説明

車載器

【課題】FM多重放送によって送信される道路交通情報の受信ができない場合に、ユーザにとっての快適性および利便性をより向上させることを可能にする車載器を提供する。
【解決手段】FM多重放送が受信可能な受信エリアの情報および受信エリアごとの停波時間帯の情報を外部メモリ18に予め可能しておく。続いて、外部メモリ18に格納されている受信エリアの情報と位置検出器11で検出した自車両の現在位置の情報とをもとに、自車両が受信エリア内にいるか否かを判定するとともに、外部メモリ18に格納されている停波時間帯の情報とGPS受信機15で検出した現在時刻の情報とをもとに、現在が当該受信エリアの停波時間帯であるか否かを判定し、これらの判定結果に基づいて、交通情報を受信できていない原因を判断する。そして、判断した原因を表示装置19や音声出力装置20によって提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FM多重放送によって送信される道路交通情報を受信することが可能な車載器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、FM放送波に文字や図形等の情報を多重化して送信するFM多重放送が知られている。また、FM多重放送で送信される情報(以下、FM多重情報)を受信する受信装置も知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、FM多重放送の受信を開始する操作をしても即座にFM多重情報を表示しないときに、FM多重情報の受信が進行しているか否かを報知することにより、受信可能な場合はユーザに安心感を与え、受信不可能な場合はユーザにこのまま待っても受信できないことを知らせるFM多重放送受信装置が開示されている。
【0004】
また、近年では、VICS(登録商標)、RTIC、RDS−TMCなどの道路交通情報を提供するシステムにおいて、FM多重放送によって道路交通情報を送信することが行われている。なお、FM多重放送によって送信される道路交通情報は、例えば車両のFMアンテナで受信され、当該車両に搭載されるナビゲーション装置のディスプレイに表示されたりする。そして、車両のドライバーは、ナビゲーション装置のディスプレイに表示される道路交通情報を参考にすることによって、早く目的地に移動できる経路を選択して走行したり、渋滞箇所を回避して走行したりするなどして、より快適に走行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−265191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FM多重情報を受信できない原因としては、FM多重放送の受信エリア内であるが遮蔽物等により受信できない場合、FM多重放送の受信エリア外であるため受信できない場合、およびFM多重放送のメンテナンス等でFM放送波が停波しているため受信できない場合など、種々の原因が存在する。
【0007】
また、FM多重情報を遮蔽物等により受信できない場合には少し移動することによって当該原因が解消されることがあるのに対し、FM放送波が停波しているためFM多重放送が受信できない場合には停波の終了まで当該原因が解消されないなど、FM多重情報を受信できない原因によって、当該原因の解消の困難さに違いがある。よって、FM多重情報を受信できない原因ごとに、FM多重情報を受信できるようにするための処置が異なる場合がある。
【0008】
しかしながら、従来の技術は、FM多重情報の受信の可否をユーザに知らせることはできるものの、FM多重情報の受信ができない原因を知ることができない。従って、ユーザが不安を感じる点やFM多重情報を受信できるようにするための処置を講じ難い点など、ユーザにとっての快適性および利便性を欠くという問題点を有していた。
【0009】
例えば、現状の中国におけるFM多重放送での道路交通情報の提供のサービスでは、大都市の中心部にFM放送局のアンテナがあるだけなので、郊外へ行くと道路交通情報を受信できない状況が頻発する。また、サービス開始の黎明期のため、未だに多くの都市でFM多重放送での道路交通情報を受信できない状況にある。さらに、中国では、FM放送局のメンテナンスを実施しており、メンテナンス期間(例えば昼間の3〜5時間程度)はFM放送波が停波するため、FM多重放送での道路交通情報を受信できない時間帯がある。よって、中国で特にこの問題点が顕著となる。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、FM多重放送によって送信される道路交通情報の受信ができない場合に、ユーザにとっての快適性および利便性をより向上させることを可能にする車載器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の車載器によれば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できていない場合に、FM多重放送が受信可能な領域である受信エリア内に車両がいるか否かの判定結果に基づいて、道路交通情報を受信できていない原因を判断することになる。よって、受信エリア外に車両がいることがFM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因であることについては少なくとも判断することができる。従って、以上の構成によれば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因として、受信エリア外に車両がいることについては少なくともユーザに提示することができる。
【0012】
ユーザは、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因を知ることができれば、不安を感じずに済んだり、道路交通情報を受信できるようにするための処置を講じ易くなったりする。その結果、以上の構成によれば、FM多重放送によって送信される道路交通情報の受信ができない場合に、ユーザにとっての快適性および利便性をより向上させることが可能になる。
【0013】
また、請求項2の構成によれば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できていない場合に、FM多重放送が受信可能な領域である受信エリア内に車両がいるか否かの判定結果に加え、受信エリアの停波時間帯であるか否かの判定結果に基づいて、道路交通情報を受信できていない原因を判断することになる。よって、受信エリア外に車両がいることがFM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因であること、および受信エリアの停波時間帯であることがFM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因であることについては少なくとも判断することができる。
【0014】
従って、以上の構成によれば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因として、受信エリア外に車両がいること、および受信エリアの停波時間帯であることについては少なくともユーザに提示することができる。つまり、ユーザは、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因をより詳細に知ることができる。そして、ユーザは、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因をより詳細に知ることができれば、より不安を感じずに済んだり、道路交通情報を受信できるようにするための処置をより講じ易くなったりする。その結果、以上の構成によれば、FM多重放送によって送信される道路交通情報の受信ができない場合に、ユーザにとっての快適性および利便性をさらに向上させることが可能になる。
