説明

軟体動物を防除するための化学的及び生物学的作用物質

限定するものではないが、活性成分としてのラクトン、ラクタム、カルバマート、アミド、及び/又はカルボン酸含有化合物並びに/或いはプセウドモナス及び/又はエルウィニア由来の化合物を含む腹足綱及び双殻綱のメンバーの軟体動物を防除するための組成物及び方法。冷水条件下で開放水域、発電所、及び飲用水処理施設における侵入軟体動物の化学的及び生物学的な防除の効力を増大させるための方法及び組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
限定するものではないが、活性成分としてのラクトン、ラクタム、カルバマート、アミド、並びに/若しくはカルボン酸含有化合物及び/又は微生物(例えば、プセウドモナス及び/又はエルウィニア)由来の化合物を含むイガイ及び/又はカタツムリ及び/又はナメクジなどの軟体動物を防除するための組成物及び方法。冷水条件又は固体表面の下で開放水域、発電所、及び飲用水処理施設におけるイガイ及び/又はカタツムリ及び/又はナメクジなどの軟体動物の化学的及び生物学的な防除の効力を増大させるための方法及び組成物も提供する。
【背景技術】
【0002】
カワホトトギスガイのドレイッセナ・ポリモルファ(Dreissena polymorpha)の原産地はもともと、アジアのカスピ海やウラル川である。19世紀に、これは西に広まり、現在、ヨーロッパの大部分、独立国家共同体(旧ソビエト連邦)の西側部分、及びトルコに見られる。20年以上前に、カワホトトギスガイ(ドレイッセナ・ポリモルファ)やクワッガガイ(ドレイッセナ・ブゲンシス(Dreissena bugensis))などのイガイが北米に持ち込まれた。内水を通して広範囲に広まったため、米国の東側の大部分に及んでいる[U.S.Army Engineer Waterways Experiment Station.1995.Zebra mussels:Biology,Ecology,and Recommended Control Strategies.Technical Note.ZMR−1−01.Zebra Mussel Research Program,Vicksburg,MS]。同様に、カワヒバリガイのリムノペルナ・フォルトゥネ(Limnoperna fortune)は、アジア諸国と南米諸国を襲った(カワヒバリガイ−リムノペルナ・フォルトゥネ)。タイワンシジミ(コルビクラ・フルミネア(Corbicula fluminea))はもう少しでアジアの全ての国と米国に広まる[Non−indigenous species information bulletin:Asian clam,Corbicula fluminea(Muller,1774)(Mollusca:Corbiculidae)]。イシガイ科のイガイなどの他のイガイは米国や他の国々に存在する。
【0003】
イガイが新しい場所に素早くコロニーを形成し、速やかに高密度を達成し、かつどんな硬い基質(例えば、岩、丸太、水性植物、在来イガイの貝殻、及びザリガニの外骨格、プラスチック、コンクリート、木材、ガラス繊維、鉄やポリ塩化ビニルでできたパイプ、及び従来の塗料で覆われた表面)にも付着する能力のせいで、イガイは深刻な悪影響をもたらしている。これらの影響としては、水依存的インフラストラクチャーの被害、何百万ドルもの操業コストの増加及び生態系への相当な被害[O’Neill,C.R.,Jr.1997,Economic impact of zebra mussels−results of the 1995 national zebra mussel information clearing house study.Gt.Lakes Res.Rev.3,35−44;Karatayev,A.Y.,L.E.Burlakova,D.K.,Padilla,1997,the effects of Dreissena polymorpha(Pallas) invasion on aquatic communalities in eastern Europe.Journal Shellfish Research,16,187−203;MacIsaac,H.J.,1996.Potential abiotic and biotic impacts of zebra mussels on the inland waters of North America.American Zoology,36,289−299;D.P.Molloy,the potential for using biological control technologies in the management of Dreissena SPP,Journal of Shellfish Research,1998(17) 177−183]並びに何十億ドルもの収入減となる生産性の低下(Connelly,N.A.,C.R.O’Neill,Jr,et al.(2007),“Economic impacts of Zebra mussels on drinking water treatment and electric power generation facilities”, Environmental Management 90:10.Economic impacts of zebra mussels on drinking water treatment and electric power generation facilities.Environmental Management 40:105−112)が挙げられる。さらに、これらの侵入性イガイの水界生態系への急激な侵入によって、生物多様性の重要な部分である、固有種のイシガイ科のイガイの豊富度や存在度の減少が生じている(Ricciardi,A,Neves,R.J.,Rasmussen,J.B.1998.Impending extinctions of North American freshwater mussels(Unionidae) following the zebra mussel(Dreissena polymorpha) invasion.Journal of Animal Ecology 67:613−619)。
【0004】
イガイの管理は、水依存的インフラストラクチャーや水の生態系の保護に極めて重要である。イガイの個体群を減らす方法はたくさんある。これらの方法としては、事前対処的な(pre−active)方法と対処的な(reactive)方法が挙げられる。対処的な除去としては、機械的除去、捕食者による除去、並びに化学的及び生化学的除去が挙げられる。例えば、魚、鳥、ザリガニ、カニ、ヒル及び哺乳動物は、イガイを捕食することが明らかになっている。しかしながら、イガイ個体群が、とりわけ、パイプ又は揚水式発電所などの人工建造物において自然な捕食によって防除される可能性は低い。
【0005】
軟体動物駆除剤の適用は、イガイ個体群を減らすための別の有効な方法である。例えば、次亜塩素酸ナトリウムは、ヨーロッパ、米国及びカナダで一般に用いられている防除剤である。しかしながら、イガイは、貝殻を閉じることによって数日間この処理に耐えることができ、塩素は、塩素の環境毒性のために、圧力検出装置又は他の装置を含むパイプ又はダクトでしか用いることができない[U.S.Army Engineer Waterways Experiment Station.1995.Zebra mussels:Biology,Ecology,and Recommended Control Strategies.Technical Note.ZMR−1−01.Zebra Mussel Research Program,Vicksburg,MS]。さらに、界面活性剤アンモニウム塩、塗料中のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、N−トリフェニルメチル−モルホリンなどのような他の市販の軟体動物駆除剤がたくさんある。これらの化学薬品は、低い選択性を示すか又は水の生態系に影響を及ぼすかのどちらかである。例えば、ベイルシド(登録商標)(Bayer)として市販されている4−トリフルオロエチル−4−ニトロフェノールは、このような侵入外来種を防除するための考えられる候補である。しかしながら、このような化学薬品の毒性機構は、イガイの細胞呼吸に影響を及ぼすことになり、このことは、本来、イガイと他の水生種(例えば、魚)との間でのその選択性を制限する[Karen Perry AE John Lynn,Detecting physiological and pesticide−induced apoptosis in early developmental stages of invasive bivalves,Hydrobiologia(2009) 628:153−164;I Takougang,J Meli,F Angwafo,Field trials of low dose Bayluscide on snail hosts of schistosome and selected non−target organisms in sahelian Cameroon,Mem Inst Oswaldo Cruz,Rio de Janeiro,2006,101(4):355−358]。
【0006】
安全で、環境に優しく、かつ安価な方法で侵入性イガイを管理することが極めて重要である。これらの侵入性イガイを防除するためのより害の少ない方法を見付けるために、ニューヨーク・ステート・ミュージーアム(NYSM)の野外調査研究室は、カワホトトギスガイやクワッガガイに対して使用される潜在的な生物学的防除作用因子として、700を上回る細菌分離株をスクリーニングした。結果として、この研究室は、プセウドモナス・フルオレスケンス(Pseudomonas fluorescens)のCL145A株という分離株が、これらのイガイを死に至らせることを発見した(2001年2月27日に発行された、Molloy,D.P.米国特許第6,194,194号を参照されたい)。この細菌は世界中に分布しており、北米の全水塊に存在している。本来、この細菌は、植物の根を腐敗やうどん粉病から守ることが知られている無害細菌種である。この細菌は、どこにでもいるので、普通の家庭用冷蔵庫の中の一般的な食品腐敗生物である[Daniel P.Molloy and Denise A.Mayer,Overview of a Novel Green Technology:Biological Control of Zebra and Quagga Mussels with Pseudomonas fluorescens,Version 6:Updated August 24,2007]。
【0007】
ラクトン、ラクタム、カルバマート及びアミド
ラクトンは食品や飲料に広く分布しており、かつ動物(例えば、海綿動物)や微生物(例えば、酵母、真菌)の二次代謝物でもある。いくつかのラクトンには特別な芳香があり(例えば、γ−デカラクトン)、バイオ技術によるこれらのラクトンの製造プロセスの使用によって、食品産業において天然産物に対する需要が高まっている[Mohamed Alchihab,Jacqueline Destain,Mario Aguedo,Lamia Majad,Hakim Ghalfi,Jean−Paul Wathelet,Philippe Thonart,Production of γ−Decalactone by a Psychrophilic and a Mesophilic Strain of the Yeast Rhodotorula aurantiaca,Appl Biochem Biotechnol(2009) 158:41−50]。様々なラクトンの他の機能は、抗細菌活性[Ikuko Shimizu,Yasunori Isshiki,Harue Nomura,Keisuke Sakuda,Katsuya Sakuma,Seiichi Kondo,The Antibacterial Activity of Fragrance Ingredients against Legionella pneumophila,Biol.Pharm.Bull.2009,32(6) 1114−1117]、肝臓保護活性[Yumiko Itoh,Hiroshi Shimura,Mayumi Ito,Naoharu Watanabe,Michio Yamagishi,Masaharu Tamai and Kazunori Hanada,Novel hepatoprotective γ−lactone,MH−031,I.Discovery isolation,physicochemical properties and structural elucidation,The Journal of Antibiotics 1991,832−837]、抗結核活性[Ma,G.Y.et al.anti−tuberculosis constituents from the stem bark of micromelum hirsutum,Planta Med.2005,71,261−267]、抗HIV活性[Zhang et al.,sesquiterpenes and butenolides,natural anti−HIV constituents from Litse verticillata,Planta Med,2005,71,452−457]、性フェロモン[J.H.Tumlinson,Identification of the Female Japanese Beetle Sex Pheromone Inhibition of Male Response by an Enantiomer,Science,1977,197,789−792]、細胞傷害活性[Fan,X.N.et al.Chemical Constituents of Heteroplexis micocephala,J.Nat.Prod.2009,72,1184−1190]、シグナル分子[M.K.Vinson,et al.Multiple N−アシル−L−homoserine lactone signal molecules regulate production of virulence determinants and secondary metabolites in Pseudomonas aeruginosa,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1995,92,9427−9431]及び殺虫活性[John A.Findlay,et al.,Insect toxins from spruce endophytes,Can.J.Chem.2003,81,284−292]と関連する。
【0008】
ラクタムはいくつかの植物や海洋生物中に存在するが、ラクタムは、多くの場合、真菌代謝物である。多くの生物学的活性(例えば、細胞傷害活性及び抗腫瘍活性、血管新生阻害、神経細胞活性、抗感染活性)が、最近の刊行物で概説された[Bastien Nay,Nassima Riache and Laurent Evanno, Chemistry and biology of non−tetramic γ−hydroxy−γ−lactams and γ−alkylidene−γ−lactams from natural sources,Natural Product reports,2009,26,1044−1062]。
【0009】
カルバマートは、植物、微生物及び海綿動物中に存在するが、これらの化合物の多くが水溶液中で不安定であるために、ラクトン、アミドと比較して、これらの化合物についての生物学的活性の報告はほとんどない。天然のカルバマートの殺真菌活性の例が1つある[Richard J.Clark,et al.,Antifungal Alkyl Amino Alcohols from the Tropical Marine Sponge Haliclona n.sp.,J.Nat.Prod.2001,64,1568−1571]。アミドは、植物、微生物及び海綿動物中に広く分布している。例えば、海洋性真菌のペニシリウム・シトリヌム(Penicillium citrinum)由来のスカルサミドAは、抗細菌活性及び抗真菌活性を示した[Masashi Tsuda,et al.,Scalusamides A−C,New Pyrrolidine Alkaloids from the Marine−Derived Fungus Penicillium citrinum,J.Nat.Prod.2005,68,273−276]。
【0010】
アミドの別の例は、サルメンチンと呼ばれる植物由来化合物であり、これは、多くの生体活性を示した。特許出願第61/227,412(2009年7月21日)に記載されているように、サルメンチンは、1987年に、ピペル・サルメントスム(Piper sarmentosum)の果実から最初に単離され[Likhitwitayawuid,K.,Ruangrungsi,N,Lange,G and Decicco,C.,Structural Elucidation and Synthesis of New Components isolated from Piper Samentosum,Tetrahedron 1987(43) 3689−3694]、また、1988年には、ピペル・ニグルム(Piper nigrum)からも単離され[Kiuchi,F.,Nakamura,N.,Tsuda,Y.,Kondo,K and Yoshimura,H.Studies on Crude Drugs Effective on Visceral Larva Migrans.IV.Isolation and Identification of Larvicidal Principles in Pepper Chemical and Pharmaceutical Bulletin 1988(36):2452]、1995年に初めて合成された[Bernabeu,M.,Chinchilla,R.and Najera,C.,(2E,4E)−5−Tosyl−2,4−pentadienamides:New Dienic Sulfones for the Stereoselective Synthesis of (2E,4E)−Dienamides,Tetrahedron Letter,1995(36)3901−3904]。サルメンチンは、光老化皮膚を保護するインビボの皮膚酸化防止剤として作用し[Cornacchione,S.; Sadick,N.S.;Neveu,M.;Talbourdet,S.;Lazou,K.;Viron,C.;Renimel,I.;de Queral,D.;Kurfurst,R.;Schnebert,S.;Heusele,C.;Andre,P.;Perrier E.In vivo skin antioxidant effect of a new combination based on a specific Vitis vinifera shoots extract and a biotechnological extract.J.Drugs in Dermatol.2007,6S,8−13]、抗血小板凝集活性を示し[Li,C.Y.;Tsai,W.;Damu,A.G.;Lee,E.J.;Wu,T.S.;Dung.N.X.;Thang,T.D.;Thanh,L.Isolation and identification of antiplatelet aggregatory principles from the leaves of Piper lolot,J.Agric.Food Chem.2007,55,9436−9442]、抗プラスモジウム活性及び抗マイコバクテリア活性を有し[Tuntiwachwuttikul,P.;Phansa,P.;Pootaeng−on,Y.;Taylor,W.C.Chemical constituents of the roots of Piper Sarmentosum,Chem.Pharm.Bull.2006,54,149−151]、かつ抗結核活性を有する[Rukachaisirikul,T.;Siriwattanakit,P.;Sukcharoenphol,K.;Wongvein,C.;Ruttanaweang,P.;Wongwattanavuch,P.;Suksamrarn,A.Chemical constituents and bioactivity of Piper sarmentosum,J.Ethnopharmacol.,2004,93,173−176]ことが分かっている。サルメンチンは、化粧品や医薬品中の疎水性化合物の可溶化剤として用いられる(Stephen,T.;Andrew,H.Compositions comprising macromolecular assembles of lipid surfactant,PCT刊行物WO/2008/065451号)。特許出願第61/227,412号(2009年7月21日)では、サルメンチン及びその類似体を用いて植物害虫を防除し得ることがさらに開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、軟体動物、特に腹足綱及び/又は双殻綱のメンバー、より特には、イガイ、カタツムリ及びナメクジを防除するための化合物、組成物及び方法に関する。本発明は、(a)微生物、特にプセウドモナス種、より特にはプセウドモナス・フルオレスケンス或いはプセウドモナスATCC 55799の識別特徴を有する生物から入手できるか又はこれらの生物に由来し、(b)双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状(banded)若しくはミツスジ(three−band)ナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、かつ(c)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)で測定したときに、約540〜550及び約1280〜1335からなる群から選択される分子量を有する単離された化合物に関する。これらの組成物は、軟体動物、特に、腹足綱及び/又は双殻綱のメンバー、より特には、イガイ、カタツムリ及びナメクジを防除するために使用し得る組成物に処方し得る。一実施形態では、化合物は、(a)微生物、特にプセウドモナス属の1種から入手でき、(b)双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、(c)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)で測定したときに、約1280〜1310、より特には、1295という分子量を有し、(d)δ9.25,8.36,8.06,7.82,7.71,7.52,7.45,6.82,6.36,6.08,5.42,5.39,5.30,5.14,4.68,4.42,4.31,4.16,4.11,4.07,3.95−3.86,3.83,3.72,3.66,3.53,3.48,3.37,3.17,3.06,2.56,2.53,2.45,2.32,2.21,2.02,1.96,1.84,1.72,1.65,1.61,1.51,1.48−1.37,1.32,1.12,0.94,0.91,0.68という1H NMR値を有し、(e)2.5mL/分の流速及び210nmのUV検出の勾配溶媒系(0〜10分;30−40%水性CHCN、10〜20分;40−60%水性CHCN、20〜60分;60−80%水性CHCN、60〜65分;80−100%水性CHCN)にした水:アセトニトリル(CHCN)を用いる逆相C−18 HPLC(例えば、Thermo Scientific,Hydersil Gold,100×10mm)カラムで約50〜55分、より具体的には約52分、さらにより具体的には約51.66分という高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)保持時間を有する。
