説明

装飾構造体

【課題】発電光を受光して自身で発電した電力に基づいて装飾体を光らせる自己発電および自己発光型の装飾構造体を提供することを課題とする。
【解決手段】装飾構造体は、三次元形状をもつ立体意匠的に形成された装飾体1を形成する基部2と、装飾体1に配置された太陽電池3と、装飾体1に配置され太陽電池3に電気的に接続され且つ太陽電池3で発電した電力を蓄電する蓄電池4と、装飾体1に配置され蓄電池4に電気的に接続され蓄電池4からの出力により発光する光源5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装飾性を有する自己発電および自己発光型の装飾構造体に関する。本発明は自動車等の車両に搭載されるエンブレム、表示体、ナンバープレート等に適用できる。自己発電および自己発光型とは、自身が搭載する太陽電池で発電した電力に基づいて光源を発光させることをいう。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車等に搭載される表示要素(エンブレム)を発光させる技術が提案されている。特許文献2には、表土部を発光させるための電力を車両の電源から取り出す車両用表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-12558号公報
【特許文献2】特開平08-002342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る技術によれば、発光するエンブレムを車両等に取り付けるあたり、車両用の車載電源からエンブレムまで配線させる配線作業が必要になる。更に、車載電源からの配線できない場所には、エンブレムを取り付けることができず、エンブレムを設置する場所に制限がある。
【0005】
特許文献2に係る技術においても、同様に、車両用の車載電源からエンブレムまで配線させる配線作業が必要とされる。更に、車載電源からの配線できない場所には、エンブレムを取り付けることができず、エンブレムを設置する場所に制限がある。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、車載電源等の電源からの給電用の配線を必要とせず、発電光を受光して自身で発電した電力に基づいて装飾体を光らせる自己発電および自己発光型の装飾構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様相1に係る装飾構造体は、三次元形状をもつ装飾体を形成する基部と、装飾体に配置された太陽電池と、装飾体に配置され太陽電池に電気的に接続され且つ太陽電池で発電した電力を蓄電する蓄電池と、装飾体に配置され蓄電池に電気的に接続され蓄電池からの出力により発光する光源とを具備することを特徴とする自己発電および自己発光型の装飾構造体である。
【0008】
この場合、昼間または明所において太陽光等の発電光を受光して自身で発電した電力を蓄電池に蓄電し、蓄電した電力で夜間または暗所において装飾体を光らせる自己発電および自己発光型の装飾構造体を提供できる。装飾構造体は、文字(例えば数文字、絵文字を含む)、図形、模様等を例示できる。さらに、自動車等の車両に搭載されるエンブレム、表示体、ナンバープレート等が例示される。具体的には、シンボル、マーク、紋章、記章、家紋が例示され、さらに、会社の名称、車両の名称、型式、数文字が例示される。字体としては、アルファベット、ひらがな、カタカナ、アラビア文字、ロシア文字等が例示される。日本語、英語、ドイツ語、アラビア語等の言語は問わない。
【0009】
様相2に係る装飾構造体によれば、様相1において、太陽電池、蓄電池、光源は、装飾体の内部に埋設されて隠蔽されている。太陽電池、蓄電池、光源が装飾体の内部に埋設されてシールされる。装飾構造体が屋外において使用される場合に適する。
【0010】
様相3に係る装飾構造体によれば、様相1において、光源が発光した光を拡散させる光拡散部材が設けられており、光拡散部材は、装飾体の背面側において装飾体の外縁輪郭よりも外方に露出する露出部を有しており、露出部は夜間または暗所において光源の発光により光ることを特徴とする。光源が発光した光は、光拡散部材の内部を透過する。光拡散部材の露出部は導光により光る。従って、露出部は、装飾体の外縁輪郭よりも外方に露出しつつ光る。この場合、装飾体の外縁輪郭が発光されるように視認されるため、夜間または暗所において装飾体の視認性が向上する。
【0011】
様相4に係る装飾構造体によれば、様相1において、装飾体は、発電光を入射させる入射開口を形成しており、太陽電池の発電光入射面は、装飾体の入射開口に対面するように装飾体の背面側に配置されている。装飾体の入射開口から太陽光等の発電光が太陽電池に入射されるため、太陽電池の発電面積および発電量は確保される。
【0012】
様相5に係る装飾構造体によれば、様相1において、太陽電池の発電光入射面は、発電光を入射させるように装飾体の前面側に配置されている。太陽光等の発電光が太陽電池に入射されるため、太陽電池の発電量は確保される。
【0013】
様相6に係る装飾構造体によれば、様相1において、蓄電池および光源を制御する制御部が設けられており、制御部は、光センサを用いることなく、太陽電池が発電する電力が所定値以下のとき環境が夜間または暗所であると推定し、蓄電池に蓄電されている電力に基づいて光源を発光させることを特徴とする。この場合、太陽電池の発電量が所定値以下のとき、制御部は、光センサを用いることなく、環境が夜間または暗所と推定し、蓄電池に蓄電されている電力に基づいて光源を発光させ、装飾体を光らせる。太陽電池が発電する電力の大小が光センサを代用するため、光センサが不要となる。このため、装飾体の形状や構造等の設計自由度が光センサによって制限されることが抑えられる。