【0015】
また、請求項3のように、双方向通信によって道路交通情報を受信することが可能な双方向通信手段を備える態様としてもよい。
【0016】
なお、従来の技術では、FM多重放送によって送信される道路交通情報の受信ができない場合にその原因を知ることができなかったため、ユーザがFM多重情報を受信できるようにするための処置を講じ難く、道路交通情報の入手が遅れ、利便性を欠くという問題点を有していた。
【0017】
これに対して、請求項4の構成によれば、原因判断手段での判断結果に基づいて、FM多重放送受信手段での道路交通情報の受信から双方向通信手段での道路交通情報の受信に自動的に切換える受信手段自動切換えを行うので、FM多重放送によって道路交通情報を受信できない場合にも、双方向通信によって道路交通情報を速やかに入手することが可能となる。
【0018】
例えば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因がすぐに解消されないものである場合に受信手段自動切換えを行い、双方向通信によって道路交通情報を速やかに入手することが可能となる。よって、以上の構成によれば、ユーザにとっての利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0019】
ここで、原因判断手段での判断結果に基づいて受信手段自動切換えを行う態様としては、例えば、請求項5〜7の態様がある。
【0020】
なお、受信エリア外に車両がいることがFM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因である場合には、この原因はすぐに解消されない可能性が高いと考えられる。
【0021】
そこで、請求項5のように、受信エリア外であることが道路交通情報を受信できていない原因と原因判断手段で判断した場合に、受信手段自動切換えを行う態様としてもよい。これによれば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因がすぐに解消されない可能性が高い場合に、双方向通信によって道路交通情報を速やかに入手することができる。
【0022】
なお、受信エリアの停波時間帯であることがFM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因である場合には、この原因はすぐに解消されない可能性が高いと考えられる。
【0023】
そこで、請求項6のように、受信エリアの停波時間帯であることが道路交通情報を受信できていない原因と原因判断手段で判断した場合に、受信手段自動切換えを行う態様としてもよい。これによれば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因がすぐに解消されない可能性が高い場合に、双方向通信によって道路交通情報を速やかに入手することができる。
【0024】
なお、受信エリア内に車両がいて停波時間帯でもないときにFM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない場合は、遮蔽物等の存在により受信電波状況が悪いために道路交通情報を受信できない可能性が高いと考えられる。また、受信電波状況が悪いことがFM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因である場合には、この原因は例えば車両が少し移動するだけで解消されるなど、すぐに解消される場合がある。
【0025】
そこで、請求項7のように、受信電波状況が悪いことが道路交通情報を受信できていない原因と原因判断手段で判断する状態が所定時間以上続いた場合に、受信手段自動切換えを行う態様としてもよい。これによれば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因がすぐに解消されない可能性が高い場合に、双方向通信によって道路交通情報を速やかに入手することができる一方、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因がすぐに解消された場合には、双方向通信による道路交通情報の受信に切換えずに済む。
【0026】
双方向通信による道路交通情報の受信は、FM多重放送による道路交通情報の受信とは異なり、一般的に、通信を行うごとに通信費用をユーザが負担する必要がある。よって、以上の構成によれば、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因がすぐに解消されそうにない場合には、通信費用をかけて双方向通信により速やか道路交通情報を入手する一方、FM多重放送受信手段で道路交通情報を受信できない原因がすぐに解消される場合には、通信費用をかけずにFM多重放送によって道路交通情報を入手することが可能になる。従って、以上の構成によれば、道路交通情報の入手の遅れをより小さく止めながらも、ユーザのコスト負担をより抑えることが可能になる。
【0027】
なお、前述したように、双方向通信による道路交通情報の受信は、FM多重放送による道路交通情報の受信とは異なり、一般的に、通信を行うごとに通信費用をユーザが負担する必要がある。
【0028】
請求項8の構成によれば、受信手段自動切換えを行う前に、受信手段自動切換えの可否をユーザに問い合わせ、可否入力受け付け手段で受信手段自動切換えを許可する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に受信手段自動切換えを行う一方、受信手段自動切換えを許可しない旨のユーザからの入力を受け付けた場合に受信手段自動切換えを行わないことになる。よって、通信費用をかけてまでもユーザがすぐに道路交通情報を必要としない場合など、ユーザの要望に応じて受信手段自動切換えを行わせないことにより、ユーザのコスト負担をより抑えることが可能になる。
【0029】
また、請求項9の構成によれば、双方向通信手段で道路交通情報の受信を行う場合に、受信頻度設定受け付け手段でユーザから設定を受け付けた受信頻度に従った頻度で道路交通情報の受信を行うので、ユーザの要望に応じた受信頻度で双方向通信による道路交通情報の入手を行うことが可能になる。例えば、ユーザが双方向通信によるコスト負担を抑えたい場合には、受信頻度を低く設定することによって、双方向通信手段で道路交通情報の受信を行う頻度を減らし、コスト負担をより抑えることが可能になる。
【0030】
また、請求項10の構成によれば、要求入力受け付け手段で双方向通信手段での道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、双方向通信手段での道路交通情報の受信を行う一方、双方向通信手段での道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けていない場合には、双方向通信手段での道路交通情報の受信を行わないので、手動でFM多重放送受信手段での道路交通情報の受信から双方向通信手段での道路交通情報の受信に切換えることができる。
【0031】
よって、原因提示手段で提示された道路交通情報を受信できていない原因をユーザが確認した上で、道路交通情報を受信できていない原因がすぐに解消されるか否かを判断し、双方向通信によって道路交通情報を入手するか、FM多重放送によって道路交通情報を入手するかをユーザの要望に応じて選択することが可能になる。
