説明

負荷駆動装置

【課題】低廉かつ簡易な回路構成により、ノイズおよびスイッチング損失を低減し、合理的かつ効率的にスイッチング素子を駆動して、高効率及び高力率を達成することが可能な負荷駆動装置を提供する。
【解決手段】負荷駆動装置1は、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2と、第1、第2のダイオードD3、D4と、第1のコンデンサC1を含み、負荷駆動装置1の入力段を構成するデュアルブーストAC/DCコンバータと、高周波絶縁トランスT1と、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2と、第1、第2の共振コンデンサCrl、Cr2とを含み、負荷駆動装置1の出力段を構成する複合共振形DC/ACコンバータと、直流バス電圧を波形補正された誤差信号に基づいてPWM制御するともに出力電圧をPFM制御する制御手段5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷駆動装置に関し、特に、交流電源の交流電圧を整流手段により整流し、得られた直流出力をインバータ手段により交流に変換してトランスの一次側に印加することにより、トランスの二次側に接続された負荷を駆動する負荷駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11に、力率改善回路として昇圧コンバータ回路を用いた従来の負荷駆動装置の例を示す。図11に示す負荷駆動装置100は、ダイオードブリッジDBと、昇圧コンバータ回路(力率改善回路)101と、インバータ回路102とを含んでいる。負荷駆動装置100において、ダイオードブリッジDB及び昇圧コンバータ回路101は、商用AC電源の交流電圧Vinを整流・平滑化し、インバータ回路102は、昇圧コンバータ回路101からの直流出力を交流に変換して高周波絶縁トランスT11の一次側に印加し、高周波絶縁トランスT11の二次側に接続された負荷103を駆動する。この際、昇圧コンバータ回路101は、その昇圧動作を利用して、商用AC電源からの入力電流波形を入力電圧Vinと同位相の正弦波状に制御することにより、力率を改善するものである。
【0003】
負荷駆動装置100において、昇圧コンバータ回路(力率改善回路)101は、ダイオードブリッジDBの出力端子の一端にリアクトルL11とダイオードD11の直列回路を接続し、ダイオードD11とダイオードブリッジDBの出力端子の他端との間に平滑用コンデンサC11を接続し、リアクトルL11とダイオードD11の接続点とダイオードブリッジDBと平滑用コンデンサC11の接続点の間にスイッチング素子Q11を接続して構成される。
【0004】
また、インバータ回路102は、平滑用コンデンサC11の正極端子と負極端子と並列に、高周波絶縁トランスT11の一次巻線、スイッチング素子Q13、及びコンデンサC12を含む直列回路を接続し、高周波絶縁トランスT11の一次巻線とスイッチング素子Q13の接続点と、平滑用コンデンサC11の負極端子との間にスイッチング素子Q12を接続して構成される。尚、高周波絶縁トランスT11は、その一次側と直列に形成されるリーケージインダクタンスLsと、一次側と並列に形成される励磁インダクタンスLmとを有している。
【0005】
スイッチング素子Q13とスイッチング素子Q12には、それぞれ逆並列にダイオードD13、D12が接続されており、スイッチング素子がMOSFETの場合、このダイオードはMOSFETの寄生ダイオードで代用可能である。
【0006】
負荷駆動装置100において、昇圧コンバータ回路101のスイッチング素子Q11のゲート電極には、スイッチング素子ドライブ回路104からパルス信号が印加され、このパルス信号によってスイッチング素子Q11をオン/オフ動作させることにより、出力電圧を昇圧するとともに力率を改善する。そして、インバータ回路102のスイッチング素子Q13、Q12のそれぞれのゲート電極には、スイッチング素子ドライブ回路15からパルス信号が印加され、このパルス信号によってスイッチング素子Q13とスイッチング素子Q12を交互にオン/オフ動作させることにより、負荷13に交流電力を供給する。
【0007】
このように構成された負荷駆動装置100は、ダイオードブリッジDB、昇圧コンバータ回路101、インバータ回路102がそれぞれ独立した個別の回路として構成されているため、電力損失が大きく、効率を低下させるとともに、部品点数が多くなる結果、コストが増大するという問題がある。
【0008】
従来、このような問題を解決するため、AC入力を整流するダイオードブリッジを含まないコンバータ回路を構成した負荷駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図12に示す電力変換装置(負荷駆動装置)200は、コンバータ回路202と、インバータ回路203と、制御回路204とを含む。電力変換装置200は、商用AC電源205から入力される交流電力をコンバータ回路202によって整流・平滑化し、コンバータ回路202からの直流出力をインバータ回路203によって三相交流に変換して、負荷(電動機)206へ供給する。
【0010】
電力変換装置200において、コンバータ回路202は、ブリッジ回路202a、リアクトルL、およびコンデンサCからなる。ブリッジ回路202aは、商用AC電源205に接続され、4つのダイオードD21〜D24がブリッジ結線されている。リアクトルLは、商用AC電源205の一方の電極とブリッジ回路202aとの間に接続されている。コンデンサCは、ブリッジ回路202aの出力側に設けられ、ブリッジ回路202aの出力電流が充放電されて、その両端電圧がコンバータ回路202の出力電圧となる。また、ブリッジ回路202aにおいて、リアクトルLが接続される側の、商用電源205の入力点に対する上アームおよび下アームの各ダイオードD21、D22には、スイッチング素子T1、T2が並列接続されている。このスイッチング素子T1、T2は、MOS−FETで構成されている。尚、図示は省略するが、インバータ回路203は、例えば6つのスイッチング素子が三相ブリッジ結線されてなるものである。
【0011】
ブリッジ回路202aは、制御回路204によるスイッチング制御により同期整流を行う。具体的には、制御回路204は、スイッチング素子T1、T2に逆電圧が印可されるタイミング、すなわち、スイッチング素子T1、T2と並列に接続されたダイオードD21、D22がオンするタイミングで、スイッチング素子T1、T2をオンし、これによって、電流が、ダイオードD21、D22ではなく、スイッチング素子T1、T2を流れることになる。
【0012】
電力変換装置200は、ブリッジ回路202aにおいてこのような同期整流を実施することによって、ダイオードD21、D22に電流が流れる場合と比較して、損失の低減、ひいては電力変換効率の向上を図るものである。また、特許文献1では、電力変換装置200において、スイッチング素子T1、T2のオン/オフを次のように制御することにより、力率改善を行うことができるとしている。
【0013】
その制御方法は、商用AC電源205の前半の半周期(交流電圧が正の範囲)において、商用AC電源205からの電圧Viがブリッジ回路202aの出力電圧Voより低い期間、一定時間スイッチング素子T2をオンし、一定時間経過後、スイッチング素子T2をオフすると同時にスイッチング素子T1をオンし、その後、スイッチング素子T1の両端がゼロ電圧になるまでオンする。そして、商用AC電源205の後半の半周期(交流電圧が負の範囲)において、入力電圧Viが出力電圧Voより高い期間、一定時間スイッチング素子T1をオンし、一定時間経過後、スイッチング素子T1をオフすると同時にスイッチング素子T2をオンし、その後、スイッチング素子T2の両端がゼロ電圧になるまでオンする、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−61412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図12に示す電力変換装置200では、力率改善機能を有するコンバータ回路202とインバータ回路203とは、それぞれ独立した個別の回路により構成されており、スイッチング損失の低減、及び、部品点数、ひいてはコストの削減に関して、十分なものとは言えない。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低廉かつ簡易な回路構成により、ノイズおよびスイッチング損失を低減して、高効率及び高力率を達成することが可能な負荷駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0018】
