転写装置および転写方法
【課題】型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置において、簡素な構成で、転写不良の発生を防止する。
【解決手段】被成型品Wに、型Mに形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置3であって、水平方向を向いていて仮組立体TAが面接触する平面である設置面33を備えた設置体13と、設置面33から水平方向に突出し、仮組立体TAの中央貫通孔に嵌まることで、仮組立体が重力で落下することを防止する支持体27と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、支持体が仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで仮組立体の落下を防止しているときに、仮組立体が嵌まっている位置よりも支持体の先端側に仮組立体と並んで嵌まることで、支持体からの仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体18と、設置面と平行に対向し、仮組立体の他方の面を外れ防止体を介して押圧するための押圧体15とを有する。
【解決手段】被成型品Wに、型Mに形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置3であって、水平方向を向いていて仮組立体TAが面接触する平面である設置面33を備えた設置体13と、設置面33から水平方向に突出し、仮組立体TAの中央貫通孔に嵌まることで、仮組立体が重力で落下することを防止する支持体27と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、支持体が仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで仮組立体の落下を防止しているときに、仮組立体が嵌まっている位置よりも支持体の先端側に仮組立体と並んで嵌まることで、支持体からの仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体18と、設置面と平行に対向し、仮組立体の他方の面を外れ防止体を介して押圧するための押圧体15とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置および転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子線描画法などで石英基板等に超微細な転写パターンを形成して型(モールド)を作製し、被成型品として被転写基板表面に形成されたレジスト膜に前記型を所定の圧力で押圧して、当該型に形成された転写パターンを転写するナノインプリント技術が研究開発されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0003】
従来、ナノインプリントを行う転写装置(型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写するための転写装置)として、被成型品を保持する被成型品保持体と、この被成型品保持体に対して接近・離反する方向で移動すると共に型を保持する型保持体とを備えて構成されたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−297716号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Precision Engineering Journal of the International Societies for Precision Engineering and Nanotechnology 25(2001) 192-199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでは、転写はたとえばクリーンルーム内で行われるのであるが、従来の転写では、下方に被成型品を配置し上方に型を配置しているので、型と被成型品との間の空気中に僅かに存在する微粒子が、重力によって被成型品上に落下し、転写される微細なパターンの形状が悪化する等の転写不良が発生するおそれがある。
【0007】
そこで、水平方向の一方の側に型を配置し他方の側に被成型品を配置して、空気中の微粒子による転写不良の発生を防止する対策を考えることができる。
【0008】
しかし、水平方向に型と被成型品とを配置した場合には、重力による型や被成型品そのものの落下を防止する必要がある。そこで、真空吸着やクランパによって、型や被成型品を型保持体や被成型品保持体で保持する必要がある。
【0009】
真空吸着で被成型品を保持する構成であると、被成型品の背面が面接触する被成型品保持体の平面に、真空吸着のための孔や溝を設けなければならない。このように孔や溝を設けると、転写をすべく型と被成型品とを押圧するときに、孔や溝に接触する被成型品の部位の転写の圧力が、溝が存在しない部位に比べてごく僅かであるが小さくなり、孔や溝に接触する被成型品の部位における押圧力が不足し、転写不良が発生するおそれがあるという問題がある。この問題は、真空吸着で被成型品を保持する場合だけでなく真空吸着で型を保持する場合にも同様に発生する問題である。
【0010】
また、クランパで型や被成型品を保持する構成であると、装置の構成が煩雑になると共に、薄い板状の被成型品に湾曲が生じて転写不良が発生するおそれがあるという問題がある。
【0011】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置、転写方法において、簡素な構成で、転写不良の発生を防止することができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、平板状の被成型品の一方の面に、平板状の型の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、水平方向を向いている所定の大きさの平面であって、前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する平面である設置面を備えた設置体と、前記設置面から水平方向に突出し、前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで仮組立体の落下を防止しているときに、前記仮組立体が嵌まっている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と、前記設置体の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備え、前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と協働して挟み込んで押圧する押圧体とを有することを特徴とする転写装置である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、平板状の被成型品の一方の面に、平板状の型の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する所定の大きさの平面である設置面を備えた治具における前記設置面が、水平方向を向くようにして、前記治具を設置する設置体と、前記治具に設けられ、前記設置面から突出し、前記仮組立体が設置された治具が前記設置体に設置されるときに、前記仮組立体の中央貫通孔に水平な姿勢で嵌まっていることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まっていることで前記仮組立体の重力による落下を防止するときに、前記仮組立体が嵌っている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まっていることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と、前記設置体に設置されている治具の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備えた押圧体と、を有し、前記治具を介して前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と前記押圧体とで協働して挟み込んで押圧するために、前記設置体が前記押圧体に対して相対的に移動位置決め自在に構成されていることを特徴とする転写装置である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に、平板状の第1の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写し、平板状の被成型品の厚さ方向の他方の面に、平板状の第2の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、前記第1の型、前記被成型品、前記第2の型がこの順で重なっている仮組立体を設置するときに、前記仮組立体の一方の面が面接触する所定の大きさの平面である設置面を備えた治具における前記設置面が、水平方向を向くようにして、前記治具を設置する設置体と、前記治具に設けられ、前記設置面から突出し、前記仮組立体が設置された治具が前記設置体に設置されるときに、前記仮組立体の中央貫通孔に水平な姿勢で嵌まっていることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まっていることで前記仮組立体の重力による落下を防止するときに、前記仮組立体が嵌っている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まっていることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と、前記設置体に設置されている治具の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備えた押圧体と、を有し、前記治具を介して前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と前記押圧体とで協働して挟み込んで押圧するために、前記設置体が前記押圧体に対して相対的に移動位置決め自在に構成されていることを特徴とする転写装置である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の転写装置であって、前記リング状の外れ防止体が、それに隣接する前記型と一体に形成されていることを特徴とする転写装置である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載の転写装置であって、前記リング状の外れ防止体の前記支持体に対する嵌合面の軸方向長さが前記支持体の直径以上に設定され、前記外れ防止体の前記支持体に対する嵌合隙間が前記仮組立体の支持体に対する嵌合隙間よりも大きく設定されていることを特徴とする転写装置である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の転写装置であって、前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まった状態の前記支持体の外周面の、前記仮組立体よりも外側に突出する位置に、その位置よりも先端側を前記外れ防止体に嵌まるように小径にするための段部が設けられ、一方、前記リング状の外れ防止体の、前記支持体に嵌ったときに前記仮組立体と隣接する側の内周端部に、前記段部との干渉を避ける環状の逃げ凹部が設けられていることを特徴とする転写装置である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の転写装置を用いてなされる前記被成型品への転写方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置、転写方法において、簡素な構成で、転写不良の発生を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る転写システム1の概略構成を示す平面図である。
【図2】被成型品Wの転写工程を含むHDD基板の製造工程を示す図である。
【図3】被成型品Wの転写工程を含むHDD基板の製造工程を示す図である。
【図4】転写装置3の概略構成を示す正面図である。
【図5】図4におけるV矢視図である。
【図6】図4におけるVI矢視図である。
【図7】図4におけるVII矢視図である。
【図8】図4におけるVIII−VIII矢視図である。
【図9】図5のIX部の拡大図である。
【図10】図4におけるX矢視図(拡大図)である。
【図11】図10の側面図である。
【図12】転写装置3の設置体13と押圧体15とを示した図である。
【図13】設置体13への治具17の設置動作を示す図である。
【図14】設置体13への治具17の設置動作を示す図である。
【図15】設置体13への治具17の設置動作を示す図である。
【図16】仮組立・分離ユニット7の正面図である。
【図17】仮組立・分離ユニット7の側面図である。
【図18】図16におけるXVIII矢視図である。
【図19】図16におけるXIX−XIX矢視図である。
【図20】仮組立・分離ユニット7の動作を示す図である。
【図21】仮組立・分離ユニット7の動作を示す図である。
【図22】仮組立・分離ユニット7の動作を示す図である。
【図23】仮組立・分離ユニット7の動作を示す図である。
【図24】1軸ロボット133の概略構成を示す図である。
【図25】1軸ロボット135の概略構成を示す図である。
【図26】円筒座標型ロボット137の側面図である。
【図27】円筒座標型ロボット137の平面図である。
【図28】円筒座標型ロボット137のクランパ149の概略構成を示す図である。
【図29】多関節ロボット159のクランパ31の概略構成を示す図である。
【図30】転写の形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る転写システム1の概略構成を示す平面図である。
【0022】
以下、説明の便宜のために、水平方向の一方向をX軸方向とし、水平方向の他の一方向であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とし、鉛直方向をZ軸方向とする。
【0023】
転写システム1は、クリーンルーム内に設置されて、複数枚の被成型品Wに枚葉で、微細な転写パターンを転写するものであり、転写装置3と、微細な転写パターンが転写される前の被成型品(被転写素材)Wと微細な転写パターンが転写された後の被成型品Wとを格納する被成型品ストッカ5と、型Mと被成型品Wとを仮組み立てしたり分離したりする仮組立・分離ユニット7と、被成型品ストッカ5と仮組立・分離ユニット7との間で被成型品Wを搬送する被成型品搬送手段9と、仮組立・分離ユニット7と転写装置3との間で、仮組立された型Mと被成型品W(仮組立体TA)とを搬送する仮組立体搬送手段11と、後述する外れ防止体18の装着や取り外しを行うロボット12とを備えて構成されている。
【0024】
ここで、転写システム1(転写装置3)で転写がされる被成型品W等について、例を掲げて詳しく説明する。
【0025】
図2、図3は、被成型品W2(被成型品W)の転写工程を含むHDD基板の製造工程を示す図である。
【0026】
被成型品W2は、たとえば、トラックビットを有するディスクリートメディアHDD基板のもとになるものである。図2(a)には、転写前の被成型品W2等が示されている。図2(b)には、転写をすべく各型MA、MB(各型M)で被成型品W2を挟み込んでいるときの、被成型品W2等が示されている。図3(c)には、転写後の被成型品W2等が示されている。
【0027】
