説明

車両用灯具

【課題】組立作業を簡便に行うとともに、車両本体との接続を容易に行う。
【解決手段】車両用灯具1は、LED9,…が実装されたプリント基板4と、プリント基板4と電気的に接続されるとともにピン61,…を有するメタル基板6,…と、メタル基板6,…を保持するとともに、ピン61,…が挿通される挿通孔52,…を有するブラケット5と、前後方向に貫通する貫通孔21を有するとともに、その後面のうち貫通孔21の周縁にソケット部22が立設されたハウジング2とを備える。ブラケット5とハウジング2とは、挿通孔52,…に前方から挿通されたピン61,…を貫通孔21に挿通させてソケット部22の内部で後方向きに立設させた状態で、固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用ヘッドランプなどの車両用灯具として、光源にLED(発光ダイオード)を用いたものが知られている。この種の車両用灯具では、灯室内に収容されたLEDが、ハウジングの後面に取り付けられたカプラーを介して車両本体と電気的に接続される構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような車両用灯具において、LEDとカプラーとを接続する際には、図4に示すように、まず、LED91を含む灯室内の部品がエクステンションユニット90としてユニット化される。具体的には、メタル基板92に取り付けられたLED91をエクステンション93と共にブラケット94の前面に固定したうえで、ブラケット94の後面にねじで締結固定されたプリント基板95とLED91とを配線コード96を介して接続することによって、エクステンションユニット90が組み立てられる。
【0004】
そして、図5及び図6に示すように、カプラー97から延びるカプラーケーブル98をハウジング99の貫通孔99aに後方から挿通させたうえで、カプラーケーブル98を通したグロメット98aを貫通孔99aに圧入し、当該カプラーケーブル98先端のコネクタ98bをプリント基板95の接続端子95aに接続する。こうして、エクステンションユニット90のLED91とカプラー97とが電気的に接続される。その後、エクステンションユニット90をハウジング99に仮固定した状態で、カプラーケーブル98をハウジング99の後面のコードクランプ99bに這い回すとともにタイラップ98cで抑え、カプラー97をハウジング99の後面に取り付ける。そして最後に、エクステンションユニット90とハウジング99とをねじで締結固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−34899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の車両用灯具では、灯室内でのカプラーケーブル98の遊び(たるみ)をなくすために、コネクタ98bをプリント基板95に接続した後に、カプラーケーブル98を灯室外(ハウジング99の後側)から引張りつつエクステンションユニット90をハウジング99に固定しなければならず、組立作業が煩雑なものになっていた。
【0007】
また、カプラー97は、強固に固定するためにハウジング99の後面に沿った状態で取り付けられるところ、この状態ではカプラー97の接続端子97aが側方に開口するため、当該接続端子97aの接続相手である車両本体のコネクタを挿しにくいという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、従来に比べ、組立作業を簡便に行うとともに、車両本体との接続を容易に行うことができる車両用灯具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
車両本体のコネクタが接続される接続端子を有する車両用灯具において、
LEDと電気的に接続されたプリント基板と、
前記プリント基板と電気的に接続されるとともに、前記接続端子のピンを有する金属部材と、
前記金属部材を保持するとともに、前記ピンが挿通される挿通孔を有する保持部材と、
前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、その後面のうち前記貫通孔の周縁に、前記コネクタを支持するための前記接続端子のソケット部が立設されたハウジングと、
を備え、
前記保持部材と前記ハウジングとが、前記挿通孔に前方から挿通された前記ピンを前記貫通孔に挿通させて前記ソケット部の内部で後方向きに立設させた状態で、固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用灯具において、
前記金属部材及び前記保持部材がユニット化されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用灯具において、
前記プリント基板と前記金属部材とを電気的に接続する配線コードと、
前記プリント基板及び前記保持部材を保持するエクステンションと、
を備え、
前記プリント基板,前記金属部材,前記保持部材,前記配線コード及び前記エクステンションがユニット化されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プリント基板と電気的に接続された金属部材が、ピンを挿通孔に前方から挿通させた状態で保持部材に保持され、この保持部材とハウジングとが、ピンをハウジングの貫通孔に挿通させつつ当該貫通孔の周縁のソケット部の内部で後方向きに立設させた状態で固定されているので、プリント基板を介してLEDと電気的に接続されたピンがソケット部の内部に立設されてなる接続端子を、ハウジングの後面に開口させることができる。
【0013】
