説明

識別手段を備えた型枠エレメント

本発明は、型枠エレメント(1)であって、型枠板(2)と、該型枠板(2)の縁部又は縁部近傍に配置されていて、金属から成る縁部ウェブ(3)又は外側フレーム又は型枠板(2)を支持している少なくとも1つの支持体(4)とを備えており、型枠エレメント(1)が識別手段として少なくとも1つのトランスポンダ(6)を有している形式のものに関する。このような形式の型枠エレメントにおいて本発明の構成では、トランスポンダ(6)が、縁部ウェブ(3)又は外側フレーム又は支持体(4)の凹設部(7)内において該縁部ウェブ(3)又は外側フレーム又は支持体(4)の、型枠板(2)とは反対側の、使用位置において隣接型枠エレメント(1)に向けられた表面に配置されており、該凹設部(7)がトランスポンダ(6)を側部及び1つの面において取り囲んでいる。その結果、トランスポンダ(6)の1つの表面だけが外部に向かって検知器のために接近可能であり、なぜならば凹設部(7)は、縁部ウェブ(3)又はフレーム又は支持体(4)の、型枠エレメント(1)又は型枠パネルの中心に向いている側において、閉鎖されているからである。凹設部(7)内におけるトランスポンダ(6)の保持は、プラスチック材料及び/又は接着材料(8)を用いて行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠エレメントであって、型枠板(Schalhaut)と、該型枠板の縁部又は縁部近傍において型枠板から、使用位置においてコンクリートとは反対の側に突出していて、金属から成る縁部ウェブ又は外側フレーム又は型枠板を支持している少なくとも1つの支持体とを備えており、型枠エレメントに識別手段として少なくとも1つのトランスポンダが配置されている形式のものに関する。
【0002】
型枠板の縁部において突出している縁部ウェブ又は外側フレームを備えた型枠エレメントは、例えばEP0573450B1に記載されている。
【0003】
このような型枠エレメントはまたEP0729536B1にも開示されている。
【0004】
型枠板を支持する支持体を備えた型枠エレメントは、DE2426708C3に開示されており、この場合型枠エレメントは湾曲されている又は湾曲されることができ、しかしながらまた、相応な例えば平行な支持体を備えた剛性の型枠パネルの形の比較可能な型枠エレメントも公知である。
【0005】
型枠ひいては型枠エレメントは、大部分がレンタルされるか又は、リース契約によって使用者によって時々要求されるものであり、つまりこのような型枠又は型枠エレメントでは、使用された型枠エレメントを所定期間の経過後に再び引き取らねばならない、という問題がある。
【0006】
この場合しばしば、一時的な使用者が実際に、借りた型枠エレメントを返却したか否かを、正確に確認することができず、使用者が、なお良好な状態にある型枠エレメント又は型枠部分を手元に残しておいて、自分の所有している劣化した又はより摩耗した型枠エレメント又は型枠部分を戻す、というおそれがある。
【0007】
従って、型枠エレメント又は少なくとも高価な型枠パネルに目印をつけて、型枠エレメントや型枠パネルを返却時に識別及び再認識できるようにすることが、望まれている。
【0008】
今日ではカラーマーキングの他に、トランスポンダも知られている。
【0009】
DE10055060A1に基づいて公知の構成では、トランスポンダを取り付けるために、型枠パネルのフレーム金属薄板に貫通孔が設けられていて、この貫通孔に、トランスポンダ用の特殊なホルダが取り付けられるようになっている。このような構成は、面倒もしくは高価であるのみならず、故障を起こしやすく、しかもホルダは場合によっては、権限がない者によって取り出されるおそれがある。さらに、この特殊なホルダ用の貫通孔は同時に、縁部ウェブ又はフレームを弱化させることになる。
【0010】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の型枠エレメントを改良して、型枠エレメントの縁部ウェブ又は外側フレーム又は支持体を金属から構成することでき、さらにトランスポンダのための特殊なホルダが不要であり、このようなホルダを取り付ける必要がない、型枠エレメントを提供することである。
