説明

試験順序決定方法、試験順序決定装置および試験順序決定プログラム

【課題】 デバイスの試験順序決定に関し、より詳細には半導体や磁気ヘッドなどのデバイスの試験が複数の試験項目からなる場合に、製造ロット毎の試験項目に対する不良率変動に起因する試験のスループット低下を防ぐための試験順序最適化に関する。
【解決手順】 試験項目の不良率と試験時間から試験項目毎の個別指標を求め、指定された相関関係にある試験項目をグループ化し、グループ内の試験項目の個別指標からグループに対するグループ指標を求め、グループのグループ指標とグループ化されなかった試験項目の個別指標とを基に、グループと単独の試験項目とを混在して試験順序を決定するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
デバイスの試験順序決定に関し、より詳細には半導体や磁気ヘッドなどのデバイスの試験が複数の試験項目からなる場合に、製造ロット毎の試験項目に対する不良率変動に起因する試験のスループット低下を防ぐための試験順序最適化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッド素子など大量に製造されるデバイスの試験においては複数の項目について試験を行い、すべての試験項目に合格すると良品として出荷されるのが一般的である。そしてこのような場合に、試験項目毎に試験を行うのではなく、1つのデバイスに対して複数の項目を定められた順序で試験することが行われている。さらにここで、複数の試験項目に対して一通りの試験を課し、各項目ごとの良否判定結果に関係なく総合的に合否を判断する方式と、試験項目で良品と判定された場合に次の試験項目へと進み、全ての試験項目において合格となった場合にのみ合格とする方式とがある。
【0003】
前者の方式は一般にパイロット試験と呼ばれ、デバイスの特性および不良要因を把握するために行われることが多い。図8にパイロット試験の方法を示す。全ての試験項目(ここではA−Jまでの試験項目)について良・不良に係わらず試験を行うため、各試験項目毎の不良率および試験時間を求めることが可能である。一方後者の方式は、量産したデバイスに対する出荷試験で行われる。図9は、その試験方法をフローチャートで示したものある。すなわち、不良と判定された時点で、そのデバイスに対する試験は打ち切りとなり、次のデバイスの試験を開始する。これは試験時間の損失を最小とし、浪費を防ぐ効果がある。しかしながら、どの試験項目で不良となるかは製造ロットによって異なり、事前に知ることは不可能で試験時間の浪費をどのくらい防ぐことが可能か見積もることは困難である。
【0004】
例えば、最初の試験項目において不良と判定された場合には、それ以降の試験時間を節約することができるが、一番最後の試験項目において不良と判定された場合は、それより以前の試験項目に要した時間は無駄になってしまう。もし、最後の試験項目で不良になることが分かっているならば、その試験項目を最初に試験することで、試験時間の浪費を防ぐことができることになる。しかし、どの試験項目で不良になるかはデバイスの製造ロット毎に異なり、予測は困難である。
【0005】
このため、試験順序は担当者の経験に基づいて不良率の高いものから、そして同程度の不良率なら試験時間の少ないものから順番を定めているのが一般的である。このようにして決められた試験順序も、一度その順序を決めてしまうと余程のことがない限り順序の変更を行うことはないのが現状である。これらの理由は、どのような基準で試験順序を決定するかの評価指標がないことや、試験順序の決定に時間を要することなどに起因する、と考えられる。
【0006】
上述した試験の方法以外に、特定の試験項目で不良となった場合にその試験対象に対して再試験を実施する試験方法がある。これは、試験において計測された値の精度が微妙であった場合に再試験とする場合がある。この場合においては、例えば最初の試験では不良と判定して以降の試験の実施はしないが、その試験項目が特定の試験項目であったとき再試験を実施するものである。
【0007】
最適な試験順序を自動決定する方法として、試験項目毎に計測された不良発生頻度と試験に要する時間とを基に、試験順序を決定してその検査フローをプログラミングした制御プログラムを自動生成する提案がなされている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−297065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に述べたように、試験順序は試験担当者の経験に基づいて不良率の高いものから、そして試験時間の少ないものから順番に行うようにしており、しかも固定化されていた。このため、製造ロットによって不良原因が変動する場合には必ずしも合理的な試験順序となっておらず問題であった。さらに、従来の方法において試験項目の間に相関関係がある場合については考慮が払われていなかった。
【0009】
相関関係にあるとは、例えば試験項目Aが不良となった場合に、試験項目Bも不良となるといった関係のことである。相関関係について、図10を用いてより詳細に説明する。図9(a)は試験項目Aと試験項目Bのデータの分布を示しており、試験項目Aのデータ値に対して試験項目Bのデータ値に相関性は見られない。これに対して、図9(b)は試験項目Aと試験項目Cのデータの分布を示しており、この場合は試験項目Aのデータ値が大きいと試験項目Cのデータ値も大きく、相関関係にあることを示している。このような場合に、一般に不良率も一方の試験項目が高い場合に他方も高い傾向が見られる。ただし、相関関係にあるからといって一方の試験項目が不良であっても必ずしも他方の試験項目で不良となるわけではなく、不良になる確立が高いということである。また、例えば試験項目Aと試験項目Cの間だけでなく他の試験項目間においても別の要因でそれらの間の相関関係があり得る。試験順序の決定においては、このような相関関係を考慮することでより試験のスループット向上が期待できる。また、従来において再試験を行う場合の試験に対して、合理的に試験順序を決定する方法がなかった。
