説明

車両用自動開閉装置

【課題】集中操作部の操作により複数の開閉体を開閉操作するようにした車両用自動開閉装置の回路構成を簡素化して、そのコストを低減することである。
【解決手段】運転席のドア12aに設けられるメインスイッチユニット21に、運転席のウインドガラス13aの開閉を指令するDR開閉スイッチ22aと、助手席と左右の後部座席のウインドガラス13b,13c,13dの開閉を指令する開閉スイッチ22b,22c,22dを設け、助手席と左右の後部座席の各ドア12b,12c,12dにそれぞれ個別開閉スイッチ27b,27c,27dを設ける。メインスイッチユニット21にモード選択スイッチ31を設け、このモード選択スイッチ31により選択される作動モード(マニュアルモード、オートモード、ロックモード)で、助手席または左右の後部座席のパワーウインドモータ14b,14c,14dの作動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる主開閉体と副開閉体とを自動的に開閉する車両用自動開閉装置に関し、特に、それぞれの開閉体を開閉する開閉スイッチを集中操作部に設けるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、ドアに設けられるウインドガラスを自動的に開閉するために、パワーウインド装置が設けられている。パワーウインド装置はウインドガラスを開閉駆動するパワーウインドモータ(駆動ユニット)を備えており、例えば4ドアタイプの車両では、運転席、助手席および左右の後部座席の各ドアにそれぞれパワーウインドモータが設けられる。各パワーウインドモータの電動モータには、各ドアに設けられる開閉スイッチが配線により接続されている。開閉スイッチが操作されると、当該開閉スイッチから操作信号が入力され、この操作信号に応じて電動モータの作動が行われ、当該ドアのウインドガラスが開閉される。したがって、各ドアの開閉スイッチを操作することにより、対応するドアのウインドガラスを開閉することができる。
【0003】
このようなパワーウインド装置を備えた車両では、通常、運転席には集中操作部が設けられる。この集中操作部には、運転席用の開閉スイッチに加えて助手席用と左右の後部座席用の開閉スイッチが設けられ、これらの開閉スイッチを操作することにより、運転席に着座した運転者が各ウインドガラスを個別に開閉操作できるようにされている。
【0004】
一方、運転者によるウインドガラスの開閉操作を容易にするために、ワンタッチでウインドガラスを全開位置または全閉位置にまで自動的に作動させるようにしたオートスイッチを設けるようにしたパワーウインド装置が知られている。このようなオートスイッチは運転席のウインドガラス用としてのみ設けられるのが一般的であるが、車種や仕様によっては、運転席用に加えて、助手席用や左右の後部座席用のオートスイッチが各ドアの開閉スイッチに設けられる。集中操作部には、各パワーウインドモータの動作を制御するためのコントローラが接続されており、各開閉スイッチやオートスイッチの操作状態を検出して、対応するパワーウインドモータの制御を行うように構成されている。
【0005】
また、各パワーウインドモータに、それぞれ電動モータの作動を制御するサブコントローラを設けたものもある。例えば特許文献1には、運転席用に加えて、助手席用や左右の後部座席用のオートスイッチを集中操作部に設けるとともに、運転席以外の各ドアにも当該ドアのウインドガラスをワンタッチで開閉させるためのオートスイッチを設けるようにしたパワーウインド装置が記載されている。
【特許文献1】実開平6−6677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるパワーウインド装置のように、集中操作部の操作により、運転席以外のウインドガラスをもワンタッチで開閉させる構成とするためには、各ウインドガラスに対応した複数の開閉スイッチに加えて、各ウインドガラスに対応した複数のオートスイッチを集中操作部に設ける必要がある。そのため、集中操作部の回路構成が複雑となり、また、回路を構成する部品点数が増加して、パワーウインド装置のコストが高くなる。また、運転席以外の各ドアにもオートスイッチを設けるようにした場合には、各ドアにおける回路構成が複雑になるとともに、各装置間を接続する配線数が増加して、パワーウインド装置のコストが高くなる。
【0007】
