車両用燃料残量検出装置
【課題】燃料をエンジンへ圧送する燃料ポンプを備えた車両の燃料タンクに設けられ、角度検知装置と、前記角度検知装置の回動軸に固定されるアームと、前記アームの先端に取付けられるフロートとを備えた残量センサと、前記残量センサを支持すると共にそれを燃料タンクに装着する支持部材とからなる車両用燃料残量検出装置において、取り付け取り外しが容易で、かつ汎用性の高い、車両用燃料残量検出装置を提供する。
【解決手段】前記燃料タンクは開口を有し、前記支持部材は前記開口を塞ぐよう燃料タンクに固定される閉塞板と、前記閉塞板から一体的に燃料タンクの内側に向かって形成される起立壁とを備え、前記残量センサは前記角度検知装置を収容する本体ケースを備え、前記本体ケースは前記起立壁に着脱可能に取付けられる。
【解決手段】前記燃料タンクは開口を有し、前記支持部材は前記開口を塞ぐよう燃料タンクに固定される閉塞板と、前記閉塞板から一体的に燃料タンクの内側に向かって形成される起立壁とを備え、前記残量センサは前記角度検知装置を収容する本体ケースを備え、前記本体ケースは前記起立壁に着脱可能に取付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車、自動三輪車、鞍乗型自動四輪車等の車両に用いられる車両用燃料残量検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料の残量を検出するために、例えばフロート式の残量センサを用いることが知られている。このような残量センサは燃料ポンプに取付けて燃料タンク内に配置することが知られているが、燃料タンクの形状等によっては、残量センサを単独で燃料タンク内に配置することもある。(例えば、特許文献1参照。)
このように残量センサを単独で燃料タンク内に配置する場合であっても、燃料ポンプに取付けていた残量センサを利用できるようにして汎用性を持たせることが望まれている。しかしながら、前記従来技術の残量センサは、その汎用性について考慮されていないので、取付け先に合わせてその都度残量センサを取付け先の形状に合わせて設計変更しなければならなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2007−276746号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残量センサと支持部材とからなり、取り付け取り外しが容易で、かつ汎用性の高い、車両用燃料残量検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、
燃料をエンジンへ圧送する燃料ポンプと、燃料タンクとを備え、
角度検知装置と、前記角度検知装置の回動軸に固定されるアームと、前記アームの先端に取付けられるフロートとを備えた残量センサを、前記燃料ポンプと別体で設け、
前記残量センサを前記燃料タンク内に当該タンクの開口を通じて取付けられる車両用燃料残量検出装置において、
前記燃料残量検出装置は、前記残量センサを燃料タンクに着脱可能に固定する支持部材を備え、
当該支持部材は前記開口を塞ぐよう燃料タンクに固定される閉塞板と、前記閉塞板から一体的に燃料タンクの内側に向かって形成される起立壁とを備え、
前記残量センサは前記角度検知装置を収容する本体ケースを備え、
前記本体ケースは前記起立壁に着脱可能に取付けられることを特徴とする車両用燃料残量検出装置に関するものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記本体ケースには前記支持部材の起立壁に取付けるための爪部が設けられ、
前記支持部材は樹脂で構成されると共に、前記支持部材の起立壁には前記爪部が係合する係合孔が設けられることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記支持部材の起立壁にはその剛性を確保するために前記閉塞板から伸びる補強リブが設けられ、
前記補強リブは前記係合孔までの高さの範囲内で形成されることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記補強リブは前記起立壁の両面に設けられることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記起立壁における前記残量センサ取付け面に設けられる補強リブの前記閉塞板方向の長さは、その反対側の面に設けられる補強リブの前記閉塞板方向の長さよりも大きくしてあることを特徴とするものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項4及び請求項5に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記反対側の面に設けられた補強リブは、少なくとも前記本体ケースの下端よりも上側まで伸びて形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記残量センサから伸びると共に支持部材を介して燃料タンク外に延出するハーネスが設けられ、
前記残量センサから上方に起立するハーネス取出し口と、前記支持部材から上方に起立するハーネス取入れ口とが、前記起立壁と平行になるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記ハーネスは、ハーネス取出し口及び取入れ口にカプラによって取付けられ、
前記本体ケースと起立壁とは、複数の爪部及び係合穴により係合され、
前記複数の係合部のうち少なくとも一部の係合部がカプラ又はハーネス取入れ口に対してずらした位置に配置されることを特徴とするものである。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記本体ケースは前記角度検知装置を収容した際に、本体ケース内が密封されるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明において、
前記残量センサを本体ケースに収容し、更に支持部材は、残量センサの挿入口である燃料タンクの開口を塞ぐと共に、残量センサの取付け部材と、燃料タンクへの取付け部材とを兼ねているので、燃料ポンプに取付けていた残量センサを単独で燃料タンク内に配置する場合には、前記支持部材の起立壁に本体ケースを取付けるだけで残量センサを共用することができる。従って、取付け先に合わせた残量センサの設計変更等を不要にでき、汎用性を高めることができるとともに、残量センサを効率的に燃料タンクへ取付けることができる。
【0015】
請求項2の発明において、
