説明

車両用サイドミラー

【課題】補強部材によるミラーハウジングの補強を効果的に行えるようにして、部品点数の増加を招くことなく、しかも、軽量でありながら鏡面振動を抑制して像の歪みを減少させる。
【解決手段】ベース部3と、ミラーハウジング4と、ミラーハウジング4を格納状態と使用状態とに切り替えるための格納ユニット6と、ミラーハウジング4を補強する補強部材7とを備えた車両用サイドミラーにおいて、上記格納ユニット6及び上記補強部材7は、上記ミラーハウジング4における車両前側に配置され、上記補強部材7には、上記格納ユニット6に固定された格納ユニット固定部71と、ミラーハウジング4における格納ユニット6よりも上側に固定された上側ハウジング固定部72と、ミラーハウジング4における格納ユニット6よりも車幅方向外側に固定された側部ハウジング固定部74とが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等に取り付けられる車両用サイドミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の側部には後方確認用のサイドミラーが取り付けられている。サイドミラーは、車両に固定されるベース部と、ミラーを保持するミラーハウジングと、ミラーハウジングをベース部に対して回動可能に連結してミラーハウジングを使用状態と格納状態とに切り替える格納ユニットとを備えている。
【0003】
サイドミラーは車両の側方へ突出しているので、走行時の風圧を受け易い。特許文献1のサイドミラーでは、ミラーハウジングを補強する補強部材を設けて風圧に対処している。この補強部材は、ミラーハウジングのミラー取付側とは反対側である車両前側に配置されてミラーハウジングに対し複数箇所が締結固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−208629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の走行速度が高い場合や不整路を走行した場合には、特許文献1の補強部材を設けていてもミラーハウジングが振動すること考えられる。ミラーハウジングが振動するとミラーが加振されて鏡面振動を起こすことになり、鏡面に映る像が歪んでしまい、視認性の悪化に繋がる恐れがある。特に平面ミラーの場合には像の歪みが顕著に現れる傾向にある。
【0006】
そこで、ミラーハウジングの振動を抑制するために、例えば別の補強部材を固定したり、ミラーハウジングを構成する部材の板厚を厚くして剛性を高めることが考えられるが、別の補強部材を設けると部品点数が増加し、また、ミラーハウジングの板厚を厚くするとサイドミラーの重量増を招き、好ましくない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、補強部材によるミラーハウジングの補強を効果的に行えるようにして、部品点数の増加を招くことなく、しかも、軽量でありながら鏡面振動を抑制して像の歪みを減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、ミラーハウジングの格納ユニットに補強部材を固定するとともに、ミラーハウジングにおける格納ユニットよりも上側及び車幅方向外側に上記補強部材をそれぞれ固定するようにした。
【0009】
第1の発明は、車両に取り付けられるベース部と、ミラーが取り付けられるミラーハウジングと、上記ミラーハウジングを上記ベース部に連結し、該ミラーハウジングを格納状態と使用状態とに切り替えるための格納ユニットと、上記ミラーハウジングを補強するための補強部材とを備えた車両用サイドミラーにおいて、上記格納ユニット及び上記補強部材は、上記ミラーハウジングにおけるミラーの取付側とは反対の車両前側に配置され、上記補強部材には、上記格納ユニットに固定された格納ユニット固定部と、該格納ユニット固定部から上方へ延び、上記ミラーハウジングにおける上記格納ユニットよりも上側に固定された上側ハウジング固定部と、上記格納ユニット固定部から車幅方向外側へ延び、上記ミラーハウジングにおける上記格納ユニットよりも車幅方向外側に固定された側部ハウジング固定部とが設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
すなわち、格納ユニットはミラーハウジングをベース部に連結する機能を持つものであるため高剛性であり、この格納ユニットに補強部材の格納ユニット固定部を固定することで補強部材が強固に固定されることになる。そして、ミラーハウジングの格納ユニットよりも上側部分及び外側部分が、格納ユニットに対し補強部材を介して連結されることになる。このようにミラーハウジングの互いに離れた部分を補強部材によって高剛性な格納ユニットに連結することで、ミラーハウジングの剛性を全体として効果的に高めることが可能になる。従って、他の補強部材を別途設けずに、かつ、ミラーハウジングの肉厚を厚くすることなく、ミラーハウジングに十分な剛性を得ることが可能になる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記ミラーハウジングは、ミラーを収容するように車両前側へ窪む凹部を有し、上記上側ハウジング固定部は、上記凹部を構成する側壁部近傍に固定されていることを特徴とするものである。