本発明の目的は、集中操作部の操作により複数の開閉体を開閉操作するようにした車両用自動開閉装置の回路構成を簡素化して、そのコストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用自動開閉装置は、車両に設けられる主開閉体と副開閉体とを自動的に開閉する車両用自動開閉装置であって、前記主開閉体を開閉駆動する主駆動部と、前記副開閉体を開閉駆動する副駆動部と、前記主開閉体の開閉を指令する主開閉スイッチと前記副開閉体の開閉を指令する副開閉スイッチとを備えた集中操作部と、前記集中操作部に設けられ、前記副駆動部の作動モードを選択するモード選択スイッチと、前記集中操作部に設けられ、前記副開閉スイッチが操作されたときに前記モード選択スイッチにより選択された作動モードで前記副駆動部の作動を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の車両用自動開閉装置は、前記モード選択スイッチは、前記副開閉スイッチが操作されている間のみ前記副駆動部を作動させる手動作動モードと、前記副開閉スイッチが操作されると前記副開閉体が全開位置または全閉位置に達するまで前記副駆動部を自動的に作動させる自動作動モードとを選択可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用自動開閉装置は、前記主開閉体は前記車両の運転席のドアに設けられるウインドガラスであり、前記副開閉体はそれぞれ前記車両の助手席のドアおよび左右の後部座席のドアに設けられるウインドガラスであることを特徴とする。
【0011】
本発明の車両用自動開閉装置は、前記集中操作部を前記運転席のドアに設け、前記助手席のドアおよび左右の前記後部座席のドアのそれぞれに当該ドアに設けられるウインドガラスの開閉を指令する個別開閉スイッチを設け、前記個別開閉スイッチが操作されたときにも、前記モード選択スイッチにより選択された作動モードで前記副駆動部の作動が制御されることを特徴とする。
【0012】
本発明の車両用自動開閉装置は、前記モード選択スイッチは、前記個別開閉スイッチによる前記ウインドガラスの開閉操作を禁止するロックモードを選択可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明の車両用自動開閉装置は、前記副駆動部には、その駆動源となる電動モータと制御部が設けられ、前記制御部と前記制御手段とはシリアル通信線により接続され、前記副開閉スイッチが操作されたときには、前記制御手段から前記シリアル通信線を介して入力される制御信号に基づいて前記制御部により前記電動モータの作動が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、集中操作部に設けられる副開閉スイッチを操作したときの副駆動部の作動モードをモード選択スイッチにより切り替えることができるので、複数の作動モードに対応した複数種類のスイッチを集中操作部に設けることなく、副駆動部を複数のモードで作動させることができる。したがって、副開閉体を複数のモードで作動させる構成としても、集中操作部の回路構成を簡素化して、この車両用自動開閉装置のコストを低減することができる。
【0015】
また、本発明によれば、副開閉体が設けられる各ドアに個別開閉スイッチを設け、この個別開閉スイッチが操作されたときにもモード選択スイッチにより選択されたモードで副駆動部を作動させるようにしたので、複数種類の個別開閉スイッチを設けることなく、副駆動部を複数のモードで作動させることができる。したがって、個別開閉スイッチにより副開閉体を複数のモードで作動させる構成としても、個別開閉スイッチの回路構成を簡素化して、この車両用自動開閉装置のコストを低減することができる。
【0016】
さらに、本発明によれば、個別開閉スイッチによる副駆動部の操作を禁止するロックスイッチとしての機能をモード選択スイッチに持たせるようにしたので、ロック機能とモード選択機能とを併設する構成としても、この集中操作部の回路構成が複雑化することを防止して、車両用自動開閉装置のコストを低減することができる。
【0017】
さらに、本発明によれば、副駆動部は制御手段とシリアル通信線により接続される制御部を備え、制御手段から制御部に入力される制御信号に基づいてその作動が制御されるので、副駆動部を複数設けるようにしても、この車両用自動開閉装置の回路構成が複雑化することを防止して、そのコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態であるパワーウインド装置を示す回路図であり、車両用自動開閉装置であるこのパワーウインド装置11は図示しない車両に設けられ、当該車両の運転席のドア12aに設けられる主開閉体としてのウインドガラス13aと、助手席のドア12bに設けられる副開閉体としてのウインドガラス13bと、右後部座席のドア12cに設けられる副開閉体としてのウインドガラス13cと、左後部座席のドア12dに設けられる副開閉体としてのウインドガラス13dとを自動的に開閉する。
【0020】