支持部材を樹脂で構成することによって、閉塞板と起立壁を一体成形することができ、また、ネジ等を用いることなく、本体ケースの爪部を支持部材の係合孔に係合させるだけで残量センサを取付けることができるので、組立性が向上する。
【0016】
請求項3の発明において、
補強リブの高さを係合孔までの高さ範囲内で形成したので、残量センサが振動等によって揺れる場合であっても、この振動によって起立壁にかかる力を残量センサの係合部に吸収させることができ、閉塞板まで伝えにくくすることができる。従って、閉塞板の耐久性が向上する。
【0017】
請求項4の発明において、
補強リブを起立壁の両面に形成したので、重量物である残量センサを強固に支持することができる。
【0018】
請求項5の発明において、
残量センサが取付けられる面の補強リブの閉塞板方向の長さを、その反対側の面に設けられる補強リブの閉塞板方向の長さよりも大きくしたので、重量物である残量センサに対して、起立壁の耐久性を向上させることができる。
【0019】
請求項6の発明において、
前記反対側の面に設けられた補強リブは、少なくとも前記本体ケースの下端よりも上側まで伸びて形成されているので、残量センサの重量に対して起立壁を強固に支持することができる。
【0020】
請求項7の発明において、
残量センサからのハーネス取出し口と支持部材へのハーネス取入れ口とを起立壁と平行になるようにしたので、ハーネスが起立壁に干渉しにくくなる。また、ハーネス取出し口及びハーネス取入れ口をそれぞれカプラで接続するようにした場合には、カプラを起立壁と平行にできるので、ハーネスの組付けが行い易くなる。
【0021】
請求項8の発明において、
複数の係合部のうち少なくとも一部の係合部がカプラ又はハーネス取入れ口に対してずらした位置に配置されるので、残量センサを起立壁から取外す際に、カプラ及びハーネス取入れ口が邪魔になるのを防ぐことができ、取外しを容易に行うことができる。
【0022】
請求項9の発明において、
本体ケースを密閉構造とすることにより、例えば、アルコール燃料を用いる車両においても、アルコールによる残量センサの角度検知装置の腐食が防止されるので、残量センサの利用が可能となり、利用範囲を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。自動二輪車1の車体フレームはヘッドパイプ2と、同ヘッドパイプ2から斜め後方に延出するメインフレーム3と、メインフレーム3の後端から下方に延出するセンターフレーム4と、ヘッドパイプ2から下方に伸びるダウンフレーム5と、メインフレーム3から後方に延出するシートステー6と、センターフレーム4の下端とシートステー6を結ぶミッドフレーム7と、ダウンフレーム5とメインフレーム3とを結ぶ補強フレーム8と、を備えている。
【0024】
前輪9を支持するフロントフォーク10が、ヘッドパイプ2の中に設けられたステアリングステム(図示なし)とトップブリッジ11とボトムブリッジ12とによって操向可能に支持されている。トップブリッジ11には操向ハンドル13が連結され、トップブリッジ11の前側には、メータ装置14が取付けてある。トップブリッジ11とボトムブリッジ12には、インナーカウル15とフロントカウル16によって覆われたヘッドライト17が取付けてある。ボトムブリッジ12には、前輪9を覆うフロントフェンダ18が取付けられている。また、センターフレーム4の後部には、後輪19を支持するリアフォーク20が上下揺動可能に支持され、シートステー6とリアフォーク20との間にはクッションユニット21が設けられている。
【0025】
エンジン22は、補強フレーム8に設けられたエンジン支持ブラケット23によって、吊り下げ支持されると共に、ダウンフレーム5とセンターフレーム4に設けられたブラケット24、25よって前後を支持されている。エンジン22の動力は、後輪駆動用チェーン26を介して後輪19に伝達される。メインフレーム3には、エンジン22の上方に位置するようにして燃料タンク27が設けられ、シートステー6上には運転者用と同乗者用のタンデム型シート28が取付けられている。エンジンの後部には、吸気ポートに連なるスロットルボディ29とエアクリーナ30が設けられ、エンジン22の前部には、排気ポートから延出する排気管31が設けられ、後方へ伸び、後部のマフラー32に接続されている。
【0026】
センターフレーム4の近傍に燃料ポンプ33が固定され、燃料タンク27の下部から燃料ポンプ33に連なる燃料吸入管34と、燃料ポンプ33から燃料噴射装置(図示なし)に至る燃料吐出管35が設けてある。
【0027】
図2は、前記自動二輪車の燃料タンク27の側面図、図3は図2のIII−III断面図、図4は前記燃料タンク27の下面図である。図3において、燃料タンク27は横断面がほぼ逆U字形の上板部38と、上方へ向かう凸形の嶺部39aを有して、上板部の下部を塞ぐ底板部39とから構成され、両部材は下部で溶接され、全体的に下向きの凹形状に形成されている。以下の説明において、各部材の前後の表現は、各部材を車両に取付けた状態における、車両の前後に対応している。
【0028】
燃料タンク27の底板部39の前部の内側には、燃料タンク27を車体に取付ける際に用いる位置決め部材40が溶接されている。燃料タンク27の底板部39の後部の下部には、燃料タンク27を車体に固定するための、ボルト挿通孔41aを有する車体への取付け部41が設けてある。燃料タンク27の底板部39の中央には平坦部が設けてあり、ここに開口部42(図4)が設けてある。開口部42の周囲部には4本のボルト43(図4)の頭部が溶接されている。この開口部42には、前記ボルト43と、これに螺合するナット44(図5)を介して、後述の車両用燃料残量検出装置47が装着される。燃料タンク27の上部には、燃料注入口45(図2)が設けてある。
【0029】
図5は、前記燃料タンク27に車両用燃料残量検出装置47を装着した状態の側面図である。図6は、図5のVI−VI断面図である。図5の左右部は燃料タンク27の外観、図5の中央部は燃料タンク27の縦断面が示してある。図6において、車両用燃料残量検出装置47は、残量センサ48と支持部材49とからなる装置である。残量センサ48は、燃料タンク27内の燃料の液面レベルを検出して、運転者に燃料の残量を示すための装置であり、本体ケース51に収容された角度検知装置52と、角度検知装置52から延伸する回動軸53に固定されたアーム54と、アーム54の先端に取付けられたフロート55とからなっている。燃料液面の位置に応じて回動軸53が回動し、角度検知装置52によって燃料液面に関する情報が得られる。図5のアーム54とフロート55の位置は、燃料が空の場合の位置A(実線)と、燃料が一杯に注入されている場合の位置B(仮想線)が示してある。
【0030】
