説明

車両用制御装置

【課題】 本発明の課題は、車両の走行中に不要な電気負荷の電源を切断して省電力を図ると共に、車両搭乗者の安全性を向上させる車両用制御装置を提供することにある。
【解決手段】 第1規定値T1よりも大きな第2規定値T2となるように速度の差を持たせることで低速時に遮断が可能な電力と高速時に遮断が可能な電力を制御する構成となり、車両の省電力に寄与するとともに、低速時に電力を供給する必要がない第1電気開閉部群10X、高速時に電力を供給する必要がない第2電気開閉部群T2の電力を遮断することで車両搭乗者の安全性の向上に繋がる車両用制御装置1を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力のために走行中の車両の電力を制御する車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の省電力制御のために車両情報に応じて車載電装装置の消費電力を低減するものがあった(特許文献1)。また、車両が停車、低速走行中にバッテリの消耗を節減するために車載電装機器に対して電力の供給を断つようにしたものがあった(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−267164号公報
【特許文献2】特開平7−257296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、省電力だけでは無く、車両搭乗者の安全までを含んだ車両用制御装置として十分に機能するものは無かった。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑み、車両の走行中に不要な電気負荷の電源を切断して省電力を図ると共に、車両搭乗者の安全性を向上させる車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用制御装置は、
車両の電源からの電力供給により開閉動作を行う複数の電気開閉部と、
複数の電気開閉部の作動に必要な電力の供給を制御する電源制御装置と、
走行中の車両の速度を検出する速度検出装置と、を備え、
複数の電気開閉部は第1電気開閉部群と第2電気開閉部群とからなり、
電源制御装置は、第1電気開閉部群の制御に際しては、速度検出装置によって検出される速度が第1規定値以上の場合に、電源から供給する電力を遮断する一方、第2電気開閉部群の制御に際しては、速度検出装置によって検出された速度が第1規定値よりも大きな第2規定値以上の場合に、電源から供給する電力を遮断することを特徴とする。
【0007】
これによれば、複数の電機開閉部の内、速度が第1規定値以上の場合には、第1電気開閉部群の電力を遮断し、速度が第2規定値以上の場合には、第2電気開閉部群の電力を遮断する構成とすることができる。ここで、第2規定値は第1規定値より大きな値であるので、第1規定値を低速とした場合(例えば5km/hから20km/h)、第2規定値は高速(例えば70km/hから80km/h)と考えることができる。このように、速度の差を持たせることで低速時に遮断が可能な電力と高速時に遮断が可能な電力を制御する構成となり、車両の省電力に寄与するとともに、低速時に電力を供給する必要がない第1電気開閉部群、高速時に電力を供給する必要がない第2電気開閉部群の電力を遮断することで車両搭乗者の安全性の向上に繋がる車両用制御装置を提供することが可能となる。
【0008】
また、第1規定値及び第2規定値は、上下に一定の幅を持った規定値で構成され、
上第1規定値及び上第2規定値は、速度検出装置によって検出される速度が上昇時に、電力を遮断する規定値であり、
下第1規定値及び下第2規定値は、速度検出装置によって検出される速度が下降時に、電力を通電する規定値としてもよい。
【0009】
これによれば、第1規定値及び第2規定値にはそれぞれ、上第1規定値、上第2規定値及び下第1規定値、下第2規定値が定められており、それぞれの規定値には速度の幅が設けてある構成となっている。よって、速度が0の状態から下第1規定値(例えば5km/h)を超え、上第1規定値以上(例えば20km/h)となった場合に、電源からの電力が遮断され、速度が上第1規定値(例えば20km/h)よりも高い状態から下がり、下第1規定値(例えば5km/h)より低速となった場合に電源からの電力が通電される。つまり、電力の遮断と通電の間には一定の間隔が設けられているので、速度がその一定の間隔内(例えば6km/hから19km/h)を行き来する場合には、電力の供給遮断が何度も繰り返されず、供給遮断に必要な電力を制御でき、さらに省電力へとつながる。
