超音波探傷画像の分析装置
【課題】超音波探傷画像を観察して欠陥を検出する場合において、検査する欠陥に応じて最適な画像を、最適な配置パターンで、最適な表示範囲とコントラストで順次表示する。
【解決手段】探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース40に記憶した検査手順コマンドを取り込み、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す探傷画像に対応する探傷画像信号を探傷画像信号用データベース部50から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、検査手順コマンドで示す画像の配置パターンで、検査手順コマンドで示す表示範囲とコントラストで表示装置30に表示させる。
【解決手段】探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース40に記憶した検査手順コマンドを取り込み、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す探傷画像に対応する探傷画像信号を探傷画像信号用データベース部50から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、検査手順コマンドで示す画像の配置パターンで、検査手順コマンドで示す表示範囲とコントラストで表示装置30に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷画像の分析装置に関し、欠陥を検査するための手間や時間を軽減すると共に、習熟度によらずに正確に欠陥を検出することができるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
航空機の主翼は、従来ではアルミニウム合金やチタン合金で製造されていたが、最近では、炭素繊維と樹脂を組み合わせた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が使用されてきている。
航空機においては、翼の損傷は大事故に直結する危険があるため、保守・点検作業をして欠陥を発見することは極めて重要である。
【0003】
航空機の翼に発生する欠陥としては、傷や、異物や、剥離などがあり、これらの欠陥を検出する非破壊検査として、超音波探傷検査が採用されている。
【0004】
ここで、超音波探傷検査の一般的な手法を先に説明しておく。
図10に示すように、探傷範囲Aが広範囲である場合には、探傷パスPを設定しこの探傷パスPに沿い超音波探触子を移動させていって、超音波による探傷波形信号(応答波形信号)を取得する。
【0005】
探傷パスP上のある1点において、その部位が健全部位であれば、図11に示すような表面エコーEsと底面エコーEbとからなる探傷波形信号が得られる。一方、探傷パスP上のある1点において、その部位が欠陥部位であれば、図12に示すような表面エコーEsと底面エコーEbと欠陥エコーEdからなる探傷波形信号が得られる。
【0006】
探傷範囲Aが狭い場合には、探傷パスPの全体にわたって探傷波形信号の波形を目視観察することにより欠陥の検出(欠陥エコーEdの検出)をすることも可能であるが、探傷範囲Aが広い場合には、探傷パスP全体にわたって探傷波形信号の波形を目視確認すると膨大な時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、探傷波形信号を信号変換処理して、健全部位の輝度値に対して欠陥部位の輝度値が変化する探傷画像を表す探傷画像信号に変換し、この探傷画像信号による探傷画像を目視確認して欠陥の有無を判定することにより、短時間で探傷検査をしている。
また、欠陥の存在が認められた場合には、探傷画像の基礎となっている探傷波形を確認することにより、詳細な分析もできる。
【0008】
探傷波形信号から探傷画像信号に信号変換する信号変換処理の手法としては、TOF画像信号変換処理とAMP画像信号変換処理が知られている。
信号変換処理をするには、健全部位の探傷波形信号を示す図13、及び、欠陥部位の探傷波形信号を示す図14において、表面エコーEsと底面エコーEbの間の位置に所定高さで所定範囲のゲートGを設定しておく。
TOF画像に変換するには、設定したゲートGと欠陥エコーEdが交わる位置を、輝度値に変換する。AMP画像に変換するには、設定したゲートGと交わった欠陥エコーEdの高さを、輝度値に変換する。
なお、欠陥エコーが複数ある場合には、ゲートGと最初に交わるエコーを欠陥エコーEdとして使用したり、ゲートGと交わるエコーのうち、最大高さのエコーを欠陥エコーEdとして使用するなどのバージョンがある。
【0009】
図15は健全部位の探傷画像の一例であり、図16は欠陥部位の探傷画像(TOF画像)の一例であり、図17は欠陥部位の探傷画像(AMP画像)の一例である。
これらの図に示すように、探傷画像では、健全部位の輝度に対して、欠陥部位の輝度が変化しており、目視により迅速・簡易に欠陥部位を検査することができる。
【0010】
ここで、探傷波形信号の波形形状やノイズの発生状況は、欠陥の種類や探傷部位の板厚・形状・材質などによって異なるため、1つの探傷画像だけで欠陥の有無を正確に判定することができないことがある。
【0011】
このため、欠陥の種類や探傷部位の板厚・形状・材質に応じて、位置や高さの異なる複数のゲートを設定し、複数の探傷画像信号を生成して、複数の探傷画像信号による複数の探傷画像をそれぞれ目視確認することにより、欠陥の有無を総合的に判定している。
【0012】
つまり、探傷パスPに沿い探触子を移動させていったときに得た1つの探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して、複数種類の探傷画像信号を得て、これら複数種類の探傷画像信号による探傷画像を用いて欠陥の有無を総合的に判断している。
【0013】
なお、探傷波形信号からTOF探傷画像信号に変換することと、探傷波形信号からAMP探傷画像信号に変換することは、異なる信号変換処理手法であり、また、探傷波形信号からTOF探傷画像信号に変換する際にゲートGが異なっている場合にも異なる信号変換処理手法であり、探傷波形信号からAMP探傷画像信号に変換する際にゲートGが異なっている場合にも異なる信号変換処理手法であるという意味で、「複数種類の異なる信号変換処理手法」と言っている。
【0014】
1つの探傷波形信号を信号変換して得た、複数種類の探傷画像信号による探傷画像により欠陥の有無を総合的に判断する一般的な例を、次に説明する。
【0015】
例えば欠陥の種類がD1,D2の2種類、探傷部位の板厚が10mm、探傷部位の材質がM1,M2の2種類、探傷部位の形状がF1,F2の2種類の場合に、探傷波形信号を第1のゲートを設定して信号変換処理したTOF探傷画像信号による探傷画像I1と、探傷波形信号を第2のゲートを設定して信号変換処理したTOF探傷画像信号による探傷画像I2と、探傷波形信号を第3のゲートを設定して信号変換処理したAMP探傷画像信号による探傷画像I3と、探傷波形信号を第4のゲートを設定して信号変換処理したAMP探傷画像信号による探傷画像I4によって評価できるとする。
【0016】
探傷画像I1〜I4の割り付けが、表1のようになったとすると、探傷画像I1〜I4を順番に目視確認することで、全ての欠陥を評価できることになる。
【0017】
【表1】
【0018】
ここで、航空機の主翼を、超音波探傷検査する従来の手法を説明する。
【0019】
航空機の主翼の検査では、主翼の全面を超音波探傷検査しているが、この検査により得た探傷波形信号による探傷波形を全て分析するのは時間がかかりすぎるため、取得した探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換処理して、複数の探傷画像信号に変換し、複数の探傷画像信号による複数の探傷画像上で欠陥部位を目視により特定している。
【0020】
探傷画像上では、健全部位と比較して欠陥部位の輝度値が大きくなる(または小さくなる)ため、健全部位と欠陥部位との間の輝度変化を目視確認することにより、欠陥部位を特定している。
【0021】
この場合、検出しようとする欠陥の種類や、部位の違い(形状、板厚、材質など)によって目視確認する探傷画像の種類や配置が異なり、また、欠陥を検出しやすい探傷画像の表示倍率やコントラストも異なる。これは、欠陥の種類や、各部位の板厚や形状や材質によって、超音波の反射の仕方が異なるためである。
このため、検査員は、欠陥の種類や部位の違いによって、表示する探傷画像の種類や配置、表示範囲(倍率)やコントラストを繰り返し変更しながら欠陥を検出している。
【0022】
このような従来の検査手法の詳細を、フローチャートである図18、ならびに、画像表示装置の表示画面に表示した探傷波形画像を示す図19〜図21を参照して説明する。
【0023】
航空機の主翼を超音波探傷検査して得た探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換処理して求めた複数の探傷画像信号が、予め探傷画像信号用データベースに記録されているものとする。
【0024】
作業者が目視検査作業を開始する際には(図18のステップS1)、複数の探傷画像信号による複数の探傷画像I1〜Inを開く(ステップS2)。
次に、評価する欠陥の種類(例えば第1の種類の欠陥D1)を決める(ステップS3)。
どのような種類の欠陥を調べるかは、作業者の持っている知識(翼の構造・形状・板厚・材質や、超音波探傷検査の特性や、今までに蓄積した検査経験の知識など)を基に判断される。
【0025】
作業者は、決定した欠陥の種類に応じて必要となる1つまたは複数の探傷画像を選択し、選択した画像を、図19に示すように画像表示装置の表示画面1上に、整列させて表示させる(ステップS4)。
例えば欠陥の種類がD1である場合には、探傷画像I1と探傷画像I3を選択し、両探傷画像I1,I3を横並びに整列させて表示させる。
この場合、探傷画像I1,I3は、図19に点線で示す区画線により例えば、4×7の28個に区画された区画領域R1〜R28上に重ねて表示される。つまり、探傷画像I1,I3は、それぞれ、区画領域R1〜R28上の画像に区画される。
なお欠陥の種類に応じて、どのような探傷画像を選択してどのように画像を配列するかは、作業者の持っている知識(翼の構造・形状・板厚・材質や、欠陥の種類や、超音波探傷検査の特性や、今までに蓄積した検査経験の知識など)を基に判断される。
【0026】
作業者は、探傷画像I1,I3の表示範囲を変更する。
具体的には、表示するX,Y座標の開始位置とX,Y座標の終了位置を変更して、表示すべき区画領域を特定すると共に表示倍率を最適に変更して、図19に示すように、探傷画像I1,I3のうち、例えば区画領域R1上の所定範囲の画像を拡大して表示する(ステップS5)。
欠陥の種類に応じて、どの程度まで表示倍率を拡大調整すれば良いかや、どの区画領域の画像を表示すれば良いかは、作業者の持っている知識(翼の構造・形状・板厚・材質や、欠陥の種類や、超音波探傷検査の特性や、今までに蓄積した検査経験の知識など)を基に判断される。
【0027】
図20の状態では、区画領域R1上の画像を拡大しただけであるので、欠陥部位を示す画像(黒塗りした部分)と健全部位とのコントラストが明確でない。
そこで、作業者は、区画領域R1上の探傷画像I1,I3を拡大した画像(図20)のコントラスト調整をして、健全部位の画像と欠陥部位の画像とのコントラストを強調する(ステップS6)。
欠陥の種類に応じて、どの程度までコントラストを調整すればよいかは、作業者の持っている知識(翼の構造・形状・板厚・材質や、欠陥の種類や、超音波探傷検査の特性や、今までに蓄積した検査経験の知識など)を基に判断される。
【0028】
作業者は、区画領域R上の探傷画像I1,I3を拡大し且つコントラスト調整した画像(図21)を目視確認して欠陥部位の有無を評価する(ステップS7)。
【0029】
作業者は、探傷画像I1,I3の表示範囲を、区画領域R1上の画像を拡大した画像から、次々と、区画領域R2〜R28上の画像を拡大した画像に変更していき、各区画領域R2〜R28上の拡大画像を選択したときに、選択した区画領域の状況に応じて、それぞれステップ5,6,7に示す、表示倍率の最適な変更と、コントラスト調整と、目視による欠陥部位の検査をする。
【0030】
全ての区画領域R1〜R28上の画像について、欠陥D1の有無について検査したら(ステップS8)、こんどは、評価する欠陥の種類を別の種類の欠陥(例えば欠陥D2)に変更する(ステップS3)。
【0031】
欠陥D2についても、欠陥D1と同様にして、欠陥部位の検査をする。
【0032】
このようにして、欠陥の種類を順次変更していき、すべての種類の欠陥について、欠陥部位の検査をしたら評価を完了し(ステップS9)、探傷画像の分析作業を完了する。(ステップS10)。
【0033】
なお欠陥の種類によっては、特定の区画領域については、探傷画像の分析をせずに、次の区画領域にスキップすることもある。
これは、選択した特定の画像と選択した特定の欠陥によっては、特定の区画領域での欠陥検出ができないことが知識や経験により初めから分かっている場合には、時間と労力を削減するために、特定の区画領域での探傷画面分析をスキップしているからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開平9−251364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
ところで、上述した探傷画像信号を用いて主翼の検査をする従来手法では、表示する画像の種類や配置、表示範囲(倍率)やコントラストが、欠陥の種類や、区画領域によって変化するため、これらの変更に時間がかかる。
更に、経験の浅い検査員は、表示する画像の種類や配置、表示範囲(倍率)やコントラストを間違えてしまう可能性があり、欠陥の検出漏れが発生するリスクがある。
【0036】
本発明は、上記従来技術に鑑み、欠陥を検査するための手間や時間を軽減すると共に、習熟度によらずに正確に欠陥を検出することができる、超音波探傷画像の分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記課題を解決する本発明の構成は、
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、検査する欠陥の種類に応じて使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲と、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された探傷条件データベースが記憶された探傷条件データベース部と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、当該検査手順コマンドで示す画像の配置パターンで、当該検査手順コマンドで示す表示範囲とコントラストで表示装置に表示させることを特徴とする。
【0038】
また本発明の構成は、
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された第1の探傷条件データベースと、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を規定する第2の探傷条件データベースとが記憶された探傷条件データベース部と、
検査対象物の板厚、形状、材質のデータを少なくとも有する設計データを有するCADモデル部と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記第1の探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、
検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の板厚、形状、材質を前記CADモデルから取り込んで検査手順コマンドに組み込むと共に、第2の探傷条件データベースを参照して、欠陥の種類と前記CADモデルから取り込んだ板厚、形状、材質の組み合わせパターンに対して規定されている、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を取り込み、
使用する探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、取り込んだ画像の配置パターンで、取り込んだ表示範囲とコントラストで表示装置に表示させることを特徴とする。
【0039】
また本発明の構成は、
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された第1の探傷条件データベースと、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を規定する第2の探傷条件データベースとが記憶された探傷条件データベース部と、
検査対象物の形状、材質のデータを少なくとも有する設計データを有するCADモデル部と、
検査対象物の板厚を計測する板厚計測装置と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記第1の探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、
