説明

車載用電力制御装置

【課題】ケース内に注型する樹脂の量を増大させることなく、パワー部と制御部と電源部との一体化を図ることができる車載用電力制御装置を提供する。
【解決手段】装置を、パワーユニット2と制御ユニット3と電源ユニット4とに分け、パワーユニットの構成部品を収容したケース202の開口部と制御ユニットの構成部品を収容したケース302の開口部とを突き合わせて両ケースを結合する。パワーユニットのケースの側面に設けた開口部に電源ユニット4のケース402を嵌合させて、両ケースを結合する。パワーユニットと制御ユニットとの間をフレキシブルな接続導体5により接続し、パワーユニットのケース202内に形成された樹脂モールド部8aと制御ユニットのケース302内に形成された樹脂モールド部8bとの間に接続導体5を折り曲げた状態で収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載される電力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、パワー回路を有するパワー部と、少なくともパワー回路を制御する制御回路を備えた制御部と、電源コンデンサや、バッテリが逆接続された際に回路を保護するためのリレー等を含む大形部品を有する電源部とを備えた電力制御装置が搭載される。
【0003】
本明細書において、パワー部は、整流回路やインバータ回路など、比較的大きな負荷電流が流れる電子部品により構成される回路(パワー回路)を備えた部分を意味する。制御部は、比較的小さい信号電流が流れる電子部品を備えて、少なくともパワー回路を制御する制御回路を備えた部分を意味する。また電源部は、パワー回路及び制御部の電源に関連する電源コンデンサやリレーなど、半導体部品に比べて大形の部品を備えた部分を意味する。
【0004】
パワー部、制御部及び電源部のそれぞれの構成は、電力が供給される対象物により相違する。例えば、エンジンの始動時にスタータモータとして動作し、エンジンが始動した後は磁石発電機として動作するスタータジェネレータがエンジンに取付けられる場合には、エンジンの始動時にバッテリからスタータジェネレータに供給する電力を制御し、エンジンが始動した後はスタータジェネレータ側からバッテリに供給する充電用電力を制御する電力制御装置が設けられる。この電力制御装置においては、エンジンの始動時にバッテリからスタータジェネレータに駆動電流を供給し、エンジンの始動後はスタータジェネレータからバッテリに充電電流を供給する回路(パワー回路)によりパワー部が構成される。この場合、制御部は、少なくともパワー回路を制御する回路を備えるが、場合によっては、エンジンの点火装置や燃料噴射装置を制御する回路を更に備えることもある。この場合、電源コンデンサはバッテリの両端に接続される。またバッテリが逆に接続された場合に回路を保護するためのリレーが電源部に設けられることがある。
【0005】
またレジャー用の車両においては、車両が停止しているときに、エンジンにより発電機を駆動して家電製品等の各種の負荷に商用電力を供給する電源装置を構成する場合がある。この場合には、発電機の交流出力を直流出力に変換するコンバータ回路と、該コンバータ回路の直流出力を商用周波数の交流出力に変換するインバータ回路とによりパワー部が構成される。この場合、制御部は、少なくとも、インバータ回路を制御する回路を備えるが、場合によっては、エンジンの点火装置や燃料噴射装置を制御する部分を含むことがある。
【0006】
車載用の電力制御装置において、パワー部と制御部と電源部とにより構成される車載用電力制御装置全体をユニット化して一つにまとめることが必要とされることがある。パワー部と制御部とをユニット化した電子ユニットとして、特許文献1に示されたものが知られている。特許文献1に示された電子ユニットでは、パワー部を構成する電子部品と制御部を構成する電子部品とを別々の回路基板に実装して、両回路基板の配線パターンの間をリジッドな(剛性を有する)接続ピンを介して接続した状態で両基板をケース内に収容し、ケース内全体に樹脂を充填して、ケース内に収容した部品全体を樹脂でモールドしている。
【特許文献1】特開平6−45518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されたユニットの構造を、パワー部と制御部と電源部とを有する車載用電力制御装置に適用する場合には、パワー部及び制御部を構成する部品とともに、電源部に設けられるコンデンサ等の大形の部品を収容するために、ケースとして大形のものを用意する必要がある。この場合、大形の部品の周囲には無駄なスペースが形成され、ケース内に樹脂を注型する際には、大形部品の周囲の無駄なスペースにも樹脂を充填する必要があるため、ケース内に注入する樹脂の量が多くなってコストが上昇するという問題が生じる。
【0008】
電源コンデンサ等の大形の部品の周囲に無駄なスペースが形成されるのを防ぐために、大形の部品の外径に倣った形状のケースを用いることが考えられるが、このようなケースは形状が著しく複雑になるため、ケースを成型する金型が高価になり、製造コストの上昇を招く。
【0009】
また特許文献1に示されたユニットのように、パワー部を構成する部品を実装した回路基板と制御部を構成する部品を実装した回路基板との間をリジッドな接続ピンで接続した場合には、接続ピンの熱膨張率がその周囲の樹脂の熱膨張率よりも小さいため、パワー部の温度が上昇した際に、回路基板の間に存在する樹脂の熱膨張により、接続ピンを回路基板から引く抜こうとする方向の力が回路基板に働く。そのため、発熱量が多いパワー部の温度変化に伴って、樹脂の温度の上昇及び低下が繰り返されると、接続ピンと回路基板との半田付け部に疲労が生じて該半田付け部が破損し、パワー部と制御部との間の電気的な接続を確保できなくなるおそれがある。
