軸連結機構
【課題】長期の使用によっても電動モータの出力回転軸に連結された回転軸とボールねじとの間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、しかも、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動の伝達を低減できるのみならず、異音の発生をなくし得る軸連結機構を提供すること。
【解決手段】軸連結機構１は、回転軸２に連結される連結基体３と、回転軸４に連結される連結基体５と、インサート成形されてなる一対の回転伝達部材６及び７を有した回転伝達体８とを具備しており、回転軸２のＲ方向の回転を回転軸４に伝達するように二つの回転軸２及び４の間に配されて二つの回転軸２及び４を連結するようになっている。
【解決手段】軸連結機構１は、回転軸２に連結される連結基体３と、回転軸４に連結される連結基体５と、インサート成形されてなる一対の回転伝達部材６及び７を有した回転伝達体８とを具備しており、回転軸２のＲ方向の回転を回転軸４に伝達するように二つの回転軸２及び４の間に配されて二つの回転軸２及び４を連結するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば、電磁ダンパにおける電動モータの出力回転軸とボールねじとを連結するに適した軸連結機構又は電動式パワーステアリング装置における電動モータ等の回転源側の回転軸と自動車のステアリング軸等の作動側の回転軸とを連結するに適した軸連結機構等の一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する軸連結機構に関する。
【背景技術】
【０００２】
電動式パワーステアリング装置は、手動操作されるステアリングホイール（ハンドル）の回転に基づく回転力に電動モータの出力回転軸の回転に基づく回転力を付加してステアリングホイールの手動による操舵を容易に行い得るようにするものであって、斯かる電動式パワーステアリング装置においては、ステアリングホイール側のステアリング軸と電動モータの出力回転軸側の回転軸とを軸連結機構（カップリング）を介して連結している。
【０００３】
軸連結機構を介してステアリング軸と回転軸とを連結する場合、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動が軸連結機構及びステアリング軸を介してステアリングホイールに伝達されて運転者に不快な操舵感を生じさせる虞があり、これを回避するために軸連結機構にゴム又は軟質樹脂等のスペーサを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００７−１１８７１４号公報
【特許文献２】特許第４１１６７９６号公報
【特許文献３】特開２００５−１７０３４１号公報
【特許文献４】特表２００２−５１８２４２号公報
【特許文献５】特開２００４−１４８９９０号公報
【特許文献６】特開２００４−１４９０７０号公報
【特許文献７】特開２００６−１８３６７６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、衝撃、振動の低減を重視してスペーサをより柔軟なものにすると、柔軟なスペーサはクリープ変形が生じ易いために、スペーサへの繰り返し荷重によるスペーサの永久的な変形で軸連結機構にガタが生じてこれによってもまた運転者の操舵感覚が不快なものとなる虞を回避すべく、径方向に伸びた複数の突部を有した一対の硬質のスペーサ部材と軸方向においてこの一対の硬質のスペーサ部材の間に配された軟質であって弾性変形可能である径方向に伸びた複数の突部を有したスペーサ部材とを具備した軸連結機構が提案されている。
【０００６】
斯かる軸連結機構では、軸心周りの方向において一対の硬質のスペーサ部材の側面が露出するために、回転軸に連結される連結基体の突起によるこれら一対の硬質のスペーサ部材の間に配された弾性変形可能なスペーサ部材の複数の突部の弾性変形後におけるこれら一対の硬質のスペーサ部材の側面への当該連結基体の突起の衝突により、異音（衝突音）を発生する虞があり、斯かる異音（衝突音）も、運転者に不快な操舵感を生じさせることになる。
【０００７】
斯かる問題は、電動モータの出力回転軸とナットを介してピストンに連結されたボールねじとを連結する特許文献１から３に記載の軸連結機構においても同様に生じ得る。
【０００８】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、長期の使用によっても一方の回転軸である例えば電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と他方の回転軸である例えばステアリングホイールに連結されたステアリング軸又はナットを介してピストンに連結されたボールねじとの間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、しかも、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイール又はピストンへの伝達を低減できるのみならず、異音（衝突音）の発生をなくし得、而して、耐久性に優れていると共に、自動車の電動式パワーステアリング装置に適用される場合には、操舵感覚を不快にさせない軸連結機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する本発明による軸連結機構は、一対の回転伝達部材を含む回転伝達体を具備しており、回転伝達体の一方の回転伝達部材は、基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に基部の外周面から一体的に径方向外方向に向かって伸びた複数の突部とを有しており、回転伝達体の他方の回転伝達部材は、一方の回転伝達部材の基部に埋設されている基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に当該他方の回転伝達部材の基部の外周面から一体的に径方向外方向に向かって伸びて一方の回転伝達部材の突部に埋設されている突部とを有しており、一対の回転伝達部材は、他方の回転伝達部材の基部の少なくとも径方向における外周面が当該基部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の基部により覆われていると共に他方の回転伝達部材の突部の少なくとも軸心周りの方向及び軸方向における側面が当該突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の対応の突部により覆われるようにして、インサート成形されてなる。
【００１０】