検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の形状、材質を前記CADモデルから取り込んで検査手順コマンドに組み込むと同時に取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の板厚として前記板厚計測装置により計測した板厚を取り込むと共に、第2の探傷条件データベースを参照して、欠陥の種類と前記CADモデル及び前記板厚計測装置から取り込んだ板厚、形状、材質の組み合わせパターンに対して規定されている、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を取り込み、
使用する探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、取り込んだ画像の配置パターンで、取り込んだ表示範囲とコントラストで表示装置に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、超音波探傷画像を観察して欠陥を検出する場合において、検査する欠陥に応じて最適な画像が最適な配置パターンで、最適な表示範囲とコントラストで順次表示されるため、検査員が手動により画像選択・配置パターン、表示範囲、コントラストを変更する手間がなくなり、検査の手間や時間を軽減することができる。
また、検査員の習熟度によらずに、正確に欠陥の検出をすることができ、欠陥の検出漏れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1に係る超音波探傷画像の分析装置を示す構成図。
【図2】実施例1で用いる探傷条件データベースを示すデータ図。
【図3】実施例1の動作状態を示すフロー図。
【図4】本発明の実施例2に係る超音波探傷画像の分析装置を示す構成図。
【図5】実施例2で用いる第1の探傷条件データベースを示すデータ図。
【図6】実施例2で用いる第2の探傷条件データベースを示すデータ図。
【図7】実施例2の動作状態を示すフロー図。
【図8】本発明の実施例3に係る超音波探傷画像の分析装置を示す構成図。
【図9】実施例3の動作状態を示すフロー図。
【図10】探傷パスの例を示す説明図。
【図11】探傷波形の例を示す波形図。
【図12】探傷波形の例を示す波形図。
【図13】探傷波形とゲートの例を示す波形図。
【図14】探傷波形とゲートの例を示す波形図。
【図15】健全部位の探傷画像を示す画像図。
【図16】欠陥部位の探傷画像を示す画像図。
【図17】欠陥部位の探傷画像を示す画像図。
【図18】従来の探傷画像分析手順を示すフロー図。
【図19】従来の探傷画像を示す画像図。
【図20】従来の探傷画像を示す画像図。
【図21】従来の探傷画像を示す画像図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0043】
図1は本発明の実施例1に係る超音波探傷画像の分析装置を示すブロック図である。この超音波探傷画像の分析装置は、探傷画像分析装置10と、入力装置20と、画像表示装置30と、探傷条件データベース部40と、探傷画像信号用データベース部50とで構成されている。
【0044】
探傷画像信号用データベース部50には、複数の探傷画像信号i1〜inが予め記憶されている。これら複数の探傷画像信号i1〜inは、航空機の主翼上に設定した探傷パスに沿い超音波探触子を移動させていって取得した探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法(TOF画像信号変換処理手法や、AMP画像信号変換処理手法や、これらの信号変換処理手法においてゲートを異ならせた信号変換処理手法)により信号変換処理して得たものである。
これら探傷画像信号i1〜inを、探傷画像分析装置10を介して画像表示装置30に送ることにより、表示画面31に探傷画像I1〜Inを表示することができる。
【0045】
探傷条件データベース部40には、図2に示すような、探傷条件データベースが予め記憶されている。この探傷条件データベースは、多数の検査手順コマンドCが実行順番に沿い並んで構築されたデータベースである。
【0046】
各検査手順コマンドCは、検査する欠陥の種類と、検査する欠陥の種類に応じて使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲と、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値(コントラストの最小値と最大値)とから構成されている。
【0047】
例えば、検査手順コマンドC1は、検査する欠陥の種類がD1であり、検査する欠陥の種類D1に応じて使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、使用する探傷画像I1の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報により構成されている。
【0048】
また例えば、検査手順コマンドC101は、検査する欠陥の種類がD2であり、検査する欠陥の種類D2に応じて使用する探傷画像がI1とI4であり、使用する探傷画像I1,I4の配置パターンは2個の画像を横に整列して表示することであり、使用する探傷画像I1,I4の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I4では30で、コントラスト最大値が探傷画像I2では40,探傷画像I4では50であることを示す情報により構成されている。
【0049】
探傷条件データベースでは、同一種類の欠陥(例えば欠陥D1)を検査するための検査手順コマンド(例えばコマンドC1,C2,C3,C4・・・)は、実行順番に沿い連続して設定されている。
更に、同一種類の欠陥を検出するため実行順番に沿い連続して設定された複数の検査手順コマンドの表示範囲は、先行する検査手順コマンドで指示される表示範囲に対して、後行する検査手順コマンドで指示される表示範囲が位置的にズレている。
【0050】
各検査手順コマンドCは、欠陥の種類や、各部位の形状、板厚、材質を考慮して、欠陥を最適に検出することができるように、欠陥の種類に応じて、使用する探傷画像や、画像の配置パターンや、表示範囲(倍率)やコントラストを予め決定したものである。
【0051】
なお必要に応じて、各検査手順コマンドCの内容を、修正することもできる。この修正は、作業者が入力装置20を介して修正データを入力することにより行うことができる。
【0052】
作業者が、入力装置20を介して、探傷画像分析装置10に対して検査開始指示を入力することにより、探傷検査を実行することができる。
【0053】
次に、図3に示すフローチャートも参照しつつ、実施例1の動作状態を説明する。
【0054】
作業者が検査作業を開始する際には(図3のステップS1)、入力装置20を介して、探傷画像を開くと共に評価の開始を指示する指令を、探傷画像分析装置10に入力する(ステップS2,S3)。
そうすると、探傷画像分析装置10は探傷画像信号用データベース部50から探傷画像信号i1〜inを取り込み、探傷画像分析装置10内のメモリに探傷画像信号i1〜inを記憶する。
そして、探傷画像分析装置10により自動操作が開始される(ステップS4)。
【0055】
探傷画像分析装置10では、探傷条件データベース部40の探傷条件データベースを参照して、検査手順コマンドCで示す情報に基づき、検査を順番に実行していく。
【0056】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC1を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD1であることを取得し(ステップS5)、使用する探傷画像がI1であり1個の探傷画像I1を画面に最大化して表示することを取得して、探傷画像信号i1に基づく探傷画像I1を画面表示装置30の表示画面31に最大化して表示する(ステップS6)。
【0057】
また、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC1を基に、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得し、探傷画像I1のうち上記表示範囲の領域の画像を表示画面31に最大化して表示する(ステップ7)。
【0058】
更に、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC1を基に、コントラスト指示値(コントラスト最小値が20で、コントラスト最大値が40であること)を取得し、表示画面31に最大化して表示された、探傷画像I1のうちの表示範囲の領域の画像のコントラストを、上記コントラスト指示値に応じて調整する(ステップS8)。
【0059】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち検査手順コマンドC1により指定された、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS9)。
【0060】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0061】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC2を取り込み、この検査手順コマンドC2を基に、ステップS5〜S8の動作をして、検査手順コマンドC2により指定された、探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲で、特定のコントラストの画像を最大化して表示画面31に表示する。
【0062】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち検査手順コマンドC2により指定された、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS9)。
【0063】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0064】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC3,C4,・・・においても実行していく。
【0065】
欠陥D1の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS11)、次の欠陥D2の有無の検査をするため、探傷画像分析装置10は、欠陥D2を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドC101を取り込む。
【0066】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC101を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD2であることを取得し(ステップS5)、使用する探傷画像がI1,I4であり2個の探傷画像I1,I4を画面に横に整列して表示することを取得して、探傷信号i1,i4に基づく探傷画像I1,I4を画面表示装置30の表示画面31に横に整列して表示する(ステップS6)。
【0067】
また、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC101を基に、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得し、探傷画像I1,I4のうち上記表示範囲の領域の画像を表示画面31に横に整列して表示する(ステップ7)。
【0068】
更に、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC101を基に、コントラスト指示値(コントラスト最小値が探傷画像I1は20で探傷画像I4は30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1は40で探傷画像I4は50であること)を取得し、表示画面31に横に整列して表示された、探傷画像I1,I4のうちの表示範囲の領域の画像のコントラストを、上記コントラスト指示値に応じて調整する(ステップS8)。
【0069】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I4のうち検査手順コマンドC101により指定された、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS9)。
【0070】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0071】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC102を取り込み、この検査手順コマンドC102を基に、ステップS5〜S8の動作をして、検査手順コマンドC102により指定された、探傷画像I1,I4のうち、特定の領域の表示範囲で、特定のコントラストの画像を横に整列して表示画面31に表示する。
【0072】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I4のうち検査手順コマンドC102により指定された、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS9)。
【0073】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0074】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC103・・・においても実行していく。
【0075】
欠陥D2の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS11)、次の欠陥D3の有無を検査するため、探傷画像分析装置10は、欠陥D3を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドCNを取り込み、前述したのと同様な処理をして画像を表示し、作業者は表示された画像を目視確認して欠陥の有無を評価することができる。
【0076】
検査手順コマンドCが最後まで実行されて全ての欠陥の評価が完了したら(ステップS12)、探傷画像分析装置10は自動操作を終了し(ステップS13)、探傷画像の分析作業(欠陥検出作業)を完了する(ステップS14)。
【0077】
なお作業者が欠陥を目視確認したら、欠陥の部位や種類を探傷画像分析装置10に記憶させておき、欠陥検査の作業完了後に、記憶させていた欠陥部位を欠陥種類毎に表示画面31上に表示するように設定することもできる。
【0078】
このように、探傷画像分析装置10が自動操作を行い、各欠陥の種類に応じて、最適な種類の画像が最適な配置状態で、しかも、最適な表示範囲(倍率)と最適なコントラストで、順次、画像表示装置30の表示画面31に表示される。このため、作業者は画像の選択や表示位置や表示倍率等の変更操作をすることなく、表示画面を見て欠陥の検査を行うことができる。
したがって、短時間で容易に欠陥の検査ができると共に、経験の浅い検査員であっても検査漏れなく正確に欠陥検査をすることができる。
【実施例2】
【0079】
図4は本発明の実施例2に係る超音波探傷画像の分析装置を示すブロック図である。この超音波探傷画像の分析装置は、探傷画像分析装置10と、入力装置20と、画像表示装置30と、探傷条件データベース部40と、探傷画像信号用データベース部50と、三次元CADモデル部60で構成されている。
【0080】
三次元CADモデル部60には、検査対象物(例えば航空機の主翼)を設計するために必要な各種のデータ、例えば、板厚、形状、材質、寸法、構造等の設計データが記憶されている。
【0081】
探傷画像信号用データベース部50には、複数の探傷画像信号i1〜inが予め記憶されている。これら複数の探傷画像信号i1〜inは、航空機の主翼上に設定した探傷パスに沿い超音波探触子を移動させていって取得した探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法(TOF画像信号変換処理手法や、AMP画像信号変換処理手法や、これらの信号変換処理手法においてゲートを異ならせた信号変換処理手法)により信号変換処理して得たものである。
これら探傷画像信号i1〜inを、探傷画像分析装置10を介して画像表示装置30に送ることにより、表示画面31に探傷画像I1〜Inを表示することができる。
【0082】
探傷条件データベース部40には、図5に示すような第1の探傷条件データベースDB1と、図6に示すような第2の探傷条件データDB2が予め記憶されている。
【0083】
図5に示す第1の探傷条件データベースDB1は、多数の検査手順コマンドCが実行順番に沿い並んで構築されたデータベースである。図5では、板厚、形状、材質のデータが既に記載されているが、当初では板厚、形状、材質のデータは記憶されておらず、後述するように、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込むものである。
【0084】
図5に示す第1の探傷条件データベースDB1を説明すると、各検査手順コマンドCは、検査する欠陥の種類と、探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲とから構成されている。
後述するように、各検査手順コマンドCを実行する際には、探傷画像分析装置10は、表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の板厚、形状、材質をCADデータから取得して、各検査手順コマンドCに組み込む(記録する)。
【0085】
例えば、検査手順コマンドC1は、検査する欠陥の種類がD1であり、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であることを示す情報により構成されている。