【0010】
第2規定値の場合も同様に、速度が上第1規定値(例えば20km/h)より大きい状態から下第2規定値(例えば70km/h)を超え、上第2規定値(例えば80km/h)以上となった場合に、電源からの電力が遮断され、速度が上第2規定値(例えば80km/h)よりも高い状態から下がり、下第2規定値(例えば70km/h)より低速となった場合に電源からの電力が通電される。このように、第1規定値よりも高速である第2規定値にも一定の速度の幅があるので、高速状態においても速度がその一定の速度間隔内(例えば71km/hから79km/h)を行き来する場合には、電力の供給遮断が何度も繰り返されず、供給遮断に必要な電力を制御でき、さらに省電力へとつながる。
【0011】
また、第1電気開閉部群は、車両へ人が乗り降りのするための開閉部から構成されるようにしてもよい。
【0012】
これによれば、第1電気開閉部群は車両へ人が乗り降りするためのドアから構成されているので、低い速度にある第1規定値(例えば5km/hから20km/h)以上の場合に電力を遮断することで、それらのドアを開かないようにすることができる。よって、車両搭乗者が誤ってドアを開こうとしてもドアは閉鎖状態が保たれるので、安全でありしかも省電力につながる。
【0013】
また、第1電気開閉部群は、車両への荷物の積降のための開閉部から構成されるようにしてもよい。
【0014】
これによれば、第1電気開閉部群は、荷物の積降のためのドアから構成されるので、低い速度にある第1規定値(例えば5km/hから20km/h)以上の場合に電力を遮断することで、それらのドアを開かないようにすることができ、走行中に誤作動で誤って荷物などを落とすことが無く、安全でありしかも省電力につながる。
【0015】
また、第2電気開閉部群は、車両内空気と車両外空気とを換気するための開閉部からなる構成としてもよい。
【0016】
これによれば、第2電気開閉部群は車内と車外の空気を換気するための開閉部から構成されるので、速度が第2規定値より低い状態の際(70km/h未満)に換気を行いたい場合は、電力が供給されて、開閉部を開くことができる。しかし、高速道路を走るような状態である第2規定値(例えば70km/hから80km/h)以上の速度になると、電力を遮断し、開閉部が開かないようにすることができる。このように、速度によって開閉部への電力の供給が変化するので、低速時には便利に使え、高速時には車両搭乗者の安全が守られ、省電力にも繋がる。
【0017】
また、第1電気開閉部群及び第2電気開閉部群は、半開きを感知する半開き感知装置により半開き状態が感知されており、第1電気開閉部群及び第2電気開閉部群が半開き状態のままで第1規定値または第2規定値以上の速度になった場合には、第1電気開閉部群及び第2電気開閉部群が完全に閉鎖された状態になった後に、電源から供給する電力が遮断される構成としてもよい。
【0018】
これによれば、第1電気開閉部群及び第2電気開閉部群は、半開き感知装置により開閉部の半開き状態が感知されている。半開き状態が感知されることで第1電気開閉部群では、第1規定値以上になってもすぐに電力が遮断されることは無く、第1電気開閉部群が完全に閉鎖された状態になった後に電力が遮断される。また、同様に第2電気開閉部群では、第2規定値以上になってもすぐに電力が遮断されることは無く、第2電気開閉部群が完全に閉鎖された状態になった後に電力が遮断される。このように、半開き感知装置が設けられていることで、複数の電気開閉部が開放されたまま電源からの電力が遮断されることが無くなり、安全運転に寄与できる。特に高速道路を運転するような場合(第2規定値以上となる場合)、電力が急に遮断されては第2電気開閉部群が開放状態となってしまう恐れがある。よって、もし半開き状態で車両が高速状態となっても確実に開閉部を閉鎖してから電力の遮断が行われるので、第2電気開閉部群が開放したままで放置されるようなことは無く安全である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る車両用制御装置を示すブロック図。