転写前の被成型品W2は、図2(a)に示すように、たとえば、直径2.5インチの平板状のガラスディスク基板W1の厚さ方向の両面に、厚さ約30nmのパラジウム(Pd)下地層と厚さ約50nmの垂直磁気記録材料コバルト・クロム白金(CoCrPt)を堆積して磁性層W3A、W3Bを形成し、さらに各磁性層W3A、W3B上に厚さ約50nmのSiO2膜W5A、W5Bを堆積してあり、各SiO2膜W5A、W5Bの上に各レジスト膜W7A、W7Bをたとえばスピンコートにより塗布してある。
【0028】
詳しくは後述するが、転写装置3を用いて、図2(a)に示す転写前の被成型品W2に、型Mに形成されている微細な転写パターン(微細な凹凸で形成されている転写パターン)が転写される(図2(b)参照)。
【0029】
転写後の被成型品W2は、図3(c)に示すように、各レジスト膜W7A、W7Bの表面に各型MA、MBの微細な凹凸パターンが転写されている。なお、レジスト膜W7A、W7Bとして、紫外線硬化樹脂(UV樹脂)、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を採用することができ、図2(a)に示す状態では、レジスト膜W7A、W7Bは硬化しておらず、図2(b)に示す転写の際に硬化するようになっている。
【0030】
続いて、図3(d)に示すように、各磁性層W3A、W3Bをパターニングする。具体的には、微細な凹凸を転写した各レジスト膜W7A、W7Bをマスクとして、RIE(Reactive Ion Etching)により各磁性層W3A、W3Bの表面に達するまでSiO2膜W5A、W5BをエッチングしてSiO2膜にパターンを転写し、さらに、このパターンを利用して磁性層W3A、W3Bをエッチングする。このようにして形成された溝領域が分離領域となる。また、パターニングされた各磁性層W3A、W3Bが記録トラック帯を形成する。
【0031】
続いて、図3(e)に示したように、基板全面に厚さ約50nmのSiO2膜W9A、W9Bを成膜して各磁性層W3A、W3Bの溝部分を埋め込んで分離領域を形成する。その後、SiO2膜W9A、W9Bの表面をケミカルメカニカルポリッシング(CMP)により研磨して平坦化する。そして、全面に保護膜W11A、W11Bとしてダイアモンドライクカーボンを成膜することにより、図3(f)に表したように磁気記録媒体(HDD基板)WPが得られる。
【0032】
なお、転写システム1(転写装置3)は、図2、図3に示す製造工程のうちで、図2(a)、図2(b)、図3(c)の工程を担当するものである。また、図2や図3では明らかでないが、被成型品W、各型M(MA、MB)は、中央部に円形状の中央貫通孔を有する薄い円板状に形成されている。
【0033】
次に、転写装置3について詳しく説明する。
【0034】
図4は、転写装置3の概略構成を示す正面図であり、図5は、図4におけるV矢視図であり、図6は、図4におけるVI矢視図であり、図7は、図4におけるVII矢視図であり、図8は、図4におけるVIII−VIII矢視図であり、図9は、図5のIX部の拡大図である。
【0035】
図10は、図4におけるX矢視図(拡大図)であり、図11は、図10の側面図であり、図12は、転写装置3の設置体13と押圧体15とを示した図である。なお、図9等で示す設置体13には、型M(MA,MB)と被成型品Wとで構成された仮組立体TAが設置された治具17が設置されている。
【0036】
転写装置3は、たとえば、円形平板状の被成型品Wの厚さ方向の一方の面に、円形平板状の第1の型MAの厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写し、円形平板状の被成型品Wの厚さ方向の他方の面に、円形平板状の第2の型MBの厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する装置であり、治具17が着脱自在に設置される設置体13と、設置体13に対向する押圧体15とを備えて構成されている。
【0037】
治具17は、図9で示すように、本体部材19と支持体構成部材21とを備えて一体的に構成されている。これにより、治具17は、所定の厚さを備えた円板状の基端部23と、所定の厚さを備えた円板状の先端部25と、円柱状(ピン状)の支持体27とで構成されている。基端部23、先端部25、支持体27は同軸で配置されており、基端部23、先端部25、支持体27の順につながっている。基端部23の外径は先端部25の外径よりも大きくなっており、支持体27の外径は先端部25の外径よりも小さくなっている。
【0038】
基端部23側の先端部25の部位の外周には、リング状の凹部(被把持部)29が形成されており、仮組立体搬送手段11で仮組立体TAが設置されている治具17を搬送するときに、仮組立体搬送手段11のハンド31が被把持部29に係合し(図13、図14、図29参照)、仮組立体TAが設置されている治具17を把持するようになっている。なお、治具17を、本体部材19と支持体構成部材21とのように別体で構成することなく、一体で構成してあってもよい。
【0039】
仮組立体TAは、型MA、被成型品W、型MBが、これらの厚さ方向で、この順で重なっているものである。より詳しくは、仮組立体TAでは、微細な転写パターンが形成されている型MAの厚さ方向の一方の面と、微細な転写パターンが転写される被成型品Wの厚さ方向の一方の面とが、お互いに面接触して重なっており、微細な転写パターンが形成されている型MBの厚さ方向の一方の面と、微細な転写パターンが転写される被成型品Wの厚さ方向の他方の面とが、お互いに面接触して重なっている。そして、仮組立体TAは、中心貫通孔を有する円形平板状に形成されている(図9、図12等参照)。
【0040】
治具17には、所定の大きさの円形状の設置面33が形成されている。設置面33は、先端部25の平面(厚さ方向の端面)で構成されている。治具17に仮組立体TAを設置するときに、仮組立体TAの厚さ方向の一方の面が設置面33に面接触するようになっている。より詳しく説明すると、治具17に仮組立体TAを設置する場合、仮組立体TAにおける型MBの背面(型MBの厚さ方向の、微細な転写パターンが形成されていない他方の面)の全面(微細な転写パターンが形成されている面に対応した型MBの背面の全面)が面接触するようになっている。
【0041】
また、設置面33には、仮組立体TAを保持するための真空吸着等に使用する溝や孔が一切設けられておらず、ごく僅かな加工誤差等を無視すれば、設置面33は完全に平らな平面になっている。
【0042】
支持体27は、すでに理解されるように、設置面33の中央部から垂直に突出するように治具17に設けられている。支持体27は、仮組立体TAが治具17に設置されるとき(設置された後も含む)に、また、仮組立体TAが設置された治具17が設置体13に設置されるとき(設置された後も含む)に、仮組立体TAの中心貫通孔に予め嵌まっていることで、仮組立体TAが重力で落下することを防止するためのものである。また、支持体27は、仮組立体TAが治具17に設置されたとき等に、設置面33の展開方向(たとえば図9に示すY軸方向)で、設置面33に対する仮組立体TAの位置決めをするためのものである。
【0043】
また、支持体27の仮組立体TAが嵌まっている位置よりも先端側には、前記仮組立体TAと並んで、リング状の外れ防止体18が嵌まるようになっている。この外れ防止体18は、支持体27が仮組立体TAの中央貫通孔に嵌まることで仮組立体TAの落下を防止しているときに、仮組立体TAが嵌まっている位置よりも支持体27の先端側に仮組立体TAと並んで嵌まることで、支持体27からの仮組立体TAの外れを防止するためのものである。より詳しくは、仮組立体TAが斜めに傾いてしまうことを防止するためのものである。そこで、支持体27の設置面33からの突出長さは、このように外れ防止体18が支持体27の先端側に嵌まった状態のときに、先端が外れ防止体18よりも外に突き出るような延長した寸法に設定されている。
【0044】
リング状の外れ防止体18は、仮組立体TAよりも十分に大きな厚みと重量を持つものとして構成されており、所定の大きさの両端面が軸方向に垂直な平面に形成されている。また、仮組立体TAよりも厚みが十分に大きくなっていることで、外れ防止体18の支持体27に対する嵌合面の軸方向長さが、支持体27の直径以上となるように設定されている。
【0045】
また、図12に示すように、仮組立体TAを設置面33に面接触させて設置したときに、仮組立体TAの中央貫通孔に嵌まった状態の支持体27の外周面の、仮組立体TAよりも外側に突出する位置には、その位置よりも先端側を外れ防止体18に嵌まるように小径にするための段部27aが設けられている。一方、リング状の外れ防止体18の、支持体27に嵌ったときに仮組立体TAと隣接する側の内周面18aの端部には、支持体27側の段部27aとの干渉を避ける環状の逃げ凹部18bが設けられている。そして、仮組立体TAや外れ防止体18をピン状の支持体27の外周に嵌めたときに、外れ防止体18の支持体27に対する嵌合隙間が、仮組立体TAの支持体27に対する嵌合隙間よりも大きくなるように設定されている。
【0046】
設置体13は、基端部側に円板状の鍔部35を備えた円柱状に形成されている。そして、鍔部35が転写装置3の移動体37に支持されている。設置体13の先端部には、円柱状の凹部39が設けられており、この凹部39の側面と底面(Y軸方向に展開している平面)とに、治具17の基端部23が嵌合し(嵌り込み)、クランパ41(図10、図11参照)で治具17がクランプされることによって、設置体13の所定の位置で治具17が一体的に設置されるようになっている。このようにして、設置体13に設置された治具17の設置面33は、水平方向を向いている。すなわち、平面状の設置面33に対して直交する直線を想定した場合、この想定した直線が水平方向に延びている。
【0047】
押圧体15は、図9で示すように、基端部側に円板状の鍔部43を備えた円柱状に形成されている。押圧体15の先端には、仮組立体TAの他方の面(型MBの背面)側に配置される外れ防止体18の端面に面接触する平面である押圧面45が設けられている。押圧面45は、設置体13に設置されている治具17の設置面33と平行で対向している所定の大きさの平面になっている。この押圧面45や外れ支持体18の両端面には、型MBを真空吸着等するための溝や孔が一切設けられておらず、加工誤差等を無視すれば完全に平らな平面になっている。
【0048】
そして、治具17を介して設置体13に設置されている仮組立体TAを、設置体13と押圧体15とで協働して挟み込んで押圧するために(図15参照)、押圧体15に接近・離反する方向(X軸方向)で、設置体13が押圧体15に対して相対的に移動位置決め自在になっている。なお、すでに理解されるように、設置体13と押圧体15とで仮組立体TAを挟み込んで押圧するときには、仮組立体TAの厚さ方向の一方の面(型MAの背面)が設置面33に面接触しており、仮組立体TAの厚さ方向の他方の面(型MBの背面)が外れ防止体18の一方の端面に面接触している。また、押圧体15の押圧面45の中央には、上記押圧をするときに支持体27の先端が入り込む孔47が設けられている。支持体27の外径は、孔47の内径よりも僅かに小さくなっている。
【0049】
押圧体15には、空気経路(貫通孔)49が設けられており、空気経路49の一端部は、孔47の底部に通じている。そして、空気経路49の他端部は、図示しないフィルタと図示しない真空ポンプ等の負圧発生装置とがつながっており、設置体13と押圧体15とで仮組立体TAおよび外れ防止体18を挟み込んで押圧するときに、孔47内の空気を吸引して、孔47内にごく僅かに存在する微粒子を除去するようになっている。
【0050】
また、同様にして、設置体13にも、空気経路(貫通孔)51が設けられており、治具17を設置体13に設置するときに、凹部39内の空気を吸引して、凹部39の側面と治具17の基端部23の側面との接触によってごく僅か発生する微粒子、もしくは、もともと凹部39内にごく僅か存在する微粒子を除去するようになっている。
【0051】
設置体13は、ロードセル53を介して移動体37に支持されている。そして、治具17に設置されている仮組立体TAを、設置体13と押圧体15とで協働して挟み込んで押圧するときの押圧力をロードセル53で測定し、制御装置55(図1)の制御の下、ロードセル53の検出結果に応じて、押圧体15(設置体13)による押圧力が予め定められている所定の押圧力になるような制御をするようになっている。
【0052】
また、仮組立体TAが設置された治具17が設置体13に設置されたときに、仮組立体TAと治具17と設置体13との重量による回転モーメントで、ロードセル53の起歪体(起歪部)58に歪が発生するが、転写装置3には、上記歪を低減するための歪低減手段56が設けられている。
【0053】
例を掲げて詳しく説明すると、ロードセル53は、たとえば、中央部に円形状の貫通孔54を備え所定の厚さで円板状に形成された本体部57を備えて構成されており、本体部57の半径方向の中間部には円環状の凹部59が形成されている。この凹部59が形成されていることにより、本体部57は、円環状の中央部61と、この中央部61の外側に位置している円環状の起歪部58と、この起歪部58の外側に位置している円環状の外周部63とに分かれている。
【0054】
中央部61は、スペーサ66を介して設置体13に一体的に設けられており、外周部63は、移動体37に一体的に設けられている。起歪部58には、歪ゲージ(図示せず)が設けられている。そして、図9で右方向の力が設置体13にかかったときに、起歪部58に歪が発生し、設置体13と押圧体15とによる仮組立体TAの押圧力を測定することができるようになっている。
【0055】
また、設置体13の基端部の中央には、円柱状のガイド部材65が一体的に設けられている。ガイド部材65は、たとえば、滑り対偶をなして円筒状のガイド部材支持体67に係合しており、円筒状のガイド部材支持体67に対して、ガイド部材65が、がたつきのほとんど無い状態で、X軸方向に移動可能になっている。すなわち、ガイド部材65の外径は、ガイド部材支持体67の内径に対して、ごく僅かに小さくなっている。円筒状のガイド部材支持体67は、詳しくは後述する移動体37に一体的に設けられている。これにより、仮組立体TAと治具17と設置体13との重量による回転モーメントを、ガイド部材65と円筒状のガイド部材支持体67とで受けることができ、ロードセル53の起歪部58に発生する歪(初期歪)を低減することができるようになっている。
【0056】
なお、ガイド部材65、ガイド部材支持体67は、本体部57の中央に設けられている貫通孔54内に位置しており、ロードセル53、スペーサ65は、移動体37に形成されている凹部69内に位置している。また、円筒状のガイド部材支持体67として、ガイド部材65に対してころがり対偶をなすリニアガイドベアリングを採用してもよい。この場合、円筒状のガイド部材支持体67に係合しているガイド部材65に、径方向の与圧がかかっていることが望ましい。
【0057】
また、転写装置3には、押圧体15の押圧面45の中央部を、設置体13に設置されている治具17側にごく僅かに凸に弾性変形させる押圧面変形手段71が設けられている。
【0058】
具体的には、押圧体15は、この基端部が詳しくは後述する押圧体支持体74に一体的に設けられている。押圧体支持体74には、凹部73が設けられており、凹部73内には、ピエゾ素子75等で構成されているアクチュエータが設置されている。ピエゾ素子75は、制御装置55の制御の下、X軸方向に伸縮するようになっている。ピエゾ素子75のX軸方向における一端部は、凹部73の底部に接触しており、ピエゾ素子75のX軸方向における他端部は、押圧体15の基端部の中央部に接触している。そして、ピエゾ素子75に電圧が印加されていない図9に示す状態では、ピエゾ素子75の長さ(X軸方向の長さ)と凹部73の深さとがお互いに一致しているが、ピエゾ素子75に電圧を印加すると、ピエゾ素子75が印加した電圧の値に応じて伸び、押圧面45の中央部が適宜凸状に弾性変形するようになっている。
