説明

車両用灯具

【課題】複数個の発光部の配列において多少のばらつきがあっても、配光パターンの適正な配光制御を行うことができ、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインを得ることができることが重要である。
【解決手段】この発明は、取付部材4の開口部400の周縁部には、複数個の発光チップ200の配列方向と平行もしくはほぼ平行なエッジ405を有し、かつ、複数個の発光チップ200の一部を複数個の発光チップ200の配列方向に対して鉛直もしくはほぼ鉛直な方向において覆って、複数個の発光チップ200から放射される光の一部を遮蔽する遮光部404が、設けられている。この結果、この発明は、複数個の発光チップ200の配列において多少のばらつきがあっても、配光パターンPの適正な配光制御を行うことができ、かつ、配光パターンPの明瞭なカットオフラインCLを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とする車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、複数個の発光部が一方向に配列されている発光素子と、発光素子の複数個の発光部からの光の一部を上縁において遮る遮光部材と、発光素子と遮光部材とを支持する支持部材と、から構成されているものである。
【0003】
かかる車両用灯具においては、複数個の発光部の配列において、複数個の発光部の配列方向に対して鉛直(垂直)もしくはほぼ鉛直(垂直)方向にばらつき(位置誤差)があると、配光パターンの適正な配光制御を行うことが難しく、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインを得ることが難しくなる。
【0004】
そこで、前記の従来の車両用灯具は、遮光部材の上縁により、複数個の発光部の配列において多少のばらつき(位置誤差)があっても、配光パターンの適正な配光制御を行うことができ、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインを得ることができる。
【0005】
かかる車両用灯具においては、複数個の発光部の配列において多少のばらつき(位置誤差)があっても、配光パターンの適正な配光制御を行うことができ、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインを得ることができることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−84876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする問題点は、この種の車両用灯具においては、複数個の発光部の配列において多少のばらつき(位置誤差)があっても、配光パターンの適正な配光制御を行うことができ、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインを得ることができることが重要である、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源を保持部材と取付部材との間に挟み込んだ状態で、取付具を取付部材を介して保持部材に取り付けることにより、半導体型光源が保持部材と取付部材との間に固定される車両用灯具であって、半導体型光源が、本体部と、本体部の一面に設けられていて、かつ、複数個の発光チップが一方向に配列されている発光部と、から構成されていて、保持部材には、半導体型光源の本体部の他面が載置する載置面が、設けられていて、取付部材の半導体型光源の発光部に対応する箇所には、開口部が設けられていて、取付部材の開口部の周縁部には、半導体型光源の本体部の一面を保持部材の載置面側に押える押え面と、複数個の発光チップの配列方向と平行もしくはほぼ平行なエッジを有し、かつ、複数個の発光チップの一部を複数個の発光チップの配列方向に対して鉛直もしくはほぼ鉛直な方向において覆って、複数個の発光チップから放射される光の一部を遮蔽する遮光部とが、それぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、遮光部のエッジが複数個の発光チップに近接している、ことを特徴とする。
【0010】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、半導体型光源の本体部と取付部材とには、半導体型光源の本体部の一面に取付部材の押え面を載置する際の位置決めを行い、かつ、半導体型光源の本体部と取付部材との相対位置の微調整を行う位置決め部がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、遮光部のエッジにより、複数個の発光チップの配列において多少のばらつき(位置誤差)があっても、配光パターンの適正な配光制御を行うことができ、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインを得ることができる。しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、取付部材の押え面が半導体型光源の本体部の一面を保持部材の載置面側に押えると、半導体型光源の本体部の一面と取付部材の押え面とが確固に当接し、かつ、半導体型光源の本体部の他面と保持部材の載置面とが確固に当接している状態で、半導体型光源が取付部材と保持部材との間に挟み込まれて固定されている。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、車両の振動に対して十分に耐えられるように、半導体型光源が保持部材に取付部材を介して確実に固定することができると共に、半導体型光源の複数個の発光チップと取付部材の遮光部のエッジとの相対位置を高精度に保つことができるので、配光パターンの適正な配光制御を確実に行うことができ、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインを確実に得ることができる。