【0032】
また、請求項11の構成によれば、双方向通信手段での道路交通情報の受信を一旦行ってからの経過時間が所定の閾値に達した場合に、双方向通信手段での新たな道路交通情報の受信の要否をユーザに問い合わせ、要求入力受け付け手段で双方向通信手段での道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、双方向通信手段での新たな道路交通情報の受信を行う一方、道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けていない場合には、新たな道路交通情報の受信を行わないことになる。
【0033】
新たな道路交通情報は、既に入手済みの道路交通情報に比べて信頼性が高い道路交通情報である可能性が高い。よって、以上の構成によれば、既に入手済みの道路交通情報の鮮度が落ちた場合に、ユーザが必要とするならば新たな道路交通情報を双方向通信手段で受信することにより、信頼性のより高い道路交通情報を入手することを可能にする。一方、通信費用をかけてまでも新たな道路交通情報を必要としない場合など、ユーザが新たな道路交通情報を必要としない場合には、双方向通信手段での新たな道路交通情報の受信を行わせないことにより、ユーザのコスト負担をより抑えることを可能にする。従って、以上の構成によれば、ユーザのコスト負担をより抑えつつ、道路交通情報の信頼性も考慮することが可能になる。
【0034】
また、請求項12の構成によれば、FM多重放送および双方向通信のうちの少なくとも双方向通信によって道路交通情報を受信することが可能な領域であるサービス対象エリア内に車両がいるか否かについての情報を提示するので、ユーザがその領域で道路交通情報を受信することができるか否かを知ることが可能になる。よって、以上の構成によれば、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0035】
また、請求項13のように、車載器が車両に搭載されるナビゲーション装置である態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ナビゲーション装置1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置1での受信関連処理のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態では、自動車等の車両に搭載されるナビゲーション装置に本発明を適用した場合を例に挙げて説明を行う。図1は、本発明が適用されたナビゲーション装置1の概略的な構成を示すブロック図である。
【0038】
図1に示すようにナビゲーション装置1は、位置検出器11、地図データ入力器16、記憶媒体17、外部メモリ18、表示装置19、音声出力装置20、操作スイッチ群21、リモートコントロール端末(以下リモコン)22、リモコンセンサ23、放送系受信部24、通信系受信部25、および制御装置26を備えている。なお、ナビゲーション装置1が請求項の車載器に相当する。
【0039】
位置検出器11は、自車両の加速度を検出する加速度センサ12、自車両の鉛直方向周りの角速度を検出するジャイロスコープ13、各転動輪の回転速度から自車両の速度を検出する車輪速センサ14、および人工衛星からの電波に基づいて自車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機15を有しており、定期的に自車両の現在位置および進行方向の検出を行う。なお、GPS受信機15は現在時刻も検出する。なお、現在時刻は、例えば年月日や曜日や時刻を含むものとしてもよい。また、位置検出器11が、請求項の位置検出手段に相当し、GPS受信機15が現在時刻検出手段に相当する。
【0040】
また、これらの各センサ12〜15は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器11を上述した内の一部で構成してもよく、さらに、図示しない地磁気センサ、ステアリングの回転センサ、車速センサ等を用いてもよい。
【0041】
地図データ入力器16は、記憶媒体17が装着され、その記憶媒体17に格納されている位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、および目印データを含む各種データを入力するための装置である。なお、地図データには、道路データ、背景データ、および文字データなどが含まれるものとする。また、記憶媒体17としては、CD−ROMまたはDVD−ROM、メモリカード、HDD等が用いられる。
【0042】
道路データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。なお、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。
【0043】
リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの形状情報、セグメントの長さを示すセグメント長、リンクの始端および終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、および制限速度等の各データから構成される。
【0044】
一方、ノードデータは、地図上のノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、および交差点種類等の各データから構成される。
【0045】
また、背景データは、地図上の各施設や地形等と、それに対応する地図上の座標とを関連付けたデータである。なお、施設に関しては、各種施設の種類、名称、住所のデータなども含まれる。また、文字データは、地名、施設名、道路名等を地図上に表示するためのデータであって、その表示すべき位置に対応する座標データと関連付けられている。
【0046】
外部メモリ18は、書き込み可能なHDD等の大容量記憶装置である。外部メモリ18には大量のデータや電源をオフしても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器16からコピーして利用したりする等の用途がある。なお、外部メモリ18は、比較的記憶容量の小さいリムーバブルなメモリであってもよい。
【0047】
また、外部メモリ18は、サービス対象エリア情報、FM多重受信エリア情報、および停波情報などを記憶している(つまり、予め格納している)ものである。ここで言うところのサービス対象エリア情報とは、後述するFM多重放送および双方向通信のうちの少なくとも双方向通信により道路交通情報(以下、交通情報)の提供を行っている領域(以下、サービス対象エリア)の情報を指している。なお、ここで言うところの領域(エリア)とは、都市、市町村、地域等の行政区域やある位置を中心とした所定距離内の範囲等の一定の広がりをもった範囲を指している。
【0048】
また、FM多重受信エリア情報とは、交通情報放送局からFM多重放送で放送される交通情報を受信可能な領域(以下、受信エリア)の情報を指している。なお、ここで言うところの領域(エリア)も、都市、市町村、地域等の行政区域やある位置を中心とした所定距離内の範囲等の一定の広がりをもった範囲を指している。さらに、停波情報とは、受信エリアごとのFM多重放送の停波の曜日や時刻等の停波時間帯の情報を指している。なお、停波時間帯はよって、外部メモリ18が請求項のサービス対象エリア情報格納手段、受信エリア情報格納手段、および停波時間帯情報格納手段に相当する。
【0049】