図5、図6において、燃料タンク27の開口部42の周囲部には4本のボルト43(図4)の頭部が溶接されている。車両用燃料残量検出装置47の支持部材49は、その一部をなす閉塞板50のボルト挿通孔50a(図9)に挿通された前記ボルト43と、ナット44を介して、開口部42に装着されている。燃料タンク27の底板部39と閉塞板50との間には、O−リング65が介装され、液密に塞がれる。前記残量センサ48には、本体ケース51から伸び支持部材49に接続されるハーネス56が設けてあり、これは、支持部材49内のカプラを介して燃料タンク27の外に延出するハーネス63につながっている。
【0031】
図7は、車両用燃料残量検出装置47の正面図(前から見た図)、図8は図7のVIII矢視図、図9は前記車両用燃料残量検出装置47の上面図、図10は図9のX−X断面図である。車両用燃料残量検出装置47は、残量センサ48と支持部材49とから構成されている。図7において、残量センサ48は角度検知装置52を収容する本体ケース51を備え、本体ケース51の表側(図7の右側)の面から図の右方へ回動軸53が延出し、その回動軸53にアーム54が固定されている。本体ケース51の上部にハーネス取出し口57が設けてある。
【0032】
図7において、支持部材49は、閉塞板50と、前記閉塞板50から、燃料タンク27に取付けられた時の内側に向かって立設された起立壁58と、起立壁58を補強する補強リブ59と、ハーネス取入れ口60とを備えており、これらは樹脂で一体成形されている。なお、以下の説明においては、起立壁58の、残量センサ48が取付けられている側を表側、その反対側を裏側と呼んで説明する。
【0033】
図7において、前記補強リブ59は前記起立壁58の両面に設けられている。表側補強リブ59Aと裏側補強リブ59Bは、同数設けてあり、本実施形態では、それぞれ5個ずつ設けてある(図10も参照)。補強リブ59が起立壁58の両面に形成してあるので、重量物である残量センサ48を強固に支持することができる。また、起立壁58の表側補強リブ59Aの閉塞板方向50の長さDは、裏側補強リブ59Bの閉塞板50方向の長さdより大きくしてある。これは、重量物である残量センサ48の取付け側を補強することによって、起立壁58の耐久性を向上させるためである。更に、起立壁58の裏側に設けられた裏側補強リブ59Bは、本体ケース51の下端よりも上方へ伸びて形成されている。これは、残量センサ48の重量に対して起立壁58を強固に支持するためである。
【0034】
図10は図9のX−X断面図であり、起立壁58の裏側を示している。残量センサ48の本体ケース51には、起立壁58に取付けるための爪部61Aが3個設けられ、支持部材49の起立壁58には前記爪部61Aが係合する係合孔61Bが3箇所設けられている。これによって係合部61が形成されている。ネジ等を用いることなく、本体ケース51の爪部61Aを起立壁58の係合孔61Bに係合させるだけで残量センサ48を取付けることができるので、組立性が向上している。燃料タンク内に設置する燃料ポンプに取付けて使用される残量センサも、その取付け手段を、本実施形態の取付け手段(爪部61Aと係合孔61B)と共通にしておけば、前記支持部材49の起立壁58に取付けて単独に燃料タンク内に装着することができる。なお、図9、図10の閉塞板50の上面にO−リング取付け座66が設けてあり、図5、図6に示したO−リング65が取付けられる。
【0035】
図10において、支持部材49の起立壁58に閉塞板50から伸びる裏側補強リブ59Bは、閉塞板50から最下端に位置する係合孔61Bまでの高さの範囲内で形成されている。表側補強リブ59Aも同様である。これは、残量センサ48が振動等によって揺れる場合であっても、この振動によって起立壁58にかかる力は残量センサ48の前記係合部61(最下端に位置する爪部61Aと係合孔61B)で吸収されるので、振動の影響は閉塞板50までは伝わらない。これによって、閉塞板50の耐久性を向上させることができる。
【0036】
図8及び図9において、ハーネス取出し口57と、ハーネス取入れ口60は、それぞれ2個ずつ設けてあり、対応するハーネス取出し口57とハーネス取入れ口60にそれぞれハーネス56が接続されている。前記ハーネス56を通じて送られる信号電流は、支持部材49の内部配線67を通じて閉塞板50の下面に設けられた端子62に伝えられ、燃料タンク27外のハーネス63に伝達される。
【0037】
図7、図8において、前記残量センサ48から上方に起立するハーネス取出し口57と、前記支持部材49から上方に起立するハーネス取入れ口60とが、前記起立壁58と平行になるようにしてある。これによって、ハーネス56が起立壁58に干渉しにくくなる。また、ハーネス取出し口57及びハーネス取入れ口60をそれぞれカプラ64で接続するようにしてある。カプラ64を起立壁58と平行にできるので、ハーネス56の組付けが行い易い。
【0038】
図8において、上述のように、ハーネス56は、ハーネス取出し口57及びハーネス取入れ口60にカプラ64によって取付けられる。本体ケース51と起立壁58とは、複数の爪部61A及び係合孔61Bにより係合される。前記複数の係合部61はカプラ64又はハーネス取入れ口60に対してずらした位置に配置されている。従って、残量センサ48を起立壁58から取外す際に、カプラ64及びハーネス取入れ口60が邪魔になるのを防ぐことができ、取外しを容易に行うことができる。
【0039】
前記本体ケース51は、前記残量センサ48の角度検知装置52を収容した際に、本体ケース51内が密封されるように構成されている。本体ケース51を密閉構造とすることにより、アルコールによる角度検知装置52の腐食が防止されるので、アルコール燃料を用いる車両においても残量センサ48の利用が可能となり、利用範囲を拡大することができる。
【0040】
燃料タンク内に燃料ポンプを設置し、その燃料ポンプに残量センサを取付けて使用される場合がある。図11は、前記実施形態とは別の燃料タンク内に設置して使用される前記実施形態とは別の燃料ポンプ70に前記実施形態の残量センサ48が取付けられている例である。その場合も、その取付け手段を、前記実施形態の取付け手段(爪部61Aと係合孔61B)と共通にしておけば、前記実施形態とは別の燃料ポンプ70に取付けて使用されていた残量センサ48を、前記実施形態の支持部材49の起立壁58に取付けて単独に前記実施形態の燃料タンク27内に装着することができるので、残量センサ48を共用することが可能となる。したがって、取付け先に合わせた残量センサの設計変更等が不要となり、残量センサの汎用性を高めることができる。
【0041】
以上詳述したように、本実施形態においては次の効果がもたらされる。
