説明

袋状トイレ構成体

【課題】便器に設置する時間や労力を軽減するとともに、便器等に手を触れる回数を低減できる袋状トイレ構成体を提供する。
【解決手段】吸水性構造体を内蔵し、かつ袋の開口周部に沿って巡らされその両端部が結ばれた紐状体を有する袋状トイレを、互いの袋の紐状体の結び目の位置が略同位置でかつ袋の外面と内面が大略接して一致するように複数枚重ね合わせ、それぞれの袋の紐状体の結び目近傍の紐部を紐保持体のスリット部に挟まれて拘束し、その順序を積層された袋状トイレの最も外側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も奥側に、最も内側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も手前側になるよう順次挟まれるようにして袋状トイレ構成体とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋状トイレに関するものであり、便器等に一度設置することにより複数回使用することができる袋状トイレ構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用の都度便器等に設置して使用する袋状トイレに関しては知られており、例えば、特開2006−149992には不透水性の袋体と内側底部に水分吸収体と可燃体を固定して使用することを特徴とした簡易トイレに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2006−149992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の袋状トイレは、使用の都度便器等に1枚ずつ設置して使用するタイプであったため、特に介護者や手足の不自由な高齢者にとっては袋状トイレを設置する時間や労力の負荷が大きく、また、使用の都度便器等に触れるため衛生面からも問題があった。
従って本発明の目的は、一度便器等に設置するだけで複数回使用することができ、その結果として袋状トイレを設置するための時間や労力の負荷が大きく軽減できると共に、便器等に手を触れる回数も減り衛生面も改善できる、袋状トイレ構成体を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するため、吸水性構造体を内蔵しかつ袋の開口円周部に沿って巡らされその両端部が結ばれた紐状体を有する袋状トイレの複数枚が、互いの袋の紐状体の結び目の位置が略同位置でかつ袋の外面と内面が大略接して一致するよう1枚ずつ重ね合わせて入れ子状態に積層されており、それぞれの袋状トイレの紐状体の結び目近傍の紐部が紐保持体のスリット部に挟まれて拘束されており、その拘束の順序が、入れ子状態に積層された袋状トイレの最も外側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も奥側に、最も内側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も手前側になるよう順次挟まれていることを特徴とする袋状トイレ構成体を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の袋状トイレ構成体によれば、便器等に袋状トイレを設置するための時間や労力の負荷が大きく軽減できると共に、便器等に手を触れる回数も減り衛生面も改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の袋状トイレ構成体は、吸水性構造体を内蔵しかつ袋の開口円周部に沿って巡らされその両端部が結ばれた紐状体を有する袋状トイレの複数枚が、互いの袋の紐状体の結び目の位置が略同位置でかつ袋の外面と内面が大略接して一致するよう1枚ずつ重ね合わせて入れ子状態に積層されており、それぞれの袋状トイレの紐状体の結び目近傍の紐部が紐保持体のスリット部に挟まれて拘束されており、その拘束の順序が、入れ子状態に積層された袋状トイレの最も外側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も奥側に、最も内側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も手前側になるよう順次挟まれていることを特徴とする袋状トイレ構成体である。
本発明の袋状トイレ構成体で使用される袋の素材としては、不透水性や強度、軽さの観点からポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂フイルムが好ましく例示できる。
本発明の袋状トイレ構成体で使用される袋の大きさは、便器への設置しやすさの観点から開口部の円周の長さが60cm〜200cmが好ましく、袋の深さは10cm〜50cmが好ましい。
本発明に使用する袋状トイレの袋には、袋の開口円周部に沿って巡らされその両端部が結ばれた紐状体を有しなければならない。
