説明

車軸駆動式の耕耘ロータ

【課題】 作業時にロータプレートの各延出部が硬い未耕地部分に打ち込まれて強い衝撃を受けることに起因した作業性の低下を抑制する。
【解決手段】 歩行型作業機の車軸に一端部を連結するロータ軸4に、ロータ軸4から外方に向けて延出する3本の耕耘なた爪6をロータ軸4の周方向に等間隔で位置するように配備し、径方向の外方に向けて延出し、かつ、周方向に等間隔で位置する3つの延出部3aを備える略三角形状のロータプレート3を備え、3つの延出部3aが、周方向における2本の耕耘なた爪6の延出端部6aの間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪6の延出端部6aに近い位置に位置するように、ロータプレート3をロータ軸4の他端部に取り付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型作業機の車軸に一端部を連結するロータ軸に、このロータ軸から外方に向けて延出する耕耘なた爪を3本単位でロータ軸の周方向に等間隔で配備し、径方向の外方に向けて延出し、かつ、周方向に等間隔で位置する3つの延出部を備える略三角形状のロータプレートをロータ軸の他端部に取り付けた車軸駆動式の耕耘ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
車軸駆動式の耕耘ロータは、歩行型作業機の下部に左右向きに備えた車軸の左右の外端部に着脱可能に装着するものである。そのため、歩行型作業機の車軸に装着した作業時には、車軸からの動力で回転駆動されることにより、耕耘や代掻きあるいは培土などの作業を行う作業装置としての機能と、機体を推進させる推進車輪としての機能とを発揮する。また、車軸に連結した場合に外端部となるロータ軸の他端部にロータプレートを備えることにより、作業時における土の飛散や機体が左右方向に揺れることによる直進性の低下を抑制してある。
【0003】
ところで、上記のような耕耘ロータにおいて、例えば、ロータプレートを、その各延出部とロータプレートの近くに位置する3本の耕耘なた爪の延出端部とが耕耘ロータの周方向において同じ位置に位置するようにロータ軸の他端部に取り付けると、耕耘ロータを回転駆動する作業時には、その回転に伴って、耕耘ロータの外周側に位置する各耕耘なた爪の延出端部とロータプレートの各延出部とが、同じ周期で同じように対地高さを変化させながら未耕地部分に作用することになる。
【0004】
つまり、この例示構成では、ロータプレートの延出部と耕耘なた爪の延出端部とが歩行型作業機の車軸の真下に位置する状態が機体の対地高さが最大になる状態であり、この状態から、ロータプレートの延出部と耕耘なた爪の延出端部とが耕耘ロータの回転方向に60度の回転角を進めた状態が機体の対地高さが最小になる状態と考えられる。そのため、作業時の機体の上下動が大きくなり、その上下動に起因した作業性の低下を招くことになる。
【0005】
そこで、上記のような車軸駆動式の耕耘ロータにおいては、ロータプレートの各延出部が、ロータプレートの近くに位置する3本の耕耘なた爪に対して、周方向で2本の耕耘なた爪の延出端部間の中間に位置するように、ロータプレートをロータ軸の他端部に取り付けることが考えられていた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第4039496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来構成によると、耕耘ロータを回転駆動する作業時には、その回転に伴って、耕耘ロータの外周側に位置する各耕耘なた爪の延出端部とロータプレートの各延出部とが、それらの未耕地部分に対する作用周期を半周期分異ならせた状態で、それぞれの対地高さを変化させながら未耕地部分に次々と作用することになる。つまり、この従来構成では、ロータプレートの延出部または耕耘なた爪の延出端部が歩行型作業機の車軸の真下に位置する状態が機体の対地高さが最大になる状態であり、この状態から、ロータプレートの延出部または耕耘なた爪の延出端部が耕耘ロータの回転方向に30度の回転角を進めた状態が機体の対地高さが最小になる状態と考えられる。その結果、前述した例示構成に比較して、作業時における機体の上下動を小さくすることができ、その上下動に起因した作業性の低下を抑制することができる。
