説明

農芸用ビニールハウス

【課題】高所での危険な作業を省略でき、施工コストの低減が可能な農芸用ビニールハウスを提供する。
【解決手段】農芸用ビニールハウス10は複数本の門型パイプフレーム11を地上に並列に立設してハウスの骨格を構成し、骨格の上からビニールシート23を張設して構成する。各門型パイプフレームをハウスの天井部分を形成するアーチパイプ31と、ハウスの側面を形成する脚パイプ11aに分割し、さらに脚パイプ11aは下端部を地中に埋設したベースパイプ32と、中間パイプ33とに分割する。各パイプを回動可能に連結して折畳態勢から起立態勢へ変動するように構成し、門型パイプフレームが折畳態勢にあるときは、アーチパイプが下端部を地面に近接するとともに地面から略垂直に延び、ベースパイプの上端部から中間パイプがアーチパイプの下端部へと延びる。また起立態勢にあるときは、脚パイプとアーチパイプの下端部が略垂直に整列保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農芸用ビニールハウスに関し、より詳しくは農芸用ビニールハウスの骨組構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に農芸用ビニールハウスは、多数の門型パイプフレームを地面に並列に立設してハウスの骨組を構成し、骨組の上からビニールシートを張設して組み立てられている。
【特許文献1】特開平5−15260
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の農芸用ビニールハウスでは、屋根裏空間に滞留する熱気が農芸作物に悪影響を及ぼすのを防止するため、天井付近に換気窓や換気ファンを設けている。 従来の農芸用ビニールハウスでは、こういった換気窓や換気ファンの設置作業あるいは屋根を覆うシートの張設作業を高所で行わなければならず、かかる作業は危険を伴うだけでなく作業効率が悪いので、施工コスト高の一因となっている。
本発明はかかる問題点に鑑み、高所での危険な作業を省略でき、施工コストの低減が可能な農芸用ビニールハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は複数本の門型パイプフレームを地上に並列に立設してハウスの骨格を構成し、該骨格の上からビニールシートを張設した農芸用ビニールハウスであって、前記各門型パイプフレームをビニールハウスの天井部分を形成するアーチパイプと、ビニールハウスの側面を形成する脚パイプに分割し、さらに脚パイプを地中に先端部が埋設されるベースパイプと、該ベースパイプと前記アーチパイプとを連結する中間パイプとに分割し、
該門型パイプフレームを折り畳み態勢から起立態勢へ変動するようにアーチパイプと中間パイプ及び中間パイプとベースパイプを回動可能に連結し、
前記門型パイプフレームが折り畳み態勢にあるとき、アーチパイプの下端部が地面に近接するとともに地面から略垂直に延び、下端部を地中に埋設したベースパイプの上端部から中間パイプがアーチパイプの下端部へと延び、
前記門型パイプフレームが起立態勢にあるとき、ベースパイプと中間パイプ及びアーチパイプの下端部が略垂直に整列し、
かつ前記門型パイプフレームを起立態勢に保つため前記アーチパイプと中間パイプとの連結部に両パイプを略一直線に整列保持する第1ロック手段を設けるとともに、中間パイプとベースパイプとの連結部に両パイプを略一直線に整列保持する第2ロック手段を設ける。
そして、好ましくは前記第1ロック手段として起立態勢においてアーチパイプの下端部と中間パイプの上端部が嵌合するように構成する。
また、前記第2ロック手段として起立態勢において、前記中間パイプの下端部とベースパイプの上端部が嵌合するように構成する。
また、好ましくは前記第1ロック手段として前記アーチパイプの下端部にアーチパイプ側フランジを設けるとともに、前記中間パイプの上端部に起立態勢においてアーチパイプ側フランジが重合する中間パイプ側アッパフランジを設ける。