表示装置19は、車両の走行を案内するための地図や目的地選択画面等を表示するものであって、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。また、音声出力装置20は、スピーカ等から構成され、制御装置26の指示に基づいて、経路案内時の案内音声等を出力する。
【0050】
操作スイッチ群21は、例えば表示装置19と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作により制御装置26へ各種機能の操作指示を行う。また、操作スイッチ群21は、出発地および目的地を設定するためのスイッチを含んでいる。そのスイッチを操作することによって、ユーザ(つまり、自車両の乗員)は、予め登録しておいた地点、施設名、電話番号、住所などから、出発地および目的地を設定することができる。
【0051】
リモコン22には複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられ、スイッチ操作によりリモコンセンサ23を介して各種指令信号を制御装置26に入力することにより、操作スイッチ群21と同じ機能を制御装置26に対して実行させることが可能である。
【0052】
放送系受信部24は、交通情報放送局からFM多重放送で放送される交通情報の受信を行うものである。よって、放送系受信部24が請求項のFM多重放送受信手段に相当する。なお、放送系受信部24としては、VICS用のVICS受信機やRTIC用の受信機やRDS−TMC用のTMC受信機等を利用する構成とすればよい。なお、FM多重放送は、交通情報放送局の各送信アンテナからそれぞれ特定の地域に放送されるものである。
【0053】
また、交通情報とは、渋滞情報や通行規制情報や所要時間情報などといった道路交通に関する情報である。なお、交通情報は、電子地図上に重畳することができる型式のデータとして提供される構成としてもよいし、交通情報をテキストやデフォルメ図等で表示するための形式のデータとして提供される構成としてもよいし、交通情報を音声出力することができる型式のデータとして提供される構成としてもよいし、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0054】
通信系受信部25は、交通情報放送局のサーバとの間で例えばネットワークや携帯電話網等の通信網を介した双方向通信を行うものであり、交通情報放送局のサーバから双方向通信によって配信される交通情報を取得するものである。よって、通信系受信部25が請求項の双方向通信手段に相当する。なお、通信系受信部25としては、例えば車両に搭載されるDCM(data communication module)等のテレマティクス通信に用いられる車載通信モジュールやBluetooth(登録商標)等で接続した携帯電話機や無線LAN等を利用する構成とすればよい。を通じてネットワークに接続する構成としてもよい。なお、通信系受信部25は、通信網を介さずに交通情報放送局のサーバと双方向通信を行うものであってもよい。
【0055】
制御装置26は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROMやEEPROMやRAMなどのメモリ、タイマ回路、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。制御装置26は、位置検出器11、地図データ入力器16、外部メモリ18、操作スイッチ群21、リモコンセンサ23、放送系受信機24、通信系受信機25から入力された各種情報に基づき、ナビゲーション機能としての処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)、交通情報の受信不可能な場合の原因の判断に関連する処理、FM多重放送による交通情報の受信から双方向通信による交通情報の受信に切り替える処理、交通情報の表示に関連する処理(表示関連処理)等を実行する。
【0056】
例えば、表示関連処理においては、制御装置26は、放送系受信部24や通信系受信部25で受信した交通情報を受け取ると、この交通情報に基づいて、渋滞情報や通行規制情報や所要時間情報などの情報を、表示装置19に表示させたり、音声出力装置20から音声出力させたりする。なお、交通情報が、電子地図上に重畳することができる型式のデータであった場合には、経路探索実行処理で得た案内経路や電子地図に交通情報を重畳して表示させる構成としてもよい。
【0057】
なお、交通情報の受信不可能な場合の原因の判断に関連する処理およびFM多重放送による交通情報の受信から双方向通信による交通情報の受信に切り替える処理については、後述のナビゲーション装置1での交通情報の受信に関連する処理(以下、受信関連処理)の説明とともに詳述する。
【0058】
次に、図2を用いて、ナビゲーション装置1での受信関連処理のフローについての説明を行う。図2は、ナビゲーション装置1での受信関連処理のフローを示すフローチャートである。なお、本フローは、例えば自車両のACCスイッチがオンされ、ナビゲーション装置1の電源がオンになったときに開始される。
【0059】
まず、ステップS1では、位置検出器11から得られる自車両の現在位置の情報と外部メモリ18から読み出したサービス対象エリア情報とをもとに、自車両がサービス対象エリア内にいるか否かを制御装置26が判定する。なお、エリアが都市であった場合には、自車両がサービス対象エリアに該当する都市にいるか否かが判定されることになる。そして、サービス対象エリア内にいると判定した場合(ステップS1でYES)には、ステップS3に移る。また、サービス対象エリア内にいると判定しなかった場合(ステップS1でNO)には、ステップS2に移る。よって、制御装置26が請求項のサービス対象エリア内外判定手段に相当する。
【0060】
ステップS2では、制御装置26が第1メッセージ表示処理を行い、ステップS15に移る。第1メッセージ表示処理では、例えば「サービス対象エリア外のため交通情報が受信できません。」等のメッセージを制御装置26が表示装置19に表示させることにより、自車両がサービス対象エリア内にいるか否かについての情報をユーザに提示する。よって、制御装置26は請求項のサービス対象エリア内外提示手段にも相当する。なお、自車両がサービス対象エリア内にいるか否かについての情報の提示は、音声出力装置20からの音声出力によって行う構成としてもよいし、表示装置19での表示および音声出力装置20からの音声出力によって行う構成としてもよい。
【0061】
ステップS3では、放送系受信部24が、交通情報放送局からFM多重放送で放送される交通情報の受信(つまり、データ受信)を試みる。ステップS4では、FM多重放送による交通情報を放送系受信部24で受信可能か否かを制御装置26が判定する。放送系受信部24でのFM多重放送による交通情報の受信が進行している場合(ステップS4でYES)には、交通情報の受信が可能(つまり、データ受信可)であると制御装置26が判定し、ステップS14に移る。また、放送系受信部24でのFM多重放送による交通情報の受信が進行していない場合(ステップS4でNO)には、交通情報の受信が不可能(つまり、データ受信不可)であると制御装置26が判定し、ステップS5に移る。
【0062】
ステップS5では、FM多重放送による交通情報の受信ができていない原因の提示が必要であるか否か(つまり、原因提示要否)を制御装置26が判定する。例えば、操作スイッチ群21やリモコン22を介したユーザからの原因提示要否を設定する入力に従って、制御装置26に原因提示要否の設定が行われているものとする。この場合、制御装置26は、この設定に従って原因提示要否を判定する構成とすればよい。そして、原因提示要と制御装置26が判定した場合(ステップS5でYES)には、ステップS6に移る。また、原因提示要と制御装置26が判定しなかった場合(ステップS5でNO)には、ステップS11に移る。
