説明

車両用表示装置

【課題】利用者による簡単な操作によって、認識し易く且つ好みの明るさに調節可能な表示を行う車両用表示装置を提供する。
【解決手段】
斯かる車両用表示装置は、車両情報を表示する第1の表示部2と、前記車両情報の表示を加飾表示する第2の表示部3と、第1、第2の表示部2,3を照明する第1,第2の光源22,23の照明輝度を調整するための操作スイッチ(入力手段)1と、操作スイッチ1に基づいて、第1,第2の表示部2,3の表示輝度を調整する制御手段5と、を備えた車両用表示装置であって、制御手段5は、操作スイッチ1からの信号に基づいて第1、第2の表示部2,3それぞれの目標輝度を設定して第1,第2の光源22,23を制御するとともに、第1の表示部2の第1の光源22が所定目標輝度値以下の場合に、第2の表示部3の表示を停止してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被照明体となる表示部を照明する複数の光源を備えた車両用表示装置であって、特に、照明輝度を変更できる調光機能の備えた車両用表示装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置として、見栄えのある斬新な表示をするために、様々な方法が提案されており、例えば、目盛などの指標を備えた文字板の外周に発光表示する枠状の加飾部を備えたものが知られている。
【0003】
また、特許文献1に開示されるように、複数の光源からの光を加飾部である導光体に入射させて、この導光体をその長手方向(外枠の方向)に均一に発光させるものがあり、具体的には、表示意匠を設けてなる文字板と、この文字板の前面に沿って回動する指針と、文字板の表面に設けられる導光体と、文字板の背後に配置された光源などを備えている。
【0004】
これらの車両用表示装置は、利用者の好みに応じて最適な表示輝度にて表示されるように、文字板、指針、導光体等を照明する光源の照明輝度を調整するためのスイッチ(入力手段)と、このスイッチに基づいて、光源の照明輝度を調整する制御手段とを備えることによって、調光できるように構成されるものが望まれている。
【特許文献1】特開2002−228493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、導光体による加飾によって見栄え良く表示できる一方、例えば、夜間など車両用表示装置の表示輝度が利用者の好みよりも明るすぎ、表示輝度をスイッチを用いて輝度を小さくする操作した場合であっても、指針の指示位置など車両情報が視認し難くならない表示輝度を確保しなければならないため、利用者の好みに対して余計な明るさで表示しなければならないといった問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的とするところは、上述した課題に着目してなされたものであって、利用者による簡単な操作によって、認識し易く且つ好みの明るさに調節可能な表示を行う車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用表示装置は、請求項1に記載したように、車両情報を表示する第1の表示部と、前記車両情報の表示を加飾表示する第2の表示部と、前記第1、第2の表示部を照明する光源の照明輝度を調整するための入力手段と、前記入力手段に基づいて、前記第1,第2の表示部の表示輝度を調整する制御手段と、を備えた車両用表示装置であって、前記制御手段は、前記入力手段からの信号に基づいて前記第1、第2の表示部それぞれの目標輝度を設定して前記光源を制御するとともに、前記第1の表示部が所定目標輝度値以下の場合に、前記第2の表示部の表示を停止してなることを特徴とする車両用表示装置。
【0008】
また、請求項2に記載したように、請求項1に記載の車両用表示装置において、前記第1の表示部は、表示パネルとこの表示パネルを透過照明する第1の光源と設けてなり、前記第2の表示部は、導光部材とこの導光部材を透過照明する第2の光源とを設けてなり、
前記制御手段は、前記第2の光源を消灯することによって前記第2の表示部の表示を停止することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載したように、請求項1に記載の車両用表示装置において、前記第1の表示部からの表示を透過するとともに、前記第2の表示部からの表示像を反射する透過反射手段を備え、前記第1,第2の表示部は、この透過反射手段を用いて合成表示してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、表示部を照明する複数の光源を設けてなり、光源の照明輝度を変更できる調光機能の備えた車両用表示装置に関して、利用者による簡単な操作によって、認識し易く且つ好みの明るさに調節可能な表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明が適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明を調光可能な車両用計器に適用した実施例であり、照明構造に関する電気的構成を示すブロック図である。車両用計器は、操作スイッチ1と、第1の表示部2と、第2の表示部3と、透過反射手段4と、制御手段5と、を備えている。
