説明

農薬散布支援方法

【課題】作物に対する農薬の付着量を予め予測することが可能な農薬散布支援方法を提供する。
【解決手段】この農薬散布支援方法は、農薬濃度測定工程と、付着量予測工程と、を含む。前記農薬濃度測定工程においては、農薬散布対象圃場において、農薬散布後に赤外光を投光して、当該赤外光を受光した受光データをスペクトル分析することにより空気中の農薬濃度を測定する。前記付着量予測工程においては、当該測定した農薬濃度と、予め用意した付着量データベースと、に基づいて作物に対する農薬の付着量を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬散布時に、農薬の散布状況を自動的に判断して農薬散布作業を支援するための農薬散布支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線操縦による農薬散布用のヘリコプター(以下、無線ヘリ)を用いることにより、空中から圃場に農薬を散布する防除作業が広く行われている。このように空中から農薬を散布する場合、風量や風向きなどの気象条件によっては、作物に対して期待通りに農薬が付着せず、所期の農薬付着量を得られない場合がある。
【0003】
この点に関し、農薬散布作業の終了後、作物の表面を適宜の方法で検査することにより、農薬の付着量を測定する技術が公知である。
【0004】
また、特許文献1は、オープンパスシステムを採用したフーリエ変換赤外分光光度計を用いて、農薬散布時に農薬散布対象圃場の空気中の農薬濃度を計測するガス濃度検出方法を開示する。更に、特許文献2は、同様の測定器を用いて、農薬散布時に発生する農薬のドリフト(突風などによって散布対象圃場外に農薬が飛散する現象)を検出するドリフト検出方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−96228号公報
【特許文献2】特開2008−96227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、農薬の散布後、空中の農薬が落ち着いて最終的に作物に付着するまでには一定の時間を要する。即ち、作物の表面を検査する上記の方法においては、農薬の付着量を知ることができるのは農薬散布後に所定時間経過した後であり、散布中及び散布直後に農薬の付着量を知ることはできない。また、上記の方法は、付着量の測定のために作物を回収する作業が必要になり、工数の増大を招いていた。従って、農薬散布の段階では、例えば風が強い時などに農薬の散布量をどのように調整すべきかは、オペレータの経験に頼る部分が大きかった。
【0007】
また、上記の検査方法では、例えばオペレータの不注意によって間違った農薬の散布を開始した場合であっても、農薬散布が終了して作物表面を検査するまではその誤りに気付くことができない。従って、不適切な農薬を最後まで散布して損害を拡大させてしまうことも多かった。
【0008】
一方、特許文献1及び特許文献2は、農薬濃度又はドリフトの検出に光分析技術を用いることで、即時に(即ち、農薬散布中又は散布直後に)結果を得ることができるとする。しかし、特許文献1及び2の構成で知ることができるのは、測定を行った時点におけるドリフト量又は空中の農薬濃度であり、作物の表面に最終的に付着する量を知ることはできない。
【0009】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、作物に対する農薬の付着量を予め予測することが可能な農薬散布支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の観点によれば、農薬濃度測定工程と、付着量予測工程と、を含む農薬散布支援方法が提供される。前記農薬濃度測定工程においては、農薬散布対象圃場又は当該農薬散布対象圃場の近傍において、農薬散布中又は農薬散布後に赤外光を投光して、当該赤外光を受光した受光データをスペクトル分析することにより空気中の農薬濃度を測定する。前記付着量予測工程においては、前記測定した農薬濃度と、予め用意したデータベースと、に基づいて作物に対する農薬の付着量を予測する。
【0012】
即ち、この方法では空気中の農薬の濃度を測定しているので、空中に浮遊している農薬が落ち着いて作物に付着する前であっても、農薬の付着量を予測することができる。また、従来技術と異なり、農薬の付着量を測定するために作物を回収する作業を省略することができる。更に、光分析技術を用いることで即時に結果が分かるため、散布する農薬の量を、予測結果に応じてその場で柔軟に調整することができる。従って、無駄な農薬の消費を防ぐとともに、作物に対して過剰に農薬が付着してしまうことを防止することができる。