【0011】
この課題を解決するために本発明の構成では、冒頭に述べた形式の型枠エレメントにおいて、縁部ウェブ又は外側フレーム又は支持体において該縁部ウェブ又は外側フレーム又は支持体の、型枠板とは反対側の、使用位置において隣接型枠エレメント又は建物端部に向けられた表面に、扁平なトランスポンダよりも大きな少なくとも1つの凹設部が設けられており、トランスポンダがこの凹設部内において、該凹設部の画成部によって取り囲まれて配置及び保持されているようにした。
【0012】
高価なホルダを使用する代わりに、型枠エレメントの相応な金属部分に、つまり特に型枠エレメントが上下に積み重ねられた場合でも外部から良好に接近可能である、型枠エレメントの金属部分に、凹設部が設けられ、この凹設部内に使用位置においてトランスポンダは絶縁されて収容されており、その結果トランスポンダからの電磁信号は、良好に発信又は受信されることができ、この場合信号が、縁部ウェブ、フレーム又は支持体の、トランスポンダを取り囲む金属によって、妨害されたり、「飲み込まれたり」することはない。特殊なホルダが回避されるので、このようなホルダの特殊な取付けもまた不要である。貫通孔に比べて凹設部には次のような利点がある。すなわち凹設部では、凹設部を形成することにほとんど手間やコストがかからず、凹設部の形成によって、縁部ウェブ、フレーム又は支持体は僅かしか又はまったく弱化されない。
【0013】
本発明の特に有利でかつ簡単な構成では、トランスポンダが凹設部内において、プラスチック材料及び/又は接着材料によって保持又は固定されている。
【0014】
このように構成されていると、トランスポンダは、相応なプラスチック材料又は接着材料の注入と一緒に又はその後又は前に簡単に、凹設部内に挿入されること、又は前記材料によって固定されることができ、これによってトランスポンダは同時に、機械的な損傷に対しても又は汚れに基づく損傷に対しても保護されることができる。
【0015】
この場合さらに、凹設部が、縁部ウェブ又はフレーム又は支持体の、型枠パネルの中心に向かって位置する側において、閉鎖されており、又は場合によっては後から閉鎖されると、有利である。このように構成されていると、凹設部の開放した側は、相応なセンサ又はスキャナ又は検知器のために、外側から良好に接近可能である。
【0016】
本発明の特に有利な構成では、型枠エレメントが、金属製の外側フレームを備えた型枠パネルであり、外側フレームが、型枠板に対してほぼ直角に突出している縁部ウェブから成っていて、該縁部ウェブが扁平材料又は形鋼のような成形材から成っており、縁部ウェブの横断面が型枠板から、自由な又は間隔をおいて位置する縁部にまで、離れる方向で延びており、縁部ウェブに、使用位置において隣接型枠パネルの縁部ウェブが、間接的に又は直に接触していて、互いに接触している又は隣接している縁部ウェブを相互に固定するための結合手段が係合しており、トランスポンダを受容する凹設部が、縁部ウェブ又は外側フレームの、型枠パネルの中心から離れる方向に位置する外面において、該外面に対して、型枠パネルの中心に向かう方向に引っ込んで、一体成形されている。
【0017】
つまり縁部側の縁部ウェブ又は外側フレームは、場合によっては存在する隣接型枠パネルに向けられた表面に、相応な凹設部を有しており、この凹設部はこの場合この外側に向かって開放しており、つまりトランスポンダはこの外側から凹設部内に挿入されることができ、そしてこの外側から良好に検知されることもできる。
【0018】
本発明の別の有利な構成では、縁部ウェブが扁平材料から形成されていて、凹設部がエンボス加工によって形成されている。このようなエンボス加工工程は、簡単に実施することができ、外側に向かって開放したトランスポンダ用凹設部を成形するための効果的な可能性を生ぜしめ、しかもこの場合に縁部ウェブ又はフレーム部分の安定性が損なわれることはない。
【0019】
しかしながらまた本発明の別の構成では、縁部ウェブは例えばEP0729536B1に記載のように、形鋼又は押出し成形材又は中空成形材、鋼製の中空成形材であり、凹設部は切削又は非切削式の材料の除去によって、特にフライス加工によって形成されている。切削式のフライス加工工程の他に、相応な凹設部を侵食によって形成することも可能である。