ここで、保持部材とハウジングとを固定するときには、ピンを貫通孔に挿通させることだけに注意すればよく、接続端子に相当するカプラーをハウジングの後面に取り付けていた従来と異なり、灯室内(ハウジング内)でのカプラーケーブルの遊びをなくすために、カプラーケーブルを灯室外から引張りつつ灯室内の部品とハウジングとを固定する必要がない。したがって、従来に比べ、組立作業を簡便に行うことができる。
【0014】
また、接続端子が、後方に開口した状態でハウジングの後面に形成されるので、カプラーの接続端子が側方に開口していた従来と異なり、接続端子の接続相手である車両本体のコネクタを後方から容易に挿し込むことができる。したがって、従来に比べ、車両本体との接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態における車両用灯具の後部を斜め後方から見た斜視図である。
【図2】実施形態における車両用灯具の要部の分解斜視図である。
【図3】実施形態におけるエクステンションユニットの分解斜視図である。
【図4】従来のエクステンションユニットの分解斜視図である。
【図5】従来の車両用灯具の要部の分解斜視図である。
【図6】従来の車両用灯具の後部を斜め後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における車両用灯具1の後部を斜め後方から見た斜視図であり、図2は、車両用灯具1の要部の分解斜視図である。
なお、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、車両用灯具1から見た方向を意味するものとする。
【0017】
図1及び図2に示すように、車両用灯具1は、前方に開口したハウジング2を備えている(図1及び図2ではハウジング2の底部のみを図示)。ハウジング2の後面には、車両本体のコネクタ(図示省略)が接続される接続端子10が設けられている。より正確には、ハウジング2には、接続端子10の構成要素のうち、灯室内外を連通する貫通孔21と、貫通孔21の周縁において車両本体のコネクタを支持するためのソケット部22と、のみが形成されている。貫通孔21は、ハウジング2の底部を前後方向に貫通しており、ソケット部22は、ハウジング2の後面のうち貫通孔21の周縁に立設されている。
【0018】
ハウジング2に覆われた灯室内には、エクステンションユニット(以下、Extユニットという)3が収容されている。ハウジング2とExtユニット3とは、後述するように、接続端子10の構成要素のうちExtユニット3に設けられたピン61,…が、貫通孔21に挿通されてソケット部22の内部で後方向きに立設した状態で、固定されている。ハウジング2とExtユニット3との固定は、3つのねじ11,…をハウジング2の取付孔23,…に挿通させつつ、後述するねじ穴55,55及び突起部71に締結することでなされている。
【0019】
図3は、Extユニット3の分解斜視図である。
この図に示すように、Extユニット3は、プリント基板4と、ブラケット5と、3つのメタル基板6,…と、エクステンション7と、配線コード8とを有している。
このうち、プリント基板4は、その表面に実装された3つのLED9,…を有している。また、プリント基板4の裏面には、LED9,…と電気的に接続された端子41が設けられている。
【0020】
ブラケット5は、略平板状に形成されており、その後面には、ハウジング2の貫通孔21と嵌合する環状の隆起部51が形成されている。隆起部51の内側には、3つの挿通孔52,…が上下方向に沿って並設されている。また、ブラケット5には、上下方向に長尺な3つの接続孔53,…と、2つの取付孔54,54と、2つのねじ穴55,55とが形成されているほか、その後面には、複数のコードクランプ56,…が設けられている。
【0021】
メタル基板6,…は、金属製の基板部材であり、後方へ立設されたピン61と、上下方向に沿って後方へ立設された接続部62とをそれぞれ有している。このうちの接続部62は、より詳細には、略L字状に形成されており、その先端が上方又は下方を向いている。このメタル基板6,…は、それぞれのピン61及び接続部62をブラケット5の挿通孔52及び接続孔53に前方から挿通させた状態で、固定ねじ63,…でブラケット5の前面に締結固定されて当該ブラケット5に保持されている。
【0022】
エクステンション7は、プリント基板4が固定される図示しない固定部と、ブラケット5の2つの取付孔54,54に嵌合される2つの突起部71,71とを有しており、これらによってプリント基板4及びブラケット5を保持している。なお、2つの突起部71,71のうち、一方(上側)の突起部71が、ブラケット5の一方の取付孔54に係止されるのに対し、他方(下側)の突起部71は、ねじ11が締結されるねじ穴を有しており、ブラケット5の他方の取付孔54とハウジング2の取付孔23とに挿通されてねじ11と締結されることで、ブラケット5とハウジング2とを共締めするようになっている(図2参照)。
【0023】
配線コード8は、3本のコードを束ねたコード束であり、その一端側には、プリント基板4の端子41に接続されるコネクタ81が取り付けられている。また、配線コード8の他端側では、3本のコードが分けられており、各コードの先端に、メタル基板6の接続部62に接続される接続棒82が取り付けられている。この配線コード8は、一端側のコネクタ81がプリント基板4の端子41に接続され、他端側の3つの接続棒82,…が3つのメタル基板6,…の接続部62に接続されることで、プリント基板4とメタル基板6,…とを電気的に接続し、ひいてはLED9,…とピン61,…とを電気的に接続する。
【0024】
続いて、車両用灯具1の組立方法について説明する。
【0025】
まず、3つのメタル基板6,…を、それぞれのピン61及び接続部62がブラケット5の挿通孔52及び接続孔53に前方から挿通されるようにブラケット5に取り付け、固定ねじ63,…で当該ブラケット5の前面に締結固定する。こうして、3つのメタル基板6,…とブラケット5とがブラケットAssyとしてユニット化される。