(1)交流電源の交流電圧を整流する整流手段と、力率改善動作を行うとともに直流バス電圧を出力する昇圧手段と、2つのスイッチング素子及びトランスを有し、前記直流バス電圧を交流に変換して前記トランスの一次側に印加するインバータ手段と、前記2つのスイッチング素子を駆動する制御手段とを備え、前記トランスの二次側に接続された負荷を駆動する負荷駆動装置において、前記インバータ手段の前記2つのスイッチング素子は、前記整流手段の整流素子並びに前記昇圧手段の整流素子及びスイッチング素子を兼ねており、前記交流電圧を検出する交流電圧検出回路と、前記直流バス電圧を検出する直流バス電圧検出回路とをさらに備え、前記制御手段は、前記直流バス電圧検出回路の出力信号から得られる第1誤差信号に波形補正信号を重畳した直流バス電圧誤差信号に基づいてパルス幅または周波数が可変制御された基準パルス信号を生成するとともに、前記交流電圧検出回路の出力信号に基づいて、前記基準パルス信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにスイッチング素子をオン/オフ動作させる駆動信号を、前記交流電圧の半周期毎に前記2つのスイッチング素子に対して交互に出力し、かつ、前記2つのスイッチング素子を相補的にオン/オフ動作させることを特徴とする負荷駆動装置(請求項1)。
【0019】
(2)(1)項に記載の負荷駆動装置において、前記制御手段は、前記直流バス電圧検出回路の出力信号を入力し、該出力信号と第1基準電圧との誤差に基づく第1誤差信号を出力する第1誤差増幅器と、該第1誤差信号に波形補正信号を重畳して前記直流バス電圧誤差信号を生成する波形補正信号重畳回路部と、所定の周波数のキャリア信号を出力する発振器と、前記直流バス電圧誤差信号と前記キャリア信号を入力し、前記直流バス電圧誤差信号を前記キャリア信号によりパルス幅変調して、前記基準パルス信号を生成する比較回路部と、前記交流電圧検出回路の出力信号を入力するとともに、前記基準パルス信号を入力する第1入力、及び、前記第1入力から入力される前記基準パルス信号と前記基準パルス信号の反転信号とを前記交流電圧の半周期毎に交互に出力する第1出力を少なくとも有するパルス信号反転回路部と、前記パルス信号反転回路部の前記第1出力からの出力信号を入力する第2入力を少なくとも有し、前記2つのスイッチング素子の一方に対して、前記第2入力からの入力信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにオン/オフ動作させる駆動信号を出力し、前記2つのスイッチング素子の他方に対して、前記第2入力からの入力信号によるオン/オフ動作と相補的にオン/オフ動作させる駆動信号を出力するドライブ回路部と、を備えていることを特徴とする負荷駆動装置(請求項2)。
【0020】
ここで、(2)項に記載の負荷駆動装置において、好ましくは、前記パルス信号反転回路部は、前記基準パルス信号と前記基準パルス信号の反転信号とを、前記第1出力に対して前記交流電圧の半周期だけずらして、前記交流電圧の半周期毎に交互に出力する第2出力をさらに有しており、前記ドライブ回路部は、前記パルス信号反転回路部の前記第2出力からの出力信号を入力する第3入力をさらに有し、前記2つのスイッチング素子の一方に対して、前記第2入力からの入力信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにオン/オフ動作させる駆動信号を出力し、前記2つのスイッチング素子の他方に対して、前記第3入力からの入力信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにオン/オフ動作させる駆動信号を出力するものである。
さらに好ましくは、前記比較回路部は、前記基準パルス信号と前記基準パルス信号の反転信号の両方を出力し、前記パルス信号反転回路部は、前記基準パルス信号の反転信号を入力する第4入力をさらに有し、前記第1出力は、前記第1入力からの入力信号と該入力信号の反転信号とを前記交流電圧の半周期毎に交互に出力し、前記第2出力は、前記第4入力からの入力信号と該入力信号の反転信号を前記交流電圧の半周期毎に交互に出力するものである。
【0021】
(3)(1)項に記載の負荷駆動装置において、前記トランスの二次側の出力電圧を検出する出力電圧検出回路をさらに備えており、前記制御手段は、前記出力電圧検出回路の出力信号に基づいて前記基準パルス信号の周波数を可変制御することを特徴とする負荷駆動装置(請求項3)。
【0022】
(4)(3)項に記載の負荷駆動装置において、前記制御手段は、前記直流バス電圧検出回路の出力信号を入力し、該出力信号と第1基準電圧との誤差に基づく第1誤差信号を出力する第1誤差増幅器と、該第1誤差信号に波形補正信号を重畳して前記直流バス電圧誤差信号を生成する波形補正信号重畳回路部と、前記出力電圧検出回路の出力信号を入力し、該出力信号と第2基準電圧との誤差に基づく第2誤差信号を出力する第2誤差増幅器と、前記第2誤差信号を入力し、該第2誤差信号に応じて変動する周波数を有するキャリア信号を出力する発振器と、前記直流バス電圧誤差信号と前記キャリア信号を入力し、前記直流バス電圧誤差信号を前記キャリア信号によりパルス幅変調及びパルス周波数変調して、前記基準パルス信号を出力する比較回路部と、前記交流電圧検出回路の出力信号を入力するとともに、前記基準パルス信号を入力する第1入力、及び、前記第1入力から入力される前記基準パルス信号と前記基準パルス信号の反転信号とを前記交流電圧の半周期毎に交互に出力する第1出力を少なくとも有するパルス信号反転回路部と、前記パルス信号反転回路部の前記第1出力からの出力信号を入力する第2入力を少なくとも有し、前記2つのスイッチング素子の一方に対して、前記第2入力からの入力信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにオン/オフ動作させる駆動信号を出力し、前記2つのスイッチング素子の他方に対して、前記第2入力からの入力信号によるオン/オフ動作と相補的にオン/オフ動作させる駆動信号を出力するドライブ回路部と、を備えることを特徴とする負荷駆動装置(請求項4)。
【0023】
ここで、(4)項に記載の負荷駆動装置において、好ましくは、前記パルス信号反転回路部は、前記基準パルス信号と前記基準パルス信号の反転信号とを、前記第1出力に対して前記交流電圧の半周期だけずらして、前記交流電圧の半周期毎に交互に出力する第2出力をさらに有しており、前記ドライブ回路部は、前記パルス信号反転回路部の前記第2出力からの出力信号を入力する第3入力をさらに有し、前記2つのスイッチング素子の一方に対して、前記第2入力からの入力信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにオン/オフ動作させる駆動信号を出力し、前記2つのスイッチング素子の他方に対して、前記第3入力からの入力信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにオン/オフ動作させる駆動信号を出力するものである。
さらに好ましくは、前記比較回路部は、前記基準パルス信号と前記基準パルス信号の反転信号の両方を出力し、前記パルス信号反転回路部は、前記基準パルス信号の反転信号を入力する第4入力をさらに有し、前記第1出力は、前記第1入力からの入力信号と該入力信号の反転信号とを前記交流電圧の半周期毎に交互に出力し、前記第2出力は、前記第4入力からの入力信号と該入力信号の反転信号を前記交流電圧の半周期毎に交互に出力するものである。
【0024】
(5)(2)または(4)項に記載の負荷駆動装置において、前記制御手段は、前記交流電圧の半周期の切替わり時点から所定の期間、前記2つのスイッチング素子をオフ状態にすることを特徴とする負荷駆動装置。
【0025】
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の負荷駆動装置において、前記波形補正信号は、高調波成分信号を含むことを特徴とする負荷駆動装置。