本発明の軸連結機構によれば、一方の回転軸の回転の他方の回転軸への伝達が一方の回転伝達部材の複数の突部の弾性変形を介して行われるために、一方の回転軸の微小な回転の他方の回転軸への伝達を一方の回転伝達部材の複数の突部の弾性変形で低減又は阻止できると共に一方の回転軸の他方の回転軸に対する大きな相対回転の他方の回転軸への伝達を一方の回転伝達部材の突部よりも大きな剛性を有している他方の回転伝達部材の突部を介して行い得、しかも、一方の回転伝達部材が他方の回転伝達部材の突部の個数よりも多い個数の突部を有している場合には、一方の回転伝達部材の突部における軸心周りの方向の一定以上の弾性変形では大きい剛性をもった他方の回転伝達部材の突部により当該他方の回転伝達部材の突部を覆わない一方の回転伝達部材の突部の大きな弾性変形を阻止できるために、柔軟性のある剛性の小さい樹脂材料を一方の回転伝達部材に対して用いても、他方の回転伝達部材の突部を覆わない一方の回転伝達部材の突部のクリープによる永久的な変形を低減でき、その上、他方の回転伝達部材の突部の軸心周りの方向における側面は、当該突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の対応の突部により覆われているために、他方の回転伝達部材の突部の軸心周りの方向における側面への連結基体の突部の直接的な衝突を回避でき、而して、長期の使用によっても一方の回転軸である例えば電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と他方の回転軸である例えばステアリングホイールに連結されたステアリング軸又はボールねじとの間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、加えて、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイール又はボールねじへの伝達を低減できるのみならず、異音（衝突音）の発生をなくし得て、耐久性に優れ操舵感覚を不快にさせない軸連結機構を提供することができる。
【００１１】
一方の回転伝達部材は、他方の回転伝達部材の突部の個数と同数の個数の突部を有していてもよいが、これに代えて、上述のように、他方の回転伝達部材の突部の個数よりも多い個数の突部を有して、当該他方の回転伝達部材の突部の軸心周りの方向における側面を覆わない突部を有していると、当該一方の回転伝達部材の突部での大きな弾性変形が生じない結果、当該一方の回転伝達部材の突部のクリープによる永久的な変形を低減できて、一方の回転軸の回転の他方の回転軸への一方の回転伝達部材の突部の弾性変形を介する伝達を長期に亘って維持できることになり好ましい。
【００１２】
一対の回転伝達部材の夫々の突部は、径方向外方向の先端部で自由端となっていてもよく、これに代えて、一対の回転伝達部材の夫々の突部は、径方向外方向の先端部で相互に連結されていてもよい。
【００１３】
本発明において、一方の回転伝達部材の基部及び突部は、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から形成されているとよく、他方の回転伝達部材は、アルミを含む剛性金属又はポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質の樹脂から形成されているとよいが、その他の硬質の樹脂から形成されていてもよい。
【００１４】
本発明の軸連結機構は、軸心周りの方向のスペーサとして二つの回転軸の間に配した一対の回転伝達部材を具備していればよいのであるが、一方の回転軸に連結される一方の連結基体と、他方の回転軸に連結される他方の連結基体とを具備していてもよく、この場合、一方の連結基体は、基部と、この基部から軸方向に一体的に突出した突部とを具備しており、他方の連結基体は、基部と、この基部から軸方向に一体的に突出した突部とを具備しており、一方の連結基体の突部と他方の連結基体の突部とは、軸心周りの方向における一方の回転伝達部材の複数の突部の間の夫々に交互に配されていると共に当該一方の回転伝達部材の突部の間を規定する当該突部の軸心周りの方向における互いに対面する側面の夫々に軸心周りの方向における各側面で接触している。
【００１５】
本発明の軸連結機構では、一方の回転軸は、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、他方の回転軸は、電磁ダンパのボールねじ又は自動車のステアリング軸に連結されるようになっていてもよい。
【００１６】
本発明では、一方及び他方の回転伝達部材の少なくとも一方の基部は、中実の円柱状であってもよいが、好ましい例では、一方及び他方の回転伝達部材のうちの少なくとも一方の基部は、貫通孔を有して円筒状であり、両回転軸の互いに対峙する端部のうちの少なくとも一方は、その外周面で一方及び他方の回転伝達部材のうちの少なくとも一方の基部の貫通孔を規定する内周面に軸心周りの方向及び軸心方向において滑り移動自在に接触して当該貫通孔に挿入されている。
【００１７】
一方及び他方の連結基体の基部も、中実の円柱状であってもよいが、この場合には、両連結基体の各基部は、対応の回転軸に一体形成されていてもよく、他の好ましい例では、これら両連結基体の基部は、貫通孔を有して円筒状であり、両回転軸の互いに対峙する各端部は、その外周面で対応する連結基体の基部の貫通孔を規定する内周面に軸心周りの方向において当該対応する連結基体の基部に対して回転しないように嵌着されて当該基部の貫通孔に挿入されている。
【発明の効果】
【００１８】
本発明によれば、長期の使用によっても一方の回転軸である例えば電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と他方の回転軸である例えばステアリングホイールに連結されたステアリング軸又はナットを介してピストンに連結されたボールねじとの間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、しかも、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイール又はピストンへの伝達を低減できるのみならず、異音（衝突音）の発生をなくし得、而して、耐久性に優れていると共に、自動車の電動式パワーステアリング装置に適用される場合には、操舵感覚を不快にさせない軸連結機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明の好ましい一例の正面説明図である。
【図２】図１に示す例の分解説明図である。
【図３】図１に示す一方の連結基体の右側面説明図である。
【図４】図１に示す他方の連結基体の左側面説明図である。
【図５】図１に示す例のＶ−Ｖ線矢視説明図である。
【図６】図１に示す回転伝達体の側面説明図である。
【図７】図６に示す回転伝達体の正面説明図である。
【図８】図６に示す回転伝達体のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線矢視断面説明図である。
【図９】図７に示す回転伝達体のＩＸ−ＩＶ線矢視断面説明図である。
【図１０】図９に示す一方の回転伝達部材の断面説明図である。
【図１１】図９に示す他方の回転伝達部材の右側面説明図である。
【図１２】図６に示す回転伝達体のＸＩＩ−ＸＩＩ線矢視断面説明図である。
【図１３】図６に示す回転伝達体のＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ線矢視断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【実施例】
【００２１】
図１から図１３において、本例の電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構１は、電動式パワーステアリング装置用であって、回転軸２に連結される連結基体３と、回転軸４に連結される連結基体５と、インサート成形されてなる一対の回転伝達部材６及び７を有した回転伝達体８とを具備しており、回転軸２又は４の軸心Ｏ周りの方向、即ち、Ｒ方向の回転を回転軸４又は２に伝達するように二つの回転軸２及び４の間に配されて二つの回転軸２及び４を連結するようになっている。
【００２２】
回転軸２は、電動式パワーステアリング装置の電動モータ側の回転軸であり、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、回転軸２のＲ方向の回転と共に連結基体３もＲ方向に回転されるようになっている。
【００２３】