【0059】
ここで、転写装置3の他の部位について詳しく説明する。
【0060】
転写装置3は、図4に示すように、ベース体77を備えて構成されている。X軸方向におけるベース体77の一端部には、スペーサ79を介して押圧体支持体74が一体的に設けられている。
【0061】
X軸方向におけるベース体77の他端部には、移動体支持体81が設けられている。X軸方向におけるベース体77の中間部には、移動体37が設けられている。押圧体支持体74と移動体支持体81とは、X軸方向に延びている4本のタイロッド83でお互いが連結されている。
【0062】
X軸方向から見ると、(図6、図7、図8に示すように)押圧体支持体74と移動体37と移動体支持体81とは、矩形状に形成されてお互いがほぼ重なっている。4本のタイロッド83は、押圧体支持体74や移動体支持体81の4隅の近傍に設けられており、移動体37の4隅の近傍には、各タイロッド83が通過している貫通孔85が設けられている。したがって、各タイロッド83と移動体37とは、お互いが非接触の状態になっている。
【0063】
移動体支持体81は、スペーサ87とリニアガイドベアリング89とを介して、ベース体77に支持されている。したがって、被成型品Wへの転写の際の押圧力の印加や除去でタイロッド83がX軸方向に僅かに伸縮した場合、この伸縮に応じて、移動体支持体81が、ベース体77に対してX軸方向で移動するようになっている。
【0064】
移動体37は、リニアガイドベアリング91を介してベース体77に支持されている。また、移動体37が、ボールねじ93を介して移動体支持体81に支持されている。そして、制御装置55の制御の下、サーボモータ95等のアクチュエータにより、移動体37が、移動体支持体81(ベース体77)に対して、X軸方向で移動位置決め自在になっている。
【0065】
さらに説明すると、図5に示すように、X軸方向に延びているボールねじ93のねじ軸97の一端部が、移動体37に一体的に設けられている。なお、ボールねじ93は、移動体支持体81に設けられている貫通孔105の内部を通っている。X軸方向におけるねじ軸97の中間部には、ナット99が係合している。ナット99のX軸方向における他端部には、円筒状でカップ状に形成されている連結部材101が一体的に設けられている。X軸方向における連結部材101の他端部(ナット99とは反対側の端部)は、カップリング103を介してサーボモータ95の回転出力軸に連結されている。
【0066】
連結部材101は、ベアリング107を介して、円筒状のベアリング支持体109に回転自在に支持されている。ベアリング支持体109は、移動体支持体81に一体的に設けられている。サーボモータ95の筐体は、サーボモータ支持体111を介して移動体支持体81に一体的に設けられている。
【0067】
なお、押圧体支持体74と移動体37と移動体支持体81との中心軸(X軸方向に延びている中心軸)CL1と、設置体13の中心軸、設置体13に設置された治具17の中心軸、押圧体15の中心軸、ボールねじ93の中心軸とは、お互いが一致している。
【0068】
ベース体77は、図4に示すように、Y軸方向で軸CL1の下方に位置している。設置体13と押圧体15とで仮組立体TAを押圧するときに加わる力を考慮して、移動体支持体81のリニアガイドベアリング89は、Y軸方向で軸CL1とほぼ一致するところに設けられている。一方、移動体37のリニアガイドベアリング91は、Y軸方向で軸CL1の下方に設けられている。
【0069】
これにより、図5に示すように、Y軸方向から見ると、ベース体77やタイロッド83に邪魔されることなく、設置体13が上方から覗けるようになっており、仮組立体搬送手段11による、治具(仮組立体TAが設置されている治具)17の設置体13への設置(ローディング)や、設置体13からの搬出(アンローディング)が容易になっている。なお、図4の参照符号GLは、水平な床面を示している。
【0070】
クランパ41は、図8、図10、図11に示すように、設置体13の上方と、設置体13の下方とに設けられている。クランパ41は、軸部115と、この軸部115の先端部で軸部115に一体的に設けられた爪部117とを備えている。軸部115は、移動体37に対して、X軸方向で移動自在になっていると共にU軸に平行な軸を回動中心にして、たとえば、90°の角度回動するようになっている。
【0071】
そして、治具17を設置する前においては、爪部117(軸部115)が、図10、図11に示すPS1の位置に退避している。仮組立体搬送手段11で治具17が設置体13に設置されたとき、軸部115(爪部117)が、PS2の位置まで延出し、爪部117が90°回動し(PS3の位置参照)、この後、軸部115(爪部117)が、設置体13側に引っ込み、爪部117が設置体13の鍔部35を押して、治具17のクランプがされるようになっている(PS4の位置参照)。
【0072】
なお、上述した各クランパ41の動作は、制御装置55の制御の下、たとえば、図示しないロボットシリンダ等のアクチュエータでなされるようになっている。
【0073】
次に、仮組立・分離ユニット7について説明する。
【0074】
図16は、仮組立・分離ユニット7の正面図であり、図17は、仮組立・分離ユニット7の側面図であり、図18は、図16におけるXVIII矢視図であり、図19は、図16におけるXIX−XIX矢視図である。
【0075】
仮組立・分離ユニット7は、各型MA,MBと微細な転写パターンが転写される前の被成型品Wとで仮組立体TAを生成し、また、各型MA,MBと微細な転写パターンが転写された被成型品Wとで構成されている仮組立体TAを各型MA,MBと被成型品Wとに分離する装置である。
【0076】
仮組立・分離ユニット7は、治具17を保持自在な治具保持体119と、治具保持体119の上方に設けられ下面で型MBを保持自在である型保持体121とを備えて構成されており、治具保持体119が、型保持体121に接近離反する方向(Z軸方向)で型保持体121に対して相対的に移動位置決め自在になっている。
【0077】
さらに、説明すると、仮組立・分離ユニット7は、ベース体123を備えており、治具保持体119が、リニアガイドベアリング125を介して、高さ方向におけるベース体123の中間部でベース体123に支持されている。また、治具保持体119は、サーボモータ126等のアクチュエータとボールねじ129とにより、制御装置55の制御の下、Z軸方向で移動位置決め自在になっている。
【0078】
治具保持体119の上側の部位127は、前述した転写装置3の設置体13と同様に構成されており、この上方で位置決め設置された治具17をクランパ41によって保持することができるようになっている。
【0079】
型保持体121は、ベース体123の上方でベース体123に一体的に設けられている。型保持体121の下側の部位131は、前述した転写装置3の押圧体15と同様に構成されている。ただし、下側の部位131には、型MBを真空吸着するための空気経路132が設けられており、下側の部位131の平面状の下面に型MBの背面(上面)を接触させ真空吸着で型MBを保持するようになっている。
【0080】
そして、治具保持体119が下方に位置して型保持体121から離れており、治具保持体119が型MAを設置してある治具17を保持しており、型保持体121が型MBを保持している状態で、転写がされる前の被成型品Wを型MAの上に重ねて設置し、被成型品Wが型MBに接触するまで治具保持体119を上昇し、型保持体121による型MBの保持を解除し、治具保持体119を下方に移動することにより、治具17の上に、型MAと被成型品Wと型MBとが重なった仮組立体TAが設置されるようになっている。
【0081】
次に、治具17に設置された仮組立体TAの上側に対して、外れ防止体18を装着したり取り外したりするロボット12について説明する。このロボット12は、図1において矢印で簡略化して示すように、まず、仮組立体TAの組立時に邪魔にならない位置に退避していたリング状の外れ防止体18を把持して、治具17上に組まれた仮組立体TAの上に載せ支持体27に嵌める役割をする。また、分離時には、転写作業済みの仮組立体TAの上側に載った状態の外れ防止体18を把持して持ち上げ、再び次の仮組立体TAの組立の邪魔にならない位置まで退避させる役割をする。
【0082】
なお、転写がされる前の被成型品Wは、被成型品搬送手段9によって、ストッカ5から搬送されてくるようになっている。また、型MAと被成型品Wと型MBとが重ねられて設置された治具17は、治具保持体119のクランパ41による保持が解除された後、仮組立体搬送手段11によって転写装置3まで搬送され転写装置3の設置体13に設置されるようになっている。
【0083】
また、転写装置3で転写がされた被成型品Wを含む仮組立体TAが設置されている治具17が、仮組立体搬送手段11により搬出されて仮組立・分離ユニット7の治具保持体119に設置されるようになっている。
【0084】
この後、治具17をクランパ41で保持し、治具保持体119を上昇し型保持体121を型MBに接触させ、型MBを真空吸着で保持し、治具保持体119を下降することにより、型MBが組立体TAから分離されるようになっている。
【0085】
この状態では、型MAと転写がされた被成型品Wとは、治具17と共に治具保持体119に設置されている。この後、転写がされた被成型品Wが、被成型品搬送手段9によって、ストッカ5まで搬送されるようになっている。
【0086】
次に、ストッカ5について説明する。
【0087】
ストッカ5は、図1に示すように、転写がされる前の被成型品Wを格納するストッカ5Aと、転写がされた後の被成型品Wを格納するストッカ5Bとで構成されている。ストッカ5Aは、複数の円板状の被成型品Wを、これらの厚さ方向が上下方向になるようにして、また、各被成型品Wが上下方向で所定の間隔をあけて並ぶようにして、格納することができる構成である。ストッカ5Bもストッカ5Aと同様に構成されている。
【0088】
次に、被成型品搬送手段9について詳しく説明する。
【0089】
被成型品搬送手段9は、たとえば、1軸ロボットで構成された第1の被成型品搬送手段133と、1軸ロボットで構成された第2の被成型品搬送手段135と、円筒座標型ロボットで構成された第3の被成型品搬送手段137とを備えて構成されている。
【0090】
1軸ロボット133は、転写前被成型品用のストッカ5Aと、円筒座標型ロボット137との間で転写前の被成型品Wを搬送するものであり、1軸ロボット135は、円筒座標型ロボット137と転写後被成型品用のストッカ5Bとの間で転写後の被成型品Wを搬送するものである。円筒座標型ロボット137は、各一軸ロボット133,135と、仮組立・分離ユニット7との間で、被成型品Wを搬送するものである。
【0091】
図24(図24(a)は1軸ロボット133の平面図、図24(b)は1軸ロボット133の側面図)に示すように、第1の被成型品搬送手段(1軸ロボット)133は、筐体139と、筐体に対してY軸方向で移動位置決め自在な移動体141とを備えて構成されている。移動体141の先端部には、クランパ143が設けられており、このクランパ143によって、円板状の被成型品Wをクランプし、Y軸方向で搬送するようになっている。クランパ143によるクランプは、被成型品Wの円弧状の外周部を上下方向で把持してなされるようになっている。ストッカ5Aの筐体は、上下方向で移動位置決め自在になっており、ストッカ5Aに格納されている各成型品Wを1枚ずつ、1軸ロボット133で、搬出することができるようになっている。なお、第2の被成型品搬送手段(1軸ロボット)135(図25参照)も、移動体141の移動ストロークが異なっている点を除いて1軸ロボット133と同様に構成されている。
【0092】
図26(円筒座標型ロボット137の側面図)や図27(円筒座標型ロボット137の平面図;図26におけるXXVII矢視図)に示すように、第3の被成型品搬送手段(円筒座標型ロボット)137は、筐体145と、水平方向に延びているアーム147とを備えて構成されている。アーム147は、Z軸方向に移動位置決め自在になっていると共に、筐体145の中心を通ってZ軸方向に延びて通っている軸CL2を中心にして、回動位置決め自在になっている。
【0093】
軸CL2は、アーム147の長手方向の基端部側を通っている。アーム147の先端部側には、クランパ149が設けられており、このクランパ149によって、円板状の被成型品Wをクランプし搬送するようになっている。クランパ149によるクランプは、被成型品Wの円弧状の2箇所の外周部(対向している2箇所の外周部)を、対向している2つの部材151,153で、被成型品Wの径方向からごく小さい力で挟み込んでなされるようになっている。このように、被成型品Wを保持する部位が各1軸ロボット133,135とは異なるので、各1軸ロボット133,135と干渉することなく、円筒座標型ロボット137で被成型品Wを掴み替えて保持することができる。すなわち、たとえば、1軸ロボット133で保持している被成型品Wをこの保持をしている状態のまま、円筒座標型ロボット137で保持することができる。
【0094】
なお、クランパ149を構成している各部材151,153の下端部には、被成型品Wの落下を防止するための各突出部155,157が形成されている(図2(a)、図28(c)参照)。そして、仮組立・分離ユニット7に被成型品Wを設置する際に、各部材151,153と型MAとの干渉を避けるために、型MAの外径が被成型品Wの外径よりに僅かに小さくなっている。
【0095】
また、図1に示すように、円筒座標型ロボット137のクランパ149は、円弧状の軌跡を描いて移動するようになっている。そして、位置P1でロボット133から一枚の被成型品Wを受け取り、仮組立・分離ユニット7の位置P2まで搬送し、仮組立・分離ユニット7の位置P2で一枚の被成型品Wを受け取り、位置P3まで搬送し一軸ロボット135に渡すようになっている。
【0096】
次に、仮組立体搬送手段11について詳しく説明する。
【0097】
仮組立体搬送手段11は、仮組立・分離ユニット7と転写装置3との間で、治具17に設置されている仮組立体TAおよび外れ防止体18を搬送する(仮組立体TAおよび外れ防止体18を治具17ごと全部搬送する)ものであり、たとえば、多関節ロボット159で構成されている。多関節ロボット159のアームの先端部には、図29に示すように、バンド(クランパ)31が設けられており、このクランパ31で治具17を保持し搬送することができるようになっている。
【0098】
次に、転写システム1の動作について説明する。
【0099】
初期状態として、ストッカ5Aに転写前の被成型品Wが格納されており、各ロボット133,135,137,159や転写装置3が、被成型品Wや治具17を保持しておらず、仮組立・分離ユニット7が、型MAのみが設置されている治具17と、型MBとを保持しているものとする(図21参照)。
【0100】
この初期状態において、制御装置55の制御の下、ロボット133で1枚の被成型品Wをストッカ5Aから取り出し、図1の位置P1まで搬送する。そして、位置P1の存在する被成型品Wを、ロボット137が保持して、仮組立・分離ユニット7の位置P2まで搬送する(図1、図22参照)。図22に示す状態から、ロボット137のアーム147を下降して(治具保持体119を上昇してもよい。)治具17に設置されている型MAに被成型品Wを接触させ、クランパ149による保持を解除して型MAの上に被成型品Wを載置する。この後、ロボット137のアーム147を回動等して、クランパ149(アーム147)を位置P2から退避させる。
【0101】
