説明

貯湯式暖房装置

【課題】ヒートポンプ式加熱手段を暖房用の熱源とする貯湯式暖房装置のエネルギー効率を向上させる。
【解決手段】貯湯タンク1とヒートポンプ式加熱手段2とを接続するヒーポン循環回路3に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプ6と、ヒーポン循環回路3にヒーポン循環回路3の往き管側の循環切換手段10を介して接続されヒーポン循環回路3をバイパスするバイパス管9と、バイパス管9途中に設けられ放熱部へ循環する循環水を加熱する暖房用熱交換器11と、バイパス管9途中に設けられ貯湯タンク1内の湯水を暖房用熱交換器11に循環させる暖房用循環ポンプ13と、バイパス管9の暖房用循環ポンプ13の下流から分岐して貯湯タンク1の中間位置に連通する中間戻し管12と、中間戻し管12を介して前記貯湯タンク1から逆流する流れを阻止する逆流防止手段23とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートポンプ加熱式の貯湯式暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものには、ヒートポンプ加熱手段により深夜時間帯に貯湯タンク内の水を循環加熱して昼間での給湯に必要な分量を貯湯し、暖房を行う場合は、ヒートポンプ加熱手段で加熱した温水を貯湯タンクと並列関係にある暖房用熱交換器に直接循環させて暖房を行うようにしたものがあった(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−28414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、この従来のものでは、暖房運転においては常にヒートポンプ式加熱手段が駆動されることとなり、貯湯タンク内の高温水を暖房に利用することができないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は前記課題を解決するため、請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ式加熱手段とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、前記ヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプと、前記ヒーポン循環回路の往き管側に設けられた循環切換手段と、前記ヒーポン循環回路に前記循環切換手段を介して接続され前記ヒーポン循環回路の往き管と戻り管とをバイパスするバイパス管と、前記バイパス管途中に設けられ放熱部へ循環する循環水を加熱するための暖房用熱交換器と、前記バイパス管途中に設けられ前記貯湯タンク内の湯水を前記暖房用熱交換器に循環させる暖房用循環ポンプと、前記バイパス管の前記暖房用循環ポンプの下流から分岐して前記貯湯タンクの中間位置に連通する中間戻し管とを備えたものとした。
【0005】
また、請求項2では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ式加熱手段とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、前記ヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプと、前記ヒーポン循環回路の往き管側に設けられた循環切換手段と、前記ヒーポン循環回路に前記循環切換手段を介して接続され前記ヒーポン循環回路の往き管と戻り管とをバイパスするバイパス管と、前記バイパス管途中に設けられ放熱部へ循環する循環水を加熱するための暖房用熱交換器と、前記バイパス管途中に設けられ前記貯湯タンク内の湯水を前記暖房用熱交換器に循環させる暖房用循環ポンプと、前記バイパス管の前記暖房用循環ポンプの下流から分岐して前記貯湯タンクの中間位置に連通する中間戻し管と、前記中間戻し管を介して前記貯湯タンク側から逆流する流れを阻止する逆流防止手段とを備えたものとした。
【0006】
また、請求項3では、請求項2のものにおいて、前記逆流防止手段として前記中間戻し管途中に逆止弁を設けたものとした。
【0007】
また、請求項4では、請求項2のものにおいて、前記逆流防止手段として前記中間戻し管途中に開閉弁を設けたものとした。