【0012】
この構成によれば、凹部の側壁部はミラーハウジングのリブのように機能することになるので、ミラーハウジングの側壁部近傍の剛性は他の部位に比べて高くなる。この剛性の向上した部位に補強部材を固定することで補強部材の固定が強固に行える。
【0013】
第3の発明は、第1または2の発明において、上記補強部材は、板材で構成され、上記上側ハウジング固定部は、上記補強部材の厚み方向へ延びていることを特徴とするものである。
【0014】
この構成によれば、上側ハウジング固定部が補強部材のリブのように機能することになり、上側ハウジング固定部を利用して補強部材の剛性を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、補強部材を格納ユニットに固定するとともに、ミラーハウジングにおける格納ユニットよりも上側及び外側にそれぞれ固定するようにしたので、ミラーハウジングの剛性を効果的に高めることができる。これにより、部品点数の増加を招くことなく、しかも、軽量としながら、鏡面振動を抑制して像の歪みを減少させることができる。
【0016】
第2の発明によれば、ミラーハウジングの凹部の側壁部近傍に補強部材の上側ハウジング固定部を固定することで、補強部材をミラーハウジングに強固に固定することができる。これにより、ミラーハウジングの剛性をより一層高めることができる。
【0017】
第3の発明によれば、上側ハウジング固定部が補強部材の厚み方向へ延びているので、補強部材の剛性を上側ハウジング固定部によって高めることができ、これにより、ミラーハウジングの剛性をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態にかかる車両用サイドミラーが取り付けられた車両の一部を示す斜視図である。
【図2】車両用サイドミラーを後方から見た図である。
【図3】車両用サイドミラーの分解斜視図である。
【図4】補強部材の取付構造を示す斜視図である。
【図5】バイザーを取り外したサイドミラーを前側から見た斜視図である。
【図6】バイザーを取り外したサイドミラーの正面図である。
【図7】補強部材の正面図である。
【図8】補強部材の右側面図である。
【図9】補強部材の平面図である。
【図10】図7におけるX−X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態にかかる車両用サイドミラー1が取り付けられた車両の一部を示す斜視図である。このサイドミラー1は、運転者の後方確認のために用いられるものであり、フロントドアFのアウタパネルPに取り付けられる、いわゆるドアミラーである。
【0021】
尚、以下の説明では、右側のサイドミラー1について説明するが、左側のサイドミラーについては、右側のサイドミラー1と左右対称であることを除けば同様の構成であることから、その説明を省略する。
【0022】
また、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、また、車両後側を単に「後」といい、車幅方向左側を単に「左」といい、車幅方向右側を単に「右」というものとする。
【0023】
図2や図3に示すように、サイドミラー1は、後方確認用のミラー2と、アウタパネルPに取り付けられるベース部3と、ミラー2が取り付けられるミラーハウジング4と、ミラー2の角度調整を行う角度調整ユニット5と、ミラーハウジング4を格納状態と使用状態とに切り替えるための格納ユニット6と、ミラーハウジング4を補強するための補強部材7とを備えている。角度調整ユニット5はミラーハウジング4にその後側から組み付けられる一方、格納ユニット6及び補強部材7はミラーハウジング4にその前側から組み付けられる。
【0024】
ミラー2は左右方向に長い形状とされていて、鏡面が平面で構成された、いわゆる平面鏡である。図示しないが、ミラー2の裏面にはヒーターが設けられている。
【0025】
ベース部3は、図示しない締結部材によってアウタパネルPに締結固定され、アウタパネルPへの固定状態で右斜め上方へ延びている。ベース部3の上端部には、格納ユニット6の固定軸が固定されるようになっている。
【0026】
ベース部3とアウタパネルPとの間には、図3に示す防水用のシールラバー21が配設されている。また、ベース部3の下側は、下部カバー22により覆われている。
【0027】
ミラーハウジング4は、ハウジング本体25と、上部バイザーB1と、下部バイザーB2とを備えている。ハウジング本体25、上部バイザーB1及び下部バイザーB2は樹脂材を成形してなるものである。
【0028】
ハウジング本体25は、ミラー2の形状に対応して左右方向に長い形状となっている。ハウジング本体25の後側には、ミラー2及び角度調整ユニット5を収容するための左右方向に長い凹部26が前側へ窪むように形成されている。この凹部26は後側全体が開放されている。