【0010】
上記のような問題が生じないようにするため、パワー部を構成する部品を実装した回路基板と制御部を構成する部品を実装した回路基板との間をフレキシブルプリント基板(FPC)を介して接続することが考えられるが、FPCをモールド樹脂内に埋設すると、FPCとモールド樹脂との熱膨張係数の差によりFPCの導体にひずみが生じ、モールド樹脂の冷熱サイクルが繰り返されると、FPCの導体が疲労して断線する等のトラブルが生じるおそれがある。
【0011】
また特許文献1に示されたように、すべての構成部品を共通のケース内に収容した場合には、パワー部、制御部及び電源部の構成が一つでも変更されると、ケース全体を設計し直す必要があるため、不経済であった。特に電源部では、電源コンデンサの大きさが変更になったり、バッテリが逆接続された際に回路を保護するためのリレーが設けられたり、設けられなかったりすることがあるため、その構成が変更されることがしばしばあるが、従来の構成では、電源部の構成が変更されただけでも、部品を収容するケース全体の設計をし直す必要があり、設計変更に要するコストが高くなるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、ケース内に注型する樹脂の量を増大させることなく、パワー部と制御部と電源部との一体化を図ることができる車載用電力制御装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、温度変化によりパワー部と制御部との間の電気的な接続が損なわれるおそれをなくした車載用電力制御装置を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、設計変更に要するコストの低減を図ることができるようにした車載用電力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、パワー回路を有するパワー部と、少なくともパワー回路を制御する制御回路を備えた制御部と、電源コンデンサを含む大形部品を有する電源部とを備えた車載用電力制御装置を対象とする。
【0016】
本発明においては、パワー部の構成部品を実装した第1の回路基板を第1のケース内に収容して構成したパワーユニットと、制御部の構成部品を実装した第2の回路基板を第2のケース内に収容して構成した制御ユニットと、電源部の大形部品を第3のケース内に収容して構成した電源ユニットとの3つのユニットが設けられる。第1のケース及び第2のケースにそれぞれ設けられた開口部同士が互いに突き合わされた状態で結合されることによりパワーユニットと制御ユニットとが機械的に結合される。また、第1のケースの側面に第3のケースを嵌合させるための嵌合部を有する側面開口部が設けられ、第3のケースは、大形部品を収容した部分を第1のケースの外側に位置させた状態で側面開口部に嵌合されて該側面開口部を閉じた状態で第1のケースに固定される。そして、第1のケース内及び第2のケース内にそれぞれ、パワー回路の構成部品を第1の回路基板とともに覆う第1の樹脂モールド部及び制御部の構成部品を第2の回路基板とともに覆う第2の樹脂モールド部が形成されるとともに、第3のケース内に電源部の大形部品の少なくとも導体部分を覆う第3の樹脂モールド部が形成される。パワーユニットと制御ユニットとの間は、フレキシブルでフラットな接続導体により電気的に接続されていて、該接続導体が第1の樹脂モールド部と第2の樹脂モールド部との間に形成されたスペースに折り曲げられた状態で収容される。
【0017】
上記のように、大形の部品を有する電源部を別ユニットとして構成すると、パワーユニット及び制御ユニットのケースは小形の電子部品を実装した回路基板を収容する大きさを有していれば良く、大形の部品を収容することを考慮する必要がないため、パワーユニット及び制御ユニットのケースが大形になってケース内に無駄なスペースが生じるのを防ぐことができ、無駄なスペースを樹脂で充填するためにモールド樹脂の量が多くなるのを防ぐことができる。また電源ユニットに設ける第3の樹脂モールド部は、大形部品の少なくとも導体部分をモールドするように設ければよいため、該モールド部を形成するために必要な樹脂を節約することができる。従って、上記のように構成すると、全体として、モールド樹脂の量を少なくすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0018】
また上記のように、車載用電力制御装置をパワーユニットと制御ユニットと電源ユニットとに分けて、これらのユニットを機械的に結合することにより車載用電力制御装置を組立てるようにすると、ユニット同士の結合部の構成を規格化しておくことにより、一部のユニットで設計変更があった場合に、必要に応じて、変更があったユニットのケースのみを変更すれば良く、全ユニットのケースの設計変更をする必要がなくなるため、設計変更に要するコストの削減を図ることができる。特に電源ユニットにおいては、コンデンサの大きさが変更されたり、リレーが設けられたり設けられなかったりする変更がよく行われるが、電源ユニットのケースとパワーユニットのケースの側面開口部との嵌合部の寸法及び嵌合構造を規格化しておくことにより、パワーユニット及び制御ユニットに何ら変更を加えることなく、電源ユニットの変更に対処することができる。
【0019】