剛性の連結基体３は、円筒状の基部１１と、基部１１の一方の環状面１２から軸方向、即ちＡ方向に一体的に突出していると共にＲ方向において９０°の等角度間隔をもって互いに離間されて配された截頭三角柱形状の四個の突部１３と、Ａ方向において回転軸４の端部１５に対峙する回転軸２の端部１４が嵌着された貫通孔１６とを具備しており、突部１３の夫々は、Ｒ方向において一対の剛性回転伝達面としての剛性の側面１７及び１８と、径方向内方先端に剛性の円弧状の頂面１９とを有している。
【００２４】
回転軸４は、ステアリングホイールの操作（操舵）により回転されるようにステアリングホイールに連結された回転軸であり、回転軸４のＲ方向の回転と共に連結基体５もＲ方向に回転されるようになっている。
【００２５】
剛性の連結基体５は、円筒状の基部２１と、基部２１の一方の環状面２２からＡ方向に一体的に突出していると共にＲ方向において９０°の等角度間隔をもって互いに離間されて配された截頭三角柱形状の四個の突部２３と、Ａ方向において回転軸２の端部１４に対峙する回転軸４の端部１５が嵌着された貫通孔２６とを具備しており、突部２３の夫々は、Ｒ方向において一対の剛性回転伝達面としての剛性の側面２７及び２８と、径方向内方先端に剛性の円弧状の頂面２９とを有している。
【００２６】
回転伝達体８において、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から一体形成されている回転伝達部材６は、内周面３１で貫通孔３２を規定する円筒状の基部３３と、Ｒ方向において４５°の等角度間隔をもって互いに離間していると共に基部３３の外周面３４から一体的に径方向外方向に向かってＲ方向において幅Ｄをもって伸び、しかも、径方向外方向の先端部３５で自由端となっている複数、本例では八個の突部３６〜４３とを有しており、突部３６〜４３の夫々は、Ｒ方向において平坦な側面４７及び４８を有しており、基部１１の一方の環状面１２に対面する突部３６〜４３の夫々のＡ方向の一方の平坦な端面４９は、同じく基部１１の一方の環状面１２に対面する基部３３のＡ方向の一方の平坦な端面５０と面一となっており、基部２１の一方の環状面２２に対面する突部３６〜４３の夫々のＡ方向の他方の平坦な端面５１は、同じく基部２１の一方の環状面２２に対面する基部３３のＡ方向の他方の平坦な端面５２と面一となっている。
【００２７】
回転伝達体８において、回転伝達部材６よりも大きな剛性を有するアルミを含む剛性金属又はポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質樹脂から一体成形されてなる剛性の回転伝達部材７は、回転伝達部材６の基部３３に埋設されていると共に内周面６１で基部３３の内周面３１と協働して貫通孔３２を規定する円筒状の基部６２と、Ｒ方向において４５°、１３５°、４５°及び１３５°の角度間隔をもって互いに離間していると共に基部６２の外周面６３から一体的に径方向外方向に向かってＲ方向において幅Ｄよりも小さい幅ｄをもって伸びて回転伝達部材６の突部３６、３７、４０及び４１の夫々に埋設されており、しかも、径方向外方向の先端部６４で自由端となっていると共に突部３６〜４３よりも少ない個数である四個の突部６５〜６８とを有しており、突部６５と突部６６と及び突部６７と突部６８とは夫々、４５°の角度間隔をもって配されており、突部６６と突部６７と及び突部６８と突部６５とは夫々、１３５°の角度間隔をもって配されており、突部６５〜６８の夫々は、Ｒ方向において平坦な側面７１及び７２を有しており、基部２１の環状面２２側における基部６２及び突部６５〜６８のＡ方向の一方の平坦な端面７３及び７４は互いに面一となっており、同じく基部１１の環状面１２側の基部６２及び突部６５〜６８のＡ方向の他方の平坦な端面７５及び７６は互いに面一となっている。
【００２８】
こうして一対の回転伝達部材６及び７からなる回転伝達体８は、回転伝達部材７の貫通孔３２を有した基部６２の径方向における外周面６３及びＡ方向の端面７３及び７５が当該基部６２の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である回転伝達部材６の貫通孔２６を有した基部３３により覆われていると共に回転伝達部材７の突部６５〜６８の夫々のＲ方向及びＡ方向における側面７１及び７２並びに端面７４及び７６が当該突部６５〜６８の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である回転伝達部材６の対応の突部３６、３７、４０及び４１により覆われるようにして、また、回転伝達部材７の基部６２の内周面６１が回転伝達部材６の基部３３に覆われることなしに、貫通孔３２において露出すると共に回転伝達部材７の突部６５〜６８の夫々の先端部６４の円弧面８１が回転伝達部材６の突部３６、３７、４０及び４１の夫々に覆われることなしに、外部に露出するようにしてインサート成形されてなる。
【００２９】
連結基体３の突部１３と連結基体５の突部２３とは、Ｒ方向における回転伝達部材６の突部３６〜４３の間の夫々に交互に配されていると共に回転伝達部材６の突部３６〜４３の間を規定する突部３６〜４３のＲ方向における互いに対面する側面４７及び４８の夫々にＲ方向における各側面１７及び１８並びに２８及び２７で接触しており、しかも、その夫々の円弧状の頂面１９及び２９で外周面３４に接触して配されて、連結基体３及び５間に装着されている。すなわち、突部１３と突部２３とは、Ｒ方向における突部３６〜４３の間の夫々に交互に配されている。
【００３０】
両回転軸２及び４の互いに対峙する端部１４及び１５のうち一方の端部１４は、その外周面８５で回転伝達部材６及び７の基部３３及び６２の内周面３１及び６１に接触して貫通孔３２に部分的に挿入されており、両回転軸２及び４の互いに対峙する端部１４及び１５のうち他方の端部１５は、その外周面８６で回転伝達部材６及び７の基部３３及び６２の内周面３１及び６１に接触して貫通孔３２に部分的に挿入されており、端部１４と端部１５とは、両回転軸２及び４の相対的な揺動を許容するようにＡ方向において隙間をもって貫通孔３２に部分的に挿入されている。
【００３１】
回転軸２のＲ方向の回転を回転軸４に伝達するように回転軸２及び回転軸４の間に配されて二つの回転軸である回転軸２及び回転軸４を相互に連結する軸連結機構１を具備した以上の電動式パワーステアリング装置では、ステアリングホイールが運転者により手動操作されると、回転軸４がＲ方向に回転されて、回転軸４のＲ方向の回転は、図示しない歯車等の伝達機構を介してドラッグ・リンク等に往復動として伝達されて操向輪（車輪）に対する操舵力を与える。運転者によるステアリングホイールの手動操作において、ステアリングホイールに加えられるトルクを検出するトルク検出器からの検出信号により制御される電動モータが作動されると、回転軸２がＲ方向に回転されて、突部１３による突部３６〜４３のＲ方向の弾性変形後における突部３６〜４３を介する突部１３による突部６５〜６８のＲ方向への押圧を介して連結基体３のＲ方向の回転が連結基体５の突部２３に伝達されて、これにより回転軸４のＲ方向の回転力に対して回転軸２のＲ方向の回転力を付加して運転者によるステアリングホイールの手動操作を補助するようになっている。
【００３２】
軸連結機構１では、ステアリングホイールが運転者により手動操作されないで回転軸４がＲ方向に回転されない状態又はステアリングホイールが運転者により手動操作されて回転軸４がＲ方向に回転される状態のいずれの状態においても、回転軸４に対する回転軸２のＲ方向の相対回転が幅Ｄと幅ｄとの差の半分よりも十分に微小なものである場合には、突部３６〜４３が容易に圧縮変形する結果、斯かる回転軸２の微小なＲ方向の相対回転は回転軸４には殆ど伝達されず、而して、軸連結機構１及び回転軸４を介する電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイールへの伝達を低減でき操舵感覚を不快にさせないようにできる上に、突部３６〜４３の一定以上の圧縮変形後、突部３６〜４３を介する突部１３による突部６５〜６８のＲ方向への押圧で突部３８、３９、４２及び４３のそれ以上の圧縮変形を抑止できる結果、突部３８、３９、４２及び４３の夫々のクリープによるへたりを防止でき、突部１３及び２３の側面１７及び１８並びに２８及び２７と突部３６〜４３の側面４７及び４８とのＲ方向における互いの接触を長期に亘って維持でき、回転軸４と回転軸２との間にＲ方向についてのガタが生じ難いことになる。