【0012】
別の実施形態では、化合物は、以下の特徴を有する、すなわち、(a)微生物、特にプセウドモナス属の1種から入手でき、(b)双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、(c)LC/MSで測定したときに、約1310〜1335、より特には、1321という分子量を有し、(d)2.5mL/分の流速及び210nmのUV検出の勾配溶媒系(0〜10分;30−40%水性CHCN、10〜20分;40−60%水性CHCN、20〜60分;60−80%水性CHCN、60〜65分;80−100%水性CHCN)にした水:アセトニトリル(CHCN)を用いるアセトニトリル:水勾配を用いる逆相C−18(Thermo Scientific,Hydersil Gold,100×10mm)HPLCカラムで約55〜60分、より特には、約60分、さらにより特には、59.61分というHPLC保持時間を有する。さらに別の実施形態では、本発明は、以下の特徴を有する、すなわち、(a)微生物、特にプセウドモナス属の1種から入手でき、(b)双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、(c)LC/MSで測定したときに、約540〜550、より特には、約546という分子量を有し、(d)10mL/分の流速及び210nmのUV検出の水:アセトニトリル勾配溶媒系(0〜10分;35−45%水性CHCN、10〜20分;45−60%水性CHCN、20〜50分;60−85%水性CHCN、50〜60分;85−100%水性CHCN、60〜70分;100%CHCN)を用いる逆相C−18 HPLCカラム(Phenomenex,luna C18(2)10μ,100Å Axia,A250×30mm)で約50〜55分、より特には、約52分、さらにより特には、約51.54分というHPLC保持時間を有する単離された化合物に関する。
【0013】
本発明はさらに、本発明の化合物を入手するための方法であって、(a)プセウドモナス種に由来する細胞の懸濁物を入手することと、(b)該懸濁物からクロマトグラフィー法で化合物を単離することとを含む方法に関する。
【0014】
本発明はさらに、該化合物を含む組成物、並びにHPLCによりプセウドモナス種細胞懸濁物から入手できる、約45〜50分という保持時間を有する、10mL/分の流速及び210nmのUV検出の水:アセトニトリル溶媒系(0〜10分;35−45%水性CHCN、10〜20分;45−60%水性CHCN、20〜50分;60−85%水性CHCN、50〜60分;85−100%水性CHCN、60〜70分;100%CHCN)による画分であって、(a)双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、(b)LC/MSで測定したときに、約630〜660及び約970〜1000の分子量を有する少なくとも2種の化合物を含む画分を含む組成物に関する。
【0015】
本発明は、防除が望ましい場所で1種以上の軟体動物を防除するための方法であって、該場所に(a)エルウィニア属の1種の細胞に由来する細胞懸濁物又は抽出物、(b)1種以上の化合物(ここで、該化合物は、ラクトン、ラクタム、カルバマート、カルボン酸及び/又はアミド化合物である)、或いは該化合物を含む組成物、但し、該化合物は、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカノラクトン、γ−ウンデカラクトン、N−シクロペンチルシンナムアミド、N−(trans−シンナモイル)ピロリジン、N−(trans−シンナモイル)ピペリジン及びN−(trans−シンナモイル)ヘキサメチレンイミン、4−ヒドロキシドデカン酸及びドデカン酸ではなく、かつ組成物はプセウドモナス培養物、抽出物又は懸濁物ではない、(c)(i)プセウドモナス種から入手できるか又はこの種に由来し、(ii)双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、かつ(iii)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)で測定したときに、約540〜550及び約1280〜1335からなる群から選択される分子量を有する1種以上の化合物、(d)HPLCによりプセウドモナス種細胞懸濁物から入手できる、約45〜50分という保持時間を有する、10mL/分の流速及び210nmのUV検出の水:アセトニトリル溶媒系(0〜10分;35−45%水性CHCN、10〜20分;45−60%水性CHCN、20〜50分;60−85%水性CHCN、50〜60分;85−100%水性CHCN、60〜70分;100%CHCN)による画分であって、(i)双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、(ii)LC/MSで測定したときに、約630〜660及び約970〜1000の分子量を有する少なくとも2種の化合物を含む画分を含む組成物、のうちの少なくとも1つを、該場所で該軟体動物を防除するのに有効な量で導入することを含む方法に関する。この防除は、一実施形態では、該軟体動物を上で示した化合物と接触させることを含む、1種以上の軟体動物における死を誘導することによって達成し得る。軟体動物を水塊又は固体表面において接触させ得る。同様に、本発明は、ある場所で腹足綱及び/又は双殻綱などの軟体動物を防除する際に用いられる組成物を処方するための上述の化合物、懸濁物及び組成物の使用に関する。
【0016】
関連した態様では、本発明はさらに、防除が望ましい場所で1種以上の軟体動物、特にイガイ及び/又はカタツムリ(例えば、白色及び/又は茶色庭カタツムリ、水性カタツムリ)及び/又はナメクジを防除する及び/又は該場所で1種以上の軟体動物、特にイガイ及び/又はカタツムリ(例えば、白色及び/又は茶色庭カタツムリ、水性カタツムリ)及び/又はナメクジにおける死を誘導するための組成物であって、1以上のラクトン、ラクタム、カルバマート、カルボン酸及び/又はアミドを含み、この場合も但し、該化合物は、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカノラクトン、γ−ウンデカラクトン、N−シクロペンチルシンナムアミド、N−(trans−シンナモイル)ピロリジン、N−(trans−シンナモイル)ピペリジン及びN−(trans−シンナモイル)ヘキサメチレンイミン、4−ヒドロキシデカン酸及びデカン酸ではなく、かつ組成物はプセウドモナス培養物、抽出物又は懸濁物ではない、組成物に関する。
【0017】
特定の実施形態では、本発明は、1種以上の軟体動物、特にイガイ及び/又はカタツムリ(例えば、白色及び/又は茶色庭カタツムリ、水性カタツムリ)及び/又はナメクジを防除するための方法であって、(a)エルウィニア属の1種の細胞由来の細胞懸濁物又は抽出物を調製する工程と、(b)該懸濁物又は抽出物を防除が望ましい場所に該軟体動物を防除するのに有効な量で導入する工程とを含む方法に関する。
【0018】
エルウィニア抽出物は、ラクトンやアミドなどの、上で示した活性成分を含み得る。同様に、エルウィニア属の1種の細胞に由来する細胞懸濁物又は抽出物を、軟体動物、特に双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物を防除する際に用いられる組成物に処方し得る。
【0019】
本発明はさらに、1種以上の軟体動物、特に双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物を防除するのに有効な少なくとも1以上の物質と、場合により1以上の軟体動物を防除する際に用いるのが好ましい不活性材料とを含む組成物に関する。さらに、本発明は、これらの物質、並びに、1種以上の軟体動物、特に双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物を防除するための組成物を処方する際に使用される本発明の他の化合物及び組成物の使用に関する。これらの物質は、塩素又はプセウドモナス種に由来し、より特には、プセウドモナス・フルオレスケンス或いはプセウドモナスATCC 55799の識別特徴を有する生物(例えば、プセウドモナス株)に由来し得る。別の特定の実施形態では、組成物は、プセウドモナス種(例えば、P.フルオレスケンス)に由来する細胞懸濁物である物質を含み得、さらにより特定の実施形態では、細胞懸濁物は、プセウドモナスATCC 55799の毒素産生特性を有する細胞を含み得る。さらに別の特定の実施形態では、該組成物中の物質は、プセウドモナス種に由来するか又はこの種から単離された或いはプセウドモナスATCC 55799の識別特徴を有する生物に由来する1以上の毒素であり得る。組成物は、代替として、上で示した本発明の方法で用いられる化合物及び上で示した本発明の化合物を含み得、かつ腹足綱及び双殻綱のメンバーを防除するために使用し得る。不活性材料は、粘土鉱物(カオリナイト、スメクタイト、アタパルジャイト)であり得る。本発明はさらに、防除が望ましい場所で1種以上の軟体動物、特に、イガイ及び/又はカタツムリ(例えば、水性カタツムリ、庭カタツムリ及び/又はナメクジ)を防除する方法であって、該場所に該軟体動物を防除するのに有効な物質と、場合により1以上の不活性材料とを、該軟体動物を含む該場所で該軟体動物を防除するのに有効な量で導入することを含む方法に関する。特に、該軟体動物を防除するための物質は、未処理の対照と比べて、少なくとも約20%、通常、約50〜95%の死亡率をもたらすのに有効な量で存在し、かつ該不活性材料は、該軟体動物を防除するための該物質の死亡率を少なくとも約20%、通常25〜40%増大させるのに十分な又は有効な量で存在する。特定の実施形態では、不活性材料は、該軟体動物を防除するための物質を導入する前に該場所に導入され、より特定の実施形態では、不活性材料は、この物質を導入する少なくとも約1時間前に導入される。別の特定の実施形態では、不活性材料は、上で示した軟体動物、特にイガイ、カタツムリ及び/又はナメクジを防除するための物質と同時にこの場所に導入される。
【0020】
関連した態様では、本発明は、防除が望ましい場所で1種以上の軟体動物、特に双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物を防除するための1以上の物質の効力を増大させるための不活性材料の使用に関する。この場所は、液体(例えば、水塊若しくは塗料)又は、プラスチック、コンクリート、木材、ガラス繊維、鉄やポリ塩化ビニルでできたパイプ、コーティング材及び/若しくは塗料で覆われた表面などの固体表面であり得る。特に、本発明は、1以上の該軟体動物、特に、双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ属の1種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア属の1種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス属の1種、コルヌ属の1種、テバ属の1種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物を防除するための1以上の物質の効力を増大させるための方法であって、防除が望ましい場所に1以上の不活性材料を、該場所に導入されたときに、該物質の効力を増大させるのに有効な量で導入することを含む方法に関する。特定の実施形態では、これらの不活性材料は、該物質の効力を少なくとも約20%増大させる。
【0021】
さらに、本発明は、塗料担体中に抗増殖性の(antivegetative)、殺生物有効量の本発明の組成物及び化合物を含む防汚塗料に関する。本発明はさらに、このような防汚塗料の処方における本発明の化合物及び組成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1a】本発明の方法で用いられる天然産物の構造を示す。
【図1b】本発明の方法で用いられる天然産物の構造を示す。
【図2】活性画分を単離するためのスキームを示す。
【図3】プセウドモナス細胞培養物から本発明の化合物を得るための精製スキームの1つの模式的な表示である。
【図4】バイオボックス(biobox)の中で粘土及びP.フルオレスケンス由来のバイオ農薬製品で処理されたイガイの経時的な死亡率の進展を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
値の範囲が示されている場合、文脈上別の方法で明確に示されない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の単位の十分の一までの、各々の介在値、及び任意の他の記述した値又はその記述した範囲における介在値が本発明の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、記述した範囲において特に除外される限界次第で、本発明の範囲内に同じく包含されるより小さい範囲に独立に含まれ得る。記述した範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それの含まれた限界のいずれか又は両方を除外した範囲も本発明に含まれる。
【0024】
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の専門家により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと同様又は同等の任意の方法及び材料もまた、本発明の実施又は試験において用いることができるが、好ましい方法及び材料をここに記載する。
【0025】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形の「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈上別の方法で明確に示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0026】
本明細書で定義する場合、「イガイを防除する」とは、所与の場所でコロニー形成することができないようにイガイを死滅させるか又はイガイに障害を与えることによって、イガイの卵、幼生、ベリジャー幼生及び後期ベリジャー幼生(post−veliger)を防除することを意味する。
【0027】
本明細書で定義する場合、「に由来する」とは、特定の源から直接単離されたか又は得られたこと、又は特定の源から単離されたか又は得られた物質、若しくは生物の識別特徴を有することを意味する。
【0028】
以後使用する場合、「アルキル」という用語は、直鎖又は分岐鎖であり得る飽和炭化水素ラジカル(例えば、エチル、イソプロピル、t−アミル、又は2,5−ジメチルヘキシルなど)を指す。この定義は、この用語が単独で使用される場合と化合物用語の一部として使用される場合の両方に適用される。
【0029】
「シクロアルキル」及び「シクロアルケニル」という用語は飽和炭化水素環を指し、二環式環及び多環式環を含む。同様に、炭素環原子の代わりにヘテロ原子(例えば、N、O、又はS)を有するシクロアルキル基及びシクロアルケニル基を、それぞれ、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクリル」、及び「ヘテロシクロアルキレン」と表し得る。
【0030】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、二重結合である1以上の不飽和部位を含有する上記のようなアルキル基を指す。同様に、本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、三重結合である1以上の不飽和部位を含有する上記のようなアルキル基を指す。
【0031】
「アルコキシという用語は、(例えば、メトキシ、エトキシ、アリールオキシ、及びt−ブトキシなどの)別の炭化水素ラジカルと共有結合が可能な酸素置換基も有している上記のようなアルキルラジカルを指す。
【0032】
「アリール」という用語は、エチレン又はメチレン部分などの一般的な基に縮合しているか、共有結合しているか、又は結合している単一の環又は複数の環であり得る芳香族炭素環置換基を指す。同様に、炭素環原子の代わりにヘテロ原子(例えば、N、O、又はS)を有するアリール基を「ヘテロアリール」と表す。
【0033】
「アリールアルキル」、「アリールアルケニル」、及び「アリールオキシアルキル」という用語は、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、又はアルキル基に結合している酸素原子に直接結合したアリールラジカルを指す。簡潔には、上記のような組み合わされた用語の一部としてのアリールは、ヘテロアリールも含むことが意図される。
【0034】
「ヘテロ原子含有アルキル基」(すなわち、「ヘテロアルキル」基)又は「ヘテロ原子含有アリール基」(すなわち、「ヘテロアリール」基)において使用されている「ヘテロ」という用語は、1以上の炭素原子が炭素以外の原子、例えば、窒素、酸素、硫黄、リン、又はケイ素と置き換えられている分子、結合、又は置換基を指す。
【0035】
本明細書で定義する場合、「に由来する」及び「から入手できる」とは、特定の源から直接単離されたか得られたこと、又は、特定の源から単離されたか得られた物質若しくは生物の識別特徴を有することを意味する。これらの用語は、本明細書の全体を通して互換的に使用される。
【0036】
本明細書で定義する場合、「単離された化合物」は、限定するものではないが、クロマトグラフィー法、電気泳動法をはじめとする分析的方法で測定したときに、他の化合物又は物質を本質的に含まず、例えば、少なくとも約20%純粋、好ましくは少なくとも約40%純粋、より好ましくは約60%純粋、さらにより好ましくは約80%純粋、最も好ましくは約90%純粋、及びさらに最も好ましくは約95%純粋である。
【0037】
化合物
本発明の組成物及び方法で使用される化合物は、以下の3つの族のメンバーであり得る。
【0038】
第I族の化合物
特定の実施形態では、第I族は、以下の化学構造:
【化1】