【0007】
ところで、各耕耘なた爪は、ロータ軸からその回転方向下手側の外方に向けて湾曲しながら延出するように形成してある。これにより、作業時には、各耕耘なた爪が、その外方への延出量の小さい回転方向上手側の部分から順に未耕地部分に打ち込まれて未耕地部分を耕起するようになる。その結果、未耕地部分が硬い場合であっても耕耘なた爪が未耕地部分に打ち込まれる際の衝撃を小さくすることができる。
【0008】
一方、略三角形状をなすロータプレートの各延出部は、径方向に沿って径方向の外方に向けて延出するように形成してある。そのため、作業時には、外方への延出量の大きい延出部の前縁部分が未耕地部分に一気に打ち込まれることになる。その結果、未耕地部分が硬い場合には、ロータプレートにおける各延出部の前縁部分が未耕地部分に打ち込まれる際の衝撃が大きくなる。
【0009】
このような性質を備える耕耘なた爪とロータプレートの延出部とを上記の従来構成のように配置すると、作業時には、ロータプレートの各延出部が、先行する耕耘なた爪が未耕地部位に打ち込まれて耕起した後に、その耕耘なた爪の延出端部で耕起した既耕地部分から比較的に離れた未耕地部分に、先行する耕耘なた爪から遅れて打ち込まれることになる。そのため、ロータプレートの各延出部が未耕地部分に打ち込まれるたびに強い衝撃が発生することになり、その衝撃に起因した作業性の低下を招くことになる。
【0010】
本発明の目的は、作業時にロータプレートの各延出部が硬い未耕地部分に打ち込まれて強い衝撃を受けることに起因した作業性の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、
歩行型作業機の車軸に一端部を連結するロータ軸に、前記ロータ軸から外方に向けて延出する3本の耕耘なた爪を前記ロータ軸の周方向に等間隔で位置するように配備し、
径方向の外方に向けて延出し、かつ、周方向に等間隔で位置する3つの延出部を備える略三角形状のロータプレートを備え、
3つの前記延出部が、周方向における2本の前記耕耘なた爪の延出端部の間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪の延出端部に近い位置に位置するように、前記ロータプレートを前記ロータ軸の他端部に取り付けてあることを特徴とする。
【0012】
この特徴構成によると、耕耘ロータを回転駆動する作業時には、その回転に伴って、耕耘ロータの外周側に位置する各耕耘なた爪の延出端部とロータプレートの各延出部とが、それらの未耕地部分に対する作用周期を異ならせた状態で、それぞれの対地高さを変化させながら未耕地部分に次々と作用することになる。
【0013】
これにより、各耕耘なた爪の延出端部とロータプレートの各延出部とが同じ周期で対地高さを変化させながら未耕地部分に作用する場合に比較して、作業時における機体の上下動を小さくすることができ、その上下動に起因した作業性の低下を抑制することができる。
【0014】
そして、上記の構成による作用周期では、ロータプレートの各延出部が、先行する耕耘なた爪が未耕地部分に打ち込まれて耕起した後に、その耕耘なた爪の延出端部で耕起した直後の、先行する耕耘なた爪の耕耘作用が及んだ柔らかい未耕地部分に打ち込まれるようになる。
【0015】
その結果、ロータプレートの各延出部が未耕地部分に打ち込まれる際の衝撃を小さくすることができ、その衝撃に起因した作業性の低下を抑制することができる。
【0016】
従って、作業時に機体が上下動することに起因した作業性の低下を抑制しながら、ロータプレートの各延出部が打ち込まれる際の衝撃に起因した作業性の低下を抑制することができ、結果、優れた作業性を安定して得ることができる。
【0017】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、