【0014】
様相7に係る装飾構造体によれば、様相1において、装飾体に設けられ発電光を検知する光センサと、光センサの検知信号が入力されると共に検知信号に応じて蓄電池および光源を制御する制御部とが設けられており、制御部は、光センサの検知信号に基づいて環境が明るいと判定するとき、太陽電池で発電した電力を蓄電池に蓄電させ、且つ光センサの検知信号に基づいて環境が暗いと判定されるとき、蓄電池に蓄電されている電力に基づいて光源を発光させることを特徴とする。この場合、太陽光等の発電光が明るくて、光センサの検知信号に基づいて環境が明るいと制御部が判定するときには、制御部は、太陽電池で発電した電力を蓄電池に蓄電させる。これに対して、光センサの検知信号に基づいて環境が暗いと制御部が判定するときには、制御部は、蓄電池に蓄電されている電力に基づいて光源を発光させる。これにより夜間または暗所における装飾体の意匠性が確保される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、この場合、太陽光等の発電光を受光して自身で発電した電力を蓄電池に蓄電させ、その電力に基づいて光源を光らせて装飾体の意匠性を高める自己発電および自己発光型の装飾構造体を提供することができる。装飾構造体は自己発電型および自己発光型であり、外部電源に接続する配線が不要である。このため本発明に係る装飾構造体を車両や建築物等の任意の場所に接着剤、接着テープ、取付具等を介して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係り、(A)は装飾構造体の平面図であり、(B)は装飾構造体のB−B線に沿った断面図であり、(C)は装飾構造体のC−C線に沿った断面図である。
【図2】実施形態1に係り、制御部の配線関係を示すブロック図である。
【図3】実施形態3に係り、制御部が実行するフローチャートである。
【図4】実施形態4に係り、(A)は装飾構造体の平面図であり、(B)は装飾構造体のB−B線に沿った断面図である。
【図5】実施形態4に係り、制御部の配線関係を示すブロック図である。
【図6】実施形態5に係り、制御部が実行するフローチャートである。
【図7】実施形態6に係り、装飾構造体の断面図である。
【図8】実施形態6に係り、装飾構造体に埋設される太陽電池の概念を示す断面図である。
【図9】実施形態7に係り、(A)は装飾構造体の平面図であり、(B)は異なる装飾構造体の平面図である。
【図10】実施形態8に係り、装飾構造体の断面図である。
【図11】実施形態9に係り、(A)は装飾構造体の平面図であり、(B)は装飾構造体のB−B線に沿った断面図である。
【図12】実施形態10に係り、(A)は装飾構造体の平面図であり、(B)は装飾構造体のB−B線に沿った断面図である。
【図13】実施形態11に係り、(A)は装飾構造体の平面図であり、(B)は装飾構造体のB−B線に沿った断面図である。
【図14】実施形態12に係り、装飾構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
図1は実施形態1の概念を示す。装飾構造体は自動車等の車両に搭載されるエンブレムが例示される。エンブレムは、三次元的な立体意匠として形成された装飾体1を形成する基部2と、装飾体1に配置された太陽電池3と、基部2に配置され太陽電池3に電気的に接続され且つ太陽電池3で発電した電力を蓄電する蓄電池4と、基部2に配置され蓄電池4に電気的に接続され蓄電池4からの出力により発光する光源5とを有する。蓄電池4はキャパシタ等の物理電池、または、酸化還元反応等の化学反応を伴う化学電池で形成できる。装飾体1は所定の三次元形状の文字、図形、模様、数字等をもつ。装飾体1は、立体リングと、立体リング内に一体的に連接された『A』の字体とを有する。形状はこれに限定されない。三次元形状とは、高さ、巾、長さをもつ立体的という意味である。装飾体1は、透光性を有しない硬質樹脂等の樹脂または金属で形成されていることが好ましい。内蔵している蓄電池4,光源5,制御部6を外側から視認させないためである。但し、場合によっては、装飾体1は、透光性を有する樹脂またはガラスで形成されていても良い。装飾体1は、太陽光等の発電光側の前面10と、外気に触れる平面視でリング形状の外側端面11と、外気に触れる内側端面12と、太陽光等の発電光と反対側の背面14とをもつ。
【0018】
図1(B)に示すように、装飾体1は部位1a,1b,1c,1dをもつ。装飾体1は前面10を閉鎖させるものの、背面側に開口する中空状の凹部15を有する。図1(B)によれば、凹部15は凹部15a,15b,15c,15dをもち、さらに図1(C)によれば、凹部15e,凹部15f,凹部15hをもつ。装飾体1は、太陽光等の発電光を前面10側から太陽電池3に入射させるための入射開口16を形成している。図1(A)に示すように、入射開口16は、第1入射開口16aと、第2入射開口16bと、第3入射開口16cと、第4入射開口16dとをもつ。入射開口16は、装飾体1の内側端面12で区画されている。第1入射開口16aは装飾体1の内側端面12a1,12a2で区画されている。第2入射開口16bは装飾体1の内側端面12b1,12b2,12b3で区画されている。第3入射開口16cは装飾体1の内側端面12c1,12c2で区画されている。第4入射開口16dは装飾体1の内側端面12d1,12d2,12d3,12d4で区画されている。
【0019】