(1)支持部材は、燃料タンクの開口を塞ぐと共に、残量センサの取付け部材と、燃料タンクへの取付け部材とを兼ねているので、燃料ポンプに取付けていた残量センサを単独で燃料タンク内に配置する場合には、前記支持部材の起立壁に本体ケースを取付けるだけで残量センサを共用することができ、取付け先に合わせた残量センサの設計変更等を不要にでき、汎用性を高めることができるとともに、残量センサを効率的に燃料タンクへ取付けることができる。
(2)支持部材を樹脂で構成することによって、閉塞板と起立壁を一体成形することができ、また、ネジ等を用いることなく、本体ケースの爪部を支持部材の係合孔に係合させるだけで残量センサを取付けることができるので、組立性が向上する。
(3)補強リブの高さを係合孔までの高さ範囲内で形成したので、残量センサが振動等によって揺れる場合であっても、この振動によって起立壁にかかる力を残量センサの係合部に吸収させることができ、閉塞板まで伝えにくくすることができる。従って、閉塞板の耐久性が向上する。
(4)補強リブを起立壁の両面に形成したので、重量物である残量センサを強固に支持することができる。
(5)残量センサが取付けられる面の補強リブの閉塞板方向の長さを、その反対側の面に設けられる補強リブの閉塞板方向の長さよりも大きくしたので、重量物である残量センサに対して、起立壁の耐久性を向上させることができる。
(6)前記反対側の面に設けられた補強リブは、少なくとも前記本体ケースの下端よりも上側まで伸びて形成されているので、残量センサの重量に対して起立壁を強固に支持することができる。
(7)残量センサからのハーネス取出し口と支持部材へのハーネス取入れ口とを起立壁と平行になるようにしたので、ハーネスが起立壁に干渉しにくくなる。また、ハーネス取出し口及びハーネス取入れ口をそれぞれカプラで接続するようにした場合には、カプラを起立壁と平行にできるので、ハーネスの組付けが行い易くなる。
(8)複数の係合部のうち少なくとも一部の係合部がカプラ又はハーネス取入れ口に対してずらした位置に配置されるので、残量センサを起立壁から取外す際に、カプラ及びハーネス取入れ口が邪魔になるのを防ぐことができ、取外しを容易に行うことができる。
(9)本体ケースを密閉構造とすることにより、アルコールによる残量センサの角度検知装置の腐食が防止されるので、アルコール燃料を用いる車両においても残量センサの利用が可能となり、利用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。
【図2】前記自動二輪車の燃料タンクの縦断面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】前記燃料タンクの下面図である。
【図5】前記燃料タンクの開口に車両用燃料残量検出装置を装着した側面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】車両用燃料残量検出装置の正面図である。
【図8】図7のVIII矢視図である。
【図9】車両用燃料残量検出装置の上面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】燃料タンク内に設置して使用される燃料ポンプに残量センサが取付けられている状態の側面図である。
【符号の説明】
【0043】
27…燃料タンク、38…上板部、39…底板部、42…開口、43…ボルト、44…ナット、47…車両用燃料残量検出装置、48…残量センサ、49…支持部材、50…閉塞板、51…本体ケース、52…角度検知装置、53…回動軸、54…アーム、55…フロート、56…ハーネス、57…ハーネス取出し口、58…起立壁、59…補強リブ、59A…表側補強リブ、59B…裏側補強リブ、60…ハーネス取入れ口、61…係合部、61A…爪部、61B…係合孔、64…カプラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車、自動三輪車、鞍乗型自動四輪車等の車両に用いられる車両用燃料残量検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料の残量を検出するために、例えばフロート式の残量センサを用いることが知られている。このような残量センサは燃料ポンプに取付けて燃料タンク内に配置することが知られているが、燃料タンクの形状等によっては、残量センサを単独で燃料タンク内に配置することもある。(例えば、特許文献1参照。)
このように残量センサを単独で燃料タンク内に配置する場合であっても、燃料ポンプに取付けていた残量センサを利用できるようにして汎用性を持たせることが望まれている。しかしながら、前記従来技術の残量センサは、その汎用性について考慮されていないので、取付け先に合わせてその都度残量センサを取付け先の形状に合わせて設計変更しなければならなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2007−276746号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残量センサと支持部材とからなり、取り付け取り外しが容易で、かつ汎用性の高い、車両用燃料残量検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、
燃料をエンジンへ圧送する燃料ポンプと、燃料タンクとを備え、
角度検知装置と、前記角度検知装置の回動軸に固定されるアームと、前記アームの先端に取付けられるフロートとを備えた残量センサを、前記燃料ポンプと別体で設け、
前記残量センサを前記燃料タンク内に当該タンクの開口を通じて取付けられる車両用燃料残量検出装置において、
前記燃料残量検出装置は、前記残量センサを燃料タンクに着脱可能に固定する支持部材を備え、
当該支持部材は前記開口を塞ぐよう燃料タンクに固定される閉塞板と、前記閉塞板から一体的に燃料タンクの内側に向かって形成される起立壁とを備え、
前記残量センサは前記角度検知装置を収容する本体ケースを備え、
前記本体ケースは前記起立壁に着脱可能に取付けられることを特徴とする車両用燃料残量検出装置に関するものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記本体ケースには前記支持部材の起立壁に取付けるための爪部が設けられ、
前記支持部材は樹脂で構成されると共に、前記支持部材の起立壁には前記爪部が係合する係合孔が設けられることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記支持部材の起立壁にはその剛性を確保するために前記閉塞板から伸びる補強リブが設けられ、