3本の前記耕耘なた爪よりも前記ロータ軸の前記一端部側の位置に、前記耕耘なた爪と同様に前記ロータ軸の周方向に等間隔で位置する3本の耕耘なた爪を装備し、
前記一端部側の3本の前記耕耘なた爪を、それらの延出端部が周方向で2つの前記延出部の中間に位置するように装備してあることを特徴とする。
【0018】
この特徴構成によると、作業時には、耕耘ロータを回転駆動する作業時には、その回転に伴って、一端部側の各耕耘なた爪の延出端部と他端部側の各耕耘なた爪の延出端部とロータプレートの各延出部とが、それらの未耕地部分に対する作用周期を異ならせた状態で、それぞれの対地高さを変化させながら未耕地部分に次々と作用することになる。
【0019】
これにより、作業時における機体の上下動をより大幅に小さくすることができ、その上下動に起因した作業性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0020】
従って、作業時に機体が上下動することに起因した作業性の低下をより効果的に抑制しながら、ロータプレートの各延出部が打ち込まれる際の衝撃に起因した作業性の低下を抑制することができ、結果、より優れた作業性を安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例である第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
なお、本発明に係る車軸駆動式の耕耘ロータは、歩行型作業機の下部に左右向きに備えた車軸の左右の外端部に着脱可能に装着する左右一対のものである。そして、これらは左右対称の同じ構成のものであることから、以下には、歩行型作業機の左側に配備する左用の耕耘ロータの構成についてのみ説明する。
【0024】
図1は左用の耕耘ロータ1の分解斜視図である。図2は左用の耕耘ロータ1の背面図である。図3は左用の耕耘ロータ1の左側面図である。図4は左用の耕耘ロータ1の右側面図である。
【0025】
これらの図に示すように、この耕耘ロータ1は、歩行型作業機の車軸(図示せず)に着脱可能に連結するロータ2にロータプレート3を装備して構成してある。
【0026】
ロータ2は、側面視略六角形状のロータ軸4に、6本の耕耘なた爪5,6を、ロータ軸4の周方向に等間隔(60度間隔)で位置し、かつ、ロータ軸4の軸心方向に所定間隔を隔てて位置するように配備して構成してある。
【0027】
ロータ軸4は、周方向の各面に凹部4aを形成してあり、これらの各凹部4aにはU字状の連結部7を1つずつ装備してある。各連結部7は、ロータ軸4の軸心方向に所定間隔を隔てて位置し、また、ロータ軸4の右半部(一端側)に位置する3つの連結部7が、ロータ軸4の周方向に等間隔(120度間隔)で位置し、さらに、ロータ軸4の左半部(他端側)に位置する3つの連結部7が、右半部の3つの連結部7に対してロータ軸4の周方向に60度の回転角の差を有しながら、ロータ軸4の周方向に等間隔(120度間隔)で位置するように配備してある。各連結部7には、ボルト挿通用の連結孔(図示せず)を穿設してある。
【0028】
各耕耘なた爪5,6は、それらの基端部の対応する連結部7への挿通が可能となるように形成してある。また、各基端部には、ボルト挿通用の連結孔(図示せず)を穿設してある。
【0029】
これにより、ロータ軸4の右半部に位置する3つの連結部7に、対応する耕耘なた爪5の基端部を差し込み、また、ロータ軸4の左半部に位置する3つの連結部7に、対応する耕耘なた爪6の基端部を差し込み、それらの連結孔(図示せず)にボルト8を挿通し、ナット9で固定することにより、ロータ軸4に各耕耘なた爪5,6を着脱可能に装備することができる。
【0030】
そして、ロータ軸4に各耕耘なた爪5,6を装備した状態では、ロータ軸4の右半部では、その右半部に位置する3本の耕耘なた爪5がロータ軸4の周方向に等間隔(120度間隔)で位置するようになる。また、ロータ軸4の左半部では、その左半部に位置する3本の耕耘なた爪6が、右半部の耕耘なた爪5に対してロータ軸4の周方向に60度の回転角の差を有しながら、ロータ軸4の周方向に等間隔(120度間隔)で位置するようになる。その結果、ロータ軸4の全体としては、6本の耕耘なた爪5,6がロータ軸4の周方向に等間隔(60度間隔)で位置することになる。