また上記のように、パワーユニットと制御ユニットとの間を、フレキシブルでフラットな接続導体により電気的に接続し、該接続導体を、パワーユニットの樹脂モールド部と制御ユニットの樹脂モールド部との間のスペースに収容するようにすると、パワーユニットの冷熱サイクルによりモールド樹脂が膨張と収縮とを繰り返しても、接続導体にひずみが生じることがないため、パワーユニットと制御ユニットとの間の電気的な接続が損なわれるおそれを無くすことができる。
【0020】
本発明の好ましい態様では、上記第3の樹脂モールド部が、大形部品の導体部分を隠すために必要な部分のみを覆うように設けられていて、大形部品の本体の少なくとも一部は第3の樹脂モールド部から外部に露呈された状態とされる。
【0021】
本発明の好ましい態様では、上記接続導体の導体の一端及び他端がそれぞれ第1の回路基板に設けられたランド及び第2の回路基板に設けられたランドに半田付けされ、接続導体の第1の回路基板側の端部及び第2の回路基板側の端部がそれぞれ、第1の回路基板に固定された押え板及び第2の回路基板に固定された押え板により、第1の回路基板及び第2の回路基板に対して押えつけられている。
【0022】
上記のように接続導体と回路基板との接続をコネクタによるのではなく、半田付けにより行うとともに、接続導体の第1の回路基板側の端部及び第2の回路基板側の端部をそれぞれ、第1の回路基板に固定された押え板及び第2の回路基板に固定された押え板により、第1の回路基板及び第2の回路基板に対して押えつけるようにすると、車載用電力制御装置を組立てる際に、接続導体に引っ張り力が作用した場合に、接続導体が第1の回路基板及び第2の回路基板から切り離されるおそれを無くすことができる。
【0023】
上記第1の押え板及び第2の押え板の第1の回路基板及び第2の回路基板に対する固定はそれぞれ、第1の押え板及び第2の押え板を第1の回路基板に設けられたランド及び第2の回路基板に設けられたランドに半田付けすることにより行うのが好ましい。
【0024】
上記のように、第1の押え板及び第2の押え板をそれぞれ第1の回路基板に設けられたランド及び第2の回路基板に設けられたランドに半田付けすることにより、第1の回路基板及び第2の回路基板に対して固定するようにすると、第1の押え板及び第2の押え板の固定をネジやリベットを用いることなく行うことができるため、部品点数の削減を図って、コストの上昇を抑えることができる。
【0025】
本発明の好ましい態様では、パワーユニットに設ける第1の回路基板が、アルミニウム等の金属をベースとした回路基板からなっていて、該回路基板が第1のケースの底壁部に熱的に結合された状態で(回路基板から第1のケースの底壁部に熱伝導が行われる状態で)配置され、第1のケースの底壁部の外面に放熱フィンが設けられる。
【0026】
上記のように構成すると、パワー回路からの放熱を効率よく行わせることができるため、パワーユニットの温度上昇を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、車載用電力制御装置を、パワーユニットと制御ユニットと電源ユニットとの3つのユニットに分けて、これらのユニットを結合する構造としたので、パワーユニット及び制御ユニットのケースは、電源部の大形部品を収容することを考慮せずに、必要最小限の大きさとすることができ、ユニットのケース内に無駄なスペースが形成されるのを防いで、樹脂モールド部を形成するために必要な樹脂の量を節約することができる。また電源ユニットでは、大形部品の少なくとも導体部分をモールドすればよいため、装置全体として、モールド樹脂の量を少なくすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0028】
本発明によれば、車載用電力制御装置をパワーユニットと制御ユニットと電源ユニットとに分けて、これらのユニットを機械的に結合することにより車載用電力制御装置を組立てるようにしたので、ユニット同士の結合部の構成を規格化しておくことにより、一部のユニットで設計変更があった場合に、必要に応じて、変更があったユニットのケースのみを変更すれば良く、全ユニットのケースの設計変更をする必要性を無くして、設計変更に要するコストの削減を図ることができる。特に電源ユニットにおいては、コンデンサの大きさが変更されたり、リレーが設けられたり設けられなかったりする変更がよく行われるが、電源ユニットのケースとパワーユニットのケースの側面開口部との嵌合部の寸法及び嵌合構造を規格化しておくことにより、パワーユニット及び制御ユニットに何ら変更を加えることなく、電源ユニットの変更に対処することができる。
【0029】
また本発明では、パワーユニットと制御ユニットとの間を、フレキシブルでフラットな接続導体により電気的に接続し、該接続導体を、パワーユニットの樹脂モールド部と制御ユニットの樹脂モールド部との間のスペースに収容するようにしたので、パワーユニットの冷熱サイクルによりモールド樹脂が膨張と収縮とを繰り返した際に、接続導体にひずみが生じることのを防ぐことができ、パワーユニットと制御ユニットとの間の電気的な接続が損なわれるおそれを無くすことができる。
【0030】
本発明において、接続導体の芯線の一端及び他端をそれぞれ第1の回路基板に設けられたランド及び第2の回路基板に設けられたランドに半田付けし、接続導体の第1の回路基板側の端部及び第2の回路基板側の端部をそれぞれ、第1の回路基板に固定された押え板及び第2の回路基板に固定された押え板により、第1の回路基板及び第2の回路基板に対して押えつけた場合には、車載用電力制御装置を組立る過程で、接続導体に引っ張り力が作用した場合に、接続導体が第1の回路基板及び第2の回路基板から切り離されるおそれを無くすことができ、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0031】
