に反射する透過型反射パネルとを備え、
前記透過型反射パネルは前記観察者側とは反対側に向けて凹む球面からなり前記観察者から見たとき前記第1の発光表示像の手前に前記第2の発光表示像の倒立実像を反射形成する反射凹部を有してなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の発光表示手段が指針とこの指針の作動軌道に沿って円弧状に配列された指標部とで前記第1の発光表示像を形成する指針式発光表示手段からなり、前記観察者から見たとき前記倒立実像が前記指標部の内側に表示されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−150858(P2009−150858A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331309(P2007−331309)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】