装飾体1のうち後方(矢印R方向)に突出する背面14には、シール性を高めるように溶着またはリングシールを介して背面ケース7が液密的に固着される。太陽電池3、蓄電池4、光源5は、装飾体1の凹部15の内部に埋設されて隠蔽されており、太陽電池3、蓄電池4、光源5に対する液密性が確保されている。具体的には図1(B)に示すように、凹部15aに光源5aが収容される。凹部15bに制御部6が収容される。凹部15cに蓄電池4が収容される。凹部15dには光源5dが収容される。図1(C)に示すように、凹部15eに光源5eが収容される。凹部15fに背面ケース7が収容される。凹部15hに光源5hが収容される。
【0020】
光源5(5a,5d,5e,5h)は、小型性、低消費電力性、低発熱性を考慮すると、LEDが好ましいが、他の光源としても良い。光源5の色としては、赤色、青色、緑色、白色、黄色等を適宜選択できる。光源5の個数は、エンブレムや光拡散部材9の大きさ等により設定できるものの、特に限定されるものではなく、エンブレムのサイズ、エンブレムの形状の複雑さ等に影響されるものの、複数または単数にできる。
【0021】
図1(A)(B)(C)に示すように、光源5が発光した光を受光して拡散させる板状をなす光拡散部材9が装飾体1の背面14側(装飾体1に埋設されている光源5,制御部6,蓄電池4の背面側)に設けられている。太陽電池3と装飾体1との間には、光拡散部材9が配置されている。光拡散部材9は板状をなしており、光源5からの光(人工光)を透過させて拡散させるためのものであり、導光性および光拡散性を有する樹脂やガラス等の導光材料で形成されている。光源5が点灯すると、光が矢印E2方向(図1(B)参照)に光拡散部材9に向けて発光されるため、光拡散部材9において光が透過拡散され、光拡散部材9の全体が光る。光拡散部材9は、平面視において、装飾体1を形成する外縁輪郭よりも外方に露出する露出部90をもつ。光拡散部材9の全体が光るため、露出部90は、夜間や暗所等において輝いて視認される部位であり、装飾体1の外縁輪郭よりもαぶん外方に露出する。このため夜間や暗所等において光拡散部材9に光源5の光が拡散されて露出部90が光れば、あたかも装飾体1の外縁輪郭が輝くように視認される。夜間や暗所等における意匠性が高まる。図1(B)(C)に示すように、光拡散部材9は太陽電池3よりも太陽光等の発電光入射側に配置されているものの、光拡散部材9は、太陽光等の発電光を入射させるための対面開口91を有する。このため矢印W方向に入射する太陽光等の発電光を対面開口91を介して太陽電池3の発電光入射面30に効率よく入射させることができる。すなわち、図1(B)(C)に示すように、太陽電池3の発電光入射面30が装飾体1の入射開口16に対面する。対面開口91は、装飾体1の入射開口16に対面すると共にこれに近似する形状をもつ。太陽電池3は薄い板状をなしており、光拡散部材9よりも後方となるように装飾体1の背面14側に配置されている。太陽電池3はシリコン太陽電池等の公知の太陽電池を採用できるが、色素増感型太陽電池を例示できる。なお、図1(B)(C)から理解できるように、太陽光等の発電光側から、装飾体1、光拡散部材9、太陽電池3、背面ケース7の順に配置されている。
【0022】
図1(B)に示すように、蓄電池4および光源5を制御するための制御部6が、装飾体1の凹部15bの内部に液密的に埋設されている。この場合、光拡散部材9は装飾体1の背面側に溶着、融着または接着剤等を介して液密的に固着することが好ましい。太陽光等の発電光が明るくて太陽電池3の発電量が所定値以上のときには、環境は昼間または明所であると考えられ、装飾体1の外縁輪郭を光らせる必要がないため、制御部6は、太陽電池3で発電した電力を蓄電池4に蓄電させる指令を蓄電池4に出力し、且つ、光源5の発光を停止させる指令を光源5に出力し、蓄電池4の電力の消耗を抑える。図2は、太陽電池3、蓄電池4、光源5、制御部6、光センサ8が接続されているブロック図を示す。光センサ8の検知信号は周囲の明るさを制御部6に報知する。周囲の明るさが暗く、蓄電池4の電圧が蓄電所定値以上の場合(=蓄電池4に規定以上の電力が蓄積されている場合)には、制御部6は、光源5を点灯する。これに対して、環境が明るく、かつ、太陽電池3が蓄電池4を充電するのに必要とされる電圧で発電している場合には、制御部6は太陽電池3と蓄電池4とを電気的に接続し、太陽電池3で発電した電力を蓄電池4に速やかに充電させる。周囲の明るさが第2所定値よりも明るい場合であっても、太陽電池3の電圧が蓄電池4を充電するのに必要とされる電圧よりも低い電圧で発電している場合は、制御部6は太陽電池3と蓄電池4とを接続しない。このとき、環境が明るいため、光源5は点灯せず、消灯している。ここで、蓄電池4の電圧が小さい場合には、蓄電池4の過放電を防止するために、環境が夜間または暗所であっても、制御部6は光源5の点灯を停止し、光源5は消灯状態で待機する。この場合、場合によっては、ユーザーや設計者が決めた時間だけ、制御部6は光源5を点灯させてもよい。この場合、蓄電池4は所定の時間で光源5が点灯できるだけの電力を蓄えることが可能な容量である必要がある。
【0023】
さて本実施形態によれば、図1(C)に示すように、光センサ8は、装飾体1の前面10側の凹部15f内に配置されている。光センサ8が太陽光等の発電光(矢印W方向)を検知すると、光センサ8の検知信号が配線を通じて制御部6に入力されると共に、光センサ8の検知信号に応じて制御部6は配線を通じて蓄電池4および光源5を制御する。すなわち、環境が明るいときには、エンブレムを光らせる必要性が乏しいため、制御部6は、光源5の発光を停止させる指令を光源5に出力する。これにより、蓄電池4の電力の消耗を抑制する。環境が明るいとき(太陽電池3で発電できるものの、装飾体1を光らせる必要性が乏しい)には、太陽光等の発電光により太陽電池3が発電する。太陽電池3が発電した電力は、光源5を点灯させず、蓄電池4に蓄電される。これに対して、環境が暗いときにはエンブレムを光らせることが好ましい。そこで、制御部6は、蓄電池4に蓄電されている電力に基づいて、光源5を発光させる指令を光源5に出力する。この場合、夜間や暗所等(太陽電池3による発電が期待できない)において、光源5が発光し、その光が光拡散部材9の内部を透過拡散し、光拡散部材9の全体が光り、光拡散部材9の露出部90が光る。このため、夜間や暗所等において装飾体1の外縁輪郭が輝くように視認者によって視認され、装飾体1の意匠性が高まる。