【0026】
(7)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の負荷駆動装置において、前記波形補正信号は、制限波信号を含むことを特徴とする負荷駆動装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る負荷駆動装置は、以上のように構成したため、交流電源の交流電圧を整流する整流手段と、力率改善動作を行う昇圧手段と、昇圧手段の直流出力を交流に変換するインバータ手段とを備えた負荷駆動装置を、それぞれの手段を独立した個別の回路として構成することなく、部品点数を削減して低廉かつ簡易に構成することが可能となるとともに、EMIノイズおよびスイッチング損失を低減し、負荷駆動装置の高効率化を達成することが可能となる。
また、スイッチング素子のスイッチング動作を、直流バス電圧に基づいてパルス幅変調制御またはパルス周波数変調制御することによって、交流電源からの入力電圧が変動しても、所望の直流バス電圧を安定に保持することが可能となる。さらに、スイッチング素子のスイッチング動作を、直流バス電圧に基づいてパルス幅変調制御し、同時に、出力電圧に基づいてパルス周波数変調制御することによって、直流バス電圧と出力電圧の2つの制御量に対して2つの異なる制御方式を併用し、合理的かつ効率的にスイッチング素子を駆動することが可能になり、負荷駆動装置のさらなる高効率化を達成することができる。
さらに、本発明に係る負荷駆動装置によれば、直流バス電圧検出回路の出力信号から得られる第1誤差信号に波形補正信号を重畳した直流バス電圧誤差信号に基づいて、直流バス電圧をPWM制御することが可能となり、これによって、入力電流波形の歪みを相殺し、負荷駆動装置の高力率化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態における負荷駆動装置を示す回路構成図である。
【図2】図1に示す負荷駆動装置において、入力段のAC/DCコンバータの基本動作を示す波形図である。
【図3】図1に示す負荷駆動装置において、出力段のDC/DCコンバータの入出力電圧ゲイン特性を示す図である。
【図4】図1に示す負荷駆動装置における制御手段の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4に示す制御手段において、パルス信号反転回路部の動作の一例を示す波形図である。
【図6】(a)及び(b)は、図1に示す負荷駆動装置において、電流不連続モードにおける主要部の動作の一例を示す波形図である。
【図7】図1に示す負荷駆動装置において、電流連続モードにおける主要部の動作の一例を示す波形図であり、(a)は、比較例として、制御手段が波形補正信号重畳回路部を有さない場合の波形を示し、(b)は、本発明の実施形態として、制御手段が波形補正信号重畳回路部を有する場合の例を示す。
【図8】本発明の第1の実施形態における負荷駆動装置において、パルス信号反転回路部の動作の別の例を示す波形図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における負荷駆動装置の別の例を示す回路構成図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における負荷駆動装置の制御手段の構成例を示すブロック図である。
【図11】従来の負荷駆動装置の一例を示す回路構成図である。
【図12】従来の負荷駆動装置の別の例を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における負荷駆動装置の一例を示す回路構成図である。図1において、図11に示した従来の負荷駆動装置100と共通する構成要素には同一符号を付している。
【0030】
図1に示す負荷駆動装置1は、リアクトルL1と、第1、第2のダイオードD3、D4と、第1のコンデンサC1と、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2と、高周波絶縁トランスT1と、第1の共振コンデンサCr1と、スイッチング素子ドライブ回路部(ドライブ回路部)2とを備えている。
【0031】
負荷駆動装置1において、第1、第2のダイオードD3、D4は直列に接続され、また、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2は直列に接続されており、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路及び第1のコンデンサC1は、第1、第2のダイオードD3、D4の直列回路と並列に接続されている。リアクトルL1は、一端が商用交流電源Vinの一端に接続され、他端は第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路の中間点に接続され、商用交流電源Vinの他端は、第1、第2のダイオードD3、D4の直列回路の中間点に接続されている。
【0032】
また、高周波絶縁トランスT1の一次側の一端は、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路の中間点に接続され、他端は、一次巻線に直列接続された第1の共振コンデンサCr1を介して第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路の一端に接続されている。そして、高周波絶縁トランスT1の二次側には、整流平滑化回路を介して負荷3が接続されており、本実施形態において、この整流平滑化回路は、高周波絶縁トランスT1の二次側の一端に接続された第3のダイオードD8と、高周波絶縁トランスT1の二次巻線と並列に接続された出力コンデンサC4からなる。
【0033】
尚、負荷駆動装置1において、高周波絶縁トランスT1の一次側の一端を、一次巻線に直列接続された第1の共振コンデンサCr1を介して第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路の中間点に接続し、他端を、(第1の共振コンデンサCr1を介することなく)第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路の一端に接続するものであってもよい。
【0034】
高周波絶縁トランスT1は、その一次側に、高周波絶縁トランスT1の一次巻線と直列に形成されたリーケージインダクタンスLsと、高周波絶縁トランスT1の一次巻線と並列に形成された励磁インダクタンスLmを有している。また、第1のスイッチング素子Q1と並列に、第2の共振コンデンサCr2が接続されている。
【0035】
本実施形態において、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2は、MOSFETからなり、第1のスイッチング素子Q1、第2のスイッチング素子Q2は、それぞれ、内蔵された寄生ダイオードD1、D2を含んでいる。
【0036】
負荷駆動装置1の入力段は、リアクトルL1と、第1、第2のダイオードD3、D4と、第1のコンデンサC1と、それぞれ寄生ダイオードD1、D2を内蔵する第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2とを含み、整流回路及び昇圧回路として機能するデュアルブーストAC/DCコンバータから構成され、このデュアルブーストAC/DCコンバータは、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2と、第1、第2のダイオードD3、D4との組合せによって、商用交流電源Vinの交流電圧を全波整流するとともに、リアクトルL1と、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2と、第1のコンデンサC1との組合せによって、整流電圧を昇圧しつつ力率を改善するものである。
【0037】