【0008】
また、請求項5では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ式加熱手段とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、前記ヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプと、前記ヒーポン循環回路の往き側に設けられた循環切換手段と、前記ヒーポン循環回路に前記循環切換手段を介して接続され前記ヒーポン循環回路の往き側と戻り側とをバイパスするバイパス管と、前記バイパス管途中に設けられ放熱部へ循環する循環水を加熱するための暖房用熱交換器と、前記バイパス管途中に設けられ前記貯湯タンク内の湯水を前記暖房用熱交換器に循環させる暖房用循環ポンプと、前記バイパス管の前記暖房用循環ポンプの下流に設けられた暖房切換手段と、前記貯湯タンクの中間位置に前記暖房切換手段を介して連通する中間戻し管とを備えたものとした。
【0009】
また、請求項6では、請求項5のものにおいて、前記循環切換手段を前記バイパス管側に切換えると共に前記暖房切換手段を前記バイパス管側に切換える直暖状態と、前記循環切換手段を前記バイパス管側に切換えると共に前記暖房切換手段を前記中間戻し管側に切換える蓄暖状態と、前記循環切換手段を前記貯湯タンク側に切換えると共に前記暖房切換手段を前記バイパス管側に切換える蓄熱状態とに切換える制御手段を設けたものとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヒートポンプ式加熱手段で加熱された温水を直接暖房運転の熱源として用いることができると共に、貯湯タンク内に貯められた温水も暖房運転に用いることができる。
【0011】
また、中間戻し管を貯湯タンクから逆流しようとする温水の流れを阻止するので、ヒートポンプ式加熱手段に循環する温水の温度が無駄に昇温されることがなく、ヒートポンプ式加熱手段のCOP(加熱効率)の低下を防ぐことができる。
【0012】
また、暖房切換手段をそれぞれの運転状態に適った位置に切換えるため、それぞれの運転状態に寄与しない無駄な循環を確実に防止し、エネルギーの利用率が高まるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を実施するために好適な実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の実施例1の貯湯式給湯暖房装置について説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプ式加熱手段、3は前記貯湯タンク1の下部に接続されたヒーポン往き管4および前記貯湯タンク1の上部に接続されたヒーポン戻り管5よりなるヒーポン循環回路、6は前記ヒーポン循環回路3に設けられて貯湯タンク1の湯水を循環させるヒーポン循環ポンプ、7は前記貯湯タンク1の下部に接続され貯湯タンク1に水を給水する入水管、8は前記貯湯タンク1の上部に接続され貯湯されている高温水を出湯する出湯管である。
【0015】
9は前記ヒーポン循環回路3に循環切換手段10を介してバイパスするよう接続されたバイパス管、11は前記バイパス管9途中に設けられ、その二次側に放熱部(図示せず)が接続された暖房用熱交換器、12は前記バイパス管9途中で前記暖房用熱交換器11の下流側に前記貯湯タンク1の中間位置に接続された中間戻し管、13は前記バイパス管9の中間戻し管12よりも暖房用熱交換器側に設けられた暖房用循環ポンプである。前記循環切換手段10はヒーポン往き管4のヒートポンプ式加熱手段2側を、ヒーポン往き管4の貯湯タンク1側に連通するかバイパス管9側に連通するかを切換える電動三方弁より構成されている。
【0016】
14は前記貯湯タンク1の中間位置に接続された中間出湯管、15は前記出湯管8からの湯水と前記中間出湯管14からの湯水とを任意の温度になるよう混合する中間混合弁、16は前記入水管7から分岐された給水管、17は前記中間混合弁15からの湯水と前記給水管16からの給水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁である。
【0017】