さらに好ましくは、前記第2ロック手段として前記中間パイプの下端部に中間パイプ側ロアフランジを設けるとともに、前記ベースパイプの上端部に起立態勢において中間パイプ側ロアフランジが重合するベースパイプ側フランジを設ける。
また、前記アーチパイプと中間パイプの連結部の近傍に第1フレームを連結し、中間パイプとベースパイプの連結部の近傍に第2フレームを連結し、第1フレームと第2フレームを連結して中間パイプと第1フレーム及び第2フレームで中間パイプを底辺とする略三角形の骨組を形成し、該三角形の骨組の頂点にワイヤ若しくはロッドを連結し、該ワイヤ若しくはロッドを引張して前記門型パイプフレームを折り畳み態勢から起立態勢へと変動させるように構成する。
さらに好ましくは前記中間パイプとアーチパイプの連結部の近傍に支持フレームの一端を回動可能に連結し、前記ワイヤ若しくはロッドの引張時に該支持フレームの他端が地面に摺接するように構成する。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る農芸用ビニールハウスは、ハウスの骨格を構成する門型パイプフレームが折り畳み態勢から起立態勢へと変動させることができる。そして、折り畳み態勢ではハウスの天井部分を構成するアーチパイプはその下端部が地面に近接するので、換気ファンや換気窓を天井付近に設置する作業あるいは屋根を覆うビニールシートの張設作業を低所で実施できる。
換気ファン等の設置作業をした後、門型パイプフレームを起立態勢へ動かすと、アーチパイプと中間パイプ及びベースパイプが垂直に整列してハウスの骨格が構成される。
このように従来高所で行われていた換気ファンの設置作業、屋根を覆うビニールシートの張設作業等を低所で行うことができるので、作業効率が向上し、作業の危険性も低減でき、施工コストの低減が可能となる。
【0006】
門型パイプフレームが折り畳み態勢にあるとき、中間パイプはアーチパイプの下端部からベースパイプの上端部へと地面に沿って延びているが、中間パイプと第1フレーム及び第2フレームで三角形の骨組を構成し、三角形の骨組の頂点をワイヤ若しくはロッドで引張することにより容易に門型パイプフレームを起立態勢へと動かすことができる。
【0007】
中間パイプに支持フレームを連結することにより、ワイヤ若しくはロッドを引張して門型パイプフレームを折り畳み態勢から起立態勢へと動かすとき、支持フレームが地面に摺接するので、起立態勢になる前にワイヤ若しくはロッドを緩めても門型パイプフレームは支持フレームによって支えられる。このため、門型パイプフレームは折り畳み態勢には戻らず、起立態勢と折り畳み態勢の中間の態勢に保つことができ、作業の安全を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
複数本の門型パイプフレームを地上に並列に立設してハウスの骨格を構成し、該骨格の上からビニールシートを張設した農芸用ビニールハウスであって、前記各門型パイプフレームをビニールハウスの天井部分を形成するアーチパイプと、ビニールハウスの側面を形成する脚パイプに分割し、さらに脚パイプを地中に先端部が埋設されるベースパイプと、該ベースパイプと前記アーチパイプとを連結する中間パイプとに分割し、
該門型パイプフレームを折り畳み態勢から起立態勢へ変動するようにアーチパイプと中間パイプ及び中間パイプとベースパイプを回動可能に連結し、
前記門型パイプフレームが折り畳み態勢にあるとき、アーチパイプが下端部を地面に近接するとともに地面から略垂直に延び、下端部を地中に埋設したベースパイプの上端部から中間パイプがアーチパイプの下端部へと延び、
前記門型パイプフレームが起立態勢にあるとき、ベースパイプと中間パイプ及びアーチパイプの下端部が略垂直に整列し、
かつ起立態勢においてアーチパイプの下端部と中間パイプの上端部が嵌合し、中間パイプの下端部とベースパイプの上端部が嵌合するように構成する。