前記補強リブは前記係合孔までの高さの範囲内で形成されることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記補強リブは前記起立壁の両面に設けられることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記起立壁における前記残量センサ取付け面に設けられる補強リブの前記閉塞板方向の長さは、その反対側の面に設けられる補強リブの前記閉塞板方向の長さよりも大きくしてあることを特徴とするものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項4及び請求項5に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記反対側の面に設けられた補強リブは、少なくとも前記本体ケースの下端よりも上側まで伸びて形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記残量センサから伸びると共に支持部材を介して燃料タンク外に延出するハーネスが設けられ、
前記残量センサから上方に起立するハーネス取出し口と、前記支持部材から上方に起立するハーネス取入れ口とが、前記起立壁と平行になるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記ハーネスは、ハーネス取出し口及び取入れ口にカプラによって取付けられ、
前記本体ケースと起立壁とは、複数の爪部及び係合穴により係合され、
前記複数の係合部のうち少なくとも一部の係合部がカプラ又はハーネス取入れ口に対してずらした位置に配置されることを特徴とするものである。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置において、
前記本体ケースは前記角度検知装置を収容した際に、本体ケース内が密封されるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明において、
前記残量センサを本体ケースに収容し、更に支持部材は、残量センサの挿入口である燃料タンクの開口を塞ぐと共に、残量センサの取付け部材と、燃料タンクへの取付け部材とを兼ねているので、燃料ポンプに取付けていた残量センサを単独で燃料タンク内に配置する場合には、前記支持部材の起立壁に本体ケースを取付けるだけで残量センサを共用することができる。従って、取付け先に合わせた残量センサの設計変更等を不要にでき、汎用性を高めることができるとともに、残量センサを効率的に燃料タンクへ取付けることができる。
【0015】
請求項2の発明において、
支持部材を樹脂で構成することによって、閉塞板と起立壁を一体成形することができ、また、ネジ等を用いることなく、本体ケースの爪部を支持部材の係合孔に係合させるだけで残量センサを取付けることができるので、組立性が向上する。
【0016】
請求項3の発明において、
補強リブの高さを係合孔までの高さ範囲内で形成したので、残量センサが振動等によって揺れる場合であっても、この振動によって起立壁にかかる力を残量センサの係合部に吸収させることができ、閉塞板まで伝えにくくすることができる。従って、閉塞板の耐久性が向上する。
【0017】
請求項4の発明において、
補強リブを起立壁の両面に形成したので、重量物である残量センサを強固に支持することができる。
【0018】
請求項5の発明において、
残量センサが取付けられる面の補強リブの閉塞板方向の長さを、その反対側の面に設けられる補強リブの閉塞板方向の長さよりも大きくしたので、重量物である残量センサに対して、起立壁の耐久性を向上させることができる。
【0019】
請求項6の発明において、
前記反対側の面に設けられた補強リブは、少なくとも前記本体ケースの下端よりも上側まで伸びて形成されているので、残量センサの重量に対して起立壁を強固に支持することができる。
【0020】
請求項7の発明において、
残量センサからのハーネス取出し口と支持部材へのハーネス取入れ口とを起立壁と平行になるようにしたので、ハーネスが起立壁に干渉しにくくなる。また、ハーネス取出し口及びハーネス取入れ口をそれぞれカプラで接続するようにした場合には、カプラを起立壁と平行にできるので、ハーネスの組付けが行い易くなる。
【0021】
請求項8の発明において、
複数の係合部のうち少なくとも一部の係合部がカプラ又はハーネス取入れ口に対してずらした位置に配置されるので、残量センサを起立壁から取外す際に、カプラ及びハーネス取入れ口が邪魔になるのを防ぐことができ、取外しを容易に行うことができる。
【0022】
請求項9の発明において、
本体ケースを密閉構造とすることにより、例えば、アルコール燃料を用いる車両においても、アルコールによる残量センサの角度検知装置の腐食が防止されるので、残量センサの利用が可能となり、利用範囲を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。自動二輪車1の車体フレームはヘッドパイプ2と、同ヘッドパイプ2から斜め後方に延出するメインフレーム3と、メインフレーム3の後端から下方に延出するセンターフレーム4と、ヘッドパイプ2から下方に伸びるダウンフレーム5と、メインフレーム3から後方に延出するシートステー6と、センターフレーム4の下端とシートステー6を結ぶミッドフレーム7と、ダウンフレーム5とメインフレーム3とを結ぶ補強フレーム8と、を備えている。
【0024】
前輪9を支持するフロントフォーク10が、ヘッドパイプ2の中に設けられたステアリングステム(図示なし)とトップブリッジ11とボトムブリッジ12とによって操向可能に支持されている。トップブリッジ11には操向ハンドル13が連結され、トップブリッジ11の前側には、メータ装置14が取付けてある。トップブリッジ11とボトムブリッジ12には、インナーカウル15とフロントカウル16によって覆われたヘッドライト17が取付けてある。ボトムブリッジ12には、前輪9を覆うフロントフェンダ18が取付けられている。また、センターフレーム4の後部には、後輪19を支持するリアフォーク20が上下揺動可能に支持され、シートステー6とリアフォーク20との間にはクッションユニット21が設けられている。
【0025】
エンジン22は、補強フレーム8に設けられたエンジン支持ブラケット23によって、吊り下げ支持されると共に、ダウンフレーム5とセンターフレーム4に設けられたブラケット24、25よって前後を支持されている。エンジン22の動力は、後輪駆動用チェーン26を介して後輪19に伝達される。メインフレーム3には、エンジン22の上方に位置するようにして燃料タンク27が設けられ、シートステー6上には運転者用と同乗者用のタンデム型シート28が取付けられている。エンジンの後部には、吸気ポートに連なるスロットルボディ29とエアクリーナ30が設けられ、エンジン22の前部には、排気ポートから延出する排気管31が設けられ、後方へ伸び、後部のマフラー32に接続されている。