【0010】
特許文献1で提案された方法は、不良発生頻度分類と試験時間との情報を基に試験順序を自動的に定め、制御プログラムを生成するものである。製造ロットによって変動する不良率にも対応でき効果的に試験順序を定めることができるが、ここでも試験項目の相関関係については考慮されていない。
【0011】
本発明は、試験項目間の相関関係に着目して試験順序の最適解を得て試験のスループットを向上させる試験順序決定方法、試験順序決定装置および試験順序決定プログラムを提供することを目的とする。また、再試験を行う場合についても最適な試験順序を決定する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の試験順序決定方法、試験順序決定装置および試験順序決定プログラムは、以下のように構成される。
(1)第1の発明
第1の発明は、不良と判定されたときそれ以降の試験を実施しない試験で、相関関係にある試験項目をグルーピングを行い、そのグループとグルーピングされなかった試験項目(即ち、相関関係のない単独の試験項目)との試験順序を決定する方法である。
【0013】
図1は第1の発明の原理を示すもので、個別指標算出手順10、グルーピング手順20、グループ指標算出手順30および試験順序決定手順40から構成する。
【0014】
個別指標算出手順10は、それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、個別指標を該試験項目毎に求めることを行う。個別指標は試験順序を判定する指標である。また、試験項目に対する不良率と試験時間は予め計測されているものである。
【0015】
グルーピング手順20は、全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、その指定された試験項目をグループ化する。グループは1つ以上作られる。
【0016】
グループ指標算出手順30は、個別指標算出手順10で求めたグループ内の試験項目の個別指標を基に、グループ指標をグループ毎に求める。グループ指標は、グループとして試験順序を判定する指標である。
【0017】
試験順序決定手順40は、グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を用いてグループとグルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定する。そして、グループ内の試験項目の順序に対しては個別指標を基に試験順序を決定する。
【0018】
第1の発明によれば、相関関係にある試験項目のグループと相関関係を持たない単独の試験項目とがそれぞれに定められた指標により混在して試験順序を決定するので、相関関係にあるグループを纏めて適切な試験順序において試験を行うことができる。
(2)第2の発明
第2の発明は、試験項目に対する不良率と試験時間は、試験対象のデバイスから所定数を取り出し、全ての試験項目について試験を行った結果であるパイロットデータによるものである。
【0019】
第2の発明によれば、製造ロットによって不良原因が異なっても、パイロット試験を行った結果のデータが反映された試験順序の決定ができる。
(3)第3の発明
第3の発明は、第1の発明における試験順序決定装置である。
(4)第4の発明
第4の発明は、第1の発明における試験順序決定プログラムである。
(5)第5の発明
第5の発明は、特定の試験項目で不良と判定されたデバイスについては再試験を行い、特定以外の試験項目では不良と判定されたデバイスを棄却する試験の試験順序を決定する方法で、図2はその発明の原理を説明する図である。
【0020】
図2に示すように、第5の発明は通常試験順序手順1と再試験順序手順2とから構成し、通常試験順序手順1は全てのデバイスに対して実施する試験の順序を決定するもので、再試験順序手順2は再試験対象のデバイスに対して実施する順序を決定するものである。
【0021】
通常試験順序手順1は、第1の発明の試験順序決定方法と同一である。従って、ここでの説明は重複するので省略する。
【0022】
再試験順序手順2は、再試験グルーピング手順50と再試験順序決定手順60とから構成し、再試験グルーピング手順50は、全ての試験項目の中から特定の試験項目が指定され、その指定された試験項目を再試験グループとする。そして、特定の試験項目以外の試験項目については通常試験順序決定手順1に示されたグルーピング手順20でグルーピングを行う。
【0023】
再試験順序決定手順60は、再試験グループを除いたグループに対して通常試験順序手順1に示されたグループ指標算出手順30を実施し、再試験グループを試験順序の先頭とし、その再試験グループを除いたグループとグルーピングされなかった試験項目とに対し通常試験順序手順1に示された試験順序決定手順40を実施する。そして、再試験グループ内の試験項目に対しては個別指標により試験順序を決定する。
【0024】