【0086】
また例えば、検査手順コマンドC101は、検査する欠陥の種類がD2であり、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であることを示す情報により構成されている。
【0087】
第1の探傷条件データベースDB1では、同一種類の欠陥(例えば欠陥D1)を検査するための検査手順コマンド(例えばコマンドC1,C2,C3,C4・・・)は、実行順番に沿い連続して設定されている。
更に、同一種類の欠陥を検出するため実行順番に沿い連続して設定された複数の検査手順コマンドの表示範囲は、先行する検査手順コマンドで指示される表示範囲に対して、後行する検査手順コマンドで指示される表示範囲が位置的にズレている。
【0088】
次に図6に示す第2の探傷条件データベースDB2について説明する。第2の探傷条件データベースDB2は、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値(コントラストの最小値と最大値)が規定されている。
【0089】
第2の探傷条件データベースDB2は、欠陥の種類や、各部位の形状、板厚、材質を考慮して、欠陥を最適に検出することができるように、欠陥の種類に応じて、使用する探傷画像や、画像の配置パターンや、コントラストを予め決定したものである。
【0090】
なお必要に応じて、探傷条件データベースDB1,DB2の内容を、修正することもできる。この修正は、作業者が入力装置20を介して修正データを入力することにより行うことができる。
【0091】
次に、図7に示すフローチャートも参照しつつ、実施例2の動作状態を説明する。
【0092】
作業者が検査作業を開始する際には(図7のステップS1)、入力装置20を介して、探傷画像を開くと共に評価の開始を指示する指令を、探傷画像分析装置10に入力する(ステップS2,S3)。
そうすると、探傷画像分析装置10は探傷画像信号用データベース部50から探傷画像信号i1〜inを取り込み、探傷画像分析装置10内のメモリに探傷画像信号i1〜inを記憶する。
そして、探傷画像分析装置10により自動操作が開始される(ステップS4)。
【0093】
探傷画像分析装置10では、探傷条件データベース部40の第1の探傷条件データベースDB1を参照して、検査手順コマンドCで示す情報に基づき、検査を順番に実行していく。
【0094】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC1を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD1であることを取得し(ステップS5)、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得する(ステップS6)。
【0095】
次に探傷画像分析装置10は、ステップ6にて取得した表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の板厚、形状、材質を、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、取り込んだCADデータ(板厚が10、形状がF1、材質がM1)を、検査手順コマンドC1に組み込んで記憶する(ステップS7)。
【0096】
探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース部40の第2の探傷条件データベースDB2を参照して、欠陥の種類D1と、板厚(10)と、形状(F1)と、材質(M1)とを組み合わせたパターンに設定されている、使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報を取得する(ステップ8)。
【0097】
このように第1の探傷条件データベースDB1の検査手順コマンドC1と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照することにより、検査する欠陥の種類がD1であり、検査する欠陥の種類D1に応じて使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、使用する探傷画像I1の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報を取得できる。
【0098】
このようにして取得した情報を基に、探傷画像分析装置10は、探傷画像信号i1に基づく探傷画像I1のうち、上記表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、上記コントラスト(コントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40)で、1画像を最大化して画像表示装置30の表示画像31に表示する。
【0099】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS9)。
【0100】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0101】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC2を取り込み、この検査手順コマンドC2と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、ステップS5〜S8の動作をして、探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(X軸上の開始位置X1が10で終了位置X2が20でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、特定のコントラスト(コントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40)で、1画像を最大化して表示画面31に表示する。
【0102】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS9)。
【0103】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0104】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC3,C4,・・・においても、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、実行していく。
【0105】
欠陥D1の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS11)、次の欠陥D2の有無の検査をするため、探傷画像分析装置10は、欠陥D2を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドC101を取り込む。
【0106】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC101を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD2であることを取得し(ステップS5)、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得する(ステップS6)。
【0107】
次に探傷画像分析装置10は、ステップ6にて取得した表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の板厚、形状、材質を、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、取り込んだCADデータ(板厚が10、形状がF2、材質がM2)を、検査手順コマンドC101に組み込んで記憶する(ステップS7)。
【0108】
探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース部40の第2の探傷条件データベースDB2を参照して、欠陥の種類D2と、板厚(10)と、形状(F2)と、材質(M2)とを組み合わせたパターンに設定されている、使用する探傷画像がI1,I3であり、使用する探傷画像I1,I2の配置パターンは2個の画像を横に整列して配置することであり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50であることを示す情報を取得する(ステップ8)。
【0109】
このように第1の探傷条件データベースDB1の検査手順コマンドC2と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照することにより、検査する欠陥の種類がD2であり、検査する欠陥の種類D2に応じて使用する探傷画像がI1,I3であり、使用する探傷画像I1,I3の配置パターンは2個の画像を横に整列して配置することであり、使用する探傷画像I1,I3の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50であることを示す情報を取得できる。
【0110】
このようにして取得した情報を基に、探傷画像分析装置10は、探傷画像信号i1,i3に基づく探傷画像I1,I3のうち、上記表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、上記コントラスト(コントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50)で、2画像を横に整列して画像表示装置30の表示画像31に表示する。
【0111】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して配置されて表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS9)。
【0112】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0113】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC102を取り込み、この検査手順コマンドC102と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、ステップS5〜S8の動作をして、探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(X軸上の開始位置X1が10で終了位置X2が20でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、特定のコントラスト(コントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50)で、2画像を横に整列して表示画面31に表示する。
【0114】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS9)。
【0115】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0116】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC103・・・においても、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、実行していく。
【0117】
欠陥D2の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS11)、次の欠陥D3の有無を検査するため、探傷画像分析装置10は、欠陥D3を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドCNを取り込み、前述したのと同様な処理をして画像を表示し、作業者は表示された画像を目視確認して欠陥の有無を評価することができる。
【0118】
検査手順コマンドCが最後まで実行されて全ての欠陥の評価が完了したら(ステップS12)、探傷画像分析装置10は自動操作を終了し(ステップS13)、探傷画像の分析作業(欠陥検出作業)を完了する(ステップS14)。
【0119】
なお作業者が欠陥を目視確認したら、欠陥の部位や種類を探傷画像分析装置10に記憶させておき、欠陥検査の作業完了後に、記憶させていた欠陥部位を欠陥種類毎に表示画面31上に表示するように設定することもできる。
【0120】
このように、探傷画像分析装置10が自動操作を行い、各欠陥の種類に応じて、最適な種類の画像が最適な配置状態で、しかも、最適な表示範囲(倍率)と最適なコントラストで、順次、画像表示装置30の表示画面31に表示される。このため、作業者は画像の選択や表示位置や表示倍率等の変更操作をすることなく、表示画面を見て欠陥の検査を行うことができる。
したがって、短時間で容易に欠陥の検査ができると共に、経験の浅い検査員であっても検査漏れなく正確に欠陥検査をすることができる。
【0121】
また、欠陥の種類と板厚、形状、材質を基に、第2の探傷条件データベースDB2から、使用する探傷画像、画像の配置パターン、コントラストを取得するため、全ての検査手順コマンドに、個々に、使用する探傷画像、画像の配置パターン、コントラストを登録しておく必要がなくなる。このため、全体として、探傷条件データベースを作成することが容易になる。
【実施例3】
【0122】
図8は本発明の実施例3に係る超音波探傷画像の分析装置を示すブロック図である。この超音波探傷画像の分析装置は、探傷画像分析装置10と、入力装置20と、画像表示装置30と、探傷条件データベース部40と、探傷画像信号用データベース部50と、三次元CADモデル部60と、板厚計測装置70で構成されている。
【0123】
板厚計測装置70は、検査対象物(例えば航空機の主翼)の板厚を実測して、計測値(板厚)を出力する。
【0124】
三次元CADモデル部60には、検査対象物(例えば航空機の主翼)を設計するために必要な各種のデータ、例えば、板厚、形状、材質、寸法、構造等の設計データが記憶されている。
【0125】
探傷画像信号用データベース部50には、複数の探傷画像信号i1〜inが予め記憶されている。これら複数の探傷画像信号i1〜inは、航空機の主翼上に設定した探傷パスに沿い超音波探触子を移動させていって取得した探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法(TOF画像信号変換処理手法や、AMP画像信号変換処理手法や、これらの信号変換処理手法においてゲートを異ならせた信号変換処理手法)により信号変換処理して得たものである。
これら探傷画像信号i1〜inを、探傷画像分析装置10を介して画像表示装置30に送ることにより、表示画面31に探傷画像I1〜Inを表示することができる。
【0126】
探傷条件データベース部40には、実施例2と同様に、図5に示すような第1の探傷条件データベースDB1と、図6に示すような第2の探傷条件データDB2が予め記憶されている。
【0127】
図5に示す第1の探傷条件データベースDB1は、多数の検査手順コマンドCが実行順番に沿い並んで構築されたデータベースである。図5では、板厚、形状、材質のデータが既に記載されているが、当初では板厚、形状、材質のデータは記憶されておらず、後述するように、形状及び材質については、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、板厚については板厚計測装置70により翼のうち検査対象部分の板厚を実計測して得た計測値(板厚)を取り込むものである。
【0128】
図5に示す第1の探傷条件データベースDB1を説明すると、各検査手順コマンドCは、検査する欠陥の種類と、探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲とから構成されている。
後述するように、各検査手順コマンドCを実行する際には、探傷画像分析装置10は、表示範囲に対応する検査対象物(主翼)の対応部分の形状、材質を、CADデータから取得して各検査手順コマンドCに組み込む(記録する)と共に、表示範囲に対応する検査対象物(主翼)の対応部分の板厚として、板厚計測装置70により実測した板厚を取得して各検査手順コマンドCに組み込む(記録する)。
【0129】
例えば、検査手順コマンドC1は、検査する欠陥の種類がD1であり、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であることを示す情報により構成されている。
【0130】
また例えば、検査手順コマンドC101は、検査する欠陥の種類がD2であり、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であることを示す情報により構成されている。
【0131】
第1の探傷条件データベースDB1では、同一種類の欠陥(例えば欠陥D1)を検査するための検査手順コマンド(例えばコマンドC1,C2,C3,C4・・・)は、実行順番に沿い連続して設定されている。
更に、同一種類の欠陥を検出するため実行順番に沿い連続して設定された複数の検査手順コマンドの表示範囲は、先行する検査手順コマンドで指示される表示範囲に対して、後行する検査手順コマンドで指示される表示範囲が位置的にズレている。
【0132】
次に図6に示す第2の探傷条件データベースDB2について説明する。第2の探傷条件データベースDB2は、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値(コントラストの最小値と最大値)が規定されている。
