説明

表示装置

【課題】隣接または近接する光源の光度のバラツキの少ない表示装置を簡易な構成で実現する技術を提供する。
【解決手段】隣接または近接して配設される複数の発光ダイオード1a,1bのうち、相対的に経時変化による光度低下が早いと想定される発光ダイオード1bの光度劣化特性を記憶手段4に記憶させておくとともに、当該発光ダイオード1bの点灯時間をタイマ5で積算する。そして、制御部3は、経時変化による光度低下の遅い発光ダイオード1aを点灯させる場合に、上記光度劣化特性と積算点灯時間とから発光ダイオード1bの経時変化後の光度を演算して、発光ダイオード1aの光度が発光ダイオード1bの経時変化後の光度と同じになるように点灯制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は表示装置に関し、より詳細には、複数の光源を備えた表示装置における光源の点灯制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスファンヒータの表示部や給湯装置のリモコンの表示部などに使用される表示装置には、複数の光源(たとえば、発光ダイオード)を備えたものがある。
【0003】
図3は、このような表示装置における光源の配置の一例を示している。この図3に示す表示装置は、ガスファンヒータの表示部に使用される表示装置を示しており、ガスファンヒータが燃焼動作(暖房運転)中であるときに点灯する赤色の発光ダイオードaと、当該ガスファンヒータが備える空気清浄機能が動作(空気清浄運転)中であるときに点灯する青色の発光ダイオードbとを光源として備えて構成されている。なお、この図3において、cは抵抗器などの電子部品を、dは上記発光ダイオードa,bの点灯制御用の制御信号を入力するためのコネクタをそれぞれ示しており、これら表示装置の各構成部品は図示のように電装基板eに実装されている。
【0004】
ところで、このように空気清浄機能を備えたガスファンヒータにおいては、暖房運転中はもちろんのこと、暖房運転を行っていないときでも空気清浄運転は行われることから、一般には、暖房運転中を示す赤色の発光ダイオードaよりも空気清浄運転中を示す青色の発光ダイオードbの点灯頻度が高くなり、その積算(累積)点灯時間も長くなるため、青色の発光ダイオードbの経時変化による光度低下が赤色の発光ダイオードaよりも大きくなる傾向がある。
【0005】
一般的なモデルケースを例に説明すると、たとえば、ガスファンヒータを10年使用した場合、空気清浄運転の使用時間は概ね56,000時間になるのに対し、暖房運転の使用時間は概ね6,000時間にとどまる。そのため、点灯頻度の高い青色の発光ダイオードbは、10年経過によって、点灯時間が0時間の初期状態(光度残存率が100%の状態)に比して、その光度は60%程度にまで低下するのに対し、点灯頻度の低い赤色の発光ダイオードaは、10年が経過しても経時変化による光度低下は殆どなく、その光度は初期状態とほぼ同じ100%に近い状態を維持することとなる。
【0006】
そのため、これら赤色の発光ダイオードaと青色の発光ダイオードbとが隣接または近接して配置されていると、両者を同時に点灯させた場合、経時変化による光度低下の速い青色の発光ダイオードbが赤色の発光ダイオードaよりも暗く見えてしまい、青色の発光ダイオードbの点灯が見えづらくなることがあるという問題があった。
【0007】
なお、このような経時変化による発光ダイオードの光度低下に関連して、経時変化に応じて発光ダイオードの輝度を補正するように構成した表示装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
具体的には、この特許文献1に示す表示装置は、複数の発光ダイオードを備えてなる表示装置において、個々の発光ダイオードの点灯時間をそれぞれタイマで積算し、この積算点灯時間に基づいて算出される発光ダイオードの輝度低下率に応じて、個々の発光ダイオードを駆動する駆動信号のデューティー比を上げるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−330158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、以下のような問題がある。