を有し、
式中、Xは、限定するものではないが、炭素、硫黄、リンを含み、Yは、限定するものではないが、硫黄、酸素を含み、A及びMは、限定するものではないが、炭素、酸素、窒素、硫黄を含み、かつnは1〜21である。式中、(R)zは環上の基R上の置換基の数の数Zを表す。R及びR上の置換基は、水素、ヒドロキシル、アルキルヒドロキシル、アルケニルヒドロキシル、アルキニルヒドロキシル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、芳香族、アリール基、NH−置換、又はN,N−置換基又は任意の他の置換基であってもよい。置換されたR鎖のうちの1つの長さは、1〜25原子であることができ、好ましい長さは、7〜17原子である。数Zは、n+2まで、0、1、2、3であることができ、好ましいZは、0、1、2、3である。
【0039】
特定の実施形態では、化合物は、プセウドモナス・フルオレスケンスに由来し、かつ5員γ−ラクトンである少なくとも1つのラクトン部分と少なくとも1つの不飽和部分と少なくとも1つアルコール基とを含む水酸化不飽和脂肪酸ラクトン構造と、コア構造中の285〜約310の分子量と、少なくとも15個の炭素と少なくとも3個の酸素とを有し得る。より特定の実施形態では、化合物は、構造
【化2】

を有していてもよく、
式中、Xは、各々独立に、−−O、−−NR、又はSであり、ここで、Rは、−−H又はC−Cアルキルであり、n=0〜15であり、R〜Rは、各々独立に、−−H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル,置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルであり、m=二重結合又は三重結合である。さらに別の特定の実施形態では、Y及びMは酸素であり、A及びXは炭素であり、かつnは2又は3であり、RはC7又はC8アルキルであり、かつzは0であり、ここで、nが2でありかつRがC7アルキルであるとき、RはAに結合している。
【0040】
さらに別の特定の実施形態では、第I族の化合物は1〜28(図1a及び1b)に示す化合物であり得る。これらは、天然物か、又は市販源から若しくは化学合成によって得られる化合物かのいずれかに由来する。第I族の化合物の天然源としては、限定するものではないが、植物、サンゴ、微生物、海綿動物及び動物が挙げられる。より特定の実施形態では、第I族の化合物を含む植物としては、ハマジンチョウ(Myoporum bontioides)、ミクロメルム・ヒルストゥム(Micromelum hirsutum)などの種が挙げられるが、これらに限定されず、或いは、第I族の化合物は、ハマジンチョウ(Myoporum bontioides)(化合物14)[Moe Kanemoto,et al.,Chlorine−containing iridoid and iridoid glucoside,and other glucosides from leaves of Myoporum bontioides,Phytochemistry 69(2008) 2517−2522]、ミクロメルム・ヒルストゥム(Micromelum hirsutum)(化合物18)[Ma,G.Y.et al.anti−tuberculosis constituents from the stem bark of Micromelum hirsutum,Planta Med.2005,71,261−267]などの種に由来し得、第I族の化合物はまた、限定するものではないが、アントロディア・カムホラーテ(Antrodia camphorate)(化合物4、5)[Shao,Y.Y.et al.,Chemical constituents of Antrodia camphorata submerged whole broth,Natural Product Research,2008,22(13) 1151−1157]、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)(化合物2)[Gocho,S.et al.Biotransformation of oleic acid to optically active γ−dodecalactone ,Biosci.Biotech.Biochem.1995,59(8) 1571−1572]、メソリゾビウム属の1種(Mesorhizobium sp.)(化合物2、17)[Wei,G.H.et al.,Rhizobialide:A New Stearolactone Produced by Mesorhizobium sp.CCNWGX022,a Rhizobial Endophyte from Glycyrrhiza uralensis,Chemistry and Biodiversity,2007,4,893−898]、オピオストーマ・ピリフェルム(Ophiostoma piliferum)(化合物16)[Wei,G.H.et al.,Rhizobialide:A New Stearolactone Produced by Mesorhizobium sp.CCNWGX022,a Rhizobial Endophyte from Glycyrrhiza uralensis,Chemistry and Biodiversity,2007,4,893−898]、ストレプトミケス属の1種(Streptomyces sp.)(化合物8)[Khaled A.Shaaban,Mohamed Shaaban,Petrea Facey,Serge Fotso,Holm Frauendorf,Elisabeth Helmke,Armin Maier,Heinz H.Fiebig,Hartmut Laatsch,Electrospray Ionization Mass Spectra of Piperazimycins A and B and γ−Butyrolactones from a Marine−derived Streptomyces sp.J.Antibiot.61(12):736−746,2008]、マクロホミナ・ファセオルズナ(Macrophomina phaseolzna)(化合物9、10及び15)[Shashib,Mahat et al.,structure and stereochemistry of phaseolinic acid:a new acid from Macrophomina phaseolzna,Journal of Natural products,1987,50(2) 245−247]、スポルディオボルス・サルモニコロール(Sporidiobolus salmonicolor)(化合物1、3)[Laurent Dufosse,et al.,Chirality of the γ−Lactones Produced by Sporidiobolus salmonicolor Grown in Two Different Media,Chirality,1997,667−671]及びストレプトミケス(化合物7)[Shohei Sakuda,et al.,Biosynthetic Studies on Virginiae Butanolide A,a Butyrolactone Autoregulator from Streptomyces.Part 2,Preparation of Possible Biosynthetic Intermediates and Conversion Experiments in a Cell−free System.J.Chem.Soc.Perkin Trans.I 1993,2309−2315]をはじめとする、微生物に由来し得る。
【0041】
さらなる特定の実施形態では、第I族の化合物は、海綿動物、例えば、ハリクローナ属の1新種(Haliclona.n sp)(化合物26、27及び28)[Richard J.Clark,Mary J.Garson,and John N.A.Hooper,Antifungal Alkyl Amino Alcohols from the Tropical Marine Sponge Haliclona n.sp.J.Nat.Prod.2001,64,1568−1571]、アクシネルラス属の1種(Axinellas sp)(化合物25)[Miller,W.F.Tinto,J.−P.Yang,S.McLean and W.F.Reynolds,Axinellamide,a new alkaloid from the marine sponge Axinellas sp.Tetrahedron Lett.,1995,36,5851]、プラコルティス・ニグラ(Plakortis nigra)(化合物19〜20)[Joel S.Sandler,et al.,Cytotoxic β−Carbolines and Cyclic Peroxides from the Palauan Sponge Plakortis nigra,J.Nat.Prod.2002,65,1258−1261]及びイルキニア・ホルモサーナ(Ircinia formosana)(化合物21−24)[Shen,Y.C.et al.,Novel linear C22−sesterterpenoids from sponge Ircinia formosana,Tetrahedron Letters 47(2006) 4007−4010]に由来し得る。化合物26〜28はカルバマートの例である。
【0042】
別の特定の実施形態では、第I族の化合物は、限定するものではないが、サルコピトン・トロケリオポルム(Sarcophyton trocheliophorum)及びリトピトン・アルボレトゥム(Lithophyton arboretum)(化合物11及び13)[Tomas Rezanka,et al.,γ−lactones from the soft corals Sarcophyton trocheliophorum and Lithophyton arboretum,Tetrahedron,2001,57,8743−8749]をはじめとする、サンゴに由来し得る。
【0043】
さらに別の特定の実施形態では、第I族の化合物を含む昆虫は、限定するものではないが、メスのマメコガネ(Japanese Beetle)の性フェロモン(化合物12)[J.H.Tumlinson,Identification of the Female Japanese Beetle Sex Pheromone Inhibition of Male Response by an Enantiomer,Science,1977,197,789−792]及び昆虫毒素(化合物6)[John A.Findlay,et al.,Insect toxins from spruce endophytes,Can.J.Chem.2003,81,284−292]を含む昆虫に由来し得る。
【0044】
第I族の化合物には、限定するものではないが、実施例に示すγ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、ピリフェロリドA及びα−ヘプチル−γ−ブチロラクトンも含まれ得る。これらは、当該技術分野で公知の手順を用いた合成法によって又は市販源から取得し得る。
【0045】
第II族の化合物
別の特定の実施形態では、第II族は、以下の化学構造:
【化3】