運転席のドア12aには、当該ドア12aに設けられるウインドガラス13aを開閉駆動するために、主駆動部としてのパワーウインドモータ14aが設けられている。このパワーウインドモータ14aは、その駆動源となる電動モータ15aと電動モータ15aの作動を制御するサブコントローラ16aとを備えた機電一体形のモータとなっており、サブコントローラ16aにはさらにウインドガラス13aの位置を検出する位置検出センサ17aが接続されている。運転席のドア12aと同様に、助手席のドア12bと左右の後部座席のドア12c,12dには、それぞれ当該ドア12b,12c,12dに設けられるウインドガラス13b,13c,13dを開閉駆動するために、副駆動部としてのパワーウインドモータ14b,14c,14dが設けられている。これらのパワーウインドモータ14b,14c,14dは、それぞれ、その駆動源となる電動モータ15b,15c,15dと電動モータ15b,15c,15dの作動を制御する制御部としてのサブコントローラ16b,16c,16dとを備えた機電一体形のモータとなっており、それぞれのサブコントローラ16b,16c,16dにはさらにウインドガラス13b,13c,13dの位置を検出する位置検出センサ17b,17c,17dが接続されている。
【0021】
運転席のドア12aには集中操作部としてのメインスイッチユニット21が設けられており、このメインスイッチユニット21には、運転席のウインドガラス13aの開閉を指令する主開閉スイッチとしての運転席用開閉スイッチ22a(以下、DR開閉スイッチ22aとする。)が設けられている。このDR開閉スイッチ22aは運転席のドア12aに設けられたパワーウインドモータ14aのサブコントローラ16aと接地端子23との間に接続されており、DR開閉スイッチ22aが操作されるとその操作信号がサブコントローラ16aに入力され、当該サブコントローラ16aは入力された操作信号に応じて電動モータ15aの作動を制御するようになっている。例えば、DR開閉スイッチ22aが開側に操作されると、ウインドガラス13aを開く旨の操作信号がサブコントローラ16aに入力され、電動モータ15aはサブコントローラ16aによりウインドガラス13aを開く方向に作動制御され、これによりウインドガラス13aはDR開閉スイッチ22aが開操作されている間、電動モータ15aによって自動開駆動される。反対に、DR開閉スイッチ22aが閉側に操作されると、ウインドガラス13aを閉じる旨の操作信号がサブコントローラ16aに入力され、電動モータ15aはサブコントローラ16aによりウインドガラス13aを閉じる方向に作動制御され、これにより、ウインドガラス13aはDR開閉スイッチ22aが閉操作されている間、電動モータ15aによって自動閉駆動される。なお、このDR開閉スイッチ22aはいわゆるマニュアルスイッチとなっており、サブコントローラ16aは当該開閉スイッチ22aが開側または閉側に操作されている間のみ電動モータ15aを作動させるようになっている。
【0022】
また、メインスイッチユニット21には、運転席のウインドガラス13aをワンタッチで全開位置または全閉位置まで開閉させるために、オートスイッチ24が設けられている。このオートスイッチ24はサブコントローラ16aと接地端子23との間に接続されており、オートスイッチ24の操作信号がサブコントローラ16aに入力されるようになっている。また、オートスイッチ24はDR開閉スイッチ22aが開側または閉側に操作されたとき、その操作量が一定量を超えるとオンするように、DR開閉スイッチ22aと連動して構成されている。オートスイッチ24がオンすると、サブコントローラ16aは、その後にDR開閉スイッチ22aの操作が解除されても、ウインドガラス13aが全開位置または全閉位置に達するまで電動モータ15aを作動させる。したがって、DR開閉スイッチ22aの操作量により、ウインドガラス13aをワンタッチで自動的に全開位置または全閉位置まで開閉させることができる。
【0023】
運転席に着座した運転者による運転席以外のウインドガラス13b,13c,13dの操作を可能とするために、メインスイッチユニット21には、DR開閉スイッチ22aに加えて、助手席のウインドガラス13bの開閉を指令する副開閉スイッチとしての助手席用開閉スイッチ22b(以下、AS開閉スイッチ22bとする。)と、右後部座席のウインドガラス13cの開閉を指令する副開閉スイッチとしての右後部座席用開閉スイッチ22c(以下、RR開閉スイッチ22cとする。)と、左後部座席のウインドガラス13dの開閉を指令する副開閉スイッチとしての左後部座席用開閉スイッチ22d(以下、RL開閉スイッチ22dとする。)とが設けられている。また、メインスイッチユニット21には、これらの開閉スイッチ22b,22c,22dが操作されたときに、当該操作に基づいて対応するパワーウインドモータ14b,14c,14dの作動を制御するために、制御手段としてのメインコントローラ25が設けられている。
【0024】