【００３３】
そして、回転伝達部材６は、ステアリングホイールの運転者による手動操作で回転軸４がＲ方向に回転されると共に電動モータの作動で回転軸２がＲ方向に回転されて回転軸４に対して回転軸２が一定以上、すなわち幅Ｄと幅ｄとの差の半分に近づく程度にＲ方向に相対回転されようとする場合には、突部３６〜４３を介する突部１３による突部６５〜６８のＲ方向への押圧でもって斯かる程度のＲ方向の相対回転に応答して回転軸２のＲ方向の回転を回転軸４に伝達して回転軸４の回転を補助するようになる。
【００３４】
以上のように軸連結機構１によれば、回転軸２又は４の回転の回転軸４又は２への伝達が回転伝達部材６の突部３６〜４３の弾性変形を介して行われるために、回転軸２又は４の微小なＲ方向の回転の回転軸４又は２への伝達を回転伝達部材６の突部３６〜４３の弾性変形で低減又は阻止できると共に回転軸２又は４に対する大きな相対回転の回転軸４又は２への伝達を回転伝達部材６の突部３６〜４３よりも大きな剛性を有している回転伝達部材７の突部６５〜６８を介して行い得、しかも、回転伝達部材６の突部３６〜４３におけるＲ方向の一定以上の弾性変形では大きい剛性をもった回転伝達部材７の突部６５〜６８で回転伝達部材６の突部３８、３９、４２及び４３の大きな変形を阻止できるために、柔軟性のある剛性の小さい樹脂材料を回転伝達部材６に対して用いてもクリープによる回転伝達部材６の永久的な変形を低減でき、その上、回転伝達部材７の突部６５〜６８の側面７１及び７２は、当該突部６５〜６８の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である回転伝達部材６の対応の突部３６、３７、４０及び４１により覆われているために、回転伝達部材７の突部６５〜６８の側面７１及び７２への連結基体３及び５の突部１３及び２３の直接的な衝突を回避でき、而して、長期の使用によっても例えば電動モータの出力回転軸に連結された回転軸２と例えばステアリングホイールに連結されたステアリング軸との間にＲ方向についてのガタが生じ難く、しかも、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイールへの伝達を低減できるのみならず、異音（衝突音）の発生をなくし得て、耐久性に優れ操舵感覚を不快にさせないようにできる。
【００３５】
また、軸連結機構１によれば、突部１３及び２３の円弧状の頂面１９及び２９が弾性変形可能な基部３３の外周面３４に接触しているために、回転軸２又は４の偏心を許容して、回転軸２又は４の偏心においても回転軸２又は４の回転の回転軸４又は２への伝達を所望に行うことができる。
【００３６】
上記の例は、電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構１であるが、本発明は、斯かる軸連結機構１に限定されず、電磁ダンパにおける電動モータの出力回転軸とボールねじとを連結する軸連結機構等にも適用することができる。
【符号の説明】
【００３７】
１ 軸連結機構
２ 回転軸
３ 連結基体
４ 回転軸
５ 連結基体
６、７ 回転伝達部材
８ 回転伝達体
１１、２１ 基部
１２、２２ 環状面
１３、２３、３６〜４３、６５〜６８ 突部
１４、１５ 端部
１６、２６、３２ 貫通孔
１７、１８、２７、２８、４７、４８ 側面
１９、２９ 頂面
３１ 内周面
３３、６２ 円筒状基部
３４、６３ 外周面
３５、６４ 先端部
４９〜５２、７３〜７６ 端面
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば、電磁ダンパにおける電動モータの出力回転軸とボールねじとを連結するに適した軸連結機構又は電動式パワーステアリング装置における電動モータ等の回転源側の回転軸と自動車のステアリング軸等の作動側の回転軸とを連結するに適した軸連結機構等の一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する軸連結機構に関する。
【背景技術】
【０００２】
電動式パワーステアリング装置は、手動操作されるステアリングホイール（ハンドル）の回転に基づく回転力に電動モータの出力回転軸の回転に基づく回転力を付加してステアリングホイールの手動による操舵を容易に行い得るようにするものであって、斯かる電動式パワーステアリング装置においては、ステアリングホイール側のステアリング軸と電動モータの出力回転軸側の回転軸とを軸連結機構（カップリング）を介して連結している。
【０００３】
軸連結機構を介してステアリング軸と回転軸とを連結する場合、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動が軸連結機構及びステアリング軸を介してステアリングホイールに伝達されて運転者に不快な操舵感を生じさせる虞があり、これを回避するために軸連結機構にゴム又は軟質樹脂等のスペーサを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００７−１１８７１４号公報
【特許文献２】特許第４１１６７９６号公報
【特許文献３】特開２００５−１７０３４１号公報
【特許文献４】特表２００２−５１８２４２号公報
【特許文献５】特開２００４−１４８９９０号公報
【特許文献６】特開２００４−１４９０７０号公報
【特許文献７】特開２００６−１８３６７６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、衝撃、振動の低減を重視してスペーサをより柔軟なものにすると、柔軟なスペーサはクリープ変形が生じ易いために、スペーサへの繰り返し荷重によるスペーサの永久的な変形で軸連結機構にガタが生じてこれによってもまた運転者の操舵感覚が不快なものとなる虞を回避すべく、径方向に伸びた複数の突部を有した一対の硬質のスペーサ部材と軸方向においてこの一対の硬質のスペーサ部材の間に配された軟質であって弾性変形可能である径方向に伸びた複数の突部を有したスペーサ部材とを具備した軸連結機構が提案されている。
【０００６】
斯かる軸連結機構では、軸心周りの方向において一対の硬質のスペーサ部材の側面が露出するために、回転軸に連結される連結基体の突起によるこれら一対の硬質のスペーサ部材の間に配された弾性変形可能なスペーサ部材の複数の突部の弾性変形後におけるこれら一対の硬質のスペーサ部材の側面への当該連結基体の突起の衝突により、異音（衝突音）を発生する虞があり、斯かる異音（衝突音）も、運転者に不快な操舵感を生じさせることになる。
【０００７】
斯かる問題は、電動モータの出力回転軸とナットを介してピストンに連結されたボールねじとを連結する特許文献１から３に記載の軸連結機構においても同様に生じ得る。