【0013】
前記の農薬散布支援方法においては、以下のような方法を採ることが好ましい。即ち、前記データベースのデータには、異なる条件で農薬を散布したときに、空気中の農薬濃度と、作物への農薬の最終的な付着量と、を測定したデータが含まれる。また、前記条件は、単位面積あたりの農薬の散布量、天候、風速、風向、日照条件、気温、及び農薬を散布してから前記空気中の農薬濃度を測定するまでに経過した時間のうち、少なくとも何れか1つを含む。
【0014】
これにより、風速などを考慮して農薬の付着量を予測することができるので、農薬付着量の正確な予測値を得ることができる。
【0015】
前記の農薬散布支援方法においては、前記スペクトル分析を農薬散布中に行い、農薬の種類を判定することが好ましい。
【0016】
これにより、間違った農薬の散布を開始してしまった場合などを検知することができる。
【0017】
前記の農薬散布支援方法においては、判定された前記農薬の種類が、予め設定された農薬の種類と異なる場合に、農薬の種類が違うことを通知することが好ましい。
【0018】
これにより、農薬散布中の作業者に対して農薬の種類が間違っていることを通知することができるので、間違った農薬を散布し続けてしまうことを防止できる。これにより、不注意によって不適切な農薬を無駄に消費してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る農薬散布支援方法に用いられる農薬散布支援装置の外観斜視図。
【図2】農薬散布支援装置の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る農薬散布支援方法に用いられる農薬散布支援装置1の外観斜視図、図2は農薬散布支援装置1の機能ブロック図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、農薬散布支援装置1は、測定装置2と、コンピュータ3と、反射鏡4と、警報装置5と、を備える。
【0022】
この測定装置2は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いた計測機器であって、その計測方法としては、いわゆるオープンパスシステムが採用されている。このオープンパスシステムとは、当該測定装置2の外部に赤外光を発射し、反射鏡4によって反射した赤外光を観測することで、当該赤外光の経路上のガス濃度を測るものである。この計測方法により、屋外のように開放された空間における大気中のガス濃度を測定することができる。
【0023】
FT−IRを用いた計測機器の構成は公知であるので測定装置2の詳細な構成は省略するが、この測定装置2は、光源20と、干渉計21と、望遠鏡22と、検出器23と、A/D変換器24と、を備えている。
【0024】
この測定装置2を用いてガス濃度を計測する際には、計測対象空間の一端側に測定装置2を、他端側に反射鏡4をそれぞれ配置する。そして、光源20からの赤外光を、干渉計21を介して望遠鏡22から測定装置2の外部に投光し、反射鏡4によって反射された光を再び望遠鏡22で集光して、集光された光を検出器23で検出する。
【0025】
検出器23で検出された検出信号は、A/D変換器24によってデジタル信号に変換され、コンピュータ3に対して出力される。
【0026】
図2に示すように、当該コンピュータ3は、表示部30と、入力部31と、演算部32と、検索ライブラリ33と、付着量データベース(データベース)34と、ハードディスク35と、を備える。
【0027】
表示部30は一般的な液晶ディスプレイ又はブラウン管ディスプレイとして構成され、測定装置2からの信号を分析した結果を、文字又はグラフィックス等により表示することが可能である。入力部31は複数の入力キーを備えており、オペレータが各種分析条件などを入力することができる。入力部31によって入力した分析条件等は演算部32に送信され、所望の条件で分析を行うことが可能に構成されている。
【0028】
演算部32は、図略のCPU、ROM、RAM等からなり、これらのハードウェアと、ハードディスク35等に保存されているプログラム(ソフトウェア)とが協働することで、所定の演算処理を行うことができるように構成されている。
【0029】
演算部32は、測定装置2が備える前記A/D変換器24から入力されたデジタル信号に対してフーリエ変換処理等の演算処理を行い、赤外線スペクトルを生成することができるように構成されている。なお、以下の説明で、このように赤外光を実際に測定することによって得た赤外線スペクトルのことを、測定スペクトルと呼ぶことがある。