本発明において、上記押え板を回路基板のランドに半田付けするようにした場合には、ネジやリベット等の締結具を用いることなく、押え板を回路基板に固定することができるため、部品点数の削減を図り、車載用電力制御装置の組立工数を削減して、製造コストの低減を図ることができる。
【0032】
本発明において、パワーユニットに設ける第1の回路基板として、金属をベースとした回路基板を用いて、該回路基板を第1のケースの底壁部に熱的に結合した状態で配置し、第1のケースの底壁部の外面に放熱フィンを設けた場合には、パワー回路からの放熱を効率よく行わせることができるため、パワーユニットの温度上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1ないし図10は本発明の好ましい実施形態の一例を示したもので、図1は樹脂が注型される前の状態にあるパワーユニット及び制御ユニットと、パワーユニットに結合され電源ユニットとを示した斜視図、図2はパワーユニットの構造を示す分解斜視図、図3は電源ユニットの構造を示す分解斜視図、図4は制御ユニットの構造を示した分解斜視図である。図5はパワーユニットと制御ユニットとの間を接続する接続導体と回路基板との接続部の構造を示す要部の拡大上面図、図6は同接続部の断面図、図7はパワーユニット、制御ユニット及び電源ユニットのケース内にモールド樹脂を注入する際の状態を示した斜視図、図8はケース内に樹脂が注入されて硬化された状態にあるパワーユニット、制御ユニット及び電源ユニットを示した斜視図である。また図9は制御ユニットのケースの開口部をパワーユニットのケースの開口部に突き合わせて両ケースを結合する過程を説明するための斜視図、図10は制御ユニットのケースの開口部とパワーユニットのケースの開口部との結合を完了した状態を示す斜視図、
【0034】
本発明は、電力の供給を制御するために大きい電流が流れるパワー回路を有するパワー部と、少なくともパワー回路を制御する制御回路を備えた制御部と、電源コンデンサを含む大形部品を有する電源部とを備えた車載用電力制御装置に広く適用することができる。本実施形態では、一例として、エンジンに取り付けられたスタータジェネレータとバッテリとの間に設けられて、エンジンの始動時にスタータジェネレータをブラシレスモータとして駆動してエンジンのクランキングを行わせ、エンジンが始動した後は、スタータジェネレータをジェネレータとして運転してその出力でバッテリを充電するようにスタータジェネレータを制御する場合を例にとって、本発明に係わる車載用電力制御装置の構成例を説明する。
【0035】
なおスタータジェネレータは、例えばエンジンのクランク軸に取り付けられた磁石回転子と、多相の電機子コイルを有する固定子と、各相の電機子コイルに対して設定された検出位置で該検出位置を通過する磁石回転子の磁極の極性を検出するホールセンサとを備えた回転電機で、既に公知である。この回転電機は、ホールセンサにより検出された回転子の回転角度位置に応じて所定の相の電機子コイルに駆動電流が流れるように駆動されたときにブラシレスモータとして動作してエンジンのクランク軸を回転させ、エンジンが始動した後は、磁石発電機として動作して、電機子コイルに多相の交流電圧を誘起する。本実施形態では、スタータジェネレータが三相の電機子コイルを有しているとする。
【0036】
図1において、1は車載用電力制御装置で、本発明においては、電力制御装置1が、パワーユニット2と、制御ユニット3と、電源ユニット4との3つのユニットに分けられている。
【0037】
パワーユニット2は、インバータ回路等のパワー回路を有するパワー部の構成部品200を実装した第1の回路基板201と、この第1の回路基板201を収容した扁平な(長さ及び幅寸法に比べて高さ寸法が小さい)直方体状の第1のケース202と、第1のケース202に取付けられたコネクタ203とを備えている。
【0038】
図2に示されているように、第1のケース202は、アルミニウムからなっていて、長方形状の底壁部202aと、底壁部202aの2つの長辺に沿って設けられた2つの側壁部202b及び202cと、底壁部202aの2つの短辺に沿って設けられた2つの側壁部202d及び202eとを有し、側壁部202bないし202eの底壁部202aと反対側の端部には、一方向(図1において上方)に開口した第1の主開口部202Aが形成されている。また底壁部202aの一方の長辺に沿う側壁部202bを貫通して、第1の主開口部202Aの開口方向と直角な方向に開口した側面開口部202Bが設けられ、側面開口部202Bが設けられた側壁部202bに相対する側壁部202c及び底壁部202aの一方の短辺に沿う側壁部202dにはそれぞれ、コネクタ取付け用開口部202C及び202Dが設けられている。側面開口部202B及びコネクタ取付け用開口部202C,202Dは、ケース202の側壁をU字形に切り欠いた形状に形成されている。側面開口部202Bは、電源ユニット4のケースを嵌合させるために用いられる。第1のケース202の4つのコーナ部の内側には、ネジ穴202fが形成されたボス部が形成されている。第1のケース202のコネクタ取付け用開口部202Dの内側には、後記する制御ユニットに取付けられたコネクタを受け止めるためのアダプタ204が嵌合されて適宜の手段によりケース202に対して固定され、このアダプタ204により開口部202Dが閉じられるようになっている。アダプタ204は受け止めるコネクタの形状及び寸法に応じて複数種類用意されており、受け止めるコネクタの形状に応じて、適宜交換し得るようになっている。ケース202の底壁部202aの外面には多数の放熱フィン202gが形成されている。