【０００８】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、長期の使用によっても一方の回転軸である例えば電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と他方の回転軸である例えばステアリングホイールに連結されたステアリング軸又はナットを介してピストンに連結されたボールねじとの間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、しかも、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイール又はピストンへの伝達を低減できるのみならず、異音（衝突音）の発生をなくし得、而して、耐久性に優れていると共に、自動車の電動式パワーステアリング装置に適用される場合には、操舵感覚を不快にさせない軸連結機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する本発明による軸連結機構は、一対の回転伝達部材を含む回転伝達体を具備しており、回転伝達体の一方の回転伝達部材は、基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に基部の外周面から一体的に径方向外方向に向かって伸びた複数の突部とを有しており、回転伝達体の他方の回転伝達部材は、一方の回転伝達部材の基部に埋設されている基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に当該他方の回転伝達部材の基部の外周面から一体的に径方向外方向に向かって伸びて一方の回転伝達部材の突部に埋設されている突部とを有しており、一対の回転伝達部材は、他方の回転伝達部材の基部の少なくとも径方向における外周面が当該基部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の基部により覆われていると共に他方の回転伝達部材の突部の少なくとも軸心周りの方向及び軸方向における側面が当該突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の対応の突部により覆われるようにして、インサート成形されてなる。
【００１０】
本発明の軸連結機構によれば、一方の回転軸の回転の他方の回転軸への伝達が一方の回転伝達部材の複数の突部の弾性変形を介して行われるために、一方の回転軸の微小な回転の他方の回転軸への伝達を一方の回転伝達部材の複数の突部の弾性変形で低減又は阻止できると共に一方の回転軸の他方の回転軸に対する大きな相対回転の他方の回転軸への伝達を一方の回転伝達部材の突部よりも大きな剛性を有している他方の回転伝達部材の突部を介して行い得、しかも、一方の回転伝達部材が他方の回転伝達部材の突部の個数よりも多い個数の突部を有している場合には、一方の回転伝達部材の突部における軸心周りの方向の一定以上の弾性変形では大きい剛性をもった他方の回転伝達部材の突部により当該他方の回転伝達部材の突部を覆わない一方の回転伝達部材の突部の大きな弾性変形を阻止できるために、柔軟性のある剛性の小さい樹脂材料を一方の回転伝達部材に対して用いても、他方の回転伝達部材の突部を覆わない一方の回転伝達部材の突部のクリープによる永久的な変形を低減でき、その上、他方の回転伝達部材の突部の軸心周りの方向における側面は、当該突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の対応の突部により覆われているために、他方の回転伝達部材の突部の軸心周りの方向における側面への連結基体の突部の直接的な衝突を回避でき、而して、長期の使用によっても一方の回転軸である例えば電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と他方の回転軸である例えばステアリングホイールに連結されたステアリング軸又はボールねじとの間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、加えて、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイール又はボールねじへの伝達を低減できるのみならず、異音（衝突音）の発生をなくし得て、耐久性に優れ操舵感覚を不快にさせない軸連結機構を提供することができる。
【００１１】
一方の回転伝達部材は、他方の回転伝達部材の突部の個数と同数の個数の突部を有していてもよいが、これに代えて、上述のように、他方の回転伝達部材の突部の個数よりも多い個数の突部を有して、当該他方の回転伝達部材の突部の軸心周りの方向における側面を覆わない突部を有していると、当該一方の回転伝達部材の突部での大きな弾性変形が生じない結果、当該一方の回転伝達部材の突部のクリープによる永久的な変形を低減できて、一方の回転軸の回転の他方の回転軸への一方の回転伝達部材の突部の弾性変形を介する伝達を長期に亘って維持できることになり好ましい。
【００１２】
一対の回転伝達部材の夫々の突部は、径方向外方向の先端部で自由端となっていてもよく、これに代えて、一対の回転伝達部材の夫々の突部は、径方向外方向の先端部で相互に連結されていてもよい。
【００１３】
本発明において、一方の回転伝達部材の基部及び突部は、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から形成されているとよく、他方の回転伝達部材は、アルミを含む剛性金属又はポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質の樹脂から形成されているとよいが、その他の硬質の樹脂から形成されていてもよい。
【００１４】
本発明の軸連結機構は、軸心周りの方向のスペーサとして二つの回転軸の間に配した一対の回転伝達部材を具備していればよいのであるが、一方の回転軸に連結される一方の連結基体と、他方の回転軸に連結される他方の連結基体とを具備していてもよく、この場合、一方の連結基体は、基部と、この基部から軸方向に一体的に突出した突部とを具備しており、他方の連結基体は、基部と、この基部から軸方向に一体的に突出した突部とを具備しており、一方の連結基体の突部と他方の連結基体の突部とは、軸心周りの方向における一方の回転伝達部材の複数の突部の間の夫々に交互に配されていると共に当該一方の回転伝達部材の突部の間を規定する当該突部の軸心周りの方向における互いに対面する側面の夫々に軸心周りの方向における各側面で接触している。
【００１５】
本発明の軸連結機構では、一方の回転軸は、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、他方の回転軸は、電磁ダンパのボールねじ又は自動車のステアリング軸に連結されるようになっていてもよい。
【００１６】
本発明では、一方及び他方の回転伝達部材の少なくとも一方の基部は、中実の円柱状であってもよいが、好ましい例では、一方及び他方の回転伝達部材のうちの少なくとも一方の基部は、貫通孔を有して円筒状であり、両回転軸の互いに対峙する端部のうちの少なくとも一方は、その外周面で一方及び他方の回転伝達部材のうちの少なくとも一方の基部の貫通孔を規定する内周面に軸心周りの方向及び軸心方向において滑り移動自在に接触して当該貫通孔に挿入されている。
【００１７】
一方及び他方の連結基体の基部も、中実の円柱状であってもよいが、この場合には、両連結基体の各基部は、対応の回転軸に一体形成されていてもよく、他の好ましい例では、これら両連結基体の基部は、貫通孔を有して円筒状であり、両回転軸の互いに対峙する各端部は、その外周面で対応する連結基体の基部の貫通孔を規定する内周面に軸心周りの方向において当該対応する連結基体の基部に対して回転しないように嵌着されて当該基部の貫通孔に挿入されている。
【発明の効果】
【００１８】