を有し、
式中、Xは炭素であり、Yは酸素であり、A、B及びMは、炭素、酸素、窒素、硫黄又は他の元素であり、nは1〜21である。
【0046】
式中、(R)zは、環上の基R上の置換基の数の数Zを表す。R及びR上の置換基は、水素、ヒドロキシル、アルキルヒドロキシル、アルケニルヒドロキシル、アルキニルヒドロキシル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、芳香族、アリール基、NH−置換、又はN,N−置換基又は任意の他の置換基であってもよい。置換されたR鎖のうちの1つの長さは、1〜25原子であることができ、好ましい長さは、7〜17原子である。数Zは、n+2まで、0、1、2、3であることができ、好ましいZは、0、1、2、3である。
【0047】
特定の実施形態では、第II族の化合物、例えば、29〜36及び44の化合物(図1a及び1b参照)は、天然源、化学合成又は市販源に由来し得る。第II族の化合物の天然源としては、限定するものではないが、植物、サンゴ、微生物、海綿動物及び動物が挙げられる。特定の実施形態では、このような植物の例としては、限定するものではないが、以下の種、例えば、ヘテロプレクシス・ミコケパーラ(Heteroplexis micocephala)(化合物30、31、32及び33)[Fan,X.N.,et al.,Chemical Constituents of Heteroplexis micocephala.J.Nat.Prod.2009,72,1184−1190]及びイリアンテラ(Iryanthera)種(化合物34)[Vieira,P.C.,et al.,γ−Lactones from Iryanthera species,Phytochemistry,1983,22(3) 711−713]及びリツセ・ウェルティキルラータ(Litse verticillata)(化合物44)[Zhang,H.J.et al.,sesquiterpenes and butenolides,natural anti−HIV constituents from Litse verticillata,Planta Med,2005,71,452−457]が挙げられる。より特定の実施形態では、第II族の化合物を含む供給源微生物としては、限定するものではないが、以下の種、例えば、ストレプトミケス・リシリエンシス(Streptomyces rishiriensis)A−5969(化合物29)[Yumiko Itoh,Hiroshi Shimura,Mayumito,NaoHaru Watanabe,Michio Yamagishi,Masaharu Tamai and Kazunori Hanada,novel hepatoprotective 7−lactone,MH−031,Discovery,Isolation,Physical−Chemical properties and structural elucidation,The Journal of antibiotics,1991,44(8) 832−837]が挙げられる。より特定の実施形態では、第II族の化合物を含むサンゴとしては、限定するものではないが、以下の種、例えば、プテロゴルギア・アンケプス(Pterogorgia anceps)(化合物35)[Guo,Y.W.et al.,Three New Butenolide Lipids from the Caribbean Gorgonian Pterogorgia anceps,J.Nat.Prod.1999,62,1194−1196; Manuel Lorenzo et al.,13C NMR−Based Empirical Rules to Determine the Configuration of Fatty Acid Butanolides.Novel γ−Dilactones from Pterogorgia spp,Organic Letters,8(22) 5001−5004]及びプテロゴルギア・キトリーネ(Pterogorgia citrine)(化合物36)[Abimael D.Rodriguez et al.,further butenolides from the Caribbean octocoral Pterogorgia citrine,Journal of Natural Products,1994,57(3) 339−347]が挙げられる。
【0048】
第III族の化合物
別の特定の実施形態では、第III族の化合物は、以下の化学構造:
【化4】

を有し、
式中、Xは炭素であり、Yは酸素であり、Zは、水素、ヒドロキシル、アルケニルヒドロキシル、アルキニルヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、又はN,N−置換基又は任意の他の置換基である。
【0049】
式中、Rは、アルケニルヒドロキシル、アルキニルヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、若しくはN,N−置換基又は任意の他の置換基である。R鎖の長さは、1〜50、好ましくは7〜17であることができる。
【0050】
特定の実施形態では、第III族の化合物、例えば、37〜43の化合物(図1a及び1b参照)は、天然源若しくは市販源から又は化学合成によって得ることができる。第III族の化合物の天然源としては、限定するものではないが、植物、サンゴ、微生物、海綿動物及び動物が挙げられる。より特定の実施形態では、植物源としては、限定するものではないが、ピペル属の複数の種(Piper spp)(化合物43)[Likhitwitayawuid,K.,Ruangrungsi,N,Lange,G and Decicco,C.,Structural Elucidation and Synthesis of New Components isolated from Piper Samentosum,Tetrahedron 1987(43) 3689−3694; Kiuchi,F.,Nakamura,N.,Tsuda,Y.,Kondo,K and Yoshimura,H.Studies on Crude Drugs Effective on Visceral Larva Migrans.IV.Isolation and Identification of Larvicidal Principles in Pepper Chemical and Pharmaceutical Bulletin 1988(36):2452]が挙げられる。より特定の実施形態では、サンゴとしては、限定するものではないが、プレクサウラ・フラーウァ(Plexaura flava)(化合物42)[B.N.Ravi,et al.,Lipid and Terpenoid Metabolites of the Gorgonian Plexaura flava,Aust.J.Chem.,1982,35,105−12]が挙げられる。より特定の実施形態では、第III族の化合物を含む微生物としては、限定するものではないが、以下の種、例えば、リングビア・マユスクーラ(Lyngbya majuscula)及びスキゾトリクス・カルキコーラ(Schizothrix calcicola)(化合物39、40)[George G.Harrigan,et al.,Tumonoic Acids,Novel Metabolites from a Cyanobacterial Assemblage of Lyngbya majuscula and Schizothrix calcicola,J.Nat.Prod.1999,62,464−467]、プセウドモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(化合物41)[Michael,K.Winson.,et al.Multiple N−アシル−L−homoserine lactone signal molecules regulate production of virulence determinants and secondary metabolites in Pseudomonas aeruginosa,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1995,92,9427−9431],エルウィニア・カロトウォーラ(Erwinia carotovora)(化合物37)[Gu¨nter Brader,Solveig Sjo¨blom,Heidi Hyytia¨inen,Karen Sims−Huopaniemi,and E.Tapio Palva,Altering Substrate Chain Length Specificity of an アシルhomoserine Lactone Synthase in Bacterial Communication,The Journal of Biological Chemistry,2005,280(11) 10403−10409]及びフォトバクテリウム・ホスホレウム(Photobacterium phosphoreum)(化合物38)[L.R.Flodgaard,P.Dalgaard,J.B.Andersen,K.F.Nielsen,M.Givskov,and L.Gram,Nonbioluminescent Strains of Photobacterium phosphoreum produce the Cell−to−Cell Communication Signal N−(3−Hydroxyoctanoyl)homoserine Lactone,Applied and Environmental Microbiology,2005,71(4),2113−2120]が挙げられる。
【0051】
さらに別の特定の実施形態では、第III族の化合物は、以下の構造:
【化5】

を有するサルメンチン類似体であってもよく、
式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、芳香族、アリール基、NH−置換、又はN,N−置換基であり、R鎖の長さは、4〜20原子、好ましくは6〜12原子である。
【0052】
式中、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリールであるか、或いはR+R+NはN含有複素環部分であることができる。
【0053】
式中、R+R+NがN含有複素環部分であるとき、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、NH−置換、又はN,N−置換基である。
【0054】
最も特定の実施形態では、サルメンチン類似体は、N−シクロペンチルデカンアミド、N−(デカノイル)ピロリジン、N−(デカノイル)ピペリジン、N−(デカノイル)ヘキサメチレンイミン、N−シクロペンチルデセンアミド、N−(デセノイル)ピロリジン、N−(デセノイル)ピペリジン、N−(デセノイル)ヘキサメチレンイミン及びN−(デセノイル)ピペリジンである。
【0055】
サルメンチン類似体は、限定するものではないが、2009年7月21日に出願された特許出願第61/227,412号に示されている手順を含み得る当該技術分野で公知の手順を用いて得られてもよい。
【0056】
さらに別の特定の実施形態では、化合物は、プセウドモナス・フルオレスケンスに由来し、かつ少なくとも1つのカルボン酸部分と少なくとも1つの不飽和部分と少なくとも1つアルコール基とを含む水酸化不飽和脂肪酸構造と、コア構造中の285〜約310の分子量と、少なくとも15個の炭素と少なくとも3個の酸素とを有するものとして特徴付け得る。
【0057】
本発明のより特定の実施形態では、構造
【化6】


を有する化合物が提供され、
式中、Xは、各々独立に、−−OH、−−NR、又はSであり、ここで、Rは、−−H又はC−Cアルキルであり、n=0〜15であり、R〜Rは、各々独立に、−−H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルであり、m=二重結合、三重結合である。
【0058】
最も具体的な実施形態では、化合物は、構造
【化7】