【0020】
また、本発明の別の有利な構成では、縁部ウェブが、良好な強度と共に重量を軽減するために、長手方向に延びる中空室を備えたアルミニウム製の押出し成形材であり、凹設部は、押出し成形材が全横断面を有している個所、つまり中空室を有していない個所に、配置されている。
【0021】
本発明の別の構成では、トランスポンダが使用位置において凹設部内に沈み込んでいて、この場合トランスポンダは外面に向けられた側において、プラスチック材料及び/又は接着材料によってカバー又は被覆されており、トランスポンダのこのカバーが、縁部ウェブ又は外側フレーム又は支持体の外面と特に同一平面を成している。このように同一平面を成していると、縁部ウェブ又は支持体の表面において、トランスポンダの位置が、権限のない者には認識することが困難になり、かつトランスポンダの汚染を十分に回避することができる。さらに、トランスポンダは付加的にカバーによって、コンクリートミルクやこれに類した汚れのような攻撃的な物質に対して、また機械的な負荷に対しても保護されている。
【0022】
本発明の特に有利な構成では、トランスポンダが凹設部内においてプラスチック材料及び/又は接着材料内に埋め込まれている。つまりこの場合初めにこのようなプラスチック材料及び接着材料が凹設部内に充填され、次いでトランスポンダが、まだ相応に可撓性の材料内に押し込まれ、これにより埋め込まれるか、又は、最初にトランスポンダが挿入され、次いで前記材料が、既にトランスポンダを内蔵している凹設部内に充填され、この際にトランスポンダは前記材料によって少なくとも外側に向かってカバーもしくは覆われることが可能である。
【0023】
本発明の特に有利な構成では、プラスチック材料及び/又は接着材料がエポキシ樹脂ベースの2成分接着剤である。このような2成分接着剤を使用すると、一方では硬化後に、トランスポンダを良好に保護する安定的な閉鎖部が生ぜしめられ、かつ他方では、凹設部内におけるトランスポンダの長時間にわたる確実な固定が可能になる。
【0024】
このような型枠エレメントの積重ね時にトランスポンダの位置に注意を払う必要がないように、しかも各型枠パネルの識別が問題なく可能であるようにするために、本発明の別の有利な構成では、型枠エレメントが方形の型枠パネルであり、該型枠パネルが少なくとも2つのトランスポンダを、互いに直角に又は互いに平行に配置された縁部ウェブ又は支持体における、互いに間隔をおいて位置する凹設部内に有している。平行な縁部ウェブ又は縁部近傍の支持体は、それぞれ互いに間隔をおいて位置する縁部に位置しているので、型枠パネルは、180°回動させられた位置において積み重ねられた場合でも、使用者に再び、トランスポンダのうちの1つが設けられている1つの縁部ウェブ又は支持体を向けることになる。この場合もちろん、型枠パネルのすべてのトランスポンダは、同じ識別マークを有することができる。
【0025】
また本発明の別の有利な構成では、それぞれ少なくとも2つの縁部ウェブ又は支持体において、方形の型枠エレメントの1つの角隅の近傍にそれぞれ、トランスポンダのための各1つの凹設部が設けられている。1つの角隅の近傍にこのように配置されていることによって、トランスポンダは、該トランスポンダを有する縁部ウェブが使用者から離れる方向に延びている場合でも、良好に検知されることができる。それというのは、トランスポンダはこのような場合でも、使用者の近傍において型枠エレメントの相応な角隅に位置しているからである。
【0026】
また、2つの凹設部が型枠エレメントにおいてほぼ中央に、及び/又は型枠エレメントの中心を通って延びるライン上において、互いに向かい合って位置していると、トランスポンダの使用はさらに容易になる。また180°回転させられた位置においても、それぞれ1つのトランスポンダは、良好に検出可能な積重ね体の領域に位置している。
【0027】
アクティブ型のトランスポンダも同様に可能であるが、トランスポンダがパッシブ型のトランスポンダであると、特に型枠パネルの製造コストのために有利である。
【0028】