【0009】
前記アーチパイプと中間パイプの連結部の近傍に第1フレームを連結し、中間パイプとベースパイプの連結部の近傍に第2フレームを連結し、第1フレームと第2フレームを連結して中間パイプと第1フレーム及び第2フレームで中間パイプを底辺とする三角形の骨組を形成し、該三角形の骨組の頂点にワイヤを連結し、該ワイヤを引張して前記門型パイプフレームを折り畳み態勢から起立態勢へと変動させるように構成する。
【0010】
前記中間パイプとアーチパイプの連結部の近傍に支持フレームの一端を回動可能に連結し、前記ワイヤの引張時に該支持フレームの他端が地面に摺接するように構成する。
【実施例1】
【0011】
以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1には本発明の第1実施例に係る農芸用ビニールハウス10が示されている。当該ビニールハウス10は複数本の門型パイプフレーム11、横パイプ12,13、縦パイプ14,15、棟パイプ16,17梁パイプ18,19,20,21、左右2本のベースプレート22を備えている。
【0012】
各ベースプレート22は断面L字形を有し、底面の長手方向に沿って一定間隔で貫通穴22a(図4参照)が形成されている。ビニールハウス10は、門型パイプフレーム11を地面に敷設したベースプレート22の貫通穴22aに挿入立設し、ベースプレート22に沿って貫通穴22aの間隔で並ぶ門型パイプフレーム11の列を形成し、各門型パイプフレーム11を棟パイプ16,17、上下2段の横パイプ12,13、縦パイプ14,15、梁パイプ18,19,20,21で連結してハウスの骨格を構成し、該骨格の上からビニールシート23を張設して組み立てられている。ビニールハウス10の側面正面寄りにドア24が取り付けられ、正面中央上部には換気ファン25が取り付けられている。ビニールハウスの背面には外気導入口26が設けられ、導入口26にシャッター27が取付られている。
【0013】
図2に示すように、各門型パイプフレーム11はビニールハウス10の天井部分を構成するアーチパイプ31と、ビニールハウス10の側面を形成する左右2本の脚パイプ11aからなり、さらに各脚パイプ11aは下端部が地面に立設されるベースパイプ32及びアーチパイプ31とベースパイプ32を連結する中間パイプ33の3パイプに分割され、アーチパイプ31と中間パイプ33及び中間パイプ33とベースパイプ32を連結して構成されている。
【0014】
図3に門型パイプフレーム11のアーチパイプ31と中間パイプ33の連結構造の詳細を示す。アーチパイプ31と中間パイプ33が連結金具40で連結されている。連結金具40は第1リンク41と第2リンク42を備え、両リンク41,42がピン43で回動可能に連結されている。第1リンク41の一側には直角折り曲げ片41aが形成され、略ピン43の位置まで延びている。第2リンク42のピン側端部の一側に突起42aが形成され、他側に段差部42bが形成されている。第1リンク41と第2リンク42を相対的に回動し、第1リンク41の直角折り曲げ片41aのピン側端部が第2リンク42の突起42aに当接させると両リンク41,42が略一直線に整列する。
【0015】
アーチパイプ31と中間パイプ33は、アーチパイプ31の下端部に第1リンク41を嵌入し、中間パイプ33に第2リンク42を嵌入することにより互いに回動可能に連結されている。第2リンク42を中間パイプ33に嵌入すると、その突起42aと段差部42bが中間パイプ33の開口端面に当接するので、それ以上中間パイプ33中に埋入することはなく、ピン43は中間パイプ33の開口端面から露出する。
【0016】
中間パイプ33の第2リンク42が嵌入される端部33aの外径はアーチパイプ31の下端部の内径より小さく成形されているので、第1リンク41と第2リンク42が略一直線に整列するまで、両パイプ31,33を回動したとき、アーチパイプ31の下端部が中間パイプ33の先細の先端部33aに被さるように嵌合し、一直線に整列する。
