説明

車両用表示器点灯回路

【課題】表示器の点灯制御を行う制御回路が停止した場合であれ、表示器を点灯することができる車両用表示器点灯回路を提供する。
【解決手段】LED11の給電経路として、第1の電気回路22を経由する第1の経路(矢印A1)と、第2の電気回路23を経由する第2の経路(矢印A4)とを設けた。マイコン21の停止に伴い、LED11への給電経路は、第1の経路から第2の経路へ自動的に切り替わる。マイコン21が動作している状態で車幅灯のスイッチがオンにされたときには第1の経路で、マイコン21が停止している状態で車幅灯がオンにされたときには第2の経路で、それぞれLED11に電流が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に設けられる表示器の点灯を制御する点灯回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の状態あるいは異常を表示する表示器の点灯を制御する点灯回路として、たとえば特許文献1に記載される構成が知られている。図3に示すように、点灯回路のMPU(Micro Processing Unit)71は、トランジスタ72のオンオフ制御を通じて表示器73の点灯制御を行う。表示器73は、警告の内容を示すマーク74、および発光ダイオード75を有している。トランジスタ72がオンすると、発光ダイオード75が点灯してマーク74が照明される。MPU71は、センサなどを通じて取得される表示器73の点灯情報あるいは消灯情報に基づき、発光ダイオード75のPWM(パルス幅変調)制御を行う。MPU71は、発光ダイオード75を点灯または消灯させる際、トランジスタ72へ供給するPWM(パルス幅変調)信号のデューティ比を変化させることにより、発光ダイオード75の輝度を徐々に変化させる。これにより、少しずつ明るくなるフェードイン特性、あるいは少しずつ暗くなるフェードアウト特性を有する点灯制御が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−325324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の点灯回路においては、車両の電源ポジションがオフにされるとMPU71の動作が停止するので、表示器73を点灯させることが困難となる。近年では、MPU71が停止したときであれ、表示器73を点灯させることが要求される場合もある。
【0005】
本発明は上記の要求を満足するためになされたものであって、その目的は、表示器の点灯制御を行う制御回路が停止した場合であれ、表示器を点灯することができる車両用表示器点灯回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、イグニッション電源を動作電源とする制御回路を備え、当該制御回路は、車両の状況あるいは異常を表示する表示器への給電を制御する車両用表示器点灯回路において、前記表示器への給電経路として、前記制御回路の動作を通じて閉路する第1の経路、および前記制御回路の動作を通じて開路する第2の経路を備え、前記制御回路の動作が停止したとき、前記第1の経路が開路する一方、前記第2の経路が閉路することにより、前記表示器への給電経路が、前記第1の経路から前記第2の経路へ自動的に切り替わることを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、イグニッション電源がオフされたとき、制御回路の動作は停止する。このため、第1の経路を通じた表示器への給電も行われなくなる。しかし、制御回路の動作が停止したときには、表示器への給電経路が第1の経路から第2の経路へ自動的に切り替わることにより、当該第2の経路を通じた表示器への給電が可能となる。したがって、制御回路が停止した場合であれ、表示器を点灯させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用表示器点灯回路において、前記制御回路の動作が再開されたとき、前記表示器への給電経路が、前記第2の経路から前記第1の経路へ自動復帰することをその要旨とする。
【0009】
この構成によれば、制御回路の動作が再開されたとき、表示器への給電経路が第2の経路から第1の経路へ自動復帰することにより、表示器は、再び制御回路による給電制御を通じて点灯する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の車両用表示器点灯回路において、前記制御回路の動作を通じてオンオフ動作することにより前記第1の経路を開閉する第1のスイッチング素子と、前記第2の経路を開閉する第2のスイッチング素子と、常時電源を動作電源とする信号発生回路からの信号に基づくスイッチング動作を通じて前記第2のスイッチング素子をオンオフ制御する第3のスイッチング素子と、前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間の経路を開閉する第4のスイッチング素子と、備え、前記第4のスイッチング素子がオンされているとき、前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間の信号伝達が遮断される一方、前記第4のスイッチング素子がオフされているとき、前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間の信号伝達が許可され、前記第4のスイッチング素子は、前記制御回路が動作している間はオンした状態に、前記制御回路が停止している間はオフした状態に維持されることをその要旨とする。