特に上に述べた個々の又は複数の特徴及び構成を組み合わせると、トランスポンダを良好に検知可能にかつ良好に保護可能に取り付けることができる、金属製の縁部ウェブ又は支持体を備えた型枠エレメントが得られ、しかもこの際にそのための特殊なホルダを必要としない。さらに、相応な縁部ウェブ、支持体又は外側フレームが金属から成っていると有利である。このようになっていると、トランスポンダは、エンボス加工された又はフライス加工された相応な凹設部内に遮蔽されて又は保護されて取り付けることができ、しかもこの場合これらの縁部ウェブ、フレーム部分又は支持体が、弱められた個所を生ぜしめるような貫通孔を必要とせず、かつそれに合った特殊なトランスポンダ用のホルダを必要としない。
【0029】
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】EP0573450B1に記載の型枠パネルのように、方形の型枠パネルのすべて4つの辺に縁部ウェブを配置された型枠パネルを、使用位置においてコンクリートとは反対の側から見て示す背面図である。
【図2】図1に示された型枠パネルの、1つの縁部ウェブの外側を示す側面図である。
【図3】図1に示された複数の型枠パネルが積み重ねられた状態を示す斜視図である。
【図4】図1〜図3に示された型枠パネルの1つの縁部ウェブの、トランスポンダを本発明のように受容する凹設部の領域を拡大して示す断面図である。
【図5】図4に示された縁部ウェブの凹設部とその中に配置されたトランスポンダとを示す平面図である。
【図6】凹設部とトランスポンダとを備えた変化実施例による縁部ウェブを示す断面図であって、この場合ウェブは、特に方形の横断面を有する閉鎖された例えば中空成形材又は形鋼の画成ウェブであってよく、この画成ウェブは、型枠パネルが互いに接触している場合に、隣接型枠エレメントの中空成形材又は縁部ウェブに向けられている、縁部ウェブを示す断面図である。
【図7】図6に示された凹設部の領域における縁部ウェブ及びトランスポンダを示す平面図である。
【図8】EP0729536B1に記載のような型枠パネルの縁部ウェブを示す断面図であって、成形された有利にはフライス加工された凹設部とその中に配置された扁平なトランスポンダとを通るラインで断面した図である。
【図9】図8に示された縁部ウェブの、凹設部及びトランスポンダの領域を示す平面図である。
【図10】ドイツ連邦共和国特許第2426708号明細書に記載のように、型枠板を支持するために使用位置において鉛直な支持体を備えていて、これらの支持体が帯材によって互いに結合されていて、この場合それぞれ縁部近傍の支持体がトランスポンダを有している、大面積の型枠を示す図である。
【図11】図10に示された大面積の型枠パネルの、縁部近傍の支持体を示す側面図である。
【0031】
以下において、機能が同じ部材には、たとえ構成が異なっていても同一の符号が使用されている。
【0032】
全体を符号1で示された型枠エレメントは、例えば図1〜図5、図6及び図7、図8及び図9又は図10及び図11に示されているように、種々異なった構造の型枠パネル(Schaltafel)であってよい。これらの種々異なった型枠エレメント1に共通なことは、該型枠エレメント1が、図4、図6及び図8にも破線で示された型枠板2を有していることである。これらの図面から明らかなように、各型枠板2の縁部において又は縁部の近傍において、型枠板2からは、使用位置においてコンクリートとは反対の側において、金属製の縁部ウェブ3が突出しており、これらの縁部ウェブ3は、図1〜図3に示された実施例では外側フレームをも形成することができる。図10及び図11に示された実施例では、型枠板2は、使用位置において鉛直方向の平行な支持体4によって支持され、この実施例においても型枠板2の縁部の近傍に支持体4が延在していて、これらの支持体4は、付加的に帯材5によって互いに結合されていることができる。帯材5の構成に応じて、帯材5は剛性であっても、又は場合によってはDE2426708C3に記載のように型枠板を曲げるために、その長さを変化可能であってもよい。
【0033】
すべての実施例において、各型枠エレメント1に識別手段として少なくとも1つのトランスポンダ6が配置されていることは共通である。
【0034】