続いて、治具保持体119を上昇させて、被成型品Wと型MBとを接触させ、治具17の上で下側から型MA,被成型品W,型MBの順に重なるようにし(図23参照)、この後、型保持体121による型MBの保持を解除し、治具保持体119を下降する。これにより、治具17に仮組立体TAが設置される(図20参照)。この状態では、仮組立された仮組立体TAの厚さ方向の一方の面(型MAの背面)が治具17の設置面33に面接触している。また、仮組立体TAの一部(中央の貫通孔)が治具17に設けられた支持体27に当接して(嵌合して)おり、治具17がある程度斜めに傾いても、仮組立体TAの重力による落下が防止されるようになっている。また、前記状態では、設置面33の展開方向で、設置面33に対する仮組立体TAの位置決め設置がされている。
【0102】
次に、制御装置55の制御の下、ロボット12を動かして、外れ防止体18を仮組立体TAの上側に載せて支持体27に嵌める。
【0103】
続いて、位置P2に存在している治具(仮組立体TAや外れ防止体18が設置されている治具)17を、ロボット159のハンド31で把持し(図20参照)、ロボット159を用いて転写装置3まで搬送し、転写装置3に設置する。この後、ロボット159のアームを退避させる。
【0104】
なお、仮組立体TAが設置されている治具17の転写装置3への設置であるが、ロボット159で、治具17を、設置体13と押圧体15との間の所定の空間まで搬送し、向きを垂直な姿勢から水平な姿勢に直す。
【0105】
この後に、設置体13(移動体37)を移動して、設置体13と治具17とを係合させ、設置体13への設置がされた治具17を、クランパ41によってクランプすることで、治具17の設置体13への設置が完了する(図13、図14参照)。そして、このように治具17を設置体13に設置することにより、治具17の設置面33が水平方向を向き、支持体27も水平方向を向く。
【0106】
この状態で、設置体13(移動体37)を移動し押圧体15と設置体13とで、仮組立体TAを挟み込んで転写を行う(図15参照)。この際、押圧体15と仮組立体TAの間には外れ防止体18が介在し、外れ防止体18の一方の端面が仮組立体TAの他方の面(型MBの背面)に面接触し、外れ防止体18の他方の端面が押圧体15の押圧面45に面接触した状態で、押圧による転写が行われる。
【0107】
続いて、厚さ方向の両面に微細な転写パターンが転写された被成型品Wを含む仮組立体TAおよび外れ防止体18が設置されている治具(転写後治具)17を、ロボット159を用いて転写装置3から搬出し、仮組立・分離ユニット7まで搬送する(図20参照)。
【0108】
この搬送後にロボット159のアームを退避させ、ロボット12の操作により最上段にある外れ防止体18を取り除く。続いて、仮組立・分離ユニット7の治具保持体119に設置された治具17を、治具保持体119のクランパ41でクランプし、治具保持体119を上昇し、型MBと型保持体121とを接触させて型保持体121で型MBを保持し(図23参照)、治具保持体119を下降する(図21参照)。
【0109】
続いて、被成型品(治具保持体119に設置されている治具17に設置されている型MAに載っている被成型品)Wを、ロボット137で位置P3まで搬送し、この搬送された被成型品Wをロボット135でストッカ5Bまで搬送し、ストッカ5Bに格納し、上記初期状態に戻る。
【0110】
ところで、転写システム1で、転写装置3の設置体13に治具17を設置する場合には、ロボット159で治具を所定の位置に位置決めしておき、転写装置3の設置体13(移動体37)を移動しているが、設置体13を所定の位置に停止しておいて、ロボット159で治具17を移動するようにしてもよい。このように、構成した場合、設置体13(移動体37)に代えてまたは加えて、押圧体15をX軸方向で移動位置決めするように構成してもよい。
【0111】
転写装置3によれば、治具17の支持体27に仮組立体TAが嵌まっているとき、その上側には外れ防止体18が嵌まっているので、治具17が転写装置3にセットされて治具17の設置面33や支持体27が水平方向を向いているとき、あるいは、転写装置3と仮組立・分離ユニット7との間で仮組立体TAが設置された治具17を搬送するときに、仮組立体TAが支持体27から外れるのを防止することができる。
【0112】
すなわち、仮組立体TAの中心貫通孔に水平方向に突出した支持体27が嵌まっていることで、支持体27によって仮組立体TAの荷重が支持されており、それにより、仮組立体TAが重力で落下することが防止されているが、それだけでは、支持体27が水平方向を向いているときには、仮組立体TAが抜け落ちる可能性がある。そこで、単に支持体27の突出寸法を長くすることが考えられるが、単純に支持体27の長さを長くするだけでは、仮組立体TAが支持体27から抜け落ちないようになるものの、仮組立体TAの位置がずれやすい状態に変わらない。それに対処するために、この転写装置3では、外れ防止体18を設けているのである。
【0113】
この外れ防止体18は、厚みが仮組立体TAより十分に大きく重量も十分に大きい。従って、支持体27の外周に嵌った状態で、支持体27との間の摩擦抵抗が仮組立体TAよりも大きくなるので、抜け落ちやすさに対する抵抗力が大きく稼げるようになり、仮組立体TAの位置ずれや抜け落ちを防止できることになる。また、外れ防止体18が抜け落ちるには、最低でもその厚み分以上に外れ防止体18が軸方向に滑らないといけないので、支持体27の向きが水平であるにも拘わらず、外れ防止体18自体の抜け落ちの可能性がほとんどなく、それにより、仮組立体TAの抜け落ちが確実に防止されることになる。
【0114】
このように、設置面33が水平方向を向いている場合にも、仮組立体TAや外れ防止体18が治具17と共に設置体13に安定して設置されるようになるので、真空吸着やクランパを設けることなく、簡素な構成で被成型品Wへの転写不良の発生を抑制することができる。
【0115】
すなわち、押圧体15と、設置体13に設置された治具17に設置された仮組立体TAとの間の空間に、クリーン度がより高い空気をたとえば上方から下方に向かって流すことによって、仮組立体TAの周囲の空間の空気中に存在する微粒子の滞留を防止して微粒子を排除することがきると共に、真空吸着をすることなく治具17で仮組立体TAを保持しているので、治具17の設置面(仮組立体TAが接触する設置面)33や外れ防止体18の両端面や押圧体15の押圧面45をほぼ完全な平面にすることができ、転写がされる被成型品Wや型MA,MBの全面を均一な押圧力で押圧することができ、部分的に押圧力が不足することによる転写不良の発生を防止することができる。
【0116】
また、クランパを用いて治具17で仮組立体TAを保持する必要がないので、装置の構成が簡素になると共に、クランパで部分的にクランプ力を加えることによって薄い板状の仮組立体TAに湾曲が生じるおそれが回避され、転写不良の発生を防止することができる。
【0117】
また、仮組立体TAを治具17に設置する構成であるので、仮組立体(被成型品Wへの転写がされる前の仮組立体)TAを転写装置3に設置し、もしくは、仮組立体(被成型品Wへの転写がされた仮組立体)TAを転写装置3から搬出する際、ロボット159で治具17を把持すればよく、仮組立体TAの搬送がしやすくなる。
【0118】
また、転写装置3によれば、仮組立体TAが設置された治具17が設置体13に設置されたときに、仮組立体TAと治具17と設置体13との重量による回転モーメントでロードセル53の起歪体58に発生する歪を低減することができるので、転写の際における押圧力を正しいものにすることができ、正確な転写をすることができる。
【0119】
また、転写装置3によれば、押圧体15の押圧面45の中央部を設置体13側にごく僅かに凸に弾性変形させるピエゾ素子75を備えているので、転写の際における中抜け(被成型品Wの中央部で転写がされなかったり転写が不十分になる現象)を防止することができる。
【0120】
ところで、転写システム1を、1台の転写装置3と、1つのストッカ5と、1台の仮組立・分離ユニット7と、1台のロボット133と、1台のロボット135と、1台のロボット159とで構成してあるが、上記各装置の工程作業時間(タクトタイム)に応じて、各装置の台数を変えてもよい。
【0121】
たとえば、転写装置3のタクトタイムが他の装置に比べて半分程度であるならば、1台の転写装置3と、2台のストッカ5と、2台の仮組立・分離ユニット7と、2台の各ロボット133,135,137,159とでシステムを構成してもよい。
【0122】
また、転写システム1では、被成型品Wを各型MA,MBで挟み、被成型品Wの厚さ方向の両面に転写をするようにしているが、各型MA,MBのうちの一方の型を用いないで、被成型品Wの厚さ方向の一方の面にのみ、微細な転写パターンを転写するようにしてもよい(図30参照)。
【0123】
また、転写装置3では、リング状の外れ防止体18が型Mと別体になっている場合を示したが、外れ防止体18を最初からそれに隣接する型MBと一体に形成しておくことも可能である。
【0124】
また、転写システム1において、治具17を削除した構成であってもよい。
【0125】
すなわち、転写装置を、水平方向を向いている所定の大きさの平面であって、前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する平面である設置面を備えた設置体と、前記設置面から水平方向に突出し、前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで仮組立体の落下を防止しているときに、前記仮組立体が嵌まっている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と、前記設置体の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備え、前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と協働して挟み込んで押圧する押圧体とを有する転写装置としてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 転写システム
3 転写装置
5 ストッカ
7 仮組立・分離ユニット
9 被成型品搬送手段
11 仮組立体搬送手段
12 ロボット
13 設置体
15 押圧体
18 外れ防止体
18b 逃げ凹部
27 支持体
33 設置面
45 押圧面
【技術分野】
【0001】
本発明は、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置および転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子線描画法などで石英基板等に超微細な転写パターンを形成して型(モールド)を作製し、被成型品として被転写基板表面に形成されたレジスト膜に前記型を所定の圧力で押圧して、当該型に形成された転写パターンを転写するナノインプリント技術が研究開発されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0003】
従来、ナノインプリントを行う転写装置(型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写するための転写装置)として、被成型品を保持する被成型品保持体と、この被成型品保持体に対して接近・離反する方向で移動すると共に型を保持する型保持体とを備えて構成されたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−297716号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Precision Engineering Journal of the International Societies for Precision Engineering and Nanotechnology 25(2001) 192-199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでは、転写はたとえばクリーンルーム内で行われるのであるが、従来の転写では、下方に被成型品を配置し上方に型を配置しているので、型と被成型品との間の空気中に僅かに存在する微粒子が、重力によって被成型品上に落下し、転写される微細なパターンの形状が悪化する等の転写不良が発生するおそれがある。
【0007】
そこで、水平方向の一方の側に型を配置し他方の側に被成型品を配置して、空気中の微粒子による転写不良の発生を防止する対策を考えることができる。
【0008】
しかし、水平方向に型と被成型品とを配置した場合には、重力による型や被成型品そのものの落下を防止する必要がある。そこで、真空吸着やクランパによって、型や被成型品を型保持体や被成型品保持体で保持する必要がある。
【0009】
真空吸着で被成型品を保持する構成であると、被成型品の背面が面接触する被成型品保持体の平面に、真空吸着のための孔や溝を設けなければならない。このように孔や溝を設けると、転写をすべく型と被成型品とを押圧するときに、孔や溝に接触する被成型品の部位の転写の圧力が、溝が存在しない部位に比べてごく僅かであるが小さくなり、孔や溝に接触する被成型品の部位における押圧力が不足し、転写不良が発生するおそれがあるという問題がある。この問題は、真空吸着で被成型品を保持する場合だけでなく真空吸着で型を保持する場合にも同様に発生する問題である。
【0010】
また、クランパで型や被成型品を保持する構成であると、装置の構成が煩雑になると共に、薄い板状の被成型品に湾曲が生じて転写不良が発生するおそれがあるという問題がある。
【0011】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置、転写方法において、簡素な構成で、転写不良の発生を防止することができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、平板状の被成型品の一方の面に、平板状の型の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、水平方向を向いている所定の大きさの平面であって、前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する平面である設置面を備えた設置体と、前記設置面から水平方向に突出し、前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで仮組立体の落下を防止しているときに、前記仮組立体が嵌まっている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と、前記設置体の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備え、前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と協働して挟み込んで押圧する押圧体とを有することを特徴とする転写装置である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、平板状の被成型品の一方の面に、平板状の型の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する所定の大きさの平面である設置面を備えた治具における前記設置面が、水平方向を向くようにして、前記治具を設置する設置体と、前記治具に設けられ、前記設置面から突出し、前記仮組立体が設置された治具が前記設置体に設置されるときに、前記仮組立体の中央貫通孔に水平な姿勢で嵌まっていることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まっていることで前記仮組立体の重力による落下を防止するときに、前記仮組立体が嵌っている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まっていることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と、前記設置体に設置されている治具の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備えた押圧体と、を有し、前記治具を介して前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と前記押圧体とで協働して挟み込んで押圧するために、前記設置体が前記押圧体に対して相対的に移動位置決め自在に構成されていることを特徴とする転写装置である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に、平板状の第1の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写し、平板状の被成型品の厚さ方向の他方の面に、平板状の第2の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、前記第1の型、前記被成型品、前記第2の型がこの順で重なっている仮組立体を設置するときに、前記仮組立体の一方の面が面接触する所定の大きさの平面である設置面を備えた治具における前記設置面が、水平方向を向くようにして、前記治具を設置する設置体と、前記治具に設けられ、前記設置面から突出し、前記仮組立体が設置された治具が前記設置体に設置されるときに、前記仮組立体の中央貫通孔に水平な姿勢で嵌まっていることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まっていることで前記仮組立体の重力による落下を防止するときに、前記仮組立体が嵌っている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まっていることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と、前記設置体に設置されている治具の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備えた押圧体と、を有し、前記治具を介して前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と前記押圧体とで協働して挟み込んで押圧するために、前記設置体が前記押圧体に対して相対的に移動位置決め自在に構成されていることを特徴とする転写装置である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の転写装置であって、前記リング状の外れ防止体が、それに隣接する前記型と一体に形成されていることを特徴とする転写装置である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載の転写装置であって、前記リング状の外れ防止体の前記支持体に対する嵌合面の軸方向長さが前記支持体の直径以上に設定され、前記外れ防止体の前記支持体に対する嵌合隙間が前記仮組立体の支持体に対する嵌合隙間よりも大きく設定されていることを特徴とする転写装置である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の転写装置であって、前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まった状態の前記支持体の外周面の、前記仮組立体よりも外側に突出する位置に、その位置よりも先端側を前記外れ防止体に嵌まるように小径にするための段部が設けられ、一方、前記リング状の外れ防止体の、前記支持体に嵌ったときに前記仮組立体と隣接する側の内周端部に、前記段部との干渉を避ける環状の逃げ凹部が設けられていることを特徴とする転写装置である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の転写装置を用いてなされる前記被成型品への転写方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置、転写方法において、簡素な構成で、転写不良の発生を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る転写システム1の概略構成を示す平面図である。
【図2】被成型品Wの転写工程を含むHDD基板の製造工程を示す図である。
【図3】被成型品Wの転写工程を含むHDD基板の製造工程を示す図である。
【図4】転写装置3の概略構成を示す正面図である。
【図5】図4におけるV矢視図である。
【図6】図4におけるVI矢視図である。
【図7】図4におけるVII矢視図である。
【図8】図4におけるVIII−VIII矢視図である。
【図9】図5のIX部の拡大図である。
【図10】図4におけるX矢視図(拡大図)である。
【図11】図10の側面図である。
【図12】転写装置3の設置体13と押圧体15とを示した図である。
【図13】設置体13への治具17の設置動作を示す図である。
【図14】設置体13への治具17の設置動作を示す図である。
【図15】設置体13への治具17の設置動作を示す図である。
【図16】仮組立・分離ユニット7の正面図である。
【図17】仮組立・分離ユニット7の側面図である。
【図18】図16におけるXVIII矢視図である。
【図19】図16におけるXIX−XIX矢視図である。
【図20】仮組立・分離ユニット7の動作を示す図である。
【図21】仮組立・分離ユニット7の動作を示す図である。
【図22】仮組立・分離ユニット7の動作を示す図である。
【図23】仮組立・分離ユニット7の動作を示す図である。
【図24】1軸ロボット133の概略構成を示す図である。
【図25】1軸ロボット135の概略構成を示す図である。
【図26】円筒座標型ロボット137の側面図である。
【図27】円筒座標型ロボット137の平面図である。
【図28】円筒座標型ロボット137のクランパ149の概略構成を示す図である。
【図29】多関節ロボット159のクランパ31の概略構成を示す図である。
【図30】転写の形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る転写システム1の概略構成を示す平面図である。
【0022】
以下、説明の便宜のために、水平方向の一方向をX軸方向とし、水平方向の他の一方向であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とし、鉛直方向をZ軸方向とする。
【0023】
転写システム1は、クリーンルーム内に設置されて、複数枚の被成型品Wに枚葉で、微細な転写パターンを転写するものであり、転写装置3と、微細な転写パターンが転写される前の被成型品(被転写素材)Wと微細な転写パターンが転写された後の被成型品Wとを格納する被成型品ストッカ5と、型Mと被成型品Wとを仮組み立てしたり分離したりする仮組立・分離ユニット7と、被成型品ストッカ5と仮組立・分離ユニット7との間で被成型品Wを搬送する被成型品搬送手段9と、仮組立・分離ユニット7と転写装置3との間で、仮組立された型Mと被成型品W(仮組立体TA)とを搬送する仮組立体搬送手段11と、後述する外れ防止体18の装着や取り外しを行うロボット12とを備えて構成されている。
【0024】
ここで、転写システム1(転写装置3)で転写がされる被成型品W等について、例を掲げて詳しく説明する。
【0025】
図2、図3は、被成型品W2(被成型品W)の転写工程を含むHDD基板の製造工程を示す図である。
【0026】
被成型品W2は、たとえば、トラックビットを有するディスクリートメディアHDD基板のもとになるものである。図2(a)には、転写前の被成型品W2等が示されている。図2(b)には、転写をすべく各型MA、MB(各型M)で被成型品W2を挟み込んでいるときの、被成型品W2等が示されている。図3(c)には、転写後の被成型品W2等が示されている。
【0027】
転写前の被成型品W2は、図2(a)に示すように、たとえば、直径2.5インチの平板状のガラスディスク基板W1の厚さ方向の両面に、厚さ約30nmのパラジウム(Pd)下地層と厚さ約50nmの垂直磁気記録材料コバルト・クロム白金(CoCrPt)を堆積して磁性層W3A、W3Bを形成し、さらに各磁性層W3A、W3B上に厚さ約50nmのSiO2膜W5A、W5Bを堆積してあり、各SiO2膜W5A、W5Bの上に各レジスト膜W7A、W7Bをたとえばスピンコートにより塗布してある。
【0028】
詳しくは後述するが、転写装置3を用いて、図2(a)に示す転写前の被成型品W2に、型Mに形成されている微細な転写パターン(微細な凹凸で形成されている転写パターン)が転写される(図2(b)参照)。
【0029】
転写後の被成型品W2は、図3(c)に示すように、各レジスト膜W7A、W7Bの表面に各型MA、MBの微細な凹凸パターンが転写されている。なお、レジスト膜W7A、W7Bとして、紫外線硬化樹脂(UV樹脂)、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を採用することができ、図2(a)に示す状態では、レジスト膜W7A、W7Bは硬化しておらず、図2(b)に示す転写の際に硬化するようになっている。
【0030】
続いて、図3(d)に示すように、各磁性層W3A、W3Bをパターニングする。具体的には、微細な凹凸を転写した各レジスト膜W7A、W7Bをマスクとして、RIE(Reactive Ion Etching)により各磁性層W3A、W3Bの表面に達するまでSiO2膜W5A、W5BをエッチングしてSiO2膜にパターンを転写し、さらに、このパターンを利用して磁性層W3A、W3Bをエッチングする。このようにして形成された溝領域が分離領域となる。また、パターニングされた各磁性層W3A、W3Bが記録トラック帯を形成する。
【0031】
続いて、図3(e)に示したように、基板全面に厚さ約50nmのSiO2膜W9A、W9Bを成膜して各磁性層W3A、W3Bの溝部分を埋め込んで分離領域を形成する。その後、SiO2膜W9A、W9Bの表面をケミカルメカニカルポリッシング(CMP)により研磨して平坦化する。そして、全面に保護膜W11A、W11Bとしてダイアモンドライクカーボンを成膜することにより、図3(f)に表したように磁気記録媒体(HDD基板)WPが得られる。
【0032】
なお、転写システム1(転写装置3)は、図2、図3に示す製造工程のうちで、図2(a)、図2(b)、図3(c)の工程を担当するものである。また、図2や図3では明らかでないが、被成型品W、各型M(MA、MB)は、中央部に円形状の中央貫通孔を有する薄い円板状に形成されている。
【0033】
次に、転写装置3について詳しく説明する。
【0034】
図4は、転写装置3の概略構成を示す正面図であり、図5は、図4におけるV矢視図であり、図6は、図4におけるVI矢視図であり、図7は、図4におけるVII矢視図であり、図8は、図4におけるVIII−VIII矢視図であり、図9は、図5のIX部の拡大図である。
【0035】
図10は、図4におけるX矢視図(拡大図)であり、図11は、図10の側面図であり、図12は、転写装置3の設置体13と押圧体15とを示した図である。なお、図9等で示す設置体13には、型M(MA,MB)と被成型品Wとで構成された仮組立体TAが設置された治具17が設置されている。
【0036】
転写装置3は、たとえば、円形平板状の被成型品Wの厚さ方向の一方の面に、円形平板状の第1の型MAの厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写し、円形平板状の被成型品Wの厚さ方向の他方の面に、円形平板状の第2の型MBの厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する装置であり、治具17が着脱自在に設置される設置体13と、設置体13に対向する押圧体15とを備えて構成されている。
【0037】
治具17は、図9で示すように、本体部材19と支持体構成部材21とを備えて一体的に構成されている。これにより、治具17は、所定の厚さを備えた円板状の基端部23と、所定の厚さを備えた円板状の先端部25と、円柱状(ピン状)の支持体27とで構成されている。基端部23、先端部25、支持体27は同軸で配置されており、基端部23、先端部25、支持体27の順につながっている。基端部23の外径は先端部25の外径よりも大きくなっており、支持体27の外径は先端部25の外径よりも小さくなっている。
【0038】
基端部23側の先端部25の部位の外周には、リング状の凹部(被把持部)29が形成されており、仮組立体搬送手段11で仮組立体TAが設置されている治具17を搬送するときに、仮組立体搬送手段11のハンド31が被把持部29に係合し(図13、図14、図29参照)、仮組立体TAが設置されている治具17を把持するようになっている。なお、治具17を、本体部材19と支持体構成部材21とのように別体で構成することなく、一体で構成してあってもよい。
【0039】
仮組立体TAは、型MA、被成型品W、型MBが、これらの厚さ方向で、この順で重なっているものである。より詳しくは、仮組立体TAでは、微細な転写パターンが形成されている型MAの厚さ方向の一方の面と、微細な転写パターンが転写される被成型品Wの厚さ方向の一方の面とが、お互いに面接触して重なっており、微細な転写パターンが形成されている型MBの厚さ方向の一方の面と、微細な転写パターンが転写される被成型品Wの厚さ方向の他方の面とが、お互いに面接触して重なっている。そして、仮組立体TAは、中心貫通孔を有する円形平板状に形成されている(図9、図12等参照)。
【0040】
治具17には、所定の大きさの円形状の設置面33が形成されている。設置面33は、先端部25の平面(厚さ方向の端面)で構成されている。治具17に仮組立体TAを設置するときに、仮組立体TAの厚さ方向の一方の面が設置面33に面接触するようになっている。より詳しく説明すると、治具17に仮組立体TAを設置する場合、仮組立体TAにおける型MBの背面(型MBの厚さ方向の、微細な転写パターンが形成されていない他方の面)の全面(微細な転写パターンが形成されている面に対応した型MBの背面の全面)が面接触するようになっている。
【0041】
また、設置面33には、仮組立体TAを保持するための真空吸着等に使用する溝や孔が一切設けられておらず、ごく僅かな加工誤差等を無視すれば、設置面33は完全に平らな平面になっている。
【0042】
支持体27は、すでに理解されるように、設置面33の中央部から垂直に突出するように治具17に設けられている。支持体27は、仮組立体TAが治具17に設置されるとき(設置された後も含む)に、また、仮組立体TAが設置された治具17が設置体13に設置されるとき(設置された後も含む)に、仮組立体TAの中心貫通孔に予め嵌まっていることで、仮組立体TAが重力で落下することを防止するためのものである。また、支持体27は、仮組立体TAが治具17に設置されたとき等に、設置面33の展開方向(たとえば図9に示すY軸方向)で、設置面33に対する仮組立体TAの位置決めをするためのものである。
【0043】
また、支持体27の仮組立体TAが嵌まっている位置よりも先端側には、前記仮組立体TAと並んで、リング状の外れ防止体18が嵌まるようになっている。この外れ防止体18は、支持体27が仮組立体TAの中央貫通孔に嵌まることで仮組立体TAの落下を防止しているときに、仮組立体TAが嵌まっている位置よりも支持体27の先端側に仮組立体TAと並んで嵌まることで、支持体27からの仮組立体TAの外れを防止するためのものである。より詳しくは、仮組立体TAが斜めに傾いてしまうことを防止するためのものである。そこで、支持体27の設置面33からの突出長さは、このように外れ防止体18が支持体27の先端側に嵌まった状態のときに、先端が外れ防止体18よりも外に突き出るような延長した寸法に設定されている。
【0044】