【0024】
本実施形態によれば、図1(C)に示すように、光センサ8は装飾体1の前面10に形成されたセンサ開口17に対面するように、凹部15fに収容されており、装飾体1の前面10よりも装飾体1の背面14側に退避している。これにより光センサ8が装飾体1の前面10よりも突出せず、装飾体1の前面10よりも背面14側に退避されており、エンブレムの使用時における光センサ8の損傷が抑制される。このように光センサ8が装飾体1の前面10よりも内方に退避しているものの、センサ開口17に接近しつつ対面しているため、外部の太陽光等の発電光を効果的に光センサ8のセンサ面に入射できる利点が得られる。場合によっては、太陽光等の発電光を散乱させる金属粉末粒子等を含む光散乱部18を、センサ開口17付近に配置することも好ましい。この場合、エンブレムが車両等に搭載されているときには、車両の進む方向が変更されると、エンブレムの装飾体1の前面10の向きが変更される頻度が高い。このようなときであっても、装飾体1の前面10側に埋設されている光センサ8は、太陽光等の発電光を効果的に受光できることを期待できる。よって、環境が明るいにも拘わらず、現在の環境が夜間または暗所であると、光センサ8により検知されることが抑制され、光源5が点灯してしまうことが抑制される。但し、光センサ8を前面10よりも前側に突出させていても良い。
【0025】
太陽電池3はシリコン太陽電池等の公知の太陽電池を採用できるが、色素増感型太陽電池とすることができる。この場合、太陽電池3の薄肉化に貢献でき、ひいてはエンブレムの厚みが増加することが抑制される。光拡散部材9も板状をなすため、エンブレムの厚みが増加することが抑制される。色素増感型太陽電池によれば、酸化チタンの膜に吸着させる色素を変えることで、異なる色を示す太陽電池3を得ることが出来る。例えば、シス-ビス(イソチオシアナ ト)ビス(2,2’-ビピリジル-4,4 ’-ジカルボン酸) ルテニウム(II)二テトラブチルア ンモニウム錯体(通称N719))を用いることにより、赤色をもつ太陽電池3が可能になる。また2,2 ’:6’,2”-テルピリジル-4, 4 ’,4”-トリカルボン酸)ルテニウム(II)三テトラブチルアンモニウム錯体(通称ブラックダイ))を用いることで、黒っぽい濃緑色をもつ太陽電池3が可能になる。また、D131有機色素(三菱製紙株式会社)を用いることにより、黄色をもつ太陽電池3も可能になる。この場合、意匠性を高め得る。
【0026】
本実施形態によれば、装飾体1を三次元的な立体意匠形状にするために装飾体1の内部に形成される凹部15(デッドスペース)に光源5、制御部6および蓄電池4が埋設されて隠蔽されているため、エンブレムの小型化に一層貢献できる。万一、作動時において、制御部6、蓄電池4および光源5が熱を帯びるときであっても、制御部6、蓄電池4および光源5は装飾体1の前面10側に埋設されているため、外気への放熱性を期待でき、制御部6、蓄電池4および光源5の過熱が抑えられる。殊に車両が走行するときには、エンブレムと空気との接触頻度が増加し、結果として、制御部6、蓄電池4および光源5は装飾体1の前面10側に埋設されているため、外気への放熱性を期待できる。更に、装飾体1の入射開口16は、装飾体1の意匠の輪郭を形成するために必要である。このような入射開口16は、太陽電池3の発電光入射面30に太陽光等の発電光を入射させるための空間を兼用しており、外気に露出されており、外気に接触する。このような入射開口16をもつ装飾体1の内部の凹部15に、制御部6、蓄電池4および光源5が埋設されている。このため装飾体1の入射開口16を介して、制御部6、蓄電池4および光源5の放熱を一層促進できる。
【0027】
以上説明したように本実施形態によれば、太陽光等の発電光を受光して太陽電池3自身で発電した電力を、装飾体1に埋設した蓄電池4に蓄電し、蓄電池4に蓄電した電力で、装飾体1の外縁輪郭を積極的に光らせるという自己発電および自己発光型のエンブレム(装飾構造体)を提供することができる。従って、光源5を車両等のバッテリーに電気的に接続させる長い配線を不要にできる利点が得られる。従って、エンブレムを設置する場所の選択の自由度を高めることができる。一般的には、太陽光等の発電光を太陽電池3が受光して発電しているときには、環境は明るいため、光源5を光らせる必要性は乏しい。太陽光等の発電光を太陽電池3が受光せず発電していないとき、あるいは、発電電圧が低いときには、環境は暗いため、光源5を光らせる必要性があると考えられる。本実施形態によれば、装飾体1の入射開口16は、装飾体1の内側端面12で区画されている。図1(B)(C)に示すように、内側端面12は、装飾体1の背面14に対してほぼ垂直方向に沿っている。このため入射開口16の背面側の開口幅DA(図1(B)(C)参照)を、できるだけ大きめに確保できる。ひいては太陽電池3が入射開口16を介して太陽光等の発電光を受光できる受光面積および受光量を確保するのに貢献できる。装飾体1のうち入射開口16を区画する内側端面12としては、光反射性を高めるように光反射面で形成されていることが好ましい。この場合、入射光LW(図1(C)参照)として示すように、装飾体1の入射開口16を形成する内側端面12で反射させた太陽光等の発電光を太陽電池3に直ちに入射させることができる。よって、太陽電池3の受光量が増加される効果を期待できる。