【0030】
検索ライブラリ33は、ハードディスク35に記憶されたデータベースである。当該検索ライブラリ33には、複数の農薬を予め測定することにより作成された、当該複数の農薬の赤外線スペクトルデータが記憶されている。演算部32は、この検索ライブラリ33に記憶されている赤外線スペクトルデータを用いて測定スペクトルを分析することにより、測定スペクトルに含まれる農薬の種類を同定することができるように構成されている。
【0031】
また、検索ライブラリ33には、空気中の農薬濃度を前記測定スペクトルに基づいて算出するためのデータ(例えば当該農薬の検量線データ等)が記憶されている。演算部32は、これに基づいて測定スペクトルを分析することにより、測定スペクトルに含まれる農薬の空気中の濃度を計算することができるように構成されている。
【0032】
付着量データベース34は、ハードディスク35に記憶されたデータベースである。当該付着量データベース34を作成する際には、試験的に農薬散布を行い、当該農薬散布後に測定した空気中の農薬濃度(以下、農薬浮遊量)と、農薬が落ち着いて最終的に作物に付着した量を測定した農薬付着量と、を当該付着量データベース34のデータとして記憶する。
【0033】
そして、上記の試験的な農薬散布を様々な条件下で行って、農薬散布を行った条件と、当該条件の下で測定された農薬浮遊量及び農薬付着量と、を関連付けてデータベース化し、付着量データベース34を構築する。前記条件とは、具体的には、気象条件(天候、風速、風向、日照条件、気温など)、単位面積あたりの農薬散布量、散布終了してから農薬浮遊量を測定するまでに経過した時間などである。例えば、農薬散布直後の農薬浮遊量が同じであっても、風速等が異なれば最終的な農薬付着量が変わってくる。そこで、上記のように様々な条件の下で農薬浮遊量及び農薬付着量を測定しておくのである。
【0034】
また、演算部32は、測定スペクトルから求めた空気中の農薬濃度(農薬浮遊量)と、前記の各種条件と、付着量データベース34と、に基づいて、最終的な農薬付着量を予測することができるように構成されている。付着量データベース34から最終的な農薬付着量を予測する方法は、適宜の方法を用いることができる。例えば、付着量データベース34を多変量解析(例えば重回帰分析)して、農薬浮遊量及び前記条件と、最終的な農薬付着量と、の相関関係式を求めておくことができる。この場合、例えば、前記重回帰解析によって求めた重回帰式の説明変量に、前記農薬浮遊量及び前記各種条件を代入して演算することで、農薬付着量を推算することができる。また例えば、付着量データベース34に基づいて仮想的なシミュレーションモデルを構築し、所定条件下における農薬の拡散シミュレーションを実行することで、当該条件のときの最終的な農薬付着量を推算しても良い。
【0035】
警報装置5は、音声又は視覚的手段によって、オペレータに警報を発するためのものである。警報装置5の作動は、演算部32によって制御される。警報装置5は、ブザー、回転灯など、適宜の構成を採用することができる。ただし、農薬散布支援装置1から離れた位置で無線ヘリの操縦等の作業を行っているオペレータにも、当該警報装置5による警報を容易に認識できるように構成されていることが好ましい。
【0036】
次に、本実施形態における農薬散布支援方法について説明する。
【0037】
まず、農薬を散布する対象の圃場(農薬散布対象圃場)において、図1に示すように圃場の外縁の適宜の位置に支持台を設置する。そして、図1に示すように、当該支持台の上に測定装置2、コンピュータ3及び警報装置5を配置する。一方、農薬散布対象圃場を挟んで前記支持台の反対側の適宜の位置に、反射鏡4を設置する。このとき、前記反射鏡4に対する入射光の光路と反射光の光路とが一致するように、当該反射鏡4の反射面の傾きを適宜設定しておく。
【0038】
次に、農薬散布前に、測定装置2及びコンピュータ3を作動させて、測定スペクトルのバックグラウンドとなる参照スペクトルを作成し、農薬散布時の計測スペクトル作成に反映できるようにしておく。
【0039】
続いて、オペレータは、散布予定の農薬の種類を入力するとともに、適宜の操作を行うことで、農薬散布支援装置1を誤散布検出モードに移行させる。その後、オペレータは、無線ヘリによる農薬の散布を開始する。
【0040】
前記誤散布検出モードにおいて、測定装置2は、赤外光の連続監視を行う。演算部32は、測定装置2からのデジタル信号に基づいて測定スペクトルを随時求めるとともに、当該測定スペクトルに基づいて農薬散布対象圃場の空気中に散布された農薬の種類を特定する。そして、当該特定された農薬の種類と、散布予定の農薬として入力された農薬の種類とが一致しない場合は、警報装置5によって警報を発する。