【0133】
第2の探傷条件データベースDB2は、欠陥の種類や、各部位の形状、板厚、材質を考慮して、欠陥を最適に検出することができるように、欠陥の種類に応じて、使用する探傷画像や、画像の配置パターンや、コントラストを予め決定したものである。
【0134】
なお必要に応じて、探傷条件データベースDB1,DB2の内容を、修正することもできる。この修正は、作業者が入力装置20を介して修正データを入力することにより行うことができる。
【0135】
次に、図9に示すフローチャートも参照しつつ、実施例3の動作状態を説明する。
【0136】
作業者が検査作業を開始する際には(図9のステップS1)、入力装置20を介して、探傷画像を開くと共に評価の開始を指示する指令を、探傷画像分析装置10に入力する(ステップS2,S3)。
そうすると、探傷画像分析装置10は探傷画像信号用データベース部50から探傷画像信号i1〜inを取り込み、探傷画像分析装置10内のメモリに探傷画像信号i1〜inを記憶する。
そして、探傷画像分析装置10により自動操作が開始される(ステップS4)。
【0137】
探傷画像分析装置10では、探傷条件データベース部40の第1の探傷条件データベースDB1を参照して、検査手順コマンドCで示す情報に基づき、検査を順番に実行していく。
【0138】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC1を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD1であることを取得し(ステップS5)、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得する(ステップS6)。
【0139】
次に探傷画像分析装置10は、ステップ6にて取得した表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の形状、材質を、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、取り込んだCADデータ(形状がF1、材質がM1)を、検査手順コマンドC1に組み込んで記憶する(ステップS7)。
【0140】
また検査対象物(主翼)の対応部分の板厚を、板厚計測装置70により計測し、探傷画像分析装置10は、計測した板厚を取り込み、取り込んだ板厚データ(板厚が10)を、検査手順コマンドC1に組み込んで記憶する(ステップS8)。
【0141】
探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース部40の第2の探傷条件データベースDB2を参照して、欠陥の種類D1と、板厚(10)と、形状(F1)と、材質(M1)とを組み合わせたパターンに設定されている、使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報を取得する(ステップ9)。
【0142】
このように第1の探傷条件データベースDB1の検査手順コマンドC1と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照することにより、検査する欠陥の種類がD1であり、検査する欠陥の種類D1に応じて使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、使用する探傷画像I1の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報を取得できる。
【0143】
このようにして取得した情報を基に、探傷画像分析装置10は、探傷画像信号i1に基づく探傷画像I1のうち、上記表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、上記コントラスト(コントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40)で、1画像を最大化して画像表示装置30の表示画像31に表示する。
【0144】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS10)。
【0145】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS11)。
【0146】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC2を取り込み、この検査手順コマンドC2と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、ステップS5〜S9の動作をして、探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(X軸上の開始位置X1が10で終了位置X2が20でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、特定のコントラスト(コントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40)で、1画像を最大化して表示画面31に表示する。
【0147】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS10)。
【0148】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS11)。
【0149】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC3,C4,・・・においても、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、実行していく。
【0150】
欠陥D1の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS12)、次の欠陥D2の有無の検査をするため、探傷画像分析装置10は、欠陥D2を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドC101を取り込む。
【0151】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC101を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD2であることを取得し(ステップS5)、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得する(ステップS6)。
【0152】
次に探傷画像分析装置10は、ステップ6にて取得した表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の形状、材質を、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、取り込んだCADデータ(形状がF2、材質がM2)を、検査手順コマンドC101に組み込んで記憶する(ステップS7)。
【0153】
また検査対象物(主翼)の対応部分の板厚を、板厚計測装置70により計測し、探傷画像分析装置10は、計測した板厚を取り込み、取り込んだ板厚データ(板厚が10)を、検査手順コマンドC1に組み込んで記憶する(ステップS8)。
【0154】
探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース部40の第2の探傷条件データベースDB2を参照して、欠陥の種類D2と、板厚(10)と、形状(F2)と、材質(M2)とを組み合わせたパターンに設定されている、使用する探傷画像がI1,I3であり、使用する探傷画像I1,I3の配置パターンは2個の画像を横に整列して配置することであり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50であることを示す情報を取得する(ステップ9)。
【0155】
このように第1の探傷条件データベースDB1の検査手順コマンドC2と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照することにより、検査する欠陥の種類がD2であり、検査する欠陥の種類D2に応じて使用する探傷画像がI1,I3であり、使用する探傷画像I1,I3の配置パターンは2個の画像を横に整列して配置することであり、使用する探傷画像I1,I3の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50であることを示す情報を取得できる。
【0156】
このようにして取得した情報を基に、探傷画像分析装置10は、探傷画像信号i1,i3に基づく探傷画像I1,I3のうち、上記表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、上記コントラスト(コントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50)で、2画像を横に整列して画像表示装置30の表示画像31に表示する。
【0157】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して配置されて表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS10)。
【0158】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS11)。
【0159】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC102を取り込み、この検査手順コマンドC102と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、ステップS5〜S9の動作をして、探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(X軸上の開始位置X1が10で終了位置X2が20でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、特定のコントラスト(コントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50)で、2画像を横に整列して表示画面31に表示する。
【0160】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS10)。
【0161】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS11)。
【0162】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC103・・・においても、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、実行していく。
【0163】
欠陥D2の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS12)、次の欠陥D3の有無を検査するため、探傷画像分析装置10は、欠陥D3を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドCNを取り込み、前述したのと同様な処理をして画像を表示し、作業者は表示された画像を目視確認して欠陥の有無を評価することができる。
【0164】
検査手順コマンドCが最後まで実行されて全ての欠陥の評価が完了したら(ステップS13)、探傷画像分析装置10は自動操作を終了し(ステップS14)、探傷画像の分析作業(欠陥検出作業)を完了する(ステップS15)。
【0165】
なお作業者が欠陥を目視確認したら、欠陥の部位や種類を探傷画像分析装置10に記憶させておき、欠陥検査の作業完了後に、記憶させていた欠陥部位を欠陥種類毎に表示画面31上に表示するように設定することもできる。
【0166】
このように、探傷画像分析装置10が自動操作を行い、各欠陥の種類に応じて、最適な種類の画像が最適な配置状態で、しかも、最適な表示範囲(倍率)と最適なコントラストで、順次、画像表示装置30の表示画面31に表示される。このため、作業者は画像の選択や表示位置や表示倍率等の変更操作をすることなく、表示画面を見て欠陥の検査を行うことができる。
したがって、短時間で容易に欠陥の検査ができると共に、経験の浅い検査員であっても検査漏れなく正確に欠陥検査をすることができる。
【0167】
また、欠陥の種類と板厚、形状、材質を基に、第2の探傷条件データベースDB2から、使用する探傷画像、画像の配置パターン、コントラストを取得するため、全ての検査手順コマンドに、個々に、使用する探傷画像、画像の配置パターン、コントラストを登録しておく必要がなくなる。このため、全体として、探傷条件データベースを作成することが容易になる。
【0168】
更に、検査対象部位の板厚は板厚計測装置70により実計測するため、板厚データをデータベースに記憶しておく必要はない。したがって、検査対象物毎に板厚のバラツキがあっても、正しい設定条件(板厚寸法)を用いて探傷検査をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、航空機の翼の欠陥を検出する場合のみならず、超音波探傷により欠陥検出をすることができる各種の検査対象製品について、超音波探傷により欠陥検出する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0170】
10 探傷画像分析装置
20 入力装置
30 画像表示装置
31 表示画面
40 探傷条件データベース部
50 探傷画像信号用データベース部
60 三次元CADモデル部
70 板厚計測装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷画像の分析装置に関し、欠陥を検査するための手間や時間を軽減すると共に、習熟度によらずに正確に欠陥を検出することができるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
航空機の主翼は、従来ではアルミニウム合金やチタン合金で製造されていたが、最近では、炭素繊維と樹脂を組み合わせた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が使用されてきている。
航空機においては、翼の損傷は大事故に直結する危険があるため、保守・点検作業をして欠陥を発見することは極めて重要である。
【0003】
航空機の翼に発生する欠陥としては、傷や、異物や、剥離などがあり、これらの欠陥を検出する非破壊検査として、超音波探傷検査が採用されている。
【0004】
ここで、超音波探傷検査の一般的な手法を先に説明しておく。
図10に示すように、探傷範囲Aが広範囲である場合には、探傷パスPを設定しこの探傷パスPに沿い超音波探触子を移動させていって、超音波による探傷波形信号(応答波形信号)を取得する。
【0005】
探傷パスP上のある1点において、その部位が健全部位であれば、図11に示すような表面エコーEsと底面エコーEbとからなる探傷波形信号が得られる。一方、探傷パスP上のある1点において、その部位が欠陥部位であれば、図12に示すような表面エコーEsと底面エコーEbと欠陥エコーEdからなる探傷波形信号が得られる。
【0006】
探傷範囲Aが狭い場合には、探傷パスPの全体にわたって探傷波形信号の波形を目視観察することにより欠陥の検出(欠陥エコーEdの検出)をすることも可能であるが、探傷範囲Aが広い場合には、探傷パスP全体にわたって探傷波形信号の波形を目視確認すると膨大な時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、探傷波形信号を信号変換処理して、健全部位の輝度値に対して欠陥部位の輝度値が変化する探傷画像を表す探傷画像信号に変換し、この探傷画像信号による探傷画像を目視確認して欠陥の有無を判定することにより、短時間で探傷検査をしている。
また、欠陥の存在が認められた場合には、探傷画像の基礎となっている探傷波形を確認することにより、詳細な分析もできる。
【0008】
探傷波形信号から探傷画像信号に信号変換する信号変換処理の手法としては、TOF画像信号変換処理とAMP画像信号変換処理が知られている。
信号変換処理をするには、健全部位の探傷波形信号を示す図13、及び、欠陥部位の探傷波形信号を示す図14において、表面エコーEsと底面エコーEbの間の位置に所定高さで所定範囲のゲートGを設定しておく。
TOF画像に変換するには、設定したゲートGと欠陥エコーEdが交わる位置を、輝度値に変換する。AMP画像に変換するには、設定したゲートGと交わった欠陥エコーEdの高さを、輝度値に変換する。
なお、欠陥エコーが複数ある場合には、ゲートGと最初に交わるエコーを欠陥エコーEdとして使用したり、ゲートGと交わるエコーのうち、最大高さのエコーを欠陥エコーEdとして使用するなどのバージョンがある。
【0009】
図15は健全部位の探傷画像の一例であり、図16は欠陥部位の探傷画像(TOF画像)の一例であり、図17は欠陥部位の探傷画像(AMP画像)の一例である。
これらの図に示すように、探傷画像では、健全部位の輝度に対して、欠陥部位の輝度が変化しており、目視により迅速・簡易に欠陥部位を検査することができる。
【0010】
ここで、探傷波形信号の波形形状やノイズの発生状況は、欠陥の種類や探傷部位の板厚・形状・材質などによって異なるため、1つの探傷画像だけで欠陥の有無を正確に判定することができないことがある。
【0011】