第5の発明によれば、再試験対象のデバイスに対して、再試験グループの試験項目の試験を先ず実施し、以降は相関関係を考慮した試験順序で試験の実施を行うことができるため、試験精度が微妙な場合にまずそれらの試験項目について再試験を実施する最適な試験順序を決定できる。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明により、相関関係にある試験項目を考慮した最適な試験順序を自動決定する方法の提供ができる。
【0026】
第2の発明により、パイロット試験の結果に基づいて個別指標を定めているので、製造ロットによって不良原因が異なってもそれらを反映した試験順序を自動決定する方法の提供ができる。。
【0027】
第3の発明により、第1の発明と同様の効果のある最適な試験順序を決定する試験順序決定装置の提供ができる。
【0028】
第4の発明により、第1の発明と同様の効果のある最適な試験順序を決定する試験順序決定プログラムの提供ができる。
【0029】
第5の発明により、再試験を行う試験においても、再試験グループの試験項目と相関関係のグループの試験項目、および独立した試験項目との間で最適な試験順序を決定する試験順序決定方法の提供ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施例を図3から図6を用いて説明する。
【0031】
図3は、本発明の試験順序決定プログラムを搭載した試験装置と入出力装置および被試験デバイスの関係を示した全体の構成例を示すものである。試験装置100は、試験順序決定プログラムを搭載し、他の装置とデータの遣り取りやコマンドによる指令を行う制御装置110、パイロット試験結果である試験項目に対する不良率と試験時間などのデータなどを格納する外部記憶装置130およびデバイスの試験を行う測定装置140からなる。また、試験装置100は試験結果などを表示する出力装置200、試験担当者によって試験開始の指示や相関関係にある試験項目や再試験項目を指示されるための入力装置300と接続している。また、被試験デバイス400は例えば試験対象の磁気ヘッド素子で、測定装置140により種々の試験項目が計測される。図3は、本発明に係わる試験順序決定に関係する部分を表し、試験装置本来の試験そのものに係わる部分は省略してある。また、第3の発明として掲げた試験順序決定装置は、図3の制御装置110に相当する。
【0032】
次に、図4を用いて、試験順序を決定する方法を説明する。図4に示すようにここでの実施例においては試験項目がA−Vまであるものとする(四角が囲んだA−Vが試験項目である)。このそれぞれの試験項目に対する不良率と試験時間を試験項目の上部に掲げている。そして、個別指標を下記の式で求め、その結果を併せて示している。
【0033】
個別指標=不良率×10/試験時間
例えば、試験項目Aの不良率は2で試験時間は1で、個別指標は上記の式から20が求まる。なお、不良率と試験時間の単位はそれぞれ“%”と“秒”である。
【0034】
次に、相関関係にある試験項目をグルーピングする。図4の試験項目の下に線で結ばれているのが相関関係にあるものとする。例えば、試験項目A、F、L、Pは相関関係にある。また、試験項目C、H、J、N、R、S、さらに試験項目D、I、J、O、Tもそれぞれに相関関係にある。これらを相関グループ1、相関グループ2、相関グループ3として纏めると、図4の中程に示すものとなる(相関グループが前述したグループに相当する)。相関関係にない試験項目は無相関の試験項目として相関グループの右側に示している。即ち、試験項目B、E、G、M、Q、U、Vである。さらに、図4の中程には不良率と試験時間および個別指標を各試験項目に対応する形でそのまま示している。相関グループ内のそれぞれの試験項目に対する個別指標を加算して総合指標とし、その値も示している(グループの総合指標は、前述のグループ指標に相当する)。また、無相関の試験項目の総合指標は個別指標の値をそのまま総合指標としている。
【0035】
次に、総合指標の値の大きなものから並べる。その結果は、相関グループ2、相関グループ1、試験項目E、相関グループ3、試験項目B、以下試験項目U、Q、M、Gの順となる。さらに、相関グループの中では各試験項目の個別指標の大きい順に並べる。このようにして求めた順序が図4の最下部に示した決定順序である(決定順序は、左より右方向に向かって順次試験されることを示している)。
【0036】
このようにすることにより、相関性のある試験項目を纏まって試験できるので、より合理的に試験の実施が行え、スループットを向上させることができる。
【0037】
次に、再試験の順序の決定方法について述べる。再試験は、図4で示した決定順序で試験した後に、特定の試験項目で不良となったデバイスに対して再試験を行うものである。特定の試験項目は、図4の上部の試験項目で網かけで示したものである。即ち、試験項目G、K、L、T、Uが特定の試験項目である。担当者によって、この特定の試験項目が指定されると、この指定された試験項目を再試験グループとし、再試験の試験順序の先頭に置く。そしてそれ以降の順序は、特定の試験項目を除いた相関グループと無相関の試験項目との総合指標を求め、この総合指標の大きなものから順番に並べる。このようにして順序付けられたものが図5である。図5の相関グループ2の中の試験項目には特定の試験項目がないので相関グループ2は図4と同じ試験項目で構成されている。相関グループ1と相関グループ3には特定の試験項目を含んでいるのでそれらが除かれて総合指数が小さくなり、単独の試験項目である試験項目Eの方が順序が先になっている。
【0038】
不良確率の高い再試験グループの試験項目から先に試験を行うので、効率的に試験を行うことができる。
【0039】
次に、図4で説明した試験順序決定を図6のフローで説明する。図6ではパイロット試験を行って、不良率と試験時間とを求めることも示している。