【0017】
中間パイプ33とベースパイプ32は、アーチパイプ31と中間パイプ33の連結構造と同様の構造を備え、連結部材40の第1リンク41を中間パイプ33に嵌入し、第2リンク42をベースパイプ32の上端部に嵌入して回動可能に連結されている。また、中間パイプ33とベースパイプ32が略一直線に整列したとき、中間パイプ33がベースパイプ32に重なって嵌合するようにベースパイプ32の上端部の外径は中間パイプ33の内径より小さく成形されている。アーチパイプ31と中間パイプ33の連結部に取り付けた連結部材40は本発明における第1ロック手段を構成し、中間パイプ33とベースパイプ32の連結部に取り付けた連結部材が本発明の第2ロック手段を構成する。
【0018】
門型パイプフレーム11の構造は以上の通りであって、次ぎに同パイプ11を用いて農芸用ビニールハウス10を組み立てる手順を図4及〜図7に基づき説明する。
図4に示すように地面にベースプレート22を敷設し、折り畳み態勢にある門型パイプフレーム11のベースパイプ32をベースプレート22の貫通穴22aに挿入して立設し、アーチパイプ31の下端部を地面に立設する。複数本の門型パイプフレーム11を折り畳んだ状態でベースプレート22に沿って並べる。門型パイプフレーム11が折り畳み態勢にあるとき、アーチパイプ31が下端部を接地するとともに地面から略垂直に延び、下端部を地中に埋設したベースパイプ32の上端部から中間パイプ33がアーチパイプ31の下端部へと傾斜して延びている。また、アーチパイプ31と中間パイプ33を連結する連結部材40は逆ハの字に折れ曲がり、中間パイプ33とベースパイプ32を連結する連結部材40はハの字に折れ曲がっている。
【0019】
図5(A)及び図6(A)に示すように、折り畳んだ門型パイプフレーム11をベースプレート22に沿って列設する。門型パイプフレーム11を折り畳んだ状態ではアーチパイプ31の下端部が地面に接地しているので、高所用の足場を要することなく地面に立ったまま各種作業、例えば、上下2段の横パイプ12,13、縦パイプ14,15、棟パイプ16,17、梁パイプ18,19,20,21等をアーチパイプ31に固定する作業やアーチパイプ31の上からビニールシートを被せて張設する作業、換気ファン25の設置作業等を行う。
【0020】
また、門型パイプフレーム11を折り畳んだ状態で門型パイプフレーム11に三角形の骨組50を組み付ける。ハウスの骨格を構成する複数の門型パイプフレーム11には例えば5本毎に左右一対の三角形の骨組50が組み付けられている。この三角形の骨組50は中間パイプ33と第1フレーム51及び第2フレーム52で構成され、第1フレーム51の一端が中間パイプ33のアーチパイプ31側端部に連結され、第2フレーム52の一端が中間パイプ33のベースパイプ32側端部に連結されている。そして、両フレーム51,52を連結して中間パイプ33を底辺とする三角形の骨組50が形成されている。また、門型パイプフレーム11の転倒防止のため中間パイプ33のアーチパイプ31側端部に支持フレーム53の一端を回動可能に連結し、地面に横たえておく。
図7に、中間パイプ33と第1フレーム51及び支持フレーム53の結合構造を示す。ブラケット54を中間パイプ33のアーチパイプ31側端部に固着する。第1フレーム51はプレス加工によって板状先端部51aが成形されている。同じく支持フレームも板状先端部53aが成形されている。第1フレーム51と支持フレーム53は先端部51a,53aがピン55でブラケットに回動可能に連結されている。
【0021】
門型パイプフレーム11の右側の中間パイプ33に組み付けられた複数組の三角形の骨組50の頂点を一本のワイヤ56で連結し、同様にして左側の中間パイプ33に組み付けた三角形の骨組50を一本のワイヤ56で連結する。さらに、右側のアーチパイプ31の端部と左側のベースパイプパイプの下端部間及び左側のアーチパイプ31の端部と右側のベースパイプの下端部間にそれぞれ横揺れ防止のためワイヤ57を張る。
