説明

農作業機

【課題】メンテナンスが容易な農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、耕耘作業をする耕耘体11と、整地作業をする整地体16とを備える。農作業機1は、一端側を機体6に連結し他端側を整地体16に連結した連結体31と、第1状態および第2状態に選択的に設定可能な操作体46とを備える。操作体46には、回動体47を回動可能に連結する。引張コイルばね61の一端側を回動体47の被取付部58に取り付け、引張コイルばね61の他端側を連結体31の被取付部36に取り付ける。操作体46を第1状態に設定すると、引張コイルばね61が整地体16を下方に付勢する状態となる。操作体46が第2状態に設定すると、引張コイルばね61が整地体16を付勢しない状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンスが容易な農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、走行車であるトラクタに連結される機体と、この機体に設けられ耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備えている。また、この農作業機は、操作レバーと、この操作レバーとともに回動する回動フレームと、この回動フレームの後端部に前端部が枢着され後端側が回動駒(タンブラー)の孔部内に摺動可能(スライド可能)に挿入されたスプリングロッドと、このスプリングロッドに巻装され整地体を付勢する圧縮コイルばねとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−52105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば土が回動駒(タンブラー)の孔部内に詰まってスプリングロッドの動きが悪くなる等の不具合が生じやすく、メンテナンスが煩雑である。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、メンテナンスが容易な農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、機体と、この機体に設けられ、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、被取付部を有し、一端側が前記機体に連結され、他端側が前記整地体に連結された連結体と、前記機体に回動可能に設けられ、第1状態および第2状態に選択的に設定される操作体と、被取付部を有し、前記操作体に回動可能に連結された回動体と、一端側が前記回動体の前記被取付部に取り付けられ、他端側が前記連結体の前記被取付部に取り付けられた付勢体とを備え、前記操作体が前記第1状態に設定された場合には、前記付勢体が前記整地体を下方に付勢する状態となり、前記操作体が前記第2状態に設定された場合には、前記付勢体が前記整地体を付勢しない状態または前記整地体を上方に付勢する状態となるものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、操作体が第2状態に設定された場合において、耕耘体の耕耘深さが設定深さ以上になったときには、付勢体が整地体を下方に付勢する状態となるものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、連結体は、複数の被取付部を有し、付勢体の他端側が、前記複数の被取付部の中から選択された一の被取付部に取り付けられたものである。
【0010】
請求項4記載の農作業機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機において、機体は、円弧状長孔部を有し、操作体は、前記円弧状長孔部に挿入された軸部を有し、前記円弧状長孔部の円弧中心を通る回動中心軸線を中心として回動可能となっており、回動体は、前記操作体の前記軸部に回動可能に連結されたものである。
【0011】
請求項5記載の農作業機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機において、付勢体は、引張コイルばねであるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、従来必要とされた回動駒等を用いない構成であるため、土詰まり等による不具合が生じにくく、メンテナンスが容易である。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、操作体が第2状態に設定された場合において耕耘体の耕耘深さが設定深さ以上になったときには、付勢体が整地体を下方に付勢する状態となるため、適切な整地作業ができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、付勢体の他端側を取り付ける被取付部を選択することによって、付勢体の付勢力を容易に調整できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、機体は円弧状長孔部を有し、操作体は円弧状長孔部に挿入された軸部を有し円弧状長孔部の円弧中心を通る回動中心軸線を中心として回動可能となっており、回動体は操作体の軸部に回動可能に連結された構成であるため、簡単な構成であるばかりでなく、メンテナンスも容易である。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、付勢体は引張コイルばねであるため、操作体が第1状態に設定された状態では、引張コイルばねが整地体を下方に向けて適切に付勢する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【図2】同上農作業機の平面図である。