【0026】
次に、このブラケットAssy及びプリント基板4をエクステンション7に固定する。具体的には、プリント基板4をエクステンション7の図示しない固定部に固定するとともに、ブラケット5の2つの取付孔54,54にエクステンション7の2つの突起部71,71を前方から嵌合させる。
【0027】
次に、エクステンション7に固定されたプリント基板4とメタル基板6,…とを配線コード8で電気的に接続する。ここでは、配線コード8一端側のコネクタ81をプリント基板4の端子41に接続するとともに、配線コード8他端側の3つの接続棒82,…を、ブラケット5の接続孔53,…から後方へ突出した3つのメタル基板6,…の接続部62に接続する。そして、配線コード8をブラケット5のコードクランプ56,…に這い回して遊び(たるみ)がないようにする。
こうして、プリント基板4,メタル基板6,…,ブラケット5,配線コード8及びエクステンション7が、Extユニット3としてユニット化される。
【0028】
次に、図1及び図2に示すように、Extユニット3をハウジング2に固定する。具体的には、ブラケット5後面の隆起部51をハウジング2の貫通孔21に前方から嵌めるようにして、Extユニット3をハウジング2に取り付ける。すると、ブラケット5の挿通孔52,…に前方から挿通されたピン61,…が、貫通孔21に挿通されてソケット部22の内部で後方向きに立設された状態となる。こうして、LED9,…と電気的に接続されたピン61,…をソケット部22の内部に立設させてなる接続端子10が形成される。そして、3つのねじ11,…を、ハウジング2の取付孔23,…に挿通させつつ、ブラケット5のねじ穴55,55とエクステンション7の突起部71とに締結して、Extユニット3とハウジング2とを固定する。
【0029】
以上のように、車両用灯具1によれば、LED9,…と電気的に接続されたピン61,…がソケット部22の内部に立設されてなる接続端子10を、ハウジング2の後面に開口させることができる。
ここで、ブラケット5(Extユニット3)とハウジング2とを固定するときには、ピン61,…を貫通孔21に挿通させることだけに注意すればよく、接続端子10に相当するカプラーをハウジングの後面に取り付けていた従来と異なり、灯室内(ハウジング内)でのカプラーケーブルの遊びをなくすために、カプラーケーブルを灯室外から引張りつつ灯室内の部品とハウジングとを固定する必要がない。したがって、従来に比べ、組立作業を簡便に行うことができる。
【0030】
また、接続端子10が、後方に開口した状態でハウジング2の後面に形成されるので、カプラーの接続端子が側方に開口していた従来と異なり、接続端子10の接続相手である車両本体のコネクタを後方から容易に挿し込むことができる。したがって、従来に比べ、車両本体との接続を容易に行うことができる。
【0031】
また、接続端子10に相当するカプラーをハウジングの後面に取り付けていた従来と異なり、ハウジング2の後面にカプラーケーブルを這い回す必要がないので、カプラーケーブルを抑えるタイラップ等が不要となり、部品点数を減らすことができる。
【0032】
また、LED9,…に関連する灯室内の部品(プリント基板4,メタル基板6,…,ブラケット5,配線コード8及びエクステンション7)がExtユニット3としてユニット化されているので、組立作業を一層簡便に行うことができる。
【0033】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0034】
例えば、上記実施形態では、LED9,…がプリント基板4に実装されることとしたが、当該LED9,…は、プリント基板4と電気的に接続されていればよく、例えばコードで接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 車両用灯具
2 ハウジング
21 貫通孔
22 ソケット部
3 エクステンションユニット
4 プリント基板
41 端子
5 ブラケット(保持部材)
51 隆起部
52 挿通孔
53 接続孔
6 メタル基板(金属部材)
61 ピン
62 接続部
7 エクステンション
8 配線コード
81 コネクタ
82 接続棒
9 LED
10 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体のコネクタが接続される接続端子を有する車両用灯具において、
LEDと電気的に接続されたプリント基板と、
前記プリント基板と電気的に接続されるとともに、前記接続端子のピンを有する金属部材と、
前記金属部材を保持するとともに、前記ピンが挿通される挿通孔を有する保持部材と、
前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、その後面のうち前記貫通孔の周縁に、前記コネクタを支持するための前記接続端子のソケット部が立設されたハウジングと、
を備え、
前記保持部材と前記ハウジングとが、前記挿通孔に前方から挿通された前記ピンを前記貫通孔に挿通させて前記ソケット部の内部で後方向きに立設させた状態で、固定されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記金属部材及び前記保持部材がユニット化されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記プリント基板と前記金属部材とを電気的に接続する配線コードと、
前記プリント基板及び前記保持部材を保持するエクステンションと、
を備え、
前記プリント基板,前記金属部材,前記保持部材,前記配線コード及び前記エクステンションがユニット化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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