【0063】
ステップS6では、位置検出器11から得られる自車両の現在位置の情報と外部メモリ18から読み出したFM多重受信エリア情報とをもとに、自車両が受信エリア内にいるか否かを制御装置26が判定する。なお、エリアが都市であった場合には、自車両が受信エリアに該当する都市にいるか否かが判定されることになる。そして、受信エリア内にいると判定した場合(ステップS6でYES)には、ステップS7に移る。また、受信エリア内にいると判定しなかった場合(ステップS6でNO)には、ステップS8に移る。よって、制御装置26は請求項の受信エリア内外判定手段にも相当する。
【0064】
ステップS7では、GPS受信機15から得られる現在時刻の情報と外部メモリ18から読み出した停波情報とをもとに、現在がステップS6で自車両がいると判定した受信エリアの停波時間帯であるか否かを制御装置26が判定する。そして、停波時間帯であると判定した場合(ステップS7でYES)には、ステップS9に移る。また、停波時間帯であると判定しなかった場合(ステップS7でNO)には、ステップS10に移る。よって、制御装置26は請求項の停波時間帯判定手段にも相当する。
【0065】
なお、本実施形態では、現在時刻の情報をGPS受信機15から得る構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、制御装置26のタイマ回路や自車両に搭載されている他の機器の計時手段から現在時刻の情報を得る構成としてもよい。
【0066】
ステップS8では、自車両が受信エリア外にいることがFM多重放送による交通情報の受信ができていない原因であると制御装置26が判断し、第2メッセージ表示処理を行い、ステップS11に移る。第2メッセージ表示処理では、例えば「受信エリア外のため交通情報が受信できません。」等のメッセージを制御装置26が表示装置19に表示させることにより、FM多重放送による交通情報の受信ができていない原因をユーザに提示する。よって、制御装置26は請求項の原因判断手段にも相当する。
【0067】
ステップS9では、自車両がいる受信エリアの停波時間帯であることが交通情報の受信ができていない原因であると制御装置26が判断し、第3メッセージ表示処理を行い、ステップS11に移る。第3メッセージ表示処理では、例えば「サービス時間外のため交通情報が受信できません。サービス時間はXX時XX分〜XX時XX分間です。」等のメッセージを制御装置26が表示装置19に表示させることにより、FM多重放送による交通情報の受信ができていない原因をユーザに提示する。
【0068】
受信エリア内に車両がいて停波時間帯でもないときにFM多重放送による交通情報を受信できない場合は、遮蔽物等の存在により受信電波状況が悪いために交通情報を受信できない可能性が高いと考えられる。そこで、ステップS10では、受信電波状況が悪いことが交通情報を受信できていない原因であると制御装置26が判断し、第4メッセージ表示処理を行い、ステップS11に移る。第4メッセージ表示処理では、例えば「受信電波状況が悪いため交通情報が受信できません。」等のメッセージを制御装置26が表示装置19に表示させることにより、FM多重放送による交通情報の受信ができていない原因をユーザに提示する。
【0069】
なお、ステップS8〜ステップS10でのFM多重放送による交通情報の受信ができていない原因の提示は、音声出力装置20からの音声出力によって行う構成としてもよいし、表示装置19での表示および音声出力装置20からの音声出力によって行う構成としてもよい。よって、表示装置19および音声出力装置20が請求項の原因提示手段に相当する。
【0070】
ステップS11では、放送系受信部24での交通情報の受信(つまり、FM多重放送による交通情報の受信)から通信系受信部25での交通情報の受信(つまり、双方向通信による交通情報の受信)に自動的に切り替える受信手段自動切換えを許可するか否かを制御装置26が判定する。そして、受信手段自動切換えを許可するものと制御装置26が判定した場合(ステップS11でYES)には、ステップS12に移る。また、受信手段自動切換えを許可するものと制御装置26が判定しなかった場合(ステップS11でNO)には、ステップS13に移る。
【0071】
例えば、ステップS11では、制御装置26が、受信手段自動切換えの可否をユーザに問い合わせる表示を表示装置19に行わせたり、受信手段自動切換えの可否をユーザに問い合わせる音声出力を音声出力装置20に行わせたりする。続いて、この問い合わせに応じてユーザが入力する受信手段自動切換えの可否を指示する旨の入力を、操作スイッチ群21やリモコン22で受け付けて制御装置26に送る。そして、受信手段自動切換えを許可する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、受信手段自動切換えを許可するものと制御装置26が判定する一方、受信手段自動切換えを許可しない旨のユーザからの入力を受け付けた場合には、受信手段自動切換えを許可するものと制御装置26が判定しないこととすればよい。よって、制御装置26が請求項の可否問い合わせ手段に相当し、操作スイッチ群21やリモコン22が請求項の可否入力受け付け手段に相当する。
【0072】
ステップS12では、制御装置26が受信手段自動切換えを行い、FM多重放送による交通情報の受信から双方向通信による交通情報の受信に切り替える。そして、通信系受信部25が、交通情報放送局のサーバから双方向通信による交通情報の受信(つまり、データ受信)を行い、ステップS14に移る。よって、制御装置26は請求項の自動切換え手段にも相当する。
【0073】
また、ステップS13では、放送系受信部24が、交通情報放送局からFM多重放送で放送される交通情報の受信(つまり、データ受信)を継続し、ステップS14に移る。例えば、放送系受信部24で交通情報の受信が進行している場合には、交通情報の受信を完了した後にステップS14に移る構成とすればよいし、放送系受信部24で交通情報の受信が進行していない場合には、交通情報の受信を例えば数分程度など一定時間試みた後にステップS14に移る構成とすればよい。
【0074】
そして、ステップS14では、ナビゲーション装置1の電源がオフになった場合(ステップS14でYES)には、フローを終了する。また、ナビゲーション装置1の電源がオフになっていない場合(ステップS14でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0075】
以上の構成によれば、FM多重放送による交通情報の受信ができない原因として、受信エリア外に車両がいること、受信エリアの停波時間帯であること、および受信電波状況が悪いことについてユーザに提示することができる。つまり、ユーザは、FM多重放送による交通情報の受信ができない原因をより詳細に知ることができる。そして、ユーザは、FM多重放送による交通情報の受信ができない原因をより詳細に知ることができれば、より不安を感じずに済んだり、交通情報を受信できるようにするための処置をより講じ易くなったりする。その結果、以上の構成によれば、FM多重放送によって送信される交通情報の受信ができない場合に、ユーザにとっての快適性および利便性をさらに向上させることが可能になる。
【0076】