【0012】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、遮光部のエッジを複数個の発光チップに近接させるので、半導体型光源の複数個の発光チップと取付部材の遮光部のエッジとの相対位置をさらに高精度に保つことができ、配光パターンの適正な配光制御をさらに確実に行うことができ、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインをさらに確実に得ることができる。
【0013】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、位置決め部により、半導体型光源の本体部と取付部材との相対位置の微調整を行うことができるので、複数個の発光チップの配列のばらつき(位置誤差)の程度に応じて対応することができ、半導体型光源の複数個の発光チップと取付部材の遮光部のエッジとの相対位置をさらに高精度に保つことができ、配光パターンの適正な配光制御をさらに確実に行うことができ、かつ、配光パターンの明瞭なカットオフラインをさらに確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施例を示す要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、取付具)の分解斜視図である。
【図2】図2は、同じく、要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、取付具)の取付状態すなわち半導体型光源を保持部材に載置した状態を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、同じく、要部(半導体型光源、保持部材、取付部材、取付具)の取付状態を示す平面図である。
【図4】図4は、同じく、図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、同じく、図3におけるIV−IV線断面図の分解断面図である。
【図6】図6は、同じく、図3におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図7は、同じく、図3におけるVI−VI線断面図の分解断面図である。
【図8】図8は、同じく、車両用灯具を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図9】図9は、同じく、複数個の発光チップと遮光部との相対関係を示す説明図である。
【図10】図10は、同じく、水平カットオフラインおよび斜めカットオフラインを有するすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。なお、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用灯具を車両(自動車)に取り付けた際の車両の「上、下、前、後、左、右」である。
【実施例】
【0016】
(構成の説明)
以下、この実施例における車両用灯具の構成について説明する。なお、図3においては、保持部材3を省略してある。
【0017】
図8中、符号1は、この実施例における車両用灯具(たとえば、ヘッドランプなどの自動車用前照灯)である。前記車両用灯具1は、半導体型光源(たとえばLEDモジュール)2と、保持部材(たとえば、ベースやホルダ)3と、取付部材(たとえば、カバーやカバー部材)4と、取付具この例としてはスクリュー5と、リフレクタ6と、ヒートシンク7と、図示しないランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0018】
前記半導体型光源2および前記保持部材3および前記取付部材4および前記スクリュー5および前記リフレクタ6および前記ヒートシンク7は、ランプユニットを構成する。前記ランプユニット2、3、4、5、6、7は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット2、3、4、5、6、7以外に、フォグランプ、コーナリングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニットが配置されている場合がある。
【0019】
前記半導体型光源2は、発光部としての基板20と、本体部としての熱伝導部材21および絶縁部材22と、2個のターミナル(端子)23と、から構成されている。前記基板20と、前記熱伝導部材21と、前記絶縁部材22と、前記ターミナル23とは、一体に組み込まれている。
【0020】
