説明

車両用アウターミラー

【課題】車室外の視認性を良好にしつつ、車室外への突出量を小さくすることができる車両用アウターミラーを提供する。
【解決手段】車両用アウターミラー1は、車室外の後方からの光が透過する凹レンズ4と、凹レンズ4を透過した光が車室内側に向って透過する凸レンズ5と、凹レンズ4の光軸L1上に配置され、凹レンズ4を透過した光を凸レンズ5に向って反射させる平面鏡2と、を備える。凹レンズ4により、車室外の光の入射部を小さくすることができ、車室外への突出量を小さくすることができる。凸レンズ5により、車室外の像の縮小を抑制することができる。平面鏡2には拡大・縮小作用がないため、車室外の像のゆがみ等が低減される。従って、車室外の視認性を良好にしつつ、車室外への突出量を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズと反射鏡とを備え、車室外の後方の視認を可能にする車両用アウターミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような車両用アウターミラーには、車室外の後方からの光が透過する凹レンズと、凹レンズを透過した入射光を反射させる凹面鏡とを備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された車両用アウターミラーでは、車室外の光は凹レンズを透過して入射する。このため、レンズを備えていない一般的な車両用アウターミラーと同等の後方視野範囲を確保しつつ、車室外の光の入射部を小さくすることができ、レンズを備えていない車両用アウターミラーと比べ車室外への突出量を小さくすることができる。また、凹レンズを透過した光は凹面鏡によって反射される。このため、凹面鏡の拡大作用によって車室外の像の縮小を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−13594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された車両用アウターミラーでは、車室外から入射した光を車室内の運転者に向って反射させるために、凹面鏡の光軸は運転者の視点からずれた方向に向けられる。これにより、運転者の視点と凹面鏡の反射面上の各点との距離が不均一となるため、車室外の像の拡大率が不均一となり、車室外の像のゆがみが大きくなる。また、凹面鏡に対して視点を動かしたときの視野の動きは、平面鏡に対して視点を動かしたときの視野の動きに比べて不自然な動きとなる。従って、車室外の視認性が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、車室外の視認性を良好にしつつ、車室外への突出量を小さくすることができる車両用アウターミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用アウターミラーは、車室外の後方の視認を可能にする車両用アウターミラーであって、車室外の後方からの光が透過する凹レンズと、凹レンズを透過した光が車室内側に向って透過する凸レンズと、凹レンズの光軸上に配置され、凹レンズを透過した光を凸レンズに向って反射させる平面鏡と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このような車両用アウターミラーでは、車室外の光は凹レンズを透過して入射する。このため、レンズを備えていない一般的な車両用アウターミラーと同等の後方視野範囲を確保しつつ、車室外の光の入射部を小さくすることができ、車室外への突出量を小さくすることができる。また、凹レンズを透過した光は、凹レンズの光軸上に配置された平面鏡により凸レンズに向って反射され、凸レンズを透過して出射する。このため、凸レンズの拡大作用によって車室外の像の縮小を抑制することができる。更に、平面鏡には拡大・縮小作用がないため、平面鏡の向きによって車室外の像のゆがみが大きくなることはない。また、平面鏡では、視点を動かしたときの視野の動きが自然な動きとなる。従って、車室外の視認性を良好にしつつ、車室外への突出量を小さくすることができる。
【0009】
ここで、平面鏡はハウジング内に配置され、凹レンズはハウジングの車室外側に配置され、凸レンズはハウジングの車室内側に配置されていることが好ましい。この場合、凹レンズと平面鏡との間及び凸レンズと平面鏡との間への異物の侵入が防止される。また、凹レンズが車室外に配置され、凸レンズが車室内に配置されているため、運転者は、車両のウィンドウガラスを通さずに車室外を視認することができる。従って、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0010】
また、凸レンズの車室外側の焦点から、凸レンズの光軸と平面鏡の反射面との交点までの距離は、凹レンズの車室外側の焦点から、凹レンズの光軸と平面鏡の反射面との交点までの距離よりも大きいことが好ましい。この場合、凸レンズによる拡大作用を確実に活用し、車室外の像の縮小を確実に抑制することができる。