リング状の外れ防止体18は、仮組立体TAよりも十分に大きな厚みと重量を持つものとして構成されており、所定の大きさの両端面が軸方向に垂直な平面に形成されている。また、仮組立体TAよりも厚みが十分に大きくなっていることで、外れ防止体18の支持体27に対する嵌合面の軸方向長さが、支持体27の直径以上となるように設定されている。
【0045】
また、図12に示すように、仮組立体TAを設置面33に面接触させて設置したときに、仮組立体TAの中央貫通孔に嵌まった状態の支持体27の外周面の、仮組立体TAよりも外側に突出する位置には、その位置よりも先端側を外れ防止体18に嵌まるように小径にするための段部27aが設けられている。一方、リング状の外れ防止体18の、支持体27に嵌ったときに仮組立体TAと隣接する側の内周面18aの端部には、支持体27側の段部27aとの干渉を避ける環状の逃げ凹部18bが設けられている。そして、仮組立体TAや外れ防止体18をピン状の支持体27の外周に嵌めたときに、外れ防止体18の支持体27に対する嵌合隙間が、仮組立体TAの支持体27に対する嵌合隙間よりも大きくなるように設定されている。
【0046】
設置体13は、基端部側に円板状の鍔部35を備えた円柱状に形成されている。そして、鍔部35が転写装置3の移動体37に支持されている。設置体13の先端部には、円柱状の凹部39が設けられており、この凹部39の側面と底面(Y軸方向に展開している平面)とに、治具17の基端部23が嵌合し(嵌り込み)、クランパ41(図10、図11参照)で治具17がクランプされることによって、設置体13の所定の位置で治具17が一体的に設置されるようになっている。このようにして、設置体13に設置された治具17の設置面33は、水平方向を向いている。すなわち、平面状の設置面33に対して直交する直線を想定した場合、この想定した直線が水平方向に延びている。
【0047】
押圧体15は、図9で示すように、基端部側に円板状の鍔部43を備えた円柱状に形成されている。押圧体15の先端には、仮組立体TAの他方の面(型MBの背面)側に配置される外れ防止体18の端面に面接触する平面である押圧面45が設けられている。押圧面45は、設置体13に設置されている治具17の設置面33と平行で対向している所定の大きさの平面になっている。この押圧面45や外れ支持体18の両端面には、型MBを真空吸着等するための溝や孔が一切設けられておらず、加工誤差等を無視すれば完全に平らな平面になっている。
【0048】
そして、治具17を介して設置体13に設置されている仮組立体TAを、設置体13と押圧体15とで協働して挟み込んで押圧するために(図15参照)、押圧体15に接近・離反する方向(X軸方向)で、設置体13が押圧体15に対して相対的に移動位置決め自在になっている。なお、すでに理解されるように、設置体13と押圧体15とで仮組立体TAを挟み込んで押圧するときには、仮組立体TAの厚さ方向の一方の面(型MAの背面)が設置面33に面接触しており、仮組立体TAの厚さ方向の他方の面(型MBの背面)が外れ防止体18の一方の端面に面接触している。また、押圧体15の押圧面45の中央には、上記押圧をするときに支持体27の先端が入り込む孔47が設けられている。支持体27の外径は、孔47の内径よりも僅かに小さくなっている。
【0049】
押圧体15には、空気経路(貫通孔)49が設けられており、空気経路49の一端部は、孔47の底部に通じている。そして、空気経路49の他端部は、図示しないフィルタと図示しない真空ポンプ等の負圧発生装置とがつながっており、設置体13と押圧体15とで仮組立体TAおよび外れ防止体18を挟み込んで押圧するときに、孔47内の空気を吸引して、孔47内にごく僅かに存在する微粒子を除去するようになっている。
【0050】
また、同様にして、設置体13にも、空気経路(貫通孔)51が設けられており、治具17を設置体13に設置するときに、凹部39内の空気を吸引して、凹部39の側面と治具17の基端部23の側面との接触によってごく僅か発生する微粒子、もしくは、もともと凹部39内にごく僅か存在する微粒子を除去するようになっている。
【0051】
設置体13は、ロードセル53を介して移動体37に支持されている。そして、治具17に設置されている仮組立体TAを、設置体13と押圧体15とで協働して挟み込んで押圧するときの押圧力をロードセル53で測定し、制御装置55(図1)の制御の下、ロードセル53の検出結果に応じて、押圧体15(設置体13)による押圧力が予め定められている所定の押圧力になるような制御をするようになっている。
【0052】
また、仮組立体TAが設置された治具17が設置体13に設置されたときに、仮組立体TAと治具17と設置体13との重量による回転モーメントで、ロードセル53の起歪体(起歪部)58に歪が発生するが、転写装置3には、上記歪を低減するための歪低減手段56が設けられている。
【0053】
例を掲げて詳しく説明すると、ロードセル53は、たとえば、中央部に円形状の貫通孔54を備え所定の厚さで円板状に形成された本体部57を備えて構成されており、本体部57の半径方向の中間部には円環状の凹部59が形成されている。この凹部59が形成されていることにより、本体部57は、円環状の中央部61と、この中央部61の外側に位置している円環状の起歪部58と、この起歪部58の外側に位置している円環状の外周部63とに分かれている。
【0054】
中央部61は、スペーサ66を介して設置体13に一体的に設けられており、外周部63は、移動体37に一体的に設けられている。起歪部58には、歪ゲージ(図示せず)が設けられている。そして、図9で右方向の力が設置体13にかかったときに、起歪部58に歪が発生し、設置体13と押圧体15とによる仮組立体TAの押圧力を測定することができるようになっている。
【0055】
また、設置体13の基端部の中央には、円柱状のガイド部材65が一体的に設けられている。ガイド部材65は、たとえば、滑り対偶をなして円筒状のガイド部材支持体67に係合しており、円筒状のガイド部材支持体67に対して、ガイド部材65が、がたつきのほとんど無い状態で、X軸方向に移動可能になっている。すなわち、ガイド部材65の外径は、ガイド部材支持体67の内径に対して、ごく僅かに小さくなっている。円筒状のガイド部材支持体67は、詳しくは後述する移動体37に一体的に設けられている。これにより、仮組立体TAと治具17と設置体13との重量による回転モーメントを、ガイド部材65と円筒状のガイド部材支持体67とで受けることができ、ロードセル53の起歪部58に発生する歪(初期歪)を低減することができるようになっている。
【0056】
なお、ガイド部材65、ガイド部材支持体67は、本体部57の中央に設けられている貫通孔54内に位置しており、ロードセル53、スペーサ65は、移動体37に形成されている凹部69内に位置している。また、円筒状のガイド部材支持体67として、ガイド部材65に対してころがり対偶をなすリニアガイドベアリングを採用してもよい。この場合、円筒状のガイド部材支持体67に係合しているガイド部材65に、径方向の与圧がかかっていることが望ましい。
【0057】
また、転写装置3には、押圧体15の押圧面45の中央部を、設置体13に設置されている治具17側にごく僅かに凸に弾性変形させる押圧面変形手段71が設けられている。
【0058】
具体的には、押圧体15は、この基端部が詳しくは後述する押圧体支持体74に一体的に設けられている。押圧体支持体74には、凹部73が設けられており、凹部73内には、ピエゾ素子75等で構成されているアクチュエータが設置されている。ピエゾ素子75は、制御装置55の制御の下、X軸方向に伸縮するようになっている。ピエゾ素子75のX軸方向における一端部は、凹部73の底部に接触しており、ピエゾ素子75のX軸方向における他端部は、押圧体15の基端部の中央部に接触している。そして、ピエゾ素子75に電圧が印加されていない図9に示す状態では、ピエゾ素子75の長さ(X軸方向の長さ)と凹部73の深さとがお互いに一致しているが、ピエゾ素子75に電圧を印加すると、ピエゾ素子75が印加した電圧の値に応じて伸び、押圧面45の中央部が適宜凸状に弾性変形するようになっている。
【0059】
ここで、転写装置3の他の部位について詳しく説明する。
【0060】
転写装置3は、図4に示すように、ベース体77を備えて構成されている。X軸方向におけるベース体77の一端部には、スペーサ79を介して押圧体支持体74が一体的に設けられている。
【0061】
X軸方向におけるベース体77の他端部には、移動体支持体81が設けられている。X軸方向におけるベース体77の中間部には、移動体37が設けられている。押圧体支持体74と移動体支持体81とは、X軸方向に延びている4本のタイロッド83でお互いが連結されている。
【0062】
X軸方向から見ると、(図6、図7、図8に示すように)押圧体支持体74と移動体37と移動体支持体81とは、矩形状に形成されてお互いがほぼ重なっている。4本のタイロッド83は、押圧体支持体74や移動体支持体81の4隅の近傍に設けられており、移動体37の4隅の近傍には、各タイロッド83が通過している貫通孔85が設けられている。したがって、各タイロッド83と移動体37とは、お互いが非接触の状態になっている。
【0063】
移動体支持体81は、スペーサ87とリニアガイドベアリング89とを介して、ベース体77に支持されている。したがって、被成型品Wへの転写の際の押圧力の印加や除去でタイロッド83がX軸方向に僅かに伸縮した場合、この伸縮に応じて、移動体支持体81が、ベース体77に対してX軸方向で移動するようになっている。
【0064】
移動体37は、リニアガイドベアリング91を介してベース体77に支持されている。また、移動体37が、ボールねじ93を介して移動体支持体81に支持されている。そして、制御装置55の制御の下、サーボモータ95等のアクチュエータにより、移動体37が、移動体支持体81(ベース体77)に対して、X軸方向で移動位置決め自在になっている。
【0065】
さらに説明すると、図5に示すように、X軸方向に延びているボールねじ93のねじ軸97の一端部が、移動体37に一体的に設けられている。なお、ボールねじ93は、移動体支持体81に設けられている貫通孔105の内部を通っている。X軸方向におけるねじ軸97の中間部には、ナット99が係合している。ナット99のX軸方向における他端部には、円筒状でカップ状に形成されている連結部材101が一体的に設けられている。X軸方向における連結部材101の他端部(ナット99とは反対側の端部)は、カップリング103を介してサーボモータ95の回転出力軸に連結されている。
【0066】
連結部材101は、ベアリング107を介して、円筒状のベアリング支持体109に回転自在に支持されている。ベアリング支持体109は、移動体支持体81に一体的に設けられている。サーボモータ95の筐体は、サーボモータ支持体111を介して移動体支持体81に一体的に設けられている。
【0067】
なお、押圧体支持体74と移動体37と移動体支持体81との中心軸(X軸方向に延びている中心軸)CL1と、設置体13の中心軸、設置体13に設置された治具17の中心軸、押圧体15の中心軸、ボールねじ93の中心軸とは、お互いが一致している。
【0068】
ベース体77は、図4に示すように、Y軸方向で軸CL1の下方に位置している。設置体13と押圧体15とで仮組立体TAを押圧するときに加わる力を考慮して、移動体支持体81のリニアガイドベアリング89は、Y軸方向で軸CL1とほぼ一致するところに設けられている。一方、移動体37のリニアガイドベアリング91は、Y軸方向で軸CL1の下方に設けられている。
【0069】
これにより、図5に示すように、Y軸方向から見ると、ベース体77やタイロッド83に邪魔されることなく、設置体13が上方から覗けるようになっており、仮組立体搬送手段11による、治具(仮組立体TAが設置されている治具)17の設置体13への設置(ローディング)や、設置体13からの搬出(アンローディング)が容易になっている。なお、図4の参照符号GLは、水平な床面を示している。
【0070】
クランパ41は、図8、図10、図11に示すように、設置体13の上方と、設置体13の下方とに設けられている。クランパ41は、軸部115と、この軸部115の先端部で軸部115に一体的に設けられた爪部117とを備えている。軸部115は、移動体37に対して、X軸方向で移動自在になっていると共にU軸に平行な軸を回動中心にして、たとえば、90°の角度回動するようになっている。
【0071】
そして、治具17を設置する前においては、爪部117(軸部115)が、図10、図11に示すPS1の位置に退避している。仮組立体搬送手段11で治具17が設置体13に設置されたとき、軸部115(爪部117)が、PS2の位置まで延出し、爪部117が90°回動し(PS3の位置参照)、この後、軸部115(爪部117)が、設置体13側に引っ込み、爪部117が設置体13の鍔部35を押して、治具17のクランプがされるようになっている(PS4の位置参照)。
【0072】
なお、上述した各クランパ41の動作は、制御装置55の制御の下、たとえば、図示しないロボットシリンダ等のアクチュエータでなされるようになっている。
【0073】
次に、仮組立・分離ユニット7について説明する。
【0074】
図16は、仮組立・分離ユニット7の正面図であり、図17は、仮組立・分離ユニット7の側面図であり、図18は、図16におけるXVIII矢視図であり、図19は、図16におけるXIX−XIX矢視図である。
【0075】
仮組立・分離ユニット7は、各型MA,MBと微細な転写パターンが転写される前の被成型品Wとで仮組立体TAを生成し、また、各型MA,MBと微細な転写パターンが転写された被成型品Wとで構成されている仮組立体TAを各型MA,MBと被成型品Wとに分離する装置である。
【0076】
仮組立・分離ユニット7は、治具17を保持自在な治具保持体119と、治具保持体119の上方に設けられ下面で型MBを保持自在である型保持体121とを備えて構成されており、治具保持体119が、型保持体121に接近離反する方向(Z軸方向)で型保持体121に対して相対的に移動位置決め自在になっている。
【0077】
さらに、説明すると、仮組立・分離ユニット7は、ベース体123を備えており、治具保持体119が、リニアガイドベアリング125を介して、高さ方向におけるベース体123の中間部でベース体123に支持されている。また、治具保持体119は、サーボモータ126等のアクチュエータとボールねじ129とにより、制御装置55の制御の下、Z軸方向で移動位置決め自在になっている。
【0078】
治具保持体119の上側の部位127は、前述した転写装置3の設置体13と同様に構成されており、この上方で位置決め設置された治具17をクランパ41によって保持することができるようになっている。
【0079】
型保持体121は、ベース体123の上方でベース体123に一体的に設けられている。型保持体121の下側の部位131は、前述した転写装置3の押圧体15と同様に構成されている。ただし、下側の部位131には、型MBを真空吸着するための空気経路132が設けられており、下側の部位131の平面状の下面に型MBの背面(上面)を接触させ真空吸着で型MBを保持するようになっている。
【0080】
そして、治具保持体119が下方に位置して型保持体121から離れており、治具保持体119が型MAを設置してある治具17を保持しており、型保持体121が型MBを保持している状態で、転写がされる前の被成型品Wを型MAの上に重ねて設置し、被成型品Wが型MBに接触するまで治具保持体119を上昇し、型保持体121による型MBの保持を解除し、治具保持体119を下方に移動することにより、治具17の上に、型MAと被成型品Wと型MBとが重なった仮組立体TAが設置されるようになっている。
【0081】