【0011】
この構成によれば、第1〜第4のスイッチング素子の動作が、制御回路の動作の有無に連動する。すなわち、制御回路の動作の停止および再開に連動して、第1〜第4のスイッチング素子のオンオフ状態が切り替わることにより、表示器への給電経路が、第1の経路と第2の経路との間で簡単に切り替えられる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用表示器点灯回路において、前記信号発生回路は、パルス状の信号を生成するとともに、手動操作を通じて当該信号のデューティ比を調節可能としたレオスタットであり、前記制御回路は、前記レオスタットからの信号を取り込み、当該取り込まれる信号に基づく前記第1のスイッチング素子のオンオフ制御を通じて前記表示器の輝度を制御することをその要旨とする。
【0013】
この構成によれば、制御回路が動作しているとき、制御回路はレオスタットからの信号のデューティ比に基づく第1のスイッチング素子のオンオフ制御を通じて、表示器の輝度を制御する。また、制御回路の動作が停止して、表示器の給電経路が第1の経路から第2の経路へ切り替えられたときには、第3のスイッチング素子は、表示器の輝度を調節するレオスタットの信号のデューティ比に応じたスイッチング動作を通じて、第2のスイッチング素子をオンオフ制御する。すなわち、レオスタットからの信号を利用して、表示器への給電を制御することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両用表示器点灯回路において、前記制御回路は、前記取り込まれるレオスタットからの信号のデューティ比と同じデューティ比で前記第1のスイッチング素子のオンオフ制御を行うことをその要旨とする。
【0015】
この構成によれば、制御回路が動作しているとき、制御回路はレオスタットからの信号のデューティ比と同じデューティ比で前記第1のスイッチング素子のオンオフ制御を行う。また、制御回路の動作が停止して、表示器の給電経路が第1の経路から第2の経路へ切り替えられたときには、レオスタットにおいて生成される信号のデューティ比に応じて、表示器への給電がオンオフ制御される。このため、制御回路の動作の有無にかかわらず、表示器の輝度は同じになる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の車両用表示器点灯回路において、前記表示器の点灯条件が成立したとき、当該表示器への給電が行われることをその要旨とする。
【0017】
この構成によれば、表示器の点灯条件が成立したとき、表示器への給電が行われる。このため、表示器が無駄に点灯されることがない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、表示器の点灯制御を行う制御回路が停止した場合であれ、表示器を点灯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態における電源ポジションがオンされたときの電流経路を示す点灯制御回路の回路図。
【図2】同じく電源ポジションがオフされたときの電流経路を示す点灯制御回路の回路図。
【図3】従来の点灯制御回路の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る車両用の表示器点灯回路を具体化した一実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。
図1に示すように、点灯回路10は、車両の計器盤などに設けられる照明用のLED(発光ダイオード)11の点灯を制御する。LED11は、計器盤に設けられる警告灯あるいは表示灯、またはセンターパネルなどに設けられる各種のスイッチノブの照光面を内側から照明する。LED11は、抵抗12を介して、イルミネーション電源のプラス端子(ILL+)13に接続される。プラス端子13には、車幅灯のスイッチがオンされたときに、常時電源であるバッテリーの電圧が印加される。なお、車幅灯のスイッチは、方向指示レバーの先端部にロータリスイッチとして設けられる。
【0021】
点灯回路10は、マイコン(マイクロコンピュータ)21、第1の電気回路22、第2の電気回路23およびレオスタット24を備えてなる。
<第1の電気回路>