【0031】
また、ロータ軸4の各凹部4aに連結部7を装備したことにより、耕耘ロータ1を回転駆動する作業時には、ボルト8およびナット9の回転方向上手側に位置するロータ軸4の角部4bにより、ボルト8およびナット9への耕土の接触を抑制することができ、その接触に起因したボルト8およびナット9の磨耗を抑制することができる。その結果、ボルト8およびナット9の磨耗により、各耕耘なた爪5,6の取り外しが困難になることに起因したメンテナンス性の低下を抑制することができる。
【0032】
各耕耘なた爪5,6は、ロータ軸4からその回転方向下手側の外方に向けて湾曲しながら延出するように形成してある。これにより、作業時には、各耕耘なた爪5,6が、その外方への延出量の小さい回転方向上手側の部分から順に未耕地部分に打ち込まれて未耕地部分を耕起するようになる。その結果、未耕地部分が硬い場合であっても耕耘なた爪5,6が未耕地部分に打ち込まれる際の衝撃が小さくなる。
【0033】
ロータ軸4の右端部側(一端部側)の中心部には、歩行型作業機の車軸に外嵌する円筒軸10を配備してある。車軸および円筒軸10には、それらを一体回転可能に連結する連結ピン11の挿通を許容する連結孔(図示せず)を、それらの軸心と直交するように穿設してある。ロータ軸4において円筒軸10の連結孔と対向する一対の所定箇所には、連結ピン11の挿通を許容する挿通孔(図示せず)を穿設してある。連結ピン11の挿通端には、抜止ピン挿通用のピン孔(図示せず)を穿設してある。
【0034】
これにより、歩行型作業機の車軸にロータ2の円筒軸10を外嵌した後、連結ピン11を、ロータ軸4の挿通孔と円筒軸10の連結孔と車軸の連結孔とに挿通し、連結ピン11のピン孔に抜止ピン(図示せず)を挿通することにより、車軸にロータ2を着脱可能に装着することができる。
【0035】
ロータ軸4の左端部側(他端部側)の中心部には六角筒軸12を配備してある。ロータ軸4における所定の凹部4aの左端部には、連結孔13aを穿設したブラケット13を立設してある。
【0036】
ロータプレート3は、その径方向の外方に向けて延出し、かつ、周方向に等間隔(120度間隔)で位置する3つの延出部3aを備える三芒星形状(略三角形状の一例)に形成してある。各延出部3aは、その延出端側ほど右側(ロータ軸側)に位置するように湾曲させてある。ロータプレート3の中心部には、ロータ軸4の六角筒軸12に内嵌する六角軸14を配備してある。ロータプレート3の外周側には、ロータ軸4の連結孔13aに挿通する連結ピン15を右方に向けて突設してある。連結ピン15の突出端には、抜止ピン挿通用のピン孔15aを穿設してある。
【0037】
これにより、ロータ軸4の六角筒軸12にロータプレート3の六角軸14を内嵌し、かつ、ロータ軸4の連結孔13aにロータプレート3の連結ピン15を挿通した後、連結ピン15のピン孔15aに抜止ピン(図示せず)を挿通することにより、ロータ軸4の左端部(他端部)にロータプレート3を着脱可能に取り付けることができる。
【0038】
図2〜5に示すように、ロータプレート3は、ロータ軸4の左端部に取り付けた状態では、その各延出部3aが、ロータ軸4の軸心方向でロータプレート3の近くに位置する3本の耕耘なた爪6に対して、ロータ軸4の周方向における2本の耕耘なた爪6の延出端部6aの間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪6の延出端部6aに近い位置に位置するように、ロータ軸4に対する周方向での取り付け姿勢を設定してある。
【0039】
また、ロータ軸4に対する軸心方向では、各延出部3aが、ロータプレート3に対してロータ軸4の軸心方向で最も近い耕耘なた爪6の延出端側部分(接地作用部)と、ロータ軸4の軸心方向で重なり合うように設定してある。
【0040】