【0029】
凹部26の側壁部26aは、凹部26の周方向に連続していて、全体が前後方向に延びている。また、凹部26の底壁部26bは、上下方向に延びている。底壁部26bには、貫通孔26cが形成されている。貫通孔26cは、ミラー2の裏面のヒーターから延びる配線を通したり、角度調整ユニット5をハウジング本体25に取り付ける際の作業用工具等を通すためのものである。
【0030】
ハウジング本体25の周縁部には、前側へ向けて延びる周壁部27が設けられている。周壁部27の内面と凹部26の側壁部26aとは複数のリブ28により連結されている。
【0031】
ハウジング本体25の左端下部には、ベース部3の上部に沿って延びるように延出する延出板部30が形成されている。延出板部30の中央部近傍には、ベース部3の上部の突出部分が挿入される挿入孔30aが形成されている。
【0032】
延出板部30の上面には、格納ユニット6の可動側が固定されるようになっている。この格納ユニット6は図示しないビス等によってハウジング本体25に締結固定される。
【0033】
ハウジング本体25の後側には、上部バイザーB1及び下部バイザーB2から突出する爪(図示せず)を挿入して係合させるための複数の係合部32,32,…が設けられている。
【0034】
図4に示すように、ハウジング本体25の前側には、補強部材7を固定するための左側ボス40、中央ボス41及び右側ボス42が設けられている。左側ボス40は、凹部26の左側の側壁部26a近傍から前側へ突出する円筒状に形成されている。左側ボス40は、格納ユニット6の本体部分から上方へ離れて配置されている。
【0035】
中央ボス41は、凹部26の底壁部26bに形成された台部45に、前側へ突出する円筒状に形成されている。台部45は、左側ボス40よりも右側に位置しており、左側ボス40の先端部よりも前側へ突出するようにハウジング本体25に一体成形されている。また、台部45の大部分は左側ボス40よりも上方に位置している。従って、中央ボス41の先端部は左側ボス40の先端部よりも前側で、かつ、上に位置している。
【0036】
右側ボス42は、凹部26の底壁部26bにおいて台部45から右側に離れた部位から前側へ突出する円筒状に形成されている。右側ボス42は中央ボス41よりも下に配置されており、角度調整ユニット5の取付部に対応している。右側ボス42の先端部は、左側ボス40の先端部よりも前側に位置している。
【0037】
さらに、ハウジング本体25の前側には、補強部材7を位置決めするための左側位置決め突起47及び右側位置決め突起48が設けられている。左側位置決め突起47は、凹部26の左側の側壁部26a近傍から前側へ突出しており、左側ボス40の外周面と一体化されている。左側位置決め突起47の先端部は左側ボス40の先端部よりも前側へ突出している。
【0038】
右側位置決め突起48は、凹部26の底壁部26bの右側ボス42近傍から前側へ突出しており、右側ボス42の外周面と一体化されている。右側位置決め突起48の先端部は右側ボス42の先端部よりも前側へ突出している。
【0039】
格納ユニット6は、いわゆる電動格納ユニットであり、ベース部3に固定される固定軸と、周知のモーターや歯車等からなる駆動機構(図示せず)と、これらを収容するとともにミラーハウジング4に固定されるケーシング6aと備えている。格納ユニット6により、ミラーハウジング4を支持することになるので、格納ユニット6は全体が高剛性に構成されている。
【0040】
格納ユニット6の駆動機構を作動させると、ケーシング6a及び該駆動機構が固定軸周りに回動して、ミラーハウジング4が格納状態と使用状態とに切り替えられる。格納状態とは、ミラーハウジング4の右端がフロントドアFのウインドガラスに接近してミラー2の鏡面が前後方向に延びる姿勢であり、また、使用状態とは、図1に示すようにミラーハウジング4の右端がウインドガラスから離れてミラー2の鏡面が左右方向に延びる姿勢である。
【0041】
ケーシング6aの右側壁部には、ミラーハウジング4に固定されるブラケット6bが右側及び上側へ突出するように一体成形されている。ブラケット6bの上部及び右端部がミラーハウジング4に締結部材により固定されるようになっている。ブラケット6bの上部の固定部位は、中央ボス41よりも下で、かつ、左側ボス40と右側ボス42との間に配置されている。
【0042】
図4に示すように、ブラケット6bの下部近傍には、補強部材7を固定するためのブラケット側ボス50が前側へ突出する円筒状に形成されている。ブラケット側ボス50の先端部は、左側ボス40の先端部よりも前側に位置している。
【0043】
また、ケーシング6aの前壁部の左右方向中間部には、補強部材7を固定するためのケーシング側ボス51が前側へ突出する円筒状に形成されている。ケーシング側ボス51の先端部は、ブラケット側ボス50の先端部よりも前側に位置している。
【0044】