を有する。
【0059】
製造方法
上で述べたように、本発明の化合物及び組成物は、プセウドモナス種の識別特徴を有する生物から、より特には、プセウドモナス・フルオレスケンスの株の識別特徴を有する生物から、或いは米国特許第6,194,194号に示されているプセウドモナス・フルオレスケンス分離株ATCC 55799の識別特徴を有する生物から得ることが可能であるか、入手できるか、又はこれらの生物に由来する。本方法は、これらの生物を培養することと、これらの生物の細胞からこれらの化合物を単離することによって本発明の化合物及び/又は組成物を得ることとを含む。
【0060】
特に、これらの生物を当該技術分野で公知の方法を用いて栄養培地中で培養する。これらの生物を、振盪フラスコ培養や、好適な培地中、細胞増殖を可能にする条件下で行なわれる実験用又は工業用発酵槽での小規模又は大規模の発酵(限定するものではないが、連続発酵、回分発酵、流加発酵又は固相発酵を含む)によって培養し得る。培養は、当該技術分野で公知の手順を用いて、炭素源及び窒素源及び無機塩を含む好適な栄養培地中で行なわれ得る。好適な培地は、市販源から入手可能であるか、入手可能な場合があるか、又は公表されている組成に従って調製され得る。特定の実施形態は、以下の実施例及び米国特許第号6,194,194号に開示されている。
【0061】
培養後、これら細胞を濃縮し、その後、緩衝液に懸濁して、細胞懸濁物を取得し得る。本発明の化合物及び/又は組成物をこの懸濁物から抽出し得る。この抽出物をクロマトグラフィーで分画し得る。クロマトグラフィーを、当該技術分野で公知の方法を用いて、イガイ、カタツムリ(例えば、水性及び/又は庭カタツムリ)及び/又はナメクジなどの軟体動物に対する毒性作用についてアッセイし得る。特定の一実施形態を下記の実施例に開示する。このプロセスを、同じ又は異なるクロマトグラフィー法を用いて、1回以上繰り返し得る。
【0062】
本発明の化合物はまた、合成による方法により取得し得る。或いは、ペプチド化合物については、当該技術分野で公知の方法を用いて、これらの化合物をコードする核酸配列を組換えDNA宿主内で発現させることにより、化合物を取得し得る。
【0063】
製剤
本発明の組成物は、軟体動物、特に、腹足綱及び/又は双殻綱のメンバー、より特には、イガイ、カタツムリ及びナメクジを防除する際に有用な化学薬品又はバイオ農薬製品を含み得る。本発明は、(a)微生物、例えば、プセウドモナス種、より特には、プセウドモナス・フルオレスケンス、或いはプセウドモナスATCC 55799の識別特徴を有する生物から入手できるか又はこれらに由来し、(b)双殻綱、特に、イガイ(例えば、ドレイッサナ種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス種、コルヌ種、テバ種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)からなる群から選択される一群の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、かつ(c)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)で測定したときに、約540〜550及び約1280〜1335からなる群から選択される分子量を有する単離された化合物に関する。これらの組成物を、軟体動物、特に、腹足綱及び/又は双殻綱のメンバー、より特には、イガイ、カタツムリ及びナメクジを防除するために使用し得る組成物に処方し得る。
【0064】
例としては、限定するものではないが、塩素及び例えば、米国特許第6,194,194号に記載されているようなプセウドモナス種に由来する物質が挙げられる。さらに、上で開示されており、かつ本発明で使用される化合物を組成物(或いは「製剤」と表される)に作り上げることができ、かつ任意の形態で処方することができる。非限定的な製剤例としては、乳剤(EC)、水和剤(WP)、液剤(SL)、エアロゾル、超微量濃縮溶液(ULV)、水溶剤(SP)、マイクロカプセル剤、顆粒水和剤、フロアブル製剤(FL)、マイクロエマルション製剤(ME)、ナノエマルション製剤(NE)などが挙げられる。本明細書に記載の任意の製剤において、活性成分のパーセントは、0.01%から99.99%の範囲内である。特定の実施形態では、製剤は界面活性剤を含まなくてもよい。
【0065】
本発明の組成物において使用し得る不活性材料の例としては、限定するものではないが、カオリン、雲母、石こう、フィロケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、若しくはリン酸塩などの無機鉱物;又は木製品、コルク、粉末化したトウモロコシ穂軸、籾殻、落花生殻及びクルミ殻などの植物材料が挙げられる。特定の実施形態では、不活性材料は、約1〜20NTU(正規化された濁度単位)に相当する約1〜20mg/リットルの割合で水に懸濁された粘土鉱物(カオリナイト、スメクタイト、アタパルジャイト)から得られるか又はこれらに由来することができる。イガイの吸水(siphoning)を強化するために使用される不活性材料は、固形状で又は水性溶液(好ましくは、水)中の懸濁物として、イガイを処理する水域又は場所(例えば、固体表面)に直接適用することができる。特定の実施形態では、製品の効力を高めるために、粘土、シルト、堆積物又は栄養的価値がなくかつ粒径が十分に小さい任意の他の材料などの不活性材料を、化学薬品又はバイオ農薬製品で処理する前に水に懸濁することができる。
【0066】
使用方法
本発明の化合物及び組成物は、イガイ、カタツムリ及び/又はナメクジなどの軟体動物が集まる水塊又は表面で、軟体動物、特に、腹足綱及び/又は双殻綱のメンバー、より特には、イガイ(例えば、ドレイッサナ種)及び/又は腹足綱、特に、カタツムリ(これには、水性カタツムリ(例えば、ビオムファラリア種)及び庭カタツムリ(限定するものではないが、茶色庭カタツムリ、白色庭カタツムリ(例えば、カンタレウス種、コルヌ種、テバ種)を含む)が含まれるが、これらに限定されない)、及び/又はナメクジ(限定するものではないが、灰色庭ナメクジ(例えば、デロケラス属の1種)、縞状若しくはミツスジナメクジ(例えば、レマンニア属の1種)、黄褐色ナメクジ(例えば、リマクス属の1種)、及び温室ナメクジ(例えば、ミラクス属の1種)を含む)を防除するために或いは塗料中の防汚剤として使用し得る。塗料中の防汚剤として使用される事象では、本発明の化合物及び組成物は、抗増殖性の、殺生物有効量で存在する。イガイ、カタツムリ及び/又はナメクジなどの軟体動物が集まる表面としては、限定するものではないが、プラスチック、コンクリート、木材、ガラス繊維、鉄やポリ塩化ビニルでできたパイプ並びに塗料及び/又はコーティングで覆われた表面が挙げられる。コーティングは、色素、結合剤、添加剤、及び/又は分散媒から処方されてもよく、好ましくは表面を保護又は装飾するために薄い膜にして塗布される。(活性化合物を含む)最終的な製品は、10〜200mg/L、より具体的には25〜100mg/L(ppm)又は25〜10000mg/kgで使用される。これは、乾燥製品として適用するか又は水に懸濁して、特定の散布ポンプ及び混合システムを介してパイプ、ダム建造物、貯蔵タンク、及び開放水域(例えば、水路、川、湖、灌漑用水路、池及び湖)に導入される。
【0067】
特定の実施形態では、本発明は、侵入性軟体動物、特にイガイを防除するために使用される材料のバイオ農薬活性及び農薬活性を改善するための方法であって、
1.不活性材料(例えば、粘土)を水に懸濁して、化学薬品又はバイオ農薬処理前に約1〜24時間、吸水活性を誘発する工程と、
2.化学薬品又はバイオ農薬を所望のレベルで水に添加する工程と
を含む方法に関する。
【0068】
本発明はまた、微生物性バイオ農薬を不活性材料(例えば、粘土)と組み合わせて投与して、取込みを高め、それによってイガイの死亡率を高める工程を含む方法に関する。
【0069】
イガイの吸水を活性化するために、この粘土(濁度)処理を、約1〜6時間、通常、約3〜4時間、及び化学薬品/農薬で処理する約1〜24時間、典型的には、約14〜18時間前に行なうべきである。或いは、濁度処理を、化学薬品又はバイオ農薬処理と同時に適用することができる。
【0070】
本発明の一実施形態に従って、軟体動物(例えば、イガイ、カタツムリ及びナメクジ)の処理を500−mLガラスジャー又はアクリルシートから構築されたバイオボックス中で行なうことができる。ガラスジャーの中では、処理の間の通気は、ナイロンチューブに接続された水槽のエアストーンからの空気流によってもたらされる。バイオボックス中では、水は、1分間に1ガロンの割合で絶えず流れている。
【0071】
濁度処理用及び化学薬品/バイオ農薬製品用の材料を、ピペッティングによって又は蠕動ポンプを介して水中で混合することができる。バイオボックス中では、より均一な混合は、注入の時点で擢型ミキサーを用いて達成される。本発明の組成物は、直接適用に好適な形態で又は適用前に好適な量の水若しくは他の希釈液で希釈する必要がある濃縮物若しくは一次組成物として存在することができる。
【0072】
濁度材料の有効量は、用途、水温(水に適用する場合)、及び処理時間によって決まる。一般に、組成物は、測定された濁度が20NTUよりも高く上昇しないように1リットル当たり約1〜約20mgの割合で、好ましくは1リットル当たり約5〜約10mgの割合で適用し得る。
【実施例】
【0073】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態及び有用性を説明するために提示されるのであって、本明細書に付随する請求項で特に記述されていない限り、本発明を限定することを意図するものではない。
【0074】
実施例1:軟体動物駆除剤に関する研究
材料及び方法
1.クワッガガイを小さいペトリ皿の中で24時間馴化させておく。
・イガイをペトリ皿に入れて、イガイの生死を判定する。死んだイガイと空のイガイを捨てる。
・10匹の生きた/健康なイガイを計数する。
・10匹の生きた/健康なイガイを、各々硬水を含む小さいペトリ皿に入れる。
・別のイガイのプレートを取っておく。これらは、他の実験プレート中で、24時間後に、死んだ又は空のイガイを取り替えるのに用いられる「予備のイガイ」である。
・水の容量が少ない(DOが高い)ので、通気は必要ない。
【0075】
2.イガイ処理の日
・イガイをチェックする(イガイをチェックするときはいつも、ラバーポリスマンを使用する。死んだイガイを取り除くために、ピンセットのみを使用する)。
・計数して、小さいペトリ皿1枚当たりに10匹の生きた/健康なイガイが存在することを確かめる。
・試料を準備する。
・各試料について、50mlファルコンチューブ中にて硬水で適当に希釈する。投与前に、ボルテックス処理して混合する。
・例えば、試料当たり70ppmで2回繰り返す。34mlの硬水をファルコンチューブに添加する。51μlの試料を、硬水を含む同じファルコンチューブに添加する。投与前に、ボルテックス処理して混合する。
【0076】
3.投与
・投与前に、試料をボルテックス処理する。
・25mlの血清学的ピペットを用いて、上下にピペッティングして混合する。15mlの混合物をピペッティングして、各々の小さいペトリ皿に入れる。
・24時間、イガイをそのままにして静置しておく。時間と日付を記載する。
【0077】
4.処理の24時間後
・投与してから24時間後、処理水を除去し、イガイの死亡率をチェックする。
・処理水を完全に取り除く。きれいな硬水で3回すすいだ後、各々の小さいペトリ皿に水を添加する。
・全てのペトリ皿について、このプロセスを繰り返す。
・検査後に全てのペトリ皿をオートクレーブしなければならない。オートクレーブした後、ジャーを水で洗浄する。
【0078】
5.死亡率を計算する
・死亡率(%)=100(処理において死んだイガイの総数−ブランクにおいて死んだイガイの総数)/処理したイガイの総数
【0079】
市販化合物を用いた研究
Sigma−Aldrichから得られた市販化合物を最終濃度11.1μg/mlで調べた。結果を表1に示す。
【表1】