メインスイッチユニット21に設けられる運転席用以外の各開閉スイッチ22b,22c,22dは、それぞれメインコントローラ25と接地端子23との間に接続されており、これらの開閉スイッチ22b,22c,22dが操作されるとその操作信号がメインコントローラ25に入力されるようになっている。また、メインコントローラ25は各パワーウインドモータ14a〜14dのサブコントローラ16a〜16dとシリアル通信線26により接続され、各サブコントローラ16a〜16dとの間でシリアル通信することができるようになっており、各開閉スイッチ22b,22c,22dが操作されてその操作信号がメインコントローラ25に入力されると、その入力信号に応じた制御信号としてのシリアル信号がメインコントローラ25からシリアル通信線26を介して各パワーウインドモータ14a〜14dのサブコントローラ16a〜16dに入力されるようになっている。シリアル信号が入力された各サブコントローラ16a〜16dは、当該シリアル信号から自己の電動モータ15a〜15dの作動制御の要否を判断し、作動制御が必要と判断したときには、当該シリアル信号の要求に応じて電動モータ15a〜15dの作動を制御する。例えば、メインスイッチユニット21に設けられたAS開閉スイッチ22bが開側に操作されると、助手席のウインドガラス13bを開く旨のシリアル信号がメインコントローラ25から各サブコントローラ16a〜16dに出力される。そして、このシリアル信号を受けた助手席用のパワーウインドモータ14bのサブコントローラ16bにより当該パワーウインドモータ14bの電動モータ15bの作動が制御され、助手席のウインドガラス13bはAS開閉スイッチ22bが開操作されている間、電動モータ15bによって自動開駆動される。このように、メインスイッチユニット21に設けられる運転席以外の開閉スイッチ22b,22c,22dが操作されたときには、メインコントローラ25からシリアル通信線26を介して入力されるシリアル信号に基づいて各パワーウインドモータ14b,14c,14dの作動がサブコントローラ16b,16c,16dにより制御される。つまり、これらの開閉スイッチ22b,22c,22dを操作することにより、助手席と左右の後部座席の各ウインドガラス13b,13c,13dの開閉を指令することができる。
【0025】
助手席のドア12bには、当該座席に着座した乗員によるウインドガラス13bの開閉指令を可能とするために、個別開閉スイッチとしての助手席用個別開閉スイッチ27b(以下、AS個別開閉スイッチ27bとする。)が設けられ、右後部座席のドア12cには、当該座席に着座した乗員によるウインドガラス13cの開閉指令を可能とするために、個別開閉スイッチとしての右後部座席用個別開閉スイッチ27c(以下、RR個別開閉スイッチ27cとする。)が設けられ、左後部座席のドア12dには、当該座席に着座した乗員によるウインドガラス13dの開閉指令を可能とするために、個別開閉スイッチとしての左後部座席用個別開閉スイッチ27d(以下、RL個別開閉スイッチ27dとする。)が設けられている。
【0026】
これらの開閉スイッチ27b,27c,27dは、それぞれ対応するドア12b,12c,12dのパワーウインドモータ14b,14c,14dのサブコントローラ16b,16c,16dに接続されており、これらの開閉スイッチ27b,27c,27dが操作されるとその操作信号が対応するパワーウインドモータ14b,14c,14dのサブコントローラ16b,16c,16dに入力されるようになっている。例えば、助手席のドア12bに設けられるAS個別開閉スイッチ27bが開側に操作されると、ウインドガラス13bを開く旨の操作信号が助手席のパワーウインドモータ14bのサブコントローラ16bに入力され、これにより、電動モータ15bがサブコントローラ16bによりウインドガラス13bを開く方向に作動制御されて当該ウインドガラス13bはAS個別開閉スイッチ27bが開操作されている間、電動モータ15bによって自動開駆動される。このように、各ドア12b,12c,12dに個別に設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dを操作することにより、当該ウインドガラス13b,13c,13dを開閉することができる。
【0027】
図2(a)〜(c)は、それぞれモード選択スイッチの選択状態を示す正面図であり、図3はメインコントローラと各サブコントローラとの間で通信されるシリアル信号の一例を示すチャート図である。なお、図3のチャート図中の数字は、“0”が無効、“1”が有効を示す信号を示している。
【0028】
図1および図2に示すように、メインスイッチユニット21にはモード選択スイッチ31が設けられており、このモード選択スイッチ31を操作することにより、助手席と左右の後部座席の各パワーウインドモータ14b,14c,14dの作動モードを選択できるようになっている。
【0029】