【図3】同上農作業機の部分側面図である。
【図4】同上農作業機の部分平面図である。
【図5】同上農作業機の操作体が第1状態に設定された状態の作用図で、(a)が通常作業時の作用図であり、(b)が深耕作業時の作用図である。
【図6】同上農作業機の操作体が第2状態に設定された状態の作用図で、(a)が通常作業時の作用図であり、(b)が深耕作業時の作用図である。
【図7】図6に対応する部分詳細図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の操作体が第1状態に設定された状態の作用図で、(a)が通常作業時の作用図であり、(b)が深耕作業時の作用図である。
【図9】同上農作業機の操作体が第2状態に設定された状態の作用図で、(a)が通常作業時の作用図であり、(b)が深耕作業時の作用図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【図13】同上農作業機の部分側面図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【図15】同上農作業機の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図7を参照して説明する。
【0019】
図1および図2において、1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結して使用する牽引式の代掻き作業機(耕耘整地装置)である。農作業機1は、トラクタの後部に連結された状態で、圃場においてトラクタの前進走行により進行方向である前方(図1では、左方向)に向かって移動しながら、耕耘整地作業および土引き作業をする。
【0020】
農作業機1は、例えば3分割の折畳式のもので、中央作業部2と、この中央作業部2の左右方向両端部に折畳および展開可能に設けられた左右の延長作業部(サイド作業部)3とを備えている。各延長作業部3は、中央作業部2に前後方向の軸部4を中心として上下回動可能に設けられている。
【0021】
中央作業部2は、トラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される機体6を備えている。
【0022】
機体6は、図示しないトップマストおよびロワアーム等にて構成された3点連結部を有し、この3点連結部がトラクタTの3点リンク部に連結される。機体6は、左右方向中央部にギアケース部7を有し、このギアケース部7にて入力軸8が回転可能に支持されている。入力軸8は、トラクタのPTO軸に動力伝達手段を介して接続される。
【0023】
また、機体6の下部には、入力軸8側からの動力で左右方向の回転中心軸線を中心として所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体11が回転可能に設けられている。耕耘体11は、左右方向の回転軸である耕耘軸12と、この耕耘軸12に設けられこの耕耘軸12と一体となって回転する複数の耕耘爪13とを有している。そして、耕耘体11の上方部は、機体6の略板状のカバー部(耕耘部カバー)10にて覆われている。
【0024】
さらに、機体6のカバー部10の後端部には、耕耘体11の後方で整地作業をする略板状の整地体16が弾性板であるゴム板17を介して上下回動可能に設けられている。整地体16は、カバー部10の後端部に上端部がゴム板17を介して取り付けられた略板状の第1整地体(均平板)18と、この第1整地体18の下端部に上下回動可能に取り付けられた略板状の第2整地体(レーキ)19とを有している。
【0025】
第1整地体18は、左右方向両端側の上端部に左右方向の軸部20を有しており、この軸部20は、機体6の略板状の整地体支持回動部21に形成された直線状長孔部22にこの直線状長孔部22に沿ってスライド可能に挿入されている。
【0026】
整地体支持回動部21は、機体6の左右の側板部23に左右方向の軸部24を中心として上下回動可能に取り付けられている。また、機体6の側板部23には、第1整地体18との当接によりこの第1整地体18の下方回動を規制する略板状のストッパ部25が固定的に取り付けられている。つまり、第1整地体18は、ストッパ部25との当接により、所定位置よりも下方へ回動しないようになっている。
【0027】
また、中央作業部2は、図3および図4にも示されるように、一端側である上端部が機体6に回動可能に連結されかつ他端側である下端部が整地体16の第1整地体18に回動可能に連結された左右1対の連結体31を備えている。