【図2】速度と規定値の関係を示す図。
【図3】車両用制御装置の加速中・減速中の処理を示すフローチャート。
【図4】開閉判定処理を示すフローチャート。
【図5】速度で見た場合の車両用制御装置の処理を示すフローチャート。
【図6】(a)ミニバン型の車両に車両用制御装置が設置されたときの様子を示す図。(b)セダン型の車両に車両用制御装置が設置されたときの様子を示す図。
【図7】他の実施形態に係る車両用制御装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る車両用制御装置を示すブロック図である。車両用制御装置1は、車両の電源であるバッテリ2、バッテリ2からの電力の供給/遮断を複数のスイッチ6のON/OFFにより制御する電源制御装置3、スイッチ6のON/OFFにより電力の供給/遮断が行われる複数の電気開閉部10、電源制御装置3へ車両の速度情報を伝達する速度メータ4並びに複数の電気開閉部10の半開き状態を感知し、その情報を伝達する半開き感知装置5を備えている。
【0021】
複数の電気開閉部10は、バッテリ2からの電力供給により、開閉動作が行われ、その開閉動作に必要な電力は、電源制御装置3によって制御されるスイッチ6のON/OFFによって、供給/遮断が行われている。これら複数の電気開閉部10は、それぞれ車両のスライドドア10a、クローザー10b、バックドア10c、トランクオープナ10d、パワーウインドウ10e、サンルーフ10f等から構成される。なお、ここで示すものは概念を示すものに過ぎず、実際は車種によりこれら複数の電気開閉部10を組合わせたり、新たな開閉部を追加することが可能である。
【0022】
また、複数の電気開閉部10のうち、車両へ人が乗降りするための開閉部として機能するスライドドア10a、クローザー10bを乗降用開閉部10A、車両への荷物の積降のための開閉部として機能するバックドア10c、トランクオープナ10dを積降用開閉部10Bとし、これら乗降用開閉部10A及び積降用開閉部10Bを総称し、第1電気開閉部群10Xとする。
【0023】
第1電気開閉部群10Xに対し、車両内空気と車両外空気とを換気するための開閉部として機能するパワーウインドウ10e、サンルーフ10fを換気用開閉部10C若しくは第2電気開閉部群10Yと総称することにする。
【0024】
速度メータ4は、走行中の車両の速度を検出する速度検出装置として機能し、速度メータ4により検知された車両の車速情報を電源制御装置3へ送信する。
【0025】
半開き感知装置5は、第1電気開閉部群10X及び第2電気開閉部群10Yが半開き状態かどうかを感知することが可能であり、電源制御装置3へ第1電気開閉部群10X及び第2電気開閉部群10Yが半開き状態にある場合にその半開き情報を送信する。
【0026】
図2(a)により、本発明の車両用制御装置1における車両速度X(km/h)と第1電気開閉部群10X、第2電気開閉部群10Yの制御に関与する規定値である第1規定値T1、第2規定値T2との関係を示す。
【0027】
図2(a)に示すように、電源制御装置3は、第1電気開閉部群10Xの制御に際しては、速度メータ4によって検出される速度Xが第1規定値T1以上の場合に、バッテリ2から供給する電力を遮断する一方、第2電気開閉部群10Yの制御に際しては、速度メータ4によって検出される速度Xが第2規定値T2以上の場合に、バッテリ2から供給する電力を遮断する。
【0028】
ここで、第1規定値T1は0より大きくT2より小さいという関係にある。また、第1規定値T1及び第2規定値T2は、上下に一定の幅を持った規定値として構成されている。ここでは、第1規定値T1、第2規定値T2における最大の値をそれぞれ上第1規定値T1U、上第2規定値T2Uとし、最小の値をそれぞれ下第1規定値T1L、下第2規定値T2Lと定義する。このような値が定められた場合、上第1規定値T1U及び上第2規定値T2Uは、速度メータ4によって検出される速度が上昇時(加速中(右矢印方向))に、電力を遮断する規定値であり、下第1規定値T1L及び下第2規定値T2Lは、速度メータ4によって検出される速度が下降時(減速中(左矢印方向))に、電力を通電する規定値である。
【0029】