ロータ軸4の軸心方向でロータプレート3から離れる3本の耕耘なた爪5は、それらの延出端部5aが、ロータプレート3の3つの延出部3aに対して、ロータ軸4の周方向における2つの延出部3aの中間に位置するように形成してある。
【0041】
これにより、図5に示すように、耕耘ロータ1を回転駆動する作業時には、その回転に伴って、耕耘ロータ1の外周側に位置する各耕耘なた爪5,6の各延出端部5a,6aとロータプレート3の各延出部3aとが、それらの未耕地部分に対する作用周期を異ならせた状態で、それぞれの対地高さを変化させながら未耕地部分に次々に作用することになる。その結果、作業時における機体の上下動を効果的に小さくすることができ、その上下動に起因した作業性の低下を効果的に抑制することができる。
【0042】
また、ロータプレート3の各延出部3aが、それらに隣接して先行する耕耘なた爪6が未耕地部分に打ち込まれて耕起した後に、その耕耘なた爪6の延出端部6aで耕起した直後の、先行する耕耘なた爪6の耕耘作用が及んだ柔らかい未耕地部分に打ち込まれることになる。これにより、ロータプレート3の各延出部3aが未耕地部分に打ち込まれる際の衝撃を小さくすることができ、その衝撃に起因した作業性の低下を抑制することができる。
【0043】
従って、作業時に機体が上下動することに起因した作業性の低下を効果的に抑制しながら、ロータプレート3の各延出部3aが未耕地部分に打ち込まれる際の衝撃に起因した作業性の低下を抑制することができ、結果、優れた作業性を安定して得ることができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
【0045】
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例である第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第2実施形態においては、上記の第1実施形態と構成が同じものについては説明を省略し、構成の異なるものについてのみ説明する。
【0046】
図6は第2実施形態における左用の耕耘ロータ1の分解斜視図である。図7は第2実施形態における左用の耕耘ロータ1の背面図である。図8および図9は第2実施形態における左用の耕耘ロータ1の左側面図である。
【0047】
これらの図に示すように、この耕耘ロータ1は、耕幅の狭い3本爪仕様と耕幅の広い6本爪仕様とに仕様変更可能に構成してある。そのため、この耕耘ロータ1においては、ロータ軸4を、右半部と左半部とに分離可能な二分割構造に構成してある。
【0048】
右半部を形成する第1ロータ軸部4Aには、その周方向の各面に形成した凹部4aに一つ置きに装備したU字状の連結部7を介して、3本の耕耘なた爪5を、その周方向に等間隔(120度間隔)で位置し、かつ、その軸心方向に所定間隔を隔てて位置するように配備してある。そして、この第1ロータ軸部4Aの右端部側の中心部に、歩行型作業機の車軸(図示せず)に外嵌する円筒軸10を配備してある。車軸に対する装着構造は第1実施形態と同じである。
【0049】
左半部を形成する第2ロータ軸部4Bには、その周方向の各面に形成した凹部4aに一つ置きに装備したU字状の連結部7を介して、3本の耕耘なた爪6を、その周方向に等間隔(120度間隔)で位置し、かつ、その軸心方向に所定間隔を隔てて位置するように配備してある。そして、この第2ロータ軸部4Bの左端部側の中心部に、ロータプレート3の六角軸14の内嵌を許容する六角筒軸12を配備してある。また、第2ロータ軸部4Bにおける所定の凹部4aの左端部に、ロータプレート3の連結ピン15の挿通を許容する連結孔13aを穿設したブラケット13を立設してある。
【0050】
第1ロータ軸部4Aの左端部側の中心部には、第2ロータ軸部4Bの六角筒軸12と同じ大きさの六角筒軸17を配備してある。第1ロータ軸部4Aにおける所定の凹部4aの左端部には、第2ロータ軸部4Bのブラケット13に穿設した連結孔13aと、耕耘ロータ1の中心からの距離が同じで同径の連結孔(図示せず)を穿設したブラケット18を立設してある。
【0051】
