説明

農業用防虫兼防寒ネット

【課題】職業としての農業はもちろんのこと、素人が家庭的な無農薬栽培の農業において便利な農業用妨虫防寒ネットの提供。
【解決手段】モノフィラメントを用いて縦横に織った農業用防風ネット5を利用し、人造竹とグラスファイバーロッドで門形のアーチを作り、複数本野菜栽培床に立てて、農業用防風ネットの網目に門形アーチの突出したグラスロッド3の両端末に網目を引っ掛けて、網のトンネル作って防虫機能を持たせ、霜・雪害のおそれがある時はポリエチレンフイルムを網のトンネルの中に挿入して冷害を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作物を虫、霜、雪から守る農業用妨虫兼防寒ネットに関し、より詳しくは、家庭菜園で簡単に、又安価に使用できるような農業用妨虫兼防寒ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用妨虫ネットは、虫の害を防ぐもので霜や雪害防止も兼用するものはなかった。
【0003】
農業用妨虫ネットに関しては、透明のモノフィラメントを経糸および緯糸として織ってシート状に形成している。
【0004】
使用に際しては、虫から守りたい植物を覆う。つまりトンネル栽培のように、可撓性を有する複数本の支柱をアーチ状に立てて並べ、その上から農業用防虫ネットを被せると共にともに針金等を用いて防虫ネットを支柱に固定する。
【0005】
しかし、支柱には、防虫ネットを固定するための構成がないので、上述のように針金やクランプを用いる必要があり、例えば家庭菜園のように趣味的な使用なら、時間的余裕があるので使用可能でも、農業を生業とする農家には不向きであった。
【0006】
又支柱に固定する機構を施した特殊な防虫ネットは、そのサイズにおいて、多様な顧客のニーズに応ずる為には、複数種類の規格品の品揃えがなればならず、流通過程に大きな負担となる。
(例えば、特許文献参照)
【特許文献1】特開2002−27900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、生業としての農業はもちろんのこと、家庭菜園的の農業においても便利に使用できるような農業用防虫ネットで防霜・防雪も兼ね得る農業用妨虫兼防寒ネットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、特別に誂えたネットを用意するのではなく、一般的に広く市販されている網目が5mmから6mmのモノフィラメントを用いて縦横織りした農業用防風ネットを流用して、アーチに工夫を凝らした。
【0009】
農業用防風ネットを栽培床にあわせて切断し、門形アーチ複数本を栽培床に立てて、その可撓性を有する水平棒の突出した両端末を防風ネットの網目に突き刺してトンネル状に一体化した。
【0010】
門形アーチの組み立てる要領は図1に示す如く、2本の人造竹又は自然竹を用いて垂直柱2とし、水平棒3の両端末に結合器4を挿通し、水平棒の端末を結合器より数センチメートルはみ出させ、結合器の垂直軸と垂直柱のパイプの内径とを組み合わせてなす。
【0011】
出来上がった門形アーチ複数本を栽培床に立て、その上に栽培床の長さに合わせて切断しておいた防風ネットを均等に被せ、はみ出ている水平棒の片一方の突起をその網目に挿通する。
【0012】
次に挿通してない反対側の突起を網目に刺すが、水平棒をわずかに撓ませるか、網を引っ張って3〜5目内側に差し替えると網は緊設され、風にも耐える一体構造となる。
【0013】
栽培床の長さ方向の弛みは垂直柱の立てる位置を変えて調整する。
【0014】
図2は結合器4の拡大図、図に示す如く41と42の2種類があり、41は一般市販の割ピンを利用し、垂直柱のパイプの穴経に挿通するようスリーブを嵌める。
【0015】
割ピンのリングの内径が水平棒(例えば直径4mmのグラスファイバーロッド)の外経よりわずかに大きめのドリルを使ってあらかじめ挿通できるようさらえてある。
【0016】
42は結合器を量産する場合で、プラスチック成型品の一例を示し、42aはその側面図、42bはその正面図である。
【0017】
図3は本発明の農業用防虫兼防寒ネットを設営した無農薬野菜栽培床のイメージを
表現した斜視図である。
【0018】