具体的には図2(b)に示すように第1規定値T1において、下第1規定値T1Lが5km/h、上第1規定値T1Uが20km/hである場合を想定する。この場合、速度メータ4で検知される車両の速度が0km/hから上昇(加速)していく際には、20km/h以上になった場合にバッテリ2からの電力が遮断され、第1電気開閉部群10Xへの電力の供給が止まる。また、車速が20km/hより大きな値から下降(減速)していく際には、5km/hより下の値になった場合にバッテリ2から電力が供給され、第1電気開閉部群10Xが通電状態となる。
【0030】
また、図2(b)に示すように第2規定値T2において、下第2規定値T2Lが70km/h、上第2規定値T2Uが80km/hである場合を想定する。この場合、速度メータ4で検知される車両の速度が70km/h未満から上昇(加速)していく際には、80km/h以上になった場合にバッテリ2からの電力が遮断され、第2電気開閉部群10Yへの電力の供給が止まる。また、車速が80km/hより大きな値から下降(減速)していく際には、70km/hより下の値になった場合にバッテリ2から電力が供給され、第2電気開閉部群10Yが通電状態となる。
【0031】
このように、第1規定値T1よりも大きな第2規定値T2となるように速度の差を持たせることで低速時に遮断が可能な電力と高速時に遮断が可能な電力を制御する構成となり、車両の省電力に寄与するとともに、低速時に電力を供給する必要がない第1電気開閉部群10X、高速時に電力を供給する必要がない第2電気開閉部群10Yの電力を遮断することで車両搭乗者の安全性の向上に繋がる車両用制御装置1を提供することが可能となる。
【0032】
つまり、スライドドア10a、クローザー10bのような車両へ人が乗り降りするための乗降用開閉部10Aや、バックドア10c、トランクオープナ10dのような車両への荷物の積降のための積降用開閉部10Bについては、第1規定値T1のような低速時において電力を遮断することになる。よって、車両搭乗者が誤ってドアを開こうとしてもドアは閉鎖状態が保たれるので、安全であるとともに省電力にもつながる。また、同様に走行中に誤作動で誤って荷物などを落とすことが無く、安全であるとともに省電力にもつながる。
【0033】
また、パワーウインドウ10e、サンルーフ10fのように車両内空気と車両外空気とを換気するための換気用開閉部(または車外の光を取り入れる明かり取り用開閉部)10Cについては、速度が第2規定値T2より低い状態の際に換気を行いたい場合は、電力が供給されて、開閉部を開くことができるが、高速道路を走るような状態である第2規定値T2以上の速度になると、電力を遮断し、開閉部が開くことを防ぐことができる。このように、速度によって開閉部への電力の供給が変化するので、低速時には便利に使え、高速時には車両搭乗者の安全が守られ、省電力にも繋がる。
【0034】
ここで、第1規定値T1には、低速時において電力の遮断と通電の間に一定の間隔が設けられているので、速度がその一定の間隔内(例えば下第1規定値T1Lが5km/h、上第1規定値T1Uが20km/hの範囲内、もしくはT1Lが10km/h、T1Uが20km/hの範囲内、好ましくはT1Lが15km/h、T1Uが20km/hの範囲内)を行き来する場合には、電力の供給遮断が何度も繰り返されず、供給遮断に必要な電力を制御でき、さらに省電力へとつながる。同様に、第2規定値T2にも、高速時において電力の遮断と通電の間に一定の間隔が設けられているので、速度がその一定の間隔内(例えば下第2規定値T2Lが70km/h、上第2規定値T2Uが80km/hの範囲内、好ましくはT2Lが75km/h、T2Uが80km/hの範囲内)を行き来する場合には、電力の供給遮断が何度も繰り返されず、供給遮断に必要な電力を制御でき、さらに省電力へとつながる。このように、本発明の車両用制御装置1によれば、スイッチ6のON/OFFを短期間に何度も繰り返すことで電気エネルギーを多く使用してしまうという弊害を極力避けることが可能となる。
【0035】
なお、第1規定値T1に設けられた一定の速度幅は、第2規定値T2に設けられた一定の速度幅より広く取られている。これは、第1規定値T1のような低速時においては車両の速度変化が大きい場合が多いが、第2規定値T2のような高速道路を走るような高速時においては、車両は一定速度で進む場合が多いからである。よって、このような速度幅を持たせることで、低速時、高速時に最適な車両の電力制御が可能となる。
【0036】