【0041】
これにより、仮にオペレータが不注意で間違った農薬の散布を始めてしまった場合であっても、不適切な農薬が散布されていることを即座に検出し、オペレータに通知することができる。これにより、オペレータは散布する農薬の誤りに早期に気付いて散布作業を中止できるので、損害を小さく抑えることができる。
【0042】
農薬の散布作業が終了すると、オペレータは、先程の作業で単位面積あたりに散布した農薬の量、気象条件(天候、風速、風向、日照条件、気温など)、散布終了してからの経過時間などの各種条件を、入力部31を操作することによってコンピュータ3に入力する。続いて、オペレータは、適宜の操作を行うことにより、農薬散布支援装置1を付着量予測モードに移行させる。
【0043】
付着量予測モードに移行すると、農薬散布支援装置1は、作物に対する最終的な農薬付着量を予測する。具体的には、まず、測定装置2によって赤外光を検出するとともに、A/D変換器24によってデジタル信号に変換し、演算部32が当該デジタル信号に対してフーリエ変換等の演算を行うことによって測定スペクトルを得る。そして、演算部32は、当該測定スペクトルと、検索ライブラリ33と、に基づいて、空気中の農薬濃度(農薬浮遊量)を算出する(農薬濃度測定工程)。
【0044】
続いて、演算部32は、算出した前記農薬浮遊量と、オペレータによって入力された各種条件と、付着量データベース34と、に基づいて、作物に対する最終的な農薬付着量を予測(推算)する(付着量予測工程)。この農薬付着量の予測値は、表示部30に表示される。オペレータは、この表示部30に表示された予測結果を確認することで、農薬散布作業を続けるか否かを判断することができる。
【0045】
即ち、本実施形態ではFT−IR等の光分析技術を用いて速やかに測定結果を出すことができるので、オペレータは農薬散布後直ちに農薬付着量の予測値を得ることができる。従って、例えば理想的な付着量よりも付着量の予測値が小さい場合に追加的な農薬の散布を行うなど、その場で柔軟に対応することができる。また、オペレータの経験によらずに最終的な付着量を予測できるので、経験の少ないオペレータでも最適な農薬散布を行うことができる。
【0046】
以上で説明したように、本実施形態の農薬散布支援方法は、農薬濃度測定工程と、付着量予測工程と、を含む。前記農薬濃度測定工程においては、農薬散布対象圃場において、農薬散布後に赤外光を投光して、当該赤外光を受光した受光データをスペクトル分析することにより空気中の農薬濃度を測定する。前記付着量予測工程においては、当該測定した農薬濃度と、予め用意した付着量データベース34と、に基づいて作物に対する農薬の付着量を予測する。
【0047】
即ち、この方法では空気中の農薬の濃度を測定しているので、空中に浮遊している農薬が落ち着いて作物に付着する前であっても、農薬の付着量を予測することができる。また、従来技術のように、農薬の付着量を測定するために作物を回収する、といった手間が掛からない。更に、光分析技術を用いることで即時に結果が分かるため、散布する農薬の量を、予測結果に応じてその場で柔軟に調整することができる。従って、無駄な農薬の消費を防ぐとともに、作物に対して過剰に農薬が付着してしまうことを防止することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、以下のような方法で農薬散布を支援している。即ち、付着量データベース34のデータには、異なる条件で農薬を散布したときに、空気中の農薬濃度と、作物への農薬の最終的な付着量と、を測定したデータが含まれる。また、前記条件は、単位面積あたりの農薬の散布量、天候、風速、風向、日照条件、気温、及び農薬を散布してから前記空気中の農薬濃度を測定するまでに経過した時間が含まれる。
【0049】
これにより、風速などを考慮して農薬の付着量を予測することができるので、農薬付着量の正確な予測値を得ることができる。
【0050】
また、本実施形態の農薬散布支援方法においては、前記スペクトル分析を農薬散布中に行い、農薬の種類を判定している。
【0051】
これにより、間違った農薬の散布を開始してしまった場合などを検知することができる。
【0052】
また、本実施形態の農薬散布支援方法においては、判定された前記農薬の種類が、予め設定された農薬の種類と異なる場合に、農薬の種類が違うことを警報装置5によって通知している。
【0053】