一方、負荷駆動装置1の出力段は、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2及び高周波絶縁トランスT1を有し、デュアルブーストAC/DCコンバータの出力電圧である直流バス電圧を交流に変換して高周波絶縁トランスT1の一次側に印加するインバータ手段と、第3のダイオードD8及び出力コンデンサC4から高周波絶縁トランスT1の二次側に構成された整流平滑化回路とを含み、さらに、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2、リーケージインダクタンスLs、励磁インダクタンスLm、第1の共振コンデンサCr1、及び、第2の共振コンデンサCr2による複合共振動作によって、ソフトスイッチング動作を行う、複合共振DC/DCコンバータとして構成されている。
【0038】
このような入力段と出力段とを有し、全体として、デュアルブースト複合共振AC/DCコンバータを構成する負荷駆動装置1は、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を、整流回路、昇圧回路、及びインバータ手段の共通の構成要素として用いることを1つの特徴とするものであり、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2は、インバータ手段のスイッチング素子として機能することに加えて、整流回路における整流素子、及び、昇圧回路の整流素子及びスイッチング素子としても機能する。
【0039】
さらに、本実施形態において、負荷駆動装置1は、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動する制御手段5を備えており、制御手段5は、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2に対して駆動信号(ゲート駆動信号)を出力するスイッチング素子ドライブ回路部2と、スイッチング素子ドライブ回路部2の動作を制御する制御回路部4からなる。また、負荷駆動装置1は、商用交流電源Vinから入力される交流電圧を検出する交流電圧検出回路、第1のコンデンサC1の両端間電圧である直流バス電圧を検出する直流バス電圧検出回路、及び、出力コンデンサC4の両端間電圧である出力電圧を検出する出力電圧検出回路を備えており、それぞれの検出回路からの出力信号は、制御回路部4に入力される。
【0040】
尚、図1では、交流電圧検出回路、直流バス電圧検出回路、及び、出力電圧検出回路は、それぞれ、商用交流電源Vinの一端とリアクトルL1の一端との接続点(A)、第1のコンデンサC1と第2のスイッチング素子Q2との接続点(B)、及び、出力コンデンサC4と第3のダイオードD8との接続点(C)から制御回路部4に入力される信号の流れとして模式的に示されているが、本発明において、これらの検出回路は、各接続点A、B、Cの電圧を検出する任意の適切な回路を使用することができる。例えば、これらの検出回路は、単に各接続点A、B、Cと制御回路部4の各入力端子とを接続する配線からなり、各接続点A、B、Cの電圧信号が直接制御回路部4に入力されるものであってもよく、あるいは、例えば分圧回路またはフォトカプラ等を含む任意の適切な検出回路を用いて、それらの検出回路からの各接続点A、B、Cの電圧に対応する出力信号を制御回路部4に入力するものであってもよい。本発明では、これらの全ての場合を総称して、交流電圧検出回路、直流バス電圧検出回路、及び、出力電圧検出回路、並びに、各検出回路からの出力信号という。
【0041】
次に、負荷駆動装置1の動作について説明する。但し、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動する制御手段5の構成及び動作の詳細については後述し、まず、負荷駆動装置1における入力段と出力段の基本動作を説明する。また、以下の説明において、商用交流電源Vinの極性が、図1に符号「+」、「−」で示した極性となる期間を交流電圧の正の半周期、上記極性と逆の極性となる期間を負の半周期という。
【0042】
負荷駆動回路1の入力段を構成するAC/DCコンバータ(整流回路及び昇圧回路)において、交流電圧の正の半周期では、第1のスイッチング素子Q1は、昇圧コンバータ回路におけるスイッチング素子(主スイッチング素子)として機能し、このとき、第2のスイッチング素子Q2は、昇圧コンバータ回路における整流素子(同期整流素子)として機能する。
具体的には、交流電圧の正の半周期において、第1のスイッチング素子Q1がターンオンされ、かつ第2のスイッチング素子Q2がターンオフされている間、商用交流電源Vinから、リアクトルL1、第1のスイッチング素子Q1、及び第1のダイオードD3を経て商用交流電源Vinに戻る電流経路が形成され、リアクトルL1にエネルギーが蓄積される。そして、第1のスイッチング素子Q1がターンオフされ、かつ第2のスイッチング素子Q2がターンオンされると、商用交流電源Vinから、リアクトルL1、第2のスイッチング素子Q2、及び第1のコンデンサC1を経て商用交流電源Vinに戻る電流経路が形成されて第1のコンデンサC1が充電され、リアクトルL1に蓄積されたエネルギーが第1のコンデンサC1に移送される。第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2のこのようなオン/オフ動作が繰り返されることによって、昇圧(及び整流)が達成され、第1のコンデンサC1の両端間電圧として、直流バス電圧が出力される。
【0043】
一方、交流電圧の負の半周期では、第2のスイッチング素子Q2が、昇圧コンバータ回路におけるスイッチング素子(主スイッチング素子)として機能し、このとき、第1のスイッチング素子Q1は、昇圧コンバータ回路における整流素子(同期整流素子)として機能する。
具体的には、交流電圧の負の半周期において、第2のスイッチング素子Q2がターンオンされ、かつ第1のスイッチング素子Q1がターンオフされている間、商用交流電源Vinから、第2のダイオードD4、第2のスイッチング素子Q2、及びリアクトルL1を経て商用交流電源Vinに戻る電流経路が形成され、リアクトルL1にエネルギーが蓄積される。そして、第2のスイッチング素子Q2がターンオフされ、かつ第1のスイッチング素子Q1がターンオンされると、商用交流電源Vinから、第2のダイオードD4、第1のコンデンサC1、第1のスイッチング素子Q1、及びリアクトルL1を経て商用交流電源Vinに戻る電流経路が形成されて第1のコンデンサC1が充電され、リアクトルL1に蓄積されたエネルギーが第1のコンデンサC1に移送される。第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2のこのようなオン/オフ動作が繰り返されることによって、昇圧(及び整流)が達成され、第1のコンデンサC1の両端間電圧として、直流バス電圧が出力される。
【0044】
このように、負荷駆動装置1の入力段は、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2のうちの一方を主スイッチング素子、他方を同期整流素子とし、それぞれが担う主スイッチング素子及び同期整流素子としての機能を交流電圧の半周期毎に切替えつつ相補的にオン/オフ動作させることによって、交流電圧を整流及び昇圧するデュアルブーストAC/DCコンバータを構成するものである。
【0045】
図2は、このようなAC/DCコンバータを電流不連続モードで動作させた場合の、主スイッチング素子のオン/オフ動作とリアクトルL1に流れる電流(以下、リアクトル電流ともいう)IL1を示す波形図である。図2に示すように、主スイッチング素子(交流電圧の正の半周期では第1のスイッチング素子Q1、負の半周期では第2のスイッチング素子Q2)のオン時間D1の間にリアクトル電流IL1は直線的に増大し、主スイッチング素子(Q1またはQ2)がターンオフされると、リアクトル電流IL1は直線的に減少して時間D2の経過後ゼロになる。そして、時間D3の経過後、再び、主スイッチング素子(Q1またはQ2)がターンオンされ、以後、同様の動作が繰り返される。
電流不連続モードの場合、AC/DCコンバータの出力電圧(第1のコンデンサC1の両端間電圧)である直流バス電圧VBUSは、入力電圧をVin(t)として、
BUS=((D1+D2)/D2)Vin(t)
と表すことができ、この直流バス電圧VBUSは、主スイッチング素子のオン/オフ動作を、パルス幅変調(PWM)制御することによって、所望の電圧に制御することができる。
【0046】
一方、負荷駆動回路1の出力段を構成するDC/DCコンバータに着目し、その基本動作を説明すれば、次の通りである。