第2ロータ軸部4Bの右端部側の中心部には、ロータプレート3の六角軸14と同じ大きさで、第1ロータ軸部4Aの六角筒軸17に内嵌する六角軸19を配備してある。第2ロータ軸部4Bにおける所定の凹部4aの右端部には、第1ロータ軸部4Aの連結孔に挿通するL字状の連結ピン20を、その挿通端側が右方に向けて延出するように配備してある。連結ピン20は、ロータプレート3の連結ピン15と同径で、その挿通端に、抜止ピン挿通用のピン孔20aを穿設してある。
【0052】
これにより、第1ロータ軸部4Aの六角筒軸17に第2ロータ軸部4Bの六角軸19を内嵌し、かつ、第1ロータ軸部4Aの連結孔に第2ロータ軸部4Bの連結ピン20を挿通した後、連結ピン20のピン孔20aに抜止ピン21を挿通することにより、第1ロータ軸部4Aに第2ロータ軸部4Bを着脱可能に連結することができる。また、第2ロータ軸部4Bの六角筒軸12にロータプレート3の六角軸14を内嵌し、かつ、第2ロータ軸部4Bの連結孔13aにロータプレート3の連結ピン15を挿通した後、連結ピン15のピン孔15aに抜止ピン(図示せず)を挿通することにより、第2ロータ軸部4Bの左端部(他端部)にロータプレート3を着脱可能に取り付けることができる。
【0053】
一方、第1ロータ軸部4Aの六角筒軸17にロータプレート3の六角軸14を内嵌し、かつ、第1ロータ軸部4Aの連結孔にロータプレート3の連結ピン15を挿通した後、連結ピン15のピン孔15aに抜止ピンを挿通することにより、第1ロータ軸部4Aにロータプレート3を着脱可能に連結することができる。
【0054】
つまり、第1ロータ軸部4Aにロータプレート3を直結することにより、耕幅の狭い3本爪仕様の耕耘ロータ1を構成することができ、第1ロータ軸部4Aに第2ロータ軸部4Bを介してロータプレート3を連結することにより、耕幅の広い6本爪仕様の耕耘ロータ1を構成することができる。
【0055】
第1ロータ軸部4Aの3本の耕耘なた爪5および第2ロータ軸部4Bの3本の耕耘なた爪6は、第1ロータ軸部4Aに第2ロータ軸部4Bを連結した状態では、それらの各延出端部5a、6aが、ロータ軸4の周方向に等間隔(60度間隔)で位置するように形成してある。
【0056】
第1ロータ軸部4Aの連結孔と第2ロータ軸部4Bの連結孔13aとは、ロータ軸4の周方向に60度の回転角の差を有するように配置設定してある。
【0057】
図7、図8および図10の(A)に示すように、ロータプレート3は、第2ロータ軸部4Bの左端部に取り付けた状態では、その各延出部3aが、ロータ軸4の軸心方向でロータプレート3の近くに位置する第2ロータ軸部4Bの3本の耕耘なた爪6に対して、ロータ軸4の周方向における2本の耕耘なた爪6の延出端部6aの間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪6の延出端部6aに近い位置に位置するように、ロータ2に対する周方向での取り付け姿勢を設定してある。
【0058】
図9および図10の(B)に示すように、上記の設定により、ロータプレート3は、第1ロータ軸部4Aの左端部に取り付けた状態では、その各延出部3aが、第1ロータ軸部4Aの3本の耕耘なた爪5に対して、ロータ軸4の周方向における2本の耕耘なた爪5の延出端部5aの間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪5の延出端部5aに近い位置に位置するようになる。
【0059】
そして、ロータプレート3を、第2ロータ軸部4Bの左端部に取り付けた状態と、第1ロータ軸部4Aの左端部に取り付けた状態とのいずれにおいても、ロータプレート3の各延出部3aが、ロータプレート3に対してロータ軸4の軸心方向で最も近い耕耘なた爪6の延出端側部分(接地作用部)と、ロータ軸4の軸心方向で重なり合うように設定してある。
【0060】
これにより、耕耘ロータ1を耕幅の広い6本爪仕様に構成した作業時には、図10の(A)に示すように、耕耘ロータ1の回転駆動に伴って、耕耘ロータ1の外周側に位置する各耕耘なた爪5,6の各延出端部5a,6aとロータプレート3の各延出部3aとが、それらの未耕地部分に対する作用周期を異ならせた状態で、それぞれの対地高さを変化させながら未耕地部分に次々に作用することになる。その結果、作業時における機体の上下動を効果的に小さくすることができ、その上下動に起因した作業性の低下を効果的に抑制することができる。