次に、治具17に設置された仮組立体TAの上側に対して、外れ防止体18を装着したり取り外したりするロボット12について説明する。このロボット12は、図1において矢印で簡略化して示すように、まず、仮組立体TAの組立時に邪魔にならない位置に退避していたリング状の外れ防止体18を把持して、治具17上に組まれた仮組立体TAの上に載せ支持体27に嵌める役割をする。また、分離時には、転写作業済みの仮組立体TAの上側に載った状態の外れ防止体18を把持して持ち上げ、再び次の仮組立体TAの組立の邪魔にならない位置まで退避させる役割をする。
【0082】
なお、転写がされる前の被成型品Wは、被成型品搬送手段9によって、ストッカ5から搬送されてくるようになっている。また、型MAと被成型品Wと型MBとが重ねられて設置された治具17は、治具保持体119のクランパ41による保持が解除された後、仮組立体搬送手段11によって転写装置3まで搬送され転写装置3の設置体13に設置されるようになっている。
【0083】
また、転写装置3で転写がされた被成型品Wを含む仮組立体TAが設置されている治具17が、仮組立体搬送手段11により搬出されて仮組立・分離ユニット7の治具保持体119に設置されるようになっている。
【0084】
この後、治具17をクランパ41で保持し、治具保持体119を上昇し型保持体121を型MBに接触させ、型MBを真空吸着で保持し、治具保持体119を下降することにより、型MBが組立体TAから分離されるようになっている。
【0085】
この状態では、型MAと転写がされた被成型品Wとは、治具17と共に治具保持体119に設置されている。この後、転写がされた被成型品Wが、被成型品搬送手段9によって、ストッカ5まで搬送されるようになっている。
【0086】
次に、ストッカ5について説明する。
【0087】
ストッカ5は、図1に示すように、転写がされる前の被成型品Wを格納するストッカ5Aと、転写がされた後の被成型品Wを格納するストッカ5Bとで構成されている。ストッカ5Aは、複数の円板状の被成型品Wを、これらの厚さ方向が上下方向になるようにして、また、各被成型品Wが上下方向で所定の間隔をあけて並ぶようにして、格納することができる構成である。ストッカ5Bもストッカ5Aと同様に構成されている。
【0088】
次に、被成型品搬送手段9について詳しく説明する。
【0089】
被成型品搬送手段9は、たとえば、1軸ロボットで構成された第1の被成型品搬送手段133と、1軸ロボットで構成された第2の被成型品搬送手段135と、円筒座標型ロボットで構成された第3の被成型品搬送手段137とを備えて構成されている。
【0090】
1軸ロボット133は、転写前被成型品用のストッカ5Aと、円筒座標型ロボット137との間で転写前の被成型品Wを搬送するものであり、1軸ロボット135は、円筒座標型ロボット137と転写後被成型品用のストッカ5Bとの間で転写後の被成型品Wを搬送するものである。円筒座標型ロボット137は、各一軸ロボット133,135と、仮組立・分離ユニット7との間で、被成型品Wを搬送するものである。
【0091】
図24(図24(a)は1軸ロボット133の平面図、図24(b)は1軸ロボット133の側面図)に示すように、第1の被成型品搬送手段(1軸ロボット)133は、筐体139と、筐体に対してY軸方向で移動位置決め自在な移動体141とを備えて構成されている。移動体141の先端部には、クランパ143が設けられており、このクランパ143によって、円板状の被成型品Wをクランプし、Y軸方向で搬送するようになっている。クランパ143によるクランプは、被成型品Wの円弧状の外周部を上下方向で把持してなされるようになっている。ストッカ5Aの筐体は、上下方向で移動位置決め自在になっており、ストッカ5Aに格納されている各成型品Wを1枚ずつ、1軸ロボット133で、搬出することができるようになっている。なお、第2の被成型品搬送手段(1軸ロボット)135(図25参照)も、移動体141の移動ストロークが異なっている点を除いて1軸ロボット133と同様に構成されている。
【0092】
図26(円筒座標型ロボット137の側面図)や図27(円筒座標型ロボット137の平面図;図26におけるXXVII矢視図)に示すように、第3の被成型品搬送手段(円筒座標型ロボット)137は、筐体145と、水平方向に延びているアーム147とを備えて構成されている。アーム147は、Z軸方向に移動位置決め自在になっていると共に、筐体145の中心を通ってZ軸方向に延びて通っている軸CL2を中心にして、回動位置決め自在になっている。
【0093】
軸CL2は、アーム147の長手方向の基端部側を通っている。アーム147の先端部側には、クランパ149が設けられており、このクランパ149によって、円板状の被成型品Wをクランプし搬送するようになっている。クランパ149によるクランプは、被成型品Wの円弧状の2箇所の外周部(対向している2箇所の外周部)を、対向している2つの部材151,153で、被成型品Wの径方向からごく小さい力で挟み込んでなされるようになっている。このように、被成型品Wを保持する部位が各1軸ロボット133,135とは異なるので、各1軸ロボット133,135と干渉することなく、円筒座標型ロボット137で被成型品Wを掴み替えて保持することができる。すなわち、たとえば、1軸ロボット133で保持している被成型品Wをこの保持をしている状態のまま、円筒座標型ロボット137で保持することができる。
【0094】
なお、クランパ149を構成している各部材151,153の下端部には、被成型品Wの落下を防止するための各突出部155,157が形成されている(図2(a)、図28(c)参照)。そして、仮組立・分離ユニット7に被成型品Wを設置する際に、各部材151,153と型MAとの干渉を避けるために、型MAの外径が被成型品Wの外径よりに僅かに小さくなっている。
【0095】
また、図1に示すように、円筒座標型ロボット137のクランパ149は、円弧状の軌跡を描いて移動するようになっている。そして、位置P1でロボット133から一枚の被成型品Wを受け取り、仮組立・分離ユニット7の位置P2まで搬送し、仮組立・分離ユニット7の位置P2で一枚の被成型品Wを受け取り、位置P3まで搬送し一軸ロボット135に渡すようになっている。
【0096】
次に、仮組立体搬送手段11について詳しく説明する。
【0097】
仮組立体搬送手段11は、仮組立・分離ユニット7と転写装置3との間で、治具17に設置されている仮組立体TAおよび外れ防止体18を搬送する(仮組立体TAおよび外れ防止体18を治具17ごと全部搬送する)ものであり、たとえば、多関節ロボット159で構成されている。多関節ロボット159のアームの先端部には、図29に示すように、バンド(クランパ)31が設けられており、このクランパ31で治具17を保持し搬送することができるようになっている。
【0098】
次に、転写システム1の動作について説明する。
【0099】
初期状態として、ストッカ5Aに転写前の被成型品Wが格納されており、各ロボット133,135,137,159や転写装置3が、被成型品Wや治具17を保持しておらず、仮組立・分離ユニット7が、型MAのみが設置されている治具17と、型MBとを保持しているものとする(図21参照)。
【0100】
この初期状態において、制御装置55の制御の下、ロボット133で1枚の被成型品Wをストッカ5Aから取り出し、図1の位置P1まで搬送する。そして、位置P1の存在する被成型品Wを、ロボット137が保持して、仮組立・分離ユニット7の位置P2まで搬送する(図1、図22参照)。図22に示す状態から、ロボット137のアーム147を下降して(治具保持体119を上昇してもよい。)治具17に設置されている型MAに被成型品Wを接触させ、クランパ149による保持を解除して型MAの上に被成型品Wを載置する。この後、ロボット137のアーム147を回動等して、クランパ149(アーム147)を位置P2から退避させる。
【0101】
続いて、治具保持体119を上昇させて、被成型品Wと型MBとを接触させ、治具17の上で下側から型MA,被成型品W,型MBの順に重なるようにし(図23参照)、この後、型保持体121による型MBの保持を解除し、治具保持体119を下降する。これにより、治具17に仮組立体TAが設置される(図20参照)。この状態では、仮組立された仮組立体TAの厚さ方向の一方の面(型MAの背面)が治具17の設置面33に面接触している。また、仮組立体TAの一部(中央の貫通孔)が治具17に設けられた支持体27に当接して(嵌合して)おり、治具17がある程度斜めに傾いても、仮組立体TAの重力による落下が防止されるようになっている。また、前記状態では、設置面33の展開方向で、設置面33に対する仮組立体TAの位置決め設置がされている。
【0102】
次に、制御装置55の制御の下、ロボット12を動かして、外れ防止体18を仮組立体TAの上側に載せて支持体27に嵌める。
【0103】
続いて、位置P2に存在している治具(仮組立体TAや外れ防止体18が設置されている治具)17を、ロボット159のハンド31で把持し(図20参照)、ロボット159を用いて転写装置3まで搬送し、転写装置3に設置する。この後、ロボット159のアームを退避させる。
【0104】
なお、仮組立体TAが設置されている治具17の転写装置3への設置であるが、ロボット159で、治具17を、設置体13と押圧体15との間の所定の空間まで搬送し、向きを垂直な姿勢から水平な姿勢に直す。
【0105】
この後に、設置体13(移動体37)を移動して、設置体13と治具17とを係合させ、設置体13への設置がされた治具17を、クランパ41によってクランプすることで、治具17の設置体13への設置が完了する(図13、図14参照)。そして、このように治具17を設置体13に設置することにより、治具17の設置面33が水平方向を向き、支持体27も水平方向を向く。
【0106】
この状態で、設置体13(移動体37)を移動し押圧体15と設置体13とで、仮組立体TAを挟み込んで転写を行う(図15参照)。この際、押圧体15と仮組立体TAの間には外れ防止体18が介在し、外れ防止体18の一方の端面が仮組立体TAの他方の面(型MBの背面)に面接触し、外れ防止体18の他方の端面が押圧体15の押圧面45に面接触した状態で、押圧による転写が行われる。
【0107】
続いて、厚さ方向の両面に微細な転写パターンが転写された被成型品Wを含む仮組立体TAおよび外れ防止体18が設置されている治具(転写後治具)17を、ロボット159を用いて転写装置3から搬出し、仮組立・分離ユニット7まで搬送する(図20参照)。
【0108】
この搬送後にロボット159のアームを退避させ、ロボット12の操作により最上段にある外れ防止体18を取り除く。続いて、仮組立・分離ユニット7の治具保持体119に設置された治具17を、治具保持体119のクランパ41でクランプし、治具保持体119を上昇し、型MBと型保持体121とを接触させて型保持体121で型MBを保持し(図23参照)、治具保持体119を下降する(図21参照)。
【0109】
続いて、被成型品(治具保持体119に設置されている治具17に設置されている型MAに載っている被成型品)Wを、ロボット137で位置P3まで搬送し、この搬送された被成型品Wをロボット135でストッカ5Bまで搬送し、ストッカ5Bに格納し、上記初期状態に戻る。
【0110】
ところで、転写システム1で、転写装置3の設置体13に治具17を設置する場合には、ロボット159で治具を所定の位置に位置決めしておき、転写装置3の設置体13(移動体37)を移動しているが、設置体13を所定の位置に停止しておいて、ロボット159で治具17を移動するようにしてもよい。このように、構成した場合、設置体13(移動体37)に代えてまたは加えて、押圧体15をX軸方向で移動位置決めするように構成してもよい。
【0111】
転写装置3によれば、治具17の支持体27に仮組立体TAが嵌まっているとき、その上側には外れ防止体18が嵌まっているので、治具17が転写装置3にセットされて治具17の設置面33や支持体27が水平方向を向いているとき、あるいは、転写装置3と仮組立・分離ユニット7との間で仮組立体TAが設置された治具17を搬送するときに、仮組立体TAが支持体27から外れるのを防止することができる。
【0112】
すなわち、仮組立体TAの中心貫通孔に水平方向に突出した支持体27が嵌まっていることで、支持体27によって仮組立体TAの荷重が支持されており、それにより、仮組立体TAが重力で落下することが防止されているが、それだけでは、支持体27が水平方向を向いているときには、仮組立体TAが抜け落ちる可能性がある。そこで、単に支持体27の突出寸法を長くすることが考えられるが、単純に支持体27の長さを長くするだけでは、仮組立体TAが支持体27から抜け落ちないようになるものの、仮組立体TAの位置がずれやすい状態に変わらない。それに対処するために、この転写装置3では、外れ防止体18を設けているのである。
【0113】
この外れ防止体18は、厚みが仮組立体TAより十分に大きく重量も十分に大きい。従って、支持体27の外周に嵌った状態で、支持体27との間の摩擦抵抗が仮組立体TAよりも大きくなるので、抜け落ちやすさに対する抵抗力が大きく稼げるようになり、仮組立体TAの位置ずれや抜け落ちを防止できることになる。また、外れ防止体18が抜け落ちるには、最低でもその厚み分以上に外れ防止体18が軸方向に滑らないといけないので、支持体27の向きが水平であるにも拘わらず、外れ防止体18自体の抜け落ちの可能性がほとんどなく、それにより、仮組立体TAの抜け落ちが確実に防止されることになる。
【0114】
このように、設置面33が水平方向を向いている場合にも、仮組立体TAや外れ防止体18が治具17と共に設置体13に安定して設置されるようになるので、真空吸着やクランパを設けることなく、簡素な構成で被成型品Wへの転写不良の発生を抑制することができる。
【0115】
すなわち、押圧体15と、設置体13に設置された治具17に設置された仮組立体TAとの間の空間に、クリーン度がより高い空気をたとえば上方から下方に向かって流すことによって、仮組立体TAの周囲の空間の空気中に存在する微粒子の滞留を防止して微粒子を排除することがきると共に、真空吸着をすることなく治具17で仮組立体TAを保持しているので、治具17の設置面(仮組立体TAが接触する設置面)33や外れ防止体18の両端面や押圧体15の押圧面45をほぼ完全な平面にすることができ、転写がされる被成型品Wや型MA,MBの全面を均一な押圧力で押圧することができ、部分的に押圧力が不足することによる転写不良の発生を防止することができる。
【0116】
また、クランパを用いて治具17で仮組立体TAを保持する必要がないので、装置の構成が簡素になると共に、クランパで部分的にクランプ力を加えることによって薄い板状の仮組立体TAに湾曲が生じるおそれが回避され、転写不良の発生を防止することができる。
【0117】
また、仮組立体TAを治具17に設置する構成であるので、仮組立体(被成型品Wへの転写がされる前の仮組立体)TAを転写装置3に設置し、もしくは、仮組立体(被成型品Wへの転写がされた仮組立体)TAを転写装置3から搬出する際、ロボット159で治具17を把持すればよく、仮組立体TAの搬送がしやすくなる。
【0118】
また、転写装置3によれば、仮組立体TAが設置された治具17が設置体13に設置されたときに、仮組立体TAと治具17と設置体13との重量による回転モーメントでロードセル53の起歪体58に発生する歪を低減することができるので、転写の際における押圧力を正しいものにすることができ、正確な転写をすることができる。
【0119】
また、転写装置3によれば、押圧体15の押圧面45の中央部を設置体13側にごく僅かに凸に弾性変形させるピエゾ素子75を備えているので、転写の際における中抜け(被成型品Wの中央部で転写がされなかったり転写が不十分になる現象)を防止することができる。
【0120】
ところで、転写システム1を、1台の転写装置3と、1つのストッカ5と、1台の仮組立・分離ユニット7と、1台のロボット133と、1台のロボット135と、1台のロボット159とで構成してあるが、上記各装置の工程作業時間(タクトタイム)に応じて、各装置の台数を変えてもよい。
【0121】