ここで前記ヒートポンプ式加熱手段2は、圧縮機18と凝縮器としての冷媒−水熱交換器19と電子膨張弁20と強制空冷式の蒸発器21とで構成され、このヒートポンプ式加熱手段2には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。
【0018】
22は、前記循環切換手段10の駆動を制御すると共に、前記中間混合弁15および前記給湯混合弁17の駆動を制御し、さらにヒートポンプ回路の構成要素と前記ヒーポン循環ポンプ6の駆動を制御することで冷媒−水熱交換器19に流入してきた湯水を所望の沸き上げ温度まで沸き上げるようにしている制御手段であり、予めプログラミングされたマイクロコンピュータを主体として構成されている。
【0019】
そして、23は前記中間戻し管12の途中に設けられた逆止弁24よりなる逆流防止手段で、貯湯タンク1側から逆流する流れを阻止するものである。
【0020】
ここで、貯湯タンク1内にヒートポンプ式加熱手段2で加熱された高温水を貯湯する貯湯運転について説明する。
制御手段22は深夜時刻になると電力単価が安価な深夜時間帯内で朝の所定時刻までに沸き上がるように貯湯運転を開始し、循環切換手段10をヒートポンプ式加熱手段2と貯湯タンク1とが連通するように切換え、ヒーポン循環ポンプ6とヒートポンプ式加熱手段2を駆動および起動して、貯湯タンク1の下部から取り出した湯水をヒートポンプ式加熱手段2により沸き上げ温度まで沸き上げて貯湯タンク1の上部に積層させるように貯湯する。そして、所望の熱量を貯湯するとヒーポン循環ポンプ6およびヒートポンプ式加熱手段2の停止して貯湯運転を終了する。
【0021】
次に、ユーザーが給湯栓を開いて給湯する時の給湯運転について説明する。
給湯栓が開かれると入水管7から貯湯タンク1内に給水されると同時に出湯管8から貯湯温水が出湯される。このとき、中間混合弁15の混合比率により中間出湯管14からも貯湯温水が出湯され、中間混合弁15によってある温度に混合される。そして、この中間混合弁15からの湯水は給湯混合弁17に流入し、給水管16からの給水と混合されて所望の給湯設定温度で給湯栓から給湯される。
【0022】
次に、暖房運転について説明する。
暖房の要求が発生すると、前記制御手段22は暖房の二次側の運転を開始すると共に、循環切換手段10をバイパス管9とヒーポン循環回路3のヒートポンプ式加熱手段2側とが連通するように切換え、ヒーポン循環ポンプ6とヒートポンプ式加熱手段2を駆動及び起動して、ヒートポンプ式加熱手段2で沸き上げた高温水を暖房用熱交換器11に直接供給し、二次側と熱交換して温度低下した温水を再度ヒートポンプ式加熱手段2に直接循環させて再度加熱して暖房を行う。なお、この場合の暖房運転を直暖運転と呼ぶ。
【0023】
このとき、中間戻し管12には逆止弁24が設けられているため、中間戻し管12を貯湯タンク1から逆流しようとする温水の流れを阻止して、ヒートポンプ式加熱手段2に循環する温水の温度が無駄に昇温されることがなく、ヒートポンプ式加熱手段2のCOP(加熱効率)の低下を防ぐことができる。
【0024】
また、暖房運転において、ヒートポンプ式加熱手段2が何らかの理由により作動していない場合には、前記制御手段22は、前記暖房用循環ポンプ13を駆動し、貯湯タンク1の上部に貯まっている高温水を暖房用熱交換器11に循環させ、中間戻し管12を介して貯湯タンク1の中間部に戻すようにして、貯湯タンク1の蓄熱を利用した暖房運転を行わせることを可能としている。なお、この場合の暖房運転を蓄暖運転と呼ぶ。
【0025】
次に、暖房運転と給湯運転とが同時に行われる併用運転について説明する。
暖房運転中に給湯運転の要求が発生すると、前記制御手段22は循環切換手段10を貯湯タンク1とヒートポンプ式加熱手段2とが連通するように切換える。ヒートポンプ式加熱手段2で加熱された温水は暖房用熱交換器11を通過し、二次側との熱交換により温度低下した温水が中間戻し管12を介して貯湯タンク1の中間部に戻される。そして、貯湯タンク1の下部に貯められている湯水および入水管7から貯湯タンク1の下部に流入した冷水がヒーポン往き管4を介してヒートポンプ式加熱手段2に循環されて加熱される。一方、貯湯タンク1の中間部に戻された温水は、制御手段22でコントロールされる中間混合弁15の混合比率に応じた量が中間出湯管14を介して出湯され、給湯混合弁17によって給湯設定温度の湯として給湯される。