【0011】
また、凸レンズは平凸レンズであり、凸レンズの凸面は車室内側に向けられていることが好ましい。この場合、凸レンズの光軸と視点とのずれ量が変わっても車室外の像の拡大率が変わり難くなるので、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0012】
また、凹レンズは平凹レンズであり、凹レンズの平面は車室外側に向けられていることが好ましい。この場合、凹レンズの光軸と車室外の物体とのずれ量が変わってもその物体の像の拡大率が変わり難くなるので、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0013】
また、凹レンズは両凹レンズであることが好ましい。この場合、凹レンズが平凹レンズであるのに比べ、凹面の曲率を大きくすることなく、すなわち凹面の曲率半径を小さくすることなく後方視野範囲を広くすることができる。このため、車室外の像の歪みを抑制しながら後方視野範囲を広くすることができ、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0014】
また、凹レンズ、凸レンズ及び平面鏡のそれぞれの外形は円形であり、平面鏡の反射面の外径は凹レンズの有効径以上であり、凸レンズの有効径は平面鏡の反射面の外径よりも大きいことが好ましい。この場合、平面鏡の反射面の外径が凹レンズの有効径以上であることにより、凹レンズを透過した光の多くを運転者に向って反射させることができるので、後方視野範囲をより広くすることができる。また、凸レンズの有効径が平面鏡の反射面の外径よりも大きいことにより、車室外の像の表示領域を大きくすることができるので車室外の像をより拡大することができるので、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0015】
また、凹レンズ、凸レンズ及び平面鏡のそれぞれの外形は円形であり、平面鏡の反射面の外径は凹レンズの有効径及び凸レンズの有効径よりも大きいことが好ましい。この場合、平面鏡によって、車室外の広範囲の像を凸レンズに向かって反射させることができるため、後方視野範囲を広くすることができ、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0016】
また、凹レンズのうち、凸レンズを通して運転者に視認される部分の外周端は、凹レンズの外周端よりも内側に位置していることが好ましい。この場合、車室外の像の拡大手段として凸レンズの全域を有効活用し、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0017】
また、凸レンズを通して運転者に視認される範囲の外周端は、凹レンズの外周端よりも外側に位置していることが好ましい。この場合、凸レンズを通して凹レンズの外周端を視認することができるので、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明に係る車両用アウターミラーによれば、車室外の視認性を良好にしつつ、車室外への突出量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る車両用アウターミラーの一実施形態を示す車室内から見た斜視図である。
【図2】図1の車両用アウターミラーが取り付けられた車両の平面図である。
【図3】図1の車両用アウターミラーの断面図である。
【図4】運転者の視点の移動に伴う視野方向の移動を示す図である。
【図5】平凸レンズに入射した平行光の結像位置を示す図である。
【図6】本発明に係る車両用アウターミラーの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されるように、車両用アウターミラー1は、円形の平面鏡2を内蔵したミラーハウジング3と、ミラーハウジング3の車室外側に配置された円形の凹レンズ4と、ミラーハウジング3の車室内側に配置された円形の凸レンズ5と、を備えている。
【0021】
例えば樹脂材料からなるミラーハウジング3は、車両7の左右のウィンドウガラス6の前方に取り付けられ(図2参照)、車室外に突出する室外露出部3aと室内露出部3bとを有している。
【0022】
図3に示されるように、ミラーハウジング3の室外露出部3aには、車室外の後方に向けられた光入射口3cが形成され、凹レンズ4は光入射口3cを塞ぐようにミラーハウジング3に固定されている。室内露出部3bには、車室内の運転者に向けられた光出射口3dが形成され、凸レンズ5は光出射口3dを塞ぐようにミラーハウジング3に固定されている。
【0023】
平面鏡2は、ミラーハウジング3の内部に設けられたミラーホルダ3eによって凹レンズ4の光軸L1上に固定され、凹レンズ4を透過した光を凸レンズ5に向って反射するように配置されている。特に本実施形態では、平面鏡2は、凹レンズ4の光軸L1を通る光線の反射光線が、凸レンズ5の光軸L2を通るように配置されている。