本発明によれば、長期の使用によっても一方の回転軸である例えば電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と他方の回転軸である例えばステアリングホイールに連結されたステアリング軸又はナットを介してピストンに連結されたボールねじとの間に軸心周りの方向についてのガタが生じ難く、しかも、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイール又はピストンへの伝達を低減できるのみならず、異音（衝突音）の発生をなくし得、而して、耐久性に優れていると共に、自動車の電動式パワーステアリング装置に適用される場合には、操舵感覚を不快にさせない軸連結機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明の好ましい一例の正面説明図である。
【図２】図１に示す例の分解説明図である。
【図３】図１に示す一方の連結基体の右側面説明図である。
【図４】図１に示す他方の連結基体の左側面説明図である。
【図５】図１に示す例のＶ−Ｖ線矢視説明図である。
【図６】図１に示す回転伝達体の側面説明図である。
【図７】図６に示す回転伝達体の正面説明図である。
【図８】図６に示す回転伝達体のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線矢視断面説明図である。
【図９】図７に示す回転伝達体のＩＸ−ＩＶ線矢視断面説明図である。
【図１０】図９に示す一方の回転伝達部材の断面説明図である。
【図１１】図９に示す他方の回転伝達部材の右側面説明図である。
【図１２】図６に示す回転伝達体のＸＩＩ−ＸＩＩ線矢視断面説明図である。
【図１３】図６に示す回転伝達体のＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ線矢視断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【実施例】
【００２１】
図１から図１３において、本例の電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構１は、電動式パワーステアリング装置用であって、回転軸２に連結される連結基体３と、回転軸４に連結される連結基体５と、インサート成形されてなる一対の回転伝達部材６及び７を有した回転伝達体８とを具備しており、回転軸２又は４の軸心Ｏ周りの方向、即ち、Ｒ方向の回転を回転軸４又は２に伝達するように二つの回転軸２及び４の間に配されて二つの回転軸２及び４を連結するようになっている。
【００２２】
回転軸２は、電動式パワーステアリング装置の電動モータ側の回転軸であり、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、回転軸２のＲ方向の回転と共に連結基体３もＲ方向に回転されるようになっている。
【００２３】
剛性の連結基体３は、円筒状の基部１１と、基部１１の一方の環状面１２から軸方向、即ちＡ方向に一体的に突出していると共にＲ方向において９０°の等角度間隔をもって互いに離間されて配された截頭三角柱形状の四個の突部１３と、Ａ方向において回転軸４の端部１５に対峙する回転軸２の端部１４が嵌着された貫通孔１６とを具備しており、突部１３の夫々は、Ｒ方向において一対の剛性回転伝達面としての剛性の側面１７及び１８と、径方向内方先端に剛性の円弧状の頂面１９とを有している。
【００２４】
回転軸４は、ステアリングホイールの操作（操舵）により回転されるようにステアリングホイールに連結された回転軸であり、回転軸４のＲ方向の回転と共に連結基体５もＲ方向に回転されるようになっている。
【００２５】
剛性の連結基体５は、円筒状の基部２１と、基部２１の一方の環状面２２からＡ方向に一体的に突出していると共にＲ方向において９０°の等角度間隔をもって互いに離間されて配された截頭三角柱形状の四個の突部２３と、Ａ方向において回転軸２の端部１４に対峙する回転軸４の端部１５が嵌着された貫通孔２６とを具備しており、突部２３の夫々は、Ｒ方向において一対の剛性回転伝達面としての剛性の側面２７及び２８と、径方向内方先端に剛性の円弧状の頂面２９とを有している。
【００２６】
回転伝達体８において、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から一体形成されている回転伝達部材６は、内周面３１で貫通孔３２を規定する円筒状の基部３３と、Ｒ方向において４５°の等角度間隔をもって互いに離間していると共に基部３３の外周面３４から一体的に径方向外方向に向かってＲ方向において幅Ｄをもって伸び、しかも、径方向外方向の先端部３５で自由端となっている複数、本例では八個の突部３６〜４３とを有しており、突部３６〜４３の夫々は、Ｒ方向において平坦な側面４７及び４８を有しており、基部１１の一方の環状面１２に対面する突部３６〜４３の夫々のＡ方向の一方の平坦な端面４９は、同じく基部１１の一方の環状面１２に対面する基部３３のＡ方向の一方の平坦な端面５０と面一となっており、基部２１の一方の環状面２２に対面する突部３６〜４３の夫々のＡ方向の他方の平坦な端面５１は、同じく基部２１の一方の環状面２２に対面する基部３３のＡ方向の他方の平坦な端面５２と面一となっている。
【００２７】
回転伝達体８において、回転伝達部材６よりも大きな剛性を有するアルミを含む剛性金属又はポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質樹脂から一体成形されてなる剛性の回転伝達部材７は、回転伝達部材６の基部３３に埋設されていると共に内周面６１で基部３３の内周面３１と協働して貫通孔３２を規定する円筒状の基部６２と、Ｒ方向において４５°、１３５°、４５°及び１３５°の角度間隔をもって互いに離間していると共に基部６２の外周面６３から一体的に径方向外方向に向かってＲ方向において幅Ｄよりも小さい幅ｄをもって伸びて回転伝達部材６の突部３６、３７、４０及び４１の夫々に埋設されており、しかも、径方向外方向の先端部６４で自由端となっていると共に突部３６〜４３よりも少ない個数である四個の突部６５〜６８とを有しており、突部６５と突部６６と及び突部６７と突部６８とは夫々、４５°の角度間隔をもって配されており、突部６６と突部６７と及び突部６８と突部６５とは夫々、１３５°の角度間隔をもって配されており、突部６５〜６８の夫々は、Ｒ方向において平坦な側面７１及び７２を有しており、基部２１の環状面２２側における基部６２及び突部６５〜６８のＡ方向の一方の平坦な端面７３及び７４は互いに面一となっており、同じく基部１１の環状面１２側の基部６２及び突部６５〜６８のＡ方向の他方の平坦な端面７５及び７６は互いに面一となっている。
【００２８】
こうして一対の回転伝達部材６及び７からなる回転伝達体８は、回転伝達部材７の貫通孔３２を有した基部６２の径方向における外周面６３及びＡ方向の端面７３及び７５が当該基部６２の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である回転伝達部材６の貫通孔２６を有した基部３３により覆われていると共に回転伝達部材７の突部６５〜６８の夫々のＲ方向及びＡ方向における側面７１及び７２並びに端面７４及び７６が当該突部６５〜６８の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である回転伝達部材６の対応の突部３６、３７、４０及び４１により覆われるようにして、また、回転伝達部材７の基部６２の内周面６１が回転伝達部材６の基部３３に覆われることなしに、貫通孔３２において露出すると共に回転伝達部材７の突部６５〜６８の夫々の先端部６４の円弧面８１が回転伝達部材６の突部３６、３７、４０及び４１の夫々に覆われることなしに、外部に露出するようにしてインサート成形されてなる。
【００２９】