負荷駆動装置1の出力段を構成するDC/DCコンバータにおいて、直列に接続された第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2は、いわゆるハーフブリッジ回路を構成しており、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2とが交互にオン/オフ動作することによって、直流バス電圧を交流電圧に変換して高周波絶縁トランスT1の一次側に印加する。そして、高周波絶縁トランスT1の二次側に発生する交流電圧は、第3のダイオードD8及び出力コンデンサC4からなる整流平滑化回路によって整流平滑化され、出力コンデンサC4の両端間電圧である直流出力電圧が、負荷3に印加される。
【0047】
また、このDC/DCコンバータにおいて、ソフトスイッチング動作は、主として、リーケージインダクタンスLs、励磁インダクタンスLm、第1の共振コンデンサCr1を含むLLC共振回路により、電流共振動作と電圧擬似共振動作の複合共振にて実現される。このLLC共振回路はSMZ共振回路とも称され、スイッチング動作に関しては、ターンオン時に、(1)ゼロ電流スイッチング、(2)ゼロ電圧スイッチング、(3)電圧擬似共振動作が実現するものである。加えて、ハーフブリッジを構成するローサイドスイッチである第1のスイッチング素子Q1と並列に(すなわち、第1のスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に)、第2の共振コンデンサ(電圧共振用コンデンサ)Cr2を接続することで、第1のスイッチング素子Q1のターンオフ時におけるドレイン電圧の立ち上がり波形が共振して電圧擬似共振動作が実現でき、これによって、ターンオフ時の損失も改善される。
【0048】
このようなLLC共振回路を備えたDC/DCコンバータの入出力電圧特性を、図3に示す。ここで、図3に示すf1、f2は、LLC共振回路が有する2つの共振周波数であり、これらの第1の共振周波数f1および第2の共振周波数f2は、
f1=1/(2π√((Ls+Lm)・Cr1))
f2=1/(2π√((Ls+(Lm・Ls)/(Lm+Ls))・Cr1))
≒1/(2π√(Ls・Cr1))
で表される(f1<f2)。また、図3には、LLC共振回路に対する負荷の大きさに対応する複数の曲線が示されている(軽負荷ほどピークゲインが大きくなる)。図3に示すように、このゲイン特性は、第1の共振周波数f1においてピークゲインをとり、また、第2の共振周波数f2において、負荷に依らずにゲインが一定となる。そして、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2は、通常、第1の共振周波数f1と第2の共振周波数f2との間の周波数領域で駆動され、この周波領域では、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2から見た負荷が誘導インピーダンスとなり、上述したソフトスイッチングが適切に実行される。
さらに、図3から、この周波数領域では、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の駆動周波数を下げることで出力電圧を上昇させ、駆動周波数を上げることで出力電圧を下げるように、出力電圧を制御できることが分かる。
【0049】
本実施形態における負荷駆動装置1は、上述したような入力段及び出力段の特徴に着目し、制御手段5によって、直流バス電圧のパルス幅変調(PWM)制御と、出力電圧のパルス周波数変調(PFM)制御とを併用しつつ、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を合理的かつ効率的に駆動するものであり、以下、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動する制御手段5について詳述する。
【0050】
図4に示すように、負荷駆動装置1において、制御手段5は、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2に対してそれぞれの駆動信号を出力するスイッチング素子ドライブ回路部2と、スイッチング素子ドライブ回路部2の動作を制御する制御回路部4からなる。また、制御回路部4は、第1誤差増幅器6、第2誤差増幅器7、発振器8、比較回路部9、パルス信号反転回路部10、及び波形補正信号重畳回路部11を含んでおり、第1誤差増幅器6には、直流バス電圧検出回路の出力信号(図1の接続点Bからの信号)が入力され、第2誤差増幅器7には、出力電圧検出回路の出力信号(図1の接続点Cからの信号)が入力され、パルス信号反転回路部10には、交流電圧検出回路の出力信号(図1の接続点Aからの信号)が入力される。
【0051】
第1誤差増幅器6には、所定の第1基準電圧(図示は省略する)も入力されており、直流バス電圧検出回路の出力信号と第1基準電圧との誤差を増幅して得られる第1誤差信号を生成し、波形補正信号重畳回路部11に出力する。波形補正信号重畳回路部11は、後述する波形補正信号を重畳し、第1誤差信号の波形を補正して比較回路部9に出力する(以下、波形補正信号が重畳された第1誤差信号を、直流バス電圧誤差信号という)。また、第2誤差増幅器7には、所定の第2基準電圧(図示は省略する)も入力されており、出力電圧検出回路の出力信号と第2基準電圧との誤差を増幅して得られる第2誤差信号を、発振器8に出力する。発振器8は、第2誤差信号に応じて変動する周波数を有するキャリア信号(例えば、鋸歯状波または三角波)を生成し、そのキャリア信号を比較回路部9に出力する。比較回路部9は、入力された直流バス電圧誤差信号とキャリア信号とを比較し、直流バス電圧誤差信号をキャリア信号により変調して、基準パルス信号RP及び基準パルス信号RPのハイ/ローのレベルを反転した反転信号IRPを出力する。第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2のオン/オフ動作のオンデューティ及び制御周波数は、後述するように、基準パルス信号RPのパルス幅及び周期に基づいて決定される。
【0052】
パルス信号反転回路部10は、基準パルス信号RPを入力する第1入力aとその反転信号IRPを入力する第4入力bを有するとともに、基準パルス信号RPと反転信号IRPとを交流電圧の半周期毎に交互に出力する第1出力cと、基準パルス信号と反転信号IRPとを、第1出力cに対して交流電圧の半周期だけずらして、交流電圧の半周期毎に交互に出力する第2出力dを有している。図4の例では、第1出力cは、第1のスイッチング素子Q1のためのゲート駆動用パルス信号(以下、第1パルス信号ともいう)QP1を出力し、第2出力dは、第2のスイッチング素子Q2のためのゲート駆動用パルス信号(以下、第2パルス信号ともいう)QP2を出力するものとする。
【0053】
図5は、パルス信号反転回路部10から出力される第1、第2パルス信号QP1、QP2の波形を、交流電圧の位相と関連させて模式的に示す図である。図5において、交流電圧(AC入力電圧)の正の半周期では、第1のパルス信号QP1は基準パルス信号RPに等しく、第2のパルス信号QP2は反転信号IRPに等しい。すなわち、この間、第1のパルス信号QP1の周期P1及びパルス幅PW1は、基準パルス信号RPの周期及びパルス幅に等しく、第2パルス信号QP2は、第1パルス信号QP1と同一の周期(P1=P2)であって、かつ、第1のパルス信号QP1と相補的なパルス幅(PW2=P2−PW1)を有する。
次いで、パルス信号反転回路部10は、交流電圧検出回路からの出力信号により、交流電圧の正の半周期から負の半周期への相の切替わり(図5に示すZ)を検出すると、基準パルス信号RPの次の周期から(図5に示す時点M以後)、第1のパルス信号QP1が反転信号IRPに等しく、第2のパルス信号QP2が、基準パルス信号RPに等しくなるように、出力を切替える。そして、図示は省略するが、パルス信号反転回路部10は、交流電圧検出回路からの出力信号により、交流電圧の負の半周期から正の半周期への相の切替わりを検出すると、基準パルス信号RPの次の周期から、再び、第1のパルス信号QP1が基準パルス信号RPに等しく、第2のパルス信号QP2が反転信号IRPに等しくなるように出力を切替え、以後、この切替え動作を繰り返す。