【0024】
凹レンズ4には車室外の光が入射する。このため、レンズを備えていない一般的な車両用アウターミラーと同等の後方視野範囲を確保しつつ、光入射口3cを小さくすることができ、ミラーハウジング3の車室外への突出量を小さくすることができる。
【0025】
凹レンズ4を透過した光は平面鏡2によって凸レンズ5に向って反射される。平面鏡2には拡大・縮小作用がないため、平面鏡2の向きによって車室外の像のゆがみが大きくなることはない。また、平面鏡2では、視点を動かしたときの視野の動きが自然な動きとなる。図4は、運転者の視点P1が視点P2に移動すると共に、運転者の視線L3が視線L4に変わった場合の視野方向の動きを示している。例えば、反射面が凹面M2である場合には、視点の動きや視線の変化に対して視野の動きが小さく(矢印A1)、不自然である。これに対し、反射面が平面M1であれば、視点の動きや視線の変化に追従した自然な視野の動きが得られる(矢印A2)。従って、車室外の視認性を良好にすることができる。
【0026】
平面鏡2で反射した光は凸レンズ5を透過して出射される。上述したように、車室外の光は凹レンズ4を透過するため、車室外の像は凹レンズ4によって縮小される。これに対し凸レンズ5は車室外の像を拡大させるため、車室外の像の縮小が抑制されるので、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0027】
更に、平面鏡2はミラーハウジング3に内蔵されているため、凹レンズ4と平面鏡2との間及び平面鏡2と凸レンズ5との間への異物の侵入が防止される。また、凹レンズ4はミラーハウジング3の室外露出部3aに配置され、凸レンズ5はミラーハウジング3の室内露出部3bに配置されているため、運転者は車両7のウィンドウガラス6を通さずに車室外を視認することができる。従って、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0028】
ここで、凹レンズ4及び凸レンズ5についてより詳細に説明する。図3に示されるように、凹レンズ4は例えばアクリルからなる平凹レンズであり、凹レンズ4の平面4bは車室外側に向けられている。このため、凹レンズ4の光軸L1と車室外の物体とのずれ量が変わっても、その物体の像の拡大率が変わり難くなるので、車室外の視認性をより良好にすることができる。なお、凹レンズ4の材料は、アクリルに限定されるものではなく、他の一般的な光学材料、すなわちガラス、ポリカーボネート、ポリオレフィン等であってもよい。
【0029】
凹レンズ4の外周面4aは車室外側に向うにつれて外径が大きくなる円錐台の面になっている。これにより、車室外のより広範囲の光が凹レンズ4を透過するため、後方視野範囲をより広くすることができる。
【0030】
凹レンズ4の外周面4aに対応して、光入射口3cの内周面3fも車室外側に向うに従い外径が大きくなる円錐台の面になっている。そして、凹レンズ4は、外周面4aが光入射口3cの内周面3fと当接するように、車室外側から光入射口3cにはめ込まれ、接着されている。このように、凹レンズ4の外周面4aと光入射口3cの内周面3fとが当接することによって、凹レンズ4と平面鏡2との距離が定まると共に、光入射口3cの中心軸と凹レンズ4の光軸L1との位置が合わせられる。
【0031】
凸レンズ5は例えばアクリルからなる平凸レンズであり、凸レンズ5の凸面5aは車室内側に向けられている。このため、凸レンズ5の光軸L2と運転者の視点とのずれ量が変わっても、車室外の像の拡大率が変わり難くなるので、車室外の視認性をより良好にすることができる。なお、凸レンズ5の材料はアクリルに限定されるものではなく、他の一般的な光学材料、すなわちガラス、ポリカーボネート、ポリオレフィン等であってもよい。
【0032】
図5(a)は、凸面Taが車室内側に向けられた平凸レンズTの平面Tbに、傾きが異なる5種類の平行光が入射した場合の結像位置を示している。図5(b)は、平面Tbが車室内側に向けられた平凸レンズTの凸面Taに、傾きが異なる5種類の平行光が入射した場合の結像位置を示している。図5(a)の結像位置P3及び図5(b)の結像位置P8は、平凸レンズTの光軸に沿う平行光の結像位置である。図5(a)の結像位置P7及び図5(b)の結像位置P12は、平凸レンズTの光軸に対して最も傾いた平行光の結像位置である。図5(b)では、結像位置P12と平凸レンズTとの距離は、結像位置P8と平凸レンズTとの距離に比べ大幅に異なっている。これに対し、図5(a)では、結像位置P7と平凸レンズTとの距離は、結像位置P3と平凸レンズTとの距離に近くなっている。これにより、図5(a)では、平凸レンズTの光軸と運転者の視点とのずれ量が変わっても、車室外の像の拡大率が変わり難くなっている。
【0033】