【0040】
先ず、被試験デバイスの中からパイロット試験用のデバイスをサンプルとしてn個取り出す。このn個のサンプルに対しては全ての試験項目を実施し、不良率と試験に要した時間とを計測する。計測した結果(即ち、パイロットデータ)は、外部記憶130に格納して置く(S100、S110)。
【0041】
外部記憶130に格納された各試験項目に対する不良率と試験時間とを基に、前述した個別指標(不良率×10/試験時間)の値を計算する。計算した個別指標を外部記憶130の試験項目に対応して格納する。(S120)。
【0042】
続いて、試験担当者によって指定された相関関係のある試験項目をグルーピングする。グルーピングにおいて外部記憶130に格納された各試験項目にグループを識別するグループ番号を与えておく(S130)。
【0043】
グルーピングされたグループ内の個別指標を加算し、グループの総合指標とする。これをグループ毎に求め、外部記憶130に格納する(S140)。
【0044】
グルーピングされなかった単独の試験項目については個別指標を総合指標とし、グループの総合指標を含めて総合指標を比較し、総合指標の大きい順に並べる。これにより、グループと単独の試験項目とが順序付けられる。次いで、それぞれのグループ内においてグループ内の試験項目の個別指標を大きい順に並べ、グループ内の順序を決定する。決定した順序を外部記憶に格納する(S150、S160)。
【0045】
次に、図6のフローで外部記憶装置130に格納されたデータ例を説明する。図7に示すデータ例は、「試験項目」をキーとして「不良率」、「試験時間」、「個別指標」、「グループ」、「総合指標」、「順序」、「特定項目」を含むフィールドで構成している。例えば、試験項目Aでは、不良率は2%、試験時間は1秒、個別指標は20、グループ1に属し、グループ1の総合指標は80、決定された試験順序は8番目である。
【0046】
「特定項目」は図6のフローでは出てこなかったが、再試験の順序を決めるときに試験担当者から指定されたもので、「1」は特定の試験項目で「0」は特定ではない試験項目であることを示している。即ち、試験項目Aは非特定の試験項目である。また、グループのフィールドの「0」は相関関係のない単独の試験項目であることを示している。
【0047】
相関関係にある試験項目を試験担当者に指定させる方法は、例えば全ての試験項目を出力装置200に表示し、その中から担当者に選択させるようにすれば良い。また、特定の試験項目についても同様にして指定させることができる。
【0048】
以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
試験対象のデバイスを定められた試験項目の順序で試験し、不良と判定された段階で該デバイスを棄却する試験順序決定方法であって、
それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、試験順序を判定する個別指標を該試験項目毎に求める個別指標算出手順と、
全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、該指定された試験項目をグループ化するグルーピング手順と、
前記グループ内の試験項目の個別指標を基に、グループとして試験順序を判定するグループ指標を該グループ毎に求めるグループ指標算出手順と、
前記グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を基に該グループと該グルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定し、該グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定する試験順序決定手順と
を有することを特徴とする試験順序決定方法。
(付記2)
前記試験項目に対する前記不良率と前記試験時間は、試験対象のデバイスから所定数を取り出し、全ての試験項目に対して試験を行った結果のパイロットデータである、
ことを特徴とする付記1記載の試験順序決定方法。
(付記3)
試験対象のデバイスを定められた試験項目の順序で試験し、不良と判定された段階で該デバイスを棄却する試験順序決定装置であって、
それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、試験順序を判定する個別指標を該試験項目毎に求める個別指標算出手段と、
全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、該指定された試験項目をグループ化するグルーピング手段と、
前記グループ内の試験項目の個別指標を基に、グループとして試験順序を判定するグループ指標を該グループ毎に求めるグループ指標算出手段と、
前記グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を基に該グループと該グルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定し、該グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定する試験順序決定手段と、
を有することを特徴とする試験順序決定装置。
(付記4)
前記試験順序決定装置のコンピュータを、
試験対象のデバイスを定められた試験項目の順序で試験し、不良と判定された段階で該デバイスを棄却する試験順序決定装置の試験順序決定プログラムであって、
前記試験順序決定装置のコンピュータを、
それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、試験順序を判定する個別指標を該試験項目毎に求める個別指標算出手段と、
全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、該指定された試験項目をグループ化するグルーピング手段と、
前記グループ内の試験項目の個別指標を基に、グループとして試験順序を判定するグループ指標を該グループ毎に求めるグループ指標算出手段と、
前記グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を基に該グループと該グルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定し、該グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定する試験順序決定手段、
として機能させるための試験順序決定プログラム。
(付記5)
試験対象のデバイスを定められた試験項目の順序で試験し、特定の試験項目で不良と判定された場合のデバイスは再試験を行い、特定以外の試験項目で不良と判定された場合は棄却する試験順序決定方法であって、
前記試験対象の全てのデバイスに対して実施する試験の順序を決定する通常試験順序手順と再試験対象のデバイスに対して実施する試験の順序を決定する再試験順序手順とを有し、
前記通常試験順序手順は、
それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、試験順序を判定する個別指標を該試験項目毎に求める個別指標算出手順と、
全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、該指定された試験項目をグループ化するグルーピング手順と、
前記グループ内の試験項目の個別指標を基に、グループとして試験順序を判定するグループ指標を該グループ毎に求めるグループ指標算出手順と、
前記グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を基に該グループと該グルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定し、該グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定する試験順序決定手順とからなり、
前記再試験順序手順は、
全ての試験項目の中から特定の試験項目が指定され、該指定された試験項目を再試験グループとし、該特定の試験項目以外の試験項目について前記グルーピング手順でグルーピングを行う再試験グルーピング手順と、
前記再試験グループを除いたグループに対し、前記グループ指標算出手順を実施し、該再試験グループを試験順序の先頭とし、該再試験グループを除いたグループとグルーピングされなかった試験項目とに対し前記試験順序決定手順を実施し、該再試験グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定するする再試験順序決定手順とからなる、
を有することを特徴とする試験順序決定方法。
(付記6)
前記個別指標は、それぞれの試験項目に対する前記不良率と前記試験時間の逆数との積とし
前記グループ指標は、前記グループ内のそれぞれの試験項目の前記個別指標の加算値とする、
ことを特徴とする付記1記載の試験順序決定方法。
(付記7)
前記試験順序決定手順は、前記個別指標の値および前記グループ指標の値が大きなものから試験順序を決定する
ことを特徴とする付記1記載の試験順序決定方法。
(付記8)
前記試験順序決定手順と前記再試験順序決定手順とは、前記個別指標の値および前記グループ指標の値が大きなものから試験順序を決定する、
ことを特徴とする付記6記載の試験順序決定方法。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の発明の原理図である。
【図2】第5の発明の原理図である。
【図3】全体の構成例である。
【図4】試験項目の順序決定例である。
【図5】再試験の場合の試験項目の順序決定例である。
【図6】試験順序決定のフロー例である。
【図7】外部記憶に格納したデータ例である。
【図8】パイロット試験による試験項目別の不良データ例である。
【図9】従来のデバイス試験例である。
【図10】試験項目と相関関係のデータ分布例である。
【符号の説明】
【0050】
1 通常試験順序手順
2 再試験順序手順
10 個別指標算出手順
20 グルーピング手順
30 グループ指標算出手順
40 試験順序決定手順
50 再試験グルーピング手順
60 再試験順序決定手順
100 試験装置
110 制御装置
120 試験順序決定プログラム
130 外部記憶装置
140 測定装置
200 出力装置
300 入力装置
400 被試験デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象のデバイスを定められた試験項目の順序で試験し、不良と判定された段階で該デバイスを棄却する試験順序決定方法であって、
それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、試験順序を判定する個別指標を該試験項目毎に求める個別指標算出手順と、
全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、該指定された試験項目をグループ化するグルーピング手順と、
前記グループ内の試験項目の個別指標を基に、グループとして試験順序を判定するグループ指標を該グループ毎に求めるグループ指標算出手順と、