本実施の形態においては、モード選択スイッチ31としてのスライド式のつまみ31aを備え、運転席に着座した運転者により操作されて、図2(a)に示すマニュアル位置と、図2(b)に示すオート位置と、図2(c)に示すロック位置とを選択可能となっている。図1に示すように、このモード選択スイッチ31はメインコントローラ25と接地端子23との間に接続されており、メインコントローラ25はモード選択スイッチ31からの信号により当該モード選択スイッチ31がいずれの位置を選択しているかを認識できるようになっている。
【0030】
モード選択スイッチ31が図2(a)に示すマニュアル位置とされると、メインコントローラ25により助手席と左右の後部座席のパワーウインドモータ14b,14c,14dの作動モードがマニュアルモード(手動作動モード)に設定される。メインコントローラ25により各パワーウインドモータ14b,14c,14dの作動モードがマニュアルモードに設定されると、メインスイッチユニット21に設けられる助手席および左右の後部座席用の各開閉スイッチ22b,22c,22dは、いわゆるマニュアルスイッチとして機能し、当該開閉スイッチ22b,22c,22dを操作している間のみ対応するパワーウインドモータ14b,14c,14dが作動する。例えば、モード選択スイッチ31によりマニュアルモードが選択された状態のもとでメインスイッチユニット21に設けられるAS開閉スイッチ22bが操作されたときには、当該開閉スイッチ22bが操作されている間のみ助手席のウインドガラス13bが開閉動作し、その操作が解除されるとウインドガラス13bは停止する。
【0031】
また、モード選択スイッチ31により選択された作動モードの情報は、図3に示すように、操作席の情報や作動情報等とともにメインコントローラ25からシリアル信号として出力され、シリアル通信線26を介して各パワーウインドモータ14b,14c,14dのサブコントローラ16b,16c,16dに入力される。これにより、助手席や左右の後部座席のドア12b,12c,12dに個別に設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dが操作されたときにも、モード選択スイッチ31により選択された作動モードでパワーウインドモータ14b,14c,14dの作動が制御される。例えば、モード選択スイッチ31によりマニュアルモードが選択された状態のもとで助手席のドア12bに設けられるAS個別開閉スイッチ27bが操作されたときには、当該個別開閉スイッチ27bが操作されている間のみ助手席のウインドガラス13bが開閉動作し、その操作が解除されるとウインドガラス13bは停止する。
【0032】
一方、モード選択スイッチ31が図2(b)に示すオート位置に切り替えられると、メインコントローラ25により各パワーウインドモータ14b,14c,14dの作動モードがオートモード(自動作動モード)に設定される。メインコントローラ25により各パワーウインドモータ14b,14c,14dの作動モードがオートモードに設定されると、メインスイッチユニット21に設けられる助手席および左右の後部座席の各開閉スイッチ22b,22c,22dは、いわゆるワンタッチスイッチとして機能し、当該開閉スイッチ22b,22c,22dが操作されると、対応するウインドガラス13b,13c,13dが全開位置または全閉位置に達するまで対応するパワーウインドモータ14b,14c,14dは自動的に作動する。例えば、モード選択スイッチ31によりオートモードが設定された状態のもとでメインスイッチユニット21に設けられるAS開閉スイッチ22bが操作されたときには、そのワンタッチの操作で、つまり操作後にその操作を解除しても、助手席のウインドガラス13bは全開位置または全閉位置まで自動的に開閉される。
【0033】
また、モード選択スイッチ31によりオートモードが選択されたときにも、その作動モードの情報は、図3に示すように、操作席の情報や作動情報等とともにメインコントローラ25からシリアル通信線26を介して各パワーウインドモータ14b,14c,14dのサブコントローラ16b,16c,16dに入力される。これにより、モード選択スイッチ31によりオートモードが選択された状態のもとで、助手席や左右の後部座席のドア12b,12c,12dに個別に設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dが操作されたときにも、各パワーウインドモータ14b,14c,14dはオートモードで作動制御される。例えば、モード選択スイッチ31によりオートモードが選択された状態のもとで助手席のドア12bに設けられるAS個別開閉スイッチ27bが操作されたときには、そのワンタッチの操作で助手席のウインドガラス13bが全開位置または全閉位置まで自動的に開閉される。
【0034】