【0039】
パワー回路を有するパワー部の構成部品200を実装した第1の回路基板201は、銅やアルミニウム等の金属をベースとした矩形状の回路基板からなっている。第1の回路基板201は、第1のケース202の底壁部202aに熱的に結合された状態で配置されて、図示しないネジにより底壁部202aに固定される。
【0040】
コネクタ203は、エンジンに取り付けられたスタータジェネレータの三相の電機子コイルをパワー回路に接続するために設けられている。コネクタ203は、そのハウジングの両端に設けられた溝部に、第1のケース202のコネクタ取付用開口部202Cの縁部を嵌合させた状態で第1のケースに固定されている。コネクタ203には、スタータジェネレータの電機子コイルにつながる電線が接続された図示しないコネクタが差し込まれる。コネクタ203には三相の電機子コイルが接続される3本の銅の帯板からなるバスバー203uないし203wが設けられ、バスバー203uないし203wは第1の回路基板201に設けられたパッド(電極)201uないし201wに半田付けされている。なおバッテリは、電源ユニット4の下面に設けられた端子部(図示せず。)に電線を通して接続される。
【0041】
第1の回路基板201に実装された電子部品により構成されるパワー回路は、エンジンの始動時にスタータジェネレータをスタータモータ(ブラシレスモータ)として駆動する際にバッテリを電源としてスタータジェネレータの三相の電機子コイルに電流を流すインバータ回路や、エンジンが始動した後にスタータジェネレータをジェネレータとして運転する際に該ジェネレータの交流出力を整流する整流回路や、インバータ回路を構成するFET等のスイッチ素子に駆動信号を与えるドライバ回路や、制御ユニット3に設けられるマイクロプロセッサ等の構成部品に電源電圧を与える定電圧回路などである。
【0042】
制御ユニット3は、図4に示すように、マイクロプロセッサなどの制御部の構成部品300を実装した第2の回路基板301と、第2の回路基板301を収容した扁平な直方体状の第2のケース302と、第2の回路基板301に端子群303aが半田付けされたコネクタ303とを備えている。コネクタ303には、各種のセンサにつながるワイヤハーネスに取り付けられた図示しないコネクタが差し込まれ、コネクタ303を通して制御部に制御に必要な各種の信号が与えられる。
【0043】
第2のケース302は、第1のケース202と同様にアルミニウムからなっていて、長方形状の底壁部302aと、底壁部302aの2つの長辺に沿って設けられた2つの側壁部302b及び302cと、底壁部302aの2つの短辺に沿って設けられた2つの側壁部302d及び302eとを有し、側壁部302bないし302eの底壁部302aと反対側の端部には、一方向(図1において上方)に開口した第2の主開口部302Aが形成されている。また第2のケースの長手方向の一端に設けられた側壁部302dには、コネクタ303の一部を嵌合させる開口部302Dが形成されている。第2のケース302の四隅には、第2のケース302を第1のケース201に締結するために用いられるネジを貫通させるネジ通し孔302fが、第1のケース202の四隅のネジ孔202fに整合し得る状態で設けられている。第2のケース302の開口部302Aには、第1のケース202の開口部202Aの内側に嵌合する嵌合部302A1が形成されている。第2のケース302の四隅の外面には、C字形の取付け孔を備えたブラケット302hが形成されている。これらのブラケットは本実施形態の電力制御装置を車両に取り付ける際に用いられる。
【0044】
制御部を構成する電子部品300を実装し、コネクタ303が取り付けられた第2の回路基板301は、コネクタ303を第2のケース302の開口部302Dに嵌合させた状態で第2のケース302内に挿入されている。
【0045】
図3を参照すると、電源ユニット4の構成が示されている。電源ユニット4は、樹脂の成型品からなっていて、本体部分402aがほぼ直方体状を呈する第3のケース402を備えている。第3のケース402は、上方に開口した2つの凹部402b及び402cを有していて、凹部402b内に、パワー回路の構成部品や制御部の構成部品に比べて大形の部品である電源コンデンサ403が収容され、凹部402c内に、同じく大形の部品であるリレー404が収容されている。リレー404は、バッテリが誤って逆向きに接続された際にパワー回路を保護する働きをする。第3のケース402の本体部分402aの長手の両端には、第1のケース202の側面開口部202Bの縁部を嵌合させる溝部402d,402dが形成されている。
【0046】
第3のケース402は、その溝402d,402dに第1のケースの側面開口部202Bの縁部を挿入して、大形部品を収容した部分を第1のケース202の外側に位置させた状態で側面開口部202Bに嵌合されることにより、第1のケース202の側面開口部202Bを閉じた状態で、該第1のケース202に機械的に結合される。
【0047】
第3のケース402の本体部分402aの長手方向の両端の下部には、該第3のケースが第1のケース側の側面開口部に嵌合されて取付けられた際に、第1のケース202内に突出した状態で配置されるブラケット402e,402eが設けられ、これらのブラケットがネジ406,406(図1参照)により第1のケース202の底壁部に締結されることにより、第3のケース402が第1のケース202に固定される。
【0048】