このため、欠陥の種類や探傷部位の板厚・形状・材質に応じて、位置や高さの異なる複数のゲートを設定し、複数の探傷画像信号を生成して、複数の探傷画像信号による複数の探傷画像をそれぞれ目視確認することにより、欠陥の有無を総合的に判定している。
【0012】
つまり、探傷パスPに沿い探触子を移動させていったときに得た1つの探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して、複数種類の探傷画像信号を得て、これら複数種類の探傷画像信号による探傷画像を用いて欠陥の有無を総合的に判断している。
【0013】
なお、探傷波形信号からTOF探傷画像信号に変換することと、探傷波形信号からAMP探傷画像信号に変換することは、異なる信号変換処理手法であり、また、探傷波形信号からTOF探傷画像信号に変換する際にゲートGが異なっている場合にも異なる信号変換処理手法であり、探傷波形信号からAMP探傷画像信号に変換する際にゲートGが異なっている場合にも異なる信号変換処理手法であるという意味で、「複数種類の異なる信号変換処理手法」と言っている。
【0014】
1つの探傷波形信号を信号変換して得た、複数種類の探傷画像信号による探傷画像により欠陥の有無を総合的に判断する一般的な例を、次に説明する。
【0015】
例えば欠陥の種類がD1,D2の2種類、探傷部位の板厚が10mm、探傷部位の材質がM1,M2の2種類、探傷部位の形状がF1,F2の2種類の場合に、探傷波形信号を第1のゲートを設定して信号変換処理したTOF探傷画像信号による探傷画像I1と、探傷波形信号を第2のゲートを設定して信号変換処理したTOF探傷画像信号による探傷画像I2と、探傷波形信号を第3のゲートを設定して信号変換処理したAMP探傷画像信号による探傷画像I3と、探傷波形信号を第4のゲートを設定して信号変換処理したAMP探傷画像信号による探傷画像I4によって評価できるとする。
【0016】
探傷画像I1〜I4の割り付けが、表1のようになったとすると、探傷画像I1〜I4を順番に目視確認することで、全ての欠陥を評価できることになる。
【0017】
【表1】
【0018】
ここで、航空機の主翼を、超音波探傷検査する従来の手法を説明する。
【0019】
航空機の主翼の検査では、主翼の全面を超音波探傷検査しているが、この検査により得た探傷波形信号による探傷波形を全て分析するのは時間がかかりすぎるため、取得した探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換処理して、複数の探傷画像信号に変換し、複数の探傷画像信号による複数の探傷画像上で欠陥部位を目視により特定している。
【0020】
探傷画像上では、健全部位と比較して欠陥部位の輝度値が大きくなる(または小さくなる)ため、健全部位と欠陥部位との間の輝度変化を目視確認することにより、欠陥部位を特定している。
【0021】
この場合、検出しようとする欠陥の種類や、部位の違い(形状、板厚、材質など)によって目視確認する探傷画像の種類や配置が異なり、また、欠陥を検出しやすい探傷画像の表示倍率やコントラストも異なる。これは、欠陥の種類や、各部位の板厚や形状や材質によって、超音波の反射の仕方が異なるためである。
このため、検査員は、欠陥の種類や部位の違いによって、表示する探傷画像の種類や配置、表示範囲(倍率)やコントラストを繰り返し変更しながら欠陥を検出している。
【0022】
このような従来の検査手法の詳細を、フローチャートである図18、ならびに、画像表示装置の表示画面に表示した探傷波形画像を示す図19〜図21を参照して説明する。
【0023】
航空機の主翼を超音波探傷検査して得た探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換処理して求めた複数の探傷画像信号が、予め探傷画像信号用データベースに記録されているものとする。
【0024】
作業者が目視検査作業を開始する際には(図18のステップS1)、複数の探傷画像信号による複数の探傷画像I1〜Inを開く(ステップS2)。
次に、評価する欠陥の種類(例えば第1の種類の欠陥D1)を決める(ステップS3)。
どのような種類の欠陥を調べるかは、作業者の持っている知識(翼の構造・形状・板厚・材質や、超音波探傷検査の特性や、今までに蓄積した検査経験の知識など)を基に判断される。
【0025】
作業者は、決定した欠陥の種類に応じて必要となる1つまたは複数の探傷画像を選択し、選択した画像を、図19に示すように画像表示装置の表示画面1上に、整列させて表示させる(ステップS4)。
例えば欠陥の種類がD1である場合には、探傷画像I1と探傷画像I3を選択し、両探傷画像I1,I3を横並びに整列させて表示させる。
この場合、探傷画像I1,I3は、図19に点線で示す区画線により例えば、4×7の28個に区画された区画領域R1〜R28上に重ねて表示される。つまり、探傷画像I1,I3は、それぞれ、区画領域R1〜R28上の画像に区画される。
なお欠陥の種類に応じて、どのような探傷画像を選択してどのように画像を配列するかは、作業者の持っている知識(翼の構造・形状・板厚・材質や、欠陥の種類や、超音波探傷検査の特性や、今までに蓄積した検査経験の知識など)を基に判断される。
【0026】
作業者は、探傷画像I1,I3の表示範囲を変更する。
具体的には、表示するX,Y座標の開始位置とX,Y座標の終了位置を変更して、表示すべき区画領域を特定すると共に表示倍率を最適に変更して、図19に示すように、探傷画像I1,I3のうち、例えば区画領域R1上の所定範囲の画像を拡大して表示する(ステップS5)。
欠陥の種類に応じて、どの程度まで表示倍率を拡大調整すれば良いかや、どの区画領域の画像を表示すれば良いかは、作業者の持っている知識(翼の構造・形状・板厚・材質や、欠陥の種類や、超音波探傷検査の特性や、今までに蓄積した検査経験の知識など)を基に判断される。
【0027】
図20の状態では、区画領域R1上の画像を拡大しただけであるので、欠陥部位を示す画像(黒塗りした部分)と健全部位とのコントラストが明確でない。
そこで、作業者は、区画領域R1上の探傷画像I1,I3を拡大した画像(図20)のコントラスト調整をして、健全部位の画像と欠陥部位の画像とのコントラストを強調する(ステップS6)。
欠陥の種類に応じて、どの程度までコントラストを調整すればよいかは、作業者の持っている知識(翼の構造・形状・板厚・材質や、欠陥の種類や、超音波探傷検査の特性や、今までに蓄積した検査経験の知識など)を基に判断される。
【0028】
作業者は、区画領域R上の探傷画像I1,I3を拡大し且つコントラスト調整した画像(図21)を目視確認して欠陥部位の有無を評価する(ステップS7)。
【0029】
作業者は、探傷画像I1,I3の表示範囲を、区画領域R1上の画像を拡大した画像から、次々と、区画領域R2〜R28上の画像を拡大した画像に変更していき、各区画領域R2〜R28上の拡大画像を選択したときに、選択した区画領域の状況に応じて、それぞれステップ5,6,7に示す、表示倍率の最適な変更と、コントラスト調整と、目視による欠陥部位の検査をする。
【0030】
全ての区画領域R1〜R28上の画像について、欠陥D1の有無について検査したら(ステップS8)、こんどは、評価する欠陥の種類を別の種類の欠陥(例えば欠陥D2)に変更する(ステップS3)。
【0031】
欠陥D2についても、欠陥D1と同様にして、欠陥部位の検査をする。
【0032】
このようにして、欠陥の種類を順次変更していき、すべての種類の欠陥について、欠陥部位の検査をしたら評価を完了し(ステップS9)、探傷画像の分析作業を完了する。(ステップS10)。
【0033】
なお欠陥の種類によっては、特定の区画領域については、探傷画像の分析をせずに、次の区画領域にスキップすることもある。
これは、選択した特定の画像と選択した特定の欠陥によっては、特定の区画領域での欠陥検出ができないことが知識や経験により初めから分かっている場合には、時間と労力を削減するために、特定の区画領域での探傷画面分析をスキップしているからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開平9−251364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
ところで、上述した探傷画像信号を用いて主翼の検査をする従来手法では、表示する画像の種類や配置、表示範囲(倍率)やコントラストが、欠陥の種類や、区画領域によって変化するため、これらの変更に時間がかかる。
更に、経験の浅い検査員は、表示する画像の種類や配置、表示範囲(倍率)やコントラストを間違えてしまう可能性があり、欠陥の検出漏れが発生するリスクがある。
【0036】
本発明は、上記従来技術に鑑み、欠陥を検査するための手間や時間を軽減すると共に、習熟度によらずに正確に欠陥を検出することができる、超音波探傷画像の分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記課題を解決する本発明の構成は、
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、検査する欠陥の種類に応じて使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲と、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された探傷条件データベースが記憶された探傷条件データベース部と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、当該検査手順コマンドで示す画像の配置パターンで、当該検査手順コマンドで示す表示範囲とコントラストで表示装置に表示させることを特徴とする。
【0038】
また本発明の構成は、
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された第1の探傷条件データベースと、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を規定する第2の探傷条件データベースとが記憶された探傷条件データベース部と、
検査対象物の板厚、形状、材質のデータを少なくとも有する設計データを有するCADモデル部と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記第1の探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、
検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の板厚、形状、材質を前記CADモデルから取り込んで検査手順コマンドに組み込むと共に、第2の探傷条件データベースを参照して、欠陥の種類と前記CADモデルから取り込んだ板厚、形状、材質の組み合わせパターンに対して規定されている、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を取り込み、
使用する探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、取り込んだ画像の配置パターンで、取り込んだ表示範囲とコントラストで表示装置に表示させることを特徴とする。
【0039】
また本発明の構成は、
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された第1の探傷条件データベースと、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を規定する第2の探傷条件データベースとが記憶された探傷条件データベース部と、
検査対象物の形状、材質のデータを少なくとも有する設計データを有するCADモデル部と、
検査対象物の板厚を計測する板厚計測装置と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記第1の探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、
検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の形状、材質を前記CADモデルから取り込んで検査手順コマンドに組み込むと同時に取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の板厚として前記板厚計測装置により計測した板厚を取り込むと共に、第2の探傷条件データベースを参照して、欠陥の種類と前記CADモデル及び前記板厚計測装置から取り込んだ板厚、形状、材質の組み合わせパターンに対して規定されている、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を取り込み、
使用する探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、取り込んだ画像の配置パターンで、取り込んだ表示範囲とコントラストで表示装置に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、超音波探傷画像を観察して欠陥を検出する場合において、検査する欠陥に応じて最適な画像が最適な配置パターンで、最適な表示範囲とコントラストで順次表示されるため、検査員が手動により画像選択・配置パターン、表示範囲、コントラストを変更する手間がなくなり、検査の手間や時間を軽減することができる。
また、検査員の習熟度によらずに、正確に欠陥の検出をすることができ、欠陥の検出漏れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1に係る超音波探傷画像の分析装置を示す構成図。
【図2】実施例1で用いる探傷条件データベースを示すデータ図。
【図3】実施例1の動作状態を示すフロー図。
【図4】本発明の実施例2に係る超音波探傷画像の分析装置を示す構成図。
【図5】実施例2で用いる第1の探傷条件データベースを示すデータ図。
【図6】実施例2で用いる第2の探傷条件データベースを示すデータ図。
【図7】実施例2の動作状態を示すフロー図。
【図8】本発明の実施例3に係る超音波探傷画像の分析装置を示す構成図。
【図9】実施例3の動作状態を示すフロー図。
【図10】探傷パスの例を示す説明図。
【図11】探傷波形の例を示す波形図。
【図12】探傷波形の例を示す波形図。
【図13】探傷波形とゲートの例を示す波形図。
【図14】探傷波形とゲートの例を示す波形図。
【図15】健全部位の探傷画像を示す画像図。
【図16】欠陥部位の探傷画像を示す画像図。
【図17】欠陥部位の探傷画像を示す画像図。
【図18】従来の探傷画像分析手順を示すフロー図。
【図19】従来の探傷画像を示す画像図。
【図20】従来の探傷画像を示す画像図。
【図21】従来の探傷画像を示す画像図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0043】
図1は本発明の実施例1に係る超音波探傷画像の分析装置を示すブロック図である。この超音波探傷画像の分析装置は、探傷画像分析装置10と、入力装置20と、画像表示装置30と、探傷条件データベース部40と、探傷画像信号用データベース部50とで構成されている。
【0044】
探傷画像信号用データベース部50には、複数の探傷画像信号i1〜inが予め記憶されている。これら複数の探傷画像信号i1〜inは、航空機の主翼上に設定した探傷パスに沿い超音波探触子を移動させていって取得した探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法(TOF画像信号変換処理手法や、AMP画像信号変換処理手法や、これらの信号変換処理手法においてゲートを異ならせた信号変換処理手法)により信号変換処理して得たものである。
これら探傷画像信号i1〜inを、探傷画像分析装置10を介して画像表示装置30に送ることにより、表示画面31に探傷画像I1〜Inを表示することができる。
【0045】
探傷条件データベース部40には、図2に示すような、探傷条件データベースが予め記憶されている。この探傷条件データベースは、多数の検査手順コマンドCが実行順番に沿い並んで構築されたデータベースである。
【0046】
各検査手順コマンドCは、検査する欠陥の種類と、検査する欠陥の種類に応じて使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲と、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値(コントラストの最小値と最大値)とから構成されている。
【0047】
例えば、検査手順コマンドC1は、検査する欠陥の種類がD1であり、検査する欠陥の種類D1に応じて使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、使用する探傷画像I1の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報により構成されている。
【0048】
また例えば、検査手順コマンドC101は、検査する欠陥の種類がD2であり、検査する欠陥の種類D2に応じて使用する探傷画像がI1とI4であり、使用する探傷画像I1,I4の配置パターンは2個の画像を横に整列して表示することであり、使用する探傷画像I1,I4の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I4では30で、コントラスト最大値が探傷画像I2では40,探傷画像I4では50であることを示す情報により構成されている。
【0049】