第1の電気回路22は、第1のトランジスタ31、および2つの抵抗32,33を備えている。第1のトランジスタ31は、NPN型のバイポーラトランジスタである。第1のトランジスタ31のベースは、抵抗32を介してマイコン21に接続されている。第1のトランジスタ31のコレクタ端子はLED11のカソードに、同じくエミッタ端子はグランドに接続されている。また、抵抗32と第1のトランジスタ31のエミッタとの間には、抵抗33が接続されている。
【0022】
車幅灯のスイッチがオンされている状態で、第1のトランジスタ31のベースに、ハイレベルの信号(5V)が印加されると、第1のトランジスタ31のコレクタとエミッタとの間が導通して、電気負荷であるLED11に電流が流れる。
【0023】
<第2の電気回路>
第2の電気回路23は、第2のトランジスタ41、第3のトランジスタ42、および第4のトランジスタ43を備えている。第2および第3のトランジスタ41,42は、NPN型のバイポーラトランジスタである。第4のトランジスタ43は、PNP型のバイポーラトランジスタである。
【0024】
第2のトランジスタ41のベースは直列接続された2つの抵抗44,45を介して第4のトランジスタ43のコレクタに、同じくコレクタはLED11のカソードに、同じくエミッタはグランドに接続されている。また、第2のトランジスタ41のエミッタと、抵抗44との間には、抵抗46が接続されている。
【0025】
第3のトランジスタ42のベースは抵抗47を介してマイコン21に、同じくコレクタは2つの抵抗44,45の間の接続点に、同じくエミッタはグランドに接続されている。また、第3のトランジスタ42のエミッタと抵抗47との間には、抵抗48が接続されている。
【0026】
第4のトランジスタ43のエミッタはプラス端子13に、同じくベースは抵抗49およびイルミネーション電源のマイナス端子50を介してレオスタット24に接続されている。
【0027】
<レオスタット>
レオスタット24は、第5のトランジスタ51を備えている。第5のトランジスタ51は、NPN型のバイポーラトランジスタである。第5のトランジスタ51のエミッタはグランドに、同じくコレクタはマイナス端子50にそれぞれ接続されている。また、第5のトランジスタ51のベースは、図示しない制御回路に接続されている。当該制御回路は、PWM(パルス幅変調)信号を生成し、この生成したPWM信号を第5のトランジスタ51のベースに印加する。また、当該制御回路は、車室内に設けられるレオスタットスイッチ(図示略)の操作量に応じて、PWM信号のデューティ比を変化させる。マイナス端子50には、第5のトランジスタ51のコレクタを介して、ベースに印加されるPWM信号を反転したパルス信号であるレオスタット信号が印加される。なお、レオスタット24は、バッテリーなどの常時電源の電力により動作する。
【0028】
<マイコン>
マイコン21は、I/F(インターフェース)回路61を介してIG端子(IG+)62に接続されている。車両の電源ポジションがオンとされたとき、IG端子62にはバッテリーの電圧が印加される。IG端子62に印加される電圧は、I/F回路61を介してマイコン21に動作電源として供給される。マイコン21は、IG端子62からの電圧を検出すると、自身に内蔵されたPWM制御機能を使用して、LED11のPWM制御を自動的に開始する。すなわち、マイコン21は、PWM信号を生成して、この生成したPWM信号を第1のトランジスタ31のベースに印加する。
【0029】
また、マイコン21は、車両の電源ポジションがオンとされている間(IG端子62からの電圧を検出している間)においては、第3のトランジスタ42のベースをハイレベルに維持する。
【0030】
また、マイコン21には、I/F回路63を介してマイナス端子50に接続されている。マイコン21は、I/F回路63を介して取り込まれるレオスタット信号のデューティ比に応じて、第1のトランジスタ31のベースに印加するPWM信号のデューティ比を変化させる。なお、デューティ比とは、パルス信号の一周期におけるハイレベルである時間の割合である。
【0031】
<点灯回路の動作>
つぎに、点灯回路10の動作を説明する。
<IG:ON>
まず、車両の電源ポジションがオンとされたときの点灯回路10の動作を説明する。車両の電源ポジションがオンとされると、マイコン21は、PWM信号の生成を開始し、この生成したPWM信号を第1のトランジスタ31に供給する。しかし、車両の電源ポジションがオンとされている場合であっても、車幅灯のスイッチがオフとされているときには、プラス端子13にイルミネーション電源が供給されないので、LED11に電流が流れることはない。すなわち、マイコン21からのPWM制御出力は維持されるものの、LED11は消灯した状態に保たれる。
【0032】
車両の電源ポジションがオンとされた状態で、車幅灯のスイッチがオンとされたとき、第1のトランジスタ31は、マイコン21から供給されるPWM信号のディーティ比に応じて、オンオフを繰り返す。その結果、LED11には、PWM信号のデューティ比に応じて電流が流れる。
【0033】