たとえば、転写装置3のタクトタイムが他の装置に比べて半分程度であるならば、1台の転写装置3と、2台のストッカ5と、2台の仮組立・分離ユニット7と、2台の各ロボット133,135,137,159とでシステムを構成してもよい。
【0122】
また、転写システム1では、被成型品Wを各型MA,MBで挟み、被成型品Wの厚さ方向の両面に転写をするようにしているが、各型MA,MBのうちの一方の型を用いないで、被成型品Wの厚さ方向の一方の面にのみ、微細な転写パターンを転写するようにしてもよい(図30参照)。
【0123】
また、転写装置3では、リング状の外れ防止体18が型Mと別体になっている場合を示したが、外れ防止体18を最初からそれに隣接する型MBと一体に形成しておくことも可能である。
【0124】
また、転写システム1において、治具17を削除した構成であってもよい。
【0125】
すなわち、転写装置を、水平方向を向いている所定の大きさの平面であって、前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する平面である設置面を備えた設置体と、前記設置面から水平方向に突出し、前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と、両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで仮組立体の落下を防止しているときに、前記仮組立体が嵌まっている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と、前記設置体の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備え、前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と協働して挟み込んで押圧する押圧体とを有する転写装置としてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 転写システム
3 転写装置
5 ストッカ
7 仮組立・分離ユニット
9 被成型品搬送手段
11 仮組立体搬送手段
12 ロボット
13 設置体
15 押圧体
18 外れ防止体
18b 逃げ凹部
27 支持体
33 設置面
45 押圧面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の被成型品の一方の面に、平板状の型の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、
水平方向を向いている所定の大きさの平面であって、前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する平面である設置面を備えた設置体と;
前記設置面から水平方向に突出し、前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と;
両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで仮組立体の落下を防止しているときに、前記仮組立体が嵌まっている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と;
前記設置体の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備え、前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と協働して挟み込んで押圧する押圧体と;
を有することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
平板状の被成型品の一方の面に、平板状の型の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、
前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する所定の大きさの平面である設置面を備えた治具における前記設置面が、水平方向を向くようにして、前記治具を設置する設置体と;
前記治具に設けられ、前記設置面から突出し、前記仮組立体が設置された治具が前記設置体に設置されるときに、前記仮組立体の中央貫通孔に水平な姿勢で嵌まっていることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と;
両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まっていることで前記仮組立体の重力による落下を防止するときに、前記仮組立体が嵌っている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まっていることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と;
前記設置体に設置されている治具の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備えた押圧体と;
を有し、前記治具を介して前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と前記押圧体とで協働して挟み込んで押圧するために、前記設置体が前記押圧体に対して相対的に移動位置決め自在に構成されていることを特徴とする転写装置。
【請求項3】
平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に、平板状の第1の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写し、平板状の被成型品の厚さ方向の他方の面に、平板状の第2の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、
前記第1の型、前記被成型品、前記第2の型がこの順で重なっている仮組立体を設置するときに、前記仮組立体の一方の面が面接触する所定の大きさの平面である設置面を備えた治具における前記設置面が、水平方向を向くようにして、前記治具を設置する設置体と;
前記治具に設けられ、前記設置面から突出し、前記仮組立体が設置された治具が前記設置体に設置されるときに、前記仮組立体の中央貫通孔に水平な姿勢で嵌まっていることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と;
両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まっていることで前記仮組立体の重力による落下を防止するときに、前記仮組立体が嵌っている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まっていることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と;
前記設置体に設置されている治具の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備えた押圧体と;
を有し、前記治具を介して前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と前記押圧体とで協働して挟み込んで押圧するために、前記設置体が前記押圧体に対して相対的に移動位置決め自在に構成されていることを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の転写装置であって、
前記リング状の外れ防止体が、それに隣接する前記型と一体に形成されていることを特徴とする転写装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の転写装置であって、
前記リング状の外れ防止体の前記支持体に対する嵌合面の軸方向長さが前記支持体の直径以上に設定され、前記外れ防止体の前記支持体に対する嵌合隙間が前記仮組立体の支持体に対する嵌合隙間よりも大きく設定されていることを特徴とする転写装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の転写装置であって、
前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まった状態の前記支持体の外周面の、前記仮組立体よりも外側に突出する位置に、その位置よりも先端側を前記外れ防止体に嵌まるように小径にするための段部が設けられ、一方、前記リング状の外れ防止体の、前記支持体に嵌ったときに前記仮組立体と隣接する側の内周端部に、前記段部との干渉を避ける環状の逃げ凹部が設けられていることを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の転写装置を用いてなされることを特徴とする前記被成型品への転写方法。
【請求項1】
平板状の被成型品の一方の面に、平板状の型の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、
水平方向を向いている所定の大きさの平面であって、前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する平面である設置面を備えた設置体と;
前記設置面から水平方向に突出し、前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と;
両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まることで仮組立体の落下を防止しているときに、前記仮組立体が嵌まっている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と;
前記設置体の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備え、前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と協働して挟み込んで押圧する押圧体と;
を有することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
平板状の被成型品の一方の面に、平板状の型の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、
前記型と前記被成型品とが重なっている仮組立体を設置するときに前記仮組立体の一方の面が面接触する所定の大きさの平面である設置面を備えた治具における前記設置面が、水平方向を向くようにして、前記治具を設置する設置体と;
前記治具に設けられ、前記設置面から突出し、前記仮組立体が設置された治具が前記設置体に設置されるときに、前記仮組立体の中央貫通孔に水平な姿勢で嵌まっていることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と;
両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まっていることで前記仮組立体の重力による落下を防止するときに、前記仮組立体が嵌っている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まっていることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と;
前記設置体に設置されている治具の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備えた押圧体と;
を有し、前記治具を介して前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と前記押圧体とで協働して挟み込んで押圧するために、前記設置体が前記押圧体に対して相対的に移動位置決め自在に構成されていることを特徴とする転写装置。
【請求項3】
平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に、平板状の第1の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写し、平板状の被成型品の厚さ方向の他方の面に、平板状の第2の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを転写する転写装置において、
前記第1の型、前記被成型品、前記第2の型がこの順で重なっている仮組立体を設置するときに、前記仮組立体の一方の面が面接触する所定の大きさの平面である設置面を備えた治具における前記設置面が、水平方向を向くようにして、前記治具を設置する設置体と;
前記治具に設けられ、前記設置面から突出し、前記仮組立体が設置された治具が前記設置体に設置されるときに、前記仮組立体の中央貫通孔に水平な姿勢で嵌まっていることで、前記仮組立体を支持して仮組立体が重力で落下することを防止する支持体と;
両端面が軸方向に垂直な平面に形成され、前記支持体が前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まっていることで前記仮組立体の重力による落下を防止するときに、前記仮組立体が嵌っている位置よりも前記支持体の先端側に前記仮組立体と並んで嵌まっていることで、前記支持体からの前記仮組立体の外れを防止するリング状の外れ防止体と;
前記設置体に設置されている治具の設置面と平行に対向している所定の大きさの平面であって、前記仮組立体の他方の面を前記外れ防止体を介して押圧するための押圧面を備えた押圧体と;
を有し、前記治具を介して前記設置体に設置されている仮組立体を前記設置体と前記押圧体とで協働して挟み込んで押圧するために、前記設置体が前記押圧体に対して相対的に移動位置決め自在に構成されていることを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の転写装置であって、
前記リング状の外れ防止体が、それに隣接する前記型と一体に形成されていることを特徴とする転写装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の転写装置であって、
前記リング状の外れ防止体の前記支持体に対する嵌合面の軸方向長さが前記支持体の直径以上に設定され、前記外れ防止体の前記支持体に対する嵌合隙間が前記仮組立体の支持体に対する嵌合隙間よりも大きく設定されていることを特徴とする転写装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の転写装置であって、
前記仮組立体を前記設置面に面接触させて設置したときに、前記仮組立体の中央貫通孔に嵌まった状態の前記支持体の外周面の、前記仮組立体よりも外側に突出する位置に、その位置よりも先端側を前記外れ防止体に嵌まるように小径にするための段部が設けられ、一方、前記リング状の外れ防止体の、前記支持体に嵌ったときに前記仮組立体と隣接する側の内周端部に、前記段部との干渉を避ける環状の逃げ凹部が設けられていることを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の転写装置を用いてなされることを特徴とする前記被成型品への転写方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−269466(P2010−269466A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121191(P2009−121191)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
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