なお、中国では、大都市の中心部にFM放送局のアンテナがあるだけであり、郊外ではFM多重放送を受信できない。また、FM多重放送による交通情報の提供サービスの黎明期のため、未だに多くの都市でFM多重放送による交通情報の受信を行うことができない。よって、中国において、FM多重放送による交通情報の受信ができない場合に、受信エリア外に車両がいることを提示することはユーザにとっての快適性および利便性を非常に向上させることになる。
【0077】
さらに、中国では、FM放送局のメンテナンスを毎週実施しており、メンテナンス期間は停波することになる(例えば昼間の3〜5時間程度停波することになる)。このFM放送局のメンテナンスによる停波は、都市毎に実施する曜日と時間帯が異なっているが、市民であっても停波時間帯を知らない人が多く、他都市から来た人も停波時間帯を知らないのが一般的である。よって、中国において、FM多重放送による交通情報の受信ができない場合に、受信エリアの停波時間帯であることを提示することはユーザにとっての快適性および利便性を非常に向上させることになる。
【0078】
また、以上の構成によれば、FM多重放送による交通情報の受信ができない原因の制御装置26での判断結果に基づいて、FM多重放送による交通情報の受信から双方向通信による交通情報の受信に切り替える受信手段自動切換えを行うので、FM多重放送によって交通情報を受信できない場合にも、双方向通信によって交通情報を速やかに入手することが可能となる。従って、以上の構成によれば、ユーザにとっての利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0079】
なお、双方向通信によって提供される交通情報は、現況の交通情報を考慮しながら将来の交通量予測を付加した交通情報であることが一般的であり、FM多重放送による交通情報に比べ、目的地までの最適経路や到着予想時間をより正確に算出することを可能にするものである。ところが、その反面、双方向通信による交通情報の受信は、FM多重放送による交通情報の受信とは異なり、一般的に、通信を行うごとに通信費用をユーザが負担する必要がある。
【0080】
これに対して、以上の構成によれば、受信手段自動切換えを行う前に、受信手段自動切換えの可否をユーザに問い合わせ、操作スイッチ群21やリモコン22で受信手段自動切換えを許可する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に受信手段自動切換えを行う一方、受信手段自動切換えを許可しない旨のユーザからの入力を受け付けた場合に受信手段自動切換えを行わないことになる。よって、通信費用をかけてまでもユーザがすぐに交通情報を必要としない場合など、ユーザの要望に応じて受信手段自動切換えを行わせないことにより、ユーザのコスト負担をより抑えることが可能になる。
【0081】
また、以上の構成によれば、サービス対象エリア内に車両がいるか否かについての情報を提示するので、ユーザがその領域で交通情報を受信することができるか否かを知ることが可能になり、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0082】
なお、双方向通信によって交通情報の受信を行う場合の受信頻度を設定可能な構成としてもよい。詳しくは、双方向通信による交通情報の受信頻度の設定を操作スイッチ群21やリモコン22でユーザから受け付け、受け付けた設定に従った受信頻度の設定を制御装置26で行い、設定された受信頻度に従った頻度で双方向通信による交通情報の受信を行う構成とすればよい。よって、操作スイッチ群21やリモコン22が請求項の受信頻度設定受け付け手段に相当する。
【0083】
これによれば、双方向通信によって交通情報の受信を行う場合に、ユーザから設定を受け付けた受信頻度に従った頻度で交通情報の受信を行うので、ユーザの要望に応じた受信頻度で双方向通信による交通情報の入手を行うことが可能になる。例えば、ユーザが双方向通信によるコスト負担を抑えたい場合には、受信頻度を低く設定することによって、双方向通信によって交通情報の受信を行う頻度を減らし、コスト負担をより抑えることが可能になる。
【0084】
また、前述の実施形態では、ステップS11で、受信手段自動切換えを許可するか否かを制御装置26が判定し、許可するものと制御装置26が判定した場合に制御装置26が受信手段自動切換えを行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、受信手段自動切換えを許可するか否かを制御装置26で判定せず、FM多重放送による交通情報の受信ができない場合に制御装置26が受信手段自動切換えを行う構成としてもよい。
【0085】
また、この場合、受信電波状況が悪いことが交通情報を受信できていない原因と制御装置26が判断する状態が所定時間以上続くまでは制御装置26が受信手段自動切換えを行わず、上記状態が所定時間以上続いた場合に制御装置26が受信手段自動切換えを行う構成としてもよい。なお、ここで言うところの所定時間とは、任意に設定可能な値であり、例えば10分等とすることができる。また、受信電波状況が悪いことがFM多重放送による交通情報の受信ができない原因である場合には、この原因は例えば自車両が少し移動するだけで解消されるなど、すぐに解消される場合がある。
【0086】
以上の構成によれば、FM多重放送による交通情報の受信ができない原因がすぐに解消されない可能性が高い場合に、双方向通信によって交通情報を速やかに入手することができる一方、FM多重放送による交通情報の受信ができない原因がすぐに解消された場合には、双方向通信による交通情報の受信に切換えずに済む。
【0087】
よって、以上の構成によれば、FM多重放送によって交通情報の受信ができない原因がすぐに解消されそうにない場合には、通信費用をかけて双方向通信により速やか交通情報を入手する一方、FM多重放送によって交通情報の受信ができない原因がすぐに解消される場合には、通信費用をかけずにFM多重放送によって交通情報を入手することが可能になる。従って、以上の構成によれば、交通情報の入手の遅れをより小さく止めながらも、ユーザのコスト負担をより抑えることが可能になる。
【0088】
なお、前述の実施形態では、制御装置26が受信手段自動切換えを行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、操作スイッチ群21やリモコン22で双方向通信による交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、制御装置26が双方向通信による交通情報の受信を通信系受信部25に行わせる一方、操作スイッチ群21やリモコン22で双方向通信による交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けていない場合には、制御装置26が双方向通信による交通情報の受信を通信系受信部25に行わせない構成とすればよい。よって、操作スイッチ群21やリモコン22が要求入力受け付け手段に相当する。
【0089】
以上の構成によれば、手動でFM多重放送による交通情報の受信から双方向通による交通情報の受信に切換えることができる。よって、表示装置19や音声出力装置20で提示された、FM多重放送によって交通情報を受信できていない原因をユーザが確認した上で、交通情報を受信できていない原因がすぐに解消されるか否かを判断し、双方向通信によって交通情報を入手するか、FM多重放送によって交通情報を入手するかをユーザの要望に応じて選択することが可能になる。
【0090】