すべての実施例において、特に図4〜図9において良好に認識できるように、各縁部ウェブ3又は支持体4には該縁部ウェブ3又は支持体4の、型枠板2とは反対側の、使用位置において隣接型枠エレメント1又は建物部分又は角隅に向けられた表面に、扁平なトランスポンダ6よりも大きな少なくとも1つの凹設部7が設けられており、この場合トランスポンダ6はこの凹設部7内において、該凹設部7の画成部によって取り囲まれて配置及び保持されている。
【0035】
特に図4、図6及び図8から分かるように、凹設部7はトランスポンダ6をその下面とその周囲において取り囲んで把持していて、トランスポンダ6の上面だけを開放しており、これによってトランスポンダ6の上面は良好に検知されることができる。
【0036】
トランスポンダ6は凹設部7内においてプラスチック材料及び/又は接着材料8(以下においては単に「材料8」とも呼ぶ)によって、保持及び固定されており、このことは特に図4及び図5から良く分かる。特に図7に示された実施例では、この材料8は、良好な保持を達成するために、凹設部7の外縁部をも覆っている。同様なことは、図6に示された実施形態に対しても言える。
【0037】
すべての実施例において、凹設部7は、縁部ウェブ3又はフレーム又は支持体4の、型枠パネル又は型枠エレメント1の中心に向いた側において、閉鎖されており、場合によっては後から閉鎖されており、つまり縁部ウェブ3又は支持体4は、貫通孔又は連続した孔によって弱化されていない。
【0038】
図1〜図7に示された実施例は、金属製の外側フレームを備えた型枠パネルの形の型枠エレメント1を開示しており、この場合外側フレームは、型枠板2に対してほぼ直角に突出している縁部ウェブ3から成っていて、この縁部ウェブ3は扁平材料又は場合によっては形鋼のような成形材から成っており、各縁部ウェブ3の横断面は型枠板2から自由な縁部3aにまで延びており、この場合縁部ウェブ3には使用位置において、隣接型枠パネルの縁部ウェブが間接的に又は直に接触しており、縁部ウェブ3には、このように互いに接触している縁部ウェブを互いに固定するための結合手段が係合することができる。トランスポンダ6を受容する凹設部7は、各縁部ウェブ3の、型枠パネル1の中心から離れる方向に位置している外面3bにおいて、この外面3bに対して型枠パネルの中心に向かう方向に引っ込んで、一体成形されている。同様なことは、図8及び図9に示された押出し成形材として形成された縁部ウェブ3に対しても言える。
【0039】
図1〜図7に示された実施例では、縁部ウェブ3は扁平材料から形成されていて、凹設部7はエンボス加工によって、つまり冷間変形によって生ぜしめられている。縁部ウェブの強度はこの凹設部7の領域においても相応に高い。
【0040】
図8及び図9に示された実施例では、既に述べたように、押出し成形材及び凹設部7は、材料の切削による又は非切削式の除去によって加工され、例えばフライス加工(ausfraesen)によって生ぜしめられている。この場合縁部ウェブ3は例えば、その長手方向に延びる中空室3cを備えたアルミニウム押出し成形材であり、凹設部7は、この押出し成形材が全横断面を有している個所に配置されていることができ、その結果凹設部7によるこの縁部ウェブ3の弱化は十分に回避される。
【0041】
トランスポンダ6はしかしながらまた、中空成形材の画成ウェブのうちの少なくとも1つ、例えば閉鎖された中空成形材又は方形成形材の画成ウェブのうちの少なくとも1つの凹設部7に、該ウェブが十分な強度を有している場合には、配置されていることができる。
【0042】
例えば、図4又は図6に示された扁平成形材は、中空成形材の、特に外側に位置する各1つの画成部であってもよく、この中空成形材は、相応な型枠エレメント1の縁部に配置されていても又は環状に形成されていてもよい。
【0043】
トランスポンダ6はすべての実施例において使用位置では、凹設部7内に沈み込んでいるが、この場合トランスポンダ6は、外面3bに向けられた側においてプラスチック材料及び/又は接着材料8によってカバーされているか又は覆われており、トランスポンダ6のこのカバーは図4、図6及び図8に示されているように、縁部ウェブ3又は支持体4の外面3bの表面と同一平面を成しており、その結果トランスポンダ6は単に良好に保護されているのみならず、隠されているので、望まれていない操作や機械的な損傷を十分に排除することができる。
【0044】