【0080】
合成化合物
合成した化合物を最終濃度11.1μg/mlでクワッガガイに対してスクリーニングした。以下の手順を用いて、化合物を得る。
【0081】
アミドの合成:ジクロロメタン(20ml)中の氷冷したカルボン酸(3mmole)溶液に、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(3.3mmole)と4−ジメチルアミノピリジン(3mmole)とを順次添加する。5分後、アミン(3.3mmole)を反応溶液に添加する。反応液を室温までゆっくりと温め、一晩持続させた。反応液を酢酸エチル(200mL)で抽出する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。真空下で蒸発させた後、残渣をヘキサン中の適当な比率の酢酸エチルとともにシリカゲルカラムに通す。最終生成物の収率は85%〜90%の範囲である。最終生成物をプロトンNMRで特徴付ける。
【0082】
N−シクロペンチルシンナムアミド(SAR−023):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)7.62(d,J=15.6 Hz,1H),7.50(d,J=7.0 Hz,2H),7.35(m,3H),6.37(d,J=15.6,1H),5.61(d,J= 5.0,Hz,1H,NH),4.35(6重項,J=7.0 ,1H),2.06(m,2H),1.71(m,2H),1.64(m,2H),1.46(m,2H)。
【0083】
N−(trans−シンナモイル)ピロリジン(SAR−024):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)7.70(d,J=15.5 Hz,1H),7.53(d,J=7.0 Hz,2H),7.36(m,3H),6.74(d,J=15.5,1H),3.63(t,J=7.0,2H),3.60(t,J=7.0,2H),2.01(5重項,J=7.0,2H),1.91(5重項,J=7.0,2H)。
【0084】
N−(trans−シンナモイル)ピペリジン(SAR−025):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)7.64(d,J=15.5 Hz,1H),7.52(d,J=7.2 Hz,2H),7.36(m,3H),6.90(d,J=15.5,1H),3.67(s,2H),3.59(s,2H),1.68(m,2H),1.62(m,4H)。
【0085】
N−(trans−シンナモイル)ヘキサメチレンイミン(SAR−026):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)7.70(d,J=15.4 Hz,1H),7.52(d,J=7.6 Hz,2H),7.36(m,3H),6.88(d,J=15.4,1H),3.63(t,J=6.0,2H),3.61(t,J=6.0,2H),1.76(m,4H),1.59(m,4H)。
【0086】
N−シクロペンチルデカンアミド(SAR−020):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)5.35(br,1H),4.22(6重項,J=7.00,1H),2.12(t,J=7.20,2H),1.98(m,2H),1.59−1.67(m,6H),1.26−1.36(m,14H),0.88(t,J=7.00,3H)。
【0087】
N−(デカノイル)ピロリジン(SAR−007):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)3.45(t,J=6.80,2H),3.40(t,J=6.80,2H),2.24(t,J=7.20,2H),1.94(5重項,J=6.80,2H),1.84(5重項,J=6.80,2H),1.62(5重項,J=7.20,2H),1.25−1.30(m,12H),0.87(t,J=7.20,3H)。
【0088】
N−(デカノイル)ピペリジン(SAR−021):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)3.55(t,J=5.20,2H),3.39(t,J=5.20,2H),2.31(t,J=7.60,2H),1.58−1.65(m,4H),1.52−1.57(m,4H),1.20−1.30(m,12H),0.87(t,J=7.20,3H)。
【0089】
N−(デカノイル)ヘキサメチレンイミン(SAR−022):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)3.52(t,J=6.00,2H),3.42(t,J=6.00,2H),2.30(t,J=7.80,2H),1.66−1.74(m,4H),1.60−1.66(m,2H),1.50−1.6.0(m,4H),1.20−1.30(m,12H),0.87(t,J=7.20,3H)。
【0090】
N−シクロペンチルデセンアミド(SAR−027):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)6.82(dt,J1=15.20,J2=7.20,1H),5.71(d,J=15.20,1H),5.33(br,1H),4.27(6重項,J=7.00,1H),2.15(m,2H),2.10(m,2H),1.67(m,2H),1.60(m,2H),1.40(m,4H),1.28(m,8H),0.88(t,J=7.00,3H)。
【0091】
N−(デセノイル)ピロリジン(SAR−030):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)6.90(dt,J1=15.20,J2=7.00,1H),6.07(d,J=15.20,1H),3.52(t,J=6.30,2H),3.50(t,J=6.30,2H),2.19(m,2H),1.96(5重項,J=7.00,2H),1.85(5重項,J=7.00,2H),1.44(m,2H),1.28(m,8H),0.88(t,J=7.00,3H)。
【0092】
N−(デセノイル)ピペリジン(SAR−031):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)6.82(dt,J1=15.20,J2=7.00,1H),6.23(d,J=15.20,1H),3.59(t,J=6.30,2H),3.47(t,J=6.30,2H),2.17(m,2H),1.64(5重項,J=5.60,2H),1.56(5重項,J=5.60,4H),1.44(5重項,J=7.00,2H),1.28(m,8H),0.88(t,J=7.00,3H).
【0093】
N−(デセノイル)ヘキサメチレンイミン(SAR−032):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)6.91(dt,J1=15.20,J2=7.00,1H),6.21(d,J=15.20,1H),3.57(t,J=6.00,2H),3.49(t,J=6.00,2H),2.17(m,2H),1.73(m,4H),1.56(m,4H),1.45(m,2H),1.28(m,8H),0.88(t,J=7.00,3H).
【0094】
N−(デセノイル)ピペリジン(SAR−033):1H NMR(CDCl3):δ(ppm)6.82(dt,J1=15.20,J2=7.00,1H),6.23(d,J=15.20,1H),3.59(t,J=6.30,2H),3.47(t,J=6.30,2H),2.17(m,2H),1.64(5重項,J=5.60,2H),1.56(5重項,J=5.60,4H),1.44(5重項,J=7.00,2H),1.28(m,8H),0.88(t,J=7.00,3H)。
【0095】
これらの結果を表2に示す。
【表2】

【0096】
実施例2.エルウィニア抽出物
エルウィニア・カロトウォラをLBブロス(1リットル当たり:トリプトン10g、酵母抽出物5g、NaCl 10g、pH=7.5)で増殖させる。グリセロールストックからTSA(トリプティック大豆寒天)プレートにストリークすることにより、種菌を増殖させる。コロニー形態の目視検査で培養物の純度を確認する。滅菌した10μLループを用いて、コロニーを寒天表面から回収し、50mlのLBブロスを含む250mlのバッフルなしのスクリューキャップ付きエルレンマイヤーフラスコに再懸濁する。液体培養物を200rpm及び25℃で48〜72時間インキュベートする。
【0097】
72時間後、全ブロスを酢酸エチルで抽出する。有機相を真空下で乾燥させる。乾燥した抽出物を5.0mg/mLのジメチルスルホキシド(DMSO)溶液にする。次に、このような溶液(100μL)を45mLの硬水に添加する。酢酸エチル抽出物の最終濃度は11.1ppmである。
【0098】
表3に示すデータは、LB培地中で増殖させたときに、クワッガガイに対する生体活性化合物がエルウィニア・カロトウォラで産生されることを示している。上記の化合物37(図1b)は、LB培地中で増殖したE.カロトウォラにより産生されるラクトンのうちの1つである[Gu¨nter Brader,Solveig Sjo¨blom,Heidi Hyytia¨inen,Karen Sims−Huopaniemi,and E.Tapio Palva,Altering Substrate Chain Length Specificity of an Acylhomoserine Lactone.Synthase in Bacterial Communication,The Journal of Biological Chemistry,2005,280(11) 10403−10409]。
【表3】