すなわち、ガスファンヒータの表示部などの表示装置には種類の異なる(たとえば、大きさや発色が異なる)発光ダイオードが使用されることがあるところ、積算点灯時間に対する光度の低下状況は使用される発光ダイオードの種類によって相違するため、輝度の補正によって隣接または近接して配置される発光ダイオードの光度を合わせるのは困難である。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、隣接または近接する光源の光度のバラツキの少ない表示装置を簡易な構成で実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の表示装置は、隣接または近接して配置される複数の光源を備えた表示装置において、一の光源の光度劣化特性を記憶する記憶手段と、当該一の光源の点灯時間を積算するタイマとを備えてなり、制御部は、上記記憶手段に記憶された光度劣化特性と上記タイマで積算される積算点灯時間とに基づいて、他の光源の光度を上記一の光源の光度に合わせる点灯制御を行うことを特徴とする。
【0013】
すなわち、この表示装置では、隣接または近接して配設される複数の光源のうち一の光源についての光度劣化特性を記憶手段に記憶させておくとともに、当該一の光源についての点灯時間をタイマで積算する。そして、制御部は、上記一の光源以外の他の光源を点灯させるときには、上記一の光源の光度劣化特性と積算点灯時間とから当該一の光源の経時変化後の光度を演算し、上記他の光源の光度が上記一の光源の経時変化後の光度と同じ光度になるように(換言すれば、光度を合わせるように)上記他の光源の点灯制御を行う。なお、ここで「光度を合わせる」とは、光度を一致させることだけでなく、光度を近似させることも含む。したがって、この請求項1に係る表示装置では、隣接または近接して配置される上記一の光源と他の光源とを同時に点灯させた場合、両者の光度はほぼ等しくなるので、両光源の光度のバラツキによって一方の光源が暗く感じられることが解消される。
【0014】
ここで、光度劣化特性は、光源の積算点灯時間と当該光源の光度低下の関係を示すデータで構成される。たとえば、上記光源として発光ダイオードを用いる場合、この光度劣化特性には発光ダイオードの積算点灯時間に対する光度残存率が用いられる。
【0015】
本発明の請求項2に記載の表示装置は、請求項1に記載の表示装置において、上記一の光源として、他の光源より相対的に速く光度が低下すると想定される光源が選択されていることを特徴とする。
【0016】
すなわち、この請求項2に係る表示装置では、他の光源より相対的に速く光度が低下すると想定される光源(一の光源)についての光度劣化特性が記憶手段に記憶されるとともに、当該光源の点灯時間がタイマで積算される。したがって、この請求項2に係る表示装置では、経時変化によって相対的に他の光源よりも光度が速く低下する光源(一の光源)の光度に合わせて他の光源の光度が制御される。そのため、この請求項2に係る表示装置では、経時変化によって最も光度が低下する光源を最大限に明るく点灯させた状態で光源間の明るさのバラツキを解消することができるとともに、ユーザによる視認性の低下を最小限に抑えることができる。
【0017】
ここで、他の光源より相対的に速く光度が低下すると想定される光源の選択は、当該光源の点灯頻度や光源の種類などに基づいて行われる。たとえば、光度劣化特性が同じ(つまり、同一種類の)光源を使用する場合には、点灯頻度が高く他の光源よりも積算点灯時間が長くなる傾向がある光源が選択される。また、光源の種類が相違する場合は、点灯頻度と光度劣化特性とから経験的または理論的に光度低下が速いと予想される光源が選択される。
【0018】
請求項3に係る表示装置は、請求項1に記載の表示装置において、上記一の光源として、他の光源より相対的に遅く光度が低下すると想定される光源を選択することを特徴とする。
【0019】
すなわち、この請求項3に係る表示装置では、他の光源より相対的に遅く光度が低下すると想定される光源(一の光源)についての光度劣化特性が記憶手段に記憶されるとともに、当該光源の点灯時間がタイマで積算される。したがって、この請求項3に係る表示装置では、経時変化によって相対的に他の光源よりも光度が遅く低下する光源(一の光源)の光度に合わせて他の光源の光度が制御される。そのため、この請求項3に係る表示装置では、経時変化による光度低下の限界による光源の交換時期を遅くすることができ、経済性に優れた表示装置を提供できる。
【0020】
請求項4に係る表示装置は、請求項1から3のいずれかに記載の表示装置において、上記他の光源に対する点灯制御は、当該他の光源が上記一の光源と同時に点灯するときに限り実行されることを特徴とする。
【0021】