例えば、パルス信号反転回路部10は、交流電圧の正の半周期の間は、第1、第4入力a、bからの入力信号を、そのままの形でそれぞれ第1、第2出力c、dから出力し、交流電圧の負の半周期の間は、第1、第4入力a、bからの入力信号を反転して、それぞれ第1、第2出力c、dから出力するものであってもよい。
【0054】
スイッチング素子ドライブ回路部2は、パルス信号反転回路部10からそれぞれ第1、第2パルス信号QP1、QP2を入力する第2、第3入力e、fを有している。そして、第2入力eからの第1パルス信号QP1に従って、そのパルス幅に等しいオン時間を有するようにスイッチング素子をオン/オフ動作させる駆動信号(ゲート駆動信号)を生成して、第1のスイッチング素子Q1に対して出力し、第3入力fからの第2パルス信号QP2に従って、そのパルス幅に等しいオン時間を有するように(したがって、第1のスイッチング素子Q1に対して相補的に)スイッチング素子をオン/オフ動作させる駆動信号(ゲート駆動信号)を生成して、第2のスイッチング素子Q2に対して出力する。
【0055】
これによって、交流電圧の正の半周期において、第1のスイッチング素子Q1は、基準パルス信号RPのパルス幅PW1に等しいオン時間及び周期(すなわち、オンデューティ及び制御周波数)を有するように駆動されて昇圧コンバータ回路の主スイッチング素子として機能し、このとき、第2のスイッチング素子Q2は、第1のスイッチング素子Q1と相補的にオン/オフ動作して昇圧コンバータ回路の同期整流素子として機能する。また、交流電圧の負の半周期では、第2のスイッチング素子Q2が、基準パルスRPのパルス幅PW1に等しいオン時間及び周期(すなわち、オンデューティ及び制御周波数)を有するように駆動されて昇圧コンバータ回路の主スイッチング素子として機能し、このとき、第1のスイッチング素子Q1は、第2のスイッチング素子Q2と相補的にオン/オフ動作して昇圧コンバータ回路の同期整流素子として機能する。
【0056】
制御手段5は、直流バス電圧誤差信号をキャリア信号によりパルス幅変調して得られる基準パルス信号RPに基づいて、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を上述したように駆動することによって、負荷駆動装置1の入力段を構成するAC/DCコンバータにおいて、直流バス電圧をPWM制御し、入力される交流電圧の変動によらずに所望の直流バス電圧を達成するものである。この際、上記第1基準電圧は、所望の直流バス電圧に基づいて適切に設定することができる。
一方、負荷駆動装置1の出力段を構成するDC/DCコンバータの構成要素としての第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の動作に着目すれば、制御手段5の発振器8は、出力するキャリア信号の周波数が第2誤差信号に基づいて変動するものであり、基準パルス信号RPは、第1誤差信号を、パルス幅変調と同時にパルス周波数変調して得られるものとなっている。したがって、この基準パルス信号RPに基づいて第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動することで、出力電圧をPFM制御し、所望の出力電圧を達成することができる。この際、上記第2基準電圧は、DC/DCコンバータにおける所望の入出力電圧ゲイン(ひいては、所望の出力電圧)が得られる制御周波数に基づいて、適切に設定することができる。
【0057】
尚、本実施形態では、パルス信号反転回路部10は、第1パルス信号QP1を出力する第1出力cと、第2パルス信号QP2を出力する第2出力dを有するものとしたが、パルス信号反転回路部10は、第1パルス信号QP1を出力する第1出力cのみを有し、スイッチング素子ドライブ回路部2は、第1パルス信号QP1を入力する第2入力eのみを有して、スイッチング素子ドライブ回路部2が、第2入力eからの入力信号のパルス幅に等しいオン時間を有するようにスイッチング素子をオン/オフ動作させる駆動信号とともに、第2入力eからの入力信号によるオン/オフ動作と相補的にスイッチング素子をオン/オフ動作させる駆動信号を生成して、それぞれの駆動信号を、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2に出力するものであってもよい。
さらに、比較回路部9は、基準パルス信号RPのみを出力し、パルス信号反転回路部10は、基準パルス信号RPを入力する第1入力aのみを有するものであってもよい。この場合、パルス信号反転回路部10は、第1及び第2出力c、dを有して、入力された基準パルス信号RPに基づいて、第1パルス信号QP1とともに第2パルス信号QP2を生成して、スイッチング素子ドライブ回路部2に出力するものであってもよく、あるいは、上述したように、第1出力cのみを有して、第1パルス信号QP1のみをスイッチング素子ドライブ回路部2に出力するものであってもよい。
【0058】
ここで、本実施形態における負荷駆動装置1において、入力段のAC/DCコンバータが電流不連続モードで動作している間の、主要部の動作波形の一例を図6及び図7に示す。
図6(a)において、Vds(Q1)、Vds(Q2)は、それぞれ第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2のドレイン−ソース間電圧、Id(Q1)、Id(Q2)は、それぞれ第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2に流れるドレイン電流、IL1は、リアクトル電流である。
【0059】
図6(a)に示すように、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2のドレイン−ソース間には、それぞれ、交互にオン/オフを繰り返すパルス状のドレイン−ソース間電圧Vds(Q1)、Vds(Q2)が印加され、この波形は台形波状の共振波形となっている。そして、第1のスイッチング素子Q1には、電圧Vds(Q1)がオンするタイミングよりも遅れて、軽負荷時を例にとれば、略三角波形状のドレイン電流が流れ、また、第2のスイッチング素子Q2には、電圧Vds(Q2)がオンするタイミングよりも遅れて、略三角波形状のドレイン電流が流れる。すなわち、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2は、ドレイン電流が流れ始める時にはドレイン−ソース間電圧Vds(Q1)、Vds(Q2)が0Vとなっており、上述したようなソフトスイッチング動作が実現されている。そして、図6(b)に示すように、このとき、入力電流波形(リアクトル電流IL1の包絡線波形に相当する)の歪みは極めて小さく、高い力率が達成される。
【0060】
ここで、負荷駆動装置1において、入力段のAC/DCコンバータは、全動作範囲で上述したような電流不連続モードで動作することが好ましいものであるが、直流バス電圧を一定の電圧に制御することにより、リアクトル電流IL1がゼロとなる期間が生じない電流連続モードに移行する場合があり、その結果、入力電流の波形が歪んで力率が低下する可能性がある。本実施形態における負荷駆動装置1は、制御回路部4に波形補正信号重畳回路部11を備えることによって、このような力率の低下を防止するものである。
図7は、入力段のAC/DCコンバータが電流連続モードで動作している間の、入力電流波形を関連する箇所の波形ともに示す波形図であり、図7(a)は、比較例として、波形補正信号重畳回路部11を備えていない制御回路部4によりスイッチング素子を駆動した場合の波形を示し、図7(b)は、本実施形態における負荷駆動装置1の場合の波形を示している。
【0061】
図7(a)の場合、波形補正信号重畳回路部11がないため、比較回路部9には第1誤差増幅器6からの第1誤差信号が直接入力され、発振器8からのキャリア信号によりこの第1誤差信号をパルス幅変調することにより、基準パルス信号RPが生成される。このとき、図示するように、入力電流波形は、入力電圧波形と同位相であり基本的な力率改善の効果は奏するものの、高いピーク電流が発生しており(位相角90°、270°)、これが力率低下の要因となる。
【0062】