前記基板20は、長方形の板形状をなす。前記基板20の一面(上面)には、発光チップ200と、2個の電極201と、前記電極201から前記発光チップ200に電流を供給制御する回路や部品など(図示せず)と、がそれぞれ実装されている。前記基板20の一面には、封止部材(図示せず)が施されている。なお、前記封止部材は、少なくとも、前記電極201に施されていれば良い。前記発光チップ200は、複数個(この例では、4個)の正方形のチップを一方向に配列してなるものである。前記複数個の発光チップ200の配列方向は、前記車両用灯具1の光の照射方向(図9中の実線矢印方向)に対して直交もしくはほぼ直交している。
【0021】
前記熱伝導部材21は、たとえば、熱伝導率が高い金属部材もしくは樹脂部材から構成されている。前記熱伝導部材21は、図4、図5に示すように、断面逆T字形状をなす。一方、前記絶縁部材22は、絶縁性の部材から構成されている。前記絶縁部材22は、直方体形状をなす。前記熱伝導部材21と前記絶縁部材22とは、インサート成形などにより一体に構成されている。
【0022】
前記熱伝導部材21の一面(上面)と前記絶縁部材22の一面(上面)とは、面一である。前記熱伝導部材21の一面は、前記基板20の一面よりも一回り大きい長方形をなしていて前記絶縁部材22の一面の中央に位置する。前記熱伝導部材21の一面には、前記基板20の他面(下面)が接着剤など(図示せず)により固定されている。
【0023】
前記熱伝導部材21の他面(下面)と前記絶縁部材22の他面(下面)とは、面一である。前記熱伝導部材21の他面は、図6〜図8に示すように、前記絶縁部材22の他面の中間部に位置する。
【0024】
前記絶縁部材22の一端部(前端部)の両側(左右両側)には、小長円形の第1位置決め孔部221が、前記絶縁部材22の一面、他面に対して垂直方向に設けられている。また、前記絶縁部材22の一端部の中央と他端部(後端部)の両側(左右両側)とには、小円形の第2位置決め孔部222が、前記絶縁部材22の一面、他面に対して垂直方向に設けられている。
【0025】
前記ターミナル23は、前記絶縁部材22の他端部の中央にインサート成形などにより一体に構成されている。前記ターミナル23の一端部は、上側に湾曲して、前記基板20の前記電極201にそれぞれ電気的に接続されている。また、前記ターミナル23の中間部は、図6〜図8に示すように、前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22中に垂直状態で収納されている。さらに、前記ターミナル23の他端部は、図6〜図8に示すように、水平に折り曲げられていて、前記絶縁部材22の他端部の中央と共にコネクタ部を構成する。前記コネクタ部は、電源側のコネクタ(図示せず)を着脱可能に取り付けることにより電源側と電気的に接続するものである。なお、前記ターミナル23の他端部にハーネス(図示せず)の一端を電気的に接続し、前記ハーネスの他端に光源側のコネクタ(図示せず)を電気的に接続し、前記光源側のコネクタに電源側のコネクタ(図示せず)を着脱可能に取り付けることにより電源側と電気的に接続するものであっても良い。
【0026】
前記保持部材3は、たとえば、熱伝導率が高い金属部材もしくは樹脂部材から構成されている。前記保持部材3は、平板形状をなす。前記保持部材3の一面(上面)の中央には、載置面30が設けられている。前記保持部材3の前記載置面30の一端部(前端部)の両側(左右両側)には、小長円形の第1位置決め凸部31が、前記保持部材3の前記載置面30に対して垂直方向にかつ前記第1位置決め孔部221に対応して一体に突設されている。
【0027】
前記保持部材3のうち前記スクリュー5ねじ込まれる箇所、すなわち、前記載置面30より外れた箇所であって前記載置面30の中間の両側(左右両側)には、前記載置面30よりも突出する凸部32が一体に設けられている。前記凸部32には、透孔もしくはねじ孔が設けられている。
【0028】
前記取付部材4は、たとえば、光を散乱(乱反射)させ、もしくは、光を吸収する部材あるいは反射率が低い部材から構成されている。前記取付部材4は、覆い部40と、前記覆い部40の両側(左右両側)に一体に設けられている取付部41と、から構成されている。前記覆い部40は、前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の一面の殆どの部分を覆い、かつ、前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の両側面(左右両側面)を挟み込む逆凹形状をなす。
【0029】
前記覆い部40の中央部であって前記半導体型光源2の前記基板20に対応する箇所には、開口部400が設けられている。前記開口部400は、前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の一面に露出する前記熱伝導部材21の一面よりも一回り小さくかつ前記基板20よりも一回り大きい長方形をなしている。
【0030】
前記覆い部40の前記開口部400の周縁部であって前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の一面と対向する面には、前記半導体型光源2の前記絶縁部材22の一面を前記保持部材3の前記載置面30側に押える押え面401が、設けられている。
【0031】