【0022】
アーチパイプ31内部での各種作業を終えた後、図5(B)及び図6(B)に示すように、2本のワイヤ56をウィンチで巻き上げて引張する。門型パイプフレーム11が折り畳まれた状態では三角形の骨組50を構成する中間パイプ33のアーチパイプ31側端部は接地しているが、ワイヤ56を引っ張ることにより三角形の骨組50が中間パイプ33のベースパイプ32側端部を支点にして上方へ回動され、中間パイプ33のアーチパイプ31側端部が地面から離れて引き起こされる。一方、門型パイプフレーム11が折り畳まれた状態では地面に横たわっていた支持フレーム53は三角形の骨組50の上方回動に伴い、自由端側を地面に摺接したまま中間パイプ33との連結端部が引き起こされる。このとき自由端は図6(B)に示すように中間パイプ33の下端部から内側へ偏って傾斜する。また、このときアーチパイプ31と中間パイプ33の連結部材40は図8に示すように逆ヘの字に、また中間パイプ33とベースパイプ32との連結部材はへの字に拡開する。
【0023】
さらにワイヤ56を引張し、図5(C)に示すように中間パイプ33が垂直になるまで三角形の骨組50を引き起こす。図9に示すように、中間パイプ33が垂直になるとベースパイプ32及びアーチパイプ31の下端部が一直線に整列し、ハウスの骨格は起立態勢になる。このとき図3の2点鎖線で示すように、連結部材40は直角折り曲げ片41aの端部が突起42aに当たり、第1リンク41と第2リンク42が一直線に整列する。
【0024】
ベースパイプ32と中間パイプ33及びアーチパイプ31の下端部が一直線に整列すると、図10に示すようにアーチパイプ31の下端部が中間パイプ33の上端部に被さるように嵌合し、中間パイプ33の下端部がベースパイプ32の上端部に被さるように嵌合する。これにより門型パイプフレーム11は起立状態になり、その状態が保持されてハウスの骨格が形成される。その後、三角形の骨組50と支持フレームを取り外す。
【実施例2】
【0025】
本発明の第2実施例に係る農芸用ビニールハウスの主要部の構成を図11〜図15に基づき説明する。本実施例に係る農芸用ビニールハウスでは図11に示すように、門型パイプフレーム11を構成するアーチパイプ31と中間パイプ33及び中間パイプ33とベースパイプ32がそれぞれ連結部材60によって回動可能に連結されている。
【0026】
連結部材60は図12に示すように、第1リンク61と第2リンク62を備え、両リンク61,62が軸ピン63で回動可能に連結されている。第1リンク61の連結側端部の一側面にはストッパ面61aが形成されている。アーチパイプ31と中間パイプ33は図13に示すように、第1リンク61をアーチパイプ31の下端部に嵌入し、第2リンク62を中間パイプ33の先細の先端部33aに嵌入することにより回動可能に連結されている。同様にして、中間パイプ33とベースパイプ32は、中間パイプ33に第1リンク61を嵌入し、ベースパイプ32に第2リンク62を嵌入することにより回動可能に連結されている。詳しくは後述するが、ストッパ面61aはアーチパイプ31に対し中間パイプ33を回動したとき、及び中間パイプ33に対しベースパイプ32を回動したときアーチパイプ31と中間パイプ33及び中間パイプ33とベースパイプ32が一直線に整列する位置決め手段として作用する。
【0027】
アーチパイプ31の下端部にブラケット71が固着され、該ブラケット71に2本のピン72でそれぞれ第1フレーム73と支持フレーム74が回動可能に連結されている。一方、中間パイプ33のベースパイプ32側端部にブラケット75が固着され、該ブラケット75にピン76で第2フレーム77が回動可能に連結されている。そして、第1フレーム73と第2フレーム77がピン78で回動可能に連結され、中間パイプ33と第1フレーム73及び第2フレーム77によって中間パイプ33を底辺とする略三角形の骨組70が構成されている。