【0028】
エンブレムのサイズが大きい場合には、装飾体1が大きくなり、大きな蓄電池4を装飾体1の凹部15に搭載できるので、このような使い方も可能である。光源5の点灯に使う電力は太陽電池3により発電され、蓄電池4に蓄えられるので、自動車等の車両の車載電源から電力を取る必要がない。本実施形態のような光るエンブレムの設置にあたり、電力用の配線を新設する必要がない。エンブレムを撤去する場合においても、同様にエンブレムのみの撤去ですみ、エンブレムと車載電源とを繋ぐ配線を撤去せずともよく、工事が楽である。
【0029】
(実施形態2)
本実施形態は前記した前記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1および図2を準用する。制御部6は、光センサ8が検知した発電量が所定値以上のとき、環境が昼間または明所であるため、光源5の発光を停止または抑制させる指令を光源5に出力する。光センサ8が検知した発電量が所定値未満のとき、環境が夜間または暗所であるため、蓄電池4に蓄電されている電力に基づいて光源5を発光させる指令を光源5に出力する。この場合、装飾体1の外縁に位置する露出部90が明るく輝くため、意匠性を高めることができる。
【0030】
(実施形態3)
図3は制御部6が実行するフローチャートを示す。本実施形態は前記した前記した実施形態と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図3に示すように、まず、光センサ8の出力値である日射強度Sが敷居値S1よりも大きいか否かを、制御部6は判定する(ステップS102)。日射強度Sが敷居値S1よりも大きい場合には(ステップS102のYes)、環境が明るい。そこで、太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v4よりも大きいか否かを制御部6は判定する(ステップS104)。太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v4以上のときには(ステップS104のYes)、太陽電池3は充分に発電しているため、制御部6は、太陽電池3が発電した電力を蓄電池4に所定時間充電する(ステップS106)。次に、制御部6は、蓄電池4の蓄電電圧Vbatが敷居値電圧v5よりも大きいか否か判定する(ステップS108)。蓄電池4の蓄電電圧Vbatが敷居値電圧v5よりも大きくないときには(ステップS108のNo)、蓄電池4は充電可能で有るため、制御部6は、太陽電池3が発電した電力を蓄電池4に継続的に充電する(ステップS106)。敷居値電圧v5はそれ以上充電すると、蓄電池4の寿命が損なわれる電圧を意味する。蓄電池4の蓄電電圧Vbatが敷居値電圧v5よりも大きいときには(ステップS108のYes)、蓄電池4は充分に充電されているため、制御部6は充電を停止させ(ステップS110)、所定時間待機する(ステップS112)。
【0031】
日射強度Sが敷居値S1よりも大きくない場合には(ステップS102のNo)、環境は夜間または暗所であると推定される。そこで、制御部6は、蓄電池4の電圧Vbatが敷居値電圧v2よりも大きいか否かを判定する(ステップS114)。蓄電池4の電圧Vbatが敷居値電圧v2よりも大きい場合には(ステップS114のYes)、蓄電池4は放電可能であり、制御部6は光源5を点灯させる(ステップS116)。蓄電池4の電圧Vbatが敷居値電圧v2よりも大きくない場合には(ステップS114のNo)、光源5は消灯状態とされる(ステップS118)。この場合、蓄電池4の電力の過剰消費が抑制される。
【0032】
(実施形態4)
図4および図5は実施形態4を示す。本実施形態は前記した前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。但し、太陽光等の発電光を検知する光センサは装飾体1の前面10に搭載されておらず、装飾体1の前面10にセンサ開口を形成する必要が無く、装飾体1の意匠性の選択の自由度を高めることができる。このように装飾体1は光センサレス方式である。図5に示すように、蓄電池4および光源5を制御する制御部6が設けられている。太陽光等の発電光が明るく、太陽電池3の発電量が大きいとき(発電電圧が閾値値Aよりも高いとき)には、装飾体1を光らせる必要性が乏しいため、発電電圧に基づいて、制御部6は、光源5の発光を停止させる指令を光源5に出力し、蓄電池4の蓄電量の低下を抑制する。これに対して、夜間または暗所等のように太陽光等の発電光が暗く、太陽電池3の発電量が少ないときには(発電電圧が閾値値Bよりも低いとき)、制御部6は、蓄電池4に蓄電されている電力に基づいて光源5を発光させる指令を光源5に出力し、夜間または暗所等において装飾体1の輪郭を光らせる。この場合、意匠性を高めることができる。
【0033】
(実施形態5)