前記覆い部40の前記開口部400の周縁部のうち、前記車両用灯具1の光の照射方向(図9中の実線矢印方向)側の周縁部には、遮光部404が一体に設けられている。前記遮光部404は、図9に示すように、前記複数個の発光チップ200の一部(前記車両用灯具1の光の照射方向側の端部)を前記複数個の発光チップ200の配列方向に対して鉛直(垂直)もしくはほぼ鉛直(垂直)な方向において覆うものである。前記遮光部404は、前記複数個の発光チップ200から放射される光の一部を遮蔽するものである。
【0032】
前記遮光部404は、前記複数個の発光チップ200の配列方向と平行もしくはほぼ平行なエッジ405を有するものである。前記遮光部404の前記エッジ405は、前記複数個の発光チップ200に近接している。前記遮光部404の前記エッジ405は、前記遮光部404の下面(前記複数個の発光チップ200と対向する面)と、前記遮光部404の後面(前記複数個の発光チップ200からの光の放射方向に傾斜する傾斜面)との角部に形成されている。
【0033】
前記覆い部40の前記押え面401の一端部(前端部)の中央と他端部(後端部)の両側(左右両側)とには、小円形の第2位置決め凸部402が、前記覆い部40の前記押え面401に対して垂直方向にかつ前記第2位置決め孔部222に対応して一体に突設されている。前記第2位置決め凸部402の外径は、前記第2位置決め孔部222の内径よりも若干小さい。この結果、前記第2位置決め凸部402と前記第2位置決め孔部222とからなる位置決め部は、前記半導体型光源2の前記本体部21および22の前記一面に前記取付部材4の前記押え面401を載置する際の位置決めを行い、かつ、前記半導体型光源2の前記本体部21および22と前記取付部材4との相対位置の微調整を行うものである。
【0034】
前記覆い部40の前記開口部400の周縁部であって前記半導体型光源2の前記ターミナル23に対応する部分403は、立ち上がった形状をなす。前記立ち上がり部分403は、上側に湾曲する前記ターミナル23の一端部から避けるものである。2個の前記取付部41には、円形の透孔410が前記保持部材3の前記凸部32に対応して設けられている。
【0035】
以下、前記半導体型光源2を前記保持部材3と前記取付部材4との間に挟み込んで固定する工程について説明する。
【0036】
まず、前記保持部材3の前記載置面30上に前記半導体型光源2の本体部すなわち前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の他面を載置する。このとき、前記保持部材3の前記第1位置決め凸部31と前記半導体型光源2の前記第1位置決め孔部221とが相互に嵌合して、前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の他面が前記保持部材3の前記載置面30の所定の位置に位置決めされた状態で載置される(図1、図2、図5、図7参照)。
【0037】
つぎに、前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の一面に前記取付部材4の前記覆い部40の前記押え面401を載置する。このとき、前記前記半導体型光源2の前記第2位置決め孔部222と前記取付部材4の前記第2位置決め凸部402とが相互に嵌合して、前記取付部材4の前記覆い部40の前記押え面401が前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の一面の所定の位置に位置決めされた状態で載置される(図2、図4、図6参照)。
【0038】
すなわち、前記取付部材4の前記覆い部40の前記開口部400が前記半導体型光源2の発光部すなわち前記基板20に位置する。また、前記取付部材4の前記取付部41が前記保持部材3の前記凸部32に位置する。
【0039】
ここで、前記第2位置決め凸部402の外径が前記第2位置決め孔部222の内径よりも若干小さいので、前記半導体型光源2の前記本体部21および22と前記取付部材4との相対位置の微調整を行うことができる。前記微調整は、図9に示すように、前記複数個の発光チップ200のばらつき(位置誤差)、特に、前記複数個の発光チップ200の配列方向に対して直交もしくはほぼ直交する方向のばらつき(位置誤差)を吸収するために、前記遮光部404の前記エッジ405の位置を、前記複数個の発光チップ200のうち、前記車両用灯具1の光の照射方向(図9中の実線矢印方向)に最も低い発光チップ200(図9中の左から2個の発光チップ200)の縁に合わせるものである。なお、前記微調整は、前記複数個の発光チップ200を点灯発光させて図10に示す水平カットオフラインCLおよび斜めカットオフラインCLを有するすれ違い用配光パターンPをスクリーンに照射させて行っても良い。
【0040】
前記微調整が完了してから、取付具すなわち前記スクリュー5を、前記取付部材4の前記取付部41の前記透孔410中に挿通させて前記保持部材3の前記凸部32の透孔もしくはねじ孔にねじ込む。すると、図4中の実線矢印に示すように、前記取付部材4の前記覆い部40の前記押え面401が前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の一面を前記保持部材3の前記載置面30側に押える。この結果、前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の一面と前記取付部材4の前記覆い部40の前記押え面401とが確固に当接し、かつ、前記半導体型光源2の本体部の前記熱伝導部材21および前記絶縁部材22の他面と前記保持部材3の前記載置面30とが確固に当接する。この状態で、前記半導体型光源2が前記取付部材4と前記保持部材3との間に挟み込まれて固定されることとなる。