次に、図3から図5を用い車両用制御装置1の具体的な処理について説明する。
図3は、車両用制御装置1の加速中・減速中の処理を示すフローチャートであり、S1では、イグニッション(IG)のON/OFFが判断される。イグニッションがOFFの場合、複数の電気開閉部10の制御に必要な車両のバッテリ2からの電力が供給されないので処理が終了となる。イグニッションがONの場合、S2へ移行する。
【0037】
S2では、車両が加速中か減速中かが速度メータ4の時間変化により判定される。車両が減速中の場合S3の処理へ移る。
【0038】
S3では、速度メータ4により電源制御装置3へと送信された車両の車速Xが判定される。車速Xが下第2規定値T2L以上の場合、第1電気開閉部群10Xにあたるスライドドア10a、バックドア10c、クローザー10b、トランクオープナ10d及び第2電気開閉部群10Yにあたるパワーウインドウ10e、サンルーフ10fの全ての電源がOFF状態を維持する。
【0039】
S3において、車速Xが下第2規定値T2L未満の場合、S4の処理へ移る。S4では、第2電気開閉部群10Yにあたるパワーウインドウ10e、サンルーフ10fの電源はONとなり、バッテリ2からの電力が通電される。
【0040】
さらに減速中において、S5において車速Xが判定される。車速Xが下第1規定値T1L未満の場合、S6の処理へ移る。S6では、第1電気開閉部群10Xにあたるスライドドア10a、バックドア10c、クローザー10b、トランクオープナ10dの電源はONとなり、バッテリ2からの電力が通電される。
【0041】
S5において車速Xが下第1規定値T1L以上の場合、第1電気開閉部群10Xにあたるスライドドア10a、バックドア10c、クローザー10b、トランクオープナ10dの電源はOFF状態が維持される。
【0042】
また、S2において車両が加速中の場合S7の処理へ移る。
【0043】
S7では、速度メータ4により電源制御装置3へと送信された車両の車速Xが判定される。車速Xが上第1規定値T1U未満の場合、第1電気開閉部群10Xにあたるスライドドア10a、バックドア10c、クローザー10b、トランクオープナ10dの電源はONが維持される。
【0044】
S7において、車速Xが上第1規定値T1U以上の場合、S8の処理へ移る。S8では、第1電気開閉部群10Xにあたるスライドドア10a、バックドア10c、クローザー10b、トランクオープナ10dのそれぞれの開閉部について開閉の判定処理が行われる。具体的な判定処理S100〜S107については図4(a)で説明する。
【0045】
さらに加速中において、S9において車速Xが判定される。車速Xが上第2規定値T2U未満の場合、第2電気開閉部群10Yにあたるパワーウインドウ10e、サンルーフ10fの電源はONが維持される。
【0046】
S9において、車速Xが上第2規定値T2U以上の場合、S10の処理へ移る。S10では、第2電気開閉部群10Yにあたるパワーウインドウ10e、サンルーフ10fのそれぞれの開閉部について開閉の判定処理が行われる。具体的な判定処理S200〜S203については図4(b)で説明する。
【0047】
図4(a)により、S8の第1電気開閉部群10Xの開閉の判定処理について具体的に説明する。S100において、半開き感知装置6によりスライドドア10aの開閉状態が感知される。スライドドア10aが閉鎖されていれば、S101の処理へ移行し、スライドドア10aの電源がOFFとなる。また、スライドドア10aが開いていれば、電源はOFFとされないまま次の処理(S102)へ移行する。
【0048】
S102においても、半開き感知装置6によりバックドア10cの開閉状態が感知される。バックドア10cが閉鎖されていれば、S103の処理へ移行し、バックドア10cの電源がOFFとなる。また、バックドア10cが開いていれば、電源はOFFとされないまま次の処理(S104)へ移行する。
【0049】
ここで、S100〜S103の処理は図6(a)に示すようにミニバン型の車両100に車両用制御装置1が設置されている場合を想定しているが、車種によって複数の開閉部10は種々に変更可能である。
【0050】
またS104では、半開き感知装置6によりクローザー10bの開閉状態が感知される。クローザー10bが閉鎖されていれば、S105の処理へ移行し、クローザー10bの電源がOFFとなる。また、クローザー10bが開いていれば、電源はOFFとされないまま次の処理(S106)へ移行する。