また、図3に示すように、角度調整ユニット5は、ミラー2が固定されるミラーホルダー5aと、ホルダー駆動機構5bとを備えている。ミラーホルダー5aは、ホルダー駆動機構5bが有するピボット球を介してホルダー駆動機構5bに支持されている。また、ホルダー駆動機構5bは、ミラーハウジング4の凹部26の底壁部26bに締結固定されている。すなわち、ミラー2は、ミラーホルダー5a及びホルダー駆動機構5bと共にミラーハウジング4の凹部26内に収容され、この状態で、ホルダー駆動機構5bがミラーホルダー5aを傾動させることでミラーハウジング4に対して角度調整可能となっている。
【0045】
また、補強部材7は、鋼板をプレス成形してなるものである。図5及び図6に示すように、補強部材7は、格納ユニット6に固定される格納ユニット固定部71と、格納ユニット固定部71から上方へ延び、ミラーハウジング4における格納ユニット6よりも上側に固定された上側ハウジング固定部72と、格納ユニット固定部71から右側(車幅方向外側)へ延び、ミラーハウジング4における格納ユニット6よりも右側に固定された第1及び第2側部ハウジング固定部73,74とが設けられている。
【0046】
図7〜図10にも示すように、格納ユニット固定部71は、補強部材7の下部において左側へ延出するように形成されており、格納ユニット6のケーシング側ボス51の先端面に重なるようになっている。格納ユニット固定部71には、ケーシング側ボス51の開口と略一致する第1ビス挿通孔71aが形成されている。
【0047】
図5に示すように、上側ハウジング固定部72は、補強部材7の格納ユニット固定部71よりも上側の部位から後側(板厚方向一側)へ折り曲げられて後方へ延びた後、左側へ折り曲げられて左側ボス40の先端面に重なるようになっている。図7に示すように、上側ハウジング固定部72には、左側ボス40の開口と略一致する第2ビス挿通孔72aと、左側位置決め突起47が挿入される第1位置決め孔72bとが形成されている。第1位置決め孔72bは、左右方向に長い長穴となっている。また、上側ハウジング固定部72の基端側から補強部材7の本体部分に亘ってミラーハウジング4側へ窪む凹条部76が形成されている。
【0048】
第1側部ハウジング固定部73は、補強部材7の上部右側において右斜め上方へ延出するように形成されており、ミラーハウジング4の右側ボス42の先端面に重なるようになっている。第1側部ハウジング固定部73には、右側ボス42の開口と略一致する第3ビス挿通孔73aと、右側位置決め突起48が挿入される第2位置決め孔73bとが形成されている。
【0049】
第2側部ハウジング固定部74は、補強部材7の上部において上方へ延出するように形成されており、ミラーハウジング4の中央ボス41の先端面に重なるようになっている。第2側部ハウジング固定部74には、中央ボス41の開口と略一致する第4ビス挿通孔74aが形成されている。
【0050】
補強部材7の下部には、格納ユニット6のブラケット6bに固定されるブラケット固定部78が設けられている。ブラケット固定部78は、ミラーハウジング4側へ窪み、ブラケット側ボス50の先端面に重なるように形成されている。ブラケット固定部78には、ブラケット側ボス50の開口と略一致する第5ビス挿通孔78aが形成されている。
【0051】
補強部材7の格納ユニット固定部71と、ブラケット固定部78との間には、第1貫通孔80が形成されている。この第1貫通孔80は上下方向に長い形状となっている。
【0052】
補強部材7のブラケット固定部78と第1側部ハウジング固定部73との間には、第2貫通孔81が形成されている。この第2貫通孔81は第2側部ハウジング固定部74近傍に亘って開口している。
【0053】
また、補強部材7の周縁部には、複数のリブ83,83,…が前側へ突出するように形成されている。
【0054】
次に、上記のように構成されたサイドミラー1の組立要領について説明する。
【0055】
ミラーハウジング4の後側から角度調整ユニット5及びミラー2を組み付ける。このとき、ヒーターの配線等はミラーハウジング4の凹部26の底壁部26bに形成された貫通孔26cからミラーハウジング4の前側へ通す。また、貫通孔26cから工具を挿入して角度調整ユニット5の締結作業を行う。
【0056】
一方、格納ユニット6をミラーハウジング本体25の前側からミラーハウジング4に組み付ける。この格納ユニット6の固定軸をベース部3に固定する。
【0057】
その後、図4に示すように、補強部材7をミラーハウジング本体25の前側から該ミラーハウジング本体25及び格納ユニット6に固定する。すなわち、補強部材7の第1位置決め孔72bに左側位置決め突起47を挿入するとともに、第2位置決め孔73bに右側位置決め突起48を挿入する。これにより、補強部材7がミラーハウジング本体25に位置決めされる。
【0058】
しかる後、ビスBを第1〜第5ビス挿通孔71a,72a,73a,74a,78aに挿通し、ケーシング側ボス51、左側ボス40、中央ボス41、右側ボス42及びブラケット側ボス50に螺合させる。
【0059】