図6は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態4と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。光センサは装飾体1の前面10に搭載されておらず、装飾体1にセンサ開口を形成する必要が無く、装飾体1の意匠性の選択の自由度を高めることができる。図6は制御部6が実行するフローチャートを示す。図6に示すように、まず、太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v4よりも大きいか否かを判定する(ステップS202)。太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v4以上のときには(ステップS202のYes)、環境が明るいと推定され、光源5を点灯させることなく、太陽電池3が発電した電力を蓄電池4に所定時間充電する(ステップS204)。蓄電池4は敷居値電圧v5以上に蓄電されると、蓄電池4の寿命に影響を与える。そこで、太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v5よりも大きいか否かを判定する(ステップS206)。太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v5よりも大きくないときには(ステップS206のNo)、制御部6は、太陽電池3が発電した電力を蓄電池4に継続的に充電する(ステップS204)。太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v5以上のときには(ステップS206のYes)、制御部6は蓄電池4への充電中止(ステップS208)し、所定時間待機する(ステップS210)。
【0034】
太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v4よりも大きくないときには(ステップS202のNo)、環境は夜間または暗所であると推定される。次に、制御部6は、太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v3よりも小さいか判定する(ステップS212)。太陽電池3の発電電圧Vpvが敷居値電圧v3よりも小さいとき(ステップS212のYes)には、環境は夜間または暗所と推定される。そして、制御部6は、蓄電池4の電圧Vbatが敷居値電圧v2よりも大きいか否かを判定する(ステップS214)。蓄電池4の電圧Vbatが敷居値電圧v2よりも大きい場合には(ステップS214のYes)、蓄電池4の電圧が光源5の点灯に対して良好であると考えられるため、制御部6は光源5を点灯させる(ステップS216)。蓄電池4の電圧Vbatが敷居値電圧v2よりも大きくない場合(ステップS214のNo)には、蓄電池4の蓄電電力が少ないため、光源5は消灯状態とされる(ステップS218)。この場合、蓄電池4の過剰電力消費が抑制される。
【0035】
(実施形態6)
図7および図8は実施形態6を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。太陽電池3は薄型化を図り得る色素増感型太陽電池とされている。図7に示すように、太陽電池3の背面と背面ケース7との間には、反射面78cをもつ反射板78が設けられている。太陽電池3自体は、厚み方向に薄肉化されていると共に、厚み方向に透光性を有する。図7に示すように、太陽電池3の発電光入射面30が装飾体1の入射開口16に対面するように、太陽電池3は光拡散部材9の背面と反射板78とに挟まれるように配置されている。従って、図7に示すように、太陽光等の発電光の入射側(矢印W方向)から、装飾体1、光拡散部材9、太陽電池3、反射板78、背面ケース7の順に配置されている。太陽光等の発電光が装飾体1の入射開口16を介して太陽電池3に入射される。太陽電池3は厚み方向に透光性を有するため、太陽電池3を厚み方向に透過した光は反射板78により反射される。この場合、反射板78により反射された光は、太陽電池3に再び受光されるため、発電効率を高めることができる。なお、色素増感型太陽電池3は色素に基づく色(赤色、黄色、緑色等)を有するため、装飾体1の背景色として利用できる。
【0036】
図8は本実施形態の太陽電池3の概念を示す断面図である。太陽電池3は色素増感型太陽電池であり、光極31、対極32、電解質部33およびシール部材34等から構成されている。図8に示すように、光極31は、透光性基板310と透明導電膜311と光電変換活物質層312とから構成され、厚み方向に透光性を有する。対極32は、透光性基板320と透明導電膜321から構成され、厚み方向に透光性を有する。透光性基板310や透光性基板320は、透光ガラスや透光樹脂等透光性に優れている材料で形成できる。透明導電膜311や透明導電膜321は、酸化インジウムと酸化スズの化合物やフッ素ドープの酸化スズ等の透光性と導電性に優れた蒸着膜で形成できる。透明導電膜321上には白金触媒粒子324が担持されている。光電変換活物質層312は、色素を吸着した酸化チタン(一般的にはアナターゼ)粒子層で形成できる。電解質部33は電子を放出して酸化され、且つ、対極32から電子を獲得し還元される、例えばI−/I3−等のような酸化還元対を含み、それらが移動しやすい電解液が使用されることが好ましい。電解質部33は有機溶剤などの電解液が好ましいが、イオン性液体や、ホール移動材料を用いた固体電解質でもよい。また、ゲルなどに電解液やイオン性液体を含浸させたり、電解液やイオン性液体にナノ粒子を混合させたりして、流動性を抑制した擬似電解質でもよい。電解質部33は溶液であるので、光極31および対極32の周囲はシール部材34によってシールされ、電解質部33の液漏れが防止されている。電解質部33は透光性を有している。光極31、対極32、電解質部33はいずれも透光性を有しているので、太陽電池3は透光性を有する。
【0037】
図7に示すように、厚み方向に透光性をもつ太陽電池3の背面に反射板78が設置されているため、大理石調の独特な外観が実現され、エンブレムは独自の意匠性を有することが出来る。また、太陽電池3の背面側に光反射板78が設置されるため、反射板78の反射面78cで反射された光がもう一度太陽電池3を通過する。この場合、反射板78が設けられていない場合に比較し、太陽電池3の発電電力が増える。なお、反射板78の代りに、ユーザーが好む色に着色した着色板79を用いてもよい。反射板78や着色板79は背面ケース7に対して別体とされており、任意に交換することが可能になる。但し、反射板78や着色板79は背面ケース7に一体成形されていてもよい。