すなわち、この請求項4に係る表示装置では、一の光源と他の光源とが同時に点灯するときに、他の光源の光度を上記一の光源の光度に合わせる点灯制御が行われるので、一の光源と他の光源の光度のバラツキにより一方が暗く見えるのが解消されるとともに、一の光源または他の光源の一方のみを点灯させる場合には、その光度を自由に設定することができ、単独点灯時に点灯がみづらくなることを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、隣接または近接して配置される複数の光源を備えた表示装置において、一の光源の光度劣化特性を記憶する記憶手段と、当該一の光源の点灯時間を積算するタイマとを備えてなり、制御部は、上記記憶手段に記憶された光度劣化特性と上記タイマで積算される積算点灯時間とに基づいて、他の光源の光度を上記一の光源の光度に合わせる点灯制御を行うので、一の光源と他の光源とを同時に点灯させる場合に、両者の光度はほぼ等しくなるので、両光源の光度のバラツキによって一方の光源が暗く感じられることが解消される。
【0023】
また、想定される機器使用期間(たとえば10年)内において、他の光源が100%の光度を保つとみなせる場合は、複数の光源に対して、点灯時間を積算するタイマは一のタイマだけで構成されるので、点灯制御におけるタイマの構成と制御が簡単ですみ、安価に表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る表示装置の概略構成の一例を示す説明図である。
【図2】同表示装置における光源の光度劣化特性の一例を示す説明図である。
【図3】従来の表示装置における光源の配置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
図1は、本発明に係る表示装置の概略構成の一例を示している。この図1に示す表示装置は、図示しないガスファンヒータにおいて、当該ガスファンヒータが燃焼動作(暖房運転)中であるか否かと、当該ガスファンヒータに備えられた空気清浄機能が動作(空気清浄運転)中であるか否かを表示するために用いられる表示装置であって、これらの情報を表示するための光源として複数(図示例では2個)の光源を備えている。
【0026】
具体的には、この表示装置は、図1に示すように、光源となる発光ダイオード1a,1bと、これら発光ダイオード1a,1bの駆動回路2と、当該駆動回路2を介してこれら発光ダイオード1a,1bの点灯制御を行う制御部3とを主要部として構成されている。
【0027】
光源となる発光ダイオード1a,1bは、いずれも高輝度の発光ダイオードであって、いわゆる砲弾型の発光ダイオード(LED)が用いられている。そして、暖房運転中であるか否かを表示する発光ダイオード1aには赤色に発光する発光ダイオードが、また、空気清浄運転中であるか否かを表示する発光ダイオード1bには青色に発光する発光ダイオードが用いられており、いずれも運転中のときに点灯し、運転停止中は消灯するように制御されるようになっている。
【0028】
これら発光ダイオード1a、1bは、隣接または近接して配置されている。すなわち、これら発光ダイオード1a,1bは、双方の点灯状態をユーザが一目で確認できる(一緒にユーザの視界に入る)程度に近接して配置されている。たとえば、発光ダイオード1a,1bは、図示しない電装基板上に数センチメートル(たとえば1〜2cm程度)の間隔をあけて配設され、この電装基板がガスファンヒータの筐体正面の化粧パネル(図示せず)の内側に配置され、ユーザが化粧パネル越しに発光ダイオード1a,1bの点灯の有無を同時に確認できるように配置される。
【0029】
また、この発光ダイオード1a,1bの配設位置に関しては、一方の発光ダイオードが経時変化などによって点灯時の光度(明るさ)が低下した場合に、ユーザが他方の発光ダイオードの点灯時の明るさとの対比で当該一方の発光ダイオードが暗く感じてしまう程に近接して配置されていてもよい。したがって、上述したように、発光ダイオード1a,1bが同一平面(筐体正面)上に隣接して配置される場合だけでなく、たとえば、ガスファンヒータの筐体正面と筐体上面に分かれて配置される場合であっても、両者の点灯状態をユーザが対比可能であればよい。
【0030】
駆動回路2は、制御部3から与えられる制御信号に応じて上記発光ダイオード1a,1bを点灯または消灯させるための駆動回路であって、この駆動回路2は、発光ダイオード1a,1bをそれぞれ定電流で駆動するとともに、上記制御部3からの制御信号に応じて各発光ダイオード1a,1bに与える電流パルスのデューティー比を可変することによって各発光ダイオード1a,1bの光度(明るさ)を変更させることができるように構成された駆動回路が用いられている。
【0031】
制御部3は、上記駆動回路2に対して与える発光ダイオード1a,1bの点灯制御用の制御信号を生成する制御装置であって、その制御中枢としてマイクロコンピュータを備えている。本実施形態では、この制御部3は、ガスファンヒータの各部の動作を制御する制御部としても機能するように構成されており、制御部3のマイクロコンピュータには、ガスファンヒータ各部の動作を制御するための制御プログラムと、上記発光ダイオード1a,1bの点灯制御用の制御プログラムとが備えられている。