前記グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を基に該グループと該グルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定し、該グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定する試験順序決定手順と
を有することを特徴とする試験順序決定方法。
【請求項2】
前記試験項目に対する前記不良率と前記試験時間は、試験対象のデバイスから所定数を取り出し、全ての試験項目に対して試験を行った結果のパイロットデータである、
ことを特徴とする請求項1記載の試験順序決定方法。
【請求項3】
試験対象のデバイスを定められた試験項目の順序で試験し、不良と判定された段階で該デバイスを棄却する試験順序決定装置であって、
それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、試験順序を判定する個別指標を該試験項目毎に求める個別指標算出手段と、
全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、該指定された試験項目をグループ化するグルーピング手段と、
前記グループ内の試験項目の個別指標を基に、グループとして試験順序を判定するグループ指標を該グループ毎に求めるグループ指標算出手段と、
前記グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を基に該グループと該グルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定し、該グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定する試験順序決定手段と、
を有することを特徴とする試験順序決定装置。
【請求項4】
試験対象のデバイスを定められた試験項目の順序で試験し、不良と判定された段階で該デバイスを棄却する試験順序決定装置の試験順序決定プログラムであって、
前記試験順序決定装置のコンピュータを、
それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、試験順序を判定する個別指標を該試験項目毎に求める個別指標算出手段と、
全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、該指定された試験項目をグループ化するグルーピング手段と、
前記グループ内の試験項目の個別指標を基に、グループとして試験順序を判定するグループ指標を該グループ毎に求めるグループ指標算出手段と、
前記グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を基に該グループと該グルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定し、該グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定する試験順序決定手段、
として機能させるための試験順序決定プログラム。
【請求項5】
試験対象のデバイスを定められた試験項目の順序で試験し、特定の試験項目で不良と判定された場合のデバイスは再試験を行い、特定以外の試験項目で不良と判定された場合は棄却する試験順序決定方法であって、
前記試験対象の全てのデバイスに対して実施する試験の順序を決定する通常試験順序手順と再試験対象のデバイスに対して実施する試験の順序を決定する再試験順序手順とを有し、
前記通常試験順序手順は、
それぞれの試験項目に対する不良率と試験時間とに基づいて、試験順序を判定する個別指標を該試験項目毎に求める個別指標算出手順と、
全ての試験項目の中から相関関係にある試験項目が指定され、該指定された試験項目をグループ化するグルーピング手順と、
前記グループ内の試験項目の個別指標を基に、グループとして試験順序を判定するグループ指標を該グループ毎に求めるグループ指標算出手順と、
前記グループに対してはグループ指標を、グルーピングされなかった試験項目に対しては個別指標を基に該グループと該グルーピングされなかった試験項目とを混在して試験順序を決定し、該グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定する試験順序決定手順とからなり、
前記再試験順序手順は、
全ての試験項目の中から特定の試験項目が指定され、該指定された試験項目を再試験グループとし、該特定の試験項目以外の試験項目について前記グルーピング手順でグルーピングを行う再試験グルーピング手順と、
前記再試験グループを除いたグループに対し、前記グループ指標算出手順を実施し、該再試験グループを試験順序の先頭とし、該再試験グループを除いたグループとグルーピングされなかった試験項目とに対し前記試験順序決定手順を実施し、該再試験グループ内の試験項目に対しては該個別指標により試験順序を決定するする再試験順序決定手順とからなる、
を有することを特徴とする試験順序決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−298465(P2007−298465A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128269(P2006−128269)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】