【0041】
このとき、図4に示すように、前記保持部材3と前記取付部材4との間には、隙間8が形成されている。すなわち、前記保持部材3のうち前記半導体型光源2が載置されている前記載置面30以外の面であって、前記保持部材3の前記凸部32の一面(上面)と、前記取付部材4のうち前記半導体型光源2を押える前記押え面401以外の面であって、前記取付部材4の前記取付部41の他面(下面)との間には、前記隙間8が形成されている。
【0042】
前記リフレクタ6は、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記リフレクタ6は、前部分と下部分とが開口し、その他の部分(上部分、後部分、左右両側部分)が閉塞した形状をなす。前記リフレクタ6の内面には、反射面60が設けられている。前記反射面60は、前記半導体型光源2の前記発光チップ200からの光を図10に示す所定の配光パターンすなわち水平カットオフラインCLおよび斜めカットオフラインCLを有するすれ違い用配光パターンPとして前方に反射照射するものである。
【0043】
前記ヒートシンク7は、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記ヒートシンク7は、前部分が平板形状をなし、かつ、中間部分から後部分にかけての部分がフィン形状の放熱部70をなす。前記リフレクタ6および前記ヒートシンク7は、前記保持部材3に取り付けられている。
【0044】
(作用の説明)
以下、この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0045】
車両用灯具1の半導体型光源2の発光チップ200を点灯発光させる。すると、半導体型光源2の発光チップ200から光が放射される。この光は、リフレクタ6の反射面60で反射し、図10に示す、水平カットオフラインCLおよび斜めカットオフラインCLを有するすれ違い用配光パターンPとして車両の前方に照射される。
【0046】
(効果の説明)
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0047】
この実施例における車両用灯具1は、遮光部404のエッジ405により、複数個の発光チップ200の配列において多少のばらつき(位置誤差)、特に、複数個の発光チップ200の配列方向に対して直交もしくはほぼ直交する方向のばらつき(位置誤差)があっても、すれ違い用配光パターンPの適正な配光制御を行うことができ、かつ、すれ違い用配光パターンPの明瞭なカットオフラインCLを得ることができる。
【0048】
しかも、この実施例における車両用灯具1は、取付部材4の覆い部40の押え面401が半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の一面を保持部材3の載置面30側に押えると、半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の一面と取付部材4の覆い部40の押え面401とが確固に当接し、かつ、半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22の他面と保持部材3の載置面30とが確固に当接している状態で、半導体型光源2が取付部材4と保持部材3との間に挟み込まれて固定されている。この結果、この実施例における車両用灯具1は、車両の振動に対して十分に耐えられるように、半導体型光源2が保持部材3に取付部材4を介して確実に固定することができると共に、半導体型光源2の複数個の発光チップ200と取付部材4の遮光部404のエッジ405との相対位置を高精度に保つことができるので、すれ違い用配光パターンPの適正な配光制御を確実に行うことができ、かつ、すれ違い用配光パターンPの明瞭なカットオフラインCLを確実に得ることができる。
【0049】
また、この実施例における車両用灯具1は、遮光部404のエッジ405を複数個の発光チップ200に近接させるので、半導体型光源2の複数個の発光チップ200と取付部材4の遮光部404のエッジ405との相対位置をさらに高精度に保つことができ、すれ違い用配光パターンPの適正な配光制御をさらに確実に行うことができ、かつ、すれ違い用配光パターンPの明瞭なカットオフラインCLをさらに確実に得ることができる。
【0050】
さらに、この実施例における車両用灯具1は、取付部材4の第2位置決め凸部402と半導体型光源2の第2位置決め孔部222とからなる位置決め部により、半導体型光源2の本体部の熱伝導部材21および絶縁部材22と取付部材4との相対位置の微調整を行うことができるので、複数個の発光チップ200の配列のばらつき(位置誤差)、特に、複数個の発光チップ200の配列方向に対して直交もしくはほぼ直交する方向のばらつき(位置誤差)の程度に応じて対応することができ、半導体型光源2の複数個の発光チップ200と取付部材4の遮光部404のエッジ405との相対位置をさらに高精度に保つことができ、すれ違い用配光パターンPの適正な配光制御をさらに確実に行うことができ、かつ、すれ違い用配光パターンPの明瞭なカットオフラインCLをさらに確実に得ることができる。
【0051】
(その他の例)
なお、前記の実施例においては、取付具としてスクリュー5を使用するものである。ところが、この発明においては、取付具としてスクリュー以外のもの、たとえば、弾性係合爪部と係合部との弾性係合(いわゆる、パッチン嵌合)、加締めピンの加締め付け、ボルトナットの取付などを使用しても良い。