図3に示されるように、凸レンズ5が配置される光出射口3dの車室内側の外縁にはザグリ穴3gが形成されている。ザグリ穴3gの内径は、凸レンズ5の外径と略同等である。凸レンズ5は、ザグリ穴3gに車室内側からはめ込まれ、ザグリ穴3gの底面に当接した状態で接着されている。
【0034】
凸レンズ5の車室外側の焦点ftから、凸レンズ5の光軸L2と平面鏡2の反射面2aとの交点までの距離A3は、凹レンズ4の車室外側の焦点foから、凹レンズ4の光軸L1と平面鏡2の反射面2aとの交点までの距離A4よりも大きくなっている。これにより、凹レンズ4による車室外の虚像が、凸レンズ5の焦点ftよりも凸レンズ5の近くに位置することとなるため、凸レンズ5の拡大作用を確実に活用し、車室外の像の縮小を確実に抑制することができる。
【0035】
続いて、平面鏡2、凹レンズ4及び凸レンズ5の外形の大きさの関係について説明する。平面鏡2の反射面2aの外径は、凹レンズ4の有効径以上となっている。このため、凹レンズ4を透過した光の多くを運転者に向って反射させることができるので、後方視野範囲をより広くすることができる。
【0036】
また、凸レンズ5の有効径は、平面鏡2の反射面2aの外径よりも大きくなっている。このため、車室外の像の表示領域である光出射口3dを大きくすることができるので車室外の像をより拡大することができ、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0037】
更に、凹レンズ4が配置されている位置において、凸レンズ5を通して運転者に視認される範囲の外径は、凹レンズ4の有効径と略同等になっている。これにより、凸レンズ5の全域を車室外の像の拡大手段として有効活用し、車室外の視認性をより良好にすることができる。凹レンズ4と凸レンズ5とのこのような関係は、例えば、次のような条件で得られる。
凸レンズ5の主点と運転者の視点との距離:400mm〜700mm
凸レンズ5の光軸L2と平面鏡2との交点と、凸レンズ5の主点との距離:90mm
凸レンズ5の車室外側の焦点距離:520mm
凸レンズ5の有効径:80mm
凹レンズ4の光軸L1と平面鏡2との交点と、凹レンズ4の主点との距離:120mm
凹レンズ4の車室外側の焦点距離:235mm
凹レンズ4の有効径:70mm
平面鏡2の反射面2aの外径:70mm
【0038】
なお、凹レンズ4が配置されている位置において、凸レンズ5を通して運転者に視認される範囲の外径を、凹レンズ4の有効径よりも小さくしてもよい。すなわち、凹レンズ4のうち、凸レンズ5を通して運転者に視認される部分の外周端が、凹レンズ4の外周端よりも内側に位置するようにしてもよい。この場合、凸レンズ5の全域を車室外の像の拡大手段としてより確実に有効活用し、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0039】
また、凹レンズ4が配置されている位置において、凸レンズ5を通して運転者に視認される範囲の外径を、凹レンズ4の外径よりも大きくしてもよい。すなわち、凸レンズ5を通して運転者に視認される範囲の外周端が、凹レンズ4の外周端よりも外側に位置するようにしてもよい。凹レンズ4の外径及び外周端とは、凹レンズ4のミラーハウジング3内に露出する面の外径及び外周端である。つまり、凹レンズ4の外径は、光入射口3cの内径と同じである。この場合、凸レンズ5を通して凹レンズ4の外周端を視認することができるので、車室外の視認性をより良好にすることができる。凹レンズ4と凸レンズ5とのこのような関係は、例えば、次のような条件で得られる。
凸レンズ5の主点と運転者の視点との距離:1733mm
凸レンズ5の光軸L2と平面鏡2との交点と、凸レンズ5の主点との距離:188mm
凸レンズ5の車室外側の焦点距離:520mm
凸レンズ5の有効径:120mm
凹レンズ4の光軸L1と平面鏡2との交点と、凹レンズ4の主点との距離:231mm
凹レンズ4の車室外側の焦点距離:78mm
凹レンズ4の有効径:50mm
凹レンズ4の外径:54mm
平面鏡2の反射面2aの外径:95mm
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、図6に示されるように、平凹レンズ4を両凹レンズ4Aに替えてもよい。この場合、平凹レンズ4を用いるのに比べ、凹面の曲率を大きくすることなく、すなわち凹面の曲率半径を小さくすることなく後方視野範囲を広くすることができる。このため、車室外の像の歪みを抑制しながら後方視野範囲を広くすることができ、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0041】
また、平凸レンズ5を両凸レンズ5Aに替えてもよい。この場合、平凸レンズ5を用いるのに比べ、凸面の曲率を大きくすることなく、すなわち凸面の曲率半径を小さくすることなく車室外の像の拡大率を高くすることができる。このため、車室外の像の歪みを抑制しながら像の拡大率を高くすることができ、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0042】