【0026】
このように、暖房運転と給湯運転の併用運転時には、ヒートポンプ式加熱手段2では貯湯タンク1の下部から取り出した湯水を加熱することとなるので、暖房用熱交換器11で温度低下した温水よりも温度の低い湯水を加熱することとなり、ヒートポンプ式加熱手段2でのCOPが向上すると共に、暖房用熱交換器11で温度低下した温水を中間戻し管12を介して貯湯タンク1の中間部に戻し、暖房用熱交換器11で温度低下した温水の少なくとも一部を中間出湯管13を介して給湯に即利用することができ、熱交換後の温水の温度を有効に活用することで給湯と暖房のトータルで機器全体のエネルギー効率を向上させることができるものである。
【0027】
また、この実施例1においては、ヒーポン循環ポンプ6がヒーポン循環回路3のバイパス管9よりもヒートポンプ式加熱手段2側に設けられているため、貯湯運転と直暖運転とを一つのヒーポン循環ポンプ6で行うことが可能となる。なお、ヒーポン循環ポンプ6と同時に暖房用循環ポンプ13を作動させることも可能であり、この場合、一方の出力を他方の出力に協調させて作動させるようにすればよいものである。
【0028】
また、入水管7から分岐された給水管15からの給水と、出湯管8からの出湯と、中間出湯管13からの出湯とを任意に混合して給湯する混合手段としての中間混合弁14および給湯混合弁16とを備えたので、暖房運転によって発生する中温水を最大限に利用することが可能となり、貯湯タンク内の高温水の使用量を抑えながら設定温度の給湯を行うことができる。なお、前記混合手段は中間混合弁14と給湯混合弁16に限定されるものではなく、中間混合弁14としてワックスサーモで混合比が自動調節される混合弁を用いたり、中間混合弁14の替わりに出湯管8および中間出湯管13の一方を選択的に開放する切換弁や、中間混合弁14と給湯混合弁16とを一つの駆動手段で駆動し一つのボディに組み込んだ混合手段でもよいものである。
【0029】
また、中間戻し管12よりも中間出湯管13が貯湯タンク1の高い位置に接続されているので、中間戻し管12から貯湯タンク1内に戻った温水が給湯運転によって貯湯タンク1の下部に流入してくる冷水によって押し上げられ、中間戻し管12から貯湯タンク1に戻った温水が効率的に中間出湯管13から出湯させられ、中温水を給湯に有効利用することができる。
【0030】
また、この実施例1の変形例として、図2に示すように、逆止弁24に換えて開閉弁25を設けるようにしてもよい。この場合、開閉弁25は前記制御手段22によってコントロールされ、中間戻し管12からの逆流を防止したいときに開閉弁25を閉じるようにコントロールすることで、中間戻し管12を貯湯タンク1から逆流しようとする温水の流れを阻止して、ヒートポンプ式加熱手段2に循環する温水の温度が無駄に昇温されることがなく、ヒートポンプ式加熱手段2のCOP(加熱効率)の低下を防ぐことができる。
【実施例2】
【0031】
次に、本発明の実施例2の貯湯式給湯暖房装置について説明する。なお、先の実施例1と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0032】
この実施例2では、図3に示すようにバイパス管9の中間戻し管12への分岐点に貯湯タンク1側からの逆流を防止する逆流防止手段23としての暖房切換手段26を設けたものである。この暖房切換手段26は前記バイパス管9の暖房用熱交換器11側を、ヒーポン循環回路3側に連通するか中間戻し管12側に連通するかを切換える電動三方弁より構成され、その作動を前記制御手段22によってコントロールされるようにしている。そして、暖房切換手段26をヒーポン循環回路3側に切換えることによって中間戻し管12からの逆流を防止するものである。
【0033】
ここで、貯湯タンク1内にヒートポンプ式加熱手段2で加熱された高温水を貯湯する貯湯運転について説明する。