また、この場合、双方向通信による交通情報の受信を一旦行ってからの経過時間を、例えば制御装置26のタイマ回路等で計測しておき、上記経過時間が所定の閾値に達した場合に、制御装置26が双方向通信による新たな交通情報の受信の要否をユーザに問い合わせる表示や音声出力を表示装置19や音声出力装置20に行わせる構成としてもよい。なお、ここで言うところの所定の閾値とは、任意に設定可能な値であって、例えば5分や10分等とすることができる。
【0091】
そして、操作スイッチ群21やリモコン22で双方向通信による交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、制御装置26が双方向通信による新たな交通情報の受信を通信系受信部25に行わせる一方、操作スイッチ群21やリモコン22で双方向通信による交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けていない場合には、制御装置26が双方向通信による新たな交通情報の受信を通信系受信部25に行わせない構成としてもよい。よって、制御装置26が経過時間計測手段および要否問い合わせ手段に相当する。
【0092】
なお、新たな交通情報は、既に入手済みの交通情報に比べて信頼性が高い交通情報である可能性が高い。よって、以上の構成によれば、既に入手済みの交通情報の鮮度が落ちた場合に、ユーザが必要とするならば新たな交通情報を双方向通信によって受信することにより、信頼性のより高い交通情報を入手することを可能にする。一方、通信費用をかけてまでも新たな交通情報を必要としない場合など、ユーザが新たな交通情報を必要としない場合には、双方向通信による新たな交通情報の受信を行わせないことにより、ユーザのコスト負担をより抑えることを可能にする。従って、以上の構成によれば、ユーザのコスト負担をより抑えつつ、道路交通情報の信頼性も考慮することが可能になる。
【0093】
また、ナビゲーション装置1が、手動でFM多重放送による交通情報の受信から双方向通による交通情報の受信に切換えるモード(以下、手動モード)と制御装置26が受信手段自動切換えを行うモード(以下、自動モード)との両方を兼ね備えており、手動モードと自動モードとの設定を切換えることが可能な構成としてもよい。この場合、手動モードと自動モードとのそれぞれの設定は、操作スイッチ群21やリモコン22でユーザから受け付ける構成とすればよい。
【0094】
なお、前述の実施形態では、自車両が受信エリア内にいるか否かの判定結果や受信エリアの停波時間帯か否かの判定結果に基づいて、FM多重放送による交通情報の受信ができていない原因として、「自車両が受信エリア外にいること」、「自車両がいる受信エリアの停波時間帯であること」、「受信電波状況が悪いこと」の3つの原因を判断し、提示する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自車両が受信エリア内にいるか否かの判定結果のみに基づいて、FM多重放送による交通情報の受信ができていない原因として、「自車両が受信エリア外にいること」のみを判断し、提示する構成としてもよい。
【0095】
さらに、FM多重放送の周波数と放送系受信部24の受信周波数とが異なる場合、放送系受信部24に利用する機器の電源がオフとなっている場合、放送系受信部24やナビゲーション装置1の配線異常や故障等により異常が生じている場合など、ナビゲーション装置1のダイアグコードを利用してM多重放送による交通情報の受信ができていない原因が制御装置26で判断できる場合には、これらの原因を制御装置26が表示装置19や音声出力装置20に提示させる構成としてもよい。
【0096】
なお、外部メモリ18に記憶しているサービス対象エリア情報、FM多重受信エリア情報、および停波情報は書き換えられる構成としてもよい。例えば、FM多重放送で更新用のサービス対象エリア情報、FM多重受信エリア情報、停波情報が送信されてくる場合には、放送系受信部24で受信したこの更新用のデータをもとに制御装置26が外部メモリ18に記憶しているサービス対象エリア情報、FM多重受信エリア情報、停波情報を書き換える構成とすればよい。また、双方向通信で更新用のサービス対象エリア情報、FM多重受信エリア情報、停波情報が送信されてくる場合には、通信系受信部25で受信したこの更新用のデータをもとに制御装置26が外部メモリ18に記憶しているサービス対象エリア情報、FM多重受信エリア情報、停波情報を書き換える構成とすればよい。さらに、操作スイッチ群21やリモコン22でサービス対象エリア情報、FM多重受信エリア情報、停波情報を入力可能な場合には、操作スイッチ群21やリモコン22への入力をもとに制御装置26が外部メモリ18に記憶しているサービス対象エリア情報、FM多重受信エリア情報、停波情報を書き換える構成とすればよい。
【0097】
また、前述の実施形態では、サービス対象都市情報、FM多重受信エリア情報、および停波情報を外部メモリ18に記憶しておく構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、サービス対象都市情報、FM多重受信エリア情報、および停波情報を、記憶媒体17に記憶しておく構成としてもよいし、制御装置26のEEPROM等のメモリに記憶しておく構成としてもよい。
【0098】
なお、音声入力装置がナビゲーション装置1に備えられている場合には、操作スイッチ群21やリモコン22と同様に音声入力装置を扱う構成としてもよい。
【0099】
また、前述の実施形態では、ナビゲーション装置に本発明を適用した例を挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、ナビゲーション装置とは独立した車載の装置に本発明を適用する構成としてもよい。
【0100】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1 ナビゲーション装置(車載器)、11 位置検出器(位置検出手段)、12 加速度センサ、13 ジャイロスコープ、14 車輪速センサ14、15 GPS受信機(現在時刻検出手段)、16 地図データ入力器、17 記憶媒体、18 外部メモリ(サービス対象エリア情報格納手段、受信エリア情報格納手段、停波時間帯情報格納手段)、19 表示装置(原因提示手段)、20 音声出力装置(原因提示手段)、21 操作スイッチ群(受信頻度設定受け付け手段、要求入力受け付け手段)、22 リモコン(受信頻度設定受け付け手段、要求入力受け付け手段)、23 リモコンセンサ、24 放送系受信部、25 通信系受信部、26 制御装置(サービス対象エリア内外判定手段、サービス対象エリア内外提示手段、経過時間計測手段、要否問い合わせ手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
FM多重放送で送信される道路交通情報を受信するためのFM多重放送受信手段と、
前記車両の現在位置を逐次検出する位置検出手段と、を備える車載器であって、
FM多重放送が受信可能な領域である受信エリアの情報を予め格納している受信エリア情報格納手段と、
前記受信エリア情報格納手段に格納されている受信エリアの情報と前記位置検出手段で検出した前記車両の現在位置の情報とをもとに、前記車両が受信エリア内にいるか否かを判定する受信エリア内外判定手段と、
前記FM多重放送受信手段で前記道路交通情報を受信できていない場合に、前記受信エリア内外判定手段の判定結果に基づいて前記道路交通情報を受信できていない原因を判断する原因判断手段と、
前記原因判断手段で判断した原因を提示する原因提示手段と、を備えていることを特徴とする車載器。
【請求項2】
請求項1において、
現在時刻を検出する現在時刻検出手段と、
前記受信エリアごとのFM多重放送が停波する時間帯である停波時間帯の情報を予め格納している停波時間帯情報格納手段と、