【0061】
また、ロータプレート3の各延出部3aが、それらに隣接して先行する耕耘なた爪6が未耕地部分に打ち込まれて耕起した後に、その耕耘なた爪6の延出端部6aで耕起した直後の、先行する耕耘なた爪6の耕耘作用が及んだ柔らかい未耕地部分に打ち込まれることになる。これにより、ロータプレート3の各延出部3aが未耕地部分に打ち込まれる際の衝撃を小さくすることができ、その衝撃に起因した作業性の低下を抑制することができる。
【0062】
一方、耕耘ロータ1を耕幅の狭い3本爪仕様に構成した作業時には、図10の(B)に示すように、耕耘ロータ1の回転駆動に伴って、耕耘ロータ1の外周側に位置する各耕耘なた爪5の各延出端部5aとロータプレート3の各延出部3aとが、それらの未耕地部分に対する作用周期を異ならせた状態で、それぞれの対地高さを変化させながら未耕地部分に次々に作用することになる。その結果、作業時における機体の上下動を効果的に小さくすることができ、その上下動に起因した作業性の低下を効果的に抑制することができる。
【0063】
また、ロータプレート3の各延出部3aが、それらに隣接して先行する耕耘なた爪5が未耕地部分に打ち込まれて耕起した後に、その耕耘なた爪5の延出端部5aで耕起した直後の、先行する耕耘なた爪5の耕耘作用が及んだ柔らかい未耕地部分に打ち込まれることになる。これにより、ロータプレート3の各延出部3aが未耕地部分に打ち込まれる際の衝撃を小さくすることができ、その衝撃に起因した作業性の低下を抑制することができる。
【0064】
〔別実施形態〕
【0065】
〔1〕耕耘ロータ1としては、側面視略六角形状のロータ軸4に、3本の耕耘なた爪5を、ロータ軸4の周方向に等間隔(120度間隔)で位置するように配備し、ロータ軸4の左端部(他端部)に、ロータプレート3を、その各延出部3aが、3本の耕耘なた爪5に対して、ロータ軸4の周方向における2本の耕耘なた爪5の延出端部5aの間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪5の延出端部5aに近い位置に位置するように取り付けて構成した3本爪仕様専用のものであってもよい。
【0066】
〔2〕第1実施形態での耕耘ロータ1としては、例えば、ロータ軸4の右半部(一端側)に位置する3つの耕耘なた爪5を、ロータ軸4からの延出長さが、ロータ軸4の左半部(他端側)に位置する3つの耕耘なた爪6と同じになるように形成することにより、それらの耕耘なた爪5の延出端部5aが、ロータプレート3の3つの延出部3aに対して、ロータ軸4の周方向における2つの延出部3aの中間に位置しないように構成したものであってもよい。
【0067】
〔3〕ロータ軸4としては側面視円形状のものであってもよく、また、凹部4aなどを備えない側面視正六角形状のものであってもよい。
【0068】
〔4〕第1実施形態でのロータ軸4とロータプレート3との連結構造においては、六角筒軸12に代えて円筒軸を採用し、六角軸14に代えて丸軸を採用するようにしてもよい。また、第2実施形態での第1ロータ軸部4Aと第2ロータ軸部4Bとロータプレート3との連結構造においては、六角筒軸12,17に代えて円筒軸を採用し、六角軸14,19に代えて丸軸を採用するようにしてもよい。
【0069】
第2実施形態での第1ロータ軸部4Aと第2ロータ軸部4Bとロータプレート3との連結構造において円筒軸と丸軸を採用する場合には、第1ロータ軸部4Aにロータプレート3を直結した状態では、ロータプレート3の各延出部3aが、第1ロータ軸部4Aの3本の耕耘なた爪5に対して、ロータ軸4の周方向における2本の耕耘なた爪5の延出端部5aの間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪5の延出端部5aに近い位置に位置する状態となり、また、第1ロータ軸部4Aに第2ロータ軸部4Bを介してロータプレート3を連