【0026】
センターフレーム4の近傍に燃料ポンプ33が固定され、燃料タンク27の下部から燃料ポンプ33に連なる燃料吸入管34と、燃料ポンプ33から燃料噴射装置(図示なし)に至る燃料吐出管35が設けてある。
【0027】
図2は、前記自動二輪車の燃料タンク27の側面図、図3は図2のIII−III断面図、図4は前記燃料タンク27の下面図である。図3において、燃料タンク27は横断面がほぼ逆U字形の上板部38と、上方へ向かう凸形の嶺部39aを有して、上板部の下部を塞ぐ底板部39とから構成され、両部材は下部で溶接され、全体的に下向きの凹形状に形成されている。以下の説明において、各部材の前後の表現は、各部材を車両に取付けた状態における、車両の前後に対応している。
【0028】
燃料タンク27の底板部39の前部の内側には、燃料タンク27を車体に取付ける際に用いる位置決め部材40が溶接されている。燃料タンク27の底板部39の後部の下部には、燃料タンク27を車体に固定するための、ボルト挿通孔41aを有する車体への取付け部41が設けてある。燃料タンク27の底板部39の中央には平坦部が設けてあり、ここに開口部42(図4)が設けてある。開口部42の周囲部には4本のボルト43(図4)の頭部が溶接されている。この開口部42には、前記ボルト43と、これに螺合するナット44(図5)を介して、後述の車両用燃料残量検出装置47が装着される。燃料タンク27の上部には、燃料注入口45(図2)が設けてある。
【0029】
図5は、前記燃料タンク27に車両用燃料残量検出装置47を装着した状態の側面図である。図6は、図5のVI−VI断面図である。図5の左右部は燃料タンク27の外観、図5の中央部は燃料タンク27の縦断面が示してある。図6において、車両用燃料残量検出装置47は、残量センサ48と支持部材49とからなる装置である。残量センサ48は、燃料タンク27内の燃料の液面レベルを検出して、運転者に燃料の残量を示すための装置であり、本体ケース51に収容された角度検知装置52と、角度検知装置52から延伸する回動軸53に固定されたアーム54と、アーム54の先端に取付けられたフロート55とからなっている。燃料液面の位置に応じて回動軸53が回動し、角度検知装置52によって燃料液面に関する情報が得られる。図5のアーム54とフロート55の位置は、燃料が空の場合の位置A(実線)と、燃料が一杯に注入されている場合の位置B(仮想線)が示してある。
【0030】
図5、図6において、燃料タンク27の開口部42の周囲部には4本のボルト43(図4)の頭部が溶接されている。車両用燃料残量検出装置47の支持部材49は、その一部をなす閉塞板50のボルト挿通孔50a(図9)に挿通された前記ボルト43と、ナット44を介して、開口部42に装着されている。燃料タンク27の底板部39と閉塞板50との間には、O−リング65が介装され、液密に塞がれる。前記残量センサ48には、本体ケース51から伸び支持部材49に接続されるハーネス56が設けてあり、これは、支持部材49内のカプラを介して燃料タンク27の外に延出するハーネス63につながっている。
【0031】
図7は、車両用燃料残量検出装置47の正面図(前から見た図)、図8は図7のVIII矢視図、図9は前記車両用燃料残量検出装置47の上面図、図10は図9のX−X断面図である。車両用燃料残量検出装置47は、残量センサ48と支持部材49とから構成されている。図7において、残量センサ48は角度検知装置52を収容する本体ケース51を備え、本体ケース51の表側(図7の右側)の面から図の右方へ回動軸53が延出し、その回動軸53にアーム54が固定されている。本体ケース51の上部にハーネス取出し口57が設けてある。
【0032】
図7において、支持部材49は、閉塞板50と、前記閉塞板50から、燃料タンク27に取付けられた時の内側に向かって立設された起立壁58と、起立壁58を補強する補強リブ59と、ハーネス取入れ口60とを備えており、これらは樹脂で一体成形されている。なお、以下の説明においては、起立壁58の、残量センサ48が取付けられている側を表側、その反対側を裏側と呼んで説明する。
【0033】
図7において、前記補強リブ59は前記起立壁58の両面に設けられている。表側補強リブ59Aと裏側補強リブ59Bは、同数設けてあり、本実施形態では、それぞれ5個ずつ設けてある(図10も参照)。補強リブ59が起立壁58の両面に形成してあるので、重量物である残量センサ48を強固に支持することができる。また、起立壁58の表側補強リブ59Aの閉塞板方向50の長さDは、裏側補強リブ59Bの閉塞板50方向の長さdより大きくしてある。これは、重量物である残量センサ48の取付け側を補強することによって、起立壁58の耐久性を向上させるためである。更に、起立壁58の裏側に設けられた裏側補強リブ59Bは、本体ケース51の下端よりも上方へ伸びて形成されている。これは、残量センサ48の重量に対して起立壁58を強固に支持するためである。
【0034】
図10は図9のX−X断面図であり、起立壁58の裏側を示している。残量センサ48の本体ケース51には、起立壁58に取付けるための爪部61Aが3個設けられ、支持部材49の起立壁58には前記爪部61Aが係合する係合孔61Bが3箇所設けられている。これによって係合部61が形成されている。ネジ等を用いることなく、本体ケース51の爪部61Aを起立壁58の係合孔61Bに係合させるだけで残量センサ48を取付けることができるので、組立性が向上している。燃料タンク内に設置する燃料ポンプに取付けて使用される残量センサも、その取付け手段を、本実施形態の取付け手段(爪部61Aと係合孔61B)と共通にしておけば、前記支持部材49の起立壁58に取付けて単独に燃料タンク内に装着することができる。なお、図9、図10の閉塞板50の上面にO−リング取付け座66が設けてあり、図5、図6に示したO−リング65が取付けられる。
【0035】
図10において、支持部材49の起立壁58に閉塞板50から伸びる裏側補強リブ59Bは、閉塞板50から最下端に位置する係合孔61Bまでの高さの範囲内で形成されている。表側補強リブ59Aも同様である。これは、残量センサ48が振動等によって揺れる場合であっても、この振動によって起立壁58にかかる力は残量センサ48の前記係合部61(最下端に位置する爪部61Aと係合孔61B)で吸収されるので、振動の影響は閉塞板50までは伝わらない。これによって、閉塞板50の耐久性を向上させることができる。
【0036】
図8及び図9において、ハーネス取出し口57と、ハーネス取入れ口60は、それぞれ2個ずつ設けてあり、対応するハーネス取出し口57とハーネス取入れ口60にそれぞれハーネス56が接続されている。前記ハーネス56を通じて送られる信号電流は、支持部材49の内部配線67を通じて閉塞板50の下面に設けられた端子62に伝えられ、燃料タンク27外のハーネス63に伝達される。