【0028】
先頭の三角形の骨組70の頂部にワイヤ56が連結されるとともに、後続の三角形の骨組70の頂部が連結用フレーム79で連結されている。
【0029】
第2実施例に係る農芸用ビニールハウスの主要部の構成は以上の通りであって、他の構成は第1実施例と同じであるので、説明を省略する。
【0030】
本実施例に係る農芸用ビニールハウスの組立の手順を説明する。図11及び図14(A)に示すように、折り畳んだ門型パイプフレーム11をベースプレート22に沿って列設する。その際、予めベースプレート22に立設したベースパイプ32に連結部材60の第2リンク62を挿入し、第1リンク61を中間パイプ33に挿入して両パイプを連結する。また、図11に示すように、三角形の骨組70を組み付けたアーチパイプ31に固定されている横パイプ13とベースプレート22間にジャッキ80を設置してアーチパイプ31の下端部とベースプレート22間に所要の隙間を形成し、この隙間を利用して連結部材60の第2リンク62を中間パイプ33に挿入し、第1リンク61をアーチパイプ31に挿入する。
【0031】
門型パイプフレーム11を折り畳んだ状態では中間パイプ33が地面に沿って延び、アーチパイプ31の下端部が地面に近接しているので、高所用の足場を要することなく地面に立ったまま各種作業、例えば、ビニールシート23の張設作業や換気ファン25の設置作業等を行う。
【0032】
また、門型パイプフレーム11を折り畳んだ状態で門型パイプフレーム11に三角形の骨組70を組み付ける。続いて先頭の三角形の骨組70の頂部にワイヤ56を連結するとともに、後続の三角形の骨組70の頂部間を連結用フレーム79で連結する。
【0033】
アーチパイプ31内外部での各種作業を終えた後、図14(B)に示すように、ワイヤ56をウィンチで巻き上げて引張する。門型パイプフレーム11が折り畳まれた状態では三角形の骨組70を構成する中間パイプ33は地面に沿って延びているが、ワイヤ56を引っ張ることにより三角形の骨組70が中間パイプ33のベースパイプ32側端部を支点にして上方へ回動され、中間パイプ33のアーチパイプ31側端部が引き起こされる。一方、支持フレーム74は三角形の骨組70の上方回動に伴い、自由端側を地面に摺接したままアーチパイプ31との連結端部が引き起こされる。
【0034】
さらにワイヤ56を引張し、図14(C)に示すように中間パイプ33が垂直になるまで三角形の骨組70を引き起こす。それに伴い、図15に示すように、第1リンク61のストッパ面61aとストッパ面61aの反対側に形成されている円弧面61bが中間パイプの先細の先端部33aの内面に当接するので、中間パイプ33の回動が規制される。その結果、連結部材60は第1リンク61と第2リンク62が一直線に整列し、中間パイプ33が垂直になる。これによりベースパイプ32及びアーチパイプ31の下端部が一直線に整列し、ハウスの骨格は起立態勢になる。第1リンク61と第2リンク62が一直線に整列すると、アーチパイプ31の下端部が中間パイプ33の上端部に被さるように嵌合し、中間パイプ33の下端部がベースパイプ32の上端部に被さるように嵌合する。これにより門型パイプフレーム11は起立状態になり、その状態が保持されてハウスの骨格が形成される。その後、三角形の骨組70と支持フレーム74及びジャッキ80を取り外す。
【実施例3】
【0035】
本発明の第3実施例に係る農芸用ビニールハウスの主要部の構造を図16に示す。第1実施例及び第2実施例に係る農芸用ビニールハウスは門型パイプフレーム11として断面円形のパイプ材を使用しているが、本実施例に係る農芸用ビニールハウスでは門型パイプフレーム90に断面四角のパイプ材を使用している。そして、図17に示すように、門型パイプフレーム90を構成するアーチパイプ91の下端面に四角形のプレートを溶接してアーチパイプ側フランジ92を形成している。同様にして中間パイプ93の両端面に中間パイプ側アッパフランジ94と中間パイプ側ロアフランジ95を設ける。また図18に示すように、ベースパイプ96の上端面にベースパイプ側フランジ97を設けている。各フランジ92,94,95,97の四隅にはそれぞれ通孔98が形成されている。