【0028】
連結体31は、第1連結アーム(第1コ字枠)33と、この第1連結アーム33に左右方向の連結軸部である軸部35を介して回動可能に連結された第2連結アーム(第2コ字枠)34とを有している。なお、連結ピンである軸部35が、被取付部(ばね被取付部)36となっている。
【0029】
第1連結アーム33の上端部は、機体6のアーム被連結部38に左右方向の軸部39を中心として回動可能に連結されている。アーム被連結部38は、機体6のカバー部10に固定的に取り付けられている。第2連結アーム34の下端部は、第1整地体18のアーム被連結部40に左右方向の軸部41を中心として回動可能に連結されている。アーム被連結部40は、第1整地体18の本体板部18aに固定的に取り付けられている。そして、第1連結アーム33の下端部と第2連結アーム34の上端部とが、軸部35を介して互いに回動可能に連結されている。
【0030】
さらに、中央作業部2は、機体6のアーム被連結部38に左右方向の回動中心軸線(支点)Xを中心として回動可能に設けられ第1状態(起立状態)および第2状態(倒伏状態)に選択的に設定される操作レバー等の操作体(ハンドル)46と、この操作体46に回動可能に連結された連動体である回動体(ばね掛け部材)47とを備えている。
【0031】
操作体46は、機体6のアーム被連結部38に回動中心軸線Xを中心として回動可能に支持された左右方向の支軸部51と、この支軸部51の端部に一体に連設されこの支軸部51に対して略90度折れ曲がった把持軸部52と、支軸部51に連結板部54を介して連結され支軸部51と平行に位置する左右方向の軸部53とを有している。なお、回動中心軸線Xは、支軸部51の軸芯と一致している。
【0032】
そして、操作体46の軸部53は、機体6のアーム被連結部38に形成された円弧状長孔部55にこの円弧状長孔部55に沿ってスライド可能に挿入されている。つまり、操作体46は、機体6の円弧状長孔部55にスライド可能に挿入された軸部53を有し、この操作体46は、円弧状長孔部55の円弧中心を通る回動中心軸線(支軸部51)Xを中心として機体6に対して上下回動可能となっている。なお、操作体46が第1状態に設定された状態では軸部53が円弧状長孔部55の下端に位置し、操作体46が第2状態に設定された状態では軸部53が円弧状長孔部55の上端に位置する。
【0033】
回動体47は、例えば略くの字状をなす略板状のもので、一端部に1つの軸用孔部56を有し、他端部に1つのばね用孔部57を有している。なお、ばね用孔部57が、被取付部(ばね被取付部)58となっている。
【0034】
そして、回動体47の軸用孔部56に操作体46の軸部53が回動可能に嵌入されている。つまり、回動体47の軸用孔部56が、操作体46の軸部53の外周側に回動可能に連結されている。また、回動体47は、操作体46の支軸部51と係脱可能に係合する凹状の係合部59を有している。
【0035】
また、中央作業部2は、一端側である前端部が回動体47の被取付部58であるばね用孔部57に取り付けられかつ他端側である後端部が連結体31の被取付部36である軸部35に取り付けられ整地体16を付勢する付勢体である引張コイルばね(引きばね)61を備えている。
【0036】
引張コイルばね61は、図4に示されるように、第1連結アーム33の下方に配設され、前端部に略円弧状の一端引掛部62を有し、後端部に略円弧状の他端引掛部63を有している。そして、一端引掛部62が回動体47のばね用孔部57に引っ掛けられ、他端引掛部63が連結体31の軸部35に引っ掛けられている。
【0037】
さらに、図2に示されるように、中央作業部2の左右方向中央部には、整地体16を土引き作業状態にロックするための土引きユニット65が設けられている。
【0038】
また、左右の各延長作業部3は、中央作業部2の機体6に上下回動可能に設けられた延長機体71と、延長機体71に回転可能に設けられ耕耘作業をする延長耕耘体(図示せず)と、延長機体71のカバー部(耕耘部カバー)72に上下回動可能に設けられ延長耕耘体の後方で整地作業をする延長整地体73とを備えている。
【0039】
延長整地体73は、カバー部72の後端部に上端部がゴム板を介して取り付けられた第1延長整地体(サイド均平板)74と、この第1延長整地体74の下端部に上下回動可能に取り付けられた略板状の第2延長整地体(サイドレーキ)75とを有している。また、第2延長整地体75の外端部には、追加延長整地板(延長レーキ)76が上下回動可能に取り付けられている。
【0040】
なお、農作業機1は、中央作業部2のみで作業をする状態と、中央作業部2および左右両方の延長作業部3で作業をする状態と、中央作業部2および左右いずれか一方の延長作業部3で作業をする状態とに選択的に切り換え可能となっている。また、延長作業部3の延長整地体73は、延長作業部3の展開状態時には、中央作業部2の整地体16と一体となって上下回動するようになっている。
【0041】
次に、上記農作業機1の作用等を説明する。
【0042】
例えば、左右の延長作業部3を折り畳み、中央作業部2のみで代掻き作業である耕耘整地作業をする場合について説明する。
【0043】