連結基体３の突部１３と連結基体５の突部２３とは、Ｒ方向における回転伝達部材６の突部３６〜４３の間の夫々に交互に配されていると共に回転伝達部材６の突部３６〜４３の間を規定する突部３６〜４３のＲ方向における互いに対面する側面４７及び４８の夫々にＲ方向における各側面１７及び１８並びに２８及び２７で接触しており、しかも、その夫々の円弧状の頂面１９及び２９で外周面３４に接触して配されて、連結基体３及び５間に装着されている。すなわち、突部１３と突部２３とは、Ｒ方向における突部３６〜４３の間の夫々に交互に配されている。
【００３０】
両回転軸２及び４の互いに対峙する端部１４及び１５のうち一方の端部１４は、その外周面８５で回転伝達部材６及び７の基部３３及び６２の内周面３１及び６１に接触して貫通孔３２に部分的に挿入されており、両回転軸２及び４の互いに対峙する端部１４及び１５のうち他方の端部１５は、その外周面８６で回転伝達部材６及び７の基部３３及び６２の内周面３１及び６１に接触して貫通孔３２に部分的に挿入されており、端部１４と端部１５とは、両回転軸２及び４の相対的な揺動を許容するようにＡ方向において隙間をもって貫通孔３２に部分的に挿入されている。
【００３１】
回転軸２のＲ方向の回転を回転軸４に伝達するように回転軸２及び回転軸４の間に配されて二つの回転軸である回転軸２及び回転軸４を相互に連結する軸連結機構１を具備した以上の電動式パワーステアリング装置では、ステアリングホイールが運転者により手動操作されると、回転軸４がＲ方向に回転されて、回転軸４のＲ方向の回転は、図示しない歯車等の伝達機構を介してドラッグ・リンク等に往復動として伝達されて操向輪（車輪）に対する操舵力を与える。運転者によるステアリングホイールの手動操作において、ステアリングホイールに加えられるトルクを検出するトルク検出器からの検出信号により制御される電動モータが作動されると、回転軸２がＲ方向に回転されて、突部１３による突部３６〜４３のＲ方向の弾性変形後における突部３６〜４３を介する突部１３による突部６５〜６８のＲ方向への押圧を介して連結基体３のＲ方向の回転が連結基体５の突部２３に伝達されて、これにより回転軸４のＲ方向の回転力に対して回転軸２のＲ方向の回転力を付加して運転者によるステアリングホイールの手動操作を補助するようになっている。
【００３２】
軸連結機構１では、ステアリングホイールが運転者により手動操作されないで回転軸４がＲ方向に回転されない状態又はステアリングホイールが運転者により手動操作されて回転軸４がＲ方向に回転される状態のいずれの状態においても、回転軸４に対する回転軸２のＲ方向の相対回転が幅Ｄと幅ｄとの差の半分よりも十分に微小なものである場合には、突部３６〜４３が容易に圧縮変形する結果、斯かる回転軸２の微小なＲ方向の相対回転は回転軸４には殆ど伝達されず、而して、軸連結機構１及び回転軸４を介する電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイールへの伝達を低減でき操舵感覚を不快にさせないようにできる上に、突部３６〜４３の一定以上の圧縮変形後、突部３６〜４３を介する突部１３による突部６５〜６８のＲ方向への押圧で突部３８、３９、４２及び４３のそれ以上の圧縮変形を抑止できる結果、突部３８、３９、４２及び４３の夫々のクリープによるへたりを防止でき、突部１３及び２３の側面１７及び１８並びに２８及び２７と突部３６〜４３の側面４７及び４８とのＲ方向における互いの接触を長期に亘って維持でき、回転軸４と回転軸２との間にＲ方向についてのガタが生じ難いことになる。
【００３３】
そして、回転伝達部材６は、ステアリングホイールの運転者による手動操作で回転軸４がＲ方向に回転されると共に電動モータの作動で回転軸２がＲ方向に回転されて回転軸４に対して回転軸２が一定以上、すなわち幅Ｄと幅ｄとの差の半分に近づく程度にＲ方向に相対回転されようとする場合には、突部３６〜４３を介する突部１３による突部６５〜６８のＲ方向への押圧でもって斯かる程度のＲ方向の相対回転に応答して回転軸２のＲ方向の回転を回転軸４に伝達して回転軸４の回転を補助するようになる。
【００３４】
以上のように軸連結機構１によれば、回転軸２又は４の回転の回転軸４又は２への伝達が回転伝達部材６の突部３６〜４３の弾性変形を介して行われるために、回転軸２又は４の微小なＲ方向の回転の回転軸４又は２への伝達を回転伝達部材６の突部３６〜４３の弾性変形で低減又は阻止できると共に回転軸２又は４に対する大きな相対回転の回転軸４又は２への伝達を回転伝達部材６の突部３６〜４３よりも大きな剛性を有している回転伝達部材７の突部６５〜６８を介して行い得、しかも、回転伝達部材６の突部３６〜４３におけるＲ方向の一定以上の弾性変形では大きい剛性をもった回転伝達部材７の突部６５〜６８で回転伝達部材６の突部３８、３９、４２及び４３の大きな変形を阻止できるために、柔軟性のある剛性の小さい樹脂材料を回転伝達部材６に対して用いてもクリープによる回転伝達部材６の永久的な変形を低減でき、その上、回転伝達部材７の突部６５〜６８の側面７１及び７２は、当該突部６５〜６８の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である回転伝達部材６の対応の突部３６、３７、４０及び４１により覆われているために、回転伝達部材７の突部６５〜６８の側面７１及び７２への連結基体３及び５の突部１３及び２３の直接的な衝突を回避でき、而して、長期の使用によっても例えば電動モータの出力回転軸に連結された回転軸２と例えばステアリングホイールに連結されたステアリング軸との間にＲ方向についてのガタが生じ難く、しかも、電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイールへの伝達を低減できるのみならず、異音（衝突音）の発生をなくし得て、耐久性に優れ操舵感覚を不快にさせないようにできる。
【００３５】
また、軸連結機構１によれば、突部１３及び２３の円弧状の頂面１９及び２９が弾性変形可能な基部３３の外周面３４に接触しているために、回転軸２又は４の偏心を許容して、回転軸２又は４の偏心においても回転軸２又は４の回転の回転軸４又は２への伝達を所望に行うことができる。
【００３６】
上記の例は、電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構１であるが、本発明は、斯かる軸連結機構１に限定されず、電磁ダンパにおける電動モータの出力回転軸とボールねじとを連結する軸連結機構等にも適用することができる。
【符号の説明】
【００３７】
１ 軸連結機構
２ 回転軸
３ 連結基体
４ 回転軸
５ 連結基体
６、７ 回転伝達部材
８ 回転伝達体
１１、２１ 基部
１２、２２ 環状面
１３、２３、３６〜４３、６５〜６８ 突部
１４、１５ 端部
１６、２６、３２ 貫通孔
１７、１８、２７、２８、４７、４８ 側面
１９、２９ 頂面
３１ 内周面
３３、６２ 円筒状基部
３４、６３ 外周面
３５、６４ 先端部
４９〜５２、７３〜７６ 端面
【特許請求の範囲】
【請求項１】
一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する軸連結機構であって、一対の回転伝達部材を含む回転伝達体を具備しており、回転伝達体の一方の回転伝達部材は、基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に基部の外周面から一体的に径方向外方向に向かって伸びた複数の突部とを有しており、回転伝達体の他方の回転伝達部材は、一方の回転伝達部材の基部に埋設されている基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に当該他方の回転伝達部材の基部の外周面から一体的に径方向外方向に向かって伸びて一方の回転伝達部材の突部に埋設されている突部とを有しており、一対の回転伝達部材は、他方の回転伝達部材の基部の少なくとも径方向における外周面が当該基部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の基部により覆われていると共に他方の回転伝達部材の突部の少なくとも軸心周りの方向及び軸方向における側面が当該突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の対応の突部により覆われるようにして、インサート成形されてなる軸連結機構。