探傷条件データベースでは、同一種類の欠陥(例えば欠陥D1)を検査するための検査手順コマンド(例えばコマンドC1,C2,C3,C4・・・)は、実行順番に沿い連続して設定されている。
更に、同一種類の欠陥を検出するため実行順番に沿い連続して設定された複数の検査手順コマンドの表示範囲は、先行する検査手順コマンドで指示される表示範囲に対して、後行する検査手順コマンドで指示される表示範囲が位置的にズレている。
【0050】
各検査手順コマンドCは、欠陥の種類や、各部位の形状、板厚、材質を考慮して、欠陥を最適に検出することができるように、欠陥の種類に応じて、使用する探傷画像や、画像の配置パターンや、表示範囲(倍率)やコントラストを予め決定したものである。
【0051】
なお必要に応じて、各検査手順コマンドCの内容を、修正することもできる。この修正は、作業者が入力装置20を介して修正データを入力することにより行うことができる。
【0052】
作業者が、入力装置20を介して、探傷画像分析装置10に対して検査開始指示を入力することにより、探傷検査を実行することができる。
【0053】
次に、図3に示すフローチャートも参照しつつ、実施例1の動作状態を説明する。
【0054】
作業者が検査作業を開始する際には(図3のステップS1)、入力装置20を介して、探傷画像を開くと共に評価の開始を指示する指令を、探傷画像分析装置10に入力する(ステップS2,S3)。
そうすると、探傷画像分析装置10は探傷画像信号用データベース部50から探傷画像信号i1〜inを取り込み、探傷画像分析装置10内のメモリに探傷画像信号i1〜inを記憶する。
そして、探傷画像分析装置10により自動操作が開始される(ステップS4)。
【0055】
探傷画像分析装置10では、探傷条件データベース部40の探傷条件データベースを参照して、検査手順コマンドCで示す情報に基づき、検査を順番に実行していく。
【0056】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC1を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD1であることを取得し(ステップS5)、使用する探傷画像がI1であり1個の探傷画像I1を画面に最大化して表示することを取得して、探傷画像信号i1に基づく探傷画像I1を画面表示装置30の表示画面31に最大化して表示する(ステップS6)。
【0057】
また、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC1を基に、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得し、探傷画像I1のうち上記表示範囲の領域の画像を表示画面31に最大化して表示する(ステップ7)。
【0058】
更に、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC1を基に、コントラスト指示値(コントラスト最小値が20で、コントラスト最大値が40であること)を取得し、表示画面31に最大化して表示された、探傷画像I1のうちの表示範囲の領域の画像のコントラストを、上記コントラスト指示値に応じて調整する(ステップS8)。
【0059】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち検査手順コマンドC1により指定された、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS9)。
【0060】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0061】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC2を取り込み、この検査手順コマンドC2を基に、ステップS5〜S8の動作をして、検査手順コマンドC2により指定された、探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲で、特定のコントラストの画像を最大化して表示画面31に表示する。
【0062】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち検査手順コマンドC2により指定された、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS9)。
【0063】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0064】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC3,C4,・・・においても実行していく。
【0065】
欠陥D1の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS11)、次の欠陥D2の有無の検査をするため、探傷画像分析装置10は、欠陥D2を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドC101を取り込む。
【0066】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC101を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD2であることを取得し(ステップS5)、使用する探傷画像がI1,I4であり2個の探傷画像I1,I4を画面に横に整列して表示することを取得して、探傷信号i1,i4に基づく探傷画像I1,I4を画面表示装置30の表示画面31に横に整列して表示する(ステップS6)。
【0067】
また、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC101を基に、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得し、探傷画像I1,I4のうち上記表示範囲の領域の画像を表示画面31に横に整列して表示する(ステップ7)。
【0068】
更に、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC101を基に、コントラスト指示値(コントラスト最小値が探傷画像I1は20で探傷画像I4は30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1は40で探傷画像I4は50であること)を取得し、表示画面31に横に整列して表示された、探傷画像I1,I4のうちの表示範囲の領域の画像のコントラストを、上記コントラスト指示値に応じて調整する(ステップS8)。
【0069】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I4のうち検査手順コマンドC101により指定された、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS9)。
【0070】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0071】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC102を取り込み、この検査手順コマンドC102を基に、ステップS5〜S8の動作をして、検査手順コマンドC102により指定された、探傷画像I1,I4のうち、特定の領域の表示範囲で、特定のコントラストの画像を横に整列して表示画面31に表示する。
【0072】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I4のうち検査手順コマンドC102により指定された、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS9)。
【0073】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0074】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC103・・・においても実行していく。
【0075】
欠陥D2の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS11)、次の欠陥D3の有無を検査するため、探傷画像分析装置10は、欠陥D3を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドCNを取り込み、前述したのと同様な処理をして画像を表示し、作業者は表示された画像を目視確認して欠陥の有無を評価することができる。
【0076】
検査手順コマンドCが最後まで実行されて全ての欠陥の評価が完了したら(ステップS12)、探傷画像分析装置10は自動操作を終了し(ステップS13)、探傷画像の分析作業(欠陥検出作業)を完了する(ステップS14)。
【0077】
なお作業者が欠陥を目視確認したら、欠陥の部位や種類を探傷画像分析装置10に記憶させておき、欠陥検査の作業完了後に、記憶させていた欠陥部位を欠陥種類毎に表示画面31上に表示するように設定することもできる。
【0078】
このように、探傷画像分析装置10が自動操作を行い、各欠陥の種類に応じて、最適な種類の画像が最適な配置状態で、しかも、最適な表示範囲(倍率)と最適なコントラストで、順次、画像表示装置30の表示画面31に表示される。このため、作業者は画像の選択や表示位置や表示倍率等の変更操作をすることなく、表示画面を見て欠陥の検査を行うことができる。
したがって、短時間で容易に欠陥の検査ができると共に、経験の浅い検査員であっても検査漏れなく正確に欠陥検査をすることができる。
【実施例2】
【0079】
図4は本発明の実施例2に係る超音波探傷画像の分析装置を示すブロック図である。この超音波探傷画像の分析装置は、探傷画像分析装置10と、入力装置20と、画像表示装置30と、探傷条件データベース部40と、探傷画像信号用データベース部50と、三次元CADモデル部60で構成されている。
【0080】
三次元CADモデル部60には、検査対象物(例えば航空機の主翼)を設計するために必要な各種のデータ、例えば、板厚、形状、材質、寸法、構造等の設計データが記憶されている。
【0081】
探傷画像信号用データベース部50には、複数の探傷画像信号i1〜inが予め記憶されている。これら複数の探傷画像信号i1〜inは、航空機の主翼上に設定した探傷パスに沿い超音波探触子を移動させていって取得した探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法(TOF画像信号変換処理手法や、AMP画像信号変換処理手法や、これらの信号変換処理手法においてゲートを異ならせた信号変換処理手法)により信号変換処理して得たものである。
これら探傷画像信号i1〜inを、探傷画像分析装置10を介して画像表示装置30に送ることにより、表示画面31に探傷画像I1〜Inを表示することができる。
【0082】
探傷条件データベース部40には、図5に示すような第1の探傷条件データベースDB1と、図6に示すような第2の探傷条件データDB2が予め記憶されている。
【0083】
図5に示す第1の探傷条件データベースDB1は、多数の検査手順コマンドCが実行順番に沿い並んで構築されたデータベースである。図5では、板厚、形状、材質のデータが既に記載されているが、当初では板厚、形状、材質のデータは記憶されておらず、後述するように、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込むものである。
【0084】
図5に示す第1の探傷条件データベースDB1を説明すると、各検査手順コマンドCは、検査する欠陥の種類と、探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲とから構成されている。
後述するように、各検査手順コマンドCを実行する際には、探傷画像分析装置10は、表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の板厚、形状、材質をCADデータから取得して、各検査手順コマンドCに組み込む(記録する)。
【0085】
例えば、検査手順コマンドC1は、検査する欠陥の種類がD1であり、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であることを示す情報により構成されている。
【0086】
また例えば、検査手順コマンドC101は、検査する欠陥の種類がD2であり、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であることを示す情報により構成されている。
【0087】
第1の探傷条件データベースDB1では、同一種類の欠陥(例えば欠陥D1)を検査するための検査手順コマンド(例えばコマンドC1,C2,C3,C4・・・)は、実行順番に沿い連続して設定されている。
更に、同一種類の欠陥を検出するため実行順番に沿い連続して設定された複数の検査手順コマンドの表示範囲は、先行する検査手順コマンドで指示される表示範囲に対して、後行する検査手順コマンドで指示される表示範囲が位置的にズレている。
【0088】
次に図6に示す第2の探傷条件データベースDB2について説明する。第2の探傷条件データベースDB2は、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値(コントラストの最小値と最大値)が規定されている。
【0089】
第2の探傷条件データベースDB2は、欠陥の種類や、各部位の形状、板厚、材質を考慮して、欠陥を最適に検出することができるように、欠陥の種類に応じて、使用する探傷画像や、画像の配置パターンや、コントラストを予め決定したものである。
【0090】
なお必要に応じて、探傷条件データベースDB1,DB2の内容を、修正することもできる。この修正は、作業者が入力装置20を介して修正データを入力することにより行うことができる。
【0091】
次に、図7に示すフローチャートも参照しつつ、実施例2の動作状態を説明する。
【0092】
作業者が検査作業を開始する際には(図7のステップS1)、入力装置20を介して、探傷画像を開くと共に評価の開始を指示する指令を、探傷画像分析装置10に入力する(ステップS2,S3)。
そうすると、探傷画像分析装置10は探傷画像信号用データベース部50から探傷画像信号i1〜inを取り込み、探傷画像分析装置10内のメモリに探傷画像信号i1〜inを記憶する。
そして、探傷画像分析装置10により自動操作が開始される(ステップS4)。
【0093】
探傷画像分析装置10では、探傷条件データベース部40の第1の探傷条件データベースDB1を参照して、検査手順コマンドCで示す情報に基づき、検査を順番に実行していく。
【0094】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC1を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD1であることを取得し(ステップS5)、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得する(ステップS6)。
【0095】
次に探傷画像分析装置10は、ステップ6にて取得した表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の板厚、形状、材質を、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、取り込んだCADデータ(板厚が10、形状がF1、材質がM1)を、検査手順コマンドC1に組み込んで記憶する(ステップS7)。
【0096】
探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース部40の第2の探傷条件データベースDB2を参照して、欠陥の種類D1と、板厚(10)と、形状(F1)と、材質(M1)とを組み合わせたパターンに設定されている、使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報を取得する(ステップ8)。
【0097】
このように第1の探傷条件データベースDB1の検査手順コマンドC1と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照することにより、検査する欠陥の種類がD1であり、検査する欠陥の種類D1に応じて使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、使用する探傷画像I1の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報を取得できる。
【0098】
このようにして取得した情報を基に、探傷画像分析装置10は、探傷画像信号i1に基づく探傷画像I1のうち、上記表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、上記コントラスト(コントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40)で、1画像を最大化して画像表示装置30の表示画像31に表示する。
【0099】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS9)。