【0036】
門型パイプフレーム90は、アーチパイプ側フランジ92と中間パイプ側アッパフランジ94をヒンジ99で連結してアーチパイプ91と中間パイプ93を回動可能に連結し、中間パイプ側ロアフランジ95とベースパイプ側フランジ97をヒンジ100で連結して中間パイプ93とベースパイプ96を回動可能に連結して構成されている。
【0037】
第3実施例に係る農芸用ビニールハウスはその骨格をかかる門型パイプフレーム90で構成する。折り畳み態勢にある門型パイプフレーム90を引き起こすと、図19に示すようにアーチパイプ91と中間パイプ93及びベースパイプ96が回動する。そして、アーチパイプ側フランジ92と中間パイプ側アッパフランジ94が重合し、中間パイプ側ロアフランジ95とベースパイプ側フランジ97が重合するまで各パイプを回動する。図20に示すように、アーチパイプ側フランジ92と中間パイプ側アッパフランジ94が重合し、中間パイプ側ロアフランジ95とベースパイプ側フランジ97が重合することによりアーチパイプ91と中間パイプ93及び中間パイプ93とベースパイプ96が一直線に整列するので、通孔98にボルト101を通してアーチパイプ91と中間パイプ93及び中間パイプ93とベースパイプ96を結合し、ビニールハウスの骨格を組み立てる。
【0038】
本実施例に係る農芸用ビニールハウスによれば、連結部材としてフランジ92,94,95,97を各パイプ材91,93,96に設けるだけの簡単な構造により門型パイプフレーム90を起立態勢に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例に係る農芸用ビニールハウスの骨格の全体を示す斜視図である。
【図2】同ビニールハウスの門型パイプフレームを示す正面図である。
【図3】同門型パイプフレームにおけるアーチパイプと中間パイプとの連結部を示す断面図である。
【図4】同門型パイプフレームの折り畳み態勢を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る農芸用ビニールハウスの骨格の折り畳み態勢から起立態勢への変動を示す側面図である。
【図6】同ビニールハウスの骨格の折り畳み態勢から起立態勢への変動を示す正面図である。
【図7】中間パイプと第1フレーム及び支持フレームの結合構造部分を示す側面図である。
【図8】門型パイプフレームの折り畳み態勢と起立態勢の中間の態勢を示す断面図である。
【図9】門型パイプフレームの起立態勢を示す断面図である。
【図10】門型パイプフレームの起立態勢を示す正面から見た断面図である。
【図11】本発明の第2実施例に係る農芸用ビニールハウスの門型パイプフレームの主要部を示す側面図である。
【図12】同主要部を構成する連結部材を示す分解斜視図である。
【図13】同農芸用ビニールハウスのアーチパイプと中間パイプの折り畳み態勢における連結部分を示す部分断面図である。
【図14】本発明の第2実施例に係る農芸用ビニールハウスの骨格の折り畳み態勢から起立態勢への変動を示す側面図である。
【図15】同農芸用ビニールハウスのアーチパイプと中間パイプの起立態勢における連結部分を示す部分断面図である。
【図16】本発明の第3実施例に係る農芸用ビニールハウスの門型パイプフレームを示す側面図である。
【図17】同門型パイプフレームのアーチパイプの下端部を示す底面図である。
【図18】同門型パイプフレームのベースパイプの上端部を示す平面図である。
【図19】同門型パイプフレームの回動状態を示す側面図である。
【図20】同門型パイプフレームの起立態勢を示す側面図である。
【符号の説明】
【0040】