特に、図4、図6及び図8について既に述べた記載から明らかなように、トランスポンダ6は凹設部7内において材料8内に埋め込まれていて、つまりこの材料8によって事実上全面的に取り囲まれている。この場合この材料8は例えばエポキシ樹脂ベースの2成分接着剤であり、このような2成分接着剤は、凹設部7内においてトランスポンダ6を良好に保持し、かつさらにトランスポンダ6をすべての形式の損傷に対して良好に保護する。
【0045】
図1、図3及び図10からさらに分かるように、それぞれ方形の型枠パネルである型枠エレメント1は、少なくとも2つのトランスポンダ6を、互いに直角に又は互いに平行に配置された縁部ウェブ3又は支持体4における、互いに間隔をおいて位置する凹設部7内に有しているので、このような型枠パネルが積み重ねられている場合でも、トランスポンダ6の位置に注意を払う必要がなく、常にトランスポンダ6のうちの1つは、検知のために有利な位置に配置されることになる。
【0046】
実施例では、それぞれ少なくとも2つの縁部ウェブ3又は支持体4において、方形の型枠エレメント1の1つの角隅の近傍に、トランスポンダ6のための凹設部7が少なくとも1つは設けられている。しかしながら、2つの凹設部7が型枠エレメント1において縁部ウェブ3又は支持体4のほぼ中央に、及び/又は型枠エレメント1の中心を通って延びる下層のライン上に向かい合って位置していると、有利である。
【0047】
また実施例ではパッシブ型のトランスポンダ6が設けられているので、このトランスポンダ6によって型枠エレメント1のコストが問題になるほど高くなることはない。
【0048】
1つの型枠板2と、該型枠板2の縁部に又は縁部近傍に配置された少なくとも1つの金属製の縁部ウェブ3又は外側フレームとを備えた型枠エレメント1、又は型枠板2を支持する支持体4は、識別手段としてトランスポンダ6を有しており、このトランスポンダ6は縁部ウェブ3又は外側フレーム又は支持体4の凹設部7内において、該縁部ウェブ3又は外側フレーム又は支持体4の、型枠板2とは反対側の、使用位置において隣接型枠エレメントに向けられた表面に配置されている。この凹設部7は、トランスポンダ6を側部及び1つの面において取り囲み、その結果1つの上面だけが外側に対して検知器のために接近可能である。なぜならば、凹設部7は縁部ウェブ3又はフレーム又は支持体4の、型枠パネル又は型枠エレメント1の中心に向かって位置している側においては、閉鎖されているからである。凹設部7におけるトランスポンダ6の保持は、プラスチック材料及び/又は接着材料8を用いて行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠エレメント(1)であって、型枠板(2)と、該型枠板(2)の縁部又は縁部近傍において型枠板(2)から、使用位置においてコンクリートとは反対の側に突出していて、金属から成る縁部ウェブ(3)又は外側フレーム又は型枠板(2)を支持している少なくとも1つの支持体(4)とを備えており、型枠エレメント(1)に識別手段として少なくとも1つのトランスポンダ(6)が配置されている形式のものにおいて、縁部ウェブ(3)又は外側フレーム又は支持体(4)において該縁部ウェブ(3)又は外側フレーム又は支持体(4)の、型枠板(2)とは反対側の、使用位置において隣接型枠エレメント(1)又は建物部分に向けられた表面に、扁平なトランスポンダ(6)よりも大きな少なくとも1つの凹設部(7)が設けられており、トランスポンダ(6)がこの凹設部(7)内において、該凹設部(7)の画成部によって取り囲まれて配置及び保持されていることを特徴とする型枠エレメント。
【請求項2】
トランスポンダ(6)が凹設部(7)内において、プラスチック材料及び/又は接着材料(8)によって保持又は固定されている、請求項1記載の型枠エレメント。
【請求項3】
凹設部(7)が、縁部ウェブ(3)又はフレーム又は支持体(4)の、型枠パネル又は型枠エレメント(1)の中心に向かって位置する側において、閉鎖されており、又は場合によっては後から閉鎖される、請求項1又は2記載の型枠エレメント。
【請求項4】