格納ユニット6はミラーハウジング4をベース部3に連結するためのものであるため高剛性であり、この格納ユニット6に補強部材7を固定することで補強部材7が強固に固定されることになる。そして、ミラーハウジング4の格納ユニット6よりも上側部分及び外側部分が、格納ユニット6に対し補強部材7を介して連結されることになる。このようにミラーハウジング4の互いに離れた部分を補強部材7によって高剛性な格納ユニット6に連結することで、ミラーハウジング4の剛性を全体として効果的に高めることが可能になる。従って、他の補強部材を別途設けずに、かつ、ミラーハウジング4の肉厚を厚くすることなく、ミラーハウジング4に十分な剛性を得ることが可能になる。
【0060】
これにより、部品点数の増加を招くことなく、しかも、軽量としながら、鏡面振動を抑制して像の歪みを減少させることができる。
【0061】
また、凹部26の側壁部26aはミラーハウジング4のリブのように機能することになるので、ミラーハウジング4の側壁部26a近傍の剛性は他の部位に比べて高くなる。この剛性の向上した部位に補強部材7を固定することで補強部材7の固定が強固に行える。これにより、ミラーハウジング4の剛性をより一層高めることができる。
【0062】
また、上側ハウジング固定部72は補強部材7の板厚方向に延びているので、補強部材7のリブのように機能することになり、補強部材7の剛性を高めることが可能になる。これにより、ミラーハウジング4の剛性をより一層高めることができる。
【0063】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0064】
上記実施形態では、補強部材7の複数箇所を格納ユニット6に固定するようにしているが、これに限らず、1箇所のみ固定してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、補強部材7を鋼板で構成しているが、これに限らず、例えば、樹脂材等で構成してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、格納ユニット6が電動格納ユニットである場合について説明したが、本発明は手動格納ユニットを備えたサイドミラーにも適用することができる。
【0067】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上説明したように、本発明にかかる車両用サイドミラーは、例えば格納ユニットを備えたサイドミラーに有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用サイドミラー
2 ミラー
3 ベース部
4 ミラーハウジング
5 角度調整ユニット
6 格納ユニット
7 補強部材
26 凹部
26a 側壁部
71 格納ユニット固定部
72 上側ハウジング固定部
73 第1側部ハウジング固定部
74 第2側部ハウジング固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられるベース部と、
ミラーが取り付けられるミラーハウジングと、
上記ミラーハウジングを上記ベース部に連結し、該ミラーハウジングを格納状態と使用状態とに切り替えるための格納ユニットと、
上記ミラーハウジングを補強するための補強部材とを備えた車両用サイドミラーにおいて、
上記格納ユニット及び上記補強部材は、上記ミラーハウジングにおけるミラーの取付側とは反対の車両前側に配置され、
上記補強部材には、上記格納ユニットに固定された格納ユニット固定部と、該格納ユニット固定部から上方へ延び、上記ミラーハウジングにおける上記格納ユニットよりも上側に固定された上側ハウジング固定部と、上記格納ユニット固定部から車幅方向外側へ延び、上記ミラーハウジングにおける上記格納ユニットよりも車幅方向外側に固定された側部ハウジング固定部とが設けられていることを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サイドミラーにおいて、
上記ミラーハウジングは、ミラーを収容するように車両前側へ窪む凹部を有し、
上記上側ハウジング固定部は、上記凹部を構成する側壁部近傍に固定されていることを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用サイドミラーにおいて、
上記補強部材は、板材で構成され、
上記上側ハウジング固定部は、上記補強部材の厚み方向へ延びていることを特徴とする車両用サイドミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−75536(P2013−75536A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214915(P2011−214915)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000147660)株式会社石▲崎▼本店 (28)
【Fターム(参考)】