【0037】
図7、図8において、前記残量センサ48から上方に起立するハーネス取出し口57と、前記支持部材49から上方に起立するハーネス取入れ口60とが、前記起立壁58と平行になるようにしてある。これによって、ハーネス56が起立壁58に干渉しにくくなる。また、ハーネス取出し口57及びハーネス取入れ口60をそれぞれカプラ64で接続するようにしてある。カプラ64を起立壁58と平行にできるので、ハーネス56の組付けが行い易い。
【0038】
図8において、上述のように、ハーネス56は、ハーネス取出し口57及びハーネス取入れ口60にカプラ64によって取付けられる。本体ケース51と起立壁58とは、複数の爪部61A及び係合孔61Bにより係合される。前記複数の係合部61はカプラ64又はハーネス取入れ口60に対してずらした位置に配置されている。従って、残量センサ48を起立壁58から取外す際に、カプラ64及びハーネス取入れ口60が邪魔になるのを防ぐことができ、取外しを容易に行うことができる。
【0039】
前記本体ケース51は、前記残量センサ48の角度検知装置52を収容した際に、本体ケース51内が密封されるように構成されている。本体ケース51を密閉構造とすることにより、アルコールによる角度検知装置52の腐食が防止されるので、アルコール燃料を用いる車両においても残量センサ48の利用が可能となり、利用範囲を拡大することができる。
【0040】
燃料タンク内に燃料ポンプを設置し、その燃料ポンプに残量センサを取付けて使用される場合がある。図11は、前記実施形態とは別の燃料タンク内に設置して使用される前記実施形態とは別の燃料ポンプ70に前記実施形態の残量センサ48が取付けられている例である。その場合も、その取付け手段を、前記実施形態の取付け手段(爪部61Aと係合孔61B)と共通にしておけば、前記実施形態とは別の燃料ポンプ70に取付けて使用されていた残量センサ48を、前記実施形態の支持部材49の起立壁58に取付けて単独に前記実施形態の燃料タンク27内に装着することができるので、残量センサ48を共用することが可能となる。したがって、取付け先に合わせた残量センサの設計変更等が不要となり、残量センサの汎用性を高めることができる。
【0041】
以上詳述したように、本実施形態においては次の効果がもたらされる。
(1)支持部材は、燃料タンクの開口を塞ぐと共に、残量センサの取付け部材と、燃料タンクへの取付け部材とを兼ねているので、燃料ポンプに取付けていた残量センサを単独で燃料タンク内に配置する場合には、前記支持部材の起立壁に本体ケースを取付けるだけで残量センサを共用することができ、取付け先に合わせた残量センサの設計変更等を不要にでき、汎用性を高めることができるとともに、残量センサを効率的に燃料タンクへ取付けることができる。
(2)支持部材を樹脂で構成することによって、閉塞板と起立壁を一体成形することができ、また、ネジ等を用いることなく、本体ケースの爪部を支持部材の係合孔に係合させるだけで残量センサを取付けることができるので、組立性が向上する。
(3)補強リブの高さを係合孔までの高さ範囲内で形成したので、残量センサが振動等によって揺れる場合であっても、この振動によって起立壁にかかる力を残量センサの係合部に吸収させることができ、閉塞板まで伝えにくくすることができる。従って、閉塞板の耐久性が向上する。
(4)補強リブを起立壁の両面に形成したので、重量物である残量センサを強固に支持することができる。
(5)残量センサが取付けられる面の補強リブの閉塞板方向の長さを、その反対側の面に設けられる補強リブの閉塞板方向の長さよりも大きくしたので、重量物である残量センサに対して、起立壁の耐久性を向上させることができる。
(6)前記反対側の面に設けられた補強リブは、少なくとも前記本体ケースの下端よりも上側まで伸びて形成されているので、残量センサの重量に対して起立壁を強固に支持することができる。
(7)残量センサからのハーネス取出し口と支持部材へのハーネス取入れ口とを起立壁と平行になるようにしたので、ハーネスが起立壁に干渉しにくくなる。また、ハーネス取出し口及びハーネス取入れ口をそれぞれカプラで接続するようにした場合には、カプラを起立壁と平行にできるので、ハーネスの組付けが行い易くなる。
(8)複数の係合部のうち少なくとも一部の係合部がカプラ又はハーネス取入れ口に対してずらした位置に配置されるので、残量センサを起立壁から取外す際に、カプラ及びハーネス取入れ口が邪魔になるのを防ぐことができ、取外しを容易に行うことができる。
(9)本体ケースを密閉構造とすることにより、アルコールによる残量センサの角度検知装置の腐食が防止されるので、アルコール燃料を用いる車両においても残量センサの利用が可能となり、利用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。
【図2】前記自動二輪車の燃料タンクの縦断面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】前記燃料タンクの下面図である。
【図5】前記燃料タンクの開口に車両用燃料残量検出装置を装着した側面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】車両用燃料残量検出装置の正面図である。
【図8】図7のVIII矢視図である。
【図9】車両用燃料残量検出装置の上面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】燃料タンク内に設置して使用される燃料ポンプに残量センサが取付けられている状態の側面図である。
【符号の説明】
【0043】
27…燃料タンク、38…上板部、39…底板部、42…開口、43…ボルト、44…ナット、47…車両用燃料残量検出装置、48…残量センサ、49…支持部材、50…閉塞板、51…本体ケース、52…角度検知装置、53…回動軸、54…アーム、55…フロート、56…ハーネス、57…ハーネス取出し口、58…起立壁、59…補強リブ、59A…表側補強リブ、59B…裏側補強リブ、60…ハーネス取入れ口、61…係合部、61A…爪部、61B…係合孔、64…カプラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料をエンジンへ圧送する燃料ポンプと、燃料タンクとを備え、
角度検知装置と、前記角度検知装置の回動軸に固定されるアームと、前記アームの先端に取付けられるフロートとを備えた残量センサを、前記燃料ポンプと別体で設け、
前記残量センサを前記燃料タンク内に当該タンクの開口を通じて取付けられる車両用燃料残量検出装置において、