これに対して、本実施形態における負荷駆動装置1では、第1誤差増幅器6からの第1誤差信号を直接比較回路部9に入力するのではなく、波形補正信号重畳回路部11により、第1誤差信号に対して、商用交流電源Vinの電源電圧周波数を有する波形補正信号(図7(b)の例では、第3次高調波成分信号)を重畳し、生成された直流バス電圧誤差信号を比較回路部9に入力して、この直流バス電圧誤差信号をキャリア信号により変調することにより、基準パルスRPを作成するものである。これによって、高いピーク電流が発生する位相角90°、270°近傍における第1誤差信号のレベルを相対的に低く抑えることになるため、この直流バス電圧誤差信号をパルス幅変調して得られた基準パルスRPに基づいて第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動することにより、高いピーク電流を抑制することができる。この場合、図7(b)に示すように、入力電流波形の歪みを相殺して理想的な正弦波に近い波形とすることが可能となり、ひいては力率を改善することができる。
【0063】
ここで、図7(b)の例では、重畳される波形補正信号を第3次高調波成分としたが、入力電流波形の歪み等に応じて適切な波形補正信号を使用することができる。例えば、波形補正信号として、基本波(正弦波)成分、第3次高調波成分、第5次高調波成分またはその他の高調波成分のうちの1つまたはこれらの成分を任意の組合せで重畳した信号を用いるものであってもよい。
【0064】
本実施形態における負荷駆動装置1は、入力段に独立した個別の整流回路(ダイオードブリッジ)及び昇圧回路を構成することなく、出力段のインバータ手段と共通の構成要素である第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を用いてそれぞれの機能を実現するものであるため、整流回路と、昇圧回路と、インバータ手段とを備えた負荷駆動装置を、部品点数が削減された低廉かつ簡易な回路により構成するとともに、負荷駆動装置の高効率化を達成することが可能となる。
【0065】
その際、負荷駆動装置1は、直流バス電圧をPWM制御により所望の電圧に制御し、同時に、出力電圧を、LLC共振回路のゲイン特性に基づいて、PFM制御によって制御することにより、直流バス電圧と出力電圧の2つ制御量を異なる変調方式で制御することができ、合理的かつ効率的に第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を制御することが可能となる。
さらに、このように、直流バス電圧をPWM制御により所望の電圧に制御することにより、入力電圧の変動があっても、直流バス電圧の変動が少なくなるため、LLC共振回路を含む後段のDC/DCコンバータにおいて、リーケージインダクタンスLsの励磁インダクタンスLmに対する比率を小さくすることが可能となり、これらによって、負荷駆動装置のさらなる高効率化が達成される。
【0066】
また、負荷駆動装置1において、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2は、ソフトスイッチング動作をおこなっているため、スイッチング素子のターンオン時及びターンオフ時のサージ電流を抑制し、ひいては、EMIノイズ及びスイッチング損失を低減し、高効率の負荷駆動装置を実現するとともに、EMIフィルターやヒートシンクを小型化または削除することができる。
【0067】
加えて、負荷駆動装置1は、制御回路部4に波形補正信号重畳回路部11を備えており、これによって入力電流波形の歪みを相殺することができるため、高い力率を達成することができる。
【0068】
尚、本実施形態における負荷駆動装置1において、制御手段5による第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の駆動方法は、交流電圧の半周期の切替わり時点から所定の期間、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2をともにオフ状態にするブランキング期間を有するものであってもよい。このようなブランキング期間は、例えば、図8に示すように、パルス信号反転回路部10において、交流電圧の半周期の切替わり(図8の例では、正の半周期から負の半周期への相の切替わりZ)が検出されたとき、その直後の基準パルス信号RPの所定の周期の間(図8の例では、BLで示す1周期)、第1、第2パルス信号QP1、QP2の出力を停止し、次の周期から、上述した所定の第1、第2パルス信号QP1、QP2を出力することにより設けることができる。
これによって、交流電圧の半周期の切替わり時点における誤動作を防止し、負荷駆動装置1を安定して動作させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態における負荷駆動装置1において、第1のスイッチング素子Q1に並列に接続された第2の共振用コンデンサCr2は、Vds(Q1)、Vds(Q2)を台形波状とし、特に、ターンオフ時のスイッチング損失を低減する上で有利なものであるが、LLC共振回路によるソフトスイッチングを実現する上で必須の構成要素ではなく、本実施形態における負荷駆動装置は、図9に示す負荷駆動装置20のように、図1に示す負荷駆動装置1から第2の共振コンデンサCr2を省略した構成を有するものであってもよい。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における負荷駆動装置を説明する。但し、本実施形態における負荷駆動装置は、上述した第1の実施形態における負荷駆動装置1、20と、制御手段の構成及び出力電圧検出回路を有さない点が異なるのみであり、その他の回路構成は、図1、図9に示した負荷駆動装置1、20と共通であるため、共通の構成要素は同一の符号により参照し、重複する部分の説明は適宜省略して、相違点について説明する。
【0071】
図3に示すように、LLC共振回路を含むAC/DCコンバータにおけるゲイン特性は、第2の共振周波数f2において、負荷に依らずにゲインが一定となる。本実施形態では、このゲイン特性を利用して、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2の制御周波数を第2の共振周波数f2に固定し、出力電圧のフィードバックを行うことなく、直流バス電圧をPWM制御することによって、所望の出力電圧を得るものである。
【0072】
図10は、本実施形態における負荷駆動装置の制御手段の一例を示す機能ブロック図である。制御手段5aは、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2に対してそれぞれの駆動信号を出力するスイッチング素子ドライブ回路部2と、スイッチング素子ドライブ回路部2の動作を制御する制御回路部4aからなる。また、制御回路部4aは、第1誤差増幅器6、波形補正信号重畳回路部11、比較回路部9、パルス信号反転回路部10を含んでおり、第1誤差増幅器6には、直流バス電圧検出回路の出力信号(図1の接続点Bからの信号)が入力され、パルス信号反転回路部10には、交流電圧検出回路の出力信号(図1の接続点Aからの信号)が入力される。また、制御回路部4aは、LLC共振回路の第2の共振周波数f2で発振するキャリア信号(例えば、鋸歯状波または三角波)を出力する発振器(図示は省略する)も含んでいる。
【0073】
第1誤差増幅器6には、所定の第1基準電圧(図示は省略する)も入力されており、直流バス電圧検出回路の出力信号と第1基準電圧との誤差を増幅して得られる第1誤差信号を、波形補正信号重畳回路部11に出力する。波形補正信号重畳回路部11は、第1の実施形態と同様の波形補正信号を重畳することにより、第1誤差信号の波形を補正して直流バス電圧誤差信号を生成し、比較回路部9に出力する。比較回路部9には、発振器からの周波数f2のキャリア信号も入力され、比較回路部9は、入力された直流バス電圧誤差信号とキャリア信号とを比較し、直流バス電圧誤差信号をキャリア信号により変調して、基準パルス信号RP及び基準パルス信号RPのハイ/ローのレベルを反転した反転信号IRPを出力する。第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2のオン/オフ動作のオンデューティ及び制御周波数は、この基準パルス信号RPのパルス幅及び周期に基づいて決定され、この例の場合、制御周波数は、LLC共振回路の第2の共振周波数f2に固定されている。