前記受信エリア内外判定手段で前記車両が受信エリア内にいると判定した場合に、前記停波時間帯情報格納手段に格納されている停波時間帯の情報と前記現在時刻検出手段で検出した現在時刻の情報とをもとに、現在が当該受信エリアの停波時間帯であるか否かを判定する停波時間帯判定手段と、を備え、
前記原因判断手段は、前記受信エリア内外判定手段の判定結果に加え、前記停波時間帯判定手段の判定結果に基づいて前記道路交通情報を受信できていない原因を判断することを特徴とする車載器。
【請求項3】
請求項1または2において、
双方向通信によって前記道路交通情報を受信することが可能な双方向通信手段を備えることを特徴とする車載器。
【請求項4】
請求項3において、
前記原因判断手段での判断結果に基づいて、前記FM多重放送受信手段での前記道路交通情報の受信から前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信に自動的に切換える受信手段自動切換えを行う自動切換え手段を備えることを特徴とする車載器。
【請求項5】
請求項4において、
前記原因判断手段は、前記受信エリア内外判定手段で前記車両が受信エリア内にいないと判定したことに基づいて、受信エリア外であることが前記道路交通情報を受信できていない原因と判断し、
前記自動切換え手段は、前記原因判断手段で、受信エリア外であることが前記道路交通情報を受信できていない原因と判断した場合に、前記受信手段自動切換えを行うことを特徴とする車載器。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記現在時刻検出手段、前記停波時間帯情報格納手段、および前記停波時間帯判定手段を備えるものであって、
前記原因判断手段は、前記受信エリア内外判定手段で前記車両が受信エリア内にいると判定し、且つ、前記停波時間帯判定手段で現在が当該受信エリアの停波時間帯であると判定したことに基づいて、当該受信エリアの停波時間帯であることが前記道路交通情報を受信できていない原因と判断し、
前記自動切換え手段は、前記原因判断手段で、受信エリアの停波時間帯であることが前記道路交通情報を受信できていない原因と判断した場合に、前記受信手段自動切換えを行うことを特徴とする車載器。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項において、
前記現在時刻検出手段、前記停波時間帯情報格納手段、および前記停波時間帯判定手段を備えるものであって、
前記原因判断手段は、前記受信エリア内外判定手段で前記車両が受信エリア内にいると判定し、且つ、前記停波時間帯判定手段で現在が当該受信エリアの停波時間帯でないと判定したことに基づいて、受信電波状況が悪いことが前記道路交通情報を受信できていない原因と判断し、
前記自動切換え手段は、前記原因判断手段で、受信電波状況が悪いことが前記道路交通情報を受信できていない原因と判断する状態が所定時間以上続いた場合に、前記受信手段自動切換えを行うことを特徴とする車載器。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項において、
前記自動切換え手段で前記受信手段自動切換えを行う前に、前記受信手段自動切換えの可否をユーザに問い合わせる可否問い合わせ手段と、
前記受信手段自動切換えの可否を指示する旨のユーザからの入力を受け付ける可否入力受け付け手段と、を備え、
前記可否入力受け付け手段で前記受信手段自動切換えを許可する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、前記自動切換え手段で前記受信手段自動切換えを行う一方、前記可否入力受け付け手段で前記受信手段自動切換えを許可しない旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、前記自動切換え手段で前記受信手段自動切換えを行わないことを特徴とする車載器。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか1項において、
ユーザからの前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信頻度の設定を受け付ける受信頻度設定受け付け手段を備え、
前記双方向通信手段で前記道路交通情報の受信を行う場合に、前記受信頻度設定受け付け手段で設定を受け付けた受信頻度に従った頻度で前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を行うことを特徴とする車載器。
【請求項10】
請求項3において、
前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付ける要求入力受け付け手段を備え、
前記要求入力受け付け手段で前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を行う一方、前記要求入力受け付け手段で前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けていない場合には、前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を行わないことを特徴とする車載器。
【請求項11】
請求項10において、
前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を一旦行ってからの経過時間を計測する経過時間計測手段と、
前記経過時間計測手段で計測した経過時間が所定の閾値に達した場合に、前記双方向通信手段での新たな道路交通情報の受信の要否をユーザに問い合わせる要否問い合わせ手段と、を備え、
前記要求入力受け付け手段で前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けた場合に、前記双方向通信手段での当該新たな道路交通情報の受信を行う一方、前記要求入力受け付け手段で前記双方向通信手段での前記道路交通情報の受信を要求する旨のユーザからの入力を受け付けていない場合には、前記双方向通信手段での当該新たな道路交通情報の受信を行わないことを特徴とする車載器。
【請求項12】
請求項3〜11のいずれか1項において、
前記FM多重放送および前記双方向通信のうちの少なくとも前記双方向通信によって前記道路交通情報を受信することが可能な領域であるサービス対象エリアの情報を予め格納しているサービス対象エリア情報格納手段と、
前記サービス対象エリア情報格納手段に格納されているサービス対象エリアの情報と前記位置検出手段で検出した前記車両の現在位置の情報とをもとに、前記車両がサービス対象エリア内にいるか否かを判定するサービス対象エリア内外判定手段と
前記サービス対象エリア内外判定手段での判定結果に基づいて、前記車両がサービス対象エリア内にいるか否かについての情報を提示するサービス対象エリア内外提示手段と、を備えていることを特徴とする車載器。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項において、
前記車両に搭載されるナビゲーション装置であることを特徴とする車載器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−186952(P2011−186952A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53779(P2010−53779)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】