【0032】
そして、この制御部3には、上記発光ダイオード1a,1bの点灯制御に関して、一の光源の光度劣化特性を記憶する記憶手段4と、当該一の光源の点灯時間を積算するタイマ5とが備えられており、制御部3は、この記憶手段4に記憶された光度劣化特性とタイマ5で積算される積算点灯時間とに基づいて、他の光源の光度を上記一の光源の光度に合わせる点灯制御を行うように構成されている。
【0033】
すなわち、本実施形態の表示装置では、表示用の光源として、暖房運転中であるか否かを表示する赤色の発光ダイオード1aと、空気清浄運転中であるか否かを表示する青色の発光ダイオード1bとが備えられているところ、一般に、空気清浄運転は暖房運転に比して使用頻度が高く、そのため空気清浄運転中であることを示す青色の発光ダイオード1bの積算点灯時間は暖房運転中であることを示す赤色の発光ダイオード1aの積算点灯時間よりも長くなる傾向がある一方で、経時変化による発光ダイオードの光度の劣化(光度の低下)は、赤色の発光ダイオード1aよりも青色の発光ダイオード1bの方が早い(光度残存率の低下が早い)ことから、赤色の発光ダイオード1aと青色の発光ダイオード1bを点灯させる際に、これらに与える電流パルスのデューティー比を初期状態(工場出荷時)と同じデューティー比で駆動していると、経時変化の進行に伴って、光度の低下が相対的に早く進行する青色の発光ダイオード1b(一の光源)の明るさ(光度)が赤色の発光ダイオード1a(他の光源)よりも暗くなるという事態が生じる。
【0034】
そのため、本実施形態に示す表示装置では、制御部3が上記赤色発光ダイオード1aを点灯させる場合(少なくとも、上記青色の発光ダイオード1bと同時に上記赤色の発光ダイオード1aを同時に点灯させる場合)、制御部3は、赤色の発光ダイオード1aの光度が青色の発光ダイオードの光度とが等しくなるように、つまり、赤色の発光ダイオード1aと青色の発光ダイオード1bの明るさが同じになるように、駆動回路2に対して赤色の発光ダイオード1aに対する点灯制御用の制御信号を出力する。
【0035】
具体的には、このような制御の実行にあたり、上記記憶手段4には、他の光源より相対的に速く光度が低下すると想定される光源(青色の発光ダイオード1b)の光度劣化特性を記憶させておくとともに、タイマ5において当該光源、すなわち、青色の発光ダイオード1bの積算点灯時間を測定するように構成しておく。そして、制御部3は、上記記憶手段4に記憶された光度劣化特性とタイマ5で積算される積算点灯時間とに基づいて、他の光源である赤色の発光ダイオード1aを点灯させるときに、赤色の発光ダイオードの光度を青色の発光ダイオード1bの光度に合わせる点灯制御を行う。
【0036】
ここで、記憶手段4に記憶される光度劣化特性は、光源の積算点灯時間と当該光源の光度低下の関係を示すデータであって、本実施形態では、発光ダイオード1bの積算点灯時間に対する光度残存率が用いられている。図2は、この発光ダイオード1bの光度残存率の一例を示している。この図2に示す光度残存率は、ガスファンヒータの使用年数ごとに想定(推測)される青色の発光ダイオード1bの積算点灯時間と、当該積算点灯時間に応じた発光ダイオード1bの光度残存率の関係を示している。
【0037】
なお、上記記憶手段4としては、たとえば、上記制御部3のマイクロコンピュータに備えられるROMが好適に用いられる。また、タイマ5で積算する点灯時間の記憶手段には、データの書き換え可能な不揮発性メモリ(たとえば、EEPROM、フラッシュメモリなど)が使用される。
【0038】
そこで、この図2に示す光度劣化特性が記憶手段4に記憶されている場合を例に本発明の表示装置における赤色の発光ダイオード1aの点灯制御を説明する。
【0039】
本発明に係る表示装置では、制御部3は、ガスファンヒータが暖房運転中のときは赤色の発光ダイオード1aを点灯させる制御信号を、また、ガスファンヒータが空気清浄運転中の時は青色の発光ダイオード1bを点灯させる制御信号を、それぞれ駆動回路2に与えるように構成される。
【0040】
そして、制御部3は、青色の発光ダイオード1bを点灯させる場合、当該青色の発光ダイオード1bの点灯時間をタイマ5で積算し、その積算点灯時間を記憶手段4に記憶・更新する。なお、積算点灯時間の更新は定期的または点灯終了時などの適時に行うように構成される。また、発光ダイオード1bの積算点灯時間は、制御部3が駆動回路2に与える点灯制御用の制御信号に基づいて計数するように構成することができるほか、制御部3が空気清浄運転を行う部位に与える空気清浄運転用の制御信号に基づいて計数するように構成することもできる。
【0041】