また、平面鏡2の反射面2aの外径を凹レンズ4の有効径及び凸レンズ5の有効径よりも大きくしてもよい。この場合、平面鏡2によって、車室外の広範囲の像を凸レンズ5に向かって反射させることができるため、後方視野範囲を広くすることができ、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【0043】
また、平面鏡2、凹レンズ4及び凸レンズ5の外形は円形に限られず、設置スペースや視認性を考慮して、これらの外形を様々な形状に変えることができる。例えば、平面鏡2、凹レンズ4及び凸レンズ5の外形を、三角形、四角形、又は五角形等の多角形状としてもよいし、これらの形状の角部を丸めてもよい。
【0044】
また、ミラーハウジング3の内面を塗装等によって黒色にしてもよい。この場合、ミラーハウジング3内の像が視認し難くなり、相対的に車室外の像が明瞭となる。従って、車室外の視認性をより良好にすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1…車両用アウターミラー、2…平面鏡、2a…反射面、3…ミラーハウジング、3a…室外露出部、3b…室内露出部、4,4A…凹レンズ、4b…平面、5,5A…凸レンズ、5a…凸面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室外の後方の視認を可能にする車両用アウターミラーであって、
前記車室外の後方からの光が透過する凹レンズと、
前記凹レンズを透過した前記光が車室内側に向って透過する凸レンズと、
前記凹レンズの光軸上に配置され、前記凹レンズを透過した前記光を前記凸レンズに向って反射させる平面鏡と、を備えたことを特徴とする車両用アウターミラー。
【請求項2】
前記平面鏡はハウジング内に配置され、
前記凹レンズは前記ハウジングの前記車室外側に配置され、
前記凸レンズは前記ハウジングの前記車室内側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の車両用アウターミラー。
【請求項3】
前記凸レンズの前記車室外側の焦点から、前記凸レンズの光軸と前記平面鏡の反射面との交点までの距離は、前記凹レンズの前記車室外側の焦点から、前記凹レンズの前記光軸と前記平面鏡の反射面との交点までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用アウターミラー。
【請求項4】
前記凸レンズは平凸レンズであり、
前記凸レンズの凸面は前記車室内側に向けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の車両用アウターミラー。
【請求項5】
前記凹レンズは平凹レンズであり、
前記凹レンズの平面は前記車室外側に向けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の車両用アウターミラー。
【請求項6】
前記凹レンズは両凹レンズであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の車両用アウターミラー。
【請求項7】
前記凹レンズ、前記凸レンズ及び前記平面鏡のそれぞれの外形は円形であり、
前記平面鏡の反射面の外径は前記凹レンズの有効径以上であり、
前記凸レンズの有効径は前記平面鏡の反射面の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の車両用アウターミラー。
【請求項8】
前記凹レンズ、前記凸レンズ及び前記平面鏡のそれぞれの外形は円形であり、
前記平面鏡の反射面の外径は前記凹レンズの有効径及び前記凸レンズの有効径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の車両用アウターミラー。
【請求項9】
前記凹レンズのうち、前記凸レンズを通して運転者に視認される部分の外周端は、前記凹レンズの外周端よりも内側に位置していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の車両用アウターミラー。
【請求項10】
前記凸レンズを通して運転者に視認される範囲の外周端は、前記凹レンズの外周端よりも外側に位置していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の車両用アウターミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−52859(P2013−52859A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10357(P2012−10357)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】