この紐状体は、用便等の使用後に袋の開口部を絞って綴じるため機能を持つ。
袋の開口円周部に紐状体を巡らす方法としては、開口円周部に複数個の穴を開けそこを縫うようにして紐を通す方法、開口円周部を折りたたんで接着しその隙間に紐を通す等の方法等が例示できる。
紐状体に用いる紐の形状は特に限定はないが、円柱状、角柱状、板状等が例示でき、適度な柔軟性を持つと好ましい。
紐状体の長さは、その紐の両端は結ばれて使用されるため、袋の開口円周部より10〜40cm長いと好ましい。
本発明で吸水性構造体とは、吸水機能を持つ構造体を意味し、公知の吸水樹脂、吸水繊維あるいはそれらを不織不等の繊維構造体に付着させた吸水シート等が例示できる。製造のための作業性や吸水能の観点からは吸水シートが好ましい。
本発明で吸水性構造体を内蔵とは、袋状トイレの袋内部に吸水性構造体が存在することを言い、その存在状態は特に限定はないが存在場所は袋の底部が好ましい。
本発明の袋状トイレ構成体は、吸水性構造体を内蔵しかつ袋の開口円周部に沿って巡らされその両端部が結ばれた紐状体を有する袋状トイレの複数枚が、互いの袋の紐状体の結び目の位置が略同位置でかつ袋の外面と内面が大略接して一致するよう1枚ずつ重ね合わせて入れ子状態に積層されている。
袋状トイレの複数枚を、互いの袋の紐状体の結び目の位置が略同位置でかつ袋の外面と内面が大略接して一致するよう1枚ずつ重ね合わせて入れ子状態に積層する方法としては、吸水性構造体を内蔵しかつ袋の開口円周部に沿って開口部を綴じるための紐状体を有する袋状トイレの袋の内側に、互いの袋の紐状体の結び目の位置が同位置になるようにしながら、吸水性構造体を内蔵しかつ袋の開口円周部に沿って開口部を綴じるための紐状体を有する他の袋状トイレを入れる方法を繰り返すことにより重ね合わせる方法が例示できる。
複数枚とは2枚以上を言い、作りやすさや便器等への設置しやすさの観点からは3〜10枚が好ましい。
本発明の袋状トイレ構成体は、使用後、用便により汚れた袋状トイレのみを入れ子状態に積層した複数枚数の袋状トイレの中から簡便に取り出すことができなければならず、本発明では紐保持体がその機能を持つ。
本発明の紐保持体は、両端が結ばれた紐状体の紐部を順序良く確実に拘束するためのスリットを持ち、スリットの形状は紐状体の太さよりやや狭い幅で、複数枚の紐保持体を挟みこむことのできる長さのスリットを有することが必要とされる。
本発明の紐保持体の材質はプラスチックでも金属でも木材でも良く、また、その形状も特に限定はない。
本発明の紐保持体の例として、縦の長さが1〜3cm、横の長さが3〜7cm、厚さが0.05から1cmの板に、横方法に0.1から0.5cmの幅のスリットが形成された板体が例示できる。
このスリットに、積層された袋状トイレの最も外側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も奥側に、最も内側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も手前側になるよう、袋状トイレに設置された紐状体の結び目近傍で袋側の紐部を順次挟み込む。
スリットに両端が結ばれた紐状体の紐部を挟み込む際には、紐状体の結び目がスリットの一方の面にのみ並ぶように、結び目近傍の袋側の紐部を挟み込む。
結び目の袋側近傍の紐部は2本あるが、2本を一緒にして挟み込むのが好ましい。
本発明の紐保持体により、スリットから引き出せる最初の紐は重ね合わせた袋状トイレの最も内側、つまり便器等に設置されて一番に使用する状態、あるいは使用された状態の袋状トイレの紐状体のみとなり、誤って他の袋状トイレの紐状体を引き出す危険はなくなる。
本発明の袋状トイレ構成体は便器や便座等に設置して使用するが、例えば便器等への設置に当たっては、紐保持体を便器の外側前方に出し、袋を便器の底部に収め、袋の外側周辺部が便器の縁を覆うように設置して使用すると好ましい。
本発明の袋状トイレ構成体は、用便後、紐保持体のスリット部に挟まれて拘束され、スリット部の最も手前に位置している用便時に使用した袋状トイレの紐状体の結び目をスリットから外し、その紐状体を持ちつつ使用済の袋状トレイを便器から取り外し、紐を絞って袋の開口部を閉めて廃棄し、便器上には未使用の袋状トイレが設置された状態に存在するようにして使用することができる。
【実施例】
【0007】
以下に本発明の袋状トイレ構成体に関する実施例を示す。
先ず、市販されているポリエチレン製の袋(横の長さ50cm、縦の長さ50cm、厚さ0.03mm)を10枚準備し、その10枚の袋を縦の長さが30cmになるよう切断して、袋の開口円周部の長さが100cmで、袋の深さが30cmのトイレ用の袋を作成した(袋の横の長さが50cmということは、袋の開口円周部の長さは100cmとなる。)。
次いで、作成したトイレ用の袋の開口円周部の縁から2cm下の円周部分に、紐状体を通すための直径5mmの穴を、穴と穴の間隔が約5cmになるように、複数開けた。
紐状体は、市販されているポリプロピレン製細紐(太さ1mm)を、袋の開口円周部より20cm長い長さの120cmに切断して、作成した。