第3のケース402には、電源ユニット4をパワーユニット2に電気的に接続するために第1のケース202内に突出した状態で配置されるバスバー405p,405q,405rの基端部がモールドされ、これらのバスバーが第1のケース202内で、第1の回路基板201に設けられたパッド201p,202q,201rに接続される。また第3のケース402の一方のブラケット402eの部分に電源ユニットのアース回路につながるアース端子金具402fがモールドされ、このアース端子金具は、第1の回路基板に設けられたパッド201hに接続される。
【0049】
本実施形態では、第3のケース402と第1のケース202の側面開口部202Bとの嵌合部の構造が規格化され、第1のケース202及び第3のケース402の形状及び大きさが変更されても、第3のケース402と第1のケース202の側面開口部202Bとの嵌合部の構造及び寸法は変わらないようにしている。例えば、リレー404が省略されてコンデンサ403のみが電源部に設けら得る場合には、凹部402cが設けられないが、この場合でも、第3のケース402と第1のケース202の側面開口部202Bとの嵌合部の構造は変更しないようにする。
【0050】
パワーユニット2と制御ユニット3との間は、フレキシブルでフラットな接続導体5により電気的に接続される。接続導体5としては、フラットな導体を柔軟性を有する絶縁被覆で被覆したフラットケーブルや、フレキシブル基板の片面または両面に導体パターンを形成したフレキシブルプリント基板(FPC)を用いることができる。
【0051】
本実施形態では、片面に多数の帯状の導体パターンが平行に形成され、他面にベタパターンが形成された両面FPCを接続導体5として用いている。接続導体5の両端の片面には、複数の帯状導体パターンにそれぞれつながる複数の端子パターンが形成され、接続導体5の一端側の各端子パターンはパワーユニットの第1の回路基板201に設けられランドに、また他端側の各端子パターンは制御ユニットの第2の回路基板301に設けられたランドに半田付けされる。また本実施形態では、装置の組立の際に接続導体5に引っ張り力が作用した際に接続導体と各回路基板との半田付け部が剥離するのを防ぐため、接続導体5と第1の回路基板201との接続部及び接続導体5と第2の回路基板301との接続部で接続導体5を第1の回路基板201及び第2の回路基板301に対して押さえつける押え板が設けられている。
【0052】
図5及び図6は、接続導体5と第1の回路基板201との接続部の構成例を示したものである。この例では、接続導体5の第1の回路基板201側の端部に浅いコの字形の切り欠き5aが形成され、切り欠き5aの両側の部分にそれぞれ形成された接続導体の耳部5b,5bに設けられた孔に第1の回路基板201に固定された位置決めピン6,6が嵌合されている。これらの位置決めピンにより、接続導体5の片面に設けられた複数の導体にそれぞれつながる一連の端子パターン501が、回路基板201に設けられた複数のランド201iに対して位置決めされ、各端子パターン501は、対応するランド201iに半田付けされている。
【0053】
接続導体5の端部の他面側には、該接続導体の他面に形成されたベタパターンにつながる帯状の端子パターン502が設けられ、この端子パターン502の上に銅板からなるC字形の押え板7が当接されている。押え板7の両端に設けられた耳部7b,7bに形成された孔に位置決めピン6,6が嵌合され、これらの位置決めピンにより、押え板7が端子パターン502に対して位置決めされている。即ち、位置決めピン6,6は接続導体5の位置決めをする手段と、押え板7の位置決めをする手段とを兼ねている。そして、押え板7の両端の下面が回路基板201に形成されたアースランド201j,201jに半田付けされることにより、押え板7が回路基板201に固定され、押え板7により、接続導体5の端部が回路基板201に対して押さえつけられている。アースランド201j,201jは回路基板201のアースパターンに接続され、接続導体5の他面に形成されたベタパターンが端子パターン502と押え板7とアースランド201j,201jとを通して回路基板201のアースパターンに電気的に接続されている。押え板7の接続導体5側の端部には、湾曲した立ち上がり部7aが形成され、接続導体5に引っ張り力が作用した際に、接続導体5が押え板7により極端に曲げられることがないように配慮されている。接続導体5と制御ユニットの回路基板301との接続部も上記と同様に構成されている。
【0054】
上記のようにしてパワーユニット2と制御ユニット3との間をフレキシブルな接続導体5により接続した後、図7に示したように、パワーユニット2のケース202内と、制御ユニット3のケース302内と、電源ユニット4のケース402の凹部402b,402c内とにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を注型することにより、パワー回路の構成部品200を第1の回路基板201とともにモールドした第1の樹脂モールド部8aと、制御部の構成部品300を第2の回路基板301とともにモールドした第2の樹脂モールド部8bと、電源部の大形部品の少なくとも導体部分をモールドした第3の樹脂モールド部8cとを形成する。これらの樹脂モールド部の形成は、図8に矢印で示したように3つのユニット2ないし4を配置した状態で上方から各ユニットのケース内に同時に樹脂8を注入することにより能率良く行うことができる。
【0055】
第1の樹脂モールド部8aは、パワー回路の構成部品200と第1の回路基板201とを完全に覆うように設けられ、第2の樹脂モールド部8bは、制御部の構成部品300と第2の回路基板301とを完全に覆うように設けられるが、第3の樹脂モールド部8cは、大形部品403,404の導体部分を隠すために必要な部分のみを覆うように設けられ、大形部品403,404の本体の少なくとも一部は第3の樹脂モールド部から外部に露呈されている。