【0013】
操作スイッチ1は、利用者の押し圧操作によって入力操作を行うためのものであり、操作に基づく信号を制御手段5へ出力するものである。この場合、操作スイッチ1は、第1の表示部2及び第2の表示部3の表示輝度を調光するための専用スイッチであり、例えば、インストルメントパネル、車両用計器、ステアリングなど利用者が車両運転席に着座状態で操作可能な位置に設けることができる。また、操作スイッチ1は、操作回数や操作時間、操作量、操作方向に応じた信号を制御手段5へ出力することができる。
【0014】
第1の表示部2は、車両情報を表示するための表示器であり、液晶を用いた表示パネル21と、この表示パネル21を透過照明するため表示パネル21の背後(利用者の反対側)に設けられる第1の光源22と、を備えている。この場合、第1の表示部2は、透過反射手段4を介して利用者(視認者)に対向して設けられ、制御手段5からの制御信号に基づいて表示像を形成し、車両の走行速度やエンジン回転数、走行距離などを表示することができる。なお、本実施の形態では、表示パネルを用いたものを示すが、例えば、照明用の光源を設けるとともに、制御手段5の制御信号に基づいて回動する指針と、この指針の指示対象となる目盛などの指標部を有する文字板とによって車両情報となる計測値を対比判読する、所謂アナログ表示器を適用することができる。
【0015】
第2の表示部3は、第1の表示部2の表示を加飾表示するための所定形状に形成された導光部材31と、この導光部材31を照明する第2の光源32と、を設けてなる。この場合、第2の表示部3は、車両用計器において直視できない位置に配置され、表示像が透過反射手段4によって利用者側へ反射して表示されるように設けられる。なお、本実施の形態では、所定の表示像を透過反射手段4に投影して表示する第2の表示部3を示したが、例えば、バックライト(第2の光源)を備えた液晶表示パネルなどを用いて、制御手段5からの制御信号に基づいて変化する車両情報の背景などを表示像として透過反射手段4へ投影出力することもできる。
【0016】
透過反射手段4は、例えば、ハーフミラーを適用でき、第1の表示部2からの表示像を利用者側に透過するとともに、第2の表示部3からの表示像を第1の表示部2からの表示像と合成して利用者側に反射するように設けられる。この場合、第2の表示部3の表示像は、第1の表示部2の表示を囲むような枠状の加飾意匠からなる。また、第1の表示部2と透過反射手段4との間の距離と、第2の表示部3と透過反射手段4との間の距離と、の差を持たせるように各部品2,3,4の位置や角度を設定することによって、立体感や奥行き感を演出することができる。
【0017】
制御手段5は、例えば、マイクロコンピュータを適用でき、操作スイッチ1からの信号に基づいて、第1,第2の表示器2,3が所望の明るさで照明されるように調光するために、第1,第2の光源22,32の目標輝度(照明輝度)を設定し、制御するものである。なお、本実施の形態における制御手段5は、車両に搭載される各種センサからの信号に基づいて車両情報となる計測値を演算し、第1の表示部2にて表示される表示像を生成して第1の表示部2を駆動制御するものと兼用される。
【0018】
また、制御手段5は、この場合、図2に示すように、車両情報の視認性を確保するため第1の表示器2の表示輝度が第2の表示器3の表示輝度よりも常に高くなり、且つ操作スイッチ1の押し圧操作時間や操作回数(調整値)に応じて段階的に照明輝度が変化するように第1の光源22の目標輝度t1と第2の光源32の目標輝度t2をそれぞれ演算し、これら目標輝度t1,t2になるようにパルス幅変調制御、または電流値調整制御(ゲイン調整制御)を用いた制御信号を光源22,32に出力し照明輝度を制御することができる。
【0019】
このような制御処理とともに制御手段5は、第1,第2の光源22,32の目標輝度t1,t2の値、或いは操作スイッチ1の調整値を監視し、第1の光源22の目標輝度t1が所定目標輝度値y以下に相当する場合に、第2の表示部の表示が停止されるように、第2の光源32を消灯制御する。従って、利用者が所定目標輝度値y以下になるように操作した場合には、第2の表示部3からの加飾表示を止めて、第1の表示部3からの表示像のみで表示することができるため、車両情報の視認性を損なうことなく、車両用計器から発する照明光の総量を低減して暗めの表示が可能となる。また、利用者は、調光のための操作スイッチ1によって調光操作するだけでよく、別の操作手段や操作手順の必要がないため、利用者にとって簡単な操作となる。
【0020】
なお、上述の実施の形態では、図2に示すように調整値に応じて段階的に照明輝度を変化させるものを示したが、別例として、図3に示すように、調整値に応じて第1,第2の光源22,32の照明輝度t11,t21を連続変化させることもできる。この際、制御手段5は、所定目標輝度値y1以下の場合、或いは所定目標輝度値y1以下に相当する操作スイッチ1の調整値x1以下の場合に、第2の光源32を消灯するように制御する。