【請求項２】
一方の回転伝達部材は、他方の回転伝達部材の突部の個数よりも多い個数の突部を有している請求項１に記載の軸連結機構。
【請求項３】
一対の回転伝達部材の突部の夫々は、径方向外方向の先端部で自由端となっている請求項１又は２に記載の軸連結機構。
【請求項４】
一方の回転伝達部材の基部及び突部は、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体からなっており、他方の回転伝達部材の基部及び突部は、アルミを含む剛性金属又はポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質樹脂から一体成形されてなる請求項１から３のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項５】
一方の回転軸に連結される一方の連結基体と、他方の回転軸に連結される他方の連結基体とを具備しており、一方の連結基体は、基部と、この基部から軸方向に一体的に突出した突部とを具備しており、他方の連結基体は、基部と、この基部から軸方向に一体的に突出した突部とを具備しており、一方の連結基体の突部と他方の連結基体の突部とは、軸心周りの方向における一方の回転伝達部材の複数の突部の間の夫々に交互に配されていると共に当該一方の回転伝達部材の突部の間を規定する当該突部の軸心周りの方向における互いに対面する側面の夫々に軸心周りの方向における各側面で接触している請求項１から４のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項６】
一方の回転軸は、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、他方の回転軸は、自動車のステアリング軸に連結されるようになっている請求項１から５のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項７】
一方及び他方の回転伝達部材のうちの少なくとも一方の基部は、貫通孔を有して円筒状であり、両回転軸の互いに対峙する端部のうちの少なくとも一方は、その外周面で一方及び他方の回転伝達部材のうちの少なくとも一方の基部の貫通孔を規定する内周面に軸心周りの方向及び軸心方向において滑り移動自在に接触して当該貫通孔に挿入されている請求項１から６のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項１】
一方の回転軸の回転を他方の回転軸に伝達するように二つの回転軸の間に配されて二つの回転軸を連結する軸連結機構であって、一対の回転伝達部材を含む回転伝達体を具備しており、回転伝達体の一方の回転伝達部材は、基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に基部の外周面から一体的に径方向外方向に向かって伸びた複数の突部とを有しており、回転伝達体の他方の回転伝達部材は、一方の回転伝達部材の基部に埋設されている基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に当該他方の回転伝達部材の基部の外周面から一体的に径方向外方向に向かって伸びて一方の回転伝達部材の突部に埋設されている突部とを有しており、一対の回転伝達部材は、他方の回転伝達部材の基部の少なくとも径方向における外周面が当該基部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の基部により覆われていると共に他方の回転伝達部材の突部の少なくとも軸心周りの方向及び軸方向における側面が当該突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能である一方の回転伝達部材の対応の突部により覆われるようにして、インサート成形されてなる軸連結機構。
【請求項２】
一方の回転伝達部材は、他方の回転伝達部材の突部の個数よりも多い個数の突部を有している請求項１に記載の軸連結機構。
【請求項３】
一対の回転伝達部材の突部の夫々は、径方向外方向の先端部で自由端となっている請求項１又は２に記載の軸連結機構。
【請求項４】
一方の回転伝達部材の基部及び突部は、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体からなっており、他方の回転伝達部材の基部及び突部は、アルミを含む剛性金属又はポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質樹脂から一体成形されてなる請求項１から３のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項５】
一方の回転軸に連結される一方の連結基体と、他方の回転軸に連結される他方の連結基体とを具備しており、一方の連結基体は、基部と、この基部から軸方向に一体的に突出した突部とを具備しており、他方の連結基体は、基部と、この基部から軸方向に一体的に突出した突部とを具備しており、一方の連結基体の突部と他方の連結基体の突部とは、軸心周りの方向における一方の回転伝達部材の複数の突部の間の夫々に交互に配されていると共に当該一方の回転伝達部材の突部の間を規定する当該突部の軸心周りの方向における互いに対面する側面の夫々に軸心周りの方向における各側面で接触している請求項１から４のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項６】
一方の回転軸は、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、他方の回転軸は、自動車のステアリング軸に連結されるようになっている請求項１から５のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項７】
一方及び他方の回転伝達部材のうちの少なくとも一方の基部は、貫通孔を有して円筒状であり、両回転軸の互いに対峙する端部のうちの少なくとも一方は、その外周面で一方及び他方の回転伝達部材のうちの少なくとも一方の基部の貫通孔を規定する内周面に軸心周りの方向及び軸心方向において滑り移動自在に接触して当該貫通孔に挿入されている請求項１から６のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２０１０−１６４１６２（Ｐ２０１０−１６４１６２Ａ）
【公開日】平成２２年７月２９日（２０１０．７．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−８２４８（Ｐ２００９−８２４８）
【出願日】平成２１年１月１６日（２００９．１．１６）
【出願人】（０００１０３６４４）オイレス工業株式会社 (384)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年７月２９日（２０１０．７．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１月１６日（２００９．１．１６）
【出願人】（０００１０３６４４）オイレス工業株式会社 (384)
【Ｆターム（参考）】
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