具体的には、第1のトランジスタ31がオンのとき、プラス端子13からの電流は、図1に矢印A1で示されるように、抵抗12、LED11、第1のトランジスタ31、グランドの順に流れる。LED11は、第1のトランジスタ31がオンしている時間だけ点灯する。これに対して、第1のトランジスタ31がオフのときには、LED11に電流は流れない。LED11は、第1のトランジスタ31がオフしている時間だけ消灯する。
【0034】
このように、PWM信号のデューティ比に応じて、第1のトランジスタ31がオンおよびオフを繰り返すことにより、LED11は高速で点灯および消灯を繰り返す。その結果、見かけ上、LED11は点灯状態が継続しているように見える。LED11の単位時間当たりの点灯時間が長いほど人の目には明るく感じられ、逆に単位時間当たりの点灯時間が短いほど人の目には暗く感じられる。すなわち、マイコン21において、PWM信号のデューティ比を変化させることにより、LED11の明るさ(輝度)が制御される。バッテリーの電圧、ひいてはプラス端子13に印加されるイルミネーション電源の電圧は変動することが考えられるものの、LED11はPWM信号のデューティ比に応じて点滅するので、LED11の見かけ上の輝度は一定に保たれる。
【0035】
ここで、レオスタット24において生成されるレオスタット信号は、I/F回路63を介してマイコン21に供給される。マイコン21は、レオスタット信号のデューティ比に応じて、第1のトランジスタ31に供給するPWM信号のデューティ比を変更する。すなわち、レオスタットスイッチの操作を通じて、レオスタット信号のデューティ比を変更することにより、LED11の輝度を調整することができる。
【0036】
また、レオスタット24において生成されるレオスタット信号は、抵抗49を介して第4のトランジスタ43のベースにも印加される。第4のトランジスタ43は、レオスタット信号のデューティ比に応じて、オンオフを繰り返す。しかしいま、車両の電源ポジションはオンとされているので、第3のトランジスタ42は、オンした状態に維持されている。このため、車幅灯のスイッチがオンとされているとき、プラス端子13からの電流は、図1に矢印A2で示すように、第4のトランジスタ43、抵抗45、第3のトランジスタ42、グランドの順に流れる。このため、第2のトランジスタ41はオフした状態に維持される。このように、車両の電源ポジションがオンされた状態においては、第2の電気回路23の動作は停止した状態に維持される。
【0037】
<IG:OFF>
つぎに、車両の電源ポジションがオフとされたときの点灯回路10の動作を説明する。車両の電源ポジションがオフとされると、マイコン21は、PWM信号の生成を停止する。その結果、第1のトランジスタ31は停止した状態に維持される。すなわち、第1の電気回路22の動作は停止した状態に維持されて、LED11のPWM制御は行われない。
【0038】
しかし、本例では、車両の電源ポジションがオフとされている場合であっても、車幅灯のスイッチがオンとされたときには、第2の電気回路23の動作を通じて、LED11が点灯する。すなわち、車両の電源ポジションがオフにされると、マイコン21の動作が停止するため、PWM信号が生成されないだけでなく、第3のトランジスタ42のベースがローレベルに維持される。このため、先の図1に矢印A2で示される経路で電流が流れることはない。
【0039】
ここで、レオスタット24は、常時電源であるバッテリーの電力を使用して動作を継続している。前述したように、レオスタット24において生成されるレオスタット信号は、抵抗49を介して第4のトランジスタ43のベースに印加される。第4のトランジスタ43は、レオスタット信号のデューティ比に応じて、オンオフを繰り返す。なお、第4のトランジスタ43は、PNP型のバイポーラトランジスタであるので、ベースがローレベルとされることによりオンする。
【0040】
このため、第3のトランジスタ42がオフした状態で、車幅灯のスイッチがオンにされると、プラス端子13からの電流は、図2に矢印A3で示すように、第4のトランジスタ43、抵抗45、抵抗44、抵抗46、グランドの順に流れる。すると、第2のトランジスタ41のベースに、抵抗44,45の電圧降下に応じた電圧が印加されることにより、第2のトランジスタ41がオンする。第2のトランジスタ41がオンすると、プラス端子13からの電流は、図2に矢印A4で示すように、抵抗12、LED11、第2のトランジスタ41、グランドの順に流れる。そして、第2のトランジスタ41は、第4のトランジスタ43と同様に、レオスタット信号のデューティ比に応じてオンオフを繰り返す。LED11は、レオスタット信号のデューティ比に応じて高速で点灯および消灯を繰り返すことにより、見かけ上、連続して点灯して見える。なお、レオスタットスイッチの操作を通じてレオスタット信号のデューティ比が変更されたときには、当該変更後のデューティ比に応じてLED11の見かけ上の輝度も変化する。
【0041】