【0056】
上記のようにして各ケース内に樹脂モールド部を形成した後、図8ないし図10に示すように、制御ユニット3を裏返しにして、接続導体5を二つ折りにし、制御ユニットの第2のケース302の開口部302Aをパワーユニットの第1のケース202の開口部202Aに突き合わせて、第2のケース302の開口部に設けられた嵌合部302A1を第1のケース202の開口部に嵌合させるとともに、コネクタ303を第1のケース202に取付けられているアダプタ204に嵌合させる。このように第1のケース202を第2のケース302に突き合わせた際に、第1のケース202内及び第2のケース302内が密閉されるように、第1のケースと第2のケースとの突き合わせ部が構成されている。また制御ユニット3を裏返しにして、第2のケース302の開口部302Aを第1のケース202の開口部202Aに突き合わせた際に、第1の樹脂モールド部8aと第2の樹脂モールド部8bとの間に、二つ折りにされた接続導体5を収容するために必要なスペースが形成されるように、第1のケース202及び第2のケース302の深さが設定されている。
【0057】
次いで、図9及び図10に示すように、第2のケース302に設けられたネジ通し孔302fを貫通させたネジ9を第1のケース202のネジ穴202fにねじ込むことにより、第2のケース302を第1のケース202に締結して車載用電力制御装置1を完成する。
【0058】
本実施形態の車載用電力制御装置では、装置をパワーユニット2と制御ユニット3と電源ユニット4との3つのユニットに分けて、これらのユニットを結合する構造としたので、パワーユニット2及び制御ユニット3のケースは、電源部の大形部品を収容することを考慮せずに、必要最小限の大きさとすることができ、ユニットのケース202,302内に無駄なスペースが形成されるのを防いで、ケース内に充填する樹脂の量を少なくすることができる。また電源ユニット4では、大形部品の導体部分を隠すために必要な部分のみをモールドするように樹脂モールド部を形成するので、装置全体として、モールド樹脂の量を少なくすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0059】
上記の実施形態のように、車載用電力制御装置をパワーユニット2と制御ユニット3と電源ユニット4とに分けて、これらのユニットを機械的に結合することにより車載用電力制御装置を組立てるようにすると、ユニット同士の結合部の構成を規格化しておくことにより、一部のユニットで設計変更があった場合に、必要に応じて、変更があったユニットのケースのみを変更すれば良いため、全ユニットのケースの設計変更をする必要性を無くして、設計変更に要するコストの削減を図ることができる。
【0060】
特に電源ユニット4においては、コンデンサ403の大きさが変更されたり、リレー404が設けられたり設けられなかったりする変更がよく行われる。この場合、電源ユニット4のケース402とパワーユニットのケース202の側面開口部との嵌合部の寸法及び嵌合構造を規格化しておくことにより、パワーユニット2及び制御ユニット3に何ら変更を加えることなく、電源ユニット4の変更に対処することができる。
【0061】
上記の実施形態のように、パワーユニット2と制御ユニット3との間を、フレキシブルでフラットな接続導体5により電気的に接続し、接続導体5を、パワーユニットの樹脂モールド部と制御ユニットの樹脂モールド部との間のスペースに収容するようにしておくと、パワーユニット2の冷熱サイクルによりモールド樹脂8aが膨張と収縮とを繰り返した際に、接続導体にひずみが生じるのを防ぐことができるため、パワーユニット2と制御ユニット3との間の電気的な接続が損なわれる状態が生じるのを防ぐことができる。
【0062】
上記の実施形態のように、接続導体5の導体の一端及び他端をそれぞれ第1の回路基板に設けられたランド及び第2の回路基板に設けられたランドに半田付けにより接続し、接続導体の第1の回路基板側の端部及び第2の回路基板側の端部をそれぞれ、第1の回路基板に固定された押え板7及び第2の回路基板に固定された押え板7により、第1の回路基板及び第2の回路基板に対して押えつけた場合には、車載用電力制御装置を組立る過程で、接続導体に引っ張り力が作用した場合に、接続導体が第1の回路基板201及び第2の回路基板301から切り離されるおそれを無くすことができる。
【0063】
上記の実施形態のように、押え板7を回路基板のランドに半田付けするようにした場合には、ネジやリベット等の締結具を用いることなく、押え板を回路基板に固定することができるため、部品点数の削減を図り、車載用電力制御装置の組立工数を削減して、製造コストの低減を図ることができる。しかしながら、本発明はこのように押え板を回路基板に半田付けする場合に限定されるものではなく、押え板は回路基板にネジ止めするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態において、樹脂が注型される前の状態にあるパワーユニット及び制御ユニットと、パワーユニットに結合され電源ユニットとを示した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態で用いるパワーユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態で用いる電源ユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態で用いる制御ユニットの構造を示した分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係わるパワーユニットと制御ユニットとの間を接続する接続導体と回路基板の接続部の構造を示す要部の拡大上面図である。