【0099】
実施例3:プセウドモナスからの軟体動物駆除化合物の単離
研究A
化合物の分画
洗浄したプセウドモナス・フルオレスケンスCL−145Aの細胞から抽出された化合物の分画のために、以下の手順を用いる。
【0100】
FM2増殖培地中のP.フルオレスケンスCL 145A(ATCC 55799)の10L発酵から得られる細胞ペレットを希釈緩衝液に懸濁し、この細胞懸濁物を樹脂とともに225rpmにて室温で2時間振盪させることによって、アンバーライトXAD−7樹脂で抽出する(Asolkar,R.N.,Jensen,P.R.,Kauffman,C.A.,Fenical,W.2006.Daryamides A−C,Weakly Cytotoxic Polyketides from a Marine−Derived Actinomycete of the Genus Streptomyces strain CNQ−085 J.Nat.Prod.69:1756−1759;Williams,P.G.,Miller,E.D.,Asolkar,R.N.,Jensen,P.R.,Fenical,W.2007.Arenicolides A−C,26− Membered Ring Macrolides from the Marine Actinomycete Salinispora arenicola.J.Org.Chem.72:5025−5034)。チーズクロスに通して濾過することにより樹脂と細胞塊を回収し、DI水で洗浄して塩を取り除く。次に、樹脂、細胞塊、及びチーズクロスをアセトン中に2時間浸漬し、その後、アセトンを濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて真空下で乾燥させて、粗抽出物を得る。次に、粗抽出物を、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;勾配90:20から0:100%)を用いて分画して、7つの画分を得る。次に、これらの画分をロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固させ、得られる乾燥残渣を、クワッガガイを用いる生きたイガイのジャーテストバイオアッセイと淡水産カタツムリ胚細胞株(ビオムファラリア・グラブラータ(Biomphalaria glabrata)を用いる細胞ベースのアッセイの両方を用いて生物学的活性についてスクリーニングする。バイオアッセイは、実施例#2及び#3により詳細に記載されている。次に、活性画分を逆相/順相HPLC(Spectra System P4000(Thermo Scientific))にかけて、純粋な化合物を得る。次に、これを上述のバイオアッセイでスクリーニングして、活性化合物を決定/同定する。化合物の正体を確認するために、LC/MSやNMRなどのさらなる分光分析データを記録する。
【0101】
使用した方法の略図を図3に示す。生きたイガイとカタツムリ細胞の両方のアッセイに基づくと、画分#4と#5が活性化合物を含んでいる。2.5mL/分の流速及び210nmのUV検出のHPLC(C−18カラム、水:アセトニトリル勾配溶媒系(0〜10分;30−40%水性CHCN、10〜20分;40−60%水性CHCN、20〜60分;60−80%水性CHCN、60〜65分;80−100%水性CHCN))で分離された全ての化合物のうち、ピーク番号20(保持時間51.66分)、21(保持時間52.56分)、及び22A(保持時間59.61分)が、バイオアッセイでカタツムリ細胞の増殖を阻害する(例えば、OD600値が低い)。
【0102】
質量分析法による活性ピークの分析は、LCQ DECA XPplus質量分析計(Thermo Electron Corp.,San Jose,CA)にてフルスキャンモード(m/z 100〜1500Da)でポジティブとネガティブ両方のイオン化モードを用いるThermo Finnigan LCQ Deca XP Plusエレクトロスプレー(ESI)装置で行なう。Thermo製の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置は、Finnigan Surveyor PDA plus検出器、オートサンプラーplus、MSポンプ及び4.6mm×100mm Luna C18 5μmカラム(Phenomenex)を備えている。溶媒系は、水(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)からなる。移動相は10%溶媒Bから始まり、20分かけて100%溶媒Bまで直線的に増加させた後、4分間保持され、最終的に3分かけて10%溶媒Bに戻され、3分間保持される。流速は0.5mL/分である。注入容量は10μLであった。試料は、オートサンプラー中で室温に保持する。化合物をLC及び逆相クロマトグラフィーを用いるLC−MSで分析する。質量分析法による本化合物の分析は以下の条件下で行なう。窒素ガスの流速は、シース及びaux/スイープガス流速について、それぞれ、30及び15arbで固定した。エレクトロスプレーイオン化は、スプレー電圧を5000Vに設定し、キャピラリー電圧を35.0Vにして行なわれた。キャピラリー温度は400℃に設定された。データはXcaliburソフトウェアで解析した。ピーク#20中の活性化合物の分子質量は、ポジティブイオン化モードで1294.75である。別の活性化合物(ピーク#22A)のLC−MSクロマトグラムからは、ポジティブイオン化モードで1320.83の分子質量が示唆される。
【0103】
構造を解明するために、活性ピーク#20由来の部分精製化合物を600MHz NMR装置を用いてさらに分析すると、これは、CDCl中、δ9.25,8.36,8.06,7.82,7.71,7.52,7.45,6.82,6.36,6.08,5.42,5.39,5.30,5.14,4.68,4.42,4.31,4.16,4.11,4.07,3.95−3.86,3.83,3.72,3.66,3.53,3.48,3.37,3.17,3.06,2.56,2.53,2.45,2.32,2.21,2.02,1.96,1.84,1.72,1.65,1.61,1.51,1.48−1.37,1.32,1.12,0.94,0.91,0.68のδ値を有する。NMRデータは、この化合物がアミノ基、エステル基、カルボン酸基、フェニル基、インドール基、脂肪族メチル基、エチル基、メチレン基、オキシメチレン基、メチン基、o−メチル基、オキシメチン基及び硫黄基を含むことを示す。
【0104】
同様に、バイオアッセイで導かれる分画を用いた活性画分#4の、10mL/分の流速及び210nmのUV検出のC−18カラム及びアセトニトリル:水溶媒系(0〜10分;35−45%水性CHCN、10〜20分;45−60%水性CHCN、20〜50分;60−85%水性CHCN、50〜60分;85−100%水性CHCN、60〜70分;100%CHCN)を用いるHPLC分析により、生きたイガイとカタツムリ胚細胞の両方に対する活性を有する多数のピークが得られた。活性のほとんどは、ピーク#27(保持時間47.73分)及び#30(保持時間51.52分)に濃縮されている。
【0105】
ピーク#27及び#30をLC/MSでさらに分析する。これらの結果に基づくと、ピーク#27は、およそ643及び984という質量を有する2つの主成分を含む多数の化合物を含む。ピーク#30はより少ない化合物を含み、質量分析により、ピーク下の主成分についておよそ546という分子質量が示唆される。
【0106】
イガイのバイオアッセイ試験
この生きたイガイのバイオアッセイ試験を用いて、HPLC及びLC−MSを分析ツールとして用いた試料分画によって活性化合物の同定を導く。
【0107】
新たに採集したクワッガガイ20匹を室温の脱塩素水道水250mLを含むジャーに入れる。ジャーを室温に保持し、バブリングにより一定の給気をもたらす連結管に接続する。DMSOに溶解させた各試験対象(HPLC画分又はピーク)をピペッティングして、1〜5mgの濃度で個別にジャーに入れ、イガイを試験対象とともに24時間インキュベートする。インキュベーション期間の後、各ジャーの水を捨て、イガイを新鮮な水ですすぎ、10日間の観察期間中、フタのないガラスペトリ皿に移す。イガイの死亡率を毎日チェックし、死んだイガイを取り除いて捨てる。各処理を3つ複製して実施し、10日間のインキュベーション期間の最後に、各処理について死亡率%を計算する。
【0108】
細胞ベースのアッセイ
別法として、この細胞ベースのアッセイをツールとして用いて、発酵後のP.フルオレスケンス細胞中の活性化合物の単離及び同定を容易にする。
【0109】
淡水産カタツムリ(ビオムファラリア・グラブラータ、ATCC CRL−1494)の胚細胞を、P.フルオレスケンス生物毒素に感受性があることが知られているイガイ消化腺上皮細胞のモデル系として用いる。このアッセイのために、ショウジョウバエ(Drosophila)培地、胎仔ウシ血清、d−ガラクトース、及びラクトアルブミンを含む完全増殖培地中の活発に増殖している細胞200μLを、滅菌した96ウェルプレートの各ウェルに添加する。DMSOに溶解させた試験化合物(20mg/mLのHPLC画分又はピーク)を各ウェルに添加し、プレートにカバーをして、23℃及び5%COの制御環境でインキュベートする。SoftMax Proソフトウェアが入ったSpectraMaxプレートリーダーを用いて活性(増殖阻害=低濁度)を600nmで測定し、純粋なDMSOを試験化合物として含む陰性対照と比較する。各処理を4つ複製して行ない、1つの複製された陽性対照処理を各プレートに含める。
【0110】
研究B
方法及び材料
プセウドモナス・フルオレスケンスの細胞培養物から抽出した化合物の精製に以下の手順を用い、この手順を図3にまとめる。具体的には、FM2増殖培地中のP.フルオレスケンスCL 145A(ATCC 55799)の10L発酵から得られる細胞ペレットを希釈緩衝液に懸濁し、この細胞懸濁物を樹脂とともに225rpmにて室温で2時間振盪させることによって、アンバーライトXAD−7樹脂で抽出する(Asolkar,R.N.,Jensen,P.R.,Kauffman,C.A.,Fenical,W.2006.Daryamides A−C,Weakly Cytotoxic Polyketides from a Marine−Derived Actinomycete of the Genus Streptomyces strain CNQ−085 J.Nat.Prod.69:1756−1759 and Williams,P.G.,Miller,E.D.,Asolkar,R.N.,Jensen,P.R.,Fenical,W.2007.Arenicolides A−C,26−Membered Ring Macrolides from the Marine Actinomycete Salinispora arenicola.J.Org.Chem.72:5025−5034)。チーズクロスに通して濾過することにより樹脂と細胞塊を回収し、DI水で洗浄して塩を取り除く。次に、樹脂、細胞塊、及びチーズクロスをアセトン中に2時間浸漬し、その後、アセトンを濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて真空下で乾燥させて、粗抽出物を得る。次に、粗抽出物を、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(HO/CHOH;勾配90:20から0:100%)を用いて分画して、7つの画分を得る。次に、これらの画分をロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固させ、得られる乾燥残渣を、クワッガガイを用いる生きたイガイのジャーテストバイオアッセイと淡水産カタツムリ胚細胞株(ビオムファラリア・グラブラータ)を用いる細胞ベースのアッセイの両方を用いて生物学的活性についてスクリーニングする。次に、活性画分を逆相HPLC(Spectra System P4000(Thermo Scientific))にかけて、純粋な化合物を得る。次に、これを上述のバイオアッセイでスクリーニングして、活性化合物を決定/同定する。化合物の正体を確認するために、LC/MSやNMRなどのさらなる分光分析データを記録する。
【0111】
活性画分4をSephadex LH 20サイズ排除クロマトグラフィーを用いてさらに亜分画して、7つの亜画分を得る。ピリフェロリドA及び11−ヒドロキシ−12−エン−オクタデカン酸の精製は、活性ピーク番号21(保持時間45.59分)、及び23(保持時間48.53分)に対して8mL/分の流速及び210nmのUV検出のHPLC(C−18カラム(Phenomenex,Luna 10u C18(2)100A,250×30)、水:アセトニトリル勾配溶媒系(0〜10分;50−60%水性CHCN、10〜20分;60−75%水性CHCN、20〜45分;75−100%水性CHCN、45〜55分;100%CHCN、55〜70分;100−50%水性CHCN))を用いて行なう。
【0112】
質量分析法による活性ピークの分析は、LCQ DECA XPplus質量分析計(Thermo Electron Corp.,San Jose,CA)にてフルスキャンモード(m/z 100〜1500Da)でポジティブとネガティブ両方のイオン化モードを用いるThermo Finnigan LCQ Deca XP Plusエレクトロスプレー(ESI)装置で行なう。Thermo製の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置は、Finnigan Surveyor PDA plus検出器、オートサンプラーplus、MSポンプ及び4.6mm×100mm Luna C18 5μmカラム(Phenomenex)を備えている。溶媒系は、水(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)からなっていた。移動相は10%溶媒Bから始まり、20分かけて100%溶媒Bまで直線的に増加させた後、4分間保持され、最終的に3分かけて10%溶媒Bに戻され、3分間保持される。流速は0.5mL/分である。注入容量は10μLであった。試料は、オートサンプラー中で室温に保持する。化合物をLC及び逆相クロマトグラフィーを用いるLC−MSで分析する。質量分析法による本化合物の分析は以下の条件下で行なう。窒素ガスの流速は、シース及びaux/スイープガス流速について、それぞれ、30及び15arbで固定した。エレクトロスプレーイオン化は、スプレー電圧を5000Vに設定し、キャピラリー電圧を35.0Vにして行なわれた。キャピラリー温度は400℃に設定された。データはXcaliburソフトウェアで解析した。活性化合物ピリフェロリドAの分子質量は、ネガティブイオン化モードで295.65ある。別の活性化合物のLC−MSクロマトグラムからは、ポジティブイオン化モードで297.74の分子質量が示唆される。
【0113】
構造を解明するために、分子量296の精製化合物ピリフェロリドAを500MHz NMR装置を用いてさらに分析する。基準を内部標準テトラメチルシラン(TMS、0.00ppm)に設定する。この化合物は、5.62,5.42,4.55,3.97,2.58,2.35,2.04,1.88,1.73,1.64,1.54,1.39,0.92のH NMR δ値を有し、かつδ179.1,133.3,131.3,81.9,72.6,37.3,35.4,32.1,31.3,29.5,29.4,29.0,28.6,27.8,25.4,25.3,22.5,13.3という13C NMR値を有する。詳細な1D及び2D NMR分析により、この化合物の構造が既知化合物としてのピリフェロリドAであると確認される。
【0114】
分子量298の第2の精製化合物を500MHz NMR機器を用いてさらに分析すると、5.61,5.41,3.96,2.27,2.04,1.69,1.51,1.42,1.32,0.92のH NMR δ値を有し、かつδ176.6,133.2,132.6,73.5,37.5,33.9,32.4,31.6,29.8,29.7,29.6,29.4,29.3,29.1,25.7,24.9,22.8,14.3という13C NMR値を有する。詳細な1D及び2D NMR分析により、微生物源については報告されていない化合物;分子式C1834に対する構造が確認される。この化合物11−ヒドロキシ−12−エン−オクタデカン酸の構造を下に示す。
【化8】

【0115】
プセウドモナス細胞培養物から単離された化合物の効力を上記の手順を用いて試験する。結果を下記の表4に示す。
【表4】

【0116】
実施例5:カオリン効果
P.フルオレスケンス細菌に基づく微生物性バイオ農薬の効力に対するカオリン粘土の効果を11.8℃で行なわれるバイオボックス研究で試験する。実験第1日目に、バイオボックス中の最終的な濁度が約20NTU(正規化した濁度単位)となるように、カオリン粘土を蠕動ポンプを介して濃縮ストック溶液からバイオボックスに適用する。クワッガガイ50匹を、両末端をナイロンメッシュで閉じた1フィート長のアクリルチューブに入れ、チューブを処理用のバイオボックスの底に置いた。粘土適用の持続時間は6時間とし、6時間後、アクリルチューブ中のイガイをバイオボックス中で新鮮な流水に18時間さらした。翌日、余分な粘土をバイオボックスの底から除去し、最終濃度が200ppmになるまで蠕動ポンプを介して水性懸濁物中のバイオ農薬を適用した。6時間のバイオ農薬処理後、チューブ中のイガイを、1分間に1ガロンの割合の新鮮な流水とともにバイオボックス中でインキュベートする。イガイを観察し、死亡率%を決定するために5週間毎週計数する。対照処理には、未処理対照、カオリン粘土のみによる(バイオ農薬なしの)処理及びバイオ農薬のみによる(粘土による前処理なしの)処理が含まれた。処理は全て3つ複製して行なう。
【0117】
表5及び図4に示す結果は、粘土による前処理のないイガイと比較した、バイオ農薬処理する前に18時間カオリン粘土にさらしたイガイの死亡率の顕著な増加を示している。この現象は、生物学的活性が低い間に採取され、冷たい(11.8℃)水で処理されたイガイの吸水活性の増加によって説明することができる。この吸水の増加によって、より多くの農薬製品の取込みが生じ、それによって、イガイ死亡率の増加がもたらされる。
【表5】

【0118】
実施例6:カタツムリに対するγ−ドデカラクトン及びN−デセノイルピロリジンの効果
カタツムリ実験:適当な量の試験化合物をまずアセトン(2mL)に溶解させる。この溶液を2.5グラムのトウモロコシデンプンに添加し、よく混合した。得られた混合物をペトリ皿(Φ25mm)に移す。次に、自然乾燥させるためにペトリ皿をフード内に置く。乾燥後、水(2mL)をペトリ皿に添加して、ペーストを作る。
【0119】
茶色庭カタツムリ(カンタレウス・アスペルスス(Cantareus aspersus))を家の庭から採集し、キャベツ又は赤ニンジンを用いて実験室で少なくとも1日育てる。サイズがよく似た5匹の個体を各処理用に選び、1Lビーカーに移す。カタツムリを活発にするために、ハンドスプレーを用いて、カタツムリに対して、及びビーカー中に少しの水を噴霧する。水を噴霧した後、化学薬品を含むトウモロコシデンプンの入ったペトリ皿をビーカーの中に置き、このビーカーの上をアルミ箔で覆う。24時間での摂食行動、トウモロコシデンプンの消費量及び死亡率を記録する。
【0120】
(表6に示す)データから、トウモロコシデンプン1グラム当たり100mgのγ−ドデカラクトン(SAR−014)が茶色庭カタツムリを強く寄せ付けないことが示される。しかしながら、トウモロコシデンプン1グラム当たり100mgのN−デセノイルピロリジン(SAR−030)は、食べた後に全ての茶色庭カタツムリを殺す。
【表6】