一般市販の農業用防風ネットは光透過性がよく、野菜栽培群を風から守る網で、風雨に強く太陽光線を遮らぬ構造であので、野菜の成長に障害とならないし網目を透して野菜の生育状況が把握出来、水かけ等の管理も容易である。
【0019】
この発明に係る農業用妨虫兼防寒ネットは上記のように構造が簡単であるので、垂直柱とグラスファイバー製の水平棒および結合器のみ購入すれば、いかなるサイズにも簡単に施工が出来、長年継続張設できる。
【0020】
野菜の管理をする場合は、ネットのみ一時撤去して全体的な作業をなし、小作業はネットの裾を一部まくり揚げて行う。
【0021】
この発明の防寒ネットとしての機能は、防風ネットで被われた野菜の上に使い古しのポリエチレンまたはビニールシートを複数枚臨時的に広げて、掛ける事によって野菜を霜や降雪からも守る。
【発明の効果】
【0022】
無農薬野菜栽培は虫を箸やピンセットで排除したり、EM菌の助けを借りたりして虫を駆除したりで人手と時間がかかるので、販売価格を高くする必要があったが、この発明が普及すれば、農薬使用の野菜とほぼ同価格で販売出来るようになり、その経済効果は計り知れない。
【0023】
無農薬野菜の栽培が簡単に出来るようになると、人類を含む動物の農薬弊害である、奇病、生殖器機能異常、奇形児等にかかる医療経費が軽減され、癌による死亡者が激減し、健康で長生き出来るようになる。
【0024】
農薬散布による地球の汚染進行に一部分歯止めがかかる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
横幅2mの防風ネットを採用した場合は1m長の水平棒を採用するのが最良の形態で、門形アーチとアーチの間隔は約1メートルが適当であり、10mの野菜栽培床には11組のフレームで済む。
【0026】
防風ネットの網は市販品で横幅1m、2m、4mと選択択出来る、長さも20mや100m単位で選択出来るが、メートル単位でも計り売りが行われている。
【0027】
使用済みの防風ネットをぞんざいに廃棄すると、これまた環境ホルモンの原因物質となる虞があるので、使用説明書にその警告を際立たせ、廃棄処理は必ず地方自治体の高温度溶解炉等で処理し、火力発電の原料又は温水プールの熱源となる道を選ばせなければならない。
【0028】
廃棄処理は地球温暖化抑制の観点から、ナフサに戻す技術と回収機構の充実が最も理想的であるが、それには本発明のさらなる普及を待つほかない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の重要要素である門形アーチを示す。
【図2】その結合器の拡大面を示す。
【図3】防虫ネットを施した栽培床の斜視図、
【図4】栽培床に野菜が生育し、モンシロ蝶が網の外で舞っている様子を示す。
【符号の説明】
【0030】
2 垂直柱
3 水平棒
4 結合器
5 防風ネット
6 野菜
13 野菜栽培床
41 割ピン結合器
41s スリーブ
42a 合成樹脂結合器(側面)
42b 合成樹脂結合器(正面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノフィラメントを用いて縦横織りした農業用防風ネットを農業栽培床にあわせて切断し、水平棒の両端末が角のよう突出した門形アーチを作り、複数本を栽培床に立てて、防風ネットの網目に突き刺して引っ掛け、トンネル状にした事を特徴とする農業用防虫兼防寒ネット。
【請求項2】
前記門形アーチの結合部を、金属又は合成樹脂の割ピンを利用してなる請求項1に記載の農業用防虫兼防寒ネット。
【請求項3】
前記門形アーチの結合部を、合成樹脂で垂直柱の上に水平棒がT字状に結合さす部品を利用してなる請求項1の農業用防虫兼防寒ネット。
【請求項4】
前記門形アーチに防風ネットを掛ける時水平棒の可撓性を利用して、防風ネットの網目に張設が容易にした請求項1の農業用防虫兼防寒ネット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−136163(P2009−136163A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313052(P2007−313052)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000105958)サガ電子工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】