このように、車両の電源ポジションがオンポジションからオフポジションへ切り替えられたときには、第3のトランジスタ42がオフとされることにより、LED11の給電経路が第1の電気回路22を経由する経路から、第2の電気回路23を経由する経路へ切り替わる。具体的には、第1のトランジスタ31がオフされることにより、LED11に抵抗12を介して接続されたプラス端子13からの電流の経路が、図1の矢印A1で示される経路から図2の矢印A4で示される経路へ切り替わる。また、第3のトランジスタ42がオフされることにより、第4のトランジスタ43に接続されたプラス端子13からの電流の経路が、図1の矢印A2で示される経路から図2の矢印A3で示される経路へ切り替わる。
【0042】
なお、車両の電源ポジションが再びオンポジションとされたときには、第3のトランジスタ42がオンとされることにより、LED11の給電経路が第2の電気回路23を経由する経路から、第1の電気回路22を経由する経路へ復帰する。
【0043】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)LED11の給電経路として、図1に矢印A1で示される第1の経路と、図2に矢印A4で示される第2の経路とを設けた。マイコン21が動作している状態で車幅灯のスイッチがオンにされたときには第1の経路で、マイコン21が停止している状態で車幅灯がオンにされたときには第2の経路で、それぞれLED11に電流が供給される。マイコン21の停止に伴い、LED11の給電経路は、第1の経路から第2の経路へ、自動的に切り替わる。このため、マイコン21が停止した場合であれ、車幅灯のスイッチがオンにされたときには、第2の経路を通じてLED11に電流が流れて、LED11が点灯する。
【0044】
(2)マイコン21の動作が再開されたとき、LED11への給電経路が、第2の経路から第1の経路へ自動復帰する。このため、マイコン21の動作が再開されたとき、LED11は、再びマイコン21による給電制御を通じて点灯する。LED11の輝度は、マイコン21による制御により一定に保たれる。
【0045】
(3)第1〜第4のトランジスタ31,41,42,43の動作が、マイコン21の動作の有無に連動する。すなわち、マイコン21の動作の停止および再開に連動して、第1〜第4のトランジスタ31,41,42,43のオンオフ状態が切り替わることにより、LED11への給電経路が、第1の経路と第2の経路との間で簡単に切り替えられる。
【0046】
(4)LED11への給電経路が第1の経路から第2の経路へ切り替えられたとき、LED11の輝度を調節するレオスタット24のレオスタット信号を利用して、LED11への給電を制御することができる。レオスタット24は、常時電源からの電力により動作するので、マイコン21が停止したときであれ、動作を継続する。レオスタット24において生成されるレオスタット信号のデューティ比に応じて、LED11を点灯させることができる。
【0047】
(5)LED11の点灯条件が成立したとき、すなわち車幅灯のスイッチがオンされたとき、LED11への給電が行われる。このため、LED11が無駄に点灯されることがない。
【0048】
(6)車両の電源ポジションがオフのときでも、レオスタット24からのレオスタット信号(PWM出力)のデューティ比に応じた輝度でLED11を点灯させることができる。また、車両の電源ポジションがオンのとき、マイコン21は、レオスタット24からのレオスタット信号のデューティ比に応じて、第1のトランジスタ31へ印加するPWM信号のデューティ比を調整することにより、LED11の輝度を制御する。このため、第1のトランジスタ31へ印加するPWM信号のデューティ比をレオスタット信号のデューティ比と同じとする場合には、車両の電源ポジションのオンオフによらず、LED11の輝度を同じにすることが可能となる。LED11の輝度は、車両の電源ポジションのオンオフ、すなわちマイコン21の動作の有無に関わらず、レオスタット信号のデューティ比に応じたものとなる。なお、第1のトランジスタ31へ印加するPWM信号のデューティ比は、必ずしもレオスタット信号のデューティ比と同じにしなくてもよい。
【0049】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・バイポーラ型の第1〜第5のトランジスタ31,41,42,43,51を、FET(電界効果トランジスタ)に置換してもよい。
【0050】
・本例では、LED11の点灯条件として、車幅灯のスイッチがオンされたときに、LED11への給電が行われるようにしたが、つぎのようにしてもよい。たとえば車両の周囲の照度を検出するセンサを設け、当該センサにより検出される照度が閾値未満となったとき、LED11を点灯させる。また、車両の異常(各種の車載制御システムの異常など)の発生、あるいはシートベルトを着用していない旨などを示す各種の警告信号が検出されることを、LED11の点灯条件としてもよい。
【0051】
・本例では、単一のLED11を点灯制御する例を示したが、複数個のLED11を並列に接続して、これらLED11を同時に点灯および消灯する構成を採用してもよい。各LED11は、異なるスイッチ、警告灯、あるいはインジケータの照光面に対応して設けられる。
【0052】
・本例では、レオスタット24は、車載のバッテリーの電力を使用して動作するようにしたが、常時電源としてレオスタット24の専用電池(一次電池、二次電池)を設けてもよい。