【図6】本発明の実施形態で用いる接続導体と回路基板との接続部の断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係わる車載用電力制御装置を組立てる過程で、パワーユニット、制御ユニット及び電源ユニットのケース内にモールド樹脂を注入する際の状態を示した斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係わる車載用電力制御装置を組立てる過程で、ケース内に樹脂が注入されて硬化された状態にあるパワーユニット、制御ユニット及び電源ユニットを示した斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係わる車載用電力制御装置を組立てる過程で、制御ユニットのケースの開口部をパワーユニットのケースの開口部に突き合わせて両ケースを結合する際の状態を示した斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係わる車載用電力制御装置を組立てる過程で、制御ユニットのケースの開口部とパワーユニットのケースの開口部との結合を完了した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 車載用電力制御装置
2 パワーユニット
3 制御ユニット
4 電源ユニット
200 パワー回路の構成部品
201 第1の回路基板
202 第1のケース
202A 開口部
202B 側面開口部
300 制御部の構成部品
301 第2の回路基板
302 第2のケース
402 第3のケース
403 電源コンデンサ(大形部品)
404 リレー(大形部品)
5 接続導体
7 押え板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー回路を有するパワー部と、少なくとも前記パワー回路を制御する制御回路を備えた制御部と、電源コンデンサを含む大形部品を有する電源部とを備えた車載用電力制御装置であって、
前記パワー部の構成部品を実装した第1の回路基板を第1のケース内に収容して構成したパワーユニットと、前記制御部の構成部品を実装した第2の回路基板を第2のケース内に収容して構成した制御ユニットと、前記電源部の大形部品を第3のケース内に収容して構成した電源ユニットとの3つのユニットが設けられ、
前記第1のケース及び第2のケースにそれぞれ設けられた開口部同士が互いに突き合わされた状態で結合されることにより前記パワーユニットと制御ユニットとが機械的に結合され、
前記第1のケースの側面に前記第3のケースを嵌合させるための嵌合部を有する側面開口部が設けられ、
前記第3のケースは、前記大形部品を収容した部分を前記第1のケースの外側に位置させた状態で前記側面開口部に嵌合されて該側面開口部を閉じた状態で前記第1のケースに固定され、
前記第1のケース内及び第2のケース内にそれぞれ前記パワー回路の構成部品を前記第1の回路基板とともに覆う第1の樹脂モールド部及び前記制御部の構成部品を前記第2の回路基板とともに覆う第2の樹脂モールド部が形成されるとともに、前記第3のケース内に前記電源部の大形部品の少なくとも導体部分を覆う第3の樹脂モールド部が形成され、
前記パワーユニットと制御ユニットとの間は、フレキシブルでフラットな接続導体により電気的に接続されていて、該接続導体が前記第1の樹脂モールド部と第2の樹脂モールド部との間に形成されたスペースに折り曲げられた状態で収容されている車載用電力制御装置。
【請求項2】
前記第3の樹脂モールド部は、前記大形部品の導体部分を隠すために必要な部分のみを覆うように設けられていて、前記大形部品の本体の少なくとも一部は前記第3の樹脂モールド部から外部に露呈されている請求項1に記載の車載用電力制御装置。
【請求項3】
前記接続導体の導体の一端及び他端はそれぞれ前記第1の回路基板に設けられたランド及び第2の回路基板に設けられたランドに半田付けされ、
前記接続導体の前記第1の回路基板側の端部及び第2の回路基板側の端部はそれぞれ、前記第1の回路基板に固定された押え板及び第2の回路基板に固定された押え板により、前記第1の回路基板及び第2の回路基板に対して押えつけられている請求項1または2に記載の車載用電力制御装置。
【請求項4】
前記第1の回路基板に固定された押え板及び第2の回路基板に固定された押え板はそれぞれ、前記第1の回路基板に設けられたランド及び第2の回路基板に設けられたランドに半田付けされて、前記第1の回路基板及び第2の回路基板に対して固定されている請求項3に記載の車載用電力制御装置。
【請求項5】
前記第1の回路基板は金属をベースとした回路基板からなっていて、前記第1のケースの底壁部に熱的に結合された状態で配置され、
前記第1のケースの底壁部の外面には、放熱フィンが設けられている請求項1ないし4の何れか一つに記載の車載用電力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−10468(P2010−10468A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168960(P2008−168960)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】