【0021】
斯かる車両用表示装置は、車両情報を表示する第1の表示部2と、前記車両情報の表示を加飾表示する第2の表示部3と、第1、第2の表示部2,3を照明する第1,第2の光源22,23の照明輝度を調整するための操作スイッチ(入力手段)1と、操作スイッチ1に基づいて、第1,第2の表示部2,3の表示輝度を調整する制御手段5と、を備えた車両用表示装置であって、制御手段5は、操作スイッチ1からの信号に基づいて第1、第2の表示部2,3それぞれの目標輝度を設定して第1,第2の光源22,23を制御するとともに、第1の表示部2の第1の光源22が所定目標輝度値以下の場合に、第2の表示部3の表示を停止してなる。
【0022】
即ち、操作スイッチ1の調光操作に基づいて、第1,第2の表示部2,3の両方で表示する高輝度発光領域と、第1の表示部2のみで車両情報を表示する低輝度発光領域を有しているため、加飾表示可能な車両表示装置であっても、より低輝度で且つ視認性の良好な表示ができるため、調整可能範囲を大きく確保できるため、より多様な利用者の好みや仕様環境に適用できる。従って、利用者による簡単な操作によって、認識し易く且つ好みの明るさに調節可能な表示を行う車両用表示装置となる。
【0023】
第1の表示部2は、表示パネル21とこの表示パネル21を透過照明する第1の光源22と設けてなり、第2の表示部3は、導光部材31とこの導光部材31を透過照明する第2の光源32とを設けてなり、制御手段5は、第2の光源32を消灯することによって第2の表示部3の表示を停止することによって、第1,第2の表示部2,3の表示輝度をそれぞれ制御できる構成となり、利用者にとって、認識し易く且つ好みの明るさに調節可能な表示となる。
【0024】
また、第1の表示部2からの表示を透過するとともに、第2の表示部2からの表示像を反射する透過反射手段4を備え、第1,第2の表示部2,3は、この透過反射手段4を用いて合成表示してなることによって、立体感や奥行き感など加飾演出効果の高い車両用表示装置であっても、上述した効果を得ることが可能となる。
【0025】
なお、本発明の車両用表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。例えば、入力手段として操作スイッチ1ではなく、照度センサを用いて最適な照明輝度に自動調光する場合にあっても低輝度発光領域で背景を消灯するように構成でき、上述した実施の形態と同様な効果を得ることができる。また、表示パネル21としてバックライトの必要がない有機ELパネルなどを用いることができ、この場合、制御手段5による表示部の調光制御を有機ELパネルにて直接行うことで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図。
【図2】上述実施の形態の発光輝度と調整値の関係を示す図。
【図3】上述実施の形態の別例を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1 操作スイッチ(入力手段)
2 第1の表示器
22 第1の光源
3 第2の表示器
32 第2の光源
5 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報を表示する第1の表示部と、前記車両情報の表示を加飾表示する第2の表示部と、
前記第1、第2の表示部を照明する光源の照明輝度を調整するための入力手段と、
前記入力手段に基づいて、前記第1,第2の表示部の表示輝度を調整する制御手段と、を備えた車両用表示装置であって、
前記制御手段は、前記入力手段からの信号に基づいて前記第1、第2の表示部それぞれの目標輝度を設定して前記光源を制御するとともに、前記第1の表示部が所定目標輝度値以下の場合に、前記第2の表示部の表示を停止してなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記第1の表示部は、表示パネルとこの表示パネルを透過照明する第1の光源と設けてなり、前記第2の表示部は、導光部材とこの導光部材を透過照明する第2の光源とを設けてなり、
前記制御手段は、前記第2の光源を消灯することによって前記第2の表示部の表示を停止することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記第1の表示部からの表示を透過するとともに、前記第2の表示部からの表示像を反射する透過反射手段を備え、
前記第1,第2の表示部は、この透過反射手段を用いて合成表示してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−127876(P2010−127876A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305958(P2008−305958)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】