圃場、すなわち例えば水を溜めた水田において、トラクタの前進走行により農作業機1を前方に移動させると、耕耘体11にて耕耘作業が行われ、整地体16にて整地作業が行われる。
【0044】
ここで、図5(a)および(b)に示すように、操作体46が第1状態に設定された場合には、通常作業時(浅耕作業時)および深耕作業時のいずれの時においても、引張コイルばね61が連結体31を介して第1整地体18を下方に付勢する状態となる。つまり、第1整地体18が引張コイルばね61の付勢力によって下方へ加圧され、第1整地体18の圃場面との接地圧が増大する。その結果、第1整地体18は、圃場面の土塊等を崩しながら、圃場面の凹凸を均す。
【0045】
なお、引張コイルばね61の中心線Aと、第1連結アーム33の両端側の回動支点(軸部35,39)を結ぶ線Bとがなす角度αが大きいほど、第1整地体18の接地圧(引張コイルばね61による加圧力)が増大する。つまり、引張コイルばね61は、第1連結アーム33の上方回動に応じて伸びる。このため、(a)に示す通常作業時に比べて、(b)に示す深耕作業時の方が、第1整地体18の接地圧が大きい。
【0046】
また、図6(a)および(b)に示すように、操作体46が第2状態に設定された場合には、通常作業時(浅耕作業時)においては引張コイルばね61が第1整地体18を付勢しない状態(下方へ若干付勢する状態を含む意味)となり、深耕作業時においては引張コイルばね61が第1整地体18を下方へ付勢する状態となる。
【0047】
つまり、図7(a)にも示すように、操作体46が第2状態に設定された場合において、耕耘体11の耕耘深さFが設定深さ未満のときには、引張コイルばね61が第1整地体18をほとんど付勢しないフリー状態となる。その結果、圃場面の土が軽い場合でも、土が進行方向に移動しない。
【0048】
そして、この加圧しない状態では、引張コイルばね61の中心線Aと第1連結アーム33の両端側の回動支点(軸部35,39)を結ぶ線Bとが側面視で略一致し、角度αが略ゼロである。このため、引張コイルばね61は、回動体47と一体となって軸部53を中心として上下回動する際に、伸縮しない。このとき、操作体46の支軸部51と回動体47の係合部59との間には、隙間80がある。
【0049】
しかし、図7(b)にも示すように、耕耘体11の耕耘深さFが設定深さ以上になったときには、操作体46の支軸部51が回動体47の係合部59と係合当接し、この係合当接により回動体47の上方回動が規制される。
【0050】
このため、引張コイルばね61は、第1連結アーム33の上方回動に応じて伸び、その結果、第1整地体18が引張コイルばね61の付勢力によって下方へ加圧され、第1整地体18の圃場面との接地圧が増大する。
【0051】
そして、このような農作業機1によれば、従来必要とされた回動駒等を用いない構成であるため、簡単な構成であるばかりでなく、土詰まり等による不具合が生じにくく、頻繁なメンテナンスが不要で、メンテナンスが容易であり、しかも、引張コイルばね61を用いることで十分な加圧力を得ることができる。
【0052】
また、操作体46が第2状態に設定された場合において、耕耘体11の耕耘深さFが予め設定された設定深さ以上になったときには、引張コイルばね61が第1整地体18を付勢しない状態から、引張コイルばね61が第1整地体18を下方に付勢する状態となるため、適切な整地作業ができる。
【0053】
さらに、機体6は円弧状長孔部55を有し、操作体46は円弧状長孔部55に挿入された軸部53を有し円弧状長孔部55の円弧中心を通る回動中心軸線Xを中心として回動可能となっており、回動体47は操作体46の軸部53に回動可能に連結された構成であるため、簡単な構成であるばかりでなく、メンテナンスも容易である。
【0054】
なお、上記第1の実施の形態では、ゴムカバーであるゴム板17を有する構成について説明したが、例えば図8および図9に示す第2の実施の形態のように、ゴム板17を有さず、整地体16の第1整地体18の上端部を機体6の側板部23の後端部に軸部20を介して回動可能に取り付けた構成でもよい。
【0055】
また、図10には、第3の実施の形態が示されている。
【0056】
この第3の実施の形態の連結体31は複数の被取付部36を有し、引張コイルばね61の他端引掛部63が複数(例えば3つ)の被取付部36の中から選択された一の被取付部36に脱着可能に取り付けられている。各被取付部36は、第1連結アーム33の側面に形成された孔でもよく、第1連結アーム33の側面に取り付けられたピンでもよい。
【0057】
そして、この場合には、引張コイルばね61の他端引掛部63を取り付ける被取付部36を選択変更することによって、引張コイルばね61の付勢力を容易に調整でき、第1整地体18の接地圧を容易に調整できる。
【0058】
また、図11には、第4の実施の形態が示されている。
【0059】
この第4の実施の形態の連結体31は複数の被取付部36を有し、引張コイルばね61の他端引掛部63が複数(例えば2つ)の被取付部36の中から選択された一の被取付部36に脱着可能に取り付けられている。2つの被取付部36のうちの一方は軸部35であり、他方は第1連結アーム33の側面に取り付けられたピン35aである。
【0060】