このように、メインスイッチユニット21に設けられるモード選択スイッチ31を操作することにより、助手席や左右の後部座席の開閉スイッチ22b,22c,22dあるいは各ドア12b,12c,12dに設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dを操作したときのパワーウインドモータ14b,14c,14dの作動モードをマニュアルモードとオートモードとに切り替えることができる。
【0035】
図2(c)に示すように、モード選択スイッチ31がロック位置に切り替えられると、メインコントローラ25により助手席と左右の後部座席の各ドア12b,12c,12dに設けられるパワーウインドモータ14b,14c,14dの作動モードはロックモードに設定され、助手席と左右の後部座席の各ドア12b,12c,12dに個別に設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dによる当該ドア12b,12c,12dのウインドガラス13b,13c,13dの開閉操作が禁止される。例えば、モード選択スイッチ31がロック位置とされた状態のもとでは、助手席のドア12bに設けられるAS個別開閉スイッチ27bを操作しても、当該ドア12bのパワーウインドモータ14bは作動せず、ウインドガラス13bは開閉されない。
【0036】
図4は各パワーウインドモータの制御手順を示すフローチャート図であり、以下に、このフローチャート図について説明する。
【0037】
まず、ステップS1の待機状態のもとでモード選択スイッチ31が運転者により操作されて、ステップS2において作動モードが選択されると、ステップS3においていずれかの開閉スイッチ22a〜22d、27b〜27dがオンされたか、つまり操作されたか否かが判断される。ステップS3においていずれかの開閉スイッチ22a〜22d、27b〜27dが操作されたと判断されると、ステップS4において当該操作がされた開閉スイッチが運転席つまりDR開閉スイッチ22aであるか否かが判断され、DR開閉スイッチ22aが操作されたと判断された場合には、ステップS5において運転席のパワーウインドモータ14aが作動中か否かが判断される。
【0038】
一方、ステップS4においてステップS3において操作された開閉スイッチが運転席以外の開閉スイッチであると判断された場合には、ステップS6においてモード選択スイッチ31により選択された作動モードがロックモードであるか否かが判断され、ロックモードであると判断されるとルーチンはステップS1にリターンされ、ロックモードではないと判断されるとルーチンはステップS5に進んでステップS5において当該運転席以外のパワーウインドモータ14b,14c,14dが作動中か否かが判断される。
【0039】
続くステップS5では、ステップS3において開閉スイッチが操作された場合にいずれかのパワーウインドモータ14a〜14dが作動中であるか否かが判定され、いずれかのパワーウインドモータ14a〜14dが作動中であった場合には、ステップS7において当該パワーウインドモータ14a〜14dの作動が停止され、ルーチンはリターンされる。つまり、パワーウインドモータ14a〜14dが作動中に開閉スイッチが操作された場合には、その操作は停止操作と判断されて当該パワーウインドモータ14a〜14dの作動が停止される。
【0040】
一方、ステップS5において、パワーウインドモータ14a〜14dが作動中でなかった場合にはステップS8に進み、ステップS3にて操作された開閉スイッチが運転席用か否かが判断される。ステップS8において、運転席用のパワーウインドモータ14aであると判断されると、ステップS9においてオートスイッチ24がオンされたか、つまり作動したか否かが判断され、オートスイッチ24が作動したと判断された場合にはステップS10において運転席のパワーウインドモータ14aはオート作動し、反対に、ステップS9においてオートスイッチ24が作動していないと判断された場合には、ステップS11において運転席のパワーウインドモータ14aはマニュアル作動する。
【0041】
一方、ステップS8において、ステップS3にて操作された開閉スイッチが運転席以外のパワーウインドモータ14b,14c,14dであると判断されると、ステップS12においてモード選択スイッチ31によりオートモードが選択されているか否かが判断され、オートモードが選択されていると判断された場合にはステップS13において当該パワーウインドモータ14b,14c,14dはオート作動し、反対に、ステップS12においてオートモードが操作されていないと判断された場合にはマニュアルモードであると判断されて、ステップS14において当該パワーウインドモータ14b,14c,14dはマニュアル作動する。
【0042】