結した状態では、ロータプレート3の各延出部3aが、ロータ軸4の軸心方向でロータプレート3の近くに位置する第2ロータ軸部4Bの3本の耕耘なた爪6に対して、ロータ軸4の周方向における2本の耕耘なた爪6の延出端部6aの間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪6の延出端部6aに近い位置に位置し、かつ、ロータ軸4の軸心方向でロータプレート3から離れる3本の耕耘なた爪5が、それらの延出端部5aが、ロータプレート3の3つの延出部3aに対して、ロータ軸4の周方向における2つの延出部3aの中間に位置する状態となるように、第1ロータ軸部4Aの連結孔18a(ブラケット18)と第2ロータ軸部4Bの連結孔13a(ブラケット13)とを、ロータ軸4の周方向に所定角度の回転角の差を有するように配置設定することができる。
【0070】
〔5〕ロータプレート3としては、その径方向の外方に向けて延出し、かつ、周方向に等間隔(120度間隔)で位置する3つの延出部3aを備える略三角形状のものであれば、例えば、図11の(A)に示すように、隣り合う2つの延出部3aを直線で結ぶ形状のものであってもよく、また、図11の(B)に示すように、隣り合う2つの延出部3aを外方に向けて膨出するように湾曲した曲線で結ぶ形状のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態での左用の耕耘ロータの分解斜視図
【図2】第1実施形態での左用の耕耘ロータの背面図
【図3】第1実施形態での左用の耕耘ロータの左側面図
【図4】第1実施形態での左用の耕耘ロータの右側面図
【図5】第1実施形態での耕耘なた爪の延出端部とロータプレートの延出部との対地作用周期を示す図
【図6】第2実施形態での左用の耕耘ロータの分解斜視図
【図7】第2実施形態での左用の耕耘ロータの背面図
【図8】第2実施形態での左用6本爪仕様の耕耘ロータの左側面図
【図9】第2実施形態での左用3本爪仕様の耕耘ロータの左側面図
【図10】第2実施形態での耕耘なた爪の延出端部とロータプレートの延出部との対地作用周期を示す図
【図11】別実施形態でのロータプレートの形状を示す左側面図
【符号の説明】
【0072】
3 ロータプレート
3a 延出部
4 ロータ軸
5 耕耘なた爪
5a 延出端部
6 耕耘なた爪
6a 延出端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行型作業機の車軸に一端部を連結するロータ軸に、前記ロータ軸から外方に向けて延出する3本の耕耘なた爪を前記ロータ軸の周方向に等間隔で位置するように配備し、
径方向の外方に向けて延出し、かつ、周方向に等間隔で位置する3つの延出部を備える略三角形状のロータプレートを備え、
3つの前記延出部が、周方向における2本の前記耕耘なた爪の延出端部の間に、その延出端部間の中間位置よりも先行する耕耘なた爪の延出端部に近い位置に位置するように、前記ロータプレートを前記ロータ軸の他端部に取り付けてあることを特徴とする車軸駆動式の耕耘ロータ。
【請求項2】
3本の前記耕耘なた爪よりも前記ロータ軸の前記一端部側の位置に、前記耕耘なた爪と同様に前記ロータ軸の周方向に等間隔で位置する3本の耕耘なた爪を装備し、
前記一端部側の3本の前記耕耘なた爪を、それらの延出端部が周方向で2つの前記延出部の中間に位置するように装備してあることを特徴とする請求項1に記載の車軸駆動式の耕耘ロータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−240175(P2009−240175A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87587(P2008−87587)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(591121524)株式会社宮丸アタッチメント研究所 (8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】