【0038】
(実施形態7)
図9(A)(B)は実施形態7を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。太陽電池3は色素増感型太陽電池とされている。本実施形態のように、太陽電池3として色素増感型太陽電池を採用すれば、色素増感型太陽電池は、光極および対極の作成をスクリーン印刷、ステンシル印刷、パッド印刷などにより行うことができ、任意の形状の光極を簡単に安価に実現できる。従って、色素増感型太陽電池の形状自由度が向上する。このため図9(A)(B)に示すような様々な形状のンブレムが容易に可能になる。
【0039】
(実施形態8)
図10は実施形態8を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。太陽電池3は色素増感型太陽電池とされており、厚み方向に光透過性をもつ。そこで、図10に示すように、太陽光等の発電光の入射側から、装飾体1、太陽電池3、光拡散部材9、背面ケース7の順に配置されている。よって太陽電池3は光拡散部材9よりも前方(前面10側)に位置している。光源5が矢印E2方向に発光した光は、太陽電池3を厚み方向に透過し、光拡散部材9に至る。この場合、実施形態1のように光拡散部材9で阻害されていた光が太陽電池3を厚み方向に透過して光拡散部材9で反射するため、より多くの光が太陽電池3に届くことができる。このため太陽電池3の発電量を増加させることができる。なお、色素増感型太陽電池では電極全体が厚み方向に光透過性を持つので、光拡散部材9への光源5の光の到達を阻害しない。
【0040】
(実施形態9)
図11(A)(B)は実施形態9を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。装飾体1は、光を透過できる材料(例えば透光ガラス、透光樹脂)で形成されている。図11(B)に示すように、装飾体1は、凹部15a,15b,15c,15dを有する。太陽電池3は、装飾体1の凹部15a,15b,15c,15dに埋設され、且つ、太陽光等の発電光を効率良く入射させ得るように装飾体1の前面10側に配置されている。従って、太陽電池3の発電光入射面30は、太陽光等の発電光を入射させるように装飾体1の前面10側に配置されている。発電面積をできるだけ確保するため、太陽電池3は、装飾体1の平面形状に整合する平面形状されていることが好ましい。従って、太陽電池3の輪郭形状は、装飾体1の輪郭形状とほぼ同じまたは近似した形状されていることが好ましい。この場合、太陽電池3への太陽光等の発電光の入射効率を高めることができる。本実施形態では、図11(B)に示すように、装飾体1の凹部15a,15b,15c,15dにおいて、太陽電池3の背面側に位置するように、制御部6、光源5、蓄電池4が設けられている。光拡散部材9は、制御部6、光源5、蓄電池4の背面側に配置されている。本実施形態においても、夜間または暗所において蓄電池4の電力により光源5が矢印E2方向に光拡散部材9に向けて発光すると、光源5の光は、光源5の背面側の光拡散部材9の全体で拡散され、光拡散部材9の全体が光る。視認者が装飾体1の前面10側から視認すると、光拡散部材9の露出部90が輝いて見える。従って、夜間または暗所において、装飾体1の外縁輪郭が輝いた状態に視認され、意匠性を高めることができる。
【0041】
(実施形態10)
図12は実施形態10を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図12に示すように、太陽電池3は、厚み方向に光を透過できる光透過型の色素増感型太陽電池で形成されており、太陽光等の発電光を入射させて発電効率を高めるように装飾体1の前面10側に配置されている。即ち、太陽電池3の発電光入射面30は、太陽光等の発電光を入射させるように装飾体1の前面10側に配置されている。図12に示すように、装飾体1の内部において、太陽電池3の背面側に、制御部6、光源5、蓄電池4が設けられている。制御部6、光源5、蓄電池4の背面側は背面ケース7で液密的に覆われている。図12から理解できるように、光拡散部材9は装飾部材1の凹部15に配置されており、凹部15内の光源5と太陽電池3とを装飾体1の厚み方向に仕切る。ここで、光源5が矢印E1方向に発光すると、その光は光拡散部材9で散乱され、光拡散部材9の全体が光る。光拡散部材9は太陽電池3の背面側に配置されているため、太陽電池3の全体が光っているように視認される。即ち、光拡散部材9の光は太陽電池3を厚み方向(図12に示す矢印E1方向)に沿って前面10を透過するため、装飾体1の全体(装飾体1に埋設されている太陽電池3の全体)が光っているように視認され、意匠性が確保される。
【0042】
(実施形態11)
図13は実施形態11を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。装飾体1は、太陽光等の発電光を入射させ得るように透光性を持つ材料(例えば透光ガラスまたは透光樹脂)で形成されている。第1太陽電池3fは、装飾体1の輪郭形状とほぼ同一の輪郭形状をなしており、且つ、太陽光等の発電光を効率よく入射させて発電効率を高めるように装飾体1の前面10側に配置されている。従って、第1太陽電池3fの発電光入射面30は、太陽光等の発電光を入射させるように装飾体1の前面10側に配置されている。図13に示すように、装飾体1の内部において、第1太陽電池3fの背面側に、制御部6、光源5、蓄電池4が設けられている。制御部6、光源5、蓄電池4の背面側は、光拡散部材9が配置されている。光源5は矢印E1,E2方向に発光できる両面発光タイプである。光拡散部材9の対面開口91は、装飾体1の入射開口16に対面しつつ、装飾体1の入射開口16に対面する形状をもつ。光拡散部材9の背面には第2太陽電池3sが設けられている。第2太陽電池3sは、薄板形状をなしており、装飾体1の入射開口16におよび光拡散部材9の対面開口91に対面する。装飾体1の背面14は背面ケース7で液密的に覆われている。