このように、このパワーウインド装置11では、メインスイッチユニット21にモード選択スイッチ31を設け、メインスイッチユニット21に設けられる開閉スイッチ22b,22c,22dや各ドア12b,12c,12dに個別に設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dが操作されたときには、モード選択スイッチ31により選択された作動モードで助手席や左右の後部座席のパワーウインドモータ14b,14c,14dを作動制御するようにしたので、メインスイッチユニット21や各ドア12b,12c,12dにマニュアル操作用のスイッチとオート操作用のスイッチとを設けることなく、各ウインドガラス13b,13c,13dをオートモードとマニュアルモードで操作することができる。したがって、運転席以外の各ドア12b,12c,12dのウインドガラス13b,13c,13dをオートモードとマニュアルモードとで操作可能な構成としても、このパワーウインド装置11の回路構成が複雑化することを防止して、そのコストを低減することができる。
【0043】
また、このパワーウインド装置11では、助手席や左右の後部座席の各ドア12b,12c,12dに設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dが操作されたときにも、モード選択スイッチ31により選択されたモードでパワーウインドモータ14b,14c,14dを作動制御するようにしたので、助手席や左右の後部座席においてもマニュアル操作用のスイッチとオート操作用のスイッチとを設けることなく、各ウインドガラス13b,13c,13dをオートモードとマニュアルモードで操作することができる。したがって、助手席や左右の後部座席に設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dによりウインドガラス13b,13c,13dをオートモードとマニュアルモードとで操作可能な構成としても、各ドア12b,12c,12dにおける回路構成を簡素化して、このパワーウインド装置11のコストを低減することができる。
【0044】
さらに、このパワーウインド装置11では、助手席や左右の後部座席に設けられるパワーウインドモータ14b,14c,14dのサブコントローラ16b,16c,16dをメインスイッチユニット21に設けられるメインコントローラ25とシリアル通信線26により接続し、メインコントローラ25から入力されるシリアル信号に基づいて各パワーウインドモータ14b,14c,14dの作動を制御するようにしたので、運転席以外に複数のパワーウインドモータを設ける構成としても、このパワーウインド装置11の回路構成を簡素化して、そのコストを低減することができる。
【0045】
さらに、このパワーウインド装置11では、モード選択スイッチ31をロック位置に切り替えることにより、助手席や左右の後部座席に設けられる個別開閉スイッチ27b,27c,27dによるウインドガラス13b,13c,13dの操作を禁止するようにしたので、モード選択スイッチ31とは別にロックスイッチを設けることを不要として、このパワーウインド装置11の回路構成を簡素化し、そのコストを低減することができる。
【0046】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、本実施の形態においては、複数のパワーウインドモータ14a〜14dを備えたパワーウインド装置11に本発明を適用しているが、これに限らず、車両に設けられる複数の開閉体を自動的に開閉させる装置であれば、例えば車両の側部ドアや後部ドア、またトランクなど、他の開閉体を開閉する自動開閉装置に本発明を適用してもよい。
【0047】
また、本実施の形態においては、運転席のパワーウインドモータ14aにはメインスイッチユニット21のメインコントローラ25とは別にサブコントローラ16aが設けられ、DR開閉スイッチ22aとオートスイッチ24はそれぞれサブコントローラ16aに接続されているが、これに限らず、DR開閉スイッチ22aとオートスイッチ24とをメインコントローラ25に接続し、当該メインコントローラ25からシリアル通信線26を介して運転席のパワーウインドモータ14aのサブコントローラ16aに制御信号を送るようにしてもよい。
【0048】
さらに、本実施の形態においては、本発明を運転席用と助手席用と左右の後部座席用の合計4つのパワーウインドモータ14a〜14dを備えたパワーウインド装置11に適用しているが、これに限らず、例えば、2ドアの車両に対応して、運転席用と助手席用の2つのパワーウインドモータのみが設けられたパワーウインド装置に本発明を適用するようにしてもよく、また、4つ以上のパワーウインドモータを備えたパワーウインド装置に本発明を適用してもよい。
【0049】
また、本実施の形態においては、パワーウインドモータとして機電一体型のモータを用いているが、これに限らず、電動モータとサブコントローラとを別体としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態であるパワーウインド装置を示す回路図である。
【図2】(a)〜(c)は、それぞれモード選択スイッチの選択状態を示す正面図である。