【0053】
・本例では、車幅灯のスイッチがオンされたときにLED11を点灯させるようにしたが、常時点灯させるようにしてもよい。この場合、LED11は、イルミネーション電源ではなくバッテリー(B+)などの常時電源に接続する。
【0054】
・レオスタット24に代えて、バッテリーなどの常時電源をマイナス端子50に接続する構成を採用してもよい。このようにしても、マイコン21が停止して、第3のトランジスタ42がオフされたとき、LED11の給電経路は、図1に矢印で示される第1の経路から、図2に矢印A4で示される第2の経路へ切り替わる。
【0055】
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)請求項5に記載の車両用表示器点灯回路において、前記点灯条件は、車幅灯がオンされることである車両用表示器点灯回路。この構成によれば、表示を確認したい旨のユーザの意思が認識されるとき、表示器が点灯される。
【符号の説明】
【0056】
11…LED(表示器)、21…マイコン(制御回路)、24…レオスタット(信号発生回路)、31…第1のトランジスタ(第1のスイッチング素子)、41…第2のトランジスタ(第2のスイッチング素子)、42…第3のトランジスタ(第4のスイッチング素子)、43…第4のトランジスタ(第3のスイッチング素子)、62…IG端子(イグニッション電源)、A1…第1の経路、A4…第2の経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イグニッション電源を動作電源とする制御回路を備え、当該制御回路は、車両の状況あるいは異常を表示する表示器への給電を制御する車両用表示器点灯回路において、
前記表示器への給電経路として、前記制御回路の動作を通じて閉路する第1の経路、および前記制御回路の動作を通じて開路する第2の経路を備え、
前記制御回路の動作が停止したとき、前記第1の経路が開路する一方、前記第2の経路が閉路することにより、前記表示器への給電経路が、前記第1の経路から前記第2の経路へ自動的に切り替わる車両用表示器点灯回路。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用表示器点灯回路において、
前記制御回路の動作が再開されたとき、前記表示器への給電経路が、前記第2の経路から前記第1の経路へ自動復帰する車両用表示器点灯回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用表示器点灯回路において、
前記制御回路の動作を通じてオンオフ動作することにより前記第1の経路を開閉する第1のスイッチング素子と、
前記第2の経路を開閉する第2のスイッチング素子と、
常時電源を動作電源とする信号発生回路からの信号に基づくスイッチング動作を通じて前記第2のスイッチング素子をオンオフ制御する第3のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間の経路を開閉する第4のスイッチング素子と、備え、
前記第4のスイッチング素子がオンされているとき、前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間の信号伝達が遮断される一方、前記第4のスイッチング素子がオフされているとき、前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間の信号伝達が許可され、
前記第4のスイッチング素子は、前記制御回路が動作している間はオンした状態に、前記制御回路が停止している間はオフした状態に維持される車両用表示器点灯回路。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用表示器点灯回路において、
前記信号発生回路は、パルス状の信号を生成するとともに、手動操作を通じて当該信号のデューティ比を調節可能としたレオスタットであり、
前記制御回路は、前記レオスタットからの信号を取り込み、当該取り込まれる信号に基づく前記第1のスイッチング素子のオンオフ制御を通じて前記表示器の輝度を制御する車両用表示器点灯回路。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用表示器点灯回路において、
前記制御回路は、前記取り込まれるレオスタットからの信号のデューティ比と同じデューティ比で前記第1のスイッチング素子のオンオフ制御を行う車両用表示器点灯回路。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の車両用表示器点灯回路において、
前記表示器の点灯条件が成立したとき、当該表示器への給電が行われる車両用表示器点灯回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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