前記燃料残量検出装置は、前記残量センサを燃料タンクに着脱可能に固定する支持部材を備え、
当該支持部材は前記開口を塞ぐよう燃料タンクに固定される閉塞板と、前記閉塞板から一体的に燃料タンクの内側に向かって形成される起立壁とを備え、
前記残量センサは前記角度検知装置を収容する本体ケースを備え、
前記本体ケースは前記起立壁に着脱可能に取付けられることを特徴とする車両用燃料残量検出装置。
【請求項2】
前記本体ケースには前記支持部材の起立壁に取付けるための爪部が設けられ、
前記支持部材は樹脂で構成されると共に、前記支持部材の起立壁には前記爪部が係合する係合孔が設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項3】
前記支持部材の起立壁にはその剛性を確保するために前記閉塞板から伸びる補強リブが設けられ、
前記補強リブは前記係合孔までの高さの範囲内で形成されることを特徴とする請求項2に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項4】
前記補強リブは前記起立壁の両面に設けられることを特徴とする請求項3に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項5】
前記起立壁における前記残量センサ取付け面に設けられる補強リブの前記閉塞板方向の長さは、その反対側の面に設けられる補強リブの前記閉塞板方向の長さよりも大きくしてあることを特徴とする請求項4に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項6】
前記反対側の面に設けられた補強リブは、少なくとも前記本体ケースの下端よりも上側まで伸びて形成されていることを特徴とする請求項4及び請求項5に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項7】
前記残量センサから伸びると共に支持部材を介して燃料タンク外に延出するハーネスが設けられ、
前記残量センサから上方に起立するハーネス取出し口と、前記支持部材から上方に起立するハーネス取入れ口とが、前記起立壁と平行になるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項8】
前記ハーネスは、ハーネス取出し口及び取入れ口にカプラによって取付けられ、
前記本体ケースと起立壁とは、複数の爪部及び係合穴により係合され、
前記複数の係合部のうち少なくとも一部の係合部がカプラ又はハーネス取入れ口に対してずらした位置に配置されることを特徴とする請求項7に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項9】
前記本体ケースは前記角度検知装置を収容した際に、本体ケース内が密封されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項1】
燃料をエンジンへ圧送する燃料ポンプと、燃料タンクとを備え、
角度検知装置と、前記角度検知装置の回動軸に固定されるアームと、前記アームの先端に取付けられるフロートとを備えた残量センサを、前記燃料ポンプと別体で設け、
前記残量センサを前記燃料タンク内に当該タンクの開口を通じて取付けられる車両用燃料残量検出装置において、
前記燃料残量検出装置は、前記残量センサを燃料タンクに着脱可能に固定する支持部材を備え、
当該支持部材は前記開口を塞ぐよう燃料タンクに固定される閉塞板と、前記閉塞板から一体的に燃料タンクの内側に向かって形成される起立壁とを備え、
前記残量センサは前記角度検知装置を収容する本体ケースを備え、
前記本体ケースは前記起立壁に着脱可能に取付けられることを特徴とする車両用燃料残量検出装置。
【請求項2】
前記本体ケースには前記支持部材の起立壁に取付けるための爪部が設けられ、
前記支持部材は樹脂で構成されると共に、前記支持部材の起立壁には前記爪部が係合する係合孔が設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項3】
前記支持部材の起立壁にはその剛性を確保するために前記閉塞板から伸びる補強リブが設けられ、
前記補強リブは前記係合孔までの高さの範囲内で形成されることを特徴とする請求項2に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項4】
前記補強リブは前記起立壁の両面に設けられることを特徴とする請求項3に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項5】
前記起立壁における前記残量センサ取付け面に設けられる補強リブの前記閉塞板方向の長さは、その反対側の面に設けられる補強リブの前記閉塞板方向の長さよりも大きくしてあることを特徴とする請求項4に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項6】
前記反対側の面に設けられた補強リブは、少なくとも前記本体ケースの下端よりも上側まで伸びて形成されていることを特徴とする請求項4及び請求項5に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項7】
前記残量センサから伸びると共に支持部材を介して燃料タンク外に延出するハーネスが設けられ、
前記残量センサから上方に起立するハーネス取出し口と、前記支持部材から上方に起立するハーネス取入れ口とが、前記起立壁と平行になるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項8】
前記ハーネスは、ハーネス取出し口及び取入れ口にカプラによって取付けられ、
前記本体ケースと起立壁とは、複数の爪部及び係合穴により係合され、
前記複数の係合部のうち少なくとも一部の係合部がカプラ又はハーネス取入れ口に対してずらした位置に配置されることを特徴とする請求項7に記載の車両用燃料残量検出装置。
【請求項9】
前記本体ケースは前記角度検知装置を収容した際に、本体ケース内が密封されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料残量検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−145327(P2010−145327A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325311(P2008−325311)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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