型枠エレメントが、金属製の外側フレームを備えた型枠パネルであり、外側フレームが、型枠板(2)に対してほぼ直角に突出している縁部ウェブ(3)から成っていて、該縁部ウェブ(3)が扁平材料又は成形材から成っており、縁部ウェブ(3)の横断面が型枠板(2)から、自由な又は間隔をおいて位置する縁部(3a)にまで、離れる方向で延びており、縁部ウェブ(3)に、使用位置において隣接型枠パネルの縁部ウェブが、間接的に又は直に接触していて、互いに接触している縁部ウェブを相互に固定するための結合手段が係合しており、トランスポンダ(6)を受容する凹設部(7)が、縁部ウェブ(3)の、型枠パネル(1)の中心から離れる方向に位置する外面(3b)において、該外面(3b)に対して、型枠パネルの中心に向かう方向に引っ込んで、一体成形されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の型枠エレメント。
【請求項5】
縁部ウェブ(3)が扁平材料から形成されていて、凹設部(7)がエンボス加工によって形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の型枠エレメント。
【請求項6】
縁部ウェブ(3)が成形材又は押出し成形材又は中空成形材、例えば方形形鋼のような成形材であり、凹設部(7)が切削又は非切削式の材料の除去によって、特にフライス加工によって形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の型枠エレメント。
【請求項7】
トランスポンダ(6)が使用位置において凹設部(7)内に沈み込んでいて、この場合トランスポンダ(6)は外面(3b)に向けられた側において、特にプラスチック材料及び/又は接着材料(8)によってカバーされており、トランスポンダのこのカバーが、縁部ウェブ(3)又は外側フレーム又は支持体(4)の外面と特に同一平面を成している、請求項1から6までのいずれか1項記載の型枠エレメント。
【請求項8】
トランスポンダ(6)が凹設部(7)内においてプラスチック材料及び/又は接着材料(8)内に埋め込まれている、請求項1から7までのいずれか1項記載の型枠エレメント。
【請求項9】
プラスチック材料及び/又は接着材料(8)がエポキシ樹脂ベースの2成分接着剤である、請求項1から8までのいずれか1項記載の型枠エレメント。
【請求項10】
型枠エレメントが方形の型枠パネルであり、該型枠パネルが少なくとも2つのトランスポンダ(6)を、互いに直角に又は互いに平行に配置された縁部ウェブ(3)又は支持体(4)における、互いに間隔をおいて位置する凹設部(7)内に有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の型枠エレメント。
【請求項11】
それぞれ少なくとも2つの縁部ウェブ(3)又は支持体(4)において、方形の型枠エレメント(1)の1つの角隅の近傍にそれぞれ、トランスポンダ(6)のための少なくとも1つの凹設部(7)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の型枠エレメント。
【請求項12】
2つの凹設部(7)が型枠エレメント(1)においてほぼ中央に、及び/又は型枠エレメント(1)の中心を通って延びる、場合によっては型枠エレメントの縁部に対して斜めに方向付けられたライン上において、互いに向かい合って位置している、請求項1から11までのいずれか1項記載の型枠エレメント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−518295(P2010−518295A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549797(P2009−549797)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001110
【国際公開番号】WO2008/098755
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(591131224)パーシャル−ヴェルク ゲー マイヤー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】PASCHAL−WERK G. MAIER GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】