【0051】
S106においても、半開き感知装置6によりトランクオープナ10dの開閉状態が感知される。トランクオープナ10dが閉鎖されていれば、S107の処理へ移行し、トランクオープナ10dの電源がOFFとなる。また、トランクオープナ10dが開いていれば、電源はOFFとされないまま判定が終了する。
【0052】
ここで、S104〜S107の処理は図6(b)に示すようにセダン型の車両100’に車両用制御装置1が設置されている場合を想定しているが、車種によって複数の開閉部10は種々に変更可能である。
【0053】
次に、S10の第2電気開閉部群10Yの開閉の判定処理について具体的に説明する。S200において、半開き感知装置6によりパワーウインドウ10eの開閉状態が感知される。パワーウインドウ10eが閉鎖されていれば、S201の処理へ移行し、パワーウインドウ10eの電源がOFFとなる。また、パワーウインドウ10eが開いていれば、電源はOFFとされないまま次の処理(S202)へ移行する。
【0054】
S202においても、半開き感知装置6によりサンルーフ10fの開閉状態が感知される。サンルーフ10fが閉鎖されていれば、S203の処理へ移行し、サンルーフ10fの電源がOFFとなる。また、サンルーフ10fが開いていれば、電源はOFFとされないまま判定が終了する。
【0055】
次に、図5により速度で見た場合の車両用制御装置1の処理を示す。S300では、イグニッション(IG)のON/OFFが判断される。イグニッションがOFFの場合、複数の電気開閉部10の制御に必要な車両のバッテリ2からの電力が供給されないので処理が終了となる。イグニッションがONの場合、S301へ移行する。
【0056】
S301では、速度メータ4により電源制御装置3へと送信された車両の車速Xが判定される。車速Xが0以上で下第1規定値T1L未満の場合、S302へ移行し、第1電気開閉部群10Xにあたるスライドドア10a、バックドア10c、クローザー10b、トランクオープナ10dの電源がONとなり、バッテリ2からの電力が通電される。
【0057】
S301において、車速Xが下第1規定値T1L以上、上第1規定値T1U未満の場合(言い換えれば第1規定値T1の場合)、電源状態が維持される。
【0058】
S301において、車速Xが上第1規定値T1U以上、下第2規定値T2L未満の場合、図4(a)におけるS8の開閉判定処理へ移行する。さらに、その場合は、S303へ移行し、第2電気開閉部群10Yの電源がONとなる。
【0059】
S301において、車速Xが下第2規定値T2L以上、上第2規定値T2U未満の場合(言い換えれば第2規定値T2の場合)、電源状態が維持される。
【0060】
S301において、車速Xが上第2規定値T2U以上の場合、図4(b)におけるS10の開閉判定処理へ移行する。
【実施例2】
【0061】
上記に示すように半開き感知装置5により、複数の電気開閉部10の半開き状態が感知されるようになっているが、図7に示すように電源制御装置3に自動閉鎖機構30を含む構成となる車両用制御装置1’としてもよい。
【0062】
自動閉鎖機構30は、半開き感知装置5からの半開き情報に基づいて複数の電気開閉部10のうち、第1規定値T1、第2規定値T2以上になっても未だに閉鎖されてない開閉部を自動的に閉鎖することができる。そして、それらの閉鎖されていない開閉部を確実に閉鎖した後に、バッテリ2からの電源供給を遮断する構成とすることができる。
【0063】
このように、自動閉鎖機構30が機能することによって第1規定値T1、第2規定値T2以上の速度になった場合に開閉部が開いていても確実に開閉部を閉鎖した後にバッテリ2からの電源供給が遮断されるため、より安全な車両制御装置1’を提供することができる。
【0064】
また、半開き感知装置5の半開き情報が警告表示装置7に送られる構成としてもよい。警告表示装置7は、半開き感知装置5からの半開き情報により、車両の例えば表示パネル等に半開き情報を表示させ、車両運転者に警告することができる。この半開き情報は、車両全体の一部の開閉部が閉まっていないときに全体を警告するものとしても良いが、好ましくは車両全体の中で具体的に閉鎖されていない開閉部について警告することで、車両運転者はその部分のみを閉鎖することができる。