これにより、農薬散布中の作業者に対して農薬の種類が間違っていることを通知することができるので、間違った農薬を散布し続けてしまうことを防止できる。これにより、不注意によって不適切な農薬を無駄に消費してしまうことを防止できる。
【0054】
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0055】
フーリエ変換等の演算処理を演算部32によって行う構成に代えて、測定装置2側で当該フーリエ変換等を行っても良い。
【0056】
上記実施形態では、図1に示すように、農薬散布対象圃場を横断するようにして赤外線の光路を設定したが、これに限らず、例えば圃場の縁部に沿わせるようにして赤外線の光路を設定しても良い。この場合、赤外光を測定することにより、農薬のドリフト量を測定することができる。ただし、付着量予測精度の観点からは、付着量データベースを作成するための試験的な農薬散布が行われた時に設定されていた光路に可能な限り近い条件で光路を設定することが好ましい。
【0057】
また、反射鏡4は1つに限らず、複数の反射鏡を用いて折れ曲がった光路を設定することもできる。
【0058】
上記実施形態では農薬の散布を終了してから付着量の予測を行う構成としたが、農薬散布中に付着量の予測を行っても良い。なおこの場合、誤散布検出モードと付着量予測モードとが並行して実行される構成となる。
【0059】
気象条件は、オペレータが入力部31を操作することでコンピュータ3に入力する構成に代えて、例えば温度計や風量計などによって自動的に気象条件の測定を行い、当該気象条件が自動的に設定されるように構成しても良い。
【0060】
付着量データベース34にデータベース化する各種条件は、上記のものに限らず、最終的な農薬付着量に影響を与えると考えられる他の条件を加えても良い。また、上記実施形態で説明した各種条件を全て測定しなければならないわけではなく、例えば風速のみを条件として記憶しても良い。
【0061】
また、付着量データベース及び検索ライブラリは、データの追加、更新等を適宜行うことができるように構成されていることが好ましい。また付着量データベース及び検索ライブラリはハードディスクに記憶されていなくても良く、例えばCD−ROM等の適宜の記憶媒体に記憶されていても良い。
【0062】
なお、本発明の方法は、無線ヘリによる防除作業の他、その他の方法による防除作業時においても実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 農薬散布支援装置
2 測定装置
3 コンピュータ
4 反射鏡
5 警報装置
34 付着量データベース(データベース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬散布対象圃場又は当該農薬散布対象圃場の近傍において、農薬散布中又は農薬散布後に赤外光を投光して、当該赤外光を受光した受光データをスペクトル分析することにより空気中の農薬濃度を測定する農薬濃度測定工程と、
前記測定した農薬濃度と、予め用意したデータベースと、に基づいて作物に対する農薬の付着量を予測する付着量予測工程と、
を含むことを特徴とする農薬散布支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載の農薬散布支援方法であって、
前記データベースのデータには、異なる条件で農薬を散布したときに、空気中の農薬濃度と、作物への農薬の最終的な付着量と、を測定したデータが含まれ、
前記条件は、単位面積あたりの農薬の散布量、天候、風速、風向、日照条件、気温、及び農薬を散布してから前記空気中の農薬濃度を測定するまでに経過した時間のうち、少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする農薬散布支援方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の農薬散布支援方法であって、
前記スペクトル分析を農薬散布中に行い、農薬の種類を判定することを特徴とする農薬散布支援方法。
【請求項4】
請求項3に記載の農薬散布支援方法であって、
判定された前記農薬の種類が、予め設定された農薬の種類と異なる場合に、農薬の種類が違うことを通知することを特徴とする農薬散布支援方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−210273(P2010−210273A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53864(P2009−53864)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】