【0121】
本発明は、特定の実施形態に関して記載されているが、様々な等価物、変更及び修飾を使用することができ、かつこれらもまた本発明の範囲内であることができることが明白であるので、特定の実施形態の詳細は限定的であるとみなされるべきではない。
【0122】
様々な参考文献が本明細書の全体を通じて引用されており、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の特徴を有する、すなわち、(a)微生物から入手でき、(b)腹足綱及び/又は双殻綱の軟体動物のメンバーに対して毒性があり、かつ(c)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)で測定したときに、約540〜550及び約1280〜1335からなる群から選択される分子量を有する、単離された化合物。
【請求項2】
前記化合物が、イガイ、カタツムリ及びナメクジのうちの少なくとも1つに対して毒性がある、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、(a)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)で測定したときに、約1280〜1310、より特には、約1295という分子量を有し、(b)δ9.25,8.36,8.06,7.82,7.71,7.52,7.45,6.82,6.36,6.08,5.42,5.39,5.30,5.14,4.68,4.42,4.31,4.16,4.11,4.07,3.95−3.86,3.83,3.72,3.66,3.53,3.48,3.37,3.17,3.06,2.56,2.53,2.45,2.32,2.21,2.02,1.96,1.84,1.72,1.65,1.61,1.51,1.48−1.37,1.32,1.12,0.94,0.91,0.68という1H NMR値を有し、かつ(c)2.5mL/分の流速及び210nmのUV検出の水:アセトニトリル勾配溶媒系(0〜10分;30−40%水性CHCN、10〜20分;40−60%水性CHCN、20〜60分;60−80%水性CHCN、60〜65分;80−100%水性CHCN)を用いる逆相C−18 HPLCカラムで約50〜55分という(高圧液体クロマトグラフィー)(HPLC)保持時間を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物が、(a)LC/MSで測定したときに、約1310〜1335、より特には、約1321という分子量を有し、(b)2.5mL/分の流速及び210nmのUV検出の水:アセトニトリル勾配溶媒系(0〜10分;30−40%水性CHCN、10〜20分;40−60%水性CHCN、20〜60分;60−80%水性CHCN、60〜65分;80−100%水性CHCN)を用いる逆相C−18 HPLCカラムで約55〜60分というHPLC保持時間を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、LC/MSで測定したときに、約540〜550、より特には、約546という分子量を有し、(d)10mL/分の流速及び210nmのUV検出の水:アセトニトリル溶媒系(0〜10分;35−45%水性CHCN、10〜20分;45−60%水性CHCN、20〜50分;60−85%水性CHCN、50〜60分;85−100%水性CHCN、60〜70分;100%CHCN)を用いる逆相C−18 HPLCカラムで約50〜55分というHPLC保持時間を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
HPLCによりプセウドモナス種細胞懸濁物から入手できる、約45〜50分という保持時間を有する、10mL/分の流速及び210nmのUV検出の水:アセトニトリル溶媒系(0〜10分;35−45%水性CHCN、10〜20分;45−60%水性CHCN、20〜50分;60−85%水性CHCN、50〜60分;85−100%水性CHCN、60〜70分;100%CHCN)による画分を含む組成物であって、(a)腹足綱及び/又は双殻綱のメンバーに対して毒性があり、(b)LC/MSで測定したときに、約630〜660、好ましくは約643及び約970〜1000、好ましくは約984という分子量を有する少なくとも2種の化合物を含む組成物。
【請求項7】
腹足綱及び双殻綱のメンバーを防除するのに有効な少なくとも1以上の物質と不活性材料とを含み、前記物質がプセウドモナス種又はプセウドモナス種に由来する細胞懸濁物に由来する、組成物。
【請求項8】
腹足綱及び双殻綱のメンバーを防除するのに有効な前記物質が、以下の特徴を有する、すなわち、(a)プセウドモナス種から入手でき、(b)腹足綱及び双殻綱のメンバーに対して毒性があり、かつ(c)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)で測定したときに、約540〜550、及び約1280〜1335からなる群から選択される分子量を有する化合物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
防除が望ましい場所で1種以上の軟体動物を防除するための方法であって、前記場所に(a)エルウィニア属の1種の細胞に由来する細胞懸濁物又は抽出物;(b)前記化合物が、ラクトン、ラクタム、カルバマート、カルボン酸及び/又はアミド化合物である1種以上の化合物或いは前記化合物を含む組成物、但し、前記化合物は、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカノラクトン、γ−ウンデカラクトン、N−シクロペンチルシンナムアミド、N−(trans−シンナモイル)ピロリジン、N−(trans−シンナモイル)ピペリジン及びN−(trans−シンナモイル)ヘキサメチレンイミン、4−ヒドロキシドデカン酸及びドデカン酸ではなく、かつ前記組成物は、プセウドモナス培養物、抽出物又は懸濁物ではない;(c)請求項1に記載の1種以上の化合物;(d)HPLCによりプセウドモナス種細胞懸濁物から入手できる、約45〜50分という保持時間を有する、10mL/分の流速及び210nmのUV検出の水:アセトニトリル溶媒系(0〜10分;35−45%水性CHCN、10〜20分;45−60%水性CHCN、20〜50分;60−85%水性CHCN、50〜60分;85−100%水性CHCN、60〜70分;100%CHCN)による画分を含む組成物であって、(i)腹足綱及び双殻綱のメンバーに対して毒性があり、(b)LC/MSで測定したときに、約630〜660及び約970〜1000という分子量を有する少なくとも2種の化合物を前記軟体動物を防除するのに有効な量で含む組成物のうちの少なくとも1つを導入することを含む方法。
【請求項10】
前記軟体動物が、前記軟体動物において死を誘導することにより防除される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記場所に導入される前記化合物が、ラクトン、ラクタム、カルバマート、カルボン酸及び/又はアミドであり、かつ前記化合物が、
(a)第I族、ここで、第I族の化合物は以下の化学構造:
【化1】

式中
Xは炭素であり、Yは酸素であり、A及びMは、炭素、酸素、窒素、硫黄であり、かつnは1〜21であり、
(R)zは環上の基R上の置換基の数の数Zを表し、ここで、R及びR上の置換基は、水素、ヒドロキシル基、アルキルヒドロキシル基、アルケニルヒドロキシル基、アルキニルヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロシクリル基、ヘテロアリール基、芳香族基、アリール基、NH−置換基、及びN,N−置換基からなる群から選択され、R鎖の長さは、1〜25原子であり、かつZは、0、1、2、3である、を有する
(b)第II族、ここで、第II族の化合物は以下の化学構造:
【化2】

式中、
Xは炭素であり、Yは酸素であり、A、B及びMは、炭素、酸素、窒素及び硫黄であり、
(R)zは、環上の基R上の置換基の数の数Zを表し、R及びR上の置換基は、水素、ヒドロキシル基、アルキルヒドロキシル基、アルケニルヒドロキシル基、アルキニルヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロシクリル基、芳香族基、アリール基、NH−置換基、及びN,N−置換基からなる群から選択され、R鎖の長さは、1〜25原子であり、かつZは、0、1、2、3である、を有する
(c)第III族、ここで、第III族の化合物は以下の化学構造:
【化3】

式中、
Xは炭素であり、Yは酸素であり、Zは、水素、ヒドロキシル基、アルケニルヒドロキシル基、アルキニルヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロシクリル基、芳香族基、アリール基、NH−置換基、又はN,N−置換基であり、
Rは、長さ1〜50原子のアルケニルヒドロキシル基、アルキニルヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロシクリル基、芳香族基、アリール基、NH−置換基、又はN,N−置換基である、を有する
からなる群から選択される化合物族のメンバーである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、以下の構造:
【化4】

式中、
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロシクリル基、芳香族基、アリール基、NH−置換基、又はN,N−置換基であり、ここで、R鎖の長さは、4〜20原子であり、
及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、芳香族、アリールアルキル、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールであるか、或いはR+R+NはN含有複素環部分であることができ、
+R+NがN含有複素環部分であるとき、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロシクリル基、NH−置換基、又はN,N−置換基である
を有するサルメンチン類似体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物がラクトンであり、かつ5員γ−ラクトンである少なくとも1つのラクトン部分と少なくとも1つの不飽和部分と少なくとも1つアルコール基とを含む水酸化不飽和脂肪酸ラクトン構造と、コア構造中の285〜約310の分子量と、少なくとも15個の炭素と少なくとも3個の酸素とを有し、かつ前記化合物が、構造
【化5】

式中、Xは、各々独立に、−−O、−−NR、又はSであり、ここで、Rは、−−H又はC−Cアルキルであり、n=0〜15であり、R〜Rは、各々独立に、−−H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルであり、m=二重結合又は三重結合である
を任意に有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、少なくとも1つのカルボン酸部分と少なくとも1つの不飽和部分と少なくとも1つアルコール基とを含む水酸化不飽和脂肪酸構造と、コア構造中の285〜約310の分子量と、少なくとも15個の炭素と少なくとも3個の酸素とを有し、前記化合物が、構造
【化6】

式中、Xは、各々独立に、−−OH、−−NR、又はSであり、ここで、Rは、−−H又はC−Cアルキルであり、n=0〜15であり、R〜Rは、各々独立に、−−H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル,置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、−−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバマート、スルホニル、スルホンアミド、又はスルフリルであり、m=二重結合、三重結合である
を任意に有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、
(a)図1に示す化合物と
(b)γ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、ピリフェロリドA及びα−ヘプチル−γ−ブチロラクトンからなる群から選択されるラクトンと
(c)N−シクロペンチルデカンアミド、N−(デカノイル)ピロリジン、N−(デカノイル)ピペリジン、N−(デカノイル)ヘキサメチレンイミン、N−シクロペンチルデセンアミド、N−(デセノイル)ピロリジン、N−(デセノイル)ピペリジン、N−(デセノイル)ヘキサメチレンイミン及びN−(デセノイル)ピペリジンからなる群から選択されるサルメンチン類似体と
(d)11−ヒドロキシ−12−エン−オクタデカン酸と
からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
1種以上の軟体動物を防除するための方法であって、防除が望ましい場所に前記軟体動物を防除するのに有効な量で物質及び1以上の不活性材料を導入することを含み、ここで、軟体動物を防除するための前記物質は任意に、未処理の対照と比べて前記軟体動物を少なくとも約20%死亡させる量で存在し、かつ前記不活性材料は、軟体動物を防除するための前記物質の死亡率を少なくとも約20%増加させるのに十分な量で存在し、ここで、前記場所は液体であり、ここで、前記液体は水塊又は塗料であるか、或いは前記場所は、プラスチック、コンクリート、木材、ガラス繊維、鉄やポリ塩化ビニルでできたパイプ、コーティング材及び/又は塗料で覆われた表面からなる群から選択される固体表面である、方法。
【請求項17】
軟体動物を防除するための1以上の物質の効力を増大させるための方法であって、防除が望ましい場所に、前記場所に導入されたときに前記物質の効力を増大させるのに有効な量で1以上の不活性材料を導入することを含み、ここで、前記不活性材料は任意に、前記物質の効力を少なくとも約20%増大させ、かつ前記不活性材料は任意に、粘土鉱物に由来する、方法。
【請求項18】
前記不活性材料が、カオリナイト、スメクタイト、アタパルジャイト又は前述のものの組合せである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
防除が望ましい場所で1種以上の軟体動物を防除する及び/又は1種以上の軟体動物において死を誘導するための組成物であって、1以上のラクトン、ラクタム、カルバマート、カルボン酸及び/又はアミドを含み、この場合も但し、前記化合物は、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカノラクトン、γ−ウンデカラクトン、N−シクロペンチルシンナムアミド、N−(trans−シンナモイル)ピロリジン、N−(trans−シンナモイル)ピペリジン及びN−(trans−シンナモイル)ヘキサメチレンイミン、4−ヒドロキシデカン酸及びデカン酸ではなく、かつ前記組成物は、プセウドモナス培養物、抽出物又は懸濁物ではない、組成物。
【請求項20】
1種以上の軟体動物を防除するための方法であって、(a)エルウィニア属の1種の細胞由来の細胞懸濁物又は抽出物を調製する工程と、(b)前記懸濁物又は抽出物を防除が望ましい場所に前記軟体動物を防除するのに有効な量で導入する工程とを含む方法。
【請求項21】
塗料担体中に抗増殖性の(antivegetative)、殺生物有効量の請求項1に記載の化合物、請求項6〜7に記載の組成物、請求項19に記載の組成物を含む防汚塗料。
【請求項22】
軟体動物を防除するための組成物及び/又は防汚塗料の処方における請求項1に記載の化合物又は請求項6〜7の組成物、請求項19に記載の組成物の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−524084(P2012−524084A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506005(P2012−506005)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/031746
【国際公開番号】WO2010/123894
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(510022440)マローネ  バイオ イノベーションズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】