【図3】メインコントローラと各サブコントローラとの間で通信されるシリアル信号の一例を示すチャート図である。
【図4】各パワーウインドモータの制御手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0051】
11 パワーウインド装置(車両用自動開閉装置)
12a 運転席のドア
12b 助手席のドア
12c 右後部座席のドア
12d 左後部座席のドア
13a ウインドガラス(主開閉体)
13b,13c,13d ウインドガラス(副開閉体)
14a パワーウインドモータ(主駆動部)
14b,14c,14d パワーウインドモータ(副駆動部)
15a,15b,15c,15d 電動モータ
16a サブコントローラ
16b,16c,16d サブコントローラ(制御部)
17a,17b,17c,17d 位置検出センサ
21 メインスイッチユニット(集中操作部)
22a 運転席用開閉スイッチ(主開閉スイッチ)
22b 助手席用開閉スイッチ(副開閉スイッチ)
22c 右後部座席用開閉スイッチ(副開閉スイッチ)
22d 左後部座席用開閉スイッチ(副開閉スイッチ)
23 接地端子
24 オートスイッチ
25 メインコントローラ(制御手段)
26 シリアル通信線
27b 助手席用個別開閉スイッチ(個別開閉スイッチ)
27c 右後部座席用個別開閉スイッチ(個別開閉スイッチ)
27d 左後部座席用個別開閉スイッチ(個別開閉スイッチ)
31 モード選択スイッチ
31a つまみ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる主開閉体と副開閉体とを自動的に開閉する車両用自動開閉装置であって、
前記主開閉体を開閉駆動する主駆動部と、
前記副開閉体を開閉駆動する副駆動部と、
前記主開閉体の開閉を指令する主開閉スイッチと前記副開閉体の開閉を指令する副開閉スイッチとを備えた集中操作部と、
前記集中操作部に設けられ、前記副駆動部の作動モードを選択するモード選択スイッチと、
前記集中操作部に設けられ、前記副開閉スイッチが操作されたときに前記モード選択スイッチにより選択された作動モードで前記副駆動部の作動を制御する制御手段とを有することを特徴とする車両用自動開閉装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用自動開閉装置において、前記モード選択スイッチは、前記副開閉スイッチが操作されている間のみ前記副駆動部を作動させる手動作動モードと、前記副開閉スイッチが操作されると前記副開閉体が全開位置または全閉位置に達するまで前記副駆動部を自動的に作動させる自動作動モードとを選択可能であることを特徴とする車両用自動開閉装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用自動開閉装置において、前記主開閉体は前記車両の運転席のドアに設けられるウインドガラスであり、前記副開閉体はそれぞれ前記車両の助手席のドアおよび左右の後部座席のドアに設けられるウインドガラスであることを特徴とする車両用自動開閉装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用自動開閉装置において、前記集中操作部を前記運転席のドアに設け、前記助手席のドアおよび左右の前記後部座席のドアのそれぞれに当該ドアに設けられるウインドガラスの開閉を指令する個別開閉スイッチを設け、前記個別開閉スイッチが操作されたときにも、前記モード選択スイッチにより選択された作動モードで前記副駆動部の作動が制御されることを特徴とする車両用自動開閉装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両用自動開閉装置において、前記モード選択スイッチは、前記個別開閉スイッチによる前記ウインドガラスの開閉操作を禁止するロックモードを選択可能であることを特徴とする車両用自動開閉装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用自動開閉装置において、前記副駆動部には、その駆動源となる電動モータと制御部が設けられ、前記制御部と前記制御手段とはシリアル通信線により接続され、前記副開閉スイッチが操作されたときには、前記制御手段から前記シリアル通信線を介して入力される制御信号に基づいて前記制御部により前記電動モータの作動が制御されることを特徴とする車両用自動開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−19625(P2008−19625A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192404(P2006−192404)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】