そして、記憶手段4に記憶された青色の発光ダイオード1bの積算点灯時間が、青色の発光ダイオード1bの光度残存率が90%に低下する時間(図示例では、5,600時間)に達すると、この状態で赤色の発光ダイオード1aを点灯させる場合には、制御部3は、赤色の発光ダイオード1aが青色の発光ダイオード1bと同じ明るさで点灯するように駆動回路2を制御する。つまり、赤色の発光ダイオード1aを点灯させる際に当該発光ダイオード1aに与える電流パルスのデューティー比を調節して(具体的には、初期設定のデューティー比を下げて)赤色の発光ダイオード1aの光度が青色の発光ダイオード1bの光度と同じになるようにする。
【0042】
なお、この赤色の発光ダイオード1aの光度の調節にあたっては、あらかじめ、青色の発光ダイオード1bの光度と、当該光度に赤色の発光ダイオード1aの光度を合わせるために必要となる電流パルスのデューティー比の関係を示すデータを上記記憶手段4などに記憶させておき、そのデータに基づいて赤色の発光ダイオード1aの光度の調節(電流パルスのデューティー比の変更)を行うようになっている。
【0043】
そして、以下同様に、記憶手段4に記憶された青色の発光ダイオード1bの積算点灯時間が、青色の発光ダイオード1bの光度残存率が80%に低下する時間(図示例では、11,200時間)、70%に低下する時間(図示例では、28,000時間)、60%に低下する時間(図示例では、50,400時間)に達すると、それぞれ赤色の発光ダイオード1aを点灯させる場合には、制御部3は、赤色の発光ダイオード1aが青色の発光ダイオード1bと同じ明るさで点灯するように駆動回路2を制御する。すなわち、赤色の発光ダイオード1aを点灯させる際に当該発光ダイオード1aに与える電流パルスのデューティー比を調節して赤色の発光ダイオード1aの光度が青色の発光ダイオード1bの光度と同じになるようにする。
【0044】
このように、本発明に係る表示装置では、隣接または近接して配置される複数の発光ダイオードのうち相対的に速く光度が低下すると想定される発光ダイオード1bの光度劣化特性を記憶手段4に記憶させておくとともに、当該発光ダイオード1bの点灯時間をタイマ5で積算し、他の発光ダイオード1aを点灯させる際には、制御部3が、上記記憶手段4に記憶された光度劣化特性と上記タイマ5で積算された積算点灯時間とに基づいて、他の発光ダイオード1aの光度を上記発光ダイオード1bの光度に合わせる点灯制御を行うので、経時変化によって発光ダイオード1bの光度が低下しても、他の発光ダイオード1aは光度が低下した発光ダイオード1bと同じ明るさで点灯されるので、両光源の明るさにバラツキがなく、一方が暗く感じられることが防止される。
【0045】
なお、このような発光ダイオード1aの光度を発光ダイオード1bの光度に合わせる点灯制御は、少なくとも発光ダイオード1bと発光ダイオード1aとが同時に点灯するときに行われるようになっていればよく、発光ダイオード1aが単独で点灯する場合は、発光ダイオード1aは通常の点灯制御(つまり、発光ダイオード1aを点灯させるときの電流パルスのデューティー比は初期設定の値)で点灯させるように構成することもできる。このように、発光ダイオード1aの光度を発光ダイオード1bの光度に合わせる点灯制御が発光ダイオード1a,1bを同時に点灯するときに限り実行されることにより、発光ダイオード1aが単独で点灯する際には光度が下がるのを防止でき、高輝度の発光ダイオード1aによる表示を見やすい状態に維持することができる。
【0046】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この実施形態2に示す表示装置は、記憶手段4に光度劣化特性を記憶させる発光ダイオードを、他の光源より相対的に速く光度が低下すると想定される青色の発光ダイオード1bから他の光源より相対的に遅く光度が低下すると想定される光源、つまり、本実施形態では赤色の発光ダイオード1aに変更するとともに、タイマ5で点灯時間を積算する発光ダイオードを、青色の発光ダイオード1bから赤色の発光ダイオード1aに変更したものであって、表示装置のその他の基本的な構成は上述した実施形態1と共通するので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
この実施形態2に示す表示装置では、記憶手段4に他の光源より相対的に遅く光度が低下すると想定される赤色の発光ダイオード1aの光度劣化特性を記憶させるとともに、タイマ5で赤色の発光ダイオード1aの点灯時間を積算する。そして、制御部3は、この記憶手段4に記憶された光度劣化特性とタイマ5で積算される積算点灯時間とに基づいて、青色の発光ダイオード1bの光度を赤色の発光ダイオード1aの光度に合わせる点灯制御を行うように構成される。