以下、パルス信号反転回路部10及びスイッチング素子ドライブ回路部2の詳細は、図4、図5を参照して説明した制御手段5と同様のものである。
【0074】
制御手段5aは、直流バス電圧誤差信号をキャリア信号によりパルス幅変調して得られる基準パルス信号RPに基づいて、第1、第2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動することによって、負荷駆動装置の入力段を構成するAC/DCコンバータにおいて、直流バス電圧をPWM制御し、入力される交流電圧の変動によらずに所望の直流バス電圧、ひいては所望の出力電圧を達成するものである。この際、第1基準電圧は、所望の直流バス電圧(すなわち、所望の出力電圧)に基づいて適切に設定することができる。
【0075】
本実施形態における負荷駆動装置によれば、第1の実施形態における負荷駆動装置1、20よりも簡易な構成により、同等の作用効果を得ることができる。
【0076】
以上、本発明を好ましい実施形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態における負荷駆動装置では、高周波絶縁トランスT1の二次側は、整流平滑化回路を介して負荷3に接続されて、直流出力を有するものとしたが、本発明は、交流出力を有する負荷駆動装置に対して適用することも可能である。その際、出力電圧検出回路は、交流出力電圧を整流平滑化した直流電圧信号を、制御手段5に対して出力するものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,20:負荷駆動装置、2:スイッチング素子ドライブ回路部、3:負荷、4,4a:制御回路部、5,5a:制御手段、6:第1誤差増幅器、7:第2誤差増幅器、8:発振器、9:比較回路部、10:パルス信号反転回路部、11:波形補正信号重畳回路部、C1:第1のコンデンサ、C2:第2のコンデンサ、C4:出力コンデンサ、Cr1:第1の共振コンデンサ、Cr2:第2の共振コンデンサ、D1,D2:寄生ダイオード、D3:第1のダイオード、D4:第2のダイオード、D8:第3のダイオード、L1:リアクトル、Ls:リーケージインダクタンス、Lm:励磁インダクタンス、T1:高周波絶縁トランス、Q1:第1のスイッチング素子、Q2:第2のスイッチング素子、Vin:商用交流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の交流電圧を整流する整流手段と、力率改善動作を行うとともに直流バス電圧を出力する昇圧手段と、2つのスイッチング素子及びトランスを有し、前記直流バス電圧を交流に変換して前記トランスの一次側に印加するインバータ手段と、前記2つのスイッチング素子を駆動する制御手段とを備え、前記トランスの二次側に接続された負荷を駆動する負荷駆動装置において、
前記インバータ手段の前記2つのスイッチング素子は、前記整流手段の整流素子並びに前記昇圧手段の整流素子及びスイッチング素子を兼ねており、
前記交流電圧を検出する交流電圧検出回路と、前記直流バス電圧を検出する直流バス電圧検出回路とをさらに備え、
前記制御手段は、前記直流バス電圧検出回路の出力信号から得られる第1誤差信号に波形補正信号を重畳した直流バス電圧誤差信号に基づいてパルス幅または周波数が可変制御された基準パルス信号を生成するとともに、前記交流電圧検出回路の出力信号に基づいて、前記基準パルス信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにスイッチング素子をオン/オフ動作させる駆動信号を、前記交流電圧の半周期毎に前記2つのスイッチング素子に対して交互に出力し、かつ、前記2つのスイッチング素子を相補的にオン/オフ動作させることを特徴とする負荷駆動装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記直流バス電圧検出回路の出力信号を入力し、該出力信号と第1基準電圧との誤差に基づく第1誤差信号を出力する第1誤差増幅器と、該第1誤差信号に波形補正信号を重畳して前記直流バス電圧誤差信号を生成する波形補正信号重畳回路部と、所定の周波数のキャリア信号を出力する発振器と、前記直流バス電圧誤差信号と前記キャリア信号を入力し、前記直流バス電圧誤差信号を前記キャリア信号によりパルス幅変調して、前記基準パルス信号を生成する比較回路部と、前記交流電圧検出回路の出力信号を入力するとともに、前記基準パルス信号を入力する第1入力、及び、前記第1入力から入力される前記基準パルス信号と前記基準パルス信号の反転信号とを前記交流電圧の半周期毎に交互に出力する第1出力を少なくとも有するパルス信号反転回路部と、前記パルス信号反転回路部の前記第1出力からの出力信号を入力する第2入力を少なくとも有し、前記2つのスイッチング素子の一方に対して、前記第2入力からの入力信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにオン/オフ動作させる駆動信号を出力し、前記2つのスイッチング素子の他方に対して、前記第2入力からの入力信号によるオン/オフ動作と相補的にオン/オフ動作させる駆動信号を出力するドライブ回路部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動装置。
【請求項3】
前記トランスの二次側の出力電圧を検出する出力電圧検出回路をさらに備えており、前記制御手段は、前記出力電圧検出回路の出力信号に基づいて前記基準パルス信号の周波数を可変制御することを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記直流バス電圧検出回路の出力信号を入力し、該出力信号と第1基準電圧との誤差に基づく第1誤差信号を出力する第1誤差増幅器と、該第1誤差信号に波形補正信号を重畳して前記直流バス電圧誤差信号を生成する波形補正信号重畳回路部と、前記出力電圧検出回路の出力信号を入力し、該出力信号と第2基準電圧との誤差に基づく第2誤差信号を出力する第2誤差増幅器と、前記第2誤差信号を入力し、該第2誤差信号に応じて変動する周波数を有するキャリア信号を出力する発振器と、前記直流バス電圧誤差信号と前記キャリア信号を入力し、前記直流バス電圧誤差信号を前記キャリア信号によりパルス幅変調及びパルス周波数変調して、前記基準パルス信号を出力する比較回路部と、前記交流電圧検出回路の出力信号を入力するとともに、前記基準パルス信号を入力する第1入力、及び、前記第1入力から入力される前記基準パルス信号と前記基準パルス信号の反転信号とを前記交流電圧の半周期毎に交互に出力する第1出力を少なくとも有するパルス信号反転回路部と、前記パルス信号反転回路部の前記第1出力からの出力信号を入力する第2入力を少なくとも有し、前記2つのスイッチング素子の一方に対して、前記第2入力からの入力信号のパルス幅に相当するオン時間を有するようにオン/オフ動作させる駆動信号を出力し、前記2つのスイッチング素子の他方に対して、前記第2入力からの入力信号によるオン/オフ動作と相補的にオン/オフ動作させる駆動信号を出力するドライブ回路部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の負荷駆動装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記交流電圧の半周期の切替わり時点から所定の期間、前記2つのスイッチング素子をオフ状態にすることを特徴とする請求項2または4に記載の負荷駆動装置。
【請求項6】
前記波形補正信号は、高調波成分信号を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の負荷駆動装置。
【請求項7】
前記波形補正信号は、制限波信号を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の負荷駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−10529(P2012−10529A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145500(P2010−145500)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】