【0100】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0101】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC2を取り込み、この検査手順コマンドC2と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、ステップS5〜S8の動作をして、探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(X軸上の開始位置X1が10で終了位置X2が20でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、特定のコントラスト(コントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40)で、1画像を最大化して表示画面31に表示する。
【0102】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS9)。
【0103】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0104】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC3,C4,・・・においても、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、実行していく。
【0105】
欠陥D1の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS11)、次の欠陥D2の有無の検査をするため、探傷画像分析装置10は、欠陥D2を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドC101を取り込む。
【0106】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC101を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD2であることを取得し(ステップS5)、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得する(ステップS6)。
【0107】
次に探傷画像分析装置10は、ステップ6にて取得した表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の板厚、形状、材質を、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、取り込んだCADデータ(板厚が10、形状がF2、材質がM2)を、検査手順コマンドC101に組み込んで記憶する(ステップS7)。
【0108】
探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース部40の第2の探傷条件データベースDB2を参照して、欠陥の種類D2と、板厚(10)と、形状(F2)と、材質(M2)とを組み合わせたパターンに設定されている、使用する探傷画像がI1,I3であり、使用する探傷画像I1,I2の配置パターンは2個の画像を横に整列して配置することであり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50であることを示す情報を取得する(ステップ8)。
【0109】
このように第1の探傷条件データベースDB1の検査手順コマンドC2と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照することにより、検査する欠陥の種類がD2であり、検査する欠陥の種類D2に応じて使用する探傷画像がI1,I3であり、使用する探傷画像I1,I3の配置パターンは2個の画像を横に整列して配置することであり、使用する探傷画像I1,I3の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50であることを示す情報を取得できる。
【0110】
このようにして取得した情報を基に、探傷画像分析装置10は、探傷画像信号i1,i3に基づく探傷画像I1,I3のうち、上記表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、上記コントラスト(コントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50)で、2画像を横に整列して画像表示装置30の表示画像31に表示する。
【0111】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して配置されて表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS9)。
【0112】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0113】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC102を取り込み、この検査手順コマンドC102と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、ステップS5〜S8の動作をして、探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(X軸上の開始位置X1が10で終了位置X2が20でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、特定のコントラスト(コントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50)で、2画像を横に整列して表示画面31に表示する。
【0114】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS9)。
【0115】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS10)。
【0116】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC103・・・においても、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、実行していく。
【0117】
欠陥D2の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS11)、次の欠陥D3の有無を検査するため、探傷画像分析装置10は、欠陥D3を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドCNを取り込み、前述したのと同様な処理をして画像を表示し、作業者は表示された画像を目視確認して欠陥の有無を評価することができる。
【0118】
検査手順コマンドCが最後まで実行されて全ての欠陥の評価が完了したら(ステップS12)、探傷画像分析装置10は自動操作を終了し(ステップS13)、探傷画像の分析作業(欠陥検出作業)を完了する(ステップS14)。
【0119】
なお作業者が欠陥を目視確認したら、欠陥の部位や種類を探傷画像分析装置10に記憶させておき、欠陥検査の作業完了後に、記憶させていた欠陥部位を欠陥種類毎に表示画面31上に表示するように設定することもできる。
【0120】
このように、探傷画像分析装置10が自動操作を行い、各欠陥の種類に応じて、最適な種類の画像が最適な配置状態で、しかも、最適な表示範囲(倍率)と最適なコントラストで、順次、画像表示装置30の表示画面31に表示される。このため、作業者は画像の選択や表示位置や表示倍率等の変更操作をすることなく、表示画面を見て欠陥の検査を行うことができる。
したがって、短時間で容易に欠陥の検査ができると共に、経験の浅い検査員であっても検査漏れなく正確に欠陥検査をすることができる。
【0121】
また、欠陥の種類と板厚、形状、材質を基に、第2の探傷条件データベースDB2から、使用する探傷画像、画像の配置パターン、コントラストを取得するため、全ての検査手順コマンドに、個々に、使用する探傷画像、画像の配置パターン、コントラストを登録しておく必要がなくなる。このため、全体として、探傷条件データベースを作成することが容易になる。
【実施例3】
【0122】
図8は本発明の実施例3に係る超音波探傷画像の分析装置を示すブロック図である。この超音波探傷画像の分析装置は、探傷画像分析装置10と、入力装置20と、画像表示装置30と、探傷条件データベース部40と、探傷画像信号用データベース部50と、三次元CADモデル部60と、板厚計測装置70で構成されている。
【0123】
板厚計測装置70は、検査対象物(例えば航空機の主翼)の板厚を実測して、計測値(板厚)を出力する。
【0124】
三次元CADモデル部60には、検査対象物(例えば航空機の主翼)を設計するために必要な各種のデータ、例えば、板厚、形状、材質、寸法、構造等の設計データが記憶されている。
【0125】
探傷画像信号用データベース部50には、複数の探傷画像信号i1〜inが予め記憶されている。これら複数の探傷画像信号i1〜inは、航空機の主翼上に設定した探傷パスに沿い超音波探触子を移動させていって取得した探傷波形信号を、複数種類の異なる信号変換処理手法(TOF画像信号変換処理手法や、AMP画像信号変換処理手法や、これらの信号変換処理手法においてゲートを異ならせた信号変換処理手法)により信号変換処理して得たものである。
これら探傷画像信号i1〜inを、探傷画像分析装置10を介して画像表示装置30に送ることにより、表示画面31に探傷画像I1〜Inを表示することができる。
【0126】
探傷条件データベース部40には、実施例2と同様に、図5に示すような第1の探傷条件データベースDB1と、図6に示すような第2の探傷条件データDB2が予め記憶されている。
【0127】
図5に示す第1の探傷条件データベースDB1は、多数の検査手順コマンドCが実行順番に沿い並んで構築されたデータベースである。図5では、板厚、形状、材質のデータが既に記載されているが、当初では板厚、形状、材質のデータは記憶されておらず、後述するように、形状及び材質については、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、板厚については板厚計測装置70により翼のうち検査対象部分の板厚を実計測して得た計測値(板厚)を取り込むものである。
【0128】
図5に示す第1の探傷条件データベースDB1を説明すると、各検査手順コマンドCは、検査する欠陥の種類と、探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲とから構成されている。
後述するように、各検査手順コマンドCを実行する際には、探傷画像分析装置10は、表示範囲に対応する検査対象物(主翼)の対応部分の形状、材質を、CADデータから取得して各検査手順コマンドCに組み込む(記録する)と共に、表示範囲に対応する検査対象物(主翼)の対応部分の板厚として、板厚計測装置70により実測した板厚を取得して各検査手順コマンドCに組み込む(記録する)。
【0129】
例えば、検査手順コマンドC1は、検査する欠陥の種類がD1であり、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であることを示す情報により構成されている。
【0130】
また例えば、検査手順コマンドC101は、検査する欠陥の種類がD2であり、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であることを示す情報により構成されている。
【0131】
第1の探傷条件データベースDB1では、同一種類の欠陥(例えば欠陥D1)を検査するための検査手順コマンド(例えばコマンドC1,C2,C3,C4・・・)は、実行順番に沿い連続して設定されている。
更に、同一種類の欠陥を検出するため実行順番に沿い連続して設定された複数の検査手順コマンドの表示範囲は、先行する検査手順コマンドで指示される表示範囲に対して、後行する検査手順コマンドで指示される表示範囲が位置的にズレている。
【0132】
次に図6に示す第2の探傷条件データベースDB2について説明する。第2の探傷条件データベースDB2は、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値(コントラストの最小値と最大値)が規定されている。
【0133】
第2の探傷条件データベースDB2は、欠陥の種類や、各部位の形状、板厚、材質を考慮して、欠陥を最適に検出することができるように、欠陥の種類に応じて、使用する探傷画像や、画像の配置パターンや、コントラストを予め決定したものである。
【0134】
なお必要に応じて、探傷条件データベースDB1,DB2の内容を、修正することもできる。この修正は、作業者が入力装置20を介して修正データを入力することにより行うことができる。
【0135】
次に、図9に示すフローチャートも参照しつつ、実施例3の動作状態を説明する。
【0136】
作業者が検査作業を開始する際には(図9のステップS1)、入力装置20を介して、探傷画像を開くと共に評価の開始を指示する指令を、探傷画像分析装置10に入力する(ステップS2,S3)。
そうすると、探傷画像分析装置10は探傷画像信号用データベース部50から探傷画像信号i1〜inを取り込み、探傷画像分析装置10内のメモリに探傷画像信号i1〜inを記憶する。
そして、探傷画像分析装置10により自動操作が開始される(ステップS4)。
【0137】
探傷画像分析装置10では、探傷条件データベース部40の第1の探傷条件データベースDB1を参照して、検査手順コマンドCで示す情報に基づき、検査を順番に実行していく。
【0138】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC1を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD1であることを取得し(ステップS5)、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得する(ステップS6)。
【0139】
次に探傷画像分析装置10は、ステップ6にて取得した表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の形状、材質を、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、取り込んだCADデータ(形状がF1、材質がM1)を、検査手順コマンドC1に組み込んで記憶する(ステップS7)。
【0140】
また検査対象物(主翼)の対応部分の板厚を、板厚計測装置70により計測し、探傷画像分析装置10は、計測した板厚を取り込み、取り込んだ板厚データ(板厚が10)を、検査手順コマンドC1に組み込んで記憶する(ステップS8)。
【0141】
探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース部40の第2の探傷条件データベースDB2を参照して、欠陥の種類D1と、板厚(10)と、形状(F1)と、材質(M1)とを組み合わせたパターンに設定されている、使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報を取得する(ステップ9)。
【0142】
このように第1の探傷条件データベースDB1の検査手順コマンドC1と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照することにより、検査する欠陥の種類がD1であり、検査する欠陥の種類D1に応じて使用する探傷画像がI1であり、使用する探傷画像I1の配置パターンは1個の画像を画面に最大化することであり、使用する探傷画像I1の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40であることを示す情報を取得できる。
【0143】
このようにして取得した情報を基に、探傷画像分析装置10は、探傷画像信号i1に基づく探傷画像I1のうち、上記表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、上記コントラスト(コントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40)で、1画像を最大化して画像表示装置30の表示画像31に表示する。
【0144】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS10)。
【0145】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS11)。
【0146】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC2を取り込み、この検査手順コマンドC2と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、ステップS5〜S9の動作をして、探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(X軸上の開始位置X1が10で終了位置X2が20でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、特定のコントラスト(コントラスト最小値が20、コントラスト最大値が40)で、1画像を最大化して表示画面31に表示する。
【0147】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に最大化されて表示された画像)を目視確認して欠陥D1の有無を評価する(ステップS10)。