そして、この場合でも、引張コイルばね61の他端引掛部63を取り付ける被取付部36を選択変更することによって、引張コイルばね61の付勢力を容易に調整でき、第1整地体18の接地圧を容易に調整できる。
【0061】
また、図12および図13には、第5の実施の形態が示されている。
【0062】
この第5の実施の形態の回動体47は、円弧状孔部81を有する略三角板状のものであり、このような形状の回動体(ばね掛け部材)47を有する構成であっても、同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
また、図14および図15には、第6の実施の形態が示されている。
【0064】
この第6の実施の形態では、操作体46が第2状態に設定された場合には、通常作業時(浅耕作業時)においては引張コイルばね61が第1整地体18を上方へ付勢する状態(第1整地体18の接地圧を減少させる状態)となり、深耕作業時においては引張コイルばね61が第1整地体18を下方へ付勢する状態となる。
【0065】
図14から明らかなように、通常作業時では、ばね用孔部57が第1連結アーム33の両端側の回動支点(軸部35,39)を結ぶ線Bよりも上方に位置するので、第1整地体18が引張コイルばね61の付勢力によって上方へ加圧され、第1整地体18の圃場面との接地圧が減少する。つまり、第1整地体18の重量が引張コイルばね61の付勢力の分だけ軽くなる。
【0066】
また、図15から明らかなように、深耕作業時では、ばね用孔部57が第1連結アーム33の両端側の回動支点(軸部35,39)を結ぶ線Bよりも下方に位置するので、第1整地体18が引張コイルばね61の付勢力によって下方へ加圧され、第1整地体18の圃場面との接地圧が増大する。つまり、第1整地体18の重量が引張コイルばね61の付勢力の分だけ重くなる。
【0067】
なお、例えば図示しないが、上記各実施の形態の農作業機1の構成を適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0068】
また、農作業機1は、3分割の折畳式のものには限定されず、中央作業部2のみを有するものでもよい。
【0069】
さらに、整地体16は、第2整地体19を有さず、第1整地体18のみを有する構成でもよい。
【0070】
また、整地体16を付勢する付勢体は、弾性部材である引張コイルばね61以外に、ゴムや流体圧シリンダ等を用いたものでもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 農作業機
6 機体
11 耕耘体
16 整地体
31 連結体
36 被取付部
46 操作体
47 回動体
53 軸部
55 円弧状長孔部
58 被取付部
61 付勢体である引張コイルばね
F 耕耘深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
この機体に設けられ、耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
被取付部を有し、一端側が前記機体に連結され、他端側が前記整地体に連結された連結体と、
前記機体に回動可能に設けられ、第1状態および第2状態に選択的に設定される操作体と、
被取付部を有し、前記操作体に回動可能に連結された回動体と、
一端側が前記回動体の前記被取付部に取り付けられ、他端側が前記連結体の前記被取付部に取り付けられた付勢体とを備え、
前記操作体が前記第1状態に設定された場合には、前記付勢体が前記整地体を下方に付勢する状態となり、
前記操作体が前記第2状態に設定された場合には、前記付勢体が前記整地体を付勢しない状態または前記整地体を上方に付勢する状態となる
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
操作体が第2状態に設定された場合において、耕耘体の耕耘深さが設定深さ以上になったときには、付勢体が整地体を下方に付勢する状態となる
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
連結体は、複数の被取付部を有し、
付勢体の他端側が、前記複数の被取付部の中から選択された一の被取付部に取り付けられた
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。
【請求項4】
機体は、円弧状長孔部を有し、
操作体は、前記円弧状長孔部に挿入された軸部を有し、前記円弧状長孔部の円弧中心を通る回動中心軸線を中心として回動可能となっており、
回動体は、前記操作体の前記軸部に回動可能に連結された
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
付勢体は、引張コイルばねである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−239740(P2011−239740A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115963(P2010−115963)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】