制御手段22は深夜時刻になると電力単価が安価な深夜時間帯内で朝の所定時刻までに沸き上がるように貯湯運転を開始し、循環切換手段10をヒートポンプ式加熱手段2と貯湯タンク1とが連通するように切換えると共に、暖房切換手段26をヒーポン循環回路3側に切換え、ヒーポン循環ポンプ6とヒートポンプ式加熱手段2を駆動および起動して、貯湯タンク1の下部から取り出した湯水をヒートポンプ式加熱手段2により沸き上げ温度まで沸き上げて貯湯タンク1の上部に積層させるように貯湯する。このとき、中間戻し管12は暖房切換手段26により閉止状態とされると共に、バイパス管9は循環切換手段10により閉止状態とされるので、ヒーポン循環回路3以外の温水の循環は阻止され、貯湯運転に寄与しない無駄な循環が確実に防止され、エネルギーの無駄がなくなるものである。そして、所望の熱量を貯湯するとヒーポン循環ポンプ6およびヒートポンプ式加熱手段2の停止して貯湯運転を終了する。
【0034】
次に、直暖運転について説明する。
暖房の要求が発生すると、前記制御手段22は暖房の二次側の運転を開始すると共に、循環切換手段10をバイパス管9とヒーポン循環回路3のヒートポンプ式加熱手段2側とが連通するように切換えると共に、暖房切換手段26をヒーポン循環回路3側に切換え、ヒーポン循環ポンプ6とヒートポンプ式加熱手段2を駆動及び起動して、ヒートポンプ式加熱手段2で沸き上げた高温水を暖房用熱交換器11に直接供給し、二次側と熱交換して温度低下した温水を再度ヒートポンプ式加熱手段2に直接循環させて再度加熱して暖房を行う。このとき、中間戻し管12は暖房切換手段26により閉止状態とされると共に、ヒーポン循環回路3の貯湯タンク1側は循環切換手段10により閉止状態とされるので、ヒートポンプ式加熱手段2に循環する温水の温度が中間戻し管12から逆流する温水によって無駄に昇温されることがなく、ヒートポンプ式加熱手段のCOP(加熱効率)の低下を防ぐことができると共に、ヒートポンプ式加熱手段2と暖房用熱交換器11を循環する回路以外の温水の循環は阻止され、直暖運転に寄与しない無駄な循環が確実に防止され、エネルギーの無駄がなくなるものである。
【0035】
次に、蓄暖運転について説明する。
蓄暖運転を行う要求が発生すると、前記制御手段22は、暖房の二次側の運転を開始すると共に、循環切換手段10をバイパス管9とヒーポン循環回路3のヒートポンプ式加熱手段2側とが連通するように切換えると共に、暖房切換手段26を中間戻し管12側に切換え、前記暖房用循環ポンプ13を駆動し、貯湯タンク1の上部に貯まっている高温水を暖房用熱交換器11に循環させ、中間戻し管12を介して貯湯タンク1の中間部に戻すようにして、貯湯タンク1の蓄熱を利用した暖房運転を行わせることを可能としている。このとき、バイパス管9の暖房切換手段26より下流側は暖房切換手段26により閉止状態とされると共に、ヒーポン循環回路3の貯湯タンク1側は循環切換手段10により閉止状態とされるので、ヒートポンプ式加熱手段2と暖房用熱交換器11を循環する回路以外の温水の循環は阻止され、蓄暖運転に寄与しない無駄な循環が確実に防止され、エネルギーの無駄がなくなるものである。
【0036】
このように暖房切換手段26を設けることで、確実に温水の流通方向をコントロールすることが可能となり、直暖運転時にヒーポン戻り管5から貯湯タンク1に流入して中間戻し管12を逆流してヒートポンプ式加熱手段2に流通しようとする高温水の流れを阻害し、ヒートポンプ式加熱手段2に流入する温水温度の無駄な昇温を防止して、暖房運転時のヒートポンプ式加熱手段のCOP低下を抑えることができると共に、暖房切換手段をそれぞれの運転状態に適った位置に切換えるため、それぞれの運転状態に寄与しない無駄な循環を確実に防止し、エネルギーの利用率が高まるものである。
【0037】
なお、本発明は上記した実施例1および実施例2に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能であり、これを妨げるものではない。例えば、暖房用循環ポンプ13をバイパス管9の暖房用熱交換器11の上流側に設けるようにしてもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1の概略構成図。
【図2】同実施例1の変形例の概略構成図。
【図3】本発明の実施例2の概略構成図。
【符号の説明】
【0039】
1 貯湯タンク
2 ヒートポンプ式加熱手段
3 ヒーポン循環回路
6 ヒーポン循環ポンプ
9 バイパス管
10 循環切換手段
11 暖房用熱交換器
12 中間戻し管
13 暖房用循環ポンプ
22 制御手段
23 逆流防止手段
24 逆止弁
25 開閉弁