【0048】
つまり、この実施形態2に係る表示装置では、相対的に遅く光度が低下すると想定される発光ダイオード1aの光度に、経時変化による光度低下が早い青色の発光ダイオード1bの光度を合わせることによって両光源の明るさを合わせるようにしている。
【0049】
このように、経時変化による光度低下が早い光源の光度を経時変化による光度低下の遅い光源の光度に合わせるように制御するには、初期状態における光源の光度を最大光度より低く設定しておく必要があるが、光度低下の遅い光源の光度に合わせて点灯制御を行うことによって、光源の長寿命化を図ることができる。
【0050】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0051】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る表示装置を、ガスファンヒータにおける暖房運転と空気清浄運転の運転表示を行う表示装置に適用した場合を示したが、本発明に係る表示装置は、複数の光源を用いて情報を表示するものであれば、ガスファンヒータに限られず、その他の器具や装置(たとえば、給湯装置のリモコンなど)の表示部にも適用することが可能である。
【0052】
また、上述した実施形態では、光源として赤色および青色の発光ダイオード1a,1bを用いた場合を示したが、使用する発光ダイオードの色はこれらに限られず、他の発色の発光ダイオードを用いることも可能である。また、使用する発光ダイオードの数も複数であれば2個に限られず3個以上であってもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、光源として砲弾型の発光ダイオードを用いたが、7セグメントのLEDなど他の態様の発光ダイオードを用いることができるほか、経時変化により光度が低下する光源であれば、発光ダイオード以外の光源を用いることも可能である。
【0054】
また、上述した実施形態では、赤色の発光ダイオード1aの点灯制御における電流パルスのデューティー比の切り替えを、青色の発光ダイオード1bの光度残存率が90%,80%,70%,60%のタイミング(光度残存率が10%変わるタイミング)で行う場合を示したが、このタイミングは勿論適宜設計変更可能である。
【0055】
また、上述した実施形態では、発光ダイオード1a(他の光源)の点灯時間は積算しないように構成した場合を示したが、発光ダイオード1aについても光度劣化特性を記憶させるとともに、その点灯時間を積算するように構成し、発光ダイオード1aの光度を発光ダイオード1b(一の光源)に合わせる際に、発光ダイオード1aの光度低下分を修正するように構成することもできる。
【0056】
また、上述した実施形態では、発光ダイオード1a,1bの明るさを合わせるのに光度劣化特性を用いたが、たとえば、発光ダイオード1a,1bの大きさが同じような場合には輝度の劣化特性を用いて制御するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1a,1b 発光ダイオード(光源)
2 駆動回路
3 制御部
4 記憶手段
5 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接または近接して配置される複数の光源を備えた表示装置において、
一の光源の光度劣化特性を記憶する記憶手段と、当該一の光源の点灯時間を積算するタイマとを備えてなり、
制御部は、前記記憶手段に記憶された光度劣化特性と前記タイマで積算される積算点灯時間とに基づいて、他の光源の光度を前記一の光源の光度に合わせる点灯制御を行うことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記一の光源として、他の光源より相対的に速く光度が低下すると想定される光源が選択されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記一の光源として、他の光源より相対的に遅く光度が低下すると想定される光源が選択されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記他の光源に対する点灯制御は、当該他の光源が前記一の光源と同時に点灯するときに限り実行されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−97941(P2013−97941A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238199(P2011−238199)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】