10…農芸用ビニールハウス、11,90…門型パイプフレーム、11a…脚パイプ、22…ベースプレート、31…アーチパイプ、32…ベースパイプ、33…中間パイプ、40,60…連結部材、41,61…第1リンク、42,62…第2リンク、50,70…三角形の骨組、51,73…第1フレーム、52,77…第2フレーム、53,74…支持フレーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の門型パイプフレームを地上に並列に立設してハウスの骨格を構成し、該骨格の上からビニールシートを張設した農芸用ビニールハウスであって、前記各門型パイプフレームをビニールハウスの天井部分を形成するアーチパイプと、ビニールハウスの側面を形成する脚パイプに分割し、さらに脚パイプを地中に先端部が埋設されるベースパイプと、該ベースパイプと前記アーチパイプとを連結する中間パイプとに分割し、
該門型パイプフレームを折り畳み態勢から起立態勢へ変動するようにアーチパイプと中間パイプ及び中間パイプとベースパイプを回動可能に連結し、
前記門型パイプフレームが折り畳み態勢にあるとき、アーチパイプの下端部が地面に近接するとともに地面から略垂直に延び、下端部を地中に埋設したベースパイプの上端部から中間パイプがアーチパイプの下端部へと延び、
前記門型パイプフレームが起立態勢にあるとき、ベースパイプと中間パイプ及びアーチパイプの下端部が略垂直に整列し、
かつ前記門型パイプフレームを起立態勢に保つため前記アーチパイプと中間パイプとの連結部に両パイプを略一直線に整列保持する第1ロック手段を設けるとともに、中間パイプとベースパイプとの連結部に両パイプを略一直線に整列保持する第2ロック手段を設けたことを特徴とする農芸用ビニールハウス。
【請求項2】
前記第1ロック手段として起立態勢においてアーチパイプの下端部と中間パイプの上端部が嵌合するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の農芸用ビニールハウス。
【請求項3】
前記第2ロック手段として起立態勢において、前記中間パイプの下端部とベースパイプの上端部が嵌合するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の農芸用ビニールハウス。
【請求項4】
前記第1ロック手段として前記アーチパイプの下端部にアーチパイプ側フランジを設けるとともに、前記中間パイプの上端部に起立態勢においてアーチパイプ側フランジが重合する中間パイプ側アッパフランジを設けたことを特徴とする請求項1に記載の農芸用ビニールハウス。
【請求項5】
前記第2ロック手段として前記中間の下端部に中間パイプ側ロアフランジを設けるとともに、前記ベースパイプの上端部に起立態勢において中間パイプ側ロアフランジが重合するベースパイプ側フランジを設けたことを特徴とする請求項1又は4に記載の農芸用ビニールハウス。

【請求項6】
前記アーチパイプと中間パイプの連結部の近傍に第1フレームを連結し、中間パイプとベースパイプの連結部の近傍に第2フレームを連結し、第1フレームと第2フレームを連結して中間パイプと第1フレーム及び第2フレームで中間パイプを底辺とする略三角形の骨組を形成し、該三角形の骨組の頂点にワイヤ若しくはロッドを連結し、該ワイヤ若しくはロッドを引張して前記門型パイプフレームを折り畳み態勢から起立態勢へと変動させるように構成したことを特徴する請求項1に記載の農芸用ビニールハウス。
【請求項7】
前記中間パイプとアーチパイプの連結部の近傍に支持フレームの一端を回動可能に連結し、前記ワイヤ若しくはロッドの引張時に該支持フレームの他端が地面に摺接するように構成したことを特徴とする請求項6に記載の農芸用ビニールハウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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