26 暖房切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ式加熱手段とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、前記ヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプと、前記ヒーポン循環回路の往き管側に設けられた循環切換手段と、前記ヒーポン循環回路に前記循環切換手段を介して接続され前記ヒーポン循環回路の往き管と戻り管とをバイパスするバイパス管と、前記バイパス管途中に設けられ放熱部へ循環する循環水を加熱するための暖房用熱交換器と、前記バイパス管途中に設けられ前記貯湯タンク内の湯水を前記暖房用熱交換器に循環させる暖房用循環ポンプと、前記バイパス管の前記暖房用循環ポンプの下流から分岐して前記貯湯タンクの中間位置に連通する中間戻し管とを備えたことを特徴とする貯湯式暖房装置。
【請求項2】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ式加熱手段とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、前記ヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプと、前記ヒーポン循環回路の往き管側に設けられた循環切換手段と、前記ヒーポン循環回路に前記循環切換手段を介して接続され前記ヒーポン循環回路の往き管と戻り管とをバイパスするバイパス管と、前記バイパス管途中に設けられ放熱部へ循環する循環水を加熱するための暖房用熱交換器と、前記バイパス管途中に設けられ前記貯湯タンク内の湯水を前記暖房用熱交換器に循環させる暖房用循環ポンプと、前記バイパス管の前記暖房用循環ポンプの下流から分岐して前記貯湯タンクの中間位置に連通する中間戻し管と、前記中間戻し管を介して前記貯湯タンク側から逆流する流れを阻止する逆流防止手段とを備えたことを特徴とする貯湯式暖房装置。
【請求項3】
前記逆流防止手段として前記中間戻し管途中に逆止弁を設けたことを特徴とする請求項2記載の貯湯式暖房装置。
【請求項4】
前記逆流防止手段として前記中間戻し管途中に開閉弁を設けたことを特徴とする請求項2記載の貯湯式暖房装置。
【請求項5】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ式加熱手段とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、前記ヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプと、前記ヒーポン循環回路の往き側に設けられた循環切換手段と、前記ヒーポン循環回路に前記循環切換手段を介して接続され前記ヒーポン循環回路の往き側と戻り側とをバイパスするバイパス管と、前記バイパス管途中に設けられ放熱部へ循環する循環水を加熱するための暖房用熱交換器と、前記バイパス管途中に設けられ前記貯湯タンク内の湯水を前記暖房用熱交換器に循環させる暖房用循環ポンプと、前記バイパス管の前記暖房用循環ポンプの下流に設けられた暖房切換手段と、前記貯湯タンクの中間位置に前記暖房切換手段を介して連通する中間戻し管とを備えたことを特徴とする貯湯式暖房装置。
【請求項6】
前記循環切換手段を前記バイパス管側に切換えると共に前記暖房切換手段を前記バイパス管側に切換える直暖状態と、前記循環切換手段を前記バイパス管側に切換えると共に前記暖房切換手段を前記中間戻し管側に切換える蓄暖状態と、前記循環切換手段を前記貯湯タンク側に切換えると共に前記暖房切換手段を前記中間戻し管側に切換える蓄熱状態とに切換える制御手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の貯湯式暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−10188(P2006−10188A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186984(P2004−186984)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】