【0065】
そして、車両運転者がその警告情報に基づいて、複数の電気開閉部10のうち閉鎖されていない開閉部を閉鎖することにより、バッテリ2からの電源供給を遮断するようにすることができる。さらに、警告表示装置7と自動閉鎖機構30を組合せて警告表示した後に自動的に開放されている開閉部が閉鎖されるようにしてもよい。このような構成とすることで、より安全で省電力にも寄与することが可能な車両制御装置1’とすることができる。
【0066】
また、上記に示した複数の電気開閉部10は、車種によって様々に変更が可能であり、数種類を組み合わせることも可能である。このように車種によって異なる制御を行うことで、より安全で省電力となる車両制御装置とすることができる。
【0067】
なお、説明を省略したが、実施例1においては、スライドドア10a、クローザー10bのような乗降用開閉部10Aに、自動閉鎖機構30が備えられている場合もある。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用制御装置
2 バッテリ(車両の電源)
3 電源制御装置
4 速度メータ(速度検出装置)
5 半開き感知装置
10 複数の電気開閉部
10A 乗降用開閉部
10B 積降用開閉部
10C 換気用開閉部
10X 第1電気開閉部群
10Y 第2電気開閉部群
T1 第1規定値
T1L 下第1規定値
T1U 上第1規定値
T2 第2規定値
T2L 下第2規定値
T2U 上第2規定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電源からの電力供給により開閉動作を行う複数の電気開閉部と、
前記複数の電気開閉部の作動に必要な電力の供給を制御する電源制御装置と、
走行中の車両の速度を検出する速度検出装置と、を備え、
前記複数の電気開閉部は第1電気開閉部群と第2電気開閉部群とからなり、
前記電源制御装置は、前記第1電気開閉部群の制御に際しては、前記速度検出装置によって検出される速度が第1規定値以上の場合に、前記電源から供給する電力を遮断する一方、前記第2電気開閉部群の制御に際しては、前記速度検出装置によって検出された速度が前記第1規定値よりも大きな第2規定値以上の場合に、前記電源から供給する電力を遮断することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記第1規定値及び前記第2規定値は、上下に一定の幅を持った規定値で構成され、
上第1規定値及び上第2規定値は、前記速度検出装置によって検出される速度が上昇時に、電力を遮断する規定値であり、
下第1規定値及び下第2規定値は、前記速度検出装置によって検出される速度が下降時に、電力を通電する規定値である請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記第1電気開閉部群は、車両へ人が乗り降りのするための開閉部からなる請求項1又は2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記第1電気開閉部群は、車両への荷物の積降のための開閉部からなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記第2電気開閉部群は、車両内空気と車両外空気とを換気するための開閉部からなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記第1電気開閉部群及び前記第2電気開閉部群は、半開きを感知する半開き感知装置により半開き状態が感知されており、前記第1電気開閉部群及び前記第2電気開閉部群が半開き状態のままで前記第1規定値または前記第2規定値以上の速度になった場合には、前記第1電気開閉部群及び前記第2電気開閉部群が完全に閉鎖された状態になった後に、前記電源から供給する電力が遮断される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−218452(P2012−218452A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82420(P2011−82420)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】