【0052】
また、前記の実施例においては、リフレクタ6として固定リフレクタ6を使用するものである。ところが、この発明においては、リフレクタとして、固定リフレクタと可動リフレクタとを使用して、第1配光パターン(たとえば、すれ違い用配光パターンやロービーム配光パターン)と第2配光パターン(たとえば、走行用配光パターンやハイビーム配光パターン)とが切り替えて得られるものであっても良い。
【0053】
さらに、前記の実施例においては、ヘッドランプとして使用するものである。ところが、この発明においては、水平なカットオフラインを有するフォグ用配光パターンを照射するフォグランプ、または、その他のランプ、たとえば、テール・ストップランプ、デイタイムランニングランプ、カーブランプなどに使用しても良い。
【0054】
さらにまた、前記の実施例においては、保持部材3とヒートシンク7とを別体のものを使用するものである。ところが、この発明においては、保持部材とヒートシンクとを一体のものを使用しても良い。
【0055】
さらにまた、前記の実施例においては、第1位置決め部および第2位置決め部として第1位置決め孔部221および第2位置決め孔部222を使用するものである。ところが、この発明においては、第1位置決め部および第2位置決め部として、孔部ではなく凹部でも良い。
【0056】
さらにまた、前記の実施例においては、取付部材4として光を散乱(乱反射)させ、もしくは、光を吸収する部材あるいは反射率が低い部材から構成されているものである。ところが、この発明においては、取付部材として使用する部材を特に限定せずに、取付部材の開口部の周縁部の表面に、光吸収処理を施すようにしても良い。
【0057】
さらにまた、前記の実施例においては、保持部材3の一面(上面)に半導体型光源2を取付部材4およびスクリュー5により取り付けたものである。ところが、この発明においては、保持部材3の両面(上面および下面)に半導体型光源2を取付部材4およびスクリュー5によりそれぞれ取り付けたものであっても良い。
【0058】
さらにまた、前記の実施例においては、半導体型光源2の複数個の発光チップ200から放射される光をリフレクタ6の反射面60で反射させてすれ違い用配光パターンPを照射する、いわゆる、レフタイプ(反射型)の車両用灯具について使用するものである。ところが、この発明においては、プロジェクタタイプの車両用灯具あるいは直射タイプの車両用灯具にも使用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 車両用灯具
2 半導体型光源
20 基板(発光部)
200 発光チップ
201 電極
21 熱伝導部材(本体部)
22 絶縁部材(本体部)
221 第1位置決め孔部
222 第2位置決め孔部
23 ターミナル
3 保持部材
30 載置面
31 第1位置決め凸部
32 凸部
4 取付部材
40 覆い部
400 開口部
401 押え面
402 第2位置決め凸部
403 立ち上がり部分
404 遮光部
405 エッジ
41 取付部
410 透孔
5 スクリュー(取付具)
6 リフレクタ
60 反射面
7 ヒートシンク
70 放熱部
8 隙間
P すれ違い用配光パターン
CL 水平カットオフラインおよび斜めカットオフライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源を光源とする車両用灯具において、
半導体型光源と、保持部材と、取付部材と、取付具と、を備え、
前記半導体型光源を前記保持部材と前記取付部材との間に挟み込んだ状態で、前記取付具を前記取付部材を介して前記保持部材に取り付けることにより、前記半導体型光源が前記保持部材と前記取付部材との間に固定される車両用灯具であって、
前記半導体型光源は、本体部と、前記本体部の一面に設けられていて、かつ、複数個の発光チップが一方向に配列されている発光部と、から構成されていて、
前記保持部材には、前記半導体型光源の前記本体部の他面が載置する載置面が、設けられていて、
前記取付部材の前記半導体型光源の前記発光部に対応する箇所には、開口部が設けられていて、
前記取付部材の前記開口部の周縁部には、前記半導体型光源の前記本体部の前記一面を前記保持部材の前記載置面側に押える押え面と、前記複数個の発光チップの配列方向と平行もしくはほぼ平行なエッジを有し、かつ、前記複数個の発光チップの一部を前記複数個の発光チップの配列方向に対して鉛直もしくはほぼ鉛直な方向において覆って、前記複数個の発光チップから放射される光の一部を遮蔽する遮光部とが、それぞれ設けられている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記遮光部の前記エッジは、前記複数個の発光チップに近接している、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記半導体型光源の前記本体部と前記取付部材とには、前記半導体型光源の前記本体部の前記一面に前記取付部材の前記押え面を載置する際の位置決めを行い、かつ、前記半導体型光源の前記本体部と前記取付部材との相対位置の微調整を行う位置決め部がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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