この紐状体の一端を、円周部に紐状体を通すために開けられた穴のあるトイレ用の袋の1つの穴に袋の外から内側に差し込み、次いで次の穴に袋の内側から外側に差し込むことを繰り返すことにより開口円周部のすべての穴に紐状体を縫うように通し、通し終わった後の紐状体の一端をその紐状体の他端と結び、紐状体の設置を完了した。
紐状体の設置を完了したトイレ用の袋の底部に市販されている吸水シートを入れて内蔵し、袋状トイレを完成した。
このようにして作成した10枚の袋状トイレを5枚ずつ、互いの袋の紐状体の結び目の位置が略同位置でかつ袋の外面と内面が大略接して一致するよう1枚ずつ重ね合わせて入れ子状態に積層し、2組の積層状袋状トレイを作成した。
具体的な重ね合わせ方法は、互いの袋の紐状体の結び目の位置が略同位置になるよう注意しつつ吸水性構造体を内蔵しかつ袋の開口円周部に沿って開口部を綴じるための紐状体を有する袋状トイレの袋の内側に吸水性構造体を内蔵しかつ袋の開口円周部に沿って開口部を綴じるための紐状体を有する他の袋状トイレを入れる方法を繰り返すことにより重ね合わせた。
本発明の袋状トイレ構成体には、使用後、用便により汚れた袋状トイレのみを入れ子状態に積層した複数枚数の袋状トイレの中から簡便に取り出すことができる機能を持つ紐保持体が必要とされる。
紐保持体は、厚さが0.1cmのポリエチレン製シート板を、縦の長さ1.2cm、横の長さが6cmの長方形に切り出し、この板の縦方向の中心部を横切るように横の端面からのこぎりで切り込みを入れ、長さが5cm、溝幅が0.8mmのスリットを形成し、作成した。
作成した紐保持体のスリットに、先に作成した一組の積層状袋状トレイの紐状体の両端結び目の袋側近傍の紐を挟み込み、本発明の袋状トイレ構成体を作成した。挟み込む順序は、積層された袋状トイレの最も外側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も奥側に、最も内側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も手前側になり、かつ紐状体の両端が結ばれた結び目がスリットの一方の面に並ぶように挟み込んだ。
作成した本発明の袋状トイレ構成体を、紐保持体が便器の前方外側に出ており、袋そのものは便器の内部に袋の開口部を広げた状態で収め、袋の外側周辺部で便器の縁を覆うような状態で設置した。また、比較として同時に作成した紐保持体を設置していない1組の積層状袋状トレイを、紐状体の両端結び目が便器の外側前方に出ており、袋そのものは便器の内部に袋の開口部を広げた状態で収め、袋の外側周辺部が便器の縁を覆うような状態で設置し、使用し易さを比べた。
その結果、紐保持体を有する本発明の袋状トイレ構成体は、用便後、紐保持体を手に持ってスリットに挟み込まれた最も手前側の紐を引き抜くことにより、それに繋がる使用後の除かれるべき袋状トイレを間違いなく選択して選ぶことができ、誤って他の袋状トイレの紐状体を引き出す危険のないことが確認された。
一方、紐保持体を設置していない積層状袋状トレイでは、5本の紐状体の中から便器等に設置されて使用された状態の袋状トイレの紐状体を探すのに時間を要し、選択間違いの生じやすいことが確認された。
以上の実施例から、本発明の袋状トイレ構成体は、従来の袋状トイレの課題、つまり、従来の袋状トイレは、使用の都度便器等に1枚ずつ設置して使用するため、特に介護者や手足の不自由な高齢者にとっては袋状トイレを設置する時間や労力の負荷が大きく、また、使用の都度便器等に触れるため衛生面からも問題があるという課題を解決し、袋状トイレを設置するための時間や労力の負荷が大きく軽減できると共に、便器等に手を触れる回数も減り衛生面も改善できることが確認できた。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性構造体を内蔵しかつ袋の開口円周部に沿って巡らされその両端部が結ばれた紐状体を有する袋状トイレの複数枚が、互いの袋の紐状体の結び目の位置が略同位置でかつ袋の外面と内面が大略接して一致するよう1枚ずつ重ね合わせて入れ子状態に積層されており、それぞれの袋状トイレの紐状体の結び目近傍の紐部が紐保持体のスリット部に挟まれて拘束されており、その拘束の順序が、入れ子状態に積層された袋状トイレの最も外側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も奥側に、最も内側の袋状トイレの紐状体がスリットの最も手前側になるよう順次挟まれていることを特徴とする袋状トイレ構成体。

【公開番号】特開2012−245336(P2012−245336A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130674(P2011−130674)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(511142785)
【Fターム(参考)】