【0043】
昼間等においては、エンブレムに矢印W方向に入射する太陽光等の発電光は、第1太陽電池3fに受光されて発電に寄与する。エンブレムの入射開口16を透過した太陽光等の発電光は、第2太陽電池3sに受光されて発電に寄与する。このようにエンブレムに入射する太陽光等の発電光から太陽電池3f,3sによって電力を効率よく取り出すことができる。これに対して夜間等においては、光源5(互いに反対方向のE1,E2方向に発光する)が点灯すると、その光は矢印E1方向に伝搬して太陽電池3を前面10側に向けて透過し、ひいては装飾体1に埋設されている太陽電池3が光っているように視認される。また、図13に示すように、光源5の光は矢印E2方向にも伝搬し、光源5の背面に配置されている光拡散部材9で散乱され、光拡散部材9の全体が光り、ひいては、露出部90が光っているように視認者に視認される。なお図13に示す実施形態においても、光源5は、光を矢印E2方向に伝搬させるものの、矢印E1方向には伝搬させない構造とすることもできる。
【0044】
(実施形態12)
図14は実施形態12を示す。本実施形態は前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図14から理解できるように、太陽電池3は装飾体1の前面10側に配置されているため、太陽光等の発電光の入射効率を高め得る。昼間等においては、エンブレムに矢印W方向に入射する太陽光等の発電光は、太陽電池3に受光されて発電に寄与する。これに対して夜間等においては、光源5が矢印E2方向に発光すると、光源5の背面側に配置されている光拡散部材9で散乱され、光拡散部材9の全体が光り、ひいては、装飾体1の外縁輪郭を形成する露出部90が光っているように視認者に視認される。
【0045】
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。エンブレム以外の表示体に適用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1は装飾体、10は前面、11は外側端面、12は内側端面、15は凹部、16は入射開口、17はセンサ開口、2は基部、3は太陽電池、30は発電光入射面、4は蓄電池、5は光源、6は制御部、7は背面ケース、8は光センサ、9は光拡散部材、90は露出部、91は対面開口を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元形状をもつ装飾体を形成する基部と、前記基部に配置された太陽電池と、前記基部に配置され太陽電池に電気的に接続され且つ前記太陽電池で発電した電力を蓄電する蓄電池と、前記基部に配置され前記蓄電池に電気的に接続され前記蓄電池からの出力により発光する光源とを具備することを特徴とする自己発電および自己発光型の装飾構造体。
【請求項2】
請求項1において、前記太陽電池、前記蓄電池、前記光源は、前記装飾体の内部に埋設されている装飾構造体。
【請求項3】
請求項1または2において、前記光源が発光した光を拡散させる光拡散部材が設けられており、前記光拡散部材は、前記装飾体の背面側において前記装飾体の外縁輪郭よりも外方に露出する露出部を有しており、前記露出部は夜間または暗所において前記光源の発光により光ることを特徴とする装飾構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記装飾体は、発電光を入射させる入射開口を形成しており、前記太陽電池の発電光入射面は、前記装飾体の前記入射開口に対面しつつ前記装飾体の背面側に配置されていることを特徴とする装飾構造体。
【請求項5】
請求項1〜3のうちの一項において、前記太陽電池の発電光入射面は、前記発電光を入射させるように前記装飾体の前面側に配置されていることを特徴とする装飾構造体。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの一項において、前記蓄電池および前記光源を制御する制御部が設けられており、前記制御部は、光センサを用いることなく、前記太陽電池が発電する電力が所定値以下のとき環境が夜間または暗所であると推定し、前記蓄電池に蓄電されている電力に基づいて前記光源を発光させることを特徴とする装飾構造体。
【請求項7】
請求項1〜5のうちの一項において、前記装飾体に設けられ発電光を検知する光センサと、前記光センサの検知信号が入力されると共に前記検知信号に応じて前記蓄電池および前記光源を制御する制御部とが設けられており、
前記制御部は、前記光センサの検知信号に基づいて環境が明るいと判定されるとき、前記太陽電池で発電した電力を前記蓄電池に蓄電させ、且つ前記光センサの検知信号に基づいて環境が暗いと判定されるとき、前記蓄電池に蓄電されている電力に基づいて前記光源を発光させることを特徴とする装飾構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−13777(P2012−13777A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147779(P2010−147779)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】