【0148】
目視による欠陥D1の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS11)。
【0149】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC3,C4,・・・においても、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、実行していく。
【0150】
欠陥D1の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS12)、次の欠陥D2の有無の検査をするため、探傷画像分析装置10は、欠陥D2を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドC101を取り込む。
【0151】
探傷画像分析装置10は、先ず検査手順コマンドC101を取り込むことにより、検査すべき欠陥の種類がD2であることを取得し(ステップS5)、表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10であり、Y軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であること)を取得する(ステップS6)。
【0152】
次に探傷画像分析装置10は、ステップ6にて取得した表示範囲に対応する、検査対象物(主翼)の対応部分の形状、材質を、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータを参照して取り込み、取り込んだCADデータ(形状がF2、材質がM2)を、検査手順コマンドC101に組み込んで記憶する(ステップS7)。
【0153】
また検査対象物(主翼)の対応部分の板厚を、板厚計測装置70により計測し、探傷画像分析装置10は、計測した板厚を取り込み、取り込んだ板厚データ(板厚が10)を、検査手順コマンドC1に組み込んで記憶する(ステップS8)。
【0154】
探傷画像分析装置10は、探傷条件データベース部40の第2の探傷条件データベースDB2を参照して、欠陥の種類D2と、板厚(10)と、形状(F2)と、材質(M2)とを組み合わせたパターンに設定されている、使用する探傷画像がI1,I3であり、使用する探傷画像I1,I3の配置パターンは2個の画像を横に整列して配置することであり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50であることを示す情報を取得する(ステップ9)。
【0155】
このように第1の探傷条件データベースDB1の検査手順コマンドC2と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照することにより、検査する欠陥の種類がD2であり、検査する欠陥の種類D2に応じて使用する探傷画像がI1,I3であり、使用する探傷画像I1,I3の配置パターンは2個の画像を横に整列して配置することであり、使用する探傷画像I1,I3の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲がX軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20であり、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値のコントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30であり、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50であることを示す情報を取得できる。
【0156】
このようにして取得した情報を基に、探傷画像分析装置10は、探傷画像信号i1,i3に基づく探傷画像I1,I3のうち、上記表示範囲(X軸上の開始位置X1が0で終了位置X2が10でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、上記コントラスト(コントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50)で、2画像を横に整列して画像表示装置30の表示画像31に表示する。
【0157】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して配置されて表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS10)。
【0158】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS11)。
【0159】
そうすると、探傷画像分析装置10は、検査手順コマンドC102を取り込み、この検査手順コマンドC102と、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、ステップS5〜S9の動作をして、探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(X軸上の開始位置X1が10で終了位置X2が20でありY軸上の開始位置Y1が0で終了位置Y2が20)のものを、特定のコントラスト(コントラスト最小値が探傷画像I1では20、探傷画像I3では30、コントラスト最大値が探傷画像I1では40、探傷画像I3では50)で、2画像を横に整列して表示画面31に表示する。
【0160】
作業者は、画像表示装置30の表示画面31に表示された、探傷画像(探傷画像I1,I3のうち、特定の領域の表示範囲(倍率)で、特定のコントラストで表示画面31に横に整列して表示された画像)を目視確認して欠陥D2の有無を評価する(ステップS10)。
【0161】
目視による欠陥D2の有無を評価したら、作業者は次に進める指令を出す(ステップS11)。
【0162】
このような動作を、連続して設定された検査手順コマンドC103・・・においても、三次元CADモデル部60に記憶しているCADデータと、板厚計測装置70により計測した板厚データと、第2の探傷条件データベースDB2を参照しつつ、実行していく。
【0163】
欠陥D2の有無の検査について画面全体の評価が完了したら(ステップS12)、次の欠陥D3の有無を検査するため、探傷画像分析装置10は、欠陥D3を検査する検査手順コマンドである検査手順コマンドCNを取り込み、前述したのと同様な処理をして画像を表示し、作業者は表示された画像を目視確認して欠陥の有無を評価することができる。
【0164】
検査手順コマンドCが最後まで実行されて全ての欠陥の評価が完了したら(ステップS13)、探傷画像分析装置10は自動操作を終了し(ステップS14)、探傷画像の分析作業(欠陥検出作業)を完了する(ステップS15)。
【0165】
なお作業者が欠陥を目視確認したら、欠陥の部位や種類を探傷画像分析装置10に記憶させておき、欠陥検査の作業完了後に、記憶させていた欠陥部位を欠陥種類毎に表示画面31上に表示するように設定することもできる。
【0166】
このように、探傷画像分析装置10が自動操作を行い、各欠陥の種類に応じて、最適な種類の画像が最適な配置状態で、しかも、最適な表示範囲(倍率)と最適なコントラストで、順次、画像表示装置30の表示画面31に表示される。このため、作業者は画像の選択や表示位置や表示倍率等の変更操作をすることなく、表示画面を見て欠陥の検査を行うことができる。
したがって、短時間で容易に欠陥の検査ができると共に、経験の浅い検査員であっても検査漏れなく正確に欠陥検査をすることができる。
【0167】
また、欠陥の種類と板厚、形状、材質を基に、第2の探傷条件データベースDB2から、使用する探傷画像、画像の配置パターン、コントラストを取得するため、全ての検査手順コマンドに、個々に、使用する探傷画像、画像の配置パターン、コントラストを登録しておく必要がなくなる。このため、全体として、探傷条件データベースを作成することが容易になる。
【0168】
更に、検査対象部位の板厚は板厚計測装置70により実計測するため、板厚データをデータベースに記憶しておく必要はない。したがって、検査対象物毎に板厚のバラツキがあっても、正しい設定条件(板厚寸法)を用いて探傷検査をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、航空機の翼の欠陥を検出する場合のみならず、超音波探傷により欠陥検出をすることができる各種の検査対象製品について、超音波探傷により欠陥検出する際に適用することができる。
【符号の説明】
【0170】
10 探傷画像分析装置
20 入力装置
30 画像表示装置
31 表示画面
40 探傷条件データベース部
50 探傷画像信号用データベース部
60 三次元CADモデル部
70 板厚計測装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、検査する欠陥の種類に応じて使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲と、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された探傷条件データベースが記憶された探傷条件データベース部と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、当該検査手順コマンドで示す画像の配置パターンで、当該検査手順コマンドで示す表示範囲とコントラストで表示装置に表示させる、
ことを特徴とする超音波探傷画像の分析装置。
【請求項2】
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された第1の探傷条件データベースと、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を規定する第2の探傷条件データベースとが記憶された探傷条件データベース部と、
検査対象物の板厚、形状、材質のデータを少なくとも有する設計データを有するCADモデル部と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記第1の探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、
検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の板厚、形状、材質を前記CADモデルから取り込んで検査手順コマンドに組み込むと共に、第2の探傷条件データベースを参照して、欠陥の種類と前記CADモデルから取り込んだ板厚、形状、材質の組み合わせパターンに対して規定されている、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を取り込み、
使用する探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、取り込んだ画像の配置パターンで、取り込んだ表示範囲とコントラストで表示装置に表示させる、
ことを特徴とする超音波探傷画像の分析装置。
【請求項3】
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された第1の探傷条件データベースと、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を規定する第2の探傷条件データベースとが記憶された探傷条件データベース部と、
検査対象物の形状、材質のデータを少なくとも有する設計データを有するCADモデル部と、
検査対象物の板厚を計測する板厚計測装置と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記第1の探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、
検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の形状、材質を前記CADモデルから取り込んで検査手順コマンドに組み込むと同時に取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の板厚として前記板厚計測装置により計測した板厚を取り込むと共に、第2の探傷条件データベースを参照して、欠陥の種類と前記CADモデル及び前記板厚計測装置から取り込んだ板厚、形状、材質の組み合わせパターンに対して規定されている、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を取り込み、
使用する探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、取り込んだ画像の配置パターンで、取り込んだ表示範囲とコントラストで表示装置に表示させる、
ことを特徴とする超音波探傷画像の分析装置。
【請求項1】
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、検査する欠陥の種類に応じて使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲と、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された探傷条件データベースが記憶された探傷条件データベース部と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、当該検査手順コマンドで示す画像の配置パターンで、当該検査手順コマンドで示す表示範囲とコントラストで表示装置に表示させる、
ことを特徴とする超音波探傷画像の分析装置。
【請求項2】
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された第1の探傷条件データベースと、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を規定する第2の探傷条件データベースとが記憶された探傷条件データベース部と、
検査対象物の板厚、形状、材質のデータを少なくとも有する設計データを有するCADモデル部と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記第1の探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、
検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の板厚、形状、材質を前記CADモデルから取り込んで検査手順コマンドに組み込むと共に、第2の探傷条件データベースを参照して、欠陥の種類と前記CADモデルから取り込んだ板厚、形状、材質の組み合わせパターンに対して規定されている、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を取り込み、
使用する探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、取り込んだ画像の配置パターンで、取り込んだ表示範囲とコントラストで表示装置に表示させる、
ことを特徴とする超音波探傷画像の分析装置。
【請求項3】
同一の探傷波形信号を複数種類の異なる信号変換処理手法により信号変換して得た複数の探傷画像信号が記憶された探傷画像信号用データベース部と、
検査する欠陥の種類と、使用する探傷画像の画像領域のうちで表示する画像領域の範囲を示す表示範囲を情報として有する多数の検査手順コマンドが実行順番に沿い並んで構築された第1の探傷条件データベースと、欠陥の種類と、板厚と、形状と、材質とを組み合わせた各パターン毎に、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を規定する第2の探傷条件データベースとが記憶された探傷条件データベース部と、
検査対象物の形状、材質のデータを少なくとも有する設計データを有するCADモデル部と、
検査対象物の板厚を計測する板厚計測装置と、
探傷画像分析装置とで構成されており、
前記探傷画像分析装置は、
前記第1の探傷条件データベースの検査手順コマンドを、外部からの入力指令に基づき順に取り込み、
検査手順コマンドを取り込む毎に、取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の形状、材質を前記CADモデルから取り込んで検査手順コマンドに組み込むと同時に取り込んだ当該検査手順コマンドで示す表示範囲に対応する検査対象物の対応部分の板厚として前記板厚計測装置により計測した板厚を取り込むと共に、第2の探傷条件データベースを参照して、欠陥の種類と前記CADモデル及び前記板厚計測装置から取り込んだ板厚、形状、材質の組み合わせパターンに対して規定されている、使用する探傷画像と、使用する探傷画像の配置パターンと、表示範囲の画像のコントラストを規定するコントラスト指示値を取り込み、
使用する探傷画像に対応する探傷画像信号を前記探傷画像信号用データベース部から取り込み、この探傷画像信号に基づく探傷画像を、取り込んだ画像の配置パターンで、取り込んだ表示範囲とコントラストで表示装置に表示させる、
ことを特徴とする超音波探傷画